JP2015221441A - 活性炭の賦活再生炉、並びにそれを利用したガス浄化方法及び装置 - Google Patents

活性炭の賦活再生炉、並びにそれを利用したガス浄化方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ガス浄化装置への組み込みを容易にする、コンパクトな活性炭の賦活再生炉(賦活再生方法)を提供することを目的とし、さらにこの活性炭賦活再生炉を利用し、排ガス中の化学物質の除去率を長期にわたり高レベルに維持することができるガス浄化方法及び装置を提供することを目的とする。
【解決手段】吸着能力が低下した活性炭Kを供給するための活性炭供給部21と、供給した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭Kと水蒸気Vとを加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭Kを再生するための活性炭再生部22と、再生した活性炭を冷却するための冷却部26と、冷却した活性炭を排出するための活性炭排出部27とを備え、前記移動層内に、600〜900℃の範囲内で、重力方向へ温度が上昇するような最大差が200℃以上の温度勾配を形成するための加熱部25を備える活性炭の賦活再生炉を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は、活性炭の賦活再生炉、並びにそれを使用するガス浄化方法及び装置に関する。特に、排ガス中に含まれる有機溶剤の回収や、排ガス中の有害・悪臭物質の除去を目的とするガスの浄化方法及び浄化装置に関し、さらにガス浄化装置に用いる活性炭の吸着能力が低下した場合に、その吸着能力を回復させるための活性炭の賦活再生方法及び賦活再生炉に関する。
従来、工場などから排出されるガス中の有害・悪臭物質や有機溶剤等の溶剤成分を、固体吸着剤粒子を用いて吸着除去し、ガスを浄化するとともに溶剤成分を回収するためのガス浄化装置(ガス処理装置)が知られている。
(特許文献1)には、ガス処理装置の被処理ガス吸着部に固体吸着剤粒子を連続的に供給し、被処理ガス吸着部で溶剤成分を吸着させた吸着剤粒子を引き続き吸着剤再生部に送って吸着剤粒子を再生し、再生された吸着剤粒子を再び被処理ガス吸着部に供給することによって吸着剤粒子を連続的に循環使用するガス処理装置が開示されている。この吸着剤再生部には、非凝縮性ガスが供給され、それによって吸着剤粒子に吸着している溶剤成分を脱離させ、脱離した溶剤成分を同伴して凝縮分離器に導くことにより溶剤成分を分離、回収している。
従来の装置では、溶剤成分を脱離させることで吸着剤は再生され吸着能力を回復するが、装置を長期間にわたり連続使用すると、重質化した物質あるいは固体物質が吸着剤の内外に徐々に蓄積して完全には脱離しなくなり、その結果として吸着剤の吸着能力が低下し、排ガス中の化学物質の除去率が低下する問題があった。
吸着能力が低下した吸着剤は、装置から取り出し、外部で賦活再生した後、再びガス処理装置に戻すか、あるいは廃棄し、新しい吸着剤をガス処理装置に補充する必要がある。そのため、吸着能力の低下した吸着剤の能力を回復させるための賦活再生炉を、ガス処理装置の一部として組み込むことが望まれている。
吸着剤として活性炭を使用する場合、吸着能力の低下した活性炭の賦活再生は、活性炭を製造する際の賦活処理と同様の方法により行うことができる。活性炭の賦活再生方法には、大別して塩化亜鉛等の薬品を用いる薬品賦活法と、水蒸気、二酸化炭素等を用いるガス賦活法がある。一般的に薬品による賦活は、炭素材料と薬品の分離、分離後の薬品の処理等に問題があり、コストが高いという欠点がある。そのため、水蒸気等によるガス賦活法が多く採用されている。この水蒸気賦活を行うための装置としては、ロータリーキルン、流動賦活炉、多段流動炉等が用いられている。