以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係るスイッチング電源100の一例を示す。図1において、スイッチング電源100は、DC-DCコンバータ101(1)と、DC-DCコンバータ101(2)と、DC-DCコンバータ101(3)と、制御回路102と、コンデンサ103とを有する。図1において、DC-DCコンバータ101(1)と、DC-DCコンバータ101(2)と、DC-DCコンバータ101(3)とのそれぞれの入力は、電圧Vinの同一の直流電源に接続されている。また、DC-DCコンバータ101(1)の出力と、DC-DCコンバータ101(2)の出力と、DC-DCコンバータ101(3)の出力は、直列に接続されている。
ここで、DC-DCコンバータ101(1)と、DC-DCコンバータ101(2)と、DC-DCコンバータ101(3)とは、同一又は同様の機能を有する。尚、以降の説明において、DC-DCコンバータ101(1)と、DC-DCコンバータ101(2)と、DC-DCコンバータ101(3)とに共通の説明を行う場合は、符号末尾の(番号)を省略して、DC-DCコンバータ101と表記する。また、後述する他の素子についても符号末尾の(番号)は、各DC-DCコンバータ101の(番号)に対応し、各素子に共通の説明を行う場合は、符号末尾の(番号)を省略して表記する。
各DC-DCコンバータ101は、直流電源から供給される入力電圧Vinに応じて、昇降圧変換した電圧を出力する。例えばDC-DCコンバータ101(1)は、入力電圧Vinを変換して電圧Vo1を出力する。同様に、DC-DCコンバータ101(2)およびDC-DCコンバータ101(3)は、入力電圧Vinを変換して、それぞれ電圧Vo2および電圧Vo3を出力する。図1の例では、DC-DCコンバータ101(1)の出力(電圧Vo1)と、DC-DCコンバータ101(2)の出力(電圧Vo2)と、DC-DCコンバータ101(3)の出力(電圧Vo3)とが直列に接続されている。従って、スイッチング電源100は、DC-DCコンバータ101の各出力電圧を加算した電圧Vout(Vo1+Vo2+Vo3)を出力する。尚、図1の例では、3つのDC-DCコンバータ101を直列に接続しているが、2つまたは4以上のDC-DCコンバータ101を直列に接続する場合においても本実施形態と同様の効果が得られる。
制御回路102は、直列に接続されたDC-DCコンバータ101の出力電圧Voutが予め設定された電圧(第1電圧)になるように、各DC-DCコンバータ101を制御する回路である。図1において、制御回路102は、抵抗R11,R12,R13と、増幅回路AMPと、三角波発振器OSC(OSCirator)と、比較回路COMPと、基準電圧Vrefを与える電源Psとを有する。
抵抗R11および抵抗R12は、スイッチング電源100の出力電圧Voutをモニタするために、出力電圧Voutを分圧する回路である。尚、抵抗R11に加えられる出力電圧Voutは、スイッチング電源100から負荷Ldに出力される電圧を電気的に絶縁する回路を通してモニタされる。或いは、制御回路102の接地をスイッチング電源100の出力の接地と共通にして、スイッチング電源100から負荷Ldに出力される電圧を直接、抵抗R11に加えてもよい。
増幅回路AMPは、電源Psにより与えられる基準電圧Vrefと、抵抗R11と抵抗R12とで分圧された出力電圧Voutとの差の電圧を出力する。増幅回路AMPは、基準電圧Vrefに応じて、比較回路COMPに出力する出力電圧Voutのモニタ電圧を調整することができる。
三角波発振器OSCは、三角波を出力する発振器である。
比較回路COMPは、増幅回路AMPの出力電圧と、三角波発振器OSCが出力する三角波の電圧とを比較して、三角波の電圧が増幅回路AMPの出力電圧より大きい場合に正のパルスを出力する。比較回路COMPが出力するパルスPWは、DC-DCコンバータ101に与えられる。ここで、比較回路COMPが出力するパルスPWの幅は、スイッチング電源100の出力電圧Voutが基準電圧Vrefよりも大きい場合に狭くなり、スイッチング電源100の出力電圧Voutが基準電圧Vrefよりも小さい場合に広くなる。
次に、DC-DCコンバータ101の回路について説明する。尚、ここでは、DC-DCコンバータ101(1)の回路について説明するが、DC-DCコンバータ101(2)およびDC-DCコンバータ101(3)の回路も同じである。
図1において、DC-DCコンバータ101(1)は、トランスTr2(1)と、トランスTr2(1)の一次側回路および二次側回路とを有する。一次側回路は、駆動回路201(1)と、トランスTr1(1)と、スイッチQ(1)と、抵抗R1(1),R2(1)と、ダイオードD1(1)と、コンデンサC1(1)とを有する。二次側回路は、ダイオードD2(1),D3(1)と、コンデンサC2(1)と、チョークコイルL1(1)と、抵抗R3(1)と、ローカル制御部202(1)とを有する。
