JP2015220970A - 電動車両の制御装置 - Google Patents

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Kenichi Mori
憲一 森
良平 豊田
Ryohei Toyoda
良平 豊田
月▲崎▼ 敦史
Atsushi Tsukizaki
敦史 月▲崎▼
古閑 雅人
Masahito Koga
雅人 古閑
崇志 栗田
Takashi Kurita
崇志 栗田
一央 ▲高▼木
一央 ▲高▼木
Kazuchika Takagi
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Abstract

【課題】自動変速機の変速中、摩擦締結要素の伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量よりも低いときに、摩擦締結要素の差回転を抑制することができる電動車両の制御装置を提供する。
【解決手段】駆動用モータジェネレータと、摩擦クラッチの締結により所定の変速段を達成する自動変速機と、を備えた電動車両において、自動変速機の変速中、摩擦クラッチの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加しているときS5、駆動用モータジェネレータの出力トルクの立ち上がりに対して摩擦クラッチの伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合S7、駆動用モータジェネレータの出力トルクを制限するS9モータコントローラを備える構成とした。
【選択図】図7

Description

本発明は、モータを有する駆動源と、摩擦締結要素の締結により所定の変速段を達成する自動変速機を備えた電動車両の制御装置に関する発明である。
従来、摩擦締結要素の係合により所定の変速段を達成する自動変速機の変速中に、モータの回転数制御を行うことでモータ回転数を目標モータ回転数に合わせると共に、摩擦締結要素の伝達トルク容量を一定に保持する。そして、モータ回転数制御が終了した後、モータのトルク制御を行うと共に、摩擦締結要素の伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量にする電動車両の制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3750260号公報
しかしながら、従来の電動車両の制御装置にあっては、摩擦締結要素の伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加している最中、ドライバーの要求駆動力の増加等に応じてモータトルクを大きくしたとき、モータトルク特性の立ち上がりが摩擦締結要素の伝達トルク容量特性の立ち上がりよりも大きいと、摩擦締結要素への入力回転が吹け上がってしまう。そのため、摩擦締結要素における差回転が大きくなり、摩擦締結要素が高温になって焼き付いて故障する可能性があった。
また、入力回転が吹け上がっている状態で摩擦締結要素の伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量に達すれば、摩擦締結要素の差回転がゼロになって急締結状態になってしまい、ショックが発生するという問題も生じる。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、自動変速機の変速中、摩擦締結要素の伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量よりも低いときに、摩擦締結要素の差回転を抑制することができる電動車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、モータを有する駆動源と、前記駆動源と駆動輪の間に配設され、摩擦締結要素の締結により所定の変速段を達成する自動変速機と、を備えた電動車両において、摩擦締結要素制御手段と、モータ制御手段と、を備えている。
前記摩擦締結要素制御手段は、前記自動変速機の変速中、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加させる。
前記モータ制御手段は、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量の増加中、前記モータの出力トルクの立ち上がりに対して前記摩擦締結要素の伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量を下回るように、前記モータの出力トルクを制限する。
よって、本発明の電動車両の制御装置では、自動変速機の変速中、摩擦締結要素の伝達トルクを変速後定常走行時伝達トルクに向けて増加させる間、モータの出力トルクの立ち上がりに対して摩擦締結要素の伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合には、摩擦締結要素伝達トルク容量を下回るようにモータの出力トルクが制限される。
そのため、モータの出力トルクの立ち上がりが、摩擦締結要素伝達トルク容量よりも抑制されることになり、摩擦締結要素の入力回転の吹け上がりを抑えることができる。
この結果、自動変速機の変速中、摩擦締結要素の伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量よりも低いときに、摩擦締結要素における差回転を抑制することができる。
そしてこれにより、摩擦締結要素が発熱して焼き付き故障することを防止することができる。また、入力回転が吹け上がって差回転が大きいままで摩擦締結要素が完全締結することが防止できるので、急締結の発生を抑制し、ショックの発生も抑制することができる。
実施例1の車両用自動変速機が適用された電気自動車(車両の一例)の駆動系構成と制御系構成を示す全体システム構成図である。 実施例1の第1電動アクチュエータと第2電動アクチュエータを用いた変速制御系の詳細構成を示す制御ブロック図である。 実施例1におけるスライダストローク量に対する摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値を示すマップの一例である。 実施例1におけるアクセル開度に対するマージンを示すマップの一例である。 実施例1における車速に対するマージンを示すマップの一例である。 実施例1におけるスライダストローク量に対するマージンを示すマップの一例である。 実施例1にて実行されるアップ変速制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の制御装置において、アップ変速時の変速機出力トルク(変速G)・アクセル開度・モータ回転数・摩擦クラッチ差回転・モータトルク・摩擦クラッチ伝達トルク容量・係合クラッチ伝達トルク容量・係合クラッチ位置の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明の電動車両の制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、実施例1における電動車両の制御装置の構成を、「全体システム構成」、「変速制御系の詳細構成」、「アップ変速制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成]
