JP2004068025A - 被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法、マグネシウム合金再生材の製造方法、および塗膜のリサイクル方法 - Google Patents

被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法、マグネシウム合金再生材の製造方法、および塗膜のリサイクル方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使用する処理液の長寿命化を達成しつつ、マグネシウム合金材の表面に形成されている塗膜を短時間で適切に除去するための方法、この方法を含むマグネシウム合金再生材の製造方法、および、当該塗膜除去方法を含む塗膜のリサイクル方法を提供すること。
【解決手段】被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法において、塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理S11と、当該第1処理S11を経たマグネシウム合金材に対して、第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理S13とを含むこととする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装が施されたマグネシウム合金材のリサイクル技術に関する。具体的には、本発明は、ノートパソコンや携帯電話に用いられるマグネシウム合金筐体などの被塗装マグネシウム合金材から塗膜を除去する方法、被塗装マグネシウム合金材からマグネシウム合金再生材を製造する方法、および、被塗装マグネシウム合金材における塗膜をリサイクルする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノートパソコン、携帯電話、PDAなどのモバイル電子機器の筐体については、高強度であること、内蔵電子部品の生ずる熱を効率良く発散すること、リサイクル性に優れていることなどが要求される。そして、これらの要求に対処すべく、モバイル電子機器の筐体としては、従来の樹脂筐体に代えて金属筐体が採用されるようになってきた。
【0003】
電子機器用の金属筐体を構成する材料としては、機器の軽量化の観点より、マグネシウム(Mg)やアルミニウム(Al)などの軽金属を主成分とする軽合金が注目されている。特にMgは、構造材として実用され得る単体金属のうち最も比強度が大きく、放熱性についてはAlに匹敵する程に高く、そのうえ比重についてはAlの約7割と小さい、という特長を有する。そのため、Mgを主成分とするMg合金は、電子機器筐体の構成材料として有用である。
【0004】
Mg合金製の部品や製品の射出成形方法としては、一般に、ダイカスト法が採用される。或は、チクソモールディング法が採用される場合もある。ダイカスト法またはチクソモールディング法により、Mg合金の溶湯を用いて例えばノートパソコン筐体を射出成形する場合、1回の溶湯射出量に対して成形目的の部位が占める体積は30〜50%程度である。残りの50〜70%程度は、成形後に切断除去される部位、即ち金型におけるスプルやランナなどにて凝固したMg合金が占める。ダイカスト法またはチクソモールディング法によると、このように、1回の射出成形における材料損失率は大きい。そのため、Mg合金材の射出成形の分野においては、地球資源の有効利用およびコストダウンの観点より、射出成形後に切断除去される部位、および、製品回収により得られるMg合金材を、再び射出成形に供する材料として使用するための、リサイクル技術の確立が望まれている。
【0005】
Mg合金材の射出成形後に切断除去される部位からMg合金再生材を製造する方法は、特願2000−47257に開示されている。当該方法によると、Mg合金材の射出成形後に切断除去される部位は、所定のフラックスとともに再び溶融され、溶融状態において成分調整が行われた後に冷却凝固されて、所定の組成を有するMg合金として再生される。
【0006】
一方、市場に出荷されるMg合金製の部品や製品は、一般に、塗装処理が施され、その表面に塗膜が形成されている。塗膜が形成されているMg合金材を、上述の方法において当該塗膜を除去せずに溶融すると、塗料に含まれるアクリル樹脂やウレタン樹脂などの樹脂材料が燃焼することによって多量の有機系ガスが発生してしまい、好ましくない。加えて、塗料に含まれているチタンなどにより溶湯が過度に汚染されてしまう場合もあり、好ましくない。そのため、製品回収により得られるMg合金材からMg合金再生材を製造するにあたっては、Mg合金材を溶融する前に、Mg合金材の表面に形成されている塗膜を除去する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
Mg合金材の表面に形成されている塗膜を除去するための技術は、例えば、特開2000−263443号公報および特開2001−20018号公報に開示されている。特開2000−263443号公報には、ウェットブラスト法が開示されている。ウェットブラスト法は、例えばアルミナなどの無機粒子とともに流体としての水を被塗装Mg合金材に吹付けることによって、塗膜を物理的に除去するための方法である。しかしながら、このようなウェットブラスト法では、Mg合金材の塗装面が凹凸形状を有する場合に、塗膜を適切に除去するのは困難である。具体的には、凹部では、無機粒子が衝突しにくい傾向にあるため、塗膜を充分に除去できない場合がある。また、凸部では、無機粒子の衝突頻度が過度になる傾向にあるため、塗膜とともに部材表面のMg合金をも削り取ってしまう場合がある。
【0008】
また、特開2001−20018号公報には、非酸化性雰囲気中で塗料が分解揮発する温度にて、被塗装Mg合金材の熱処理を行う技術が開示されている。しかしながら、当該技術によると、特別な条件で熱処理を行うためのチャンバが必要とされる。加えて、当該技術によると、塗料が分解した後には多量の有機系ガスが発生してしまうため、発生ガスを適切に処理するための装置が更に必要とされる。
【0009】