駆動回路201(1)は、制御回路102から出力されるパルスPWでトランスTr1(1)を駆動するための回路を有する。また、駆動回路201(1)は、後述するローカル制御部202(1)が出力するSTOP信号により、制御回路102から出力されるパルスPWをトランスTr1(1)に出力するか否かを制御する。
トランスTr1(1)は、制御回路102から出力されるパルスPWをDC-DCコンバータ101(1)内部の回路に電気的に絶縁して伝えるためのパルストランスである。
トランスTr2(1)は、直流電源から流れる電流をスイッチングすることにより、一次側コイルの端子a1と端子a2との間に発生する交流電圧を変圧して二次側コイルに出力する。
スイッチQ(1)は、例えばFETが用いられる。スイッチQ(1)は、トランスTr2(1)の一次側コイルに流れる電流をオンオフする。また、スイッチQ(1)は、制御回路102が出力するパルスPWによりオンオフされる。ここで、制御回路102は、DC-DCコンバータ101(2)のスイッチQ(2)およびDC-DCコンバータ101(3)のスイッチQ(3)についても、スイッチQ(1)と同一のパルスPWにより共通にオンオフする。このように、本実施形態では、制御回路102は、複数のDC-DCコンバータ101のスイッチング動作を同一の制御信号(パルスPW)により共通に制御する。
抵抗R1(1)は、スイッチQ(1)のゲートに流れる電流を調整する。
ダイオードD1(1)、コンデンサC1(1)および抵抗R2(1)は、トランスTr2(1)がオフした時に発生するサージ電圧を吸収するための保護回路である。
ダイオードD2(1)およびダイオードD3(1)は、トランスTr2(1)の二次側コイルに発生する交流を直流に変換するための整流用のダイオードである。ダイオードD2(1)のアノードは二次側コイルの端子b1、ダイオードD3(1)のアノードは二次側コイルの端子b2にそれぞれ接続される。そして、二次側コイルの端子b2側を基準として、ダイオードD2(1)およびダイオードD3(1)のカソード側に正電圧が出力される。
チョークコイルL1(1)およびコンデンサC2(1)は、ダイオードD2(1)およびダイオードD3(1)により整流された直流電圧のリップルを除去するためのフィルタとして機能する。
抵抗R3(1)は、例えば数MΩオーダーのダミー抵抗で、無負荷時や軽負荷時にコンデンサC2(1)を放電する。尚、放電特性は、抵抗R3(1)とコンデンサC2(1)との時定数で決まる。
ローカル制御部202(1)は、駆動回路201(1)の動作を制御するSTOP信号を駆動回路201(1)に出力する。例えば、ローカル制御回路202(1)は、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1が予め設定された第2電圧を超えた場合に、STOP信号により、駆動回路201(1)がパルスPWをトランスTr1(1)に出力しないように制御する。また、ローカル制御部202(1)は、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1が予め設定された第3電圧よりも低下した場合に、STOP信号により、駆動回路201(1)がパルスPWをトランスTr1(1)に出力するように制御する。ここで、第2電圧は、第3電圧よりも大きい。これにより、DC-DCコンバータ101(1)は、出力電圧Vo1が第2電圧と第3電圧との範囲内に収まるように制御する。例えば、所望の出力電圧が100Vの場合、第2電圧は110V、第3電圧は90Vにそれぞれ設定され、ローカル制御回路202(1)の制御により、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1は、110Vと90Vの範囲内に抑えられる。
このようにして、DC-DCコンバータ101(1)は、直流電源から供給される入力電圧Vinを電圧Vo1に変換して出力する。尚、同様に、DC-DCコンバータ101(2)およびDC-DCコンバータ101(3)は、直流電源から供給される入力電圧Vinを電圧Vo2および電圧Vo3にそれぞれ変換して出力する。
そして、DC-DCコンバータ101(1)の正電圧側がコンデンサ103の正極側に接続され、負電圧側がDC-DCコンバータ101(2)の正電圧側に接続される。さらに、DC-DCコンバータ101(2)の負電圧側がDC-DCコンバータ101(3)の正電圧側に接続され、DC-DCコンバータ101(3)の負電圧側がコンデンサ103の負極側に接続される。
このようにして、本実施形態に係るスイッチング電源100は、DC-DCコンバータ101(1)の電圧Vo1と、DC-DCコンバータ101(2)の電圧Vo2と、DC-DCコンバータ101(3)の電圧Vo3とが加算された出力電圧Voutを負荷Ldに供給する。ここで、一例として、入力電圧Vinが12V、各DC-DCコンバータ101の電圧Vo1、電圧Vo2および電圧Vo3が100Vとした場合、スイッチング電源100は、300Vの出力電圧Voutを負荷Ldに供給する。