図1は、実施例1の電動車両の制御装置が適用された電気自動車(電動車両の一種)の駆動系構成と制御系構成を示す。以下、図1に基づき、全体システム構成を説明する。
前記電気自動車の駆動系構成としては、図1に示すように、駆動用モータジェネレータ2(モータ)と、自動変速機3と、駆動輪14と、を備えている。
前記駆動用モータジェネレータ2は、主に駆動モータとして用いられ、そのモータ軸が自動変速機3の変速機入力軸6に接続される。
前記自動変速機3は、変速比の異なる2つのギヤ対のいずれかで動力を伝達する常時噛み合い式有段変速機であり、減速比の小さなハイギヤ段(高速段)と減速比の大きなローギヤ段(低速段)を有する2段変速としている。この自動変速機3は、駆動用モータジェネレータ2から変速機入力軸6及び変速機出力軸7を順次経てモータ動力を出力する際の変速に用いられ、低速段を実現するロー側変速機構8及び高速段を実現するハイ側変速機構9により構成される。ここで、変速機入力軸6及び変速機出力軸7は、それぞれ平行に配置される。
前記ロー側変速機構8は、上記モータ動力の出力に際し、ロー側伝動経路を選択するためのもので、変速機出力軸7上に配置している。このロー側変速機構8は、低速段ギヤ対(ギヤ8a,ギヤ8b)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機出力軸7に対するギヤ8aのシンクロ締結/解放を行う係合クラッチ8cにより構成する。ここで、低速段ギヤ対は、変速機出力軸7上に回転自在に支持したギヤ8aと、該ギヤ8aと噛み合い、変速機入力軸6と共に回転するギヤ8bと、から構成される。
前記ハイ側変速機構9は、上記モータ動力の出力に際し、ハイ側伝動経路を選択するためのもので、変速機入力軸6上に配置している。このハイ側変速機構9は、高速段ギヤ対(ギヤ9a,ギヤ9b)が、変速機入出力軸6,7間を駆動結合するように、変速機入力軸6に対するギヤ9aの摩擦締結/解放を行う摩擦クラッチ9c(摩擦締結要素)により構成する。ここで、高速段ギヤ対は、変速機入力軸6上に回転自在に支持したギヤ9aと、ギヤ9aに噛み合い、変速機出力軸7と共に回転するギヤ9bと、から構成される。
前記変速機出力軸7は、ギヤ11を固定し、このギヤ11と、これに噛合するギヤ12とからなるファイナルドライブギヤ組を介して、ディファレンシャルギヤ装置13を変速機出力軸7に駆動結合する。これにより、変速機出力軸7に達した駆動用モータジェネレータ2のモータ動力がファイナルドライブギヤ組(ギヤ11,12)及びディファレンシャルギヤ装置13を経て左右の駆動輪14(なお、図1では一方の駆動輪のみを示した)に伝達されるようにする。さらに、変速機出力軸7には、ギヤ11の反対側に、パークギヤ17が固定され、このパークギヤ17と噛み合い可能に図外の変速機ケースに設けられたパーキングポール18が配置される。つまり、Pレンジ位置の選択時、パーキングポール18を、係合クラッチ8cのアクチュエータと共用化した第1電動アクチュエータ41によりパークギヤ17に噛み合わせることで、変速機出力軸7が回転しないようにケース固定する。
前記電気自動車の制御系構成としては、図1に示すように、変速コントローラ21、車速センサ22、アクセル開度センサ23、車輪速センサ24、前後加速度センサ25、スライダ位置センサ26、スリーブ位置センサ27、等を備えている。これに加え、モータコントローラ(モータ制御手段)28と、統合コントローラ30と、CAN通信線31と、モータ回転数センサ32と、変速機出力回転数センサ33と、を備えている。
前記変速コントローラ21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、バックアップメモリ、入出力インターフェース回路を備えたマイクロコンピュータによって構成されている。この変速コントローラ21では、車速センサ22からの車速情報とアクセル開度センサ23からのアクセル開度情報と不図示の変速マップに基づいて、変速要求を出力する。
つまり、係合クラッチ8cが噛み合い係合で摩擦クラッチ9cが解放のローギヤ段が選択されている状態で、車速とアクセル開度による動作点が、変速マップの1速領域と2速領域のアップ変速線を横切るとアップ変速要求を出力し、ハイギヤ段へアップ変速する。これにより、変速コントローラ21では、係合クラッチ8cの解放と摩擦クラッチ9cの摩擦締結による架け替え制御を遂行する。また、係合クラッチ8cが解放で摩擦クラッチ9cが摩擦締結のハイギヤ段が選択されている状態で、車速とアクセル開度による動作点が、変速マップの2速領域と1速領域のダウン変速線を横切るとダウン変速要求を出力し、ローギヤ段へダウン変速する。これにより、変速コントローラ21では、係合クラッチ8cの噛み合い係合と摩擦クラッチ9cの解放による架け替え制御を遂行する。
前記モータ回転数センサ32は、駆動用モータジェネレータ2の出力回転数を検出するセンサであり、ここでは変速機入力軸6の回転数を検出する。すなわち、駆動用モータジェネレータ2の回転数(モータ回転数)は、自動変速機3が有する締結要素(係合クラッチ8c,摩擦クラッチ9c)への入力回転数である。
前記変速機出力回転数センサ33は、自動変速機3の出力回転数を検出するセンサであり、ここでは変速機出力軸7の回転数を検出する。すなわち、変速機出力軸7の回転数(変速機出力回転数)は、自動変速機3が有する締結要素(係合クラッチ8c,摩擦クラッチ9c)の出力回転数である。そして、摩擦クラッチ9cがスリップ締結しているとき、モータ回転数と変速機出力回転数の差から、摩擦クラッチ9cの差回転を演算することができる。
[変速制御系の詳細構成]
図2は、実施例1の変速制御系の詳細構成を示す。以下、図2に基づき、変速制御系の詳細構成を説明する。
前記電気自動車の制御系のうち変速制御系の構成としては、図2に示すように、係合クラッチ8cと、摩擦クラッチ9cと、パークギヤ17と、駆動用モータジェネレータ2と、変速コントローラ21と、を備えている。つまり、係合クラッチ8cと摩擦クラッチ9cとパークギヤ17と、駆動用モータジェネレータ2を制御対象とし、条件に応じて変速コントローラ21からの指令により制御する構成としている。
