JP2015222174A - 炎症性疾患を処置するため薬剤のスクリーニング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炎症性疾患の処置に有用な物質およびそのスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法に関する。また、本発明は、IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物に関する。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法に関する。また、本発明は、IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物に関する。
【選択図】なし
Description
本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法に関する。また、本発明は、IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物に関する。
自己免疫疾患とは、異物を認識し排除するための免疫機構が自分自身の正常な細胞や組織に対してまでも過剰に反応し攻撃を加えることで症状をきたす疾患の総称である。様々な自己免疫疾患が報告されているが、その中でも関節リウマチの患者数が最も多く、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎)の患者も増加傾向にある。
関節リウマチの病態にはサイトカインが深く関連している。サイトカインは種類によって、炎症促進作用を有するものと抗炎症作用を有するものがある。通常は相互にバランスが保たれているが、関節リウマチではそのバランスが崩れ、TNF-α、IL-1β、IL-6、IFN-γやIL-8、IL-18などの炎症性サイトカインが亢進し、関節滑膜の炎症を促進している。それゆえ、関節リウマチの治療においては、これらサイトカインの産生を制御することが重要である。
抗リウマチ薬の発達により、現在関節リウマチの治療は薬物療法が中心となっている。抗TNF-α抗体や抗IL-6受容体抗体などの生物学的製剤は、関節リウマチだけでなく炎症性腸疾患などの自己免疫疾患の治療薬として広く使用されている。しかしながら、TNF-αやIL-6の阻害薬に抵抗性の患者が多く存在しており、これらにかわる治療薬の開発が求められている。
近年、IL-1ファミリーである炎症性サイトカインIL-38(IL-1F10とも称される)が同定された。IL-38の生物学的機能についての報告はこれまでに1件しか存在せず(非特許文献1)、その詳細は不明である。
Proc Natl Acad Sci U S A. 2012 Feb 21;109(8):3001-5. Epub 2012 Feb 6.
本発明は、炎症性疾患の処置に有用な物質およびそのスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下を提供する。
1.IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法。
2.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞における前記サイトカインの発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、前記サイトカインの発現を低下させる候補物質を選択する。
3.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38を発現可能な細胞と候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるIL-38の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、IL-38の発現を低下させる候補物質を選択する。
4.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
5.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
6.炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、前記1〜5のいずれかに記載のスクリーニング方法。
7.IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物。
8.炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、前記7記載の医薬組成物。
9.IL-38阻害薬が抗体である、前記7または8のいずれかに記載の医薬組成物。
10.抗体が抗IL-38抗体である、前記9記載の医薬組成物。
1.IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法。
2.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞における前記サイトカインの発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、前記サイトカインの発現を低下させる候補物質を選択する。