尚、図1は、3台のDC-DCコンバータ101を直列に接続する例を示したが、2個または4個以上のDC-DCコンバータ101を直列に接続した場合でも本実施形態に係るスイッチング電源100と同様の効果が得られる。
図2は、比較例のスイッチング電源900の一例を示す。尚、図2において、スイッチング電源900は、DC-DCコンバータ901(1)と、DC-DCコンバータ901(2)と、DC-DCコンバータ901(3)と、制御回路102と、コンデンサ103とを有する。ここで、図2において、図1と同符号の素子は、図1の素子と同一又は同様の機能を有する。
図2において、DC-DCコンバータ901(1)、DC-DCコンバータ901(2)およびDC-DCコンバータ901(3)は、図1で説明した3つのDC-DCコンバータ101と同様に直列に接続されている。
図2において、DC-DCコンバータ901(1)は、直流電源から供給される入力電圧Vinを変換した電圧Vo1を出力する。尚、DC-DCコンバータ901(2)およびDC-DCコンバータ901(3)は、DC-DCコンバータ901(1)と同様に、直流電源から供給される入力電圧Vinを変換した電圧Vo2および電圧Vo3をそれぞれ出力する。そして、スイッチング電源900は、各DC-DCコンバータ901の出力電圧を加算した電圧Vout(Vo1+Vo2+Vo3)を出力する。
ここで、図2の比較例において、図1と異なる部分は、各DC-DCコンバータ901の出力電圧をモニタする図1に示したローカル制御回路202が無いことである。また、図2の比較例において、駆動回路902は、図1に示した駆動回路201のようにSTOP信号による制御が行われておらず、制御回路102が出力するパルスPWが常にトランスTr1に与えられる。
このようにして、DC-DCコンバータ901は、出力電圧に偏りが生じた場合に出力電圧の偏りを調整する回路がなく、特定のDC-DCコンバータ901の出力電圧が他のDC-DCコンバータ901の出力電圧よりも大きくなってしまう可能性がある。例えば負荷Ldに供給する電圧が300Vに設定されている場合、DC-DCコンバータ901(1)、DC-DCコンバータ901(2)およびDC-DCコンバータ901(3)の出力電圧を加算した電圧Voutは、300Vになるように制御される。ところが、DC-DCコンバータ901(1)の出力電圧Vo1が100Vで、DC-DCコンバータ901(2)の出力電圧Vo2が70Vの場合、DC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3は130Vになる。ここで、DC-DCコンバータ901(3)の出力コンデンサC2(3)の耐圧が120Vの場合、出力コンデンサC2(3)は、耐圧オーバーとなり、最悪の場合、絶縁破壊される可能性がある。
図3は、スイッチQの周辺回路の一例を示す。ここで、スイッチQは、図1に示したDC-DCコンバータ101(1)のスイッチQ(1)、DC-DCコンバータ101(2)のスイッチQ(2)およびDC-DCコンバータ101(3)のスイッチQ(3)に対応する。そして、トランスTr1は、図1に示したトランスTr1(1)、トランスTr1(2)およびトランスTr1(3)に対応する。また、抵抗R1は、図1に示した抵抗R1(1)、抵抗R1(2)および抵抗R1(3)に対応する。尚、図3に示した回路は、図2に示した比較例のスイッチング電源900のDC-DCコンバータ901と同じである。
図3において、スイッチQとして用いられるFETは、ゲートとソースとの間に与えられるゲート・ソース間電圧がVgsで、入力容量がCissである。ところが、数十アンペアなどの比較的大きな電流を流すことができるFETは、数アンペア程度のFETに比べて入力容量Cissが大きい。入力容量Cissが相対的に大きいFETは、パルスPWを受けたときにゲートソース間電圧Vgsが立ち上がるまでの時間が長くなる。このため、スイッチQは、パルスPWのオン幅が相対的に短くなるにつれて、オンしにくくなり、パルスPWのオン幅が相対的に長くなるにつれて、オンしやすくなる。
図4は、負荷電流IoとパルスPWのオン幅の特性例を示す。図4において、横軸は負荷電流Io(A)、縦軸はパルスPWのオン幅(μs)をそれぞれ示す。図4に示すように、制御回路102は、負荷電流Ioが大きくなる(重負荷)につれてパルスPWのオン幅を長くし、負荷電流Ioが小さくなる(軽負荷)につれてパルスPWのオン幅を短くするように制御する。
このようにして、制御回路102は、出力電圧Voutが所望の電圧になるように、DC-DCコンバータ101(1)、DC-DCコンバータ101(2)およびDC-DCコンバータ101(3)の3つのDC-DCコンバータ101を制御する。
