JP2015222404A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外径の異なるドラム状の感光体を用いる場合に、より大径の感光体における転写性の低下、異常放電による画像不良を抑制できる画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置100は、第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体1Y〜1Cと、第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体1Kと、を有し、第2の感光体1Kに対する第2の転写ローラ5Kの位置は、第1の感光体1Y〜1Cに対する第1の転写ローラ5Y〜5Kの位置よりも中間転写ベルト7の搬送方向の下流側に配置され、第2の転写ローラ5Kの第2の感光体5Kに対する押圧力は、第1の転写ローラ5Y〜5Cの第1の感光体1Y〜1Cに対する押圧力よりも大きい構成とする。【選択図】図8

Description

本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などの画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式を利用した画像形成装置では、中間転写体の回転経路に沿って複数の画像形成部を配置してフルカラー画像を形成するタンデム型の画像形成装置がある。
中間転写方式のタンデム型の画像形成装置においては、移動する中間転写体と電子写真感光体(感光体)とを一次転写部で接触させているため、摩擦や接触圧によって接触部で両者が次第に磨耗したり表面特性が変化したりしてくる。ブラック単色の画像形成を行う場合など、使用しない感光体があるときにも、使用しない感光体を中間転写体に接触させていると、その感光体の寿命は不必要に短くなることがある。特に、感光体と中間転写体との搬送速度が異なる場合は、感光体の表層の削れ量が著しく増え感光体の寿命が短命となることがある。
これに対し、ブラック単色モード時に他色の画像形成部の感光体と中間転写体とが非接触になるような機構を設けた画像形成装置がある。また、特にオフィス向けのフルカラー複写機などでは、最も使用頻度の高いブラックの画像形成部のドラム状の感光体のみ大径化する画像形成装置がある(特許文献1)。
一方、中間転写体として、転写の際に大きな圧力でトナーの一部分が転写されずに感光体上に残留する中抜けを解消するために、弾性層を用いた弾性中間転写ベルトが使われることがある。
特開2010−66452号公報
しかしながら、大径の感光体を備える画像形成部では、転写性の低下や異常放電による画像不良の発生が起きやすくなることがある。
これは、次のような理由が考えられる。つまり、一次転写部では、中間転写体の面が、感光体に近づき、感光体と一次転写部材とで挟持され、その後離れていく過程で、微小な放電が生じている。感光体の径が異なると、この放電状態が異なるので、同じ転写条件では転写性が異なってしまうことがある。ここで、感光体と中間転写体とをニップする単位面積あたりの力は、小径の感光体に比べて大径の感光体は小さいため、大径の感光体では振動の影響を受けやすい。例えば一次転写部で中間転写体と感光体との間で微小なスリップが発生して中間転写体がばたつくなどすると、トナーが飛び散ってしまう。この飛び散りが、起きている箇所と起きていない箇所とで画像の濃度ムラとして顕在化することがある(ムラ画像)。また、中間転写体のばたつきなどにより、一次転写部のすぐ下流の感光体と中間転写体の距離が変動することで、異常放電が発生しやすくなり、画像を乱して画像不良となってしまうことがある。
特に、弾性中間転写ベルトは弾性層を有するために、一次転写部でベルトと感光体との間で微小なスリップが発生しやすい。また、大径の感光体を最下流に設置した場合は、重ね合わせるトナー量が多くなるため、飛び散り(ムラ画像)や異常放電の影響は大きくなりやすい。
したがって、本発明の目的は、外径の異なるドラム状の感光体を用いる場合に、より大径の感光体における転写性の低下、異常放電による画像不良を抑制できる画像形成装置を提供することである。
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体と、前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体と、前記第1、第2の感光体からトナー像が転写される無端状の回転可能な中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを介して前記第1、第2の感光体にそれぞれ押圧され電圧が印加されて前記第1、第2の感光体からトナー像を前記中間転写ベルトに転写させる第1、第2の転写ローラと、を有し、前記第2の感光体に対する前記第2の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置は、前記第1の感光体に対する前記第1の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置よりも前記中間転写ベルトの搬送方向の下流側に配置され、前記第2の転写ローラの前記第2の感光体に対する押圧力は、前記第1の転写ローラの前記第1の感光体に対する押圧力よりも大きいことを特徴とする画像形成装置である。
本発明の他の態様によると、第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体と、前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体と、前記第1、第2の感光体からトナー像が転写される無端状の回転可能な中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを介して前記第1、第2の感光体にそれぞれ押圧され電圧が印加されて前記第1、第2の感光体からトナー像を前記中間転写ベルトに転写させる第1、第2の転写ローラと、を有し、前記第2の感光体に対する前記第2の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置は、前記第1の感光体に対する前記第1の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置よりも前記中間転写ベルトの搬送方向の下流側に配置され、前記第2の転写ローラの電気的抵抗は、前記第1の転写ローラの電気的抵抗よりも大きいことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、外径の異なるドラム状の感光体を用いる場合に、より大径の感光体における転写性の低下、異常放電による画像不良を抑制できる。
画像形成装置の概略断面図(フルカラーモード時)である。 画像形成装置の概略断面図(ブラック単色モード時)である。 ベルトクリーニング装置の概略断面図である。 画像形成装置の要部の制御ブロック図である。 一次転写ローラのシフト量を説明する模式図である。 中間転写ベルトの層構成を説明する模式的な断面図である。 転写ラチチュードを説明するためのグラフ図である。 実施例の効果を説明するためのグラフ図である。