3.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38を発現可能な細胞と候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるIL-38の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、IL-38の発現を低下させる候補物質を選択する。
4.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
5.以下の工程を含む、前記1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
6.炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、前記1〜5のいずれかに記載のスクリーニング方法。
7.IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物。
8.炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、前記7記載の医薬組成物。
9.IL-38阻害薬が抗体である、前記7または8のいずれかに記載の医薬組成物。
10.抗体が抗IL-38抗体である、前記9記載の医薬組成物。
本発明により、IL-38を標的とする、炎症性疾患の処置に有用な物質およびそのスクリーニング方法が提供される。
1.用語
IL-38は、152アミノ酸からなるIL-1ファミリーメンバーのサイトカインである。IL-38は「IL-1F10」としても知られており、本発明における「IL-38」にはかかる名称で呼ばれるタンパク質も含まれる。本発明において、IL-38の由来は特に限定されず、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、ヒト由来のIL-38が挙げられるが、特にヒトIL-38が好適である。ヒトIL-38のアミノ酸配列は、GenbankにAccession No. NM_032556として開示されている。
IL-38は、152アミノ酸からなるIL-1ファミリーメンバーのサイトカインである。IL-38は「IL-1F10」としても知られており、本発明における「IL-38」にはかかる名称で呼ばれるタンパク質も含まれる。本発明において、IL-38の由来は特に限定されず、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、ヒト由来のIL-38が挙げられるが、特にヒトIL-38が好適である。ヒトIL-38のアミノ酸配列は、GenbankにAccession No. NM_032556として開示されている。
IL-38は、IL-36受容体を介して生物学的機能を発揮することが報告されている(非特許文献1)。よって、本明細書における「IL-38受容体」には、IL-36受容体が含まれる。IL-36受容体は「IL-1Rrp2(IL-1 receptor-related protein 2)」としても知られており、本発明における「IL-36受容体」にはかかる名称で呼ばれるタンパク質も含まれる。ヒトIL-36受容体のアミノ酸配列は、GenbankにAccession No. AF284434として開示されている。
本明細書において、「IL-38阻害薬」とは、IL-38によるシグナル伝達を阻害し、IL-38の生物学的活性を阻害する物質を意味する。「IL-38阻害薬」には、抗体、ペプチド、タンパク質、低分子化合物、核酸分子(アンチセンス核酸、リボザイム、siRNAなど)が含まれるが、これらに限定されない。
本発明における「炎症性疾患」は、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8およびIL-10から選択される1以上のサイトカインの産生を特徴とする疾患である。ある態様において、「炎症性疾患」は自己免疫疾患である。炎症性疾患としては、関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬、気管支喘息、間質性肺炎、COPDを含む炎症性肺疾患、成人スチル病を含む炎症性関節疾患、肺炎を含む感染症、膠原病、血球貪食症候群、全身性炎症反応症候群(SIRS:Systemic Inflammatory Response Syndrome)が挙げられるが、これらに限定されない。インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリブマブ、ゴリムマブなどのTNF-α阻害薬、トシリズマブなどのIL-6阻害薬が関節リウマチ、炎症性腸疾患、乾癬の治療に用いられていることから、本発明は特にこれら疾患に好適である。
本発明における「処置」には、疾患の予防、治療、症状の軽減、症状の減退、進行停止等、あらゆる管理が含まれる。
2.スクリーニング方法
本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法に関する。IL-38はヒト末梢血リンパ球からのTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10の産生を誘導することから、IL-38阻害薬はこれらサイトカインの産生を抑制することができる。すなわち、本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの産生を抑制する薬剤のスクリーニング方法にも関する。
