JP2015221451A - 溶接構造物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接線方向及びこれと直交する溶接幅方向に溶接部の疲労強度を向上することができる溶接構造物の製造方法を提供すること。【解決手段】溶接構造物の製造方法は、予め設定された溶接線方向D1に沿って第1部材2に対して第2部材3を溶接する溶接工程と、平坦な先端面5aを有する振動部材5を先端面5aと直交する振動方向D3に振動させた状態で、振動部材5の先端面5aを第1部材2の表面に対して振動方向D3と平行する方向に衝突させる打撃工程とを含む。打撃工程では、溶接線方向D1と直交する溶接幅方向D2で第1部材2における溶接止端部4aの外側に設定された往復範囲E内で振動部材5を溶接幅方向D2に往復運動させながら、振動部材5を溶接線方向D1に移動させる。【選択図】図1

Description

本発明は、第1部材と、予め設定された溶接線方向に沿って第1部材に溶接された第2部材とを有する溶接構造物の製造方法に関するものである。
従来から、溶接構造物における第1部材と第2部材との溶接部においては、溶接止端部における応力集中及び溶接による引張残留応力の存在等によって溶接部の疲労強度が低下することが知られている。
溶接構造物の疲労強度を向上するための方法として、例えば、特許文献1に記載の方法が知られている。
特許文献1に記載の方法では、リブが当該リブを取り囲む周方向(溶接線方向)に沿って溶接された母材に対してハンマーピーニングによる打撃を与える。
具体的に、平坦な先端部を有するチッパーを振動させるとともに、このチッパーの先端部を母材表面に対し垂直方向に衝突させる。この状態で、チッパーを溶接止端部の近傍位置から溶接線方向と直交する溶接幅方向の外側に漸次移動させる。
このようにチッパーの平坦面を母材表面に垂直に衝突させることによりチッパーによる打撃力を母材に対し垂直方向に伝えるとともに、この状態でチッパーを溶接幅方向の外側に移動させることにより当該移動範囲内において前記打撃力を母材に与える。
これにより、母材における溶接幅方向の所定範囲内に圧縮残留応力が導入され、母材の疲労強度を向上することができる。
特開2011−131260号公報
しかしながら、特許文献1は、母材に対し、溶接幅方向の所定範囲内に圧縮残留応力を導入するための方法を開示するものの、溶接線方向に沿って母材の疲労強度を向上するための方法を開示していない。
本発明の目的は、溶接線方向及びこれと直交する溶接幅方向に溶接部の疲労強度を向上することができる溶接構造物の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、第1部材と前記第1部材に溶接された第2部材とを有する溶接構造物の製造方法であって、予め設定された溶接線方向に沿って第1部材に対して第2部材を溶接する溶接工程と、平坦な先端面を有する振動部材を前記先端面と直交する振動方向に振動させた状態で、前記振動部材の先端面を前記第1部材の表面に対して前記振動方向と平行する方向に衝突させる打撃工程とを含み、前記打撃工程では、前記溶接線方向と直交する溶接幅方向で前記第1部材における溶接止端部の外側に設定された往復範囲内で前記振動部材を前記溶接幅方向に往復運動させながら、前記振動部材を前記溶接線方向に移動させる、溶接構造物の製造方法を提供する。
本発明によれば、振動部材を溶接幅方向に往復運動させながら溶接線方向に移動させることにより、振動部材の振動による打撃力を第1部材における溶接線方向及び溶接幅方向の所定の範囲に亘って与えることができる。
したがって、溶接線方向及び溶接幅方向に第1部材における溶接部の疲労強度を向上することができる。
ここで、第2部材が第1部材に溶接されることにより、第1部材の溶接止端部に対する境界部分には、特に高い引張残留応力が存在する。
そこで、前記溶接構造物の製造方法において、前記往復範囲は、前記第1部材の前記溶接止端部に対する境界部分に位置する内側折り返し線と前記溶接幅方向における前記内側折り返し線の外側に位置する外側折り返し線との間に設定されていることが好ましい。
この態様によれば、上述のように高い引張残留応力が存在する第1部材の溶接止端部に対する境界部分に対して圧縮残留応力を与えることができるため、より効果的に第1部材の疲労強度を向上することができる。
