JP2015217546A - 位相差フィルム製造工程紙基材用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 位相差フィルム製造工程で使用されるハードコートフィルムにおいて、オリゴマー析出量を抑え、ハードコートフィルムの繰り返し使用性を向上させ、ハードコートフィルムを変形させることなく、位相差フィルムにおいては、スポットムラ等の欠点の発生がなく、平面性に非常に優れた、近年の要求品質である厚み帯が薄い位相差フィルムを高品質かつ安定的に得ることができる、位相差フィルム製造工程紙ハードコートフィルム基材用ポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】 一方の面にハードコート層を有し、もう一方の面の表面粗度(Ra)が70〜120nmであり、当該面を構成するポリエステル層の極限粘度が0.67以上であり、総厚みが70〜155μmであることを特徴とするポリエステルフィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差フィルム製造工程で好適に使用することのできる基材フィルムに関するものであり、詳しくは、光学用樹脂シートである位相差フィルムの樹脂を、ハードコート加工された面上においてキャスティング成型する際に用いられるポリエステルフィルムであって、コストダウンの観点から繰り返し使用が必要であり、繰り返し使用の際に位相差フィルムの欠陥となりうるオリゴマー析出を抑えることができ、かつ、近年、コストダウン、スリムデザイン化の動きから、位相差フィルムの厚みが従来の厚みと比較して薄くなってきている傾向の中、これら薄い厚み帯の位相差フィルムについて、スポットムラ等の欠点が少なく、平面性に非常に優れた位相差フィルムを得ることができるポリエステルフィルムに関するものである。
従来、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有しており、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネートフィルム、ガラスディスプレイ等のガラス表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
また、光学用樹脂シートである位相差フィルムの樹脂を、キャスティングドラム上のハードコートフィルム上で成型し(キャスティング成型)、熱処理により乾燥固化した後、ハードコートフィルムから剥離することで平面性に優れた位相差フィルムを得る製造方法が広く採用され製品化されているが、このハードコートフィルムの基材としてポリエステルフィルムが用いられている。
コストダウンの観点からハードコートフィルムは位相差フィルム剥離後に、巻き取り、繰り返し使用が必要とされているが、ポリエステルフィルムの問題として、高温の処理にさらされると、フィルム中に含有されるオリゴマー(ポリエステルの低分子量成分、特にエステル環状三量体)が、ハードコート面とは反対面のフィルム表面に析出・結晶化することで、ハードコートフィルムを巻き取った際に、ハードコート面上に付着し、これが位相差フィルム成型の際に転写され、欠陥となる。また、工程内や部材の汚染などが起こる。そのため、繰り返し使用を目的とした、ポリエステルフィルムを基材としたハードコートフィルムの特性は、十分に満足のいくものとは言えない。
また、近年、コストダウンとスリムデザイン化の動きから、位相差フィルムの厚みが従来と比較して薄い厚み帯のものが求められる傾向にあるが(例えば厚み70μmから40μmへ薄くなっている)、厚みが薄くなるとこれまでに確認できなかった欠点が確認されるようになり著しく生産性が落ちる、という問題がある。具体的には、キャスティングドラム上に微小な異物があるとキャスティングドラムと接するハードコートフィルム(キャスティングドラムと接する面はハードコート加工されていないポリエステルフィルム面側)がその異物がある部分で盛り上がるが、その部分において、位相差樹脂塗工の際に塗工厚みが薄くなり、結果的にスポットムラと呼ばれる位相差樹脂の厚みが局部的に薄くなった欠点不具合が発生するようになる。
この対策としては、キャスティングドラムの洗浄を行うことであるが、生産を度々止める必要と、洗浄作業においてかなりの手間と時間を必要とすることになり、著しく生産性を低下させ、コストアップになる問題がある。
また、キャスティングドラムの周りを囲ったり、Airの流れを制御したりするなどしてクリーン化対策を施す方法もあるが、極めて微小な異物の混入や付着を防ぐためには、クリーンレベルを極めて高い水準で維持、管理する必要があり、そのためには高価な設備が必要となってコストアップに繋がる問題がある。
特開2004-47281号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、位相差フィルム製造工程で使用されるハードコートフィルムにおいて、オリゴマー析出量を抑え、ハードコートフィルムの繰り返し使用性を向上させ、キャスティングドラム状に微小な異物があっても、ハードコートフィルムを変形させることなく、位相差フィルムにおいては、スポットムラ等の欠点の発生がなく、平面性に非常に優れた、近年の要求品質である厚み帯が薄い位相差フィルムを高品質かつ安定的に得ることができる、位相差フィルム製造工程紙ハードコートフィルム基材用ポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、特定の構成を有するフィルムによれば、上記課題を容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、一方の面にハードコート層を有し、もう一方の面の表面粗度(Ra)が70〜120nmであり、当該面を構成するポリエステル層の極限粘度が0.67以上であり、総厚みが70〜155μmであることを特徴とするポリエステルフィルムに存する。
本発明のフィルムによれば、非常に平面性良好な位相差フィルムを安定して製造することができるようになり、さらに繰り返し使用性が良好であるため、本発明の工業的価値は極めて高い。