Mg合金材の表面に形成されている塗膜を除去するための他の技術としては、アルカリ溶液を使用する手法が知られている。この手法は、被塗装Mg合金材をアルカリ溶液に浸漬して当該アルカリ溶液の作用によって塗膜を膨潤させた後、水洗などにより塗膜を除去するための方法である。しかしながら、アルカリ溶液に浸漬する従来の手法においては、1回の浸漬処理が、塗膜の全体が膨潤するまで行われている。具体的には、一般的に下塗り層および上塗り層からなる塗膜の両層が膨潤するまで、被塗装Mg合金材はアルカリ溶液に浸漬され続ける。このような浸漬処理では、浸漬時間は2時間程度の長時間を要する場合がある。また、塗膜が膨潤する際には、塗膜に含まれる金属粉などが溶解または拡散などすることによってアルカリ溶液が汚染されるため、塗膜の全体を膨潤させるための浸漬処理に使用されるアルカリ溶液は、当該浸漬処理に繰り返し使用される過程において早期に劣化する傾向にある。
【0010】
特開平5−84746号公報および特開平6−114842号公報にも、塗膜除去方法が開示されている。しかしながら、これらに開示されている方法は、塗装が施されている樹脂成形体から塗膜を除去するための技術であって、金属部材であるMg合金材の表面に形成されている塗膜を除去するための技術ではない。
【0011】
また、従来の技術においては、浸漬処理やその後の水洗においてMg合金材から剥離した塗膜は、産業廃棄物として廃棄されている。塗膜についてのこのような取扱は、地球資源の有効利用および環境保全の観点からは好ましくない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、使用する処理液の長寿命化を達成しつつ、マグネシウム合金材の表面に形成されている塗膜を短時間で適切に除去するための方法、この方法を含むマグネシウム合金再生材の製造方法、および、当該塗膜除去方法を含む塗膜のリサイクル方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面によると被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法が提供される。この方法は、塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理と、当該第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理とを含むことを特徴とする。
【0014】
このような構成の方法によると、マグネシウム合金材の表面に形成されている塗膜を短時間で適切に除去することができる。被塗装マグネシウム合金材における塗膜は、一般に、所望の色調を達成するための上塗り層と、マグネシウム合金表面に対する上塗り層の良好な塗着状態を達成するための下塗り層とからなる。上塗り層は、塗料用樹脂分、着色顔料、染料など、処理液を劣化させる因子を比較的多量に含んでおり、アルカリ溶液の作用により相対的に速く膨潤する傾向にある。一方、下塗り層は、主成分として例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂を含んでおり、アルカリ溶液の作用により相対的にゆっくりと膨潤する傾向にある。アルカリ溶液を用いた上述の従来の塗膜除去方法では、上塗り層に続いて下塗り層が膨潤するまで、被塗装マグネシウム合金材は同一のアルカリ溶液に浸漬され続ける。このような浸漬処理においては、まず、当該アルカリ溶液の作用により上塗り層が膨潤し、これに伴い、上塗り層に由来する比較的多量の劣化因子がアルカリ溶液に溶解または拡散する。そのため、アルカリ溶液は、上塗り層を膨潤させることによって相当な程度劣化する。このように劣化したアルカリ溶液が、本来的に膨潤しにくい下塗り層を膨潤させるためには、長時間を要する。その結果、従来法によると、塗膜全体を膨潤して除去するために要する正味の時間は冗長となってしまうのである。
【0015】
これに対し、本発明の第1の側面では、塗膜は少なくとも2回の溶液処理に曝される。第1アルカリ溶液による第1処理は、例えば上塗り層を膨潤させた時点で終了し、膨潤した上塗り層が除去された後、続いて、第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液による第2処理が行われる。ここで、第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液とは、第1処理にて第1アルカリ溶液として使用されていないアルカリ溶液をいい、第1アルカリ溶液と同一の組成を有するものであってもよいし、異なる組成を有するものであってもよい。第2処理において第2アルカリ溶液を使用する場合、当該第2アルカリ溶液は、既に上塗り層が除去されているため、直ちに下塗り層に作用する。この第2アルカリ溶液は、上塗り層を膨潤させることに起因しては劣化していないため、本来的に膨潤しにくい下塗り層であっても、処理液としての能力を充分に発揮して下塗り層を膨潤させて基材から剥離させる。その結果、従来法よりも、塗膜全体を膨潤して除去するために要する正味の時間は短縮されるのである。また、第2処理において酸溶液を使用する場合、当該酸溶液は、既に上塗り層が除去されているため、直ちに下塗り層に作用する。この酸溶液は、化学的作用により下塗り層を分解または溶解させる。或は、酸溶液は、下塗り層を膨潤させて基材から剥離させる。その結果、従来法よりも、塗膜全体を除去するために要する正味の時間は短縮されるのである。
【0016】
また、本発明の第1の側面に係る方法によると、使用する処理液の長寿命化を達成することができる。上述の従来の塗膜除去方法では、上塗り層に続いて下塗り層の全てが膨潤するまで、被塗装マグネシウム合金材は同一のアルカリ溶液に浸漬され続ける。そのため、従来法によると、1回の浸漬処理により、上塗り層に由来する劣化因子に加えて下塗り層に由来する劣化因子が処理液に溶解または拡散することとなる。このように相対的に多量の劣化因子を含むアルカリ溶液は、新たな被塗装マグネシウム合金材の浸漬処理に再び使用される場合において、その処理液としての能力は相当な程度低下している。すなわち、従来法における処理液の寿命は相対的に短い。
【0017】
これに対し、本発明の第1の側面では、塗膜は少なくとも2回の溶液処理に曝される。したがって、第1アルカリ溶液と、第2アルカリ溶液または酸溶液とには、塗膜全体に由来する劣化因子の全ては混入しない。そのため、各処理液の劣化は抑制される。このように相対的に少量の劣化因子を含む処理液は、新たな被塗装マグネシウム合金材の浸漬処理に再び使用される場合において、その処理液としての能力の低下は小さい。すなわち、本発明における処理液の寿命は相対的に長い。
【0018】
このように、本発明の第1の側面によると、使用する処理液の長寿命化を達成しつつ、マグネシウム合金材の表面に形成されている塗膜を短時間で適切に除去することができるのである。
【0019】