図5は、入力容量Cissが相対的に大きいFETにおいて、負荷Ldの大きさが異なる場合のスイッチQの動作例を示す。ここで、負荷Ldに流れる電流の大きさに応じて軽負荷または重負荷と称する。例えば、軽負荷は負荷Ldに流れる電流が数アンペア程度とし、重負荷は負荷Ldに流れる電流が数十アンペアとする。
図5(a)は、軽負荷時におけるパルスPW、ゲートソース間電圧Vgsおよびドレイン電流Idの一例を示す。図5(b)は、重負荷時におけるパルスPW、ゲートソース間電圧Vgsおよびドレイン電流Idの一例を示す。ここで、図4で説明したように、制御回路102は、軽負荷時のパルスPWのオン幅が重負荷時のパルスPWのオン幅よりも狭くなるように制御する。
図5(a)において、軽負荷時はパルスPWのオン幅が重負荷時よりも狭いので、タイミングT1でパルスPWがオンになってからスイッチQのゲートソース間電圧Vgsが十分に上昇しない内にパルスPWがオフになる(タイミングT2)。このため、ゲートソース間電圧Vgsは、スイッチQがオンするスレシホールドThの電圧より大きくならず、スイッチQはオフしたままの状態になり、ドレイン電流Idは流れない。
これに対して、図5(b)において、重負荷時はパルスPWの幅が軽負荷時よりも広いので、タイミングT1でパルスPWがオンになってからスイッチQのゲートソース間電圧VgsがタイミングT3でスレシホールドThの電圧より大きくなる。そして、タイミングT4でパルスPWがオフになってからタイミングT5でゲートソース間電圧VgsがスレシホールドThの電圧以下になり、スイッチQはオフする。これにより、タイミングT3からタイミングT5までの期間、スイッチQのドレイン電流Idが流れる。
このように、スイッチQが入力容量Cissの相対的に大きなFETの場合、スイッチQが軽負荷時にオンしないことがある。尚、スイッチング電源100は、1つのスイッチQで動作させるので、重負荷時にも対応できるFETが用いられ、軽負荷時だけに用いるFETに比べて入力容量Cissは大きくなる。また、スレシホールドThは、スイッチQとして使用するFETの素子ばらつきがあり、同じ電圧でオンオフしない場合がある。従って、DC-DCコンバータ101(1)のスイッチQ(1)、DC-DCコンバータ101(2)のスイッチQ(2)およびDC-DCコンバータ101(3)のスイッチQ(3)は、軽負荷時において、いずれかのスイッチQがオンしない状態になる場合が生じる。これは、図2に示した比較例のスイッチング電源900におけるDC-DCコンバータ901(1)のスイッチQ(1)、DC-DCコンバータ901(2)のスイッチQ(2)およびDC-DCコンバータ901(3)についても同様である。このように、スイッチQが動作しないDC-DCコンバータ101(DC-DCコンバータ901)がある場合、他のDC-DCコンバータ101(DC-DCコンバータ901)が不足する出力電圧Voをカバーするように動作する。このため、他のDC-DCコンバータ101(DC-DCコンバータ901)の出力電圧Voが高くなり、出力のコンデンサC2が絶縁破壊される危険がある。
そこで、本実施形態に係るスイッチング電源100は、図1に示したように、ローカル制御回路202により各DC-DCコンバータの101出力電圧Voが予め設定された閾値を超えないように駆動回路201を制御する。これにより、スイッチング電源100は、DC-DCコンバータ101の出力電圧Voが出力のコンデンサC2の耐圧を比較例のDC-DCコンバータ901に比べて低く抑えることができる。
図6は、比較例のスイッチング電源900の負荷電流Ioと出力電圧Voutの特性例を示す。尚、図6の例では、DC-DCコンバータ901(1)、DC-DCコンバータ901(2)およびDC-DCコンバータ901(3)の合計の出力電圧Voutは、300Vである。このような場合、DC-DCコンバータ901(1)の出力電圧Vo1、DC-DCコンバータ901(2)の出力電圧Vo2およびDC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3は、それぞれ100Vになるのが理想的である。尚、本実施形態に係るDC-DCコンバータ101(1)、DC-DCコンバータ101(2)およびDC-DCコンバータ101(3)についても、図1に示したローカル制御回路202が駆動回路201を制御しない場合の出力電圧の特性は、図6と同じである。