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
1.画像形成装置の全体的な構成及び動作
図1は、本発明の一実施例に係る画像形成装置の概略断面図である。本実施例の画像形成装置100は、電子写真方式を用いて転写材(記録用紙、OHPシート、布など)にフルカラー画像を形成することのできる、中間転写方式を採用したタンデム型のレーザビームプリンタである。
画像形成装置100は、複数の画像形成部(ステーション)として第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKを有する。各画像形成部SY、SM、SC、SKは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、YKの構成及び動作は、使用するトナーの色が異なることを除いて、共通する部分が多い。したがって、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを示す符号の末尾のY、M、C、Kは省略して、当該要素について総括的に説明する。
画像形成部Sは、回転可能に配置された像担持体としてのドラム状(円筒形)の電子写真感光体(感光体)である感光ドラム1を有する。感光ドラム1は、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)によって図中矢印R1方向に回転駆動される。感光ドラム1の周囲には、次のプロセス機器が配置されている。まず、帯電手段としての帯電ローラ2が配置されている。次に、露光手段としての露光装置3が配置されている。次に、現像手段としての現像装置4が配置されている。次に、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置6が配置されている。各画像形成部Sの各現像装置4には、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーが収納されている。また、本実施例では、第4の画像形成部SKにおいては、感光ドラム1Kの直径が他の画像形成部SY、SM、SCよりも大きい。
各画像形成部Sの各感光ドラム1と対向するように、中間転写体としての無端状のベルトで構成された中間転写ベルト7が配置されている。中間転写ベルト7は支持体(張架ローラ)として、駆動ローラ71、テンションローラ72、二次転写対向ローラ73、及び押し上げローラ74、75に保持されている。駆動ローラ71は、中間転写ベルト7に駆動を伝達する。テンションローラ72は、中間転写ベルト7に所定の張力を付与する。二次転写対向ローラ73は、後述する二次転写ローラ8の対向部材(対向電極)となる。押し上げローラ74、75は、中間転写ベルト7上にトナー像を転写するための一次転写平面70を形成する。この一次転写平面70の水平部に沿って、4個の画像形成部SY、SM、SC、SKが直列状に配設されている。駆動ローラ71は、駆動手段としてのパルスモータなどの駆動モータ(図示せず)によって回動駆動される。これにより、中間転写ベルト7は、図中矢印R2で示す方向(以下、「回転方向」あるいは「搬送方向」ともいう。)に回転(周回移動)する。駆動ローラ71以外の張架ローラは、中間転写ベルト7の回転に従動して回転する。
中間転写ベルト7の内周面(裏面)側において、各画像形成部Sの各感光ドラム1と対向する位置に、一次転写手段としてのローラ状の一次転写部材である一次転写ローラ5が配置されている。一次転写ローラ5は、中間転写ベルト7を介して感光ドラム1に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト7と感光ドラム1とが接触する一次転写部(一次転写ニップ)T1を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面(表面)側において、二次転写対向ローラ73と対向する位置に、二次転写手段としてのローラ状の二次転写部材である二次転写ローラ8が配置されている。二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7を介して二次転写対向ローラ73に向けて付勢(押圧)され、中間転写ベルト7と二次転写ローラ8とが接触する二次転写部(二次転写ニップ)T2を形成する。また、中間転写ベルト7の外周面側において、駆動ローラ71と対向する位置に、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置9が配置されている。
回転する感光ドラム1は、帯電ローラ2によって一様に帯電される。帯電した感光ドラム1は、露光装置3によって画像情報に応じて露光され、その上に画像情報に応じた静電潜像(静電像)が形成される。感光ドラム1上に形成された静電潜像は、現像装置4から各画像形成部Sに対応する色のトナーが供給されてトナー像として現像される。感光ドラム1上に形成されたトナー像は、一次転写部T1において、一次転写ローラ5の作用により、回転する中間転写ベルト7に転写(一次転写)される。このとき、一次転写ローラ5には、印加手段としての一次転写電源51から、現像時のトナーの帯電極性(正規の帯電極性)とは逆極性の直流電圧である一次転写バイアス(一次転写電圧)が印加され、一次転写部T1に一次転写電界が形成される。本実施例では、各画像形成部SY、SM、SC、SKの各一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kのそれぞれに一次転写電源51Y、51M、51C、51Kが接続されている。例えば、フルカラー画像の形成時には、各画像形成部Sで形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、各一次転写部T1において中間転写ベルト7上に重ね合わせるようにして順次に転写される。
中間転写ベルト7上に転写されたトナー像は、二次転写部T2において、二次転写ローラ8の作用により、転写材Pに転写(二次転写)される。このとき、二次転写ローラ8には、印加手段としての二次転写電源81からトナーの正規の帯電極性とは逆極性の直流電圧である二次転写バイアス(二次転写電圧)が印加され、二次転写部T2に二次転写電界が形成される。また、このときまでに、記録材Pが、給紙カセット10から送り出され、レジストローラ12で一旦停止された後に所定のタイミングで二次転写部T2まで搬送される。トナー像が転写された転写材Pは、定着装置11に搬送される。定着装置11において、熱と圧力によってトナー像が転写材P上に定着(固着)させられる。その後、転写材Pは、画像形成装置100の装置本体の外部へと排出(出力)される。
一次転写工程において中間転写ベルト7に転写しきれなかった感光ドラム1上の転写残トナーは、ドラムクリーニング装置6によって感光ドラム1から除去されて回収される。また、二次転写工程において転写材Pに転写しきれなかった中間転写ベルト7上の転写残トナーは、ベルトクリーニング装置9によって中間転写ベルト7から除去されて回収される。