本発明においてポリエステルフィルムに使用するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものを指す。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート等が例示される。かかるポリエステルは、共重合されないホモポリマーであってもよく、またジカルボン酸成分の20モル%以下が主成分以外のジカルボン酸成分であり、および/またはジオール成分の20モル%以下が主成分以外のジオール成分であるような共重合ポリエステルであってもよい。またそれらの混合物であってもよい。
本発明におけるポリエステルは、従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とジオールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとジオールとを従来公知のエステル交換触媒で反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることが出来る。重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等公知の触媒を使用してよい。
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素等不活性気流中に必要に応じてさらに固相重合を施してもよい。得られるポリエステルの固有粘度は0.50dl/g以上であることが好ましく、0.50〜0.90dl/gであることが好ましい。
本発明においては、熱処理後のエステル環状三量体の析出量を抑えるために、エステル環状三量体の含有量が少ないポリエステルを原料としてフィルムを製造することが挙げられる。エステル環状三量体の含有量が少ないポリエステルの製造方法としては、種々公知の方法を用いることができ、例えば、ポリエステル製造後に固相重合する方法等が挙げられる。
ポリエステルフィルムを3層以上の構成とし、ポリエステルフィルムの最外ポリエステル層にエステル環状三量体の含有量が少ないポリエステル原料を用いた層を設計することで、熱処理後のエステル環状三量体の析出量を抑える方法も可能である。
本発明におけるポリエステルフィルムの表層を構成する層には、フィルム表面における粗度形成を主たる目的として粒子を配合することが好ましい。この場合、両面同じ所定の表面粗度形成を行ってもよいし、片面のみ所定の表面粗度形成を行ってもよい。片面のみ所定の表面粗度形成を行う場合は、反対面側については、フィルムロールにした時の巻きずれ、フィルムロールからフィルムを巻き出して使用する際の走行安定性などフィルム取り扱い性の面から、所定の表面粗度より低くなるようにすることが望ましい。
配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム酸化珪素、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粒子が挙げられる。また、特公昭59−5216号公報、特開昭59−217755号公報等に記載されている耐熱性有機粒子を用いてもよい。この他の耐熱性有機粒子の例として、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等が挙げられる。さらに、ポリエステル製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、0.01〜6μmの範囲が好ましい。平均粒径が0.01μm未満の場合には、粒子が凝集しやすく、分散性が不十分な場合があり、一方、平均粒径が6μmを超える場合には、フィルムの表面粗度が粗くなりすぎて、透明性に劣るようになってしまうことがある。また、フィルム製膜工程において、フィルターの圧力上昇が大きくなり生産性を悪化させる、破断を起こしやすくなるなどの問題が生じることがある。
ポリエステル中に粒子を添加する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を採用しうる。例えば、ポリエステルを製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応を進めてもよい。また、ベント付き混練押出機を用い、エチレングリコールまたは水などに分散させた粒子のスラリーとポリエステル原料とをブレンドする方法、または、混練押出機を用い、乾燥させた粒子とポリエステル原料とをブレンドする方法などによって行われる。
ポリエステルフィルム表層中の粒子含有量は、表面粗度(Ra)が70〜120nmになるように配合することが好ましい。さらに好ましくは、70〜100nmの範囲である。本発明において、表面粗度が70nmより低い場合は、キャスティングドラム上に異物があった際、ハードコートフィルムが異物の部分で変形して位相差樹脂塗工の際に塗工厚みが薄くなり、位相差フィルムに局部的にスポットムラの欠点が発生するようになる。また、表面粗度が120nmより高い場合は、フィルムの滑り性が高くなり、フィルムロールにした時に巻きずれたり、フィルムロールからフィルムを巻き出して使用する際、キャスティングドラムや乾燥工程などの他工程におけるロール上で蛇行したりするようになり、走行安定性に欠けるようになるため、好ましくない。また、両面同じ表面粗度設計を行う際においては、ハードコート加工時にハードコート加工面側において凹凸が発生するようになり、均一な平面性を有するハードコート面が形成できなくなるため、好ましくない。
本発明においては、上記の表面粗度を満足する外層を構成するポリエステル層の極限粘度を0.67以上とする必要がある。極限粘度が0.67未満では、繰り返し使用性が劣るので好ましくない。
また、片面のみ所定の表面粗度設計とする場合の反対面側の表面粗度については、表面粗度(Ra)が8〜120nmの範囲になるように粒子を配合することが好ましい。さらに好ましくは、10〜100nmの範囲である。表面粗度が120nmより高い場合は、フィルムロールにした時、輸送時や使用時に巻きずれることがあり、フィルムロールからフィルムを巻き出して使用する際、走行安定性などフィルム取り扱い性の面から好ましくない場合があり、表面粗度が8nmより低い場合は、フィルム製膜時や取り扱い時に、フィルム面に傷が入りやすくなる傾向がある。