前記係合クラッチ8cは、回転同期機構を持つ噛み合い係合によるクラッチであり、ギヤ8aに設けたクラッチギヤ8dと、変速機出力軸7に結合したクラッチハブ8eと、カップリングスリーブ8fと、を有する(図1を参照)。そして、第1電動アクチュエータ41によりカップリングスリーブ8fをストローク駆動させることで、このカップリングスリーブ8fを介して、クラッチギヤ8dとクラッチハブ8eは、噛み合い係合/解放する。
なお、変速機入力軸6と共に回転するギヤ8bにギヤ8aが噛み合うため、ギヤ8aに設けたクラッチギヤ8dは、変速機入力軸6に連結している。すなわち、クラッチギヤ8dとクラッチハブ8eが噛み合い係合すると、変速機入力軸6と変速機出力軸7が連結される。
この係合クラッチ8cの噛み合い係合と解放は、カップリングスリーブ8fの位置によって決まる。なお、変速コントローラ21は、スリーブ位置センサ27の値を読み込み、カップリングスリーブ8fの位置が噛み合い係合位置又は解放位置になるように第1電動アクチュエータ41に電流を与える第1位置サーボコントローラ51(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。そして、カップリングスリーブ8fがクラッチギヤ8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の双方に噛合した図1に示す噛み合い位置にあるとき、ギヤ8aを変速機出力軸7に駆動連結する。一方、カップリングスリーブ8fが、図1に示す位置から軸線方向へ変位することでクラッチギヤ8d及びクラッチハブ8eの外周クラッチ歯の一方と非噛み合い位置にあるとき、ギヤ8aを変速機出力軸7から切り離す。
前記摩擦クラッチ9cは、ギヤ9aと共に回転するドリブンプレート9dと、変速機入力軸6と共に回転するドライブプレート9eと、を有する(図1を参照)。そして、第2電動アクチュエータ42により両プレート9d,9eに押付け力を与えるスライダ9fをストローク駆動することで摩擦締結/解放する。そして、この摩擦クラッチ9cは、変速機入力軸6と一体に回転し、クラッチ摩擦締結のときギヤ9aを変速機入力軸6に駆動連結し、クラッチ解放のときギヤ9aと変速機入力軸6の駆動連結を切り離す。
この摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量は、スライダ9fの位置(スライダストローク量)によって決まり、また、スライダ9fはネジ機構となっており、第2電動アクチュエータ42の入力が0(ゼロ)のときには、位置を保持する機構となっている。なお、変速コントローラ21は、スライダ位置センサ26の値を読み込み、所望の伝達トルク容量が得られるスライダ位置になるように第2電動アクチュエータ42に電流を与える第2位置サーボコントローラ52(例えば、PID制御による位置サーボ系)を備えている。
すなわち、第2電動アクチュエータ42とスライダ9fは、自動変速機3の変速中、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加させる摩擦締結要素制御手段43に相当する。
そして、この摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の応答性(増加及び低減の応答性)は、第2電動アクチュエータ42によってストローク駆動するスライダ9fの駆動応答性に依存する。
前記パークギヤ17は、Pレンジ位置(非走行レンジ位置)の選択時、係合クラッチ8cと兼用の第1電動アクチュエータ41によりパーキングポール18を噛み合わせることで、変速機出力軸7が回転しないようにケース固定する。すなわち、第1電動アクチュエータ41は、係合クラッチ8cの噛み合い位置と、係合クラッチ8cの非噛み合い位置と、パークギヤ17の噛み合い位置と、の3つの位置の動作を管理する。
前記駆動用モータジェネレータ2は、変速コントローラ21からの指令が入力したモータコントローラ28(モータ制御手段)によってトルク制御又は回転数制御される。つまり、モータコントローラ28が、変速コントローラ21からのモータトルク容量指令やトルク制限指令や入出力回転同期指令を入力すると、これらの指令に基づき、駆動用モータジェネレータ2の出力回転数や出力トルクが制御される。
そして、このモータコントローラ28は、伝達トルク容量推定部28aと、モータトルク設定部28bと、を有している。
前記伝達トルク容量推定部28aは、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を推定する。ここで、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量は、スライダストローク量によって決まるため、このスライダストローク量に基づいて推定することができる。すなわち、この伝達トルク容量推定部28aは、図3に示すマップを有しており、スライダ位置センサ26の値を読み込んで求めたスライダストローク量と図3のマップを用いて、摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値を一義的に決める。なお、この図3に示すマップは、適宜学習補正を行い修正していく。
前記モータトルク設定部28bは、変速コントローラ21からトルク制限指令が入力されたとき、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量推定値を下回るように、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの上限値(以下、「モータトルク上限値」という)を設定する。
ここでは、伝達トルク容量推定部28aによって推定された摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から、所定のマージンを引いた値をモータトルク上限値とする。なお、「所定のマージン」は、図4〜図6に示すように、アクセル開度、車速、スライダストローク量に応じて設定される。
つまり、このモータトルク設定部28bでは、アクセル開度センサ23によって検出したアクセル開度が大きいほど、マージンを大きな値に設定する。
また、車速センサ22によって検出した車速が低いほど、マージンを大きな値に設定する。
さらに、スライダ位置センサ26によって検出したスライダストローク量が大きいほど、マージンを大きな値に設定する。