本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法に関する。IL-38はヒト末梢血リンパ球からのTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10の産生を誘導することから、IL-38阻害薬はこれらサイトカインの産生を抑制することができる。すなわち、本発明は、IL-38阻害薬を選択することを含む、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの産生を抑制する薬剤のスクリーニング方法にも関する。
ある態様において、本発明のスクリーニング方法は、以下の工程を含む(方法A):
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞における前記サイトカインの発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、前記サイトカインの発現を低下させる候補物質を選択する。
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞における前記サイトカインの発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、前記サイトカインの発現を低下させる候補物質を選択する。
別の態様において、本発明のスクリーニング方法は、以下の工程を含む(方法B):
(1)IL-38を発現可能な細胞と候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるIL-38の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、IL-38の発現を低下させる候補物質を選択する。
(1)IL-38を発現可能な細胞と候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるIL-38の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、IL-38の発現を低下させる候補物質を選択する。
候補物質は、例えば、抗体、ペプチド、タンパク質、低分子化合物、核酸分子(アンチセンス核酸、リボザイム、siRNAなど)であるが、これらに限定されない。候補物質は、細胞抽出物、微生物培養上清、菌体成分、発酵産物などの形態で提供されてもよく、遺伝子ライブラリーの発現産物、低分子化合物のライブラリーの形態で提供されてもよい。
前記方法AおよびBに用いる細胞は、IL-38受容体とTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインをコードする核酸を生来的に有する細胞、およびIL-38をコードする核酸を生来的に有する細胞であっても、これらをコードする核酸を遺伝子工学的方法により導入した細胞であってもよい。「IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞」としては、NK0細胞、Jurkat細胞などが挙げられる。また、方法Aにおいては、末梢血リンパ球を使用してもよい。「IL-38を発現可能な細胞」としては、THP-1細胞、A549細胞などが挙げられる。これら核酸を導入する宿主細胞としては、例えばHepG2細胞、HEK293細胞、HeLa細胞、COS-7細胞などが挙げられる。核酸の導入のためのベクターの構築、形質転換等は、公知の方法により行うことができる(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
細胞と候補物質との接触は、候補物質をマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル等の非ヒト動物に投与することによって行っても良い。
サイトカインの発現量の測定は、測定対象のサイトカインのタンパク質量をELISA法、ELISPOT法、ウェスタンブロット法など公知の方法で測定することにより行うことができる。あるいは、測定対象のサイトカインのmRNA量を、RT-PCR法、ノーザンブロット法などにより測定してもよい。
前記方法においては、サイトカインの発現を、候補物質を接触させていない細胞と比較して、例えば、約10%以上、好ましくは約20%以上、より好ましくは約30%以上、さらに好ましくは約50%以上低下させる候補物質を選択すればよい。
本発明のスクリーニング方法は、レポーターアッセイによっても実施することができる。すなわち、ある態様において、本発明のスクリーニング方法は、以下の工程を含む(方法C):
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
別の態様において、本発明のスクリーニング方法は、以下の工程を含む(方法D):
(1)IL-38遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
(1)IL-38遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。
