JP2015217332A - 塗膜剥離方法及び塗膜剥離剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】中塗と上塗を含む塗膜を、下塗装膜やプライマー層とは別に剥離して回収する。
【解決手段】塗膜全体の膜厚が、剥離促進剤、アミド系化合物もしくはアルコール、増粘剤および水を含む全体剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布することによって剥離できる膜厚である場合に、剥離促進剤の濃度が、前記全体剥離用の塗膜剥離剤に含まれる剥離促進剤の濃度の2倍以上である部分剥離用の塗膜剥離剤を、前記塗膜に、少なくとも中塗20と上塗22の塗膜の厚みの合算値以上に塗布して、下塗14、16、18を残したまま、前記中塗20と前記上塗22を剥離する。
【選択図】図1
【解決手段】塗膜全体の膜厚が、剥離促進剤、アミド系化合物もしくはアルコール、増粘剤および水を含む全体剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布することによって剥離できる膜厚である場合に、剥離促進剤の濃度が、前記全体剥離用の塗膜剥離剤に含まれる剥離促進剤の濃度の2倍以上である部分剥離用の塗膜剥離剤を、前記塗膜に、少なくとも中塗20と上塗22の塗膜の厚みの合算値以上に塗布して、下塗14、16、18を残したまま、前記中塗20と前記上塗22を剥離する。
【選択図】図1
Description
本発明は、塗膜剥離方法及び塗膜剥離剤に係り、特に、中塗と上塗を含む塗膜を、下塗装膜やプライマー層とは別に剥離して回収することが可能な塗膜剥離方法、及び、これに用いるのに好適な塗膜剥離剤に関する。
橋梁やタンク、地上パイプライン、海洋鋼構造物など鋼構造物等の外壁は防食や意匠のため塗装が施されている。塗装は長い年月の経過によって汚れたり、膨れたり、ヒビ割れ等が生じ、塗替えを行う際には古い塗膜を剥離する必要がある。これまで鋼道路橋に広く適用されていた一般塗装系塗膜は、10年から15年程度で塗替えが必要である。既存の塗膜の除去方法としては、塗膜の種類や各種の条件に応じて種々の方法がある。
具体的には、例えば、(1)ブラスト材を圧縮空気または高圧水と共に塗膜に噴射して剥離するサンドブラスト工法又はウエットブラスト工法、(2)モータ軸に円盤を取付け、これに砥石や布やすり等を取付けたディスクサンダーで剥離するサンダー工法、(3)高圧の水をノズルから噴出し、塗膜を剥離する高圧水工法、(4)塩素化炭化水素(ジクロロメタン)を含む剥離剤や非塩素系剥離剤を塗布した後、スクレーパ等で除去する剥離剤工法(特許文献1参照)、(5)電解により電解質を電気分解し、発生するガスによって塗膜を剥離する方法等がある。
しかしながら、(1)のサンドブラスト工法の場合には、圧縮空気と混合して噴射されるブラスト材(例えば珪砂)が被剥離面に当って粉塵が発生し、その粉塵が飛散する恐れがある。ブラスト材が当ると同時に吸引回収するバキュームブラストという手法もあるが、この方法は圧縮空気圧により送られてきたブラスト材を、吐出と同時に吸引回収するため、粉塵等の発生は少ないが作業効率が悪い。
ウエットブラスト工法の場合は、ブラスト材が高圧水と共に被剥離面に噴射されるので、粉塵の発生は少ないものの、塗膜を含む水を含んだブラスト材の回収およびその処理のために処理設備が必要であった。
(4)の塩素化炭化水素(ジクロロメタン)を含む剥離剤や非塩素系剥離剤を塗布した後、スクレーパ等で除去する剥離剤工法は、塩素化炭化水素が皮膚や目と接触すると炎症を引き起こす場合があり、又、発がん性の危険があることが知られている。最近は塩素系剥離剤に代わる非塩素系水溶性剥離剤が開発されており、非塩素系水溶性剥離剤としては、例えば、特許文献2に開示されている塩素系溶剤を使用しないペイント剥離剤、特許文献3に開示されているN−メチル−2−ピロリドン、特許文献4に開示されているプロパギルアルコール、特許文献5に開示されているベンジルアルコールなどを用いた塗膜剥離剤や、特許文献6に開示されている生分解性(土中微生物分解性)剥離剤がある。
例えば、特許文献5には、ベンジルアルコールおよび蒸発防止剤(高沸点有機化合物)5〜90重量%(以下、%という)(このうち蒸発防止剤は0.1〜5%)ならびに剥離促進剤(蟻酸などの有機酸や無機酸、アンモニア、金属水酸化物、モノエチルアミンなどのアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン、過酸化水素などの酸化剤など)1〜20%を必須成分とし、さらに腐食抑制剤0.1〜10%、界面活性剤0.5〜5%、水20〜60%などを含有していてもよい塗膜剥離剤が開示されている。該塗膜剥離剤をウレタン焼付け塗装の塗膜剥離に使用した場合に、最も剥離性能のよい酸性塗膜剥離剤としてベンジルアルコール35.5%、蟻酸15%、増粘剤1%、界面活性剤2%、腐食抑制剤1%、蒸発防止剤0.5%、水45%よりなる塗膜剥離剤が記載されている。