ところが、ロータリーキルンや流動賦活炉を用いる場合、装置内で炭素材料の混合が起こるため、連続的な処理ができず回分式の運転となり、上述のような従来の連続式ガス処理装置に組み込む装置としては適さない。また、流動賦活炉や多段流動炉では、賦活ガスとして、通常、コークス炉ガスやLPG、LNG等の、水素の含有量の高い燃料を燃焼させた高温の燃焼ガスを使用する。これらのガスは10〜50%の水分を含む非酸化性ガスであり、炭素材料の加熱にも利用されるため、炭素材料の量に対する賦活ガスの量が非常に多量となる。このような装置においては、炉内に装入可能な炭素材料の量が炉の容積に対して20%以下と非常に少なく、装置が大型化する欠点があり、賦活再生炉のガス処理装置への組み込みの障害となっていた。
特開昭52−14580号公報
上記従来の状況に鑑み、本発明は、ガス浄化装置への組み込みを容易にする、コンパクトな活性炭の賦活再生炉(賦活再生方法)を提供することを目的とし、さらにこの活性炭賦活再生炉を利用し、排ガス中の化学物質の除去率を長期にわたり高レベルに維持することができるガス浄化方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、活性炭が重力で流下する移動層を形成し、その移動層内を外部からの間接加熱や誘導加熱等により賦活温度まで加熱し、実質的に100%の水蒸気を流下する活性炭に対し向流的に接触させる方法によって活性炭賦活再生炉をコンパクト化できることを見出した。また、活性炭を吸着剤とし吸着・脱離工程を繰り返すガス浄化装置において、化学物質を脱離させた活性炭から一定量を抜き出し、上述の活性炭賦活再生炉により、水性ガス化反応を介して活性炭の吸着能力を回復させ、再び吸着工程に供給する構成によって上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明に係る活性炭の賦活再生方法及び賦活再生炉、並びにガス浄化方法及び装置は以下の通りである。
(1)吸着能力が低下した活性炭を供給する活性炭供給工程と、供給した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを、重力方向へ温度が上昇し且つ600〜900℃の高温度とした加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生工程と、再生した活性炭を冷却する冷却工程と、冷却した活性炭を排出する活性炭排出工程とを有し、向流的に接触させる水蒸気の流量W(kg/h)と活性炭の流量W(kg/h)との重量比(W/W)が、0.05〜1.0である活性炭の賦活再生方法。
(2)前記活性炭再生工程において、最高温度〜最高温度−50℃での活性炭の滞留時間が0.5〜4時間である、上記(1)に記載の活性炭の賦活再生方法。
(3)化学物質を含むガスを活性炭と接触させ、該化学物質を活性炭に吸着させる吸着工程と、化学物質が吸着した活性炭に非凝縮性ガスを接触させ、該化学物質を脱離させる脱離工程と、化学物質が脱離した活性炭を再び前記吸着工程に供給する活性炭循環工程と、化学物質が脱離した活性炭の一部を抜き出し、抜き出した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを、重力方向へ温度が上昇し且つ600〜900℃の高温度とした加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生工程と、再生した活性炭を冷却する冷却工程と、冷却した活性炭を排出し再び前記吸着工程に供給する活性炭排出工程とを有し、向流的に接触させる水蒸気の流量W(kg/h)と活性炭の流量W(kg/h)との重量比(W/W)が、0.05〜1.0であるガス浄化方法。
(4)吸着能力が低下した活性炭を供給するための活性炭供給部と、供給した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生するための活性炭再生部と、再生した活性炭を冷却するための冷却部と、冷却した活性炭を排出するための活性炭排出部とを備え、前記移動層内に、600〜900℃の範囲内で、重力方向へ温度が上昇するような最大差が200℃以上の温度勾配を形成するための加熱部を備える活性炭の賦活再生炉。