そして、このモータコントローラ28では、アップ変速中、係合クラッチ8cを解放した後、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加する摩擦クラッチ9cの完全締結処理を行っているとき、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの立ち上がりに対して、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの上限値を、モータトルク設定部28bによって設定したモータトルク上限値に制限する。
[アップ変速制御処理構成]
図7は、実施例1にて実行されるアップ変速制御処理の流れを示すフローチャートである。以下、図7に基づき、アップ変速制御処理構成をあらわす各ステップについて説明する。
ステップS1では、アップ変速要求が出力されたか否かを判断する。YES(アップ変速要求あり)の場合は、ステップS2へ進む。NO(アップ変速要求なし)の場合は、ステップS1を繰り返す。
ここで、アップ変速要求は、係合クラッチ8cが噛み合い係合で摩擦クラッチ9cが解放のローギヤ段が選択されている状態で、車速とアクセル開度による動作点が、変速マップの1速領域と2速領域のアップ変速線を横切ったときに出力される。
ステップS2では、ステップS1でのアップ変速要求ありとの判断に続き、車速と、アクセル開度と、スライダ9fの位置(スライダストローク量)等の必要情報を読み込み、ステップS3へ進む。
ここで、車速は、車速センサ22によって検出し、アクセル開度は、アクセル開度センサ23によって検出する。また、スライダストローク量は、スライダ位置センサ26によって検出する。
ステップS3では、ステップS2での必要情報の読み込みに続き、アップ変速処理を実行し、ステップS4へ進む。
ここで、「アップ変速処理」とは、以下の各処理を順に実行することである。
・第2電動アクチュエータ42を駆動してスライダ9fを締結方向に移動させ、ドリブンプレート9dとドライブプレート9eの隙間をゼロにする摩擦クラッチ9cのがた詰め処理
・摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を増加させていくことで、相対的に係合クラッチ8cの伝達トルクが低減するトルクフェーズ処理
・係合クラッチ8cを解放する係合クラッチ解放処理
・駆動用モータジェネレータ2を回転数制御に切り替え、モータ回転数を変速後目標回転数に一致させるイナーシャフェーズ処理
・摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を増加し、変速後定常走行時伝達トルク容量とする摩擦クラッチ9cの完全締結処理
ステップS4では、ステップS3でのアップ変速処理の実行に続き、イナーシャフェーズ処理が終了したか否かを判断する。YES(イナーシャフェーズ終了)の場合は、ステップS5へ進む。NO(イナーシャフェーズ未終了)の場合は、ステップS2へ戻る。
ステップS5では、イナーシャフェーズ終了との判断に続き、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量が、変速後定常走行時伝達トルク容量未満であるか否かを判断する。YES(摩擦クラッチ伝達トルク容量<変速後定常走行時伝達トルク容量)のときは、ステップS6へ進む。NO(摩擦クラッチ伝達トルク容量≧変速後定常走行時伝達トルク容量)のときは、ステップS11へ進む。
ここで、「変速後定常走行時伝達トルク容量」とは、アップ変速が終了した後の定常走行時における摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量であり、摩擦クラッチ9cが完全締結状態しているときの伝達トルク容量である。
また、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量は、スライダストローク量によって決まるため、スライダストローク量が定常走行時のスライダストローク量に達していれば、摩擦クラッチ伝達トルク容量≧変速後定常走行時伝達トルク容量と判断する。
ステップS6では、ステップS5での摩擦クラッチ伝達トルク容量<変速後定常走行時伝達トルク容量との判断に続き、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を推定し、ステップS7へ進む。
ここで、摩擦クラッチ伝達トルク容量は、ステップS2にて読み込んだスライダストローク量と、図3に示すマップに基づいて推定する。
ステップS7では、ステップS6での摩擦クラッチ伝達トルク容量の推定に続き、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの目標値が、この推定した摩擦クラッチ伝達トルク容量を上回っているか否かを判断する。YES(モータトルク目標値>摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値)の場合は、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの立ち上がりに対し、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性が遅くなるとして、ステップS8へ進む。NO(モータトルク目標値≦摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値)の場合は、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの立ち上がりに対し、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性が間に合うとして、ステップS10へ進む。
ここで、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの目標値は、アクセル開度等に応じて決まるドライバーの要求駆動力に基づいて設定される値である。
ステップS8では、ステップS7でのモータトルク目標値>摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値との判断に続き、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの上限値(モータトルク上限値)を設定し、ステップS9へ進む。
ここで、モータトルク上限値は、ステップS6にて推定した摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から、車速・アクセル開度・スライダストローク量に応じて設定されたマージンのうち、最も大きい値のマージンを差し引いた値とする。