「転写調節領域」は、例えばプロモーターまたはエンハンサーであり、好ましくはプロモーターである。「レポータータンパク質」としては、ルシフェラーゼ、βグルクロニダーゼ(GUS)、クロラムフェニコールトランスアセチラーゼ(CAT)、βガラクトシダーゼ(GAS)、緑色蛍光タンパク質(GFP)が挙げられる。前記方法に用いる細胞は、転写調節領域およびレポータータンパク質をコードする核酸を含むベクターで細胞を形質転換することで得ることができる。ベクターの構築、形質転換等は、公知の方法により行うことができる(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd edition (1989), Cold Spring Harbor Laboratory Press)。レポータータンパク質の発現量は、各レポータータンパク質に応じて公知の方法により測定すればよい。
前記方法においては、いずれかのレポータータンパク質の発現を、候補物質を接触させていない細胞と比較して、例えば、約10%以上、好ましくは約20%以上、より好ましくは約30%以上、さらに好ましくは約50%以上低下させる候補物質を選択すればよい。
2.医薬組成物
本発明は、IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物に関する。また、本発明は、IL-38阻害薬を含む、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの産生を抑制するための医薬組成物にも関する。
本発明は、IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物に関する。また、本発明は、IL-38阻害薬を含む、TNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの産生を抑制するための医薬組成物にも関する。
ある態様において、本発明の医薬組成物に含まれる「IL-38阻害薬」は、抗IL-38抗体または抗IL-38受容体抗体である。「抗体」は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよく、これらは常套的方法により作製することができる(WO2010/039832, WO2010/064697)。例えば、ポリクローナル抗体は、抗原をマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等の動物に免疫し、公知の抗体回収法によって免疫動物の血清から回収することで得ることができる。モノクロ−ナル抗体は、上記の免疫動物から回収した抗体産生細胞をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマを作製し、目的とする抗原特異性を有するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマをHAT培地で選択することで得ることができる。また、「モノクローナル抗体」は、前記ハイブリドーマからクローニングした抗体遺伝子を適当なベクターに組み込み、このベクターを宿主細胞に導入し発現させることで、得ることもできる。
「抗体」は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体であってもよい。「キメラ抗体」とは、ヒト以外の抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域を含む抗体である。「ヒト化抗体」とは、ヒト以外の抗体の相補性決定領域(CDR)とヒト抗体のフレームワーク領域および定常領域を含む抗体である。「ヒト抗体」とは、完全なヒト由来の配列を有する抗体である。これら抗体は、公知の方法により作製することができる(EP125023, WO96/02576, WO98/13388, EP239400, Carl, A. K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990, WO 92/01047, WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172, WO 95/01438, WO 95/15388, 特公平1-59878号公報, 特公平1-59878号公報, WO2010/039832, WO2010/064697)。
本明細書における「抗体」には、抗体断片が包まれる。「抗体断片」としては、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖Fv(scFv)、ダイアボディなどが挙げられる。抗体断片の作製方法は当業界にて周知である(WO2010/039832、WO2010/064697)。例えば、F(ab')2断片はタンパク質分解酵素であるパパインを、Fab断片は同じくペプシンを処置することにより作製できる。また、これら抗体断片をコードするDNAを有する発現ベクターを適当な宿主細胞に導入し発現させることで、作製することもできる(Co, M.S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976、Better, M. & Horwitz, A. H. Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496; Plueckthun, A. & Skerra, A. Methodsin Enzymology (1989) 178, 476-496; Lamoyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 652-663; Rousseaux, J. et al., Methods in Enzymology (1989) 121, 663-669; Bird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9, 132-137)。