本発明のポリエステルフィルムの厚みは、フィルムとして製膜可能な範囲である、通常70〜150μmの範囲であり、ハードコート層を設けたフィルムの総厚みは、本はつん明のフィルムの用途において好適な70〜155μmの範囲とする。
本発明のフィルムのヘーズ(トータルヘーズ)は、通常3.0〜20.0%、好ましくは3.0〜18.0%である。本発明においては、片面ハードコート加工が施されるため、ヘーズが20.0%を超えるとハードコート加工時のハードコート面における平面性(凹凸)、異物などの品質管理面において支障をきたすようになることがあり、このハードコート面に位相差樹脂を塗工して加工を行うと、作製された位相差フィルムの面状に凹凸やスポットムラなどの欠点不具合が発生することがある。
本発明のフィルムは、150℃、30分における加熱収縮率に関して、フィルム長手方向(MD)が通常1.8%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。また、フィルム幅方向(TD)が通常0.8%以下、好ましくは0.7%、さらに好ましくは0.5%以下である。フィルム長手方向(MD)の加熱収縮率が1.8%、幅方向(TD)のそれが0.8%を超えて大きくなると、片面側ハードコート加工時やハードコートフィルムとして使用の位相差樹脂製膜時において、フィルムにシワが発生したり、タルミが発生したりし、平面性良好な位相差フィルムを安定して造ることができなくなることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、測定時の総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるように複数枚重ね合わせた時の色調反射法y値が、好ましくは0.3230以下、さらに好ましくは0.3220以下の範囲である。色調y値が0.3230を超える場合には、フィルムの黄色味が強く、ハードコート用基材フィルムとして使用した場合、位相差フィルム製膜工程における検査時の欠陥検出に影響が出る可能性がある。かかる色調のフィルムとするためには、原料のポリエステルを製造する際の触媒、助剤を選択し、なるべく触媒の量を少なくすることや、重合および製膜時にポリエステルが必要以上に高温度になったり、溶融時間が長くなったりしないようにすること、さらに再生された原料の配合量を少なくすることなどの方法を採用することができる。
本発明のフィルムは、共押出法を用いて積層構造とするが、その際、最外層の厚みは、片側のみの厚みで通常1.5μm以上かつ総厚みの1/10以下であることが好ましい。かかる厚みが1.5μm未満では、粒子の脱落が起こりやすくなる場合がある。一方、1/10を超えるとフィルムがカールしやすくなる傾向にあり、また、ポリエステルフィルムの内部ヘーズが上昇してトータルヘーズが高くなるようになる。さらに多量の粒子を使用することになるため、コストアップにも繋がる。
以下、本発明のポリエステルフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
まず、公知の手法により乾燥した、または未乾燥のポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化する。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを、好ましくは縦方向に70〜120℃で2〜5倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に80〜160℃で2〜5倍延伸を行い、200〜245℃で10〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に2〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
本発明においては、前記のとおりポリエステルの溶融押出機を2台以上用いて、いわゆる共押出法により3層の積層フィルムとすることができる。層の構成としては、A原料とB原料を用いてA/B/A構成のフィルムとすることができる。また、A原料とB原料とC原料を用いてA/B/C構成のフィルムとすることができる。
本発明のフィルムは、ハードコート層を設けることにより、特にその優れた効果を発揮するが、その具体的な用途としては、位相差フィルム工程紙で使用されるハードコート基材用ポリエステルフィルムとして特に有効に使用される。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度(dl/g)の測定
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(重量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)第三成分(共重合成分)含有量の測定
樹脂試料を重水化クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(重量比7/3)の混合溶媒に濃度3重量%となるように溶解させた溶液について、核磁気共鳴装置(日本電子社製「JNM−EX270型」)を用いて、1 H−NMRを測定して各ピークを帰属し、ピークの積分値から共重合成分の含有量を算出した。
(3)平均粒径(d50:μm)の測定
遠心沈降式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所社製SA−CP3型)を使用して測定した等価球形分布における積算(重量基準)50%の値を平均粒径とした。
(4)全光線透過率、ヘーズ
全光線透過率はJIS−K−7361、ヘーズはJIS−K−7136に準じて日本電色工業社製積分球式濁度計「NDH2000」により、全光線透過率、ヘーズを測定した。
(5)加熱収縮率
試料を無張力状態で150℃に保ったオーブン中、30分間処理し、その前後の試料の長さを測定して次式にて加熱収縮率を算出した。
加熱収縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100