本発明の第2の側面によるとマグネシウム合金再生材の製造方法が提供される。この方法は、塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、マグネシウム合金材を溶融して溶湯を調製する溶解工程と、溶湯に含まれる少なくとも一つの成分の含有率を測定する成分分析工程と、溶湯の成分を調整する成分調整工程とを含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の側面に係るマグネシウム合金再生材の製造方法は、第1の側面に係る被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法を含んでいる。したがって、第2の側面によると、被塗装マグネシウム合金材からの塗膜除去において使用する処理液の長寿命化を達成することができるとともに、塗膜を短時間で適切に除去することができ、従って、マグネシウム合金再生材を効率よく製造することができるのである。
【0021】
本発明の第3の側面によると塗膜のリサイクル方法が提供される。この塗膜リサイクル方法は、塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、第1処理および第2処理においてマグネシウム合金材から分離した塗膜を回収する工程と、回収した塗膜を粉砕することによって塗膜再生材を作製する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の第3の側面に係る塗膜のリサイクル方法は、第1の側面に係る被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法を含んでいる。したがって、第3の側面によると、被塗装マグネシウム合金材からの塗膜除去において使用する処理液の長寿命化を達成することができるとともに、塗膜を短時間で適切に除去することができ、従って、処理液から塗膜を効率よく回収して塗膜再生材を効率よく作製することができる。このようにして得られる塗膜再生材は、例えば、金型成形により樹脂成形体を形成するための樹脂組成物に添加することによって、増量材または改質性充填材として有効利用することができる。そのような樹脂組成物としては、例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群より選択される熱可塑性樹脂を含むものが好ましい。更に、塗膜再生材は、増量材としてアスファルトに添加することによっても利用することができる。
【0023】
本発明の第1から第3の側面において、好ましくは、第1アルカリ溶液および/または第2アルカリ溶液は、アルカリ主成分として水酸化カリウムを含む。また、第2処理で使用する酸溶液は、好ましくは、酸主成分として有機酸を含む。
【0024】
第1処理、および/または、第2アルカリ溶液を用いる第2処理は、好ましくは60〜90℃、より好ましくは70〜80℃の温度にて行う。アルカリ溶液の温度が60℃より低温であると、塗膜が充分に膨潤されない傾向にあり、好ましくない。また、90℃より高温であると、塗膜に含まれる金属粉に対してアルカリ溶液が過度に作用して、比較的多量の金属水酸化物を生じてアルカリ溶液の劣化が進行する傾向にあり、好ましくない。
【0025】
第2処理において酸溶液を使用する場合には、当該第2処理は、好ましくは20〜70℃、より好ましくは30〜60℃の温度にて行う。酸溶液の温度が20℃より低温であると、塗膜が充分に膨潤または溶解されない傾向にあり、好ましくない。また、70℃より高温であると、酸溶液が過度に作用して、塗膜下のマグネシウム合金まで溶解してしまう傾向にあり、好ましくない。
【0026】
本発明の第1から第3の側面において、好ましくは第1処理および/または第2処理の後にマグネシウム合金材を水洗するための工程を含む。第1処理や第2処理を経たマグネシウム合金材を所定の水圧で水洗することによって、膨潤などしてマグネシウム合金材表面に対する塗着力が低下した塗膜を、マグネシウム合金材表面から適切に除去することが可能である。第3の側面においては、好ましくは、水洗工程においてマグネシウム合金材から分離した塗膜を回収する工程とを更に含む。
【0027】
本発明の第2の側面において、溶解工程では、好ましくは、マグネシウム合金材に含まれる不純物を溶湯において分離させるための第1フラックスを、マグネシウム合金材とともに溶融する。このような構成によると、溶湯において、スラッジないし沈殿物として、不純物を適切に除去することができる。
【0028】
好ましくは、成分分析工程の前に、溶湯の酸化を抑制するガスを発生させるための第2フラックスを溶湯に投入する。このような構成によると、成分分析を行う前において、例えば溶湯を鎮静して清浄化する際に、溶湯表面から進行する溶湯酸化を適切に防止することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る塗膜除去方法のフローチャートである。本実施形態に係る方法により、例えば図2に示すようなマグネシウム(Mg)合金材の表面に形成されている塗膜が除去される。図2のMg合金材は、ノートパソコン筐体であってその表面の所定箇所に塗装が施されており、塗膜は、例えば、エポキシ樹脂を主成分として含む下塗り層とアクリル樹脂を主成分として含む上塗り層とからなる。
【0030】
本発明に係る塗膜除去方法においては、まず、第1処理S11において、被塗装Mg合金材を第1アルカリ溶液に浸漬する。浸漬処理に使用する第1アルカリ溶液は、Mg合金材の10〜20倍量の体積とする。第1アルカリ溶液の温度は60〜90℃とし、浸漬時間は20〜60分間とする。第1アルカリ溶液は、アルカリ成分として、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物を含んでいるのが好ましい。アルカリ成分としては、特に水酸化カリウムが好適である。第1アルカリ溶液における水酸化カリウムの濃度は、2〜40wt%が好ましい。このような第1処理S11により、上塗り層は、膨潤して下塗り層に対する塗着力が低下し、その一部は剥離する。また、上塗り層が剥離した箇所の下塗り層の一部も膨潤してMg合金材に対する塗着力が低下する。
【0031】
次に、第1アルカリ溶液からMg合金材を引き上げ、水洗工程S12において、これを水洗する。本工程では、シャワー装置を使用して、Mg合金材に対して水を吹き付ける。このときの水圧は、0.5〜2kgf/cmとする。或は、本工程では、所定の浴槽に溜めた洗浄水に対してMg合金材を浸漬することによって水洗してもよい。このような水洗工程S12により、Mg合金材の表面で膨潤している主に上塗り層、または、Mg合金材表面に付着している主に上塗り層片が、Mg合金材から物理的に除去される。上述の第1処理S11と本工程とによって、主に上塗り層がMg合金材から除去される。