本発明における「抗体」には、IgGのような二価抗体だけでなく、一価抗体、IgMのような多価抗体、異なる抗原または同一抗原の異なるエピトープに結合する二重特異性抗体も含まれる。
ある態様において、本発明の医薬組成物に含まれる「IL-38阻害薬」は、可溶性IL-38受容体である。可溶性IL-38受容体は、IL-38受容体の細胞外ドメインを含み、IL-38に結合し、IL-38受容体へのIL-38の結合を阻害する。可溶性IL-38受容体は、常套的な方法により作製することができる(Jones et al, (2002) Biochim. Biophys. Acta 1592: 251-263; Prudhomme et al, (2001) Expert Opinion Biol. Ther. 1: 359-373; Fernandez-Botran (1999) Crit. Rev. Clin. Lab Sci. 36: 165-224)。
ある態様において、本発明の医薬組成物に含まれる「IL-38阻害薬」は、IL-38改変体である。本明細書における「IL-38改変体」とは、IL-38受容体に対して結合するが、IL-38の生物学的機能を発揮しない物質である。IL-38改変体は、IL-38と競合してIL-38受容体に結合し、IL-38によるシグナル伝達を阻害する。IL-38改変体は、例えばIL-38のアミノ酸配列に変異を導入することにより作製することができる。
ある態様において、本発明の医薬組成物に含まれる「IL-38阻害薬」は、アンチセンス核酸(DNAまたはRNA)、リボザイム、またはsiRNAである。これらは、IL-38またはIL-38受容体の塩基配列に基づき、公知の方法により作製することができる。例えば、siRNAの配列は、一定の規則に従い設計することができ(Genes Dev. 15, p188-200 (2001); FEBS Lett. 579 (13), p2878-82 (2005)、また、siRNA Target Finder(http://www.ambion.com/jp/techlib/misc/siRNA_finder.html)などの公知のソフトウェアによっても決定することができる。
本発明の医薬組成物は、IL-38阻害薬に加えて、必要に応じ、医薬上許容される担体および/または添加物を含んでもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、界面活性剤、賦形剤、酸化防止剤、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤、キレート剤、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含むことができる。
本発明の医薬組成物の投与方法および投与量は、患者の年齢、症状等により適宜選択される。本発明の医薬組成物は、経口または非経口のいずれでも投与可能である。IL-38阻害薬が抗体の場合、好適には注射または経皮投与により投与される。注射の場合、例えば、静脈内注射、筋肉内注射または皮下注射等により全身又は局所的に投与することができる。投与量は、IL-38阻害薬の種類により適宜選択されるが、例えばIL-38阻害薬が抗体の場合、ヒト患者の体重1kgあたり0.0001〜1000 mg/kg、好ましくは0.001〜100 mg/kg、より好ましくは0.01〜50mg/kgの投与量で投与することができる。
本発明を以下の実施例によりさらに説明するが、本発明は如何なる意味においても本実施例に限定されない。
1.組換ヒトIL-38の作製
(1)発現ベクターの構築:IL-38の配列情報をもとに、E.coli型へコドン変換し、遺伝子を合成した。合成した遺伝子を、Nco I/Xho Iで制限酵素処理し、アガロースゲル電気泳動により目的の長さの断片が得られたことを確認した。前記酵素処理産物を、Nco I/Xho Iで処理したpPSC8と混合し、ライゲーション反応を行った。ライゲーション産物でE.coliDH5aを形質転換し、形質転換体を得た。形質転換体から目的配列を有するクローンを選択した(pET28a(+)/proIL38)。
(2)形質転換体の作製(BL21DE3菌株):(1)で抽出したプラスミドDNAをBL21DE菌株に形質転換し、発現ベクターを含む発現体を作製した。
(3)培養:(2)で作製した発現体をLB培地中で一昼夜培養した。得られた菌液をLB培地100 ml中に1 ml添加し、37℃にてOD=0.4〜0.6まで培養した。
(4)発現物の確認:培養した菌体の一部を回収し、ソニケーションにより菌体を破砕した後、遠心分離により上清及び沈殿に分離した。得られたサンプルを用いてSDS-PAGEを行った。セミドライブロッティング法によりブロッティング膜にタンパク質を転写し、検出し、目的の組換ヒトIL-38の発現を確認した。