昭和42年から47年にかけて橋梁に使用された塩化ゴム系塗料の一部に可塑剤としてポリ塩化ビフェニル(以下PCB)が使用された。PCBは毒性があり、自然環境では分解しにくい。塗膜中のPCBは外部に流出することはないが、塗替え施工においては、塗膜を全面除去し、廃塗料は無害化して廃棄する必要がある。
塩化ゴム系塗料は上塗や中塗として用いられ、下塗にはジンクリッチプライマーや鉛含有錆止め塗料が用いられることが多い。塩化ゴム系塗料は剥離して回収した後、脱塩素化分解、水熱酸化分解、還元熱化学分解、光分解、プラズマ分解、焼却処理を行わなければならない。これらの処理は通常の産業廃棄物の処理費用と比較して高価であるため、塗膜の剥離の際に下塗塗料と一緒に回収すると、廃棄物の量が増えて処理費用が増大する。また、鉛は有害物質であるため、PCBを含む塩化ゴム系塗料と鉛含有錆止め塗料の混合物を同時に処理することは非常にコスト高であり、複数の層からなる塗膜の目的の層を分離して回収する要望が強かった。
しかしながら、従来は、複数の層からなる塗膜から目的の層を分離して回収することはできなかった。
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、中塗と上塗を含む塗膜を、下塗装膜やプライマー層とは別に剥離して回収することができる、環境にやさしい塗膜剥離方法、及び、これに用いるのに好適な塗膜剥離剤を提供することを課題とする。
本発明は、基材に塗布された有機ジンク塗料もしくは鉛含有塗料の下塗と、更にその外側に塗布された塩化ゴム系塗料、フタル酸系塗料、シリコン樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、及びふっ素樹脂系塗料のうち少なくとも1種類以上の中塗と上塗とからなる塗膜において、前記下塗を残したまま、前記中塗と前記上塗を剥離する塗膜剥離方法であって、前記塗膜全体の膜厚が、剥離促進剤、アミド系化合物もしくはアルコール、増粘剤および水を含む全体剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布することによって剥離できる膜厚であり、剥離促進剤の濃度が、前記全体剥離用の塗膜剥離剤に含まれる剥離促進剤の濃度の2倍以上である部分剥離用の塗膜剥離剤を、前記塗膜に、少なくとも前記中塗と前記上塗の塗膜の厚みの合算値以上に塗布して、前記下塗を残したまま、前記中塗と前記上塗を剥離することを特徴とする塗膜剥離方法により、前記課題を解決したものである。
ここで、前記部分剥離用の塗膜剥離剤を塗布して前記中塗と前記上塗を剥離した後、前記塗膜の下塗を含む下塗より内側の塗膜を剥離することができる。
又、前記塗膜の下塗を含む下塗より内側の塗膜を、前記全体剥離用、部分剥離用、又は、これら以外の塗膜剥離剤を塗布して剥離することができる。
又、前記部分剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布しただけでは剥離できないほど前記中塗と前記上塗を合計した厚みが厚い場合に、該中塗と上塗を合計した厚みが前記部分剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布しただけで剥離できる厚みとなるように、あらかじめ塗膜剥離剤によって前記塗膜の中塗と上塗の一部を剥離することができる。
又、前記基材の表面にエッチングプライマー、有機ジンクプライマー、エポキシ樹脂プライマー、ジンククロメートプライマー、錆止めペイントのうち少なくとも1種類以上のプライマーが塗布されていても良い。
本発明は、又、前記の塗膜剥離方法に用いるための塗膜剥離剤であって、水酸化ナトリウムと、アミド系化合物又はアルコールと、増粘剤と、水を含むことを特徴とする塗膜剥離剤を提供するものである。
ここで、部分剥離用の塗膜剥離剤の水酸化ナトリウム濃度を0.5wt%〜5.0wt%、全体剥離用の塗膜剥離剤の水酸化ナトリウム濃度を0.1wt%〜1.0wt%とすることができる。
本発明は、又、前記の塗膜剥離方法に用いるための塗膜剥離剤であって、過酸化水素と、アミド系化合物又はアルコールと、増粘剤と、水を含むことを特徴とする塗膜剥離剤を提供するものである。
ここで、部分剥離用の塗膜剥離剤の過酸化水素濃度を1wt%〜15wt%、全体剥離用の塗膜剥離剤の過酸化水素濃度を0.1wt%〜10wt%とすることができる。
又、腐食抑制剤及び/又は界面活性剤を更に含むことができる。
古い橋梁の場合、昔の中塗、上塗塗膜にはPCBが含まれていたり、下塗塗膜には鉛が含まれていたりするので、これらを回収するには、剥離作業段階でこれらの塗膜が分離できれば処理コストの大幅ダウンが望める。