ステップS9では、ステップS8でのモータトルク上限値の設定に続き、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを、このモータトルク上限値によって制限しつつ、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加し、ステップS5へ戻る。
つまり、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加する間、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクは、摩擦クラッチ伝達トルク容量を下回るように制限される。
ステップS10では、ステップS7でのモータトルク目標値≦摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値との判断に続き、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限することなく、モータトルク目標値となるように制御しつつ、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加し、ステップS5へ戻る。
ステップS11では、ステップS5での摩擦クラッチ伝達トルク容量≧変速後定常走行時伝達トルク容量との判断に続き、摩擦クラッチ9cが完全締結し、定常走行が可能になったとして、アップ変速処理を終了し、エンドへ進む。
なお、アップ変速処理が終了したことで、駆動用モータジェネレータ2は、出力トルクが制限されることはなくなって、例えばアクセル開度に応じて設定される通常のモータ出力トルクで走行する。
次に、作用を説明する。
まず、「比較例の制御装置におけるアップ変速時の変速制御とその課題」を説明し、続いて、実施例1の電動車両の制御装置におけるアップ変速時変速作用を説明する。
[比較例の制御装置におけるアップ変速時の変速制御とその課題]
図8は、実施例1の制御装置において、アップ変速時の変速機出力トルク(変速G)・アクセル開度・モータ回転数・摩擦クラッチ差回転・モータトルク・係合クラッチ伝達トルク・摩擦クラッチ伝達トルク容量・係合クラッチ位置の各特性を示すタイムチャートである。また、この図8において、二点鎖線にて比較例の制御装置での特性を示す。以下、図8に基づき、比較例の制御装置におけるアップ変速時の変速制御とその課題を説明する。
比較例の電動車両の制御装置では、図8に示す時刻t時点において、アップ変速要求が出力されたら、第2電動アクチュエータ42を駆動してスライダ9fを締結方向に移動させる。そして、時刻t時点において、ドリブンプレート9dとドライブプレート9eの隙間がゼロになったら、さらにスライダ9fを締結方向に移動させ、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を増加していく。このとき、係合クラッチ8cの伝達トルクは、摩擦クラッチ伝達トルク容量の増加に伴って、相対的に低減する。
時刻t時点において、係合クラッチ8cの伝達トルクがほとんどゼロになり、係合クラッチ8cが解放可能になったら、第1電動アクチュエータ41を駆動してカップリングスリーブ8fを解放位置に向けて移動させる。
時刻t時点において、カップリングスリーブ8fが解放位置に達したら、係合クラッチ8cが解放状態になる。そして、駆動用モータジェネレータ2を回転数制御し、この駆動用モータジェネレータ2の出力回転数が変速後の目標回転数に一致するように、モータ回転数を低減していく。
そして、モータ回転数が目標回転数に達する直前の時刻t時点において、アクセル踏み増し操作が行われてドライバーの要求駆動力が増加する。これにより、図8において二点鎖線で示すように、モータ回転数が目標回転数になり、イナーシャフェーズが終了した時刻t時点から、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクが、要求駆動力に応じて急増する。
これに対し、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性は、第2電動アクチュエータ42によってストローク駆動するスライダ9fの駆動応答性に依存している。そのため、ここでは、時刻t時点から摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量が、変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加しても、モータトルク特性の立ち上がりに対し、摩擦クラッチ伝達トルク容量の増加応答性が遅くなってしまう。
そのため、駆動用モータジェネレータ2の出力回転数(モータ回転数)は吹け上がり、摩擦クラッチ9cの差回転が大きくなって、摩擦クラッチ9cが発熱する。これにより、摩擦クラッチ9cの焼き付き故障が発生するおそれがある。
また、時刻t時点において、モータトルクと摩擦クラッチ伝達トルク容量が一致することで、摩擦クラッチ9cが急締結状態になり、変速機出力トルク(変速G)が大きく変動し、ショックが発生してしまう。
[アップ変速時変速作用]
次に、図8に基づき、実施例1の電動車両の制御装置におけるアップ変速時変速作用について説明する。
実施例1の電動車両の制御装置では、係合クラッチ8cが噛み合い係合し、摩擦クラッチ9cが解放しているとき、図8に示す時刻t時点において、車速とアクセル開度による動作点が不図示の変速マップの1速領域と2速領域のアップ変速線を横切り、アップ変速要求が出力されたら、図7に示すフローチャートにおいてステップS1→ステップS2→ステップS3へと進み、車速、アクセル開度、スライダストローク量等の必要情報が読み込まれ、アップ変速処理が実行される。
つまり、時刻t時点から、第2電動アクチュエータ42を駆動してスライダ9fを締結方向に移動させる。そして、時刻t時点において、ドリブンプレート9dとドライブプレート9eの隙間がゼロになったら、摩擦クラッチ9cのがた詰め処理が終了する。
なお、この時刻tから時刻tの間は、摩擦クラッチ9cは解放状態であるため、摩擦クラッチ差回転はゼロのままとなる。
そして、時刻t時点から、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を増加し、摩擦クラッチ9cによって伝達されるトルクを増加する。またこのとき、係合クラッチ8cの伝達トルクは、摩擦クラッチ伝達トルク容量の増加に伴って相対的に低減する。つまり、係合クラッチ8cと摩擦クラッチ9cとのトルク分担比において、摩擦クラッチ側が優勢になるように、摩擦クラッチ伝達トルク容量を増加するトルクフェーズ処理が行われる。
なお、このトルクフェーズ処理が開始されると、摩擦クラッチ9cでは所定の差回転が発生すると共にこの差回転が維持され、トルク変動が駆動輪14へと伝達されることが防止される。