【0032】
次に、第2処理S13において、Mg合金材を第2アルカリ溶液に浸漬する。浸漬処理に使用する第2アルカリ溶液は、Mg合金材の10〜20倍量の体積とする。第2アルカリ溶液の温度は60〜90℃とし、浸漬時間は、例えば第1処理S11における浸漬時間との合計が90分を超えない範囲において、30〜70分間とする。第2アルカリ溶液は、第1アルカリ溶液と同一の組成のものを使用することができる。或は、第2アルカリ溶液は、下塗り層の成分組成に応じて、第1アルカリ溶液とは異なる組成のものを使用してもよい。このような第2処理S13により、下塗り層は、膨潤してMg合金材に対する塗着力が低下する。また、下塗り層の一部はMg合金材から剥離する。
【0033】
第2処理S13においては、上述の第2アルカリ溶液に代えて酸溶液を使用することもできる。水洗工程S12の後にMg合金材を浸漬する処理液として酸溶液を使用する場合、当該酸溶液は、Mg合金材の10〜20倍量の体積とする。酸溶液の温度は20〜70℃とし、浸漬時間は5〜30分間とする。酸溶液は、酸成分として有機酸を含んでいるのが好ましい。有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、安息香酸が挙げられる。有機酸としてギ酸を採用する場合、酸溶液におけるギ酸の濃度は2〜40wt%が好ましい。このような第2処理S13によると、下塗り層は、分解作用や溶解作用を受けてMg合金材から剥離する。
【0034】
次に、第2アルカリ溶液または酸溶液からMg合金材を引き上げ、水洗工程S14において、これを水洗する。本工程でも、シャワー装置を使用し、Mg合金材に吹き付ける水圧を0.5〜2kgf/cmとする。或は、本工程では、所定の浴槽に溜めた洗浄水に対してMg合金材を浸漬することによって水洗してもよい。このような水洗工程S14により、Mg合金材の表面で膨潤している下塗り層、または、Mg合金材表面に付着している下塗り層片が、Mg合金材から物理的に除去される。
【0035】
次に、乾燥工程S15において、水洗工程S14を経たMg合金材を乾燥する。例えば乾燥器内において、温度50〜80℃にて30分〜1時間放置することによって、Mg合金材を乾燥する。
【0036】
以上の工程を経ることによって、例えば図2に示すノートパソコン筐体の平面部1のみならず、筐体側壁2、退避部3、細かい凹凸部位4についても、塗膜を良好に除去することができる。本実施形態の第1処理11および第2処理13における各浸漬時間の合計は、従来法における1回の浸漬時間よりも短くて済む。第2処理13において、処理液としての能力が過度に低下していない第2アルカリ溶液または酸溶液を使用するからである。また、各処理液の寿命については、従来法のそれよりも長い。すなわち、本発明に係る処理液は、従来法の処理液よりも多数の浸漬処理において有効に使用することができる。第1アルカリ溶液と、第2アルカリ溶液または酸溶液とには、塗膜に由来する劣化因子の全ては混入しないからである。
【0037】
図3は、本発明の第2の実施形態に係るMg合金再生材製造方法のフローチャートである。Mg合金がリサイクルの過程を経ることによって、合金に含まれるFeは増加する傾向にあり、Mnは減少する傾向にあることが知られている。そこで、本実施形態では、Mg合金に含まれるFe成分およびMn成分の双方の含有率を調整することによって、JIS MD1DまたはAZ91Dに相当する鍛造用Mg合金を再生材として製造する場合について説明する。
【0038】
本実施形態の再生材製造方法においては、まず、図1を参照して上述したのと同様に第1処理S11から乾燥工程S15までを行うことによって、被塗装Mg合金材の塗膜が除去されたMg合金材を得る。
【0039】
次に、溶解工程S21において、塗膜が除去されたMg合金材を第1フラックスとともに溶解炉にて溶解する。具体的には、砕片状または一旦インゴットとされたMg合金材と粉状の第1フラックスとを、予め680℃程度に加熱された溶解炉に投入し、投入の後に720℃程度に昇温してこれらを溶解する。このとき、溶融したMg合金すなわち溶湯の均質性を確保するため、溶解炉内の溶湯は、機械式の羽車を回転させることによって攪拌する。第1フラックスは、溶解の際に生ずる酸化物を還元すること、および、後の工程において溶湯内の油分などの不純物をスラッジとして沈降させることを主目的として添加されるものであり、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属のハロゲン化物が使用される。より具体的には、第1フラックスとしては、MgClを40〜60wt%、KClを15〜35wt%、CaFを1〜10wt%、BaClを10〜30wt%含む粉末混合物を使用することができる。また、溶湯の表面に発火が生じる場合には、その発火状態に応じて、第1フラックスを適宜追加する。
【0040】
次に、スラッジ分離工程S22において、溶湯を攪拌し続けることによって溶湯内の不純物をスラッジとして分離させる。本工程では、溶湯内にスラッジの分離が確認されたときに、溶湯に対して粉状の第2フラックスを添加することによりスラッジの分離を促進させる。第2フラックスとしては、第1フラックスと略同様のものが使用されるが、各成分の割合は第1フラックスとは異なり、比重の大きなBaClの割合を少なくするのが好ましい。より具体的には、第2フラックスとしては、例えば、MgClを60〜75wt%、KClを20〜35wt%、CaFを0.1〜5wt%、BaClを1〜10wt%含む粉末混合物を使用することができる。また、溶湯の表面に発火が生じる場合には、その発火状態に応じて、第2フラックスを適宜追加する。
【0041】
次に、清浄化工程S23において、溶湯を清浄化する。具体的には、溶湯の攪拌を停止した後に溶湯を10〜30分間鎮静することによって、溶解炉の底部にスラッジを沈降させる。このとき、溶湯の表面を覆う酸化防止ガス層を形成する。具体的には、溶湯に対して粉状の第3フラックスを添加する。第3フラックスは、溶湯の熱により分解して溶湯の酸化を防止するためのガスを発生するものであり、当該ガスが溶解炉内に充満することによって、溶湯の表面を覆う酸化防止ガス層が形成される。第3フラックスとしては、例えば、硫黄(S)を60〜90wt%、MgFを10〜40wt%含む粉末混合物を使用することができる。
【0042】