(5)化学物質を含むガスを活性炭と接触させ、該化学物質を活性炭に吸着させる吸着部と、化学物質が吸着した活性炭に非凝縮性ガスを接触させ、該化学物質を脱離させる脱離部と、化学物質が脱離した活性炭を再び前記吸着部に供給する活性炭循環部と、化学物質が脱離した活性炭の一部を抜き出し、抜き出した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生部と、再生した活性炭を冷却する冷却部と、冷却した活性炭を排出し再び前記吸着部に供給する活性炭排出部とを有し、前記移動層内に、600〜900℃の範囲内で、重力方向へ温度が上昇するような最大差が200℃以上の温度勾配を形成するための加熱部を備えるガス浄化装置。
本発明の活性炭の賦活再生方法及び賦活再生炉によれば、活性炭の重力移動層を形成することにより、活性炭の混合が抑制され、連続的な活性炭の賦活再生が可能となる。また、重力移動層を採用することで、活性炭の充填量を上げることができ、賦活再生炉のコンパクト化が可能となる。さらに、活性炭は細孔構造が発達しているため、少量の100%スチームであっても賦活再生を均一に進行させることができる。したがって、活性炭循環式の連続ガス浄化装置への賦活再生炉の組み込みが容易となる。なお、本発明の活性炭の賦活再生炉は、流動性の良好な球状活性炭を適用するのに好都合である。
また、本発明のガス浄化方法及び浄化装置によれば、活性炭の吸着能力の低下を抑制し、排ガス中の化学物質の除去率を長期にわたり高い値に維持することができる。さらに、吸着能力が低下した活性炭を装置から取り出す必要がなく、ガス浄化装置の運転中に、連続的に活性炭を賦活再生することができる。
本発明のガス浄化装置における塔体の一実施形態を示す図である。 本発明のガス浄化装置における活性炭賦活再生炉の一実施形態を示す図である。
以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
図1及び図2に、本発明に係るガス浄化装置の一実施形態を示す。このガス浄化装置は、活性炭に原ガス中の化学物質を吸着させる吸着部Aと、ガスシール部Bと、活性炭に非凝縮性ガスを接触させて化学物質を脱離させる脱離部Cと、ガスシール部Dとから構成される原ガス浄化用の塔体1(図1)、及び化学物質を脱離させた活性炭の一部を抜き出し、水蒸気と接触させて活性炭を再生するための活性炭賦活再生部(図2に示す活性炭賦活再生炉2)から概略構成される。
塔体1の中心には、気流搬送管11を配設し、活性炭Kを搬送ガスGbによって塔体1の下部から上部の吸着部Aへ搬送することにより、活性炭Kの循環路を形成している。
この気流搬送管11は、必ずしも塔体1内に配設する必要はない。
吸着部Aには、多段の多孔板12が備えられ、活性炭Kが多孔板12上で流動層高15〜20mmの流動層を形成し、各段を流動移動しながら逐次下段に落下する。溶剤成分等の化学物質を含む原ガスGが、吸着部Aの下方から塔体1内に導入され、流下する活性炭Kと均一に接触しながら上昇する。この間、原ガスG中の化学物質は活性炭Kに吸着され、浄化された原ガスGは塔体1の上部から大気中へ放出される。
このような活性炭Kとしては、各種の活性炭を用いることができるが、特に、粒径が比較的小さく、真球性及び硬度が高い球状の活性炭粒子が、流動性に優れ、また吸着速度が大きいため好ましく用いられる。また、活性炭の粒径及びかさ密度は、特に限定されるものではないが、好適な範囲として、標準ふるい(JIS Z8801)の公称目開き1000μmふるいオン分(残)が5重量%以下、且つ公称目開き600μmふるいパス分(通過)が5重量%以下、かさ密度(新炭)が0.55〜0.61g/mlの活性炭が用いられる。好ましい例として、株式会社クレハ社製の球状活性炭「G−BAC」が挙げられる。