2.各部の構成
2−1.感光ドラム
感光ドラム1は、アルミニウム製シリンダの外周面に有機光導電体層(OPC)を塗布して構成したものである。感光ドラム1は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部をフランジによって回転自在に支持されており、一方の端部に駆動モータ(図示せず)から駆動力が伝達されることにより回転駆動される。本実施例では、感光ドラム1の帯電極性は負極性である。
本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の画像形成部である第1、第2、第3の画像形成部SY、SM、SCの感光ドラム1Y、1M、1Cの外径はφ30(mm)である(ここでは、「小径の感光ドラム」ともいう。)。一方、ブラック用の画像形成部である第4の画像形成部SKの感光ドラム1Kの外径はφ84(mm)である(ここでは、「大径の感光ドラム」ともいう。)。すなわち、ブラック用の感光ドラム1Kのみが他の色用の感光ドラム1Y、1M、1Cよりも大きい。
2−2.帯電ローラ
帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に接触して感光ドラム1の周面を一様に帯電処理する接触帯電部材である。帯電ローラ2は、芯金(芯材)の周りに弾性層が形成された導電性ローラである。帯電ローラ2は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部が軸受け部材により回転自在に保持されると共に、付勢手段としての押圧バネによって感光ドラム1に向けて付勢されている。これにより、帯電ローラ2は、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接され、感光ドラム1の回転に従動して回転する。帯電ローラ2の芯金には、印加手段としての帯電電源21(図4参照)から、所定の条件の帯電バイアス(帯電電圧)が印加される。これにより、回転する感光ドラム1の周面が所定の極性(本実施例では負極性)の所定の電位に帯電処理される。本実施例では、帯電バイアスは、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。より具体的には、−600Vの直流電圧(直流成分)と、周波数fが1kHz、ピーク間電圧Vppが1.5kV、正弦波の交流電圧(交流成分)とを重畳した振動電圧である。これにより、感光ドラム1の周面は、−600V(暗電位Vd)に一様に帯電処理される。
2−3.露光装置
露光装置3は、レーザ光源、ポリゴンミラーなどを備え、駆動回路により画像信号に応じて点灯制御されるレーザスキャナ装置である。露光装置3は、各画像形成部Sに対応する原稿の成分色の画像信号に応じたレーザビームがポリゴンミラーなどを介して感光ドラム1上に投射する。
2−4.現像装置
現像装置4は、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを備えた二成分現像剤を用いる。本実施例では、トナーは負帯電特性のトナーである。現像装置4は、現像剤を収納した現像容器を有する。また、現像装置4は、現像容器の感光ドラム1と対向する開口部から一部露出するようにして設けられた現像剤担持体としての現像スリーブを有する。現像スリーブは、感光ドラム1の表面に隣接して配置され、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により回転駆動されると共に、印加手段としての現像電源(図示せず)により所定の現像バイアス(現像電圧)が印加される。これにより、現像スリーブに担持されて感光ドラム1との対向位置(現像部)に搬送された現像剤からトナーが供給されて、感光ドラム1上の静電潜像がトナー像として現像される。本実施例では、現像装置4は、一様に帯電処理された後に電位の絶対値が低下させられた感光ドラム1上の露光部に、感光ドラム1の帯電極性と同極性のトナーを付着させる反転現像により、トナー像を形成する。なお、トナーには、トナーの離型性を上げるための外添剤が添加されている。
2−5.一次転写ローラ
一次転写ローラ5は、芯金(芯材)の周りに弾性層が形成された導電性ローラである。芯金は、導電性金属からなる直径8mm円柱形の部材である。弾性層は、抵抗値1.0×10〜5.0×10[Ω]で0.5mmの厚さを有する導電性発泡体であり、芯金の周りを覆っている。また、一次転写ローラ5の重量は、300gである。本実施例では、全ての画像形成部Sにおいて一次転写ローラ5の外径は同じである。
一次転写ローラ5は、電気的な作用及び押圧力によって感光ドラム1から中間転写ベルト7にトナー像を転写させるため、中間転写ベルト7の裏面から感光ドラム1に当接させるために、押圧機構によって支持される。本実施例では、一次転写ローラ5は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部が、付勢手段としての押圧バネによって鉛直方向上方に押圧されている。
一次転写ローラ5は、感光ドラム1の回転中心を通る鉛直方向よりも、中間転写ベルト7の搬送方向の下流側へシフトされている。本実施例では、詳しくは後述する検証のために、このシフト量は1.5〜5.5mmとした。ここで、図5に示すように、感光ドラム1の回転中心を通り、感光ドラムより中間転写ベルト7の搬送方向の上流側の中間転写ベルト7に直交する直線をX1とする。また、一次転写ローラ5の回転中心を通り、直線X1に平行な直線をX2とする。この場合、本実施例では、感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量Zは、直線X1に対する、直線X2のシフト量で代表できる。
一次転写ローラ5の押圧力の測定は、圧測定治具を用いて行うことができる。例えば、感光ドラム1と同じ径で、回転軸線方向に5分割された疑似の金属対向ローラを用意し、金属対向ローラにかかる圧力をロードセルを用いて検出することで、一次転写ローラ5の押圧力の測定を行う。この測定系は、画像形成装置100の装置本体の内部に設置することができ、実際に一次転写ローラ5から感光ドラム1にかかる圧力を測定することが可能である。また、5分割された金属対向ローラを用いるため、一次転写ローラ5の長手方向における圧力の分布を測定することができる。詳しくは後述するように、本実施例では、圧接部の長手方向の単位cm長さあたりの線圧に換算した値で比較を行った。