ここで、溶接時に第1部材に生じる引張残留応力は、溶接止端部から溶接幅方向の外側に離れるに従い小さくなる。
そこで、前記溶接構造物の製造方法において、前記第2部材の溶接により前記第1部材に生じる前記溶接幅方向の引張残留応力の分布に関する応力情報を準備する準備工程をさらに含み、前記往復範囲の外側折り返し線は、前記応力情報において前記第1部材における引張残留応力が予め設定された基準応力となる位置又はこれよりも前記溶接幅方向の外側に設定されていることが好ましい。
この態様によれば、第1部材において引張残留応力が予め設定された基準応力以上となる範囲に対して振動部材により圧縮残留応力を与えることができるため、溶接により第1部材に生じる引張残留応力を基準応力以下に抑えることができる。
なお、前記基準応力を、例えば、第2部材の溶接前における第1部材の引張残留応力の値に設定すれば、溶接により引張残留応力が生じた第1部材の全範囲に対して疲労強度向上を図ることができる。
前記溶接構造物の製造方法において、前記振動部材の往復運動の周期をfとし、前記振動部材の前記溶接線方向の移動速度をvとし、前記振動部材の先端面の前記溶接線方向と平行する方向の最大長さをAとした場合に、前記打撃工程では、v/f<Aを満たすように前記振動部材を往復運動させることが好ましい。
この態様によれば、振動部材が溶接幅方向に1往復する間における振動部材の往路の軌跡と復路の軌跡とが溶接線方向に互いに重なるため、振動部材による打撃を第1部材の表面に対して溶接線方向に万遍なく与えることができる。
ここで、振動部材の1回の衝突により圧縮残留応力が生じる第1部材上の範囲は、振動部材の先端面の外周縁から外側に所定の幅を有するとともに振動部材の先端面を全周に亘り取り囲む範囲(以下、この範囲を有効範囲という)である。
そこで、前記溶接構造物の製造方法において、前記振動部材の先端面の前記溶接幅方向と平行する方向の最大幅は、前記溶接幅方向と平行する方向における前記往復範囲の幅の1/2以下であることが好ましい。
この態様によれば、振動部材の往路の移動時及び復路の移動時においてそれぞれ有効範囲が連続して形成されるため、第1部材に対して圧縮残留応力を溶接幅方向に連続して導入することができる。
前記溶接構造物の製造方法において、前記振動部材の先端面は、直径が1.5mm以上4mm以下である円形の平面形状を有することが好ましい。
この態様によれば、第1部材に対してより効果的に圧縮残留応力を与えることができ、これにより第1部材の疲労強度を確実に向上することができる。
具体的に、振動部材の先端面の直径が1.5mm未満である場合には、振動部材の摩耗の進行が速く、安定して打撃工程を行うことができない。
一方、振動部材の先端面の直径が4mmを超えると、振動部材から第1部材に対する力が分散してしまい、第1部材に対して圧縮残留応力を十分に導入することができない。
本発明によれば、溶接線方向及びこれと直交する溶接幅方向に溶接部の疲労強度を向上することができる。
本発明に係る溶接構造物の製造方法を説明するための側面図であり、溶接構造物の断面を示す。 溶接構造物における溶接幅方向の残留応力の分布を示すグラフである。 振動部材の衝突により第1部材上に圧縮残留応力が生じる有効範囲を示す平面図である。 往復範囲において有効範囲が連続しない場合の例を示す平面図である。 振動部材の条件を変えて溶接構造物に対して行われた疲労試験の結果を示すグラフである。 往復範囲の条件を変えて溶接構造物に対して行われた疲労試験の結果を示すグラフである。
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1を参照して、本発明の実施形態に係る溶接構造物1は、第1部材2と、第1部材2に溶接された第2部材3とを備えている。なお、符号4は、第1部材2と第2部材3との間に位置する溶接金属であり、符号4aは、溶接止端部である。
第1部材2及び第2部材3は、図1の紙面と直交する溶接線方向D1に沿って互いに溶接されている。なお、溶接線方向D1と直交する方向(図1の左右方向)を溶接幅方向D2として以下説明する。
第1部材2の溶接部には、超音波ピーニング装置の振動部材5によって圧縮残留応力が導入され、これにより、当該第1部材2の溶接部の疲労強度が向上している。
つまり、第1部材2と第2部材3とが溶接された後、振動部材5による圧縮残留応力が導入される前の段階において、第1部材2には溶接時の熱の影響により図2に示すような引張残留応力の分布が存在し、当該第1部材2の疲労強度が低下している。