時刻t時点において、係合クラッチ8cの伝達トルクがほとんどゼロになり、係合クラッチ8cが解放可能になったら、トルクフェーズ処理が終了する。そして、第1電動アクチュエータ41を駆動し、カップリングスリーブ8fを解放位置に向けて移動させる。
時刻t時点において、カップリングスリーブ8fが解放位置に達したら、係合クラッチ8cが解放状態になり、係合クラッチ解放処理が終了する。そして、駆動用モータジェネレータ2を回転数制御し、この駆動用モータジェネレータ2の出力回転数が変速後の目標回転数に一致するように、モータ回転数を低減していくイナーシャフェーズ処理が行われる。
つまり、このイナーシャフェーズ処理では、モータ回転数が変速器出力回転数に向けて変化するので、摩擦クラッチ9cの差回転がゼロに向かって収束する。
このとき、モータ回転数が目標回転数に達する直前の時刻t時点において、アクセル踏み増し操作が行われてドライバーの要求駆動力が増加する。しかしながら、このイナーシャフェーズ処理では、駆動用モータジェネレータ2の回転数制御を行っているので、要求駆動力が増加してもモータトルクが急増することはない。
そして、時刻t時点において、モータ回転数が変速後の目標回転数に達し、摩擦クラッチ差回転がゼロになると、イナーシャフェーズ処理が終了し、駆動用モータジェネレータ2がトルク制御に切り替わる。これにより、ステップS3からステップS4→ステップS5へと進む。
この時刻t時点では、摩擦クラッチ伝達トルク容量は、変速後定常走行時伝達トルク容量よりも小さいため、ステップS6→ステップS7へと進み、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量が推定されると共に、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの目標値と、この摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値とが比較される。
このとき、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの目標値(モータトルク目標値)は、時刻t時点においてアクセル踏み増し操作が行われてドライバーの要求駆動力が増加していることから、摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値を上回る。
つまり、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの立ち上がりに対し、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性が遅くなってしまうと考えられる。
これにより、ステップS8→ステップS9へと進み、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの上限値(モータトルク上限値)が設定され、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクが、このモータトルク上限値によって制限される。これにより、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクが、摩擦クラッチ伝達トルク容量を下回るように制限された状態で、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量が、変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加する。
そして、時刻t時点において、摩擦クラッチ伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量に達したら、ステップS5→ステップS11へと進み、アップ変速処理が終了する。
このように、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加している最中、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクが、摩擦クラッチ伝達トルク容量を下回るようにモータトルク上限値によって制限される。このため、ドライバーの要求駆動力が増加しても、モータ回転数の急増が抑制される。これにより、摩擦クラッチ9cの差回転が生じることが防止され、摩擦クラッチ9cが高温になって焼き付き故障することを防止できる。
さらに、摩擦クラッチ9cの差回転が生じないことから、摩擦クラッチ9cが急締結状態になることもなく、変速機出力トルク(変速G)が大きく変動してショックが発生することもない。
また、この実施例1では、自動変速機3のアップ変速中、変速機入力回転数が変化するイナーシャフェーズ処理が終了した後、摩擦クラッチ9cが完全締結するまでの間において、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクの立ち上がりに対し、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の増加応答性が遅くなると判断されるときに、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限する。
そのため、モータトルクが増加するシーンであっても、モータ回転数の吹け上がりを適切に抑制し、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を防止することができる。
さらに、この実施例1では、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量推定値に応じてモータトルク上限値を設定し、このモータトルク上限値によって、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限している。
これにより、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を抑制しつつ、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを大きくして加速性の向上を図ることができる。
そして、この実施例1では、モータトルク上限値を、摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から、所定のマージンを差し引いた値としている。そのため、摩擦クラッチ伝達トルク容量の推定精度が低かったり、推定値がばらついた場合であっても、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクが、摩擦クラッチ伝達トルク容量を上回ることを防止できる。この結果、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を確実に防止することができる。