本実施例では、画像形成装置100は、トナー像の形成に使用する画像形成部Sの数が異なる複数の画像形成モードとして、フルカラーモード(第1の画像形成モード)とブラック単色モード(第2の画像形成モード、単色画像形成モード)とを実行可能である。フルカラーモードでは、第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKでトナー像を形成してフルカラー画像を形成することができる。ブラック単色モードでは、第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKのうちの所定の画像形成部として第4の画像形成部SKのみでトナー像を形成してブラック色の画像を形成することができる。そして、画像形成装置100は、ブラック単色モードで使用しない画像形成部SY、SM、SCの感光ドラム1Y、1M、1Cと中間転写ベルト7とを非接触にすることを可能とするベルト接離機構170(図4参照)を有している。
本実施例では、一次転写平面70は、図2に示すように押し上げローラ74、75、及び第1、第2、第3の画像形成部SY、SM、SCの一次転写ローラ5Y、5M、5Cが上下に移動することで移動する。フルカラーモード時には、一次転写平面70は、押し上げローラ74、75及びテンションローラ72で形成される。ブラック単色モード時には、一次転写平面70は、中間転写ベルト7の搬送方向において下流側の押し上げローラ75及びテンションローラ72で形成される。これにより、フルカラーモード時には、第1、第2、第3、第4の画像形成部SY、SM、SC、SKの感光ドラム1Y、1M、1C、1Kと中間転写ベルト7とが接触させられる。一方、ブラック単色モード時には、第1、第2、第3の画像形成部SY、SM、SCの感光ドラム1Y、1M、1Cと中間転写ベルト7とが離間される。このようにして、ブラック単色モードとフルカラーモードとに選択的に切り替えることが可能な構成とされている。ベルト接離機構170は、押し上げローラ74、75、及び第1、第2、第3の画像形成部SY、SM、SCの一次転写ローラ5Y、5M、5Cの支持部材、該支持部材を介してこれらのローラを移動させるための切り替え手段などで構成される。本実施例では、この切り替え手段として、ソレノイドを用いた。切り替え手段は、上記各ローラを、上下に、すなわち、中間転写ベルト7を感光ドラムにより近接させる第1の位置と感光ドラム1からより離間させる第2の位置との間で選択的に移動させる。本実施例では、ブラック単色モード時に使用しない第1、第2、第3の画像形成部SY、SM、SCの感光ドラム1Y、1M、1Cを中間転写ベルト7から離間可能とすることで、これらの感光ドラム1Y、1M、1Cの長寿命化が図られている。また、一般に使用頻度が高いことの多いブラック用の第4の画像形成部SKの感光ドラム1Kを大径化することで、この感光ドラム1Kの長寿命化が図られている。
なお、本実施例では、一次転写バイアスは、公知のATVC制御(Active Transfer Voltage Control)によって決定される(特開平2−123385号公報参照)。すなわち、画像形成装置の非画像形成時に一次転写ローラに所望の定電流電圧を印加し、そのときの電圧値を保持する。そして、その電圧値に応じた定電圧を画像形成時の一次転写時に一次転写電圧として一次転写ローラ5に印加する。非画像形成時の定電流電圧の印加時の一次転写電流としては、予め最適な電流が求められ、その電流をターゲット電流とした場合の一次転写部T1の転写電界が決定される。
2−6.中間転写ベルト
本実施例では、中間転写ベルト7として、複数層を有しかつ弾性層を有するベルト(ここでは、「弾性中間転写ベルト」ともいう。)を用いる。図6は、弾性中間転写ベルト7の一例の層構成を示す模式的な断面図である。本実施例では、弾性中間転写ベルト7は、基層(樹脂層)7a、弾性層7b、表層7cの3層構造からなる。本実施例の弾性中間転写ベルト7は、画像性を保つため、3層での表面抵抗率は1012Ω/□、体積抵抗率は10Ω・cmである。抵抗率の測定は、三菱化学社の高抵抗率計ハイレスタ−UPM、CP−HT450、URプローブを用い、測定条件として印加電圧1000V、印加時間10秒にて行った。また、弾性中間転写ベルト7の各層の膜厚としては、基層7aが50〜100μm、弾性層7bが200〜300μm、表層7cが2〜20μm程度が好ましく、本実施例では、基層7aを85μm、弾性層7bを260μm、表層7cを2μmとした。また、弾性中間転写ベルト7は、3層での表面硬度としては、IRHD硬度で40〜90度程度が好ましく、本実施例では73±3度とした。
基層7a、弾性層7bは、上述のような特性を満たす材料であればよく、代表的なものとしては、次のものが挙げられる。基層(樹脂層)7aを構成する樹脂材料としては、例えばヤング率(JISK7127準拠)が5.0×10〜5.0×10MPaのポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などを使用することができる。また、弾性層7bを構成する弾性材料(弾性材ゴム、エラストマー)としては、ヤング率が0.1〜1.0×10MPaのブチルゴム、フッ素系ゴム、CRゴム、EPDM、ウレタンゴムなどを使用することができる。また、表層7cの材料は、特に制限は無いが、中間転写ベルト7の表面へのトナーの付着力を小さくして、二次転写性を高めるものが望ましい。例えばヤング率1.0×10〜5.0×10MPaのフッ素樹脂、フッ素化合物などの樹脂材料や、ウレタン系の樹脂にフッ素系樹脂微粒子を分散したものや、弾性材料などが挙げられる。ただし、基層7a、弾性層7b、表層7cのいずれの層においても、上記材料に限定されるものではない。このように、本実施例では、中間転写体は少なくとも複数層から構成され、トナー像を担持する面側の層が、トナー像を担持しない面側の最下層よりも硬度が低い。
なお、本実施例では、中間転写ベルト7として上述のような弾性中間転写ベルトを用いたが、樹脂ベルトなどの単層のベルトを用いてもよい。
2−7.二次転写ローラ
二次転写ローラ8は、芯金(芯材)の周りにイオン導電系発泡ゴム(NBRゴム)の弾性層が形成された導電性ローラである。この二次転写ローラ8は、外径が24mm、ローラの表面粗さRz=6.0〜12.0(μm)である。また、この二次転写ローラ8は、抵抗値が、N/N(23℃、50%RH)測定、2kV印加で1.0×10〜1.0×10Ωである。
本実施例では、画像形成装置100は、二次転写ローラ8を中間転写ベルト7に対して当接又は離間させる二次転写ローラ接離機構180(図4参照)を有する。これにより、二次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接され中間転写ベルト7の回転に伴って回転する作動状態と、中間転写ベルト7から離間された非作動状態とに選択的に切り替え可能な構成とされている。二次転写ローラ接離機構180は、二次転写ローラ8の支持部材、該支持部材を介して二次転写ローラを移動させるための切り替え手段などで構成される。本実施例では、この切り替え手段として、ソレノイドを用いた。切り替え手段は、二次転写ローラ8を上下、すなわち、二次転写ローラ8を中間転写ベルト181に対して当接させる第1の位置と離間させる第2の位置との間で選択的に移動させる。本実施例では、二次転写ローラ8は、画像濃度調整時などに中間転写ベルト7に形成される調整用のトナー像であるパッチが二次転写部T2を通過する際には、中間転写ベルト7から離間される。このパッチは、検知手段としてのパッチセンサ150で検知されるようになっている。