(上記式中、L0は加熱処理前のサンプル長、L1は加熱処理後のサンプル長)
フィルム長手方向(MD)と幅方向(TD)に5点ずつ測定し、それぞれについて平均値を求めた。
(6)色調 反射法 y値
JIS−Z−5722に準じたミノルタ製分光測色計「CM−3700d」により、色調 反射法 y値を測定した。また、測定は、例えば、フィルムの厚みが75μmの時は13枚重ね、100μmの時は10枚重ね、125μmの時は8枚重ねとして、総厚みが900μmから1100μmの間で最も1000μmに近くなるようにフィルムを複数枚重ね合わせて測定した。
(7)表面粗さ(Ra)
三次元非接触・表面形状計測システム Micromap(MM537N−M100 株式会社菱化システム製)を用いて測定した。光学系はミロー型二光束干渉対物レンズ(20倍)とズームレンズ(BodyTube 1.0倍)、波長フィルターは530Whiteを使用し、2/3インチCCDカメラで受光した。測定はwaveモードで行い、433μmx323μmの観測領域についてフィルム表面の粗さ(Ra)を計測した。任意に10点測定し、平均値を求めた。
(8)位相差フィルム製造工程紙ハードコート基材適性
マスターロールから、1000mm幅で1000mの巻長さにスリットした製品ロールについて、両面、所定の表面粗さの場合はどちから片面側に、片面、所定の表面粗さの場合はその反対面側にハードコート加工を行い、片面ハードコート加工を行ったハードコートフィルムロールを作製した。そして、ハードコート加工をおこなっていない面側をキャティングドラムと接するようにしてハードコートフィルムを流し、ハードコート加工面側に位相差樹脂を塗工、乾燥固化させ、厚み40μmの位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムについて、暗幕下ハロゲンライト使用のもと検査を行い、スポットムラ発生状況から、位相差フィルムの平面性について総合的に評価し、次の判定を行った。
A:スポットムラ発生がほとんどなく、位相差フィルムの平面性について不具合がないレベル
B:スポットムラ発生がわずかにあるが、位相差フィルムの平面性については不具合がないレベル
C:位相差フィルム全面に渡ってスポットムラ発生がみられ、位相差フィルムの平面性について不具合があるレベル
(9)繰り返し使用性
(8)で使用したハードコートフィルムを使用して、(8)と同様に位相差フィルムを作製した。得られた位相差フィルムについて、暗幕下ハロゲンライト使用のもと検査を行い、スポットムラ発生状況から、位相差フィルムの平面性について総合的に評価した。さらに繰り返し使用を行い、繰り返し使用性について、次の判定を行った。
A:位相差フィルムの平面性について不具合がないレベルで5回以上使用ができる。
B:位相差フィルムの平面性について不具合がないレベルで3〜4回使用ができる。
C:位相差フィルムの平面性について不具合がないレベルで1〜2回使用ができる。
以下に実施例および比較例を示すが、これに用いたポリエステルの製造方法は次のとおりである。
〈ポリエステルの製造〉
<ポリエステル(a)の製造方法>
テレフタル酸ジメチル100重量部とエチレングリコール60重量部とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・四水塩0.09重量部を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後、実質的にエステル交換反応を終了させた。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04部を添加した後、三酸化アンチモン0.03部を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、反応槽の攪拌動力の変化により、極限粘度0.68dl/gに相当する時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステル(a)の極限粘度は0.68dl/gであった。
<ポリエチレンテレフタレート(b)の製造法>
ポリエチレンテレフタレート(a)を出発原料とし、窒素雰囲気下で約160℃に保持された攪拌結晶化機内に滞留時間が約60分となるように連続的に供給して結晶化させた後、塔型の固相重縮合装置に連続的に供給し、窒素雰囲気下215℃で、得られるポリエチレンテレフタレート樹脂の極限粘度が0.82dl/gとなるように滞留時間を調整して固相重縮合させ、ポリエチレンテレフタレート(b)を得た。
<ポリエステル(c)の製造方法>
ポリエステル(a)の製造方法において、エチルアシッドフォスフェート0.04部を添加後、エチレングリコールに分散させた平均粒子径2.2μmのシリカ粒子を0.8部、三酸化アンチモン0.04部を加えて、極限粘度0.64dl/gに相当する時点で重縮合反応を停止した以外は、ポリエステル(a)の製造方法と同様の方法を用いてポリエステル(c)を得た。得られたポリエステル(c)は、極限粘度0.64dl/gであった。
実施例1:
前述のポリエステル(b)、(c)をそれぞれ30%、70%の割合で混合した混合原料をA層の原料とし、ポリエステル(a)、(b)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した混合原料をB層の原料として、2台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融し、A層を最外層(表層)、B層を中間層とする2種3層(A/B/A)の層構成で共押出して口金から押出し静電印加密着法を用いて表面温度を40℃に設定した冷却ロール上で冷却固化して未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度81℃で縦方向に3.3倍延伸した後、テンターに導き、横方向に120℃で4.2倍延伸し、225℃で熱処理を行った後、横方向に5%弛緩し、厚さ100μmの積層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、得られたマスターロールから、1000mm幅で1000mの巻長さにスリットしてポリエステルフィルムロールを作製し、片面側に厚さ3μmのハードコート加工を行ってハードコートフィルムロールを作製した。