DC-DCコンバータ901で用いるスイッチQ(DC-DCコンバータ101のスイッチQも同様)は、重負荷に対応するFETが用いられる。従って、図3で説明したように、入力容量Cissが大きく、また、スレシホールドThの電圧にばらつきがあり、スイッチQがオンするタイミングに偏りが生じる。このため、図6に示すように、軽負荷時のDC-DCコンバータ901(1)の出力電圧Vo1と、DC-DCコンバータ901(2)の出力電圧Vo2と、DC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3とにばらつきが生じる。ここで、制御回路102は、スイッチング電源900の出力電圧Voutをモニタして所定電圧(例えば300V)になるように制御するので、電圧Vo1、電圧Vo2および電圧Vo3の合計の電圧が所定電圧になる。このため、図6に示したように、DC-DCコンバータ901(1)の出力電圧Vo1およびDC-DCコンバータ901(2)の出力電圧Vo2がそれぞれ100Vに満たない場合、DC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3で不足分を補うことになる。ところが、DC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3が3つのDC-DCコンバータ901で等分した理想的な出力電圧(100V)よりも大きくなり、DC-DCコンバータ901(3)のC2(3)の耐圧を超えることがある。この場合、C2(3)は、絶縁破壊される。或いは、300Vに対応できる耐圧の高いコンデンサを用いることが求められ、コンデンサのサイズが大きくなり、コンデンサの耐圧の高さに応じてコストが高くなるという問題がある。尚、図6において、負荷が重い場合、DC-DCコンバータ901(1)のスイッチQ(1)、DC-DCコンバータ901(2)のスイッチQ(2)およびDC-DCコンバータ901(3)のスイッチQ(3)は、全てがオン状態になる。これにより、DC-DCコンバータ901(1)の出力電圧Vo1、DC-DCコンバータ901(2)の出力電圧Vo2およびDC-DCコンバータ901(3)の出力電圧Vo3は、出力電圧Voutを等分した理想的な電圧(100V)に安定する。尚、図6の例において、電圧Vo1、電圧Vo2および電圧Vo3の各線は、わかり易いように、上下に少しずつずらして描いてある。
このように、比較例のDC-DCコンバータ901は、軽負荷時に出力電圧がばらついて偏りが生じるという問題が生じる。
そこで、本実施形態に係るスイッチング電源100は、図1で説明したように、ローカル制御回路202によりDC-DCコンバータの101の出力電圧Voが予め設定された閾値を超えないように駆動回路201を制御する。
図7は、軽負荷時における本実施形態に係るスイッチング電源100の出力電圧Voutの特性例を示す。尚、図7において、横軸は時間tを示している。また、図7の例では、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1、DC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2、DC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3の合計の出力電圧Voutは、300Vである。
ここで、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1、DC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2およびDC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3は、それぞれ100Vになるのが理想的であるが、軽負荷時は、図6で説明したように、出力電圧Vo1、出力電圧Vo2および出力電圧Vo3は、ばらついて偏りが生じる。図7の時刻Tcより前の出力電圧Vo1、出力電圧Vo2および出力電圧Vo3は、図6に示した軽負荷時の各出力電圧を示している。例えば図7の時刻Tc以前の出力電圧Vo1は約120V、出力電圧Vo2は約100V、出力電圧Vo3は約80Vであり、出力電圧Vo1、出力電圧Vo2および出力電圧Vo3の合計の出力電圧Voutは、300Vである。
図7において、本実施形態の効果がわかり易いように、時刻Tcより前の特性は比較例のスイッチング電源900の特性を示し、時刻Tcより後の特性は本実施形態に係るスイッチング電源100の特性を示してある。尚、比較例のスイッチング電源900の特性は、例えば図1において、ローカル制御回路202が駆動回路201の動作を制御しない場合の特性に相当する。そして、本実施形態のように、ローカル制御回路202が駆動回路201の動作を制御する場合、各出力電圧Voは、図7の時刻Tcより後の特性を示し、ローカル制御回路202は、各出力電圧Voが予め設定された電圧の範囲内に収まるように制御する。図7の例において、上限電圧VsHは110V、下限電圧VsLは90Vにそれぞれ設定されている。