具体的に、第1部材2における引張残留応力は、図1及び図2に示すように、溶接止端部4aにおける境界部分において最も高く、溶接止端部4aから溶接幅方向D2の外側に離れるに従い小さくなり、位置P1において0となる。一方、第1部材2における位置P1の溶接幅方向D2の外側の範囲には圧縮残留応力が存在する。この圧縮残留応力は、位置P1を始点として溶接止端部4aから離れるに従い大きくなってピークとなり、ピークを始点として溶接止端部4aから離れるに従い小さくなって0となる。
そして、第1部材2において引張残留応力が存在する範囲には、超音波ピーニング装置の振動部材5により圧縮残留応力が導入されている。具体的に、第1部材の溶接止端部4aに対する境界部分に位置する内側折り返し線E1と、溶接幅方向D2における内側折り返し線E1の外側に位置する外側折り返し線E2との間の範囲E(以下、往復範囲Eともいう。)内に圧縮残留応力が導入されている。つまり、外側折り返し線E2は、図2において引張残留応力が予め設定された基準応力(本実施形態では0)となる位置に設定されている。
超音波ピーニング装置は、溶接線方向D1及び溶接幅方向D2と直交する振動方向D3に沿って振動部材5を振動可能な振動発生器(図示せず)を備えている。振動部材5は、振動方向D3と直交する平坦な先端面5aを有する。振動方向D3に振動する振動部材5の先端面5aを振動方向D3と平行する方向に第1部材2の表面に衝突させることにより、当該第1部材2に対して圧縮残留応力を導入することができる。
振動部材5の先端面5aは円形である。図3に示すように、振動部材5の先端面5aの1回の衝突により圧縮残留応力が生じる第1部材2上の範囲は、振動部材5の先端面5aの外周縁(図3の直径Aの縁)から外側に所定の幅を有するとともに先端面5aを全周に亘って取り囲む範囲R1(以下、有効範囲R1という。)である。
そこで、溶接幅方向D2と平行する方向における先端面5aの最大幅、つまり、直径Aは、溶接幅方向D2と平行する方向における往復範囲Eの幅の1/2以下に設定されている。これにより、振動部材5を内側折り返し線E1から外側折り返し線E2まで、又はその逆に移動する際に、有効範囲R1が連続して形成され、第1部材2に対して圧縮残留応力を溶接幅方向に連続して導入することができる。
一方、図4に示すように、先端面5aの直径寸法を往復範囲の1/2よりも大きく設定した場合、第1部材2の非重複範囲R2において圧縮残留応力を導入することができない。
以下、前記溶接構造物1の製造方法について説明する。
まず、予め設定された溶接条件で第2部材を溶接した場合に第1部材2に生じる溶接幅方向の引張残留応力の分布に関する情報、例えば、図2に示す応力分布に関する情報を準備する(準備工程)。この情報は、例えば、第2部材3の溶接後であってピーニングを行う前の第1部材2の応力を計測すること、又は前記溶接条件によるシミュレーション結果等によって得ることができる。
また、溶接線方向D1に沿って第1部材2に対して第2部材3を溶接する(溶接工程)。なお、準備工程及び溶接工程の順序は特に限定されない。
準備工程及び溶接工程の後、振動部材5を振動方向D3に沿って振動させた状態で、振動部材5の先端面5aを第1部材2の表面に対して振動方向D3と平行する方向に衝突させる(打撃工程)。
この打撃工程では、振動部材5の先端面5aが第1部材2の表面と略平行となるように振動部材5と第1部材2とを位置決めした状態で、振動部材5を第1部材2に衝突させる。
また、打撃工程では、溶接幅方向D2で第1部材2における溶接止端部4aの外側に設定された往復範囲E内で振動部材を溶接幅方向D2に往復運動させながら、振動部材5を溶接線方向D1に移動させる。
具体的に、打撃工程では、v/f<Aを満たすように前記振動部材を往復運動させる。ここで、fは振動部材5の往復運動の周期であり、vは振動部材5の溶接線方向D1の移動速度であり、Aは振動部材5の先端面5aの溶接線方向D1と平行する方向の最大長さ(直径)である。
これにより、振動部材5が溶接幅方向に1往復する間における振動部材5の往路の軌跡と復路の軌跡とが溶接線方向D1に互いに重なるため、振動部材5による打撃を第1部材2の表面に対して溶接線方向D1に万遍なく与えることができる。
以下、上述した製造方法により製造された溶接構造物に対して行われた疲労試験(200万回繰り返し強度試験)の結果について説明する。