本発明者が橋梁の塗膜について剥離実験をする中で、塗膜剥離剤の成分の1つである剥離促進剤の添加量を多くした塗膜剥離剤を塗装面に塗布したところ、剥離できたのは上塗と中塗までで、下塗は残った。この後、添加量を元へ戻した塗膜剥離剤を塗布したところ、プライマー層まで含めて残った下塗塗膜を剥離できた。
剥離促進剤は塗膜の付着力を低下させて浮き上がらせる働きがあり、アミド系化合物やアルコールが塗膜を膨潤・軟化させる働きがある中で、膨潤・軟化には数時間ないしそれ以上を要するが、剥離促進剤、例えば水酸化ナトリウムや過酸化水素の添加量を多くすると、アミド系化合物やアルコールが1つ内側の塗膜層にまで到達する前に塗膜が膨潤・軟化し浮き上がる。
この現象は、顔料が主体で樹脂成分が少ない下塗と、それより外側の樹脂成分が多い中塗との界面で起きやすいので、剥離作業段階で、下塗塗膜と、それより上の中塗塗膜及び上塗塗膜とを分離することができる。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
ここで、剥離促進剤として用いられる金属水酸化物には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムや水酸化カルシウムがある。アミン類としては、モノメチルアミン、モノエチルアミン、イソプロピルアミン、モノブチルアミンやシクロヘキシルアミンなどがある。アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、酸化剤は、アクリル酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸、アルギン酸、安息香酸、オレイン酸、蟻酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、グルタミン酸、ケイ皮酸、コハク酸、酢酸、サリチル酸、シュウ酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、ニコチン酸、乳酸、尿酸、ハロゲン置換酢酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、マロン酸、酪酸、リンゴ酸、過酸化水素、過塩素酸塩、過硼酸塩が例示される。
アミド系化合物としては、2−ピロリドン、3−ピロリドン、N−アルキル−2−ピロリドン(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン)、5−アルキル−2−ピロリドン(例えば、5−メチル−2−ピロリドン、5−エチル−2−ピロリドン、5−プロピル−2−ピロリドン)、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アルキル−3−ピロリドン(例えば、N−メチル−3−ピロリドン、N−エチル−3−ピロリドン、N−プロピル−3−ピロリドン)などのピロリドン系化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが例示される。
アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、サリチルアルコール、シンナミルアルコール、ベラリルアルコール、シナビルアルコール、ジフェニルメタノール、バニリルアルコール、ベンジルアルコール、2−メチルベンジルアルコール、3−メチルベンジルアルコール、3−ニトリルベンジルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、アリルアルコール、プロパギルアルコール、フェネチルアルコール、ヒドロキシベンジルアルコール、ヒドロキシフェネチルアルコールが例示される。
なお、アミド系化合物もしくはアルコールが塗膜を膨潤させて軟化させるには室温で数時間必要であるため、垂直面に塗布しても垂れないようにするためには、増粘剤が必要である。
この増粘剤としては、シリカ、カオリン鉱物、サーペンチン、タルク、雲母、バーミキュライト、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチーブンサイトを含む)、ベントナイト、セピオライト、有機クレーが例示される。
腐食抑制剤としては、リン酸塩、タングステン酸塩や亜硝酸塩等の無機物とトリアゾール類、高級アミン類やチアゾール類などの有機物、ポリアクリル酸又はその塩、アクリル酸・アクリル酸エステル共重合体又はその塩、アクリル酸・アクリルアミド共重合体又はその塩、オレフィン・マレイン酸共重合体又はその塩、スチレン・マレイン酸共重合体又はその塩、カルボキシメチルセルロース又はその塩等の陰イオン系増粘剤、ポリアクリルアミド、アルキルセルロース、ポリエチレンオキサイド、酸化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、プロピルセルロース、ブチルセルロース、カルボキシエチルセルロースとこれらの組み合わせによるものが使用可能である。