図7の時刻Tcにおいて、DC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3は約120Vであり、上限電圧VsHの110Vを超えているので、ローカル制御回路202(3)は、駆動回路201(3)の動作を停止させる。つまり、ローカル制御回路202(3)は、駆動回路201(3)からパルスPWをトランスTr1(3)に出力しないように制御する。これにより、DC-DCコンバータ101(3)は、コンデンサC2(3)と抵抗R3(3)とで決まる時定数に応じて出力電圧Vo3が低下し始める。DC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3が低下すると、制御回路102は、出力電圧Voutが300Vを維持するように、パルスPWのオン幅を広げるように制御する。これにより、DC-DCコンバータ101(1)およびDC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo1および出力電圧Vo2が上昇し始める。
そして、時刻TdでDC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2が上限電圧VsHに達すると、DC-DCコンバータ101(2)のローカル制御回路202(2)が駆動回路201(2)の動作を停止する。つまり、ローカル制御回路202(2)は、駆動回路201(2)からパルスPWをトランスTr1(2)に出力しないように制御する。これにより、DC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2は、コンデンサC2(2)と抵抗R3(2)とで決まる時定数に応じて低下し始める。DC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo3が低下すると、制御回路102は、出力電圧Voutが300Vを維持するように、パルスPWのオン幅をさらに広げるように制御する。これにより、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1がさらに上昇し始める。
そして、時刻TeでDC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3が下限電圧VsLに達すると、DC-DCコンバータ101(3)のローカル制御回路202(3)が駆動回路201(3)の動作の停止を解除する。つまり、ローカル制御回路202(3)は、駆動回路201(3)からパルスPWをトランスTr1(3)に出力する。これにより、DC-DCコンバータ101(3)は、動作を再開して出力電圧Vo3が上昇し始める。この時点で、DC-DCコンバータ101(1)とDC-DCコンバータ101(3)とが動作して、出力電圧Vo1と出力電圧Vo3とが上昇し、DC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2の低下分を補う。
そして、時刻TfでDC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1が上限電圧VsHに達すると、DC-DCコンバータ101(1)のローカル制御回路202(1)が駆動回路201(1)の動作を停止する。つまり、ローカル制御回路202(1)は、駆動回路201(1)からパルスPWをトランスTr1(1)に出力しないように制御する。これにより、DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1は、コンデンサC2(1)と抵抗R3(1)とで決まる時定数に応じて低下し始める。DC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1が低下すると、DC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3がさらに上昇し始める。
そして、時刻TgでDC-DCコンバータ101(2)の出力電圧Vo2が下限電圧VsLに達すると、DC-DCコンバータ101(2)のローカル制御回路202(2)が駆動回路201(2)の動作の停止を解除する。これにより、DC-DCコンバータ101(2)は、動作を再開して出力電圧Vo2が上昇し始める。
同様に、時刻ThでDC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo3が上限電圧VsHに達すると、DC-DCコンバータ101(3)のローカル制御回路202(3)が駆動回路201(3)の動作を停止する。これにより、DC-DCコンバータ101(3)の出力電圧Vo1は、コンデンサC2(3)と抵抗R3(3)とで決まる時定数に応じて低下し始める。
そして、時刻TiでDC-DCコンバータ101(1)の出力電圧Vo1が下限電圧VsLに達すると、DC-DCコンバータ101(1)のローカル制御回路202(1)が駆動回路201(1)の動作の停止を解除する。これにより、DC-DCコンバータ101(1)は、動作を再開して出力電圧Vo1が上昇し始める。