疲労試験の条件は次の通りである。ただし、この試験条件は一例であり、これに限定されない。
第1部材2及び第2部材3として鋼材(SM490A)が用いられている。溶接方法としてMAG(metal active gas welding)溶接が採用されている。第1部材2及び第2部材3に用いられる鋼材に合わせて50kg級の溶接材料が用いられている。
このような条件で第2部材3が溶接された第1部材2において、溶接止端部4aを始点として溶接幅方向に10mmの範囲内に引張残留応力が存在していることが確認されている。そのため、この範囲が前記往復範囲Eに設定されている。
図5に示す試験結果には、ピーニングなし(打撃工程なし)の比較例、及び、振動部材の先端面が球面である比較例が含まれている。
振動部材の先端面が球面である場合、振動部材5の先端面5aが平坦面である実施例と比較して応力振幅(疲労強度)が低い。これは、球面を第1部材2の表面に衝突させると、第1部材2の表面に凹凸が形成され、第1部材2において疲労強度向上の効果にばらつきが生じるためである。これに対し、振動部材5の先端面5aが平坦面である場合には、上記のような凹凸が形成されるのを抑制することができ、第1部材2に対して万遍なく疲労強度を向上することができる。
具体的に、振動部材の先端面が球面である場合、ピーニングなしの比較例に対して約36%疲労強度が向上しているのに対し、平坦な先端面5aの直径が1.5mm以上4mm以下の場合、ピーニングなしの比較例に対し倍以上(約218%)の疲労強度が得られている。
一方、平坦な先端面5aの直径が5mmの場合、直径が4mmの場合と比較して疲労強度が低い。これは、振動部材5の先端面5aの直径が4mmを超えると、振動部材5から第1部材2に対する力が分散してしまい、第1部材2に対して圧縮残留応力を十分に導入することができないためであると考えられる。
また、平坦な先端面5aの直径が1.5mm未満の場合には、振動部材5の摩耗の進行が速く、安定して打撃工程を行うことができないことが確認されている。
次に、図6を参照して、上述した製造方法により製造された溶接構造物1に対して行われた疲労試験(200万回疲労強度試験)の結果を説明する。なお、図6には、往復範囲Eの条件の異なる複数の実施例が示されている。また、図6には、振動部材5の先端面5aの直径が3mmに設定されている場合の試験結果が示されている。
なお、先端面5aの直径及び往復範囲E以外の試験条件は、図5に示す疲労試験における試験条件と同様である。引張残留応力が存在する範囲も溶接止端部4aを始点として溶接幅方向に10mmの範囲で同様である。
図6には、溶接止端部4a(内側折り返し線E1)から2mm、4mm、10mm、及び15mmの往復範囲Eをそれぞれ設定した場合における試験結果が示されている。
引張残留応力が存在する範囲の全てを含む10mm及び15mmの往復範囲Eが設定されている場合と比較して、2mm及び4mmの往復範囲Eが設定されている場合には応力振幅(疲労強度)が低いことが分かる。
また、引張残留応力が存在する範囲を超える15mmの往復範囲Eが設定されている場合と、引張残留応力が存在する範囲と同じ10mmの往復範囲Eが設定されている場合との間で、疲労強度の違いは認められない。
したがって、少なくとも引張残留応力が存在する範囲を往復範囲Eに設定することにより最大の疲労強度向上効果が得られることが分かる。
以上説明したように、振動部材5を溶接幅方向D2に往復運動させながら溶接線方向D1に移動させることにより、振動部材5の振動による打撃力を第1部材2における溶接線方向D1及び溶接幅方向D2の所定の範囲に亘って与えることができる。
したがって、溶接線方向D1及び溶接幅方向D2に第1部材2における溶接部の疲労強度を向上することができる。
また、前記実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
前記実施形態によれば、高い引張残留応力が存在する第1部材2の溶接止端部4aに対する境界部分に対して圧縮残留応力を与えることができるため、より効果的に第1部材2の疲労強度を向上することができる。
前記実施形態によれば、第1部材2において引張残留応力が予め設定された基準応力(0)以上となる範囲に対して振動部材5により圧縮残留応力を与えることができるため、溶接により第1部材2に生じる引張残留応力を基準応力以下に抑えることができる。