化学物質を吸着した活性炭Kは、ガスシール効果を示す鉛直路13に導入され、その後、下部の脱離部Cへ移動する。脱離部Cは、例えばシェル&チューブ型熱交換器14から構成され、活性炭Kがチューブ内を流下し、シェル側から水蒸気Hで間接加熱するようになっている。流下する活性炭Kは、脱離部Cの下部から導入される非凝縮性ガスGaと向流接触し、それによって吸着していた化学物質を脱離する。ここで、非凝縮性ガスとは、0℃1気圧において気体の物質をいい、例として窒素、酸素、塩化水素、空気等が挙げられる。
脱離した化学物質を伴う非凝縮性ガスGaは、脱離部Cを出てコンデンサ15へ導入され、そこで化学物質が冷却液化されて回収される。また、化学物質が回収された非凝縮性ガスGaは再び系内で循環使用される。
化学物質を脱離した活性炭Kは、活性炭循環部として機能する気流搬送管11内を搬送ガスGbによって塔体1の上部へ搬送され、再び吸着部Aに供給される。
上述のように、脱離部Cを通過することによって溶剤成分が脱離し、活性炭Kが再生されるが、装置を長期間にわたり連続使用すると、化学物質の一部が重質化し、活性炭Kの細孔内などに蓄積されることが分かった。そこで本発明では、化学物質を脱離させた活性炭Kの一部を系外に抜き出し、図2に示すような吸着剤賦活再生部を構成する活性炭賦活再生炉2に移送する。
図2に示すように、塔体1から抜き出された吸着能力が低下した活性炭Kは、活性炭供給部21から活性炭賦活再生炉2内へと供給される。この活性炭供給部21には、例えば、ホッパーやスクリューフィーダー等の装置を接続可能な開口21aが形成されている。
活性炭賦活再生炉2内の活性炭再生部22では、炉の上部から導入された活性炭Kが重力で流下する重力移動層が形成され、一方、水蒸気供給部23から実質的に100%の水蒸気Vが供給されて、重力で流下する活性炭Kと向流的に接触する。活性炭再生部22においては、活性炭Kの移動方向での粒子の混合が極力生じないような移動層を形成することが重要である。活性炭の混合が激しくなると活性炭の賦活再生にムラが生じ好ましくない。
活性炭賦活再生炉2に供給された水蒸気Vと活性炭Kとの水性ガス化反応で生成した、水素及び一酸化炭素や、未反応の水蒸気等のガスは、ガス排出部24を通じて炉外に排出される。ガス排出部24は、例えば、図2に示すように、炉壁に設けられた開口24aと炉の内部に配置した漏斗状仕切り24bから構成される。
活性炭供給部21とガス排出部24はともに炉頂部付近に設置することが好ましい。活性炭供給部21はガス排出部24より上部に配置し、漏斗状仕切り24bの上部及び脚部に充填された活性炭でガスシールし、排出ガスが活性炭供給部21へ流入するのを阻止することが好ましい。排出ガスは、漏斗状仕切り24bの脚部の周囲に堆積した活性炭の表面から開口24aを通って炉外へ排出される。
水蒸気供給部23としては、上述のガス排出部24と同様の構造を採用することができる。例えば図2に示すように、炉壁に設けた開口23aと炉内部に配置した漏斗状仕切り23bから構成することができる。開口23aから供給された実質的に100%の水蒸気Vは、漏斗状仕切り23bの脚部の周辺の活性炭層の表面から活性炭再生部22に流入し活性炭の移動層内を上昇する。
活性炭賦活再生炉2には加熱部25が設けられ、活性炭K及び水蒸気Vを、例えば600〜900℃の高温度になるように加熱する。それにより、活性炭Kに蓄積した重質化物などが水蒸気と反応し、水性ガス化反応によって一酸化炭素及び水素に変換され、活性炭Kがほとんど完全に再生される。なお、重質化物とともに活性炭自体も反応し、一部が失われるが、その量は処理する活性炭に対し1重量%程度である。
