JP2015214597A - ポリイミドおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶液加工性、透明性、および耐熱性が高く、かつ、線熱膨張係数が非常に低いポリイミドを提供する。
【解決手段】所定の式で表される繰り返し単位aと、所定の式で表される繰り返し単位bとを含有し、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)であるポリイミド。
【選択図】なし

Description

本発明はポリイミドおよびその利用に関する。具体的には、溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数が非常に低いポリイミドおよびその利用に関する。
現在液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種表示機器においてガラス基板が用いられている。ガラス基板は耐熱性が高く、線熱膨張係数が低く、透明性が高いという点において優れた材料である。一方、これらのディスプレイに対しては、軽量化およびフレキシブル化が求められており、ガラスに代わる材料が強く求められている。これらの要求を満足する材料として種々のポリイミド材料が検討されている。
さて、ポリイミドはその化学構造ゆえに高い耐熱性を有する。しかしながら、下記の点で、ポリイミドはガラスに代わる材料として用いるには課題を有する。
ポリイミドをガラスに代わる材料として使用する場合、とりわけ高精細な表示機器用に使用する場合には低い線熱膨張係数が必要となる。しかしながら一般のポリイミドフィルムは線熱膨張係数が低いとは言えず、使用することができる用途は限られている。
またポリイミドの多くは分子内・分子間電荷移動に起因する着色を有する。それゆえポリイミドフィルムを高い透明性が必要なディスプレイ材料などに使用することは困難であった。
さらにポリイミドの多くは、溶剤に不溶であり、ポリイミド溶液の塗工プロセスを用いての均一なフィルム化が困難である。それゆえ、溶剤に可溶なポリイミド前駆体であるポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへと変換する方法が広く採用されている。
しかし、かかる方法によれば、ポリアミド酸からポリイミドへと変換する工程は、300℃以上での加熱を必要とし、大きな反応収縮を伴う。そのため、かかる方法では、無機材料基板との線熱膨張係数のミスマッチにより反りが生じるばかりでなく、副生する水によりフィルム欠陥が生じるという問題があった。
上記の課題に対し、例えば特許文献1には、無色透明で熱安定性に優れたポリイミドフィルムが開示されている。また特許文献2には、可溶性であり、かつ透明なポリイミドが開示されている。
特表2010−538103号公報(2010年12月9日公表) WO2013/121917A1号公報(2013年8月22日国際公開)
しかしながら、特許文献1に開示されたポリイミドフィルムは、線膨張係数が十分に低くなく改良の余地がある。
また、特許文献2に開示のポリイミドは、特許文献2に開示の発明の出願前に公知であったポリイミドと比較して線熱膨張係数の低いポリイミドを提供することができている。
しかし、上述したポリイミド以外にも、さらなるポリイミドの開発が求められていた。
以上の観点から、より一層低い線熱膨張係数、高い透明性、さらには優れた溶液加工性を満足するポリイミドが強く求められていた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来にないくらいに低いポリイミドを提供することを課題とする。
本発明者は、従来よりもより一層低い線熱膨張係数を必要とする用途での使用が可能なポリイミドを調製すべく鋭意検討し、その結果、ポリイミド分子中に所定の2種類の繰り返し単位を含有させ、上記繰り返し単位の組成比を特定の範囲にすることによって、非常に低い線熱膨張係数、高い透明性、さらには優れた溶液加工性を満足するポリイミドを調製することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位aと、下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、
上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)であることを特徴としている。
Figure 2015214597
(ここで式中のzはNHまたはOである。)
Figure 2015214597
(ここで式中のzはNHまたはOであり、Aは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
本発明によれば、溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数が非常に低いポリイミドを提供することができる。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは本発明の一態様であり、本発明はこれらの内容に限定されない。
〔実施の形態1:ポリイミド〕
本発明に係るポリイミドは、下記式(1)で表される繰り返し単位aと、下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、
上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)である。
Figure 2015214597
(ここで式中のzはNHまたはOである。)
Figure 2015214597
(ここで式中のzはNHまたはOであり、Aは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