このようにして、本実施形態に係るスイッチング電源100は、どの時点においても出力電圧Voutを300Vに維持するように制御することができる。そして、本実施形態に係るスイッチング電源100は、各DC-DCコンバータ101の出力電圧Voが予め設定された上限電圧VsHを超えないように制御することができる。これにより、本実施形態に係るスイッチング電源100の出力コンデンサC2の耐圧が比較例のスイッチング電源900に比べて低く抑えられ、部品コストの低減や部品サイズを小さくすることができる。
尚、図7の例では、DC-DCコンバータ101(1)からDC-DCコンバータ101(3)までの3つのDC-DCコンバータ101は、少なくとも1つのDC-DCコンバータ101がオンした状態になるように制御されている。これは、3つのDC-DCコンバータ101が全てオフした場合、スイッチング電源100は、3つのDC-DCコンバータ101の出力電圧Vo1からVo3までの合計の電圧を例えば300Vに維持することが難しくなるからである。
図8は、駆動回路201およびローカル制御回路202の一例を示す。図8において、駆動回路201は、トランスTr1を介してスイッチQを駆動するための回路である。駆動回路201は、ローカル制御回路202が出力するSTOP信号により、制御回路102が出力するパルスPWをスイッチQ側に与えるか否かを制御する。尚、図2に示した比較例のスイッチング電源900における駆動回路902は、制御回路102が出力するパルスPWを常にスイッチQ側に与える。
図8において、駆動回路201は、論理積回路AND1と、トランジスタQ21,Q22およびQ23と、抵抗R20,R21,R22,R23およびR24と、コンデンサC21とを有する。尚、図8に示すフォトカプラPC1は、駆動回路201と後述するローカル制御回路202とを電気的に絶縁するための回路であり、駆動回路201に含めてもよいし、ローカル制御回路202に含めてもよい。
論理積回路AND1は、制御回路102が出力するパルスPWと、後述するローカル制御回路202が出力するSTOP信号との論理積を出力する。ここで、STOP信号は、パルスPWをスイッチQ側に出力する場合に論理”1”、パルスPWをスイッチQ側に出力しない場合に論理”0”をそれぞれ出力する。つまり、DC-DCコンバータ101は、STOP信号が論理”1”の時に動作を行い、STOP信号が論理”0”の時に動作を停止する。尚、STOP信号は、フォトカプラPC1の出力端子taが抵抗R20により電源Vccにプルアップされて論理積回路AND1に入力される。フォトカプラPC1は、オンの時に端子taと端子tbとの間が導通状態になり、STOP信号は論理”0”になる。逆に、フォトカプラPC1は、オフの時に端子taと端子tbとの間がオフになり、STOP信号は論理”1”になる。
トランジスタQ21,Q22およびQ23は、論理積回路AND1が出力するパルスPWでトランスTr1をドライブする回路である。論理積回路AND1が論理”1”を出力すると、抵抗R21を介してトランジスタQ21のベース電流が流れてトランジスタQ21がオンする。トランジスタQ21がオンすると、電源VccからトランジスタQ21のコレクタ電流が抵抗R22を介して流れるので、トランジスタQ22はオンになり、トランジスタQ23はオフになる。トランジスタQ22がオンすると、電源VccからトランジスタQ22、抵抗R23、コンデンサC21およびトランスTr1の一次側に電流iが流れ、コンデンサ21がチャージされる。
そして、論理積回路AND1が論理”0”を出力すると、トランジスタQ21がオフする。トランジスタQ21がオフすると、トランジスタQ22はオフになり、トランジスタQ23はオンになる。トランジスタQ23がオンすると、コンデンサC21が放電して、抵抗R24、トランジスタQ23およびトランスTr1の一次側に電流iとは逆方向に電流が流れる。
このようにして、駆動回路201は、STOP信号が”1”の場合、制御回路102が出力するパルスPWに応じて、トランスTr1の一次側の電流が変化し、トランスTr1の二次側にパルスPWを伝えることができる。これにより、図1に示したスイッチQはオンオフするので、DC-DCコンバータ101は、動作状態になる。一方、STOP信号が”0”の場合、トランジスタQ21およびトランジスタQ22はオフ、トランジスタQ23はオンの状態にそれぞれ固定され、コンデンサC21が放電したままとなり、トランスTr1の一次側に電流は流れない。つまり、図1に示したスイッチQはオフしたままの状態になり、DC-DCコンバータ101は、動作を停止する。
次に、図8において、ローカル制御回路202は、ツェナーダイオードZD1と、トランジスタQ30,Q31と、抵抗R31,R32,R33,R34、R35およびR36とを有する。