2−8.ベルトクリーニング装置(静電ファークリーニング)
本実施例では、中間転写体クリーニング手段として、静電的にトナーを除去する静電クリーニング方式のベルトクリーニング装置9を用いる。図3は、本実施例におけるベルトクリーニング装置9の模式的な断面図である。ベルトクリーニング装置9は、中間転写ベルト7の搬送方向において一次転写部T1(より詳細には最上流の一次転写部T1Y)よりも上流かつ二次転写部T2よりも下流に配置されている。
ベルトクリーニング装置9は、中間転写ベルト7の近傍に配置されたハウジング95を有する。ベルトクリーニング装置9は、ハウジング95の内部に、中間転写ベルト7の搬送方向の上流側に配置された第1の回収部材としての上流ファーブラシ91a、下流側に配置された第2の回収部材としての下流ファーブラシ91bを有する。上流ファーブラシ91a、下流ファーブラシ91bは、それぞれ中間転写ベルト7を介して駆動ローラ71に対向する位置で中間転写ベルト7に接触し、中間転写ベルト7からトナーを回収する第1、第2の静電クリーニング部CL1、CL2を形成する。また、ベルトクリーニング装置9は、ハウジング95の内部に、上流ファーブラシ91aに接触する第1の電圧印加部材としての上流バイアスローラ92a、下流ファーブラシ91aに接触する第2の電圧印加部材としての下流バイアスローラ92bを有する。さらに、ベルトクリーニング装置9は、ハウジング95の内部に、上流バイアスローラ92aに当接する第1の除去部材としての上流ブレード93a、下流バイアスローラ92bに当接する第2の除去部材としての下流ブレード93bを有する。
上流、下流ファーブラシ91a、91bは、糸の抵抗値が0.3M(Ω/cm)、繊維太さが6デニールのカーボン分散型ナイロン繊維を、その植毛密度が50万本/inchの割合で金属ローラ(芯材)上に植毛して構成された導電性ファーブラシである。また、上流、下流バイアスローラ92a、92bは、アルミニウム製の金属ローラで構成される。また、上流、下流ブレード93a、93bは、ウレタンゴムで形成された板状部材で構成される。このように、本実施例では、上流ファーブラシ(クリーニングブラシ)91a、上流バイアスローラ92a、上流ブレード93aによって、第1のクリーニング部材としての上流クリーニング部材96aが構成される。また、本実施例では、下流ファーブラシ(クリーニングブラシ)91b、下流バイアスローラ92b、下流ブレード93bによって、第2のクリーニング部材としての下流クリーニング部材96bが構成される。そして、これら上流、下流クリーニング部材96a、96bが、中間転写ベルト7の搬送方向に沿って並列に配列される。
上流、下流ファーブラシ91a、91bは、中間転写ベルト7に対し約1.0mmの侵入量を保って中間転写ベルト7に摺接するように配置される。上流、下流ファーブラシ91a、91bは、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により、50mm/秒の速度(周速度)で図中矢印R3方向へ回転駆動される。この矢印R3で示す移動方向は、第1、第2の静電クリーニング部CL1、CL2において中間転写ベルト7の移動方向と逆方向である。上流、下流バイアスローラ92a、92bは、上流、下流ファーブラシ91a、91bに対して約1.0mmの侵入量を保って配置されている。上流、下流バイアスローラ92a、92bは、駆動手段としての駆動モータ(図示せず)により、上流、下流ファーブラシ91a、91bと同等の速度(周速度)で図中矢印R4方向へ回転駆動される。この矢印R4で示す移動方向は、上流、下流ファーブラシ91a、91bとの接触部において上流、下流ファーブラシ91a、91bの移動方向と逆方向である。上流、下流ブレード93a、93bは、上流、下流バイアスローラ92a、92bに侵入量1.0mmを保って配置されている。上流、下流ブレード93a、93bは、固定端部よりも自由端部の方が上流、下流バイアスローラ92a、92bの回転方向の上流側となるように、上流、下流バイアスローラ92a、92bに当接されている(カウンター当接)。
上流バイアスローラ92aには、印加手段としての第1のクリーニング電源94aから、クリーニングバイアス(クリーニング電圧)として、負極性の直流電圧が印加される。また、下流バイアスローラ92bには、印加手段としての第2のクリーニング電源94bから、クリーニングバイアスとして、正極性の直流電圧が印加される。第1、第2のクリーニング電源94a、94bは、様々な条件での中間転写ベルト7、上流、下流ファーブラシ91a、91bの電位に対応するため、クリーニングバイアスを定電流制御で印加する。本実施例では、クリーニングバイアスの電流値は、予め、通常の画像形成時と、パッチのクリーニング時との、それぞれクリーニング性に対して適した電流が求められており、その電流が流れるように定電流制御で印加される。
中間転写ベルト7上の転写残トナーをクリーニングする動作について説明する。上流バイアスローラ92aに負極性(−)のクリーニングバイアスを印加することより、中間転写ベルト7と上流ファーブラシ91aとの間に電位差が生じる。これにより、中間転写ベルト7上の転写残トナー中の正極性(+)に帯電したトナーを上流ファーブラシ91a側に吸着、転移させる。この上流ファーブラシ91aに吸着、転移したトナーは、上流ファーブラシ91aと上流バイアスローラ92aとの間の電位差により、上流ファーブラシ91aから上流バイアスローラ92aに転移する。そして、この上流バイアスローラ92aに転移したトナーは、上流ブレード93aにより上流バイアスローラ92a上から掻き落とされてハウジング95内に形成された回収トナー収容部に回収される。
上流クリーニング部材96aで中間転写ベルト7上の転写残トナーをクリーニングしても、中間転写ベルト7上には極性を持たないトナーや、負極性(−)に帯電したトナーが残っている。これらのトナーは、上流ファーブラシ91aに印加される負極性(−)のクリーニングバイアスにより、負極性(−)に帯電される。これは、電荷注入又は放電により帯電されるものと考えられる。
そして、それらのトナーは、下流バイアスローラ92bに正極性(+)のクリーニングバイアスを印加することにより、中間転写ベルト7と下流ファーブラシ91bとの間に電位差が生じ、下流ファーブラシ91bに吸着、転移させることができる。この下流ファーブラシ91bに吸着、転移したトナーは、下流ファーブラシ91bと下流バイアスローラ92bとの間の電位差により、下流ファーブラシ91bから下流バイアスローラ92bに転移する。そして、この下流バイアスローラ92bに転移したトナーは、下流ブレード93bにより下流バイアスローラ92b上から掻き落とされる。こうして、中間転写ベルト7上に残留した転写残トナーを、十分に除去、回収することができる。
なお、本実施例では、ベルトクリーニング手段として静電クリーニング方式のものを用いたが、中間転写ベルト7に当接する弾性体で形成された板状のクリーニング部材であるクリーニングブレードを用いるクリーニングブレード方式のものでもよい。