(1)発現ベクターの構築:IL-38の配列情報をもとに、E.coli型へコドン変換し、遺伝子を合成した。合成した遺伝子を、Nco I/Xho Iで制限酵素処理し、アガロースゲル電気泳動により目的の長さの断片が得られたことを確認した。前記酵素処理産物を、Nco I/Xho Iで処理したpPSC8と混合し、ライゲーション反応を行った。ライゲーション産物でE.coliDH5aを形質転換し、形質転換体を得た。形質転換体から目的配列を有するクローンを選択した(pET28a(+)/proIL38)。
(2)形質転換体の作製(BL21DE3菌株):(1)で抽出したプラスミドDNAをBL21DE菌株に形質転換し、発現ベクターを含む発現体を作製した。
(3)培養:(2)で作製した発現体をLB培地中で一昼夜培養した。得られた菌液をLB培地100 ml中に1 ml添加し、37℃にてOD=0.4〜0.6まで培養した。
(4)発現物の確認:培養した菌体の一部を回収し、ソニケーションにより菌体を破砕した後、遠心分離により上清及び沈殿に分離した。得られたサンプルを用いてSDS-PAGEを行った。セミドライブロッティング法によりブロッティング膜にタンパク質を転写し、検出し、目的の組換ヒトIL-38の発現を確認した。
2.IL-38によるサイトカイン産生の誘導
ヒト健常人末梢血からLymphoprep(登録商標)(Axis-Shield Poc AS, Oslo, Norway)を用いて末梢血リンパ球を分離した。得られた末梢血リンパ球を10%FCS RPMI1640(Gibco, USA)に浮遊させ(1 x106 細胞/mL)、組換ヒトIL-38 (1 μg/mL)、ヒトIL-2 (100 U/mL, Roche, USA)、ヒトIL-12 (1 ng/mL, R&D Systems, USA)を添加して37℃で培養した。18時間後、培養上清を回収し、ELISA kit (R&D Systems, USA)で培養上清中のサイトカイン濃度を測定した。結果を表1に示す
ヒト健常人末梢血からLymphoprep(登録商標)(Axis-Shield Poc AS, Oslo, Norway)を用いて末梢血リンパ球を分離した。得られた末梢血リンパ球を10%FCS RPMI1640(Gibco, USA)に浮遊させ(1 x106 細胞/mL)、組換ヒトIL-38 (1 μg/mL)、ヒトIL-2 (100 U/mL, Roche, USA)、ヒトIL-12 (1 ng/mL, R&D Systems, USA)を添加して37℃で培養した。18時間後、培養上清を回収し、ELISA kit (R&D Systems, USA)で培養上清中のサイトカイン濃度を測定した。結果を表1に示す
IL-38により、ヒト末梢血リンパ球からのTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10の産生が顕著に誘導された。一方、IL-17、IL-5、およびIL-4の産生は誘導されなかった。興味深いことに、関節リウマチに関与していると考えられているIL-2、IL-12、およびIL-18によっては、TNF-α、IL-6、IL-8およびIL-1βの産生が誘導されなかった。また、IL-1ファミリーのサイトカインであるIL-1β、IL-18、IL-33には前駆体が存在し、その活性化にcaspase-1等のプロテアーゼが必要であるが、IL-38は全長型で炎症性サイトカインを強く誘導し、活性化にプロテアーゼは不要であった。IL-38がTNF-α、IL-6、IL-1β、IL-8、IFN-γ、IL-10の産生を誘導することから、IL-38阻害薬はこれら炎症性サイトカインの産生を抑制することが示唆される。
3.ウサギ抗ヒトIL-38血清の作製
(1)ウサギへの免疫:上記1の組換ヒトIL-38を免疫原とし、FCA (フロインドコンプリートアジュバンド)と混和して乳化させ、ウサギ(日本白色種)1羽に対して300μg相当のリコンビナント抗原が導入できるよう、背部(約20箇所)に免疫した(合計5回、2週間に1回免疫)。免疫から約7週間後、試血した(抗血清量:約2 mL)。尚、初回免疫時より9週間後、全採血を行った。
(2)抗体活性測定(全採血): Immunoplateに対して、組換ヒトIL-38(2.5μg/mL、100μL)をコーティングし、4℃にて一晩静置した。次いで、抗原液を廃棄し、ブロッキング剤(0.2%Tween20-PBS, 200μl)にてブロッキングを行った(反応時間:37℃、30分)。その後、ブロッキング剤を廃棄し、ブロッキング剤にて希釈(1,000〜64,000倍)した抗血清(全採血、各150μL)を添加し反応させた(反応時間:37℃、60分)。反応後、PBS-Tweenにて洗浄し、抗ウサギIgG-HRPコンジュゲート抗体(0.02μg/mL、各100μL)を添加し反応させた(反応時間:37℃、60分)。反応後、PBS-Tweenにて洗浄し、OPDA(100μL)を添加し、暗所にて37℃で60分間反応させた後、1M H3PO4(100μL)を添加し、反応を停止させ、プレートリーダーにて405 nmの吸収波長を測定した。その結果、十分な力価が確認できた。
(1)ウサギへの免疫:上記1の組換ヒトIL-38を免疫原とし、FCA (フロインドコンプリートアジュバンド)と混和して乳化させ、ウサギ(日本白色種)1羽に対して300μg相当のリコンビナント抗原が導入できるよう、背部(約20箇所)に免疫した(合計5回、2週間に1回免疫)。免疫から約7週間後、試血した(抗血清量:約2 mL)。尚、初回免疫時より9週間後、全採血を行った。