ツェナーダイオードZD1は、逆方向に掛かる電圧がデバイス固有の電圧(ツェナー電圧Vz)を超えると電流が流れて定電圧を維持するダイオードである。図8の例では、抵抗R31,R32およびR33とツェナーダイオードZD1が直列に接続されて、DC-DCコンバータ101の出力に入っている。
図8において、トランジスタQ31は、抵抗R33の両端に掛かる電圧Vr33がトランジスタQ31がオンするベース・エミッタ電圧Vbeより大きくなった時にオンする。ここで、抵抗R31,R32およびR33の和を抵抗Raと置くと、トランジスタQ31がオンする時のDC-DCコンバータ101の電圧VsHは、(式1)で表すことができる。
VsH = Ra / R33 × Vbe + Vz ・・・ (式1)
そして、トランジスタQ31がオンすると、抵抗R36とフォトカプラPC1の発光ダイオードに電流が流れてSTOP信号が論理”0”になる。また、トランジスタQ31がオンすると、抵抗R34,R35にも電流が流れて、トランジスタQ30がオンし、抵抗R31ではなく、トランジスタQ30からツェナーダイオードZD1,抵抗R32およびR33に電流が流れ、トランジスタQ31はオン状態を維持する。
ここで、トランジスタQ30がオンしている時、DC-DCコンバータ101の出力電圧VoがツェナーダイオードZD1,抵抗R32およびR33に掛かる。そこで、抵抗R32およびR33の和を抵抗Rbと置くと、トランジスタQ31がオフする時のDC-DCコンバータ101の電圧VsLは、(式2)で表すことができる。
VsL = Rb / R33 × Vbe + Vz ・・・ (式2)
(式1)と(式2)とにおいて、Ra>Rbなので、VsH>VsLとなり、トランジスタQ31は、ヒステリシスを持ってオンオフする。
図9は、トランジスタQ31がオンオフする時のヒステリシス特性の一例を示す。図9において、DC-DCコンバータ101の出力電圧VoがVsHより大きくなるとトランジスタQ31がオン(OFFからON)し、DC-DCコンバータ101の出力電圧VoがVsLより小さくなるとトランジスタQ31がオフ(ONからOFF)する。ここで、DC-DCコンバータ101の出力電圧VoがVsHより大きくなるとトランジスタQ31がオンしてSTOP信号の論理が”0”になり、DC-DCコンバータ101の動作が停止する。逆に、DC-DCコンバータ101の出力電圧VoがVsLより小さくなるとトランジスタQ31がオフしてSTOP信号の論理が”1”になり、DC-DCコンバータ101の動作が再開される。
図9において、例えば図7で説明したように、電圧VsHは110V、電圧VsLは90Vのように設定される。尚、電圧VsHおよび電圧VsLは、図8に示したローカル制御回路202のツェナーダイオードZD1のツェナー電圧Vzと、抵抗R31,R32およびR33の値により調整することができる。
このようにして、本実施形態に係るスイッチング電源100は、図7で説明したように、軽負荷時において各DC-DCコンバータ101の出力電圧Voに偏りが生じた場合でも、出力電圧Voが電圧VsHを超えないようにすることができる。これにより、出力回路のコンデンサC2が耐圧オーバーで壊れることを防止できる。
尚、図1の例では、ローカル制御回路202は、軽負荷時と重負荷時とに拘らず、出力電圧Voをモニタして、駆動回路201を制御するようにしたが、ローカル制御回路202は、軽負荷時だけ駆動回路201を制御するようにしてもよい。
[応用例]
図10は、軽負荷時だけ駆動回路201を制御する場合の一例を示す。尚、図10において、図1と同符号のブロックは、図1と同一又は同様の機能を有する。図10において、スイッチング電源100’は、負荷電流を検出するための電流検出回路104を有する。電流検出回路104は、例えばホール素子などの非接触型のデバイスを用いてもよいし、シャント抵抗などにより電流を検出してもよい。電流検出回路104が検出した負荷電流値は、各DC-DCコンバータ101’のローカル制御回路202’に出力される。そして、ローカル制御回路202’は、電流検出回路104が出力する電流値が予め設定された閾値以上の場合、重負荷時であると判断して、図7で説明したような駆動回路201の制御を行わず、駆動回路201は、常にパルスPWをトランスTr1に出力する。逆に、ローカル制御回路202’は、電流検出回路104が出力する電流値が予め設定された閾値未満の場合、軽負荷時であると判断して、図7で説明したように、駆動回路201を制御する。
このようにして、スイッチング電源100’のローカル制御回路202’は、軽負荷時だけ駆動回路201を制御する。そして、図7で説明したように、軽負荷時において各DC-DCコンバータ101の出力電圧Voに偏りが生じた場合でも、出力電圧Voが電圧VsHを超えないようにすることができる。これにより、出力回路のコンデンサC2が耐圧オーバーで壊れることを防止できる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。