界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよい。このうち、アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、リン酸エステル系、α−オレフィンスルフォン酸、高級アルコールエトキシ硫酸エステルやジアルキルスルホサクシネートなどが挙げられる。カチオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルペンジルアンモニウムクロライドなどが挙げられ、ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルが挙げられる。
対象となる塗膜の種類は、有機ジンク塗料(有機ジンクリッチプライマー)、鉛含有塗料、塩化ゴム系塗料、フタル酸系塗料、シリコン樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、ふっ素樹脂系塗料、エッチングプライマー、ウォッシュプライマーがある。なお、無機ジンクリッチプライマーやガラスフレーク入り塗料は剥離することができない。
本発明によれば、中塗と上塗を含む塗膜を、下塗装膜やプライマー層とは別に剥離して回収することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要件には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
本実施形態の処理手順を図1に示す。
先ず、ステップ100で、図2に例示するような構成の部分剥離用の塗膜剥離剤を、図3に例示するような構成の、基材(例えば鋼板)10の上にプライマー層12、例えば3層の下塗14、16、18、中塗20及び上塗22が形成された塗膜の上に塗布する。
次いでステップ110で所定時間放置した後、ステップ120で中塗20と上塗22を剥離し回収して、図4に例示するような状態とする。
次いでステップ130に進み、図2に例示したような構成の全体剥離用の塗膜剥離剤を、図4に例示したような、中塗20と上塗22を回収した後の塗膜の上に塗布する。
次いでステップ140で所定時間放置した後、ステップ150でプライマー層12と下塗14、16、18を剥離し回収する。
全ての塗膜を剥離した後の基材10を図5に示す。
図2に示したように、部分剥離用の塗膜剥離剤を、水酸化ナトリウム2wt%、アミド化合物としてN−メチル−2−ピロリドン30wt%、増粘剤としてスメクタイト1wt%、残りを水として製作した。又、全体剥離用の塗膜剥離剤を、水酸化ナトリウム1wt%とし、N−メチル−2−ピロリドン、スメクタイトは同じで、残りを水として製作した。
図3に示したように、基材10である70mm×150mm×6mmのSS400製鋼板をブラスト処理し、その上にプライマー層12として長暴形ウォッシュプライマーを15μm、下塗14として鉛丹錆止めペイント2種を40μm、下塗16として鉛丹錆止めペイント2種を35μm、下塗18として鉛丹錆止めペイント1種を35μm、中塗20として超長油フタル酸樹脂塗料を30μm、上塗22として長油フタル酸樹脂塗料を25μm塗布した。
塗膜乾燥後、部分剥離用の塗膜剥離剤を塗布し、1.5日放置後、中塗20と上塗22を剥離し回収した。
その後、全体剥離用の塗膜剥離剤を塗布し、1.5日放置後に、プライマー層12と下塗14、16、18を剥離し回収した。
これに対し、比較例1として、はじめに全体剥離用の塗膜剥離剤を塗布すると、プライマー層12から剥離し、下塗18から下と、中塗20及び上塗22とを分離して剥離し、回収することはできなかった。
なお、樹脂成分が少ない塗膜のみで構成されるプライマー層12と下塗14、16、18に対しては、部分剥離用の塗膜剥離剤でも剥離でき、他の塗膜剥離剤にも使用できるものがあることから、全体剥離用の塗膜剥離剤に限定されるものではない。
図2に示したように、部分剥離用の塗膜剥離剤を、過酸化水素8wt%、アルコールとしてベンジルアルコール35wt%、増粘剤としてベントナイト1wt%、残りを水として製作した。又、全体剥離用の塗膜剥離剤を、過酸化水素2wt%とし、ベンジルアルコール、ベントナイトは同じで、残りを水として製作した。
実施例1と同じ塗装を行った鋼板(10)に部分剥離用の塗膜剥離剤を塗布し、1.5日放置後、中塗20と上塗22を剥離し回収した。
その後、全体剥離用の塗膜剥離剤を塗布し、1.5日放置後に、プライマー層12と下塗14、16、18を剥離し回収した。