加熱部25としては、抵抗発熱体を炉壁に配置した外熱式のもの、誘導加熱により活性炭自身を発熱させるものや、炉内に配置した金属等の導電体を誘導加熱により発熱させ、間接的に活性炭及び水蒸気を加熱するもの等を例示することができる。100%スチームを導入し、且つガスによらない加熱で活性炭(移動層)を加熱することにより、活性炭再生部22内のガス線速(流速)を小さくすることができ、移動層の形成を可能にする(ガス線速が大きいと活性炭が流動し、安定な移動層の形成が困難となる)。
加熱部25は、重力移動層の全体にわたって均一な温度になるよう設定することもできるが、好ましくは、重力移動層内において重力方向(活性炭Kの移動方向)へ温度が上昇するような温度勾配を形成することが好ましい。そのために、炉の上部側の加熱部25aを低い温度(例えば600℃)に設定し、下部側の加熱部25dを相対的に高い温度(例えば900℃)に設定することができる。温度勾配は、段階的に温度が変化する不連続な勾配でも良いし、連続的に変化する勾配でも良い。また、温度勾配の最大差が、200℃以上になるように制御することが好ましい。
上記のように重力移動層内に温度勾配を形成することにより、流下移動する活性炭Kと上昇する水蒸気Vとの熱交換を可能にし、熱の有効利用を図るとともに、活性炭Kを徐々に昇温することができ、急激な水性ガス化反応を避け、活性炭Kの賦活再生を円滑に行うことができる。
活性炭賦活再生炉2において、向流的に接触させる水蒸気Vの流量W(kg/h)と活性炭Kの流量W(kg/h)との重量比(W/W)は、0.05〜1.0とすることが好ましい。0.05より小さいと、水性ガス化反応が十分に起こらず、活性炭の再生率が低下する場合があり、逆に1.0より大きい場合は、炉内の水蒸気上昇速度が大きくなり、安定な移動層を形成することが困難になる傾向がある。また、水蒸気の流量を一定とし、上昇速度を小さくするためには炉の横断面積を大きくする必要があり、設置面積が大きくなって工業的な利用価値を低下させるため好ましくない。
再生された活性炭Kは、冷却部26により冷却され、活性炭賦活再生炉2の底部から活性炭排出部27を介して炉外に取り出され、再び塔体1の吸着部Aへ供給される。活性炭排出部27は、賦活再生された活性炭Kを炉外に排出する機能を有し、例えば底部に設けられた開口等から構成される。
活性炭Kの流下移動速度は、活性炭移動速度調節手段28により調節し、活性炭の処理量(活性炭賦活再生炉における滞留時間)を制御することが好ましい。活性炭移動速度調節手段28としては、上記活性炭排出部27に接続したスクリュー式の粉粒体移送装置や気流搬送式の粉粒体搬送装置等を例示することができる。また、移動層の途中にオリフィス等の流動制限装置を設置することによっても活性炭Kの移動速度を調節することが可能である。
活性炭賦活再生炉2においては、最高温度域(最高温度〜最高温度−50℃)での活性炭Kの滞留時間が0.5〜4時間の範囲になるよう、活性炭賦活再生炉2の装置サイズ及び加熱部25の構成等を設定することが好ましい。
塔体1において脱離部Cを通過する活性炭Kの流量(W1)と、活性炭賦活再生炉2へ抜き出される活性炭Kの流量(W2)との比(賦活再生率:W2/W1)は、活性炭の吸着能力の低下度合いや、化学物質を含む原ガス中の化学物質濃度等を勘案して、化学物質の除去率が一定値以上を維持するような範囲の値に設定することが好ましい。賦活再生率が小さいと、活性炭の吸着能力の低下が抑制できず、化学物質の除去率が低下するため不適である。また、賦活再生率が大きくなると、活性炭賦活再生炉2における活性炭の水性ガス化反応による消耗量が増大する。塔体1と活性炭賦活再生炉2との接続部分には、活性炭の流量比が適正な範囲になるように抜き出し量を制御するための制御部(図示せず)が設けられる。制御部は、例えばスクリューフィーダーや気流搬送式の粉粒体移送装置などから構成される。
なお、この活性炭賦活再生炉2はケース内に配置し、そのケース内を清浄な空気や不活性ガスで大気圧より高圧に保ち、可燃性ガスの侵入を防止することが好ましい。また、活性炭Kの活性炭賦活再生炉2への入口・出口は、窒素シールなどにより空気の混入を防止することが好ましく、窒素の供給圧力が低下した場合には安全を期すために活性炭賦活再生炉を自動停止させる機構を設けることができる。