次に、成分分析工程S24において、清浄化した溶湯に含まれている成分を分析する。具体的には、まず、溶解炉から溶湯の一部を抽出し、この溶湯から、例えば直径5cmで長さ5cmの円柱状サンプルを鋳造する。そして、このサンプルについて成分分析を行うことによって、溶湯におけるFe成分およびMn成分の含有率を特定する。分析手法としては、例えばアーク式発光分光分析を採用することができる。
【0043】
次に、成分調整工程S25において、前工程で得られた測定結果に基づいて、Fe成分およびMn成分の含有率を所望の範囲内に調整する。例えばAZ91Dに相当する鍛造用Mg合金を製造する場合、Fe成分の所望範囲は40ppm(0.004wt%)以下であり、Mn成分の所望範囲は0.17〜0.4wt%である。
【0044】
Mg合金がリサイクルの過程を経ると、合金に含まれるFeは増加することが知られており、従って、Fe成分を調整するためには、その過剰量に応じた適切な量のFe沈降剤を溶湯に添加する。Fe沈降剤としては、例えばAl−Mn金属間化合物を使用することができる。一方、Mg合金がリサイクルの過程を経ると、合金に含まれるMnは減少することが知られており、従って、Mn成分を調整するためには、その不足量に応じた適切な量のMn供給剤を溶湯に添加する。Mn供給剤としては、単体Mnや、Mnを含む化合物を使用することができる。例えば、Al−Mn金属間化合物は、Mn供給剤としても使用することができる。Fe成分およびMn成分の含有率が既に所望の範囲内にある場合、Fe沈降剤およびMn供給剤は添加されない。
【0045】
種類および量を適切に決定してFe沈降剤およびMn供給剤を溶湯に添加し、溶湯を攪拌および続いて清浄化した後、成分分析工程S24を再び行う。このような、成分調整工程S25およびその後の成分分析工程S24を、Fe成分およびMn成分の含有率が所望の範囲内に収まるまで繰り返し行う。
【0046】
次に、鋳造工程S26において、所望の成分組成を有する溶湯から、鋳造用材料として、所定サイズのインゴットを鋳造する。このようにして、本実施形態に係るMg合金再生材が製造される。
【0047】
本発明に係るMg合金再生材製造方法によると、第1処理S11から水洗工程S14において被塗装Mg合金材から塗膜を効率よく除去することができ、従って、効率よくMg合金再生材を製造することができる。加えて、溶解工程S21にて溶融されるMg合金材としては、被塗装Mg合金材から充分に塗膜が除去されたものが使用される。そのため、溶解工程S21において、塗料に由来する樹脂材料が燃焼することによって有機系ガスが発生することを回避することができる。これとともに、塗料に由来する、Mg合金にとって好ましくないTiなどの金属により溶湯が過度に汚染されることも、回避することができる。また、Mg合金材におけるFe成分やMn成分の含有率はリサイクル回数やその他の要因によって相違するが、本発明に係る方法によると、Fe成分やMn成分の含有率について個別かつ柔軟に対応することが可能である。このように、本発明に係るMg合金再生材製造方法によると、目的とする組成すなわちヴァージンMg合金の組成に相当する組成を有するMg合金再生材を、効率的かつ適切に製造することができるのである。
【0048】
図4は、本発明の第3の実施形態に係る塗膜リサイクル方法のフローチャートである。本実施形態の塗膜リサイクル方法においては、まず、図1を参照して上述したのと同様に第1処理S11から水洗工程S14までを行うことによって、被塗装Mg合金材から塗膜を除去する。
【0049】
次に、回収工程S31において、第1処理S11から水洗工程S14までにおいてマグネシウム合金材から剥離した塗膜片を回収する。具体的には、第1処理S11で使用した第1アルカリ溶液、第2処理S13で使用した第2アルカリ溶液または酸溶液、および、水洗工程S12,S14においてMg合金材に吹きつけた流水またはMg合金材を浸漬した洗浄水をろ過し、マグネシウム合金材から剥離した塗膜片を当該処理液から単離する。
【0050】
次に、水洗工程S32において、上述のようにして回収された塗膜片を水洗し、塗膜片に付着している処理液を充分に除去する。次に、乾燥工程S33において、塗膜片を乾燥する。例えば、乾燥器内において、80℃にて2時間放置することによって塗膜片を乾燥する。次に、粉砕工程S34において、乾燥した塗膜片を所望の粒径まで粉砕する。例えば、乳鉢に塗膜片を投入し、直径1mm以下となるまで塗膜片を粉砕する。
【0051】
次に、樹脂成形工程S35において、上述のようにして得られるペレット状の塗膜再生材を増量材として利用して、樹脂成形体を作製する。具体的には、まず、例えば2軸混練押出機を使用して、熱可塑性樹脂材料と塗膜再生材ペレットとを所定の混合比で溶融混練する。塗膜再生材ペレットの添加率は10〜60wt%とする。熱可塑性樹脂材料としては、例えばABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂などを挙げることができる。次に、このように調製した樹脂組成物から、射出成形機を使用して所望の形状の樹脂成形体を成形する。塗膜再生材ペレットは、このような利用の他に、アスファルトに添加することによって、アスファルトの増量材としても利用することができる。
【0052】
【実施例】
次に、本発明の実施例について比較例とともに説明する。
【0053】
【実施例1】
<Mg合金再生材の製造>
被塗装Mg合金材としての、Mg合金製で表面塗装が施されている図2に示すようなノートパソコン筐体を、まず、2Lの第1アルカリ溶液に浸漬した。ノートパソコン筐体の表面に形成されている塗膜は、エポキシ樹脂を主成分とする下塗り層と、アクリル樹脂を主成分とする上塗り層とからなる。第1アルカリ溶液は、水酸化カリウムを3.5wt%、水酸化ナトリウムを2.5wt%、アニオン界面活性剤を20wt%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを40wt%含んでいる。第1アルカリ溶液の温度は70℃に維持し、浸漬時間は10分間とした。このような浸漬処理により、塗膜の主に上塗り層を膨潤させた。次に、Mg合金筐体を第1アルカリ溶液から引き上げた後、水圧1kgf/cmの流水によりMg合金筐体を洗浄した。これにより、主に上塗り層が除去された。
【0054】