しかも、この摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から差し引く所定のマージンは、アクセル開度が大きいほど大きな値としている。
ここで、アクセル開度が大きいほど摩擦クラッチ9cがスリップしやすくなり、また、アクセル開度が大きい方が、摩擦クラッチ9cがスリップしたときの影響が大きいことが分かっている。
そのため、アクセル開度が大きいほどマージンを大きな値とすることで、摩擦クラッチ9cのスリップを適切に抑制することができる。
また、この摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から差し引く所定のマージンは、車速が高いほど小さい値としている。
ここで、車速が高いときには、モータ出力トルクが比較的小さくなるので、マージンを小さくしても摩擦クラッチ9cはスリップしにくい。そのため、モータ出力トルクをできるだけ大きくすることができて、加速性を向上することができる。
さらに、この摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値から差し引く所定のマージンは、スライダストローク量が大きいほど大きな値としている。
ここで、摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値は、スライダストローク量に基づいて推定するが、このスライダストローク量が大きくなるほど推定精度が低くなる。そのため、このスライダストローク量が大きくなるほどマージンを大きな値とすることで、摩擦クラッチ9cのスリップを適切に抑制することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の電動車両の制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) モータ(駆動用モータジェネレータ2)を有する駆動源と、前記駆動源と駆動輪14の間に配設され、摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の締結により所定の変速段(ハイギヤ段)を達成する自動変速機3と、を備えた電動車両において、
前記自動変速機3の変速中、前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加させる摩擦締結要素制御手段43と、
前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量の増加中、前記モータ(駆動用モータジェネレータ2)の出力トルクの立ち上がりに対して前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合、前記モータ(駆動用モータジェネレータ2)の出力トルクを制限するモータ制御手段(モータコントローラ28)と、
を備える構成とした。
これにより、自動変速機3の変速中、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量が変速後定常走行時伝達トルク容量よりも低いときに、摩擦クラッチ9cの差回転を抑制することができる。
(2) 前記モータ制御手段(モータコントローラ28)は、前記自動変速機3の変速中、変速機入力回転数が変化するイナーシャフェーズ処理が終了した後、前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)が完全締結するまでの間、前記モータ(駆動用モータジェネレータ2)の出力トルクを制限する構成とした。
これにより、(1)の効果に加え、モータトルクが増加するシーンであっても、モータ回転数の吹け上がりを適切に抑制し、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を防止することができる。
(3) 前記モータ制御手段(モータコントローラ28)は、前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量を推定する伝達トルク容量推定部28aと、
前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量の推定値を下回るように、前記モータ(駆動用モータジェネレータ2)の出力トルクの上限値を設定するモータトルク設定部28bと、を有する構成とした。
これにより、(1)又は(2)の効果に加え、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を防止しつつ、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを大きくして加速性の向上を図ることができる。
(4) 前記モータトルク設定部28bは、前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)の伝達トルク容量推定値から所定のマージンを引いた値を、前記モータ(駆動用モータジェネレータ2)の出力トルクの上限値とする構成とした。
これにより、(3)の効果に加え、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量の推定精度が低かったり、推定値がばらついた場合であっても、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を確実に防止することができる。
(5) 前記モータトルク設定部28bは、アクセル開度が大きいほど、前記マージンを大きい値に設定する構成とした。
これにより、(4)の効果に加え、摩擦クラッチ9cのスリップを適切に抑制することができる。
(6) 前記モータトルク設定部28bは、車速が高いほど、前記マージンを小さい値に設定する構成とした。
これにより、(4)又は(5)の効果に加え、摩擦クラッチ9cのスリップを防止しつつ、モータ出力トルクをできるだけ大きくして、加速性を向上することができる。
(7) 前記摩擦締結要素制御手段43は、前記摩擦締結要素(摩擦クラッチ9c)を締結方向に駆動させ、前記伝達トルク容量を増加させる電動アクチュエータ(第2電動アクチュエータ42)を有し、
前記モータトルク設定部28bは、前記電動アクチュエータ(第2電動アクチュエータ42)の駆動量が大きいほど、前記マージンを大きい値に設定する構成とした。
これにより、(4)から(6)のいずれかの効果に加え、摩擦クラッチ9cのスリップを適切に抑制することができる。