なお、前記基準応力を、例えば、第2部材3の溶接前における第1部材2の引張残留応力の値に設定すれば、溶接により引張残留応力が生じた第1部材2の全範囲に対して疲労強度向上を図ることができる。
また、往復範囲Eの外側折り返し線E2は、引張残留応力が基準応力となる位置(図2の位置P1)よりも溶接幅方向D2の外側に設定することもできる。このようにすれば、より確実に第1部材2における引張残留応力を基準応力以下に抑えることができる。
前記実施形態によれば、振動部材5が溶接幅方向D2に1往復する間における振動部材5の往路の軌跡と復路の軌跡とが溶接線方向D1に互いに重なるため、振動部材5による打撃を第1部材2の表面に対して溶接線方向D1に万遍なく与えることができる。
前記実施形態によれば、振動部材5の往路の移動時及び復路の移動時においてそれぞれ有効範囲R1が連続して形成されるため、第1部材2に対して圧縮残留応力を溶接幅方向D2に連続して導入することができる。
前記実施形態によれば、振動部材5の先端面5aの直径が1.5mm以上4mm以下である円形の平面形状を有するため、第1部材2に対してより効果的に圧縮残留応力を与えることができ、これにより第1部材2の疲労強度を確実に向上することができる。
具体的に、振動部材5の先端面5aの直径が1.5mm未満である場合には、振動部材5の摩耗の進行が速く、安定して打撃工程を行うことができない。
一方、振動部材5の先端面5aの直径が4mmを超えると、振動部材5から第1部材2に対する力が分散してしまい、第1部材2に対して圧縮残留応力を十分に導入することができない。
なお、振動部材5の先端面5aの形状は、円形に限定されない。例えば、振動部材5の先端面5aを多角形や楕円形にすることもできる。
D1 溶接線方向
D2 溶接幅方向
D3 振動方向
E 往復範囲
E1 内側折り返し線
E2 外側折り返し線
R1 有効範囲
1 溶接構造物
2 第1部材
3 第2部材
4a 溶接止端部
5 振動部材
5a 先端面

Claims (6)

  1. 第1部材と前記第1部材に溶接された第2部材とを有する溶接構造物の製造方法であって、
    予め設定された溶接線方向に沿って第1部材に対して第2部材を溶接する溶接工程と、
    平坦な先端面を有する振動部材を前記先端面と直交する振動方向に振動させた状態で、前記振動部材の先端面を前記第1部材の表面に対して前記振動方向と平行する方向に衝突させる打撃工程とを含み、
    前記打撃工程では、前記溶接線方向と直交する溶接幅方向で前記第1部材における溶接止端部の外側に設定された往復範囲内で前記振動部材を前記溶接幅方向に往復運動させながら、前記振動部材を前記溶接線方向に移動させる、溶接構造物の製造方法。
  2. 前記往復範囲は、前記第1部材の前記溶接止端部に対する境界部分に位置する内側折り返し線と前記溶接幅方向における前記内側折り返し線の外側に位置する外側折り返し線との間に設定されている、請求項1に記載の溶接構造物の製造方法。
  3. 前記第2部材の溶接により前記第1部材に生じる前記溶接幅方向の引張残留応力の分布に関する応力情報を準備する準備工程をさらに含み、
    前記往復範囲の外側折り返し線は、前記応力情報において前記第1部材における引張残留応力が予め設定された基準応力となる位置又はこれよりも前記溶接幅方向の外側に設定されている、請求項2に記載の溶接構造物の製造方法。
  4. 前記振動部材の往復運動の周期をfとし、前記振動部材の前記溶接線方向の移動速度をvとし、前記振動部材の先端面の前記溶接線方向と平行する方向の最大長さをAとした場合に、前記打撃工程では、v/f<Aを満たすように前記振動部材を往復運動させる、請求項1〜3の何れか1項に記載の溶接構造物の製造方法。
  5. 前記振動部材の先端面の前記溶接幅方向と平行する方向の最大幅は、前記溶接幅方向と平行する方向における前記往復範囲の幅の1/2以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の溶接構造物の製造方法。
  6. 前記振動部材の先端面は、直径が1.5mm以上4mm以下である円形の平面形状を有する、請求項1〜5の何れか1項に記載の溶接構造物の製造方法。
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