次に、Mg合金筐体を、2Lの第2アルカリ溶液に浸漬した。第2アルカリ溶液は、第1アルカリ溶液と同一の成分組成を有する。第2アルカリ溶液の温度は70℃に維持し、浸漬時間は40分間とした。このような浸漬処理により、塗膜の下塗り層を膨潤させた。次に、Mg合金筐体を第2アルカリ溶液から引き上げた後、水圧1kgf/cmの流水によりMg合金筐体を洗浄した。これにより、下塗り層が除去された。次に、乾燥器内に放置することによりMg合金筐体を乾燥した。このようにして、Mg合金製のノートパソコン筐体において、図2に示す平面部1、筐体側壁2、退避部3、細かい凹凸部位4に形成されていた塗膜を、合計50分間の浸漬処理により適切に除去することができた。
【0055】
次に、約680℃に予熱した溶解炉(60L)に対して、上述のようにして塗膜を除去したMg合金筐体30kgと、第1フラックス1kgとを投入し、その後、溶解炉を720℃まで昇温してこれらを溶解した。第1フラックスは、MgClを50wt%、KClを25wt%、CaFを5wt%、BaClを20wt%含む粉末混合物である。溶融したMg合金すなわち溶湯の均質性を得るため、溶湯は、機械式の羽車により撹拌した。羽車の回転数は100rpmとした。
【0056】
攪拌を継続し、溶湯からスラッジが分離し始めた時点で、溶湯に第2フラックス0.2kgを投入した。第2フラックスは、MgClを67.5wt%、KClを27.5wt%、CaFを1wt%、BaClを4.5wt%含む粉末混合物である。そして、溶湯表面の発火状態に応じて、第2フラックスを0.1kgずつ適宜追加した。このような第2フラックスの添加により、溶湯からのスラッジの分離を促進した。
【0057】
次に、攪拌を停止して溶湯を20分間鎮静させることにより、溶湯内でスラッジを沈降させて溶湯を清浄化した。その際、攪拌を停止した直後に、溶湯に第3フラックス0.2kgを投入した。第3フラックスは、Sを80wt%、MgFを20wt%含む粉末混合物である。第3フラックスの投入によりSFが発生して溶解炉内に充満し、SFにより、溶湯表面を覆う酸化防止ガス層が形成された。このようにして溶湯の酸化を抑制した状態で、充分にスラッジを沈降させた。
【0058】
次に、清浄化された溶湯から、サンプルとして0.2kgを抽出し、この溶湯から円柱状サンプル(直径5cm、長さ5cm)を鋳造した。次に、このサンプルについて、アーク式発光分光分析装置(PDA−5500II、島津製作所製)を使用して成分分析を行った。その結果、Fe含有率は0.0058wt%であり、Mn含有率は0.120wt%であった。
【0059】
次に、Fe含有率を低下させ且つMn含有率を上昇させるため、Fe沈降剤とMn供給剤の機能を併有するAl−Mn金属間化合物を溶解炉に投入した。AZ91Dに相当する鍛造用Mg合金(Fe:0.004wt%以下、Mn:0.17〜0.4wt%)を得るべく、Al−Mn金属間化合物の投入量は4kgとした。次に、このようにして成分調整が行なわれた溶湯を撹拌した後、10分間鎮静することによって溶湯を清浄化した。
【0060】
次に、清浄化された溶湯から、サンプルとして0.2kgを抽出し、この溶湯から円柱状サンプル(直径5cm、長さ5cm)を鋳造した。次に、このサンプルについて、アーク式発光分光分析装置(PDA−5500II、島津製作所製)を使用して成分分析を行ったところ、Fe含有率は0.0015wt%に低下し、Mn含有率は0.210wt%に上昇していた。次に、このようにして所望の組成に成分調整が行なわれた溶湯からインゴット(5kg)を5個鋳造した。このようにして、被塗装Mg合金ノートパソコン筐体からMg合金再生材を製造することができた。
【0061】
<曲げ強度測定>
上述のようにして得たMg合金再生材から、ダイカスト成形により、JIS Z 2204 1号試験片(10mm×50mm×3.2mm)を5個作成し、これら試験片について曲げ強度を測定した。具体的には、万能試験機(商品名:INSTORON5581、インストロンジャパン製)を使用し、JIS K 7055に準拠して、各試験片について3点曲げ試験を行った。試験条件は、支持2点間距離(スパン)を40mmとし、当該支持2点間の略中央に対する負荷の荷重速度を2mm/minとした。一方、ヴァージン材(AZ91D)からも、同様にJIS Z 2204 1号試験片を5個作成し、これら試験片について同一の条件で3点曲げ試験を行った。その結果、本実施例のMg合金再生材から作成された試験片は、ヴァージン材から作成された試験片とほぼ同強度であって、平均約400MPaの曲げ強度を示し、その最大値と最小値の差は約13%であった。
【0062】
<耐食試験>
上述のようにして得たMg合金再生材から、ダイカスト成形により、JIS Z 2204 1号試験片(10mm×50mm×3.2mm)を5個作成し、これら試験片について、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験により耐食性を評価した。一方、ヴァージン材からも、同様にJIS Z 2204 1号試験片を5個作成し、これら試験片について同一の条件で耐食性を評価した。その結果、本実施例の試験片の腐食量は、ヴァージン材から作成した試験片の腐食量と、ほぼ同程度であった。
【0063】
<成形性の評価>
上述のようにして得たMg合金再生材から、ダイカスト成形により、図2に示すような形状のノートパソコン筐体(320mm×240mm×1.2mm)を50個成形した。一方、ヴァージン材からも、同様に50個のノートパソコン筐体を成形した。その結果、本実施例のMg合金再生材は、ヴァージン材と同程度の成形性を示した。例えば、製品の良品率は、ヴァージン材を使用した場合と同様に約80%であった。ここで、製品の良品率とは、溶湯のショートショットや、成形体におけるひけ及び欠けが発生せずに、製品としての外観基準を満たす成形体の割合をいう。
【0064】
【実施例2】
被塗装Mg合金材としての、実施例1と同一の図2に示すようなノートパソコン筐体について、第1アルカリ溶液による浸漬処理およびその後の洗浄までは実施例1と同様にして、塗膜の上塗り層を除去した。次に、Mg合金筐体を、2Lの酸溶液に浸漬した。この酸溶液は、有機酸であるギ酸を5wt%、ベンジルアルコールを15wt%、エチレングリコールモノブチルエーテルを40wt%含んでいる。酸溶液の温度は40℃に維持し、浸漬時間は5分間とした。このような浸漬処理により、塗膜の下塗り層を膨潤または溶解させた。次に、Mg合金筐体を酸溶液から引き上げた後、水圧1kgf/cmの流水によりMg合金筐体を洗浄した。これにより、下塗り層が除去された。次に、乾燥器内に放置することによりMg合金筐体を乾燥した。このようにして、Mg合金製のノートパソコン筐体において、図2に示す平面部1、筐体側壁2、退避部3、細かい凹凸部位4に形成されていた塗膜を、合計15分間の浸漬処理により適切に除去することができた。
【0065】