(2)抗体活性測定(全採血): Immunoplateに対して、組換ヒトIL-38(2.5μg/mL、100μL)をコーティングし、4℃にて一晩静置した。次いで、抗原液を廃棄し、ブロッキング剤(0.2%Tween20-PBS, 200μl)にてブロッキングを行った(反応時間:37℃、30分)。その後、ブロッキング剤を廃棄し、ブロッキング剤にて希釈(1,000〜64,000倍)した抗血清(全採血、各150μL)を添加し反応させた(反応時間:37℃、60分)。反応後、PBS-Tweenにて洗浄し、抗ウサギIgG-HRPコンジュゲート抗体(0.02μg/mL、各100μL)を添加し反応させた(反応時間:37℃、60分)。反応後、PBS-Tweenにて洗浄し、OPDA(100μL)を添加し、暗所にて37℃で60分間反応させた後、1M H3PO4(100μL)を添加し、反応を停止させ、プレートリーダーにて405 nmの吸収波長を測定した。その結果、十分な力価が確認できた。
4.抗ヒトIL-38血清によるTNF-α産生の抑制
上記2と同様にして得たヒト健常人末梢血リンパ球を10%FCS RPMI-1640に浮遊させ(1x 106 細胞/mL)、表2に示すように刺激した。37℃で18時間培養後、培養上清中のTNF-αをELISA kit(R&D Systems)で測定した。結果を表3および図2に示す。
上記2と同様にして得たヒト健常人末梢血リンパ球を10%FCS RPMI-1640に浮遊させ(1x 106 細胞/mL)、表2に示すように刺激した。37℃で18時間培養後、培養上清中のTNF-αをELISA kit(R&D Systems)で測定した。結果を表3および図2に示す。
正常ウサギ血清は、組換ヒトIL-38によるTNF-α産生を抑制しなかった。一方、ウサギ抗ヒトIL-38血清は用量依存性にIL-38によるTNF-α産生を抑制する傾向が見られた。
5.抗ヒトIL-38血清によるIL-8産生の抑制
上記2と同様にして得たヒト健常人末梢血リンパ球を10%FCS RPMI-1640に浮遊させ(1x 106 細胞/mL)、表4に示すように刺激した。37℃で18時間培養後、培養上清中のIL-8をELISA kit(R&D Systems)で測定した。結果を図2に示す。
上記2と同様にして得たヒト健常人末梢血リンパ球を10%FCS RPMI-1640に浮遊させ(1x 106 細胞/mL)、表4に示すように刺激した。37℃で18時間培養後、培養上清中のIL-8をELISA kit(R&D Systems)で測定した。結果を図2に示す。
正常ウサギ血清は、組換ヒトIL-38によるIL-8産生を抑制しなかった。一方、ウサギ抗ヒトIL-38血清は、最終濃度50X希釈を添加した時にIL-38によるIL-8産生を抑制する傾向が見られた。
Claims (10)
- IL-38阻害薬を選択することを含む、炎症性疾患を処置するための薬剤のスクリーニング方法。
- 以下の工程を含む、請求項1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインを発現可能な細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞における前記サイトカインの発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、前記サイトカインの発現を低下させる候補物質を選択する。 - 以下の工程を含む、請求項1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38を発現可能な細胞と候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるIL-38の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、IL-38の発現を低下させる候補物質を選択する。 - 以下の工程を含む、請求項1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38の存在下、IL-38受容体を発現し、かつTNF-α、IL-6、IL-1β、IFN-γ、IL-8、およびIL-10から選択されるサイトカインの遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。 - 以下の工程を含む、請求項1記載のスクリーニング方法:
(1)IL-38遺伝子の転写調節領域の制御下にあるレポータータンパク質をコードする核酸を含む細胞と、候補物質とを接触させる、
(2)前記細胞におけるレポータータンパク質の発現量を測定する、および
(3)候補物質を接触させていない細胞と比較して、レポータータンパク質の発現を低下させる候補物質を選択する。 - 炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、請求項1〜5のいずれかに記載のスクリーニング方法。
- IL-38阻害薬を含む、炎症性疾患を処置するための医薬組成物。
- 炎症性疾患が関節リウマチ、炎症性腸疾患、または乾癬である、請求項7記載の医薬組成物。
- IL-38阻害薬が抗体である、請求項7または8のいずれかに記載の医薬組成物。
- 抗体が抗IL-38抗体である、請求項9記載の医薬組成物。
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