3.制御態様
図4は、本実施例の画像形成装置100の要部の概略制御態様を示す。画像形成装置100には、画像形成装置100を統括的に制御する制御部としてのCPU110、記憶部としてのROM、RAMなどのメモリ111が設けられている。RAMには、センサの検知結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め求められたデータテーブルなどが格納されている。本実施例との関係では、CPU110は、像形成制御部112、帯電バイアス制御部113、一次転写バイアス制御部114、二次転写バイアス制御部115、クリーニングバイアス制御部116などを制御する。また、CPU110は、パッチセンサ150、ベルト接離機構170、二次転写ローラ接離機構180などを制御する。
像形成制御部112は露光装置3の露光タイミングなどを制御する。帯電バイアス制御部113は、帯電電源21から帯電ローラ2に対して定電圧制御された電圧を出力することができる。つまり、帯電バイアス制御部113は、出力している電圧値を検知する電圧検知部を有し、CPU110の制御により設定電圧値で定電圧制御することができる。また、一次転写バイアス制御部114は、一次転写電源51から一次転写ローラ5に対して定電流制御された電圧、定電圧制御された電圧を出力することができる。つまり、一次転写バイアス制御部114は、一次転写ローラ5に電圧を印加している際に流れる電流値を検知する電流検知部と、出力している電圧値を検知する電圧検知部とを有する。そして、検知結果をCPU110にフィードバックさせることで、一次転写ローラ5に印加するバイアスを定電流制御、定電圧制御することができる。二次転写バイアス制御部115についても、一次転写バイアス制御部114と同様である。また、クリーニングバイアス制御部116は、クリーニング電源94からバイアスローラ92に対して定電流制御された電圧を出力することができる。つまり、クリーニングバイアス制御部116は、バイアスローラ92に電圧を印加している際に流れる電流値を検知する電流検知部を有する。そして、検知結果をCPU110にフィードバックさせることで、バイアスローラ92に印加するバイアスを定電流制御することができる。
4.一次転写ローラのシフト量と押圧力
次に、一次転写部Tにおける一次転写ローラ5のシフト量と押圧力について詳しく説明する。
本実施例では、画像形成装置100は、複数の画像形成部Sを有するタンデム方式の画像形成装置であって、複数種類の外径の感光ドラム1を有する。前述のように、本実施例では、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の画像形成部SY、SM、SCの感光ドラム1Y、1M、1Cの外径はφ30(mm)である(小径の感光ドラム)。一方、ブラック用の画像形成部SKの感光ドラム1Kの外径はφ84(mm)である(大径の感光ドラム)。すなわち、ブラック用の画像形成部SKの感光ドラム1Kのみが他の色用の感光ドラム1Y、1M、1Cよりも大きい。
なお、大径の感光ドラムを用いる画像形成部は、必ずしもブラック用の画像形成部でなくてもよいし、中間転写ベルトの搬送方向において最下流の画像形成部でなくてもよい。また、例えばブラック用の画像形成部など1つの画像形成部のみが大径の感光ドラムを用いるとは限らない。複数の画像形成部が、その他の画像形成部よりも外径の大きな感光ドラム(それら複数の画像形成部間で感光ドラムの外径は同一でも異なっていてもよい。)を用いる画像形成部とされていてもよい。
本実施例の構成では、イエロー、マゼンタ、シアンの各色用の画像形成部SY、SM、SCでの挙動は実質的に同一であることが確認できた。したがって、小径の感光ドラム1を用いる画像形成部Sとして、シアン用の画像形成部SCの結果を代表として用いる。大径の感光ドラム1を用いる画像形成部Sとしては、ブラック用の画像形成部SKの結果を用いる。そして、小径と大径の感光ドラム1を比較する。
本実施例では、一次転写ローラ5のシフト量と一次転写ローラ5の押圧力(線圧)をふって、転写ラチチュード(転写再転写ラチチュード)と前述のムラ画像の有無を、ブラックのベタ画像とグリーンのベタ画像について調べる実験を行った。
ここで、図7を参照して転写ラチチュードについて説明する。図7は、一次転写部T1における転写再転写効率を表したグラフである。横軸に一次転写電流(転写電流)を、縦軸に転写効率、再転写効率をそれぞれプロットしている。本実施例では、転写ラチチュードとは、転写効率が98%以上、再転写効率が3%以下となる転写電流値の幅のことをいう。転写効率とは、感光ドラム1上に現像されたトナーを100%としたときの一次転写部T1における転写率のことであり、転写前のトナー量から転写後のトナー量を割ったものである。また、再転写効率とは、感光ドラム1上の再転写トナー量を、感光ドラム1が通過する前の中間転写ベルト7上のトナー量で割ったものである。一般的に、トナー量の多い二次色ベタ画像の再転写が最も多くなるので、シアン用の画像形成部SCではレッドの画像で、ブラック用の画像形成部SKではブルーの画像で算出した。
図7のグラフより、転写効率98%以上を満たす一次転写電流は34.8μA〜50μAとわかる。また、再転写効率3%以下を満たす一次転写電流は〜48.5μAとわかる。この両方を満たす一次転写電流は34.8μA〜48.5μAであり、このときの転写ラチチュードは13.7μAということになる。また、画像形成時の一次転写電流の目標値は、この転写ラチチュードの中心値である41.7μAに設定する。前述のムラ画像の確認は、一次転写電流をこの中心値に設定して行った。
次に、小径(φ30mm)の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量1.5mm、2.5mm、3.5mmの3種類、線圧10〜50gf/cm、一次転写電流10μA〜60μAの範囲の転写ラチチュードを調べた。また、大径(φ84mm)の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量3.5mm、4.5mm、5.5mmの3種類、線圧30〜80gf/cm、一次転写電流10μA〜60μAの範囲の転写ラチチュードを調べた。結果をそれぞれ図8(a)、(b)に示す。小径の感光ドラム1ではシフト量が2.5mm、線圧が30〜40gf/cmが最適であるのに対して、大径の感光ドラム1ではシフト量が4.5mm、線圧が50〜60gf/cmが最適であることがわかった。
また、上記の最適なシフト量と線圧から外れると、前述の異常放電による画像不良が発生しやすくなる傾向にあることもわかった。小径の感光ドラム1、大径の感光ドラム1ともに、上記の最適なシフト量よりもシフト量が小さい場合は、一次転写部T1の上流の異常放電が増加する。そして、感光ドラム1上のトナー像の帯電極性が反転することで、一次転写部T1で中間転写ベルト7に転写されるトナー量が減るために、転写ラチチュードが狭まっていると考えられる。また、感光ドラム1上のトナー像が一次転写部T1の上流でニップ内に侵入する前に中間転写ベルト7に転写されるプレ転写が多く、飛び散り画像が増加した。さらに、一次転写部T1の下流の異常放電も増加し、特に大径の感光ドラム1では前述の異常放電による画像不良の発生頻度が高くなった。