これに対し、比較例2として、はじめに全体剥離用の塗膜剥離剤を塗布すると、プライマー層12から剥離し、下塗18から下と、中塗20及び上塗22を分離して剥離し、回収することができなかった。
なお、樹脂成分が少ない塗膜のみで構成されるプライマー層12と下塗14、16、18に対しては、部分剥離用の塗膜剥離剤でも剥離でき、他の塗膜剥離剤にも使用できるものがあることから、全体剥離用の塗膜剥離剤に限定されるものではない。
前記実施例においては、剥離促進剤として水酸化ナトリウムや過酸化水素、アミド化合物としてN−メチル−2−ピロリドン、アルコールとしてベンジルアルコール、増粘剤としてスメクタイトやベントナイトが用いられていたが、具体的な成分はこれらに限定されない。基材も鋼板に限定されず、他の金属材他であっても良い。
また、何れの実施例でも、中塗と上塗を剥離し回収した後の残った下塗とプライマー層の剥離に塗膜剥離剤を用いたが、中塗と上塗を下塗から分離する作業が終わっているので、塗膜剥離剤以外の従来技術を用いてもよい。
10…基材(鋼板)
12…プライマー層
14、16、18…下塗
20…中塗
22…上塗
12…プライマー層
14、16、18…下塗
20…中塗
22…上塗
Claims (10)
- 基材に塗布された有機ジンク塗料もしくは鉛含有塗料の下塗と、更にその外側に塗布された塩化ゴム系塗料、フタル酸系塗料、シリコン樹脂系塗料、フェノール樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、及びふっ素樹脂系塗料のうち少なくとも1種類以上の中塗と上塗とからなる塗膜において、前記下塗を残したまま、前記中塗と前記上塗を剥離する塗膜剥離方法であって、
前記塗膜全体の膜厚が、剥離促進剤、アミド系化合物もしくはアルコール、増粘剤および水を含む全体剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布することによって剥離できる膜厚であり、
剥離促進剤の濃度が、前記全体剥離用の塗膜剥離剤に含まれる剥離促進剤の濃度の2倍以上である部分剥離用の塗膜剥離剤を、前記塗膜に、少なくとも前記中塗と前記上塗の塗膜の厚みの合算値以上に塗布して、
前記下塗を残したまま、前記中塗と前記上塗を剥離することを特徴とする塗膜剥離方法。 - 前記部分剥離用の塗膜剥離剤を塗布して前記中塗と前記上塗を剥離した後、前記塗膜の下塗を含む下塗より内側の塗膜を剥離することを特徴とする請求項1に記載の塗膜剥離方法。
- 前記塗膜の下塗を含む下塗より内側の塗膜を、前記全体剥離用、部分剥離用、又は、これら以外の塗膜剥離剤を塗布して剥離することを特徴とする請求項2に記載の塗膜剥離方法。
- 前記部分剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布しただけでは剥離できないほど前記中塗と前記上塗を合計した厚みが厚い場合に、該中塗と上塗を合計した厚みが前記部分剥離用の塗膜剥離剤を1回塗布しただけで剥離できる厚みとなるように、あらかじめ塗膜剥離剤によって前記塗膜の中塗と上塗の一部を剥離することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
- 前記基材の表面にエッチングプライマー、有機ジンクプライマー、エポキシ樹脂プライマー、ジンククロメートプライマー、錆止めペイントのうち少なくとも1種類以上のプライマーが塗布されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の塗膜剥離方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の塗膜剥離方法に用いるための塗膜剥離剤であって、
水酸化ナトリウムと、
アミド系化合物又はアルコールと、
増粘剤と、
水を含むことを特徴とする塗膜剥離剤。 - 部分剥離用の塗膜剥離剤の水酸化ナトリウム濃度が0.5wt%〜5.0wt%、全体剥離用の塗膜剥離剤の水酸化ナトリウム濃度が0.1wt%〜1.0wt%であることを特徴とする請求項6に記載の塗膜剥離剤。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の塗膜剥離方法に用いるための塗膜剥離剤であって、
過酸化水素と、
アミド系化合物又はアルコールと、
増粘剤と、
水を含むことを特徴とする塗膜剥離剤。 - 部分剥離用の塗膜剥離剤の過酸化水素濃度が1wt%〜15wt%、全体剥離用の塗膜剥離剤の過酸化水素濃度が0.1wt%〜10wt%であることを特徴とする請求項8に記載の塗膜剥離剤。
- 腐食抑制剤及び/又は界面活性剤を更に含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の塗膜剥離剤。
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