実施例2:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ25%、75%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)、(b)をそれぞれ80%、20%の割合で混合した混合原料をB層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例3:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ25%、75%の割合で混合した混合原料をA層の原料、ポリエステル(a)をB層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例4:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ20%、80%の割合で混合した混合原料をA層の原料、ポリエステル(a)をB層の原料、ポリエステル(a)、(c)をそれぞれ98%、2%の割合で混合した混合原料をC層の原料として、3台のベント式二軸押出機に各々を供給し、それぞれ285℃で溶融してA層とC層を最外層(表層)、B層を中間層とする3種3層(A/B/C)のフィルム構成としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、得られたマスターロールからフィルムロールを作製し、C層面側にハードコート加工を行って、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例5:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ25%、75%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)20%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部およびフィルム端部からの再生品を80%の割合で混合した混合原料をB層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例6:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ25%、75%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)40%、実施例1のポリエステル製造時に発生した耳部およびフィルム端部からの再生品を60%の割合で混合した混合原料をB層の原料としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例7:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ20%、80%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)100%としたこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、13/74/13μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
実施例8:
ポリエステル(b)、(c)をそれぞれ22%、78%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)100%とし、延伸倍率を縦方向に3.5倍、横方向に4.4倍に延伸して、215℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩したこと以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
比較例1:
ポリエステル(a)、(c)をそれぞれ25%、75%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)100%の原料、延伸倍率を縦方向に3.2倍、横方向に4.0倍に延伸した以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
比較例2:
ポリエステル(a)、(c)をそれぞれ65%、35%の割合で混合した混合原料をA層の原料、B層の原料をポリエステル(a)100%の原料、延伸倍率を縦方向に3.2倍、横方向に4.0倍に延伸した以外は実施例1と同様にして、厚み100μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの各層の厚みは、2/96/2μmであった。そして、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムロールを作製した。
得られたフィルムの物性値と、位相差フィルム製造工程紙ハードコート基材適性について下記表1にまとめて示す。本発明の要件を満たすフィルムは、適性が高いことがわかる。
Figure 2015217546
本発明のポリエステルフィルムは、位相差フィルム製造用として好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 一方の面にハードコート層を有し、もう一方の面の表面粗度(Ra)が70〜120nmであり、当該面を構成するポリエステル層の極限粘度が0.67以上であり、総厚みが70〜155μmであることを特徴とするポリエステルフィルム。
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JP2009115882A (ja) * 2007-11-02 2009-05-28 Toray Ind Inc プラズマディスプレイパネル用フィルター
JP2009214356A (ja) * 2008-03-09 2009-09-24 Mitsubishi Plastics Inc 二軸配向積層ポリエステルフィルム

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