一方、シフト量が大きすぎる場合は、感光ドラム1と中間転写ベルト7とで挟持するニップ幅が小さくなり、安定したニップを作ることが難しくなり、ニップ内での放電量が増加する。そして、トナーの帯電極性が反転し、感光ドラム1上にトナーが戻ってしまう、いわゆる再転写量が増加することで、転写ラチチュードが狭まっていると考えられる。さらに、安定したニップを形成できていないために、前述のムラ画像の発生頻度も高くなる結果となった。
また、最適なシフト量を選択した場合でも、線圧が小さい場合は、安定したニップが得られないために、上述と同様の再転写の増加とムラ画像の発生頻度が高くなる現象が起きた。なお、逆に、線圧が大きすぎる場合は、トナーに働く挟持力が大きくなり、トナー同士が密着し、凝集度が高くなること、また中間転写ベルト7への密着力が増してしまうことがある。その結果、2次転写部T2で中間転写ベルト7からトナーが離れにくくなるため、2次転写部T2の転写効率が落ちてしまう現象が新たに発生してしまうことがある。
また、小径の感光ドラム1よりも大径の感光ドラム1の一次転写部T1での線圧が必要な理由は、次のように考えられる。つまり、感光ドラム1の曲率が異なるために、一次転写部T1の上下流の張り角度や、感光ドラム1から中間転写ベルト7までの距離が異なることから、放電の状態が異なるためと考えられる。前述のように大径の感光ドラム1の場合には異常放電が生じやすくなる。特に、中間転写ベルト7に弾性中間転写ベルトを用いた場合、前述のように感光ドラム1への巻きつき方が異なるため、小径の感光ドラムにおける一次転写部T1の線圧よりも大径の感光ドラム1における線圧を大きくする必要がある。
このように、本実施例では、画像形成装置100は、第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体1Y〜1Cと、第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体1Kとを有する。また、画像形成装置100は、第1、第2の感光体からトナー像が転写される無端状の回転可能な中間転写ベルト7を有する。また、画像形成装置100は、中間転写ベルト7を介して第1、第2の感光体にそれぞれ押圧され電圧が印加されて第1、第2の感光体からトナー像を中間転写ベルト7に転写させる第1の転写ローラ5Y〜5C、第2の転写ローラ5Kを有する。第2の感光体1Kに対する第2の転写ローラ5Kの中間転写ベルト7の搬送方向の位置は、第1の感光体1Y〜1Cに対する第1の転写ローラ5Y〜5Cの中間転写ベルト7の搬送方向の位置よりも中間転写ベルト7の搬送方向の下流側に配置されている。そして、第2の転写ローラ5Kの第2の感光体1Kに対する押圧力は、第1の転写ローラ5Y〜5Cの第1の感光体1Y〜1Cに対する押圧力よりも大きい。本実施例では、画像形成装置100は、中間転写ベルト7の搬送方向に沿って上記第1、第2の感光体を含む複数の感光体を有しており、第2の感光体1Kは中間転写ベルト7の搬送方向において最下流に配置される感光体である。
以上のように、外径の異なる感光ドラム1を用い、また特に弾性中間転写ベルトを用いる場合に、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の押圧力を、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の押圧力よりも大きくする。また、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のシフト量を、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のシフト量よりも大きくする。これにより、転写性のラチチュードを広げ、転写性を向上し、異常放電による画像不良を抑制できる。
実施例2
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一又は実施例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、実施例1と同様に、大径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5の線圧を、小径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5の線圧よりも大きくする。そのため、一次転写ローラ5の長手方向の両端部で押圧する場合は、長手方向の中央部が圧抜けする可能性がある。なお、本実施例では、実施例1と同様に、大径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量は、小径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量よりも大きくされている。
そこで、本実施例では、特に、一次転写ローラ5のゴム部(弾性層)の形状を、長手方向の端部から中央部に行くにしたがって外径が大きくされたクラウン形状にする。そして、そのクラウン量(長手方向の端部の外径に対する中央部における外径の増加分)を、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5において、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5よりも大きくする。これにより、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5においても、長手方向で均一に均等に線圧をかけることができるように調整されている。小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5は、長手方向の中央部の外径が18.01cmとなるように双曲線状に傾きをつけたクラウン形状にした。これに対し、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5には、長手方向の中央部が18.03cmになるようにクラウン形状にしたものを使用した。
なお、本実施例では、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5と大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の両方がクラウン形状を有するが、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5はクラウン形状を有していなくてもよい。このように、本実施例では、少なくとも第2の転写ローラ5Kは、第1の転写ローラ5Y〜5Cよりも大きいクラウン量のクラウン形状を有する。