以上、本発明の電動車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、自動変速機3の摩擦締結要素としての摩擦クラッチ9cが締結するときのアップ変速時に限って、モータトルクの立ち上がりに対し摩擦クラッチ9cの増加応答性が遅いときに、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限する例を示した。つまり、この実施例1における自動変速機3では、ダウン変速時には摩擦クラッチ9cは締結状態から解放状態へと切り替わるので、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限する必要はない。
しかしながら、これに限らず、例えば自動変速機内の締結要素が摩擦締結要素のみであり、ダウン変速時においても摩擦締結要素の締結操作が行われる場合には、本発明を適用することができる。また、摩擦クラッチと係合クラッチを備える自動変速機であっても、ダウン変速時に摩擦クラッチを締結する場合には、ダウン変速時に本発明を適用することができる。
すなわち、自動変速機が有する締結要素の種類や変速制御に拘らず、摩擦締結要素を締結する変速を行う自動変速機を備えた電動車両であれば、本発明を適用することができる。
また、実施例1では、駆動源として駆動用モータジェネレータ2を有する電気自動車に適用した例を示したが、これに限らない。例えば、駆動用モータとエンジンによって駆動する発電用ジェネレータを個別に有するハイブリッド車両や、エンジンによって走行が可能なハイブリッド車両、また、プラグインハイブリッド車両や燃料電池車両であっても適用することができる。
そして、実施例1では、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを制限する際、摩擦クラッチ9cの伝達トルク容量推定値から所定のマージンを差し引いた値をモータトルク上限値とする例を示したが、これに限らない。例えば、マージンを差し引かない摩擦クラッチ伝達トルク容量推定値をモータトルク上限値としてもよい。この場合では、摩擦クラッチ9cの差回転の発生を抑制しつつ、駆動用モータジェネレータ2の出力トルクを最大にすることができ、加速性のさらなる向上を図ることができる。
さらに、実施例1では、摩擦クラッチ9cが第2電動アクチュエータ42によってスライダ9fをストローク駆動することで締結/解放を制御する構成としたが、これに限らない。例えば、作動油圧によってスライダ9fをストローク駆動するものであってもよい。この場合、摩擦クラッチ伝達トルク容量は、作動油圧に基づいて推定する。つまり、作動油圧に対する摩擦クラッチ伝達トルク容量のマップを有し、作動油圧とこのマップを用いて摩擦クラッチ伝達トルク容量を推定する。
2 駆動用モータジェネレータ(モータ)
3 自動変速機
8c 係合クラッチ
9c 摩擦クラッチ(摩擦締結要素)
9f スライダ
14 駆動輪
21 変速コントローラ
22 車速センサ
23 アクセル開度センサ
26 スライダ位置センサ
28 モータコントローラ(モータ制御部)
28a 伝達トルク容量推定部
28b モータトルク設定部
42 第2電動アクチュエータ
43 摩擦締結要素制御手段

Claims (7)

  1. モータを有する駆動源と、前記駆動源と駆動輪の間に配設され、摩擦締結要素の締結により所定の変速段を達成する自動変速機と、を備えた電動車両において、
    前記自動変速機の変速中、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量を変速後定常走行時伝達トルク容量に向けて増加させる摩擦締結要素制御手段と、
    前記摩擦締結要素の伝達トルク容量の増加中、前記モータの出力トルクの立ち上がりに対して前記摩擦締結要素の伝達トルク容量の増加応答性が遅い場合、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量を下回るように、前記モータの出力トルクを制限するモータ制御手段と、
    を備えることを特徴とする電動車両の制御装置。
  2. 請求項1に記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータ制御手段は、前記自動変速機の変速中、変速機入力回転数が変化するイナーシャフェーズ処理が終了した後、前記摩擦締結要素が完全締結するまでの間、前記モータの出力トルクを制限する
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータ制御手段は、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量を推定する伝達トルク容量推定部と、
    前記摩擦締結要素の伝達トルク容量推定値に応じて、前記モータの出力トルクの上限値を設定するモータトルク設定部と、を有する
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
  4. 請求項3に記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータトルク設定部は、前記摩擦締結要素の伝達トルク容量推定値から所定のマージンを引いた値を、前記モータの出力トルクの上限値とする
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
  5. 請求項4に記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータトルク設定部は、アクセル開度が大きいほど、前記マージンを大きい値に設定する
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
  6. 請求項4又は請求項5の記載された電動車両の制御装置において、
    前記モータトルク設定部は、車速が高いほど、前記マージンを小さい値に設定する
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
  7. 請求項4から請求項6のいずれか一項に記載された電動車両の制御装置において、
    前記摩擦締結要素制御手段は、前記摩擦締結要素を締結方向に駆動させ、前記伝達トルク容量を増加させる電動アクチュエータを有し、
    前記モータトルク設定部は、前記電動アクチュエータの駆動量が大きいほど、前記マージンを大きい値に設定する
    ことを特徴とする電動車両の制御装置。
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