以上のようなガス浄化装置により、工場などから排出されるガス中の化学物質、例えばトルエン、キシレン、MEK、フェノール、ナフタレン、IPAその他の揮発性有機化合物(VOC)成分や、肥料等の悪臭物質を高い効率で除去し、排ガスを浄化することができる。
図1の実施形態では、吸着部と脱離部が1つの塔体に設けられた例を示したが、吸着部と脱離部は別々の塔体として構成しても良い。一例として、吸着部と脱離部とを別々の塔体とし、これを気流搬送管で連結し、活性炭を吸着部−脱離部−吸着部と循環させる構成を挙げることができる。
次に、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。
(実施例1〜4)
図1及び図2に示すような吸着部、脱離部を有する塔体、及び活性炭賦活再生炉を備えたガス浄化装置を用いて、トルエン等の溶剤成分を含む様々な原ガスの浄化を行った。活性炭としては、株式会社クレハ製の球状活性炭G−BACを用いた。活性炭賦活再生炉において、最高温度域(最高温度〜最高温度−50℃)での活性炭の滞留時間が0.5〜4時間の範囲になるよう、活性炭賦活再生炉の装置サイズ及び加熱部の設定を調節した。また、活性炭賦活再生炉における水蒸気と活性炭の流量の重量比(W/W)は0.1に設定した。
賦活再生率は、表1に示す通りに設定した。また、表1中の上段運転温度〜下段運転温度で示すように、活性炭再生部に形成される重力移動層内に、重力方向へ温度が上昇するような温度勾配(最大差250℃)を形成した。
実験の結果、表1に示すように、実施例1〜4のいずれにおいても6ヶ月の稼働期間中、化学物質の除去率は85〜99%と高レベルで安定していた。
Figure 2015221441
(比較例1)
上記実施例1において、ガス浄化装置を6ヶ月間稼働した後、活性炭賦活再生炉への活性炭の抜き出しを停止し、吸着部及び脱離部を有する塔体のみの構成で、原ガスの浄化を行った。その結果、トルエンの除去率が97%から徐々に低下し、6ヶ月経過後には75%まで低下した。本発明の活性炭賦活再生炉を組み合わせないガス浄化装置では化学物質の除去率を長期間にわたり高レベルで維持することができないことが判明した。
(実施例5)
比較例1の実験終了後、再度活性炭賦活再生炉を組み合わせてガス浄化装置を稼働させ、実施例1と同様の条件で原ガスの処理を行った。
活性炭賦活再生炉の稼働開始後1日経過した時点で、活性炭賦活再生炉の入口と出口の活性炭をサンプリングし、そのトルエン吸着量を測定した(温度30℃、トルエン800ppmのガス中での平衡吸着量)。その結果は以下の通りであった。参考のためガス浄化に使用しない未使用活性炭の値も示す。これらの結果から、本発明の活性炭賦活再生炉により活性炭のトルエン吸着能が未使用活性炭並みに回復していることが分かる。
入口: 0.18 g/g
出口: 0.37 g/g
未使用: 0.38 g/g
(実施例6)
上記実施例5の実験終了後、活性炭賦活再生炉における水蒸気と活性炭の流量の重量比(W/W)を0.01に変更した以外は、実施例5と同様の条件でガス浄化装置を運転した。条件変更後1日経過した時点で、活性炭賦活再生炉の入口と出口の活性炭をサンプリングし、そのトルエン吸着量を測定した(温度30℃、トルエン800ppmのガス中での平衡吸着量)。その結果は以下の通りであった。参考のためガス浄化に使用しない未使用活性炭の値も示す。重量比(W/W)を0.01に設定した場合にも活性炭のトルエン吸着能の回復は可能であったが、重量比(W/W)を0.1の場合に比べると回復能力は低下した。
入口: 0.18 g/g
出口: 0.20 g/g
未使用: 0.38 g/g
(実施例7)
実施例6の実験終了後、活性炭賦活再生炉における水蒸気と活性炭の流量の重量比(W/W)を2.0に変更した以外は、実施例6と同様の条件でガス浄化装置を運転した。条件変更後にも、活性炭の賦活再生は可能であったが、活性炭賦活再生炉内の活性炭の流下が不均一となり、炉の温度制御が困難になる傾向があった。