これにより、本実施例では、大径の感光ドラム1を用いる画像形成部Sにおいても、一次転写部T1における中間転写ベルト7の張り角度が一次転写ローラ5の長手方向において均一に調整される。その結果、一次転写部T1での電界による放電の状態がより均一化され、一次転写ローラ5の長手方向に渡ってより良好な転写を行うことが可能となる。
実施例3
次に、本発明の他の実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の基本的な構成及び動作は、実施例1のものと同じである。したがって、実施例1のものと同一又は実施例1のものに対応する機能あるいは構成を有する要素については、同一符号を付して、詳しい説明は省略する。
本実施例では、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のインピーダンス(電気的抵抗)を、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のインピーダンス(電気的抵抗)よりも高くする。なお、本実施例では、実施例1と同様に、大径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量は、小径の感光ドラム1に対する一次転写ローラ5のシフト量よりも大きくされている。一方、本実施例では、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の線圧と小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の線圧とを同等としている。ただし、所望により、実施例1と同様に、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の線圧を、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5の線圧よりも大きくしてもよい。
一次転写ローラ5のインピーダンスを高くしても、一次転写部T1での一次転写に必要な電流量はトナーの帯電量に依存し、またある程度のラチチュードをもっているため、必要な電流量はほぼ同じと考えてよい。つまり、一次転写ローラ5のインピーダンスを高くすることで、一次転写部T1での必要電圧が高くなるため、一次転写部T1にかかる電界は大きくなる。
異常放電に起因するトナー像の乱れ現象は、一次転写部T1の電界が大きくなることで、軽減することができる。つまり、一次転写部T1の電界が大きくなることで、一次転写部T1の下流で発生する感光ドラム1と中間転写ベルト7との間の異常放電の発生頻度を高くすることができる。その結果、中間転写ベルト7上のトナーの帯電量のムラのピッチはごく細かいものとなるため、トナー像の乱れとして視覚的に見えにくくするか又は見えなくすることができる。つまり、実施例1において線圧を大きくすることで安定したニップを形成して放電の状態を安定化したのに対応する作用をなす。
本実施例では、小径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のインピーダンス(体積抵抗率)を、1.0×10〜5.0×10[Ω・cm]とした。これに対し、大径の感光ドラム1に対向する一次転写ローラ5のインピーダンスを1.0×10〜5.0×10[Ω・cm]とした。このように、本実施例では、第2の転写ローラ5Kの電気的抵抗は、第1の転写ローラ5Y〜5Cの電気的抵抗よりも大きい。
これにより、本実施例では、異常放電跡が画像に発生することを抑制でき、転写性のラチチュードを広げることができる。
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
5 一次転写ローラ
7 中間転写ベルト
8 二次転写ローラ
9 ベルトクリーニング装置

Claims (5)

  1. 第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体と、
    前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体と、
    前記第1、第2の感光体からトナー像が転写される無端状の回転可能な中間転写ベルトと、
    前記中間転写ベルトを介して前記第1、第2の感光体にそれぞれ押圧され電圧が印加されて前記第1、第2の感光体からトナー像を前記中間転写ベルトに転写させる第1、第2の転写ローラと、
    を有し、
    前記第2の感光体に対する前記第2の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置は、前記第1の感光体に対する前記第1の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置よりも前記中間転写ベルトの搬送方向の下流側に配置され、
    前記第2の転写ローラの前記第2の感光体に対する押圧力は、前記第1の転写ローラの前記第1の感光体に対する押圧力よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
  2. 第1の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第1の感光体と、
    前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有しトナー像が形成されるドラム状の第2の感光体と、
    前記第1、第2の感光体からトナー像が転写される無端状の回転可能な中間転写ベルトと、
    前記中間転写ベルトを介して前記第1、第2の感光体にそれぞれ押圧され電圧が印加されて前記第1、第2の感光体からトナー像を前記中間転写ベルトに転写させる第1、第2の転写ローラと、
    を有し、
    前記第2の感光体に対する前記第2の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置は、前記第1の感光体に対する前記第1の転写ローラの前記中間転写ベルトの搬送方向の位置よりも前記中間転写ベルトの搬送方向の下流側に配置され、
    前記第2の転写ローラの電気的抵抗は、前記第1の転写ローラの電気的抵抗よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
  3. 前記中間転写ベルトは、複数層を有し、トナー像を担持する面側の層が、トナー像を担持しない面側の最下層よりも硬度が低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記第2の転写ローラは、前記第1の転写ローラよりも大きいクラウン量のクラウン形状を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 前記中間転写ベルトの搬送方向に沿って前記第1、第2の感光体を含む複数の感光体を有しており、前記第2の感光体は前記中間転写ベルトの搬送方向において最下流に配置される感光体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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