このようにして塗膜が除去されたMg合金筐体を用いて、溶解炉での溶解から、成分分析および成分調整を経て5kgインゴットの鋳造まで実施例1と同様にして、Mg合金再生材を製造した。このMg合金再生材について、実施例1と同様にして曲げ強度測定、耐食試験、成形性の評価を行ったところ、本実施例のMg合金再生材もヴァージン材と同程度の特性ないし物性を示した。
【0066】
【比較例1】
被塗装Mg合金材としての、実施例1と同一の図2に示すようなノートパソコン筐体を、まず、2Lの第1アルカリ溶液に浸漬した。第1アルカリ溶液は、実施例1と同一のものを使用した。このとき、第1アルカリ溶液の温度は70℃に維持した。水圧1kgf/cmの流水によるこの後の洗浄により塗膜を充分に除去するためには、第1アルカリ溶液に対する浸漬時間は90分以上とする必要があった。例えば50分程度で当該浸漬処理を停止し、塗膜が残着しているMg合金材を用いて実施例1と同一の工程を経てMg合金再生材を製造する場合、溶湯において有機系有害ガスや多量の沈殿物が発生することによって、或は、合金組成が所望の範囲から大きく逸脱することによって、Mg合金再生材の生産性は著しく低下する。
【0067】
【実施例3】
被塗装Mg合金材としての、Mg合金製で表面塗装が施されている図2に示すようなノートパソコン筐体200枚を、ジグに収容した状態で、まず、ステンレス製の処理浴槽(1m)に用意した800Lの第1アルカリ溶液に浸漬した。ノートパソコン筐体の表面に形成されている塗膜は、エポキシ樹脂を主成分とする下塗り層と、ウレタン樹脂を主成分とする上塗り層とからなる。第1アルカリ溶液は、水酸化カリウムを3.5wt%、水酸化ナトリウムを2.5wt%、アニオン界面活性剤を20wt%、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを40wt%含んでいる。第1アルカリ溶液の温度は70℃に維持し、浸漬時間は10分間とした。このような浸漬処理により、主に塗膜の上塗り層を膨潤させてその一部を剥離させた。次に、筐体を第1アルカリ溶液から引き上げた後、処理浴槽(1m)に用意した800Lの第1洗浄水に筐体を浸漬した。これにより、塗膜の約90%が筐体から剥離した。
【0068】
次に、200枚の筐体を、処理浴槽(1m)に用意した800Lの酸溶液に浸漬した。この酸溶液は、有機酸であるギ酸を5wt%、ベンジルアルコールを15wt%、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを40wt%含んでいる。酸溶液の温度は40℃に維持し、浸漬時間は5分間とした。このような浸漬処理により、塗膜の主に下塗り層を膨潤させてその一部を剥離させた。次に、筐体を酸溶液から引き上げた後、処理浴槽(1m)に用意した800Lの第2洗浄水に筐体を浸漬した。これにより、塗膜の全てが除去された。次に、乾燥器内に放置することによりMg合金筐体を乾燥した。このようにして、Mg合金製のノートパソコン筐体において、図2に示す平面部1、筐体側壁2、退避部3、細かい凹凸部位4に形成されていた塗膜を、合計15分間の浸漬処理により適切に除去することができた。このようにして塗膜が除去されたMg合金筐体を用いると、溶解炉での溶解から、成分分析および成分調整を経てインゴットの鋳造まで実施例1と同様にして、Mg合金再生材を製造することができた。
【0069】
塗膜を除去するための一連の工程で使用した第1アルカリ溶液、第1洗浄水、酸溶液、第2洗浄水から、エポキシ樹脂やウレタン樹脂を主成分とする塗膜片を回収した。具体的には、塗膜片が沈殿または浮遊している各処理液をろ過し、Mg合金材から剥離した塗膜片を処理液から単離した。次に、回収された塗膜片を水洗し、塗膜片に付着している処理液を充分に除去した。次に、80℃にて2時間、乾燥器内に放置することによって塗膜片を乾燥した。次に、塗膜片を乳鉢に投入し、直径1mm以下となるまで塗膜片を粉砕した。このようにして、200枚の被塗装Mg合金筐体から、ペレット状の塗膜再生材を約4kg作製することができた。
【0070】
次に、2軸混練押出機(商品名:KZW 15−30MG、テクノベル製)を使用して、上述のようにして得た塗膜再生材ペレット50wt%と、ポリプロピレン樹脂50wt%とを溶融混練した。温度220℃およびミキシング部の回転速度100rpmの条件で混練した。次に、このようにして調製した樹脂組成物から、射出成形機(商品名:AUTOSHOT、ファナック製)を使用して図5に示すような植木鉢(高さ300mm、開口径300mm、肉厚2.5mm)を成形した。この植木鉢は、良好な外観を有するとともに実用可能な強度を有していた。このようにして、被塗装Mg合金材の塗膜を適切にリサイクルすることができた。
【0071】
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
【0072】
(付記1)塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理と、
前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理と、を含むことを特徴とする、被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記2)前記第1アルカリ溶液および/または前記第2アルカリ溶液は、アルカリ主成分として水酸化カリウムを含む、付記1に記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記3)前記酸溶液は、酸主成分として有機酸を含む、付記1または2に記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記4)前記第1処理、および/または、前記第2アルカリ溶液を用いる第2処理は、60〜90℃の温度にて行う、付記1から3のいずれか1つに記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記5)前記第1処理は60〜90℃の温度にて行い、前記酸溶液を用いる第2処理は20〜70℃の温度にて行う、付記1から3のいずれか1つに記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記6)前記第1処理および/または前記第2処理の後に前記マグネシウム合金材を水洗するための工程を含む、付記1から5のいずれか1つに記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記7)前記第1処理は、下塗り層および上塗り層を含む塗膜における当該上塗り層を除去するために行い、前記第2処理は、前記下塗り層を除去するために行う、付記1から6のいずれか1つに記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