A 吸着部
B ガスシール部
C 脱離部
D ガスシール部
G 原ガス
Ga 非凝縮性ガス
Gb 搬送ガス
K 活性炭
H 水蒸気
1 塔体
11 気流搬送管
12 多孔板
13 鉛直路
14 シェル&チューブ型熱交換器
15 コンデンサ
2 活性炭賦活再生炉
21 活性炭供給部
21a 開口
22 活性炭再生部
23 水蒸気供給部
23a 開口
23b 漏斗状仕切り
24 ガス排出部
24a 開口
24b 漏斗状仕切り
25 加熱部
25a 加熱部
25d 加熱部
26 冷却部
27 活性炭排出部
28 活性炭移動速度調節手段

Claims (5)

  1. 吸着能力が低下した活性炭を供給する活性炭供給工程と、供給した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを、重力方向へ温度が上昇し且つ600〜900℃の高温度とした加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生工程と、再生した活性炭を冷却する冷却工程と、冷却した活性炭を排出する活性炭排出工程とを有し、向流的に接触させる水蒸気の流量W(kg/h)と活性炭の流量W(kg/h)との重量比(W/W)が、0.05〜1.0である活性炭の賦活再生方法。
  2. 前記活性炭再生工程において、最高温度〜最高温度−50℃での活性炭の滞留時間が0.5〜4時間である、請求項1に記載の活性炭の賦活再生方法。
  3. 化学物質を含むガスを活性炭と接触させ、該化学物質を活性炭に吸着させる吸着工程と、化学物質が吸着した活性炭に非凝縮性ガスを接触させ、該化学物質を脱離させる脱離工程と、化学物質が脱離した活性炭を再び前記吸着工程に供給する活性炭循環工程と、化学物質が脱離した活性炭の一部を抜き出し、抜き出した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを、重力方向へ温度が上昇し且つ600〜900℃の高温度とした加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生工程と、再生した活性炭を冷却する冷却工程と、冷却した活性炭を排出し再び前記吸着工程に供給する活性炭排出工程とを有し、向流的に接触させる水蒸気の流量W(kg/h)と活性炭の流量W(kg/h)との重量比(W/W)が、0.05〜1.0であるガス浄化方法。
  4. 吸着能力が低下した活性炭を供給するための活性炭供給部と、供給した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生するための活性炭再生部と、再生した活性炭を冷却するための冷却部と、冷却した活性炭を排出するための活性炭排出部とを備え、前記移動層内に、600〜900℃の範囲内で、重力方向へ温度が上昇するような最大差が200℃以上の温度勾配を形成するための加熱部を備える活性炭の賦活再生炉。
  5. 化学物質を含むガスを活性炭と接触させ、該化学物質を活性炭に吸着させる吸着部と、化学物質が吸着した活性炭に非凝縮性ガスを接触させ、該化学物質を脱離させる脱離部と、化学物質が脱離した活性炭を再び前記吸着部に供給する活性炭循環部と、化学物質が脱離した活性炭の一部を抜き出し、抜き出した活性炭が重力で流下する移動層を形成し、該移動層において活性炭と水蒸気とを加熱下で向流的に接触させ、水性ガス化反応を起こすことにより活性炭を再生する活性炭再生部と、再生した活性炭を冷却する冷却部と、冷却した活性炭を排出し再び前記吸着部に供給する活性炭排出部とを有し、前記移動層内に、600〜900℃の範囲内で、重力方向へ温度が上昇するような最大差が200℃以上の温度勾配を形成するための加熱部を備えるガス浄化装置。
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