(付記8)塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、
前記マグネシウム合金材を溶融して溶湯を調製する溶解工程と、
前記溶湯に含まれる少なくとも一つの成分の含有率を測定する成分分析工程と、
前記溶湯の成分を調整する成分調整工程と、を含むことを特徴とする、マグネシウム合金再生材の製造方法。
(付記9)前記溶解工程では、前記マグネシウム合金材に含まれる不純物を前記溶湯において分離させるための第1のフラックスを、前記マグネシウム合金材とともに溶融する、付記8に記載のマグネシウム合金再生材の製造方法。
(付記10)前記成分分析工程の前に、前記溶湯の酸化を抑制するガスを発生させるための第2のフラックスを前記溶湯に投入する、付記8または9に記載のマグネシウム合金再生材の製造方法。
(付記11)前記第1処理および/または前記第2処理の後に前記マグネシウム合金材を水洗するための工程を含む、付記8から10のいずれか1つに記載のマグネシウム合金再生材の製造方法。
(付記12)塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、
前記第1処理および前記第2処理においてマグネシウム合金材から剥離した塗膜を回収する工程と、
回収した塗膜を粉砕することによって塗膜再生材を作製する工程と、を含むことを特徴とする、塗膜のリサイクル方法。
(付記13)前記第1処理および/または前記第2処理の後に前記マグネシウム合金材を水洗するための工程と、当該水洗工程においてマグネシウム合金材から剥離した塗膜を回収する工程とを含む、付記12に記載の塗膜のリサイクル方法。
(付記14)前記塗膜再生材を添加した樹脂組成物から樹脂成形体を作製する、付記12または13に記載の塗膜のリサイクル方法。
(付記15)前記樹脂組成物は、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群より選択される熱可塑性樹脂を含む、付記14に記載の塗膜のリサイクル方法。
(付記16)前記塗膜再生材をアスファルトに添加する、付記12または13に記載の塗膜のリサイクル方法。
【0073】
【発明の効果】
本発明によると、マグネシウム合金材の表面に形成されている塗膜を短時間で適切に除去することができる。加えて、使用する処理液の長寿命化を達成することができる。したがって、被塗装マグネシウム合金材から、ヴァージン材と同等の特性を示し得るマグネシウム合金再生材を効率よく製造することが可能となる。また、使用する処理液から塗膜を効率よく回収して塗膜再生材を効率よく製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る塗膜除去方法のフローチャートである。
【図2】ノートパソコン用のマグネシウム合金筐体の一例を表す。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るマグネシウム合金再生材製造方法のフローチャートである。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る塗膜リサイクル方法のフローチャートである。
【図5】本発明に係る塗膜リサイクル方法により得られた植木鉢を表す。
【符号の説明】
S11  第1処理
S12  水洗工程
S13  第2処理
S14  水洗工程
S15  乾燥工程
S21  溶解工程
S22  スラッジ分離工程
S23  清浄化工程
S24  成分分析工程
S25  成分調整工程
S26  鋳造工程
S31  回収工程
S32  水洗工程
S33  乾燥工程
S34  粉砕工程
S35  樹脂成形

Claims (7)

  1. 塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理と、
    前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理と、を含むことを特徴とする、被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
  2. 前記第1アルカリ溶液および/または前記第2アルカリ溶液は、アルカリ主成分として水酸化カリウムを含む、請求項1に記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
  3. 前記第1処理、および/または、前記第2アルカリ溶液を用いる第2処理は、60〜90℃の温度にて行う、請求項1または2に記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
  4. 前記第1処理は60〜90℃の温度にて行い、前記酸溶液を用いる第2処理は20〜70℃の温度にて行う、請求項1または2に記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
  5. 前記第1処理は、下塗り層および上塗り層を含む塗膜における当該上塗り層を除去するために行い、前記第2処理は、前記下塗り層を除去するために行う、請求項1から4のいずれか1つに記載の被塗装マグネシウム合金材の塗膜除去方法。
  6. 塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、
    前記マグネシウム合金材を溶融して溶湯を調製する溶解工程と、
    前記溶湯に含まれる少なくとも一つの成分の含有率を測定する成分分析工程と、
    前記溶湯の成分を調整する成分調整工程と、を含むことを特徴とする、マグネシウム合金再生材の製造方法。
  7. 塗装が施されているマグネシウム合金材に対して第1アルカリ溶液を作用させる第1処理、および、前記第1処理を経たマグネシウム合金材に対して、前記第1アルカリ溶液とは別の第2アルカリ溶液、または、酸溶液を作用させる第2処理を含む塗膜除去工程と、
    前記第1処理および前記第2処理においてマグネシウム合金材から分離した塗膜を回収する工程と、
    回収した塗膜を粉砕することによって塗膜再生材を作製する工程と、を含むことを特徴とする、塗膜のリサイクル方法。
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