上記構成によれば、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が好適に調整されているため、上記繰り返し単位aによる非常に低い線熱膨張係数と、透明性とをポリイミド分子に付与することができると共に、上記繰り返し単位bにより、ポリイミドの溶液加工性を高めることができる。
また、上記繰り返し単位a、bは、ともに分子内にトリフルオロメチル基を有するため、ポリイミド分子の分子鎖間に溶媒分子が容易に進入することができる。さらに、本発明に係るポリイミドは、ポリイミドの化学構造に起因する高い耐熱性を示すことができる。
したがって、上記構成によれば、溶液加工性が優れ、透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドを提供することができる。
本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aが下記式(3)で表され、上記繰り返し単位bが下記式(4)で表されるものであってもよい。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
(ここで式中のAは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
式(3)で表される繰り返し単位aおよび式(4)で表される繰り返し単位bは、分子内にアミド結合を含有しているため、分子間水素結合を形成しやすい。そのため、上記構成によれば、分子間の相互作用がより強くなるため、より線熱膨張係数の低いポリイミドを提供することができる。
本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aが下記式(5)で表され、上記繰り返し単位bが下記式(6)で表されるものであってもよい。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
上記構成によれば、繰り返し単位aが、ポリイミド分子の透明性を高める観点からより好ましい構造を備えると共に、繰り返し単位bが溶液加工性を高める観点からより好ましい構造を備えている。そのため、溶液加工性および透明性により一層優れたポリイミドを提供することができる。
(1)繰り返し単位aおよびbについて
(1−1)ジアミン
上記繰り返し単位aおよびbには、下記式(7)で表されるジアミンが導入されている。
Figure 2015214597
(ここで式中のzはNHまたはOである。)
ポリイミドの線熱膨張係数を低減するためには、分子の直線性を高くし、かつ分子間の相互作用を強くする必要がある。本発明に係るポリイミドは上記式(7)で表されるジアミンを上記繰り返し単位aおよびb中に含む。このジアミンは分子内にアミド結合もしくはエステル結合を有する。そのため、このジアミンを用いて得られるポリイミドでは分子が直線状になり、ポリイミドの線熱膨張係数の低減に寄与することができると考えられる。
上記式(7)で表されるジアミンとしては、特に下記式(8)で表されるジアミンが好ましい。下記式(8)で表されるジアミンは、分子内にアミド結合を有する。そのため、下記式(8)で表されるジアミンを用いて得られるポリイミドでは、分子が直線状になると共に、分子間水素結合が形成されると考えられるため、分子間相互作用をより強くすることができると考えられる。よって、ポリイミドの線熱膨張係数をより低減することができると考えられる。
Figure 2015214597
上記式(8)で表されるジアミンの中でも、特に、透明性を向上させる観点から、下記式(9)で表されるジアミンが好ましい。
Figure 2015214597
上記式(7)で表されるジアミンとしては、下記式(10)で表されるジアミンを用いてもよい。当該式(10)で表されるジアミンは、分子内にエステル結合を有する。そのため、当該式(10)で表されるジアミンを用いて得られるポリイミドにおいても、分子が直線状になると考えられる。
Figure 2015214597
また、上記式(10)で表されるジアミンとして、透明性を向上させる観点から、下記式(11)で表されるジアミンを用いてもよい。
Figure 2015214597
ポリイミドが溶媒に可溶であるためには、分子鎖間に溶媒分子が容易に侵入できる構造が必要である。本発明に係るポリイミドは、トリフルオロメチル基を有するジアミンを繰り返し単位aおよびbに含んでいる。トリフルオロメチル基は立体的に嵩高いため、トリフルオロメチル基の導入により高分子鎖の凝集や結晶化が妨げられることで、ポリイミドの分子鎖間に溶媒分子が容易に進入することが出来、溶媒に可溶なポリイミドを得ることに寄与することができるものと考えられる。
本発明で用いるジアミンは、式(7)で表されるが、その他のジアミンを併用してもよい。その他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、6,6'−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス[(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2,6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(7)で表されるジアミンと他のジアミンとを併用する場合は、ジアミンの総量を100モル%としたときに、式(7)で表されるジアミンの量は、10モル%以上、50モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%の順に、後ろに記載したものほど好ましい。
式(7)で表されるジアミンの量が上記の範囲である場合、ポリイミドの線熱膨張係数、溶液加工性、光透過率の向上に寄与することができる。
上記式(7)で表されるジアミンの合成法は、特に限定されず、既知の合成方法を用いた任意の手段を用いることができる。
合成ルートの一例としては、式(12)で示されるように、対応するジアミンと酸クロライドとを反応させて前駆体となるジニトロ化物を得て、得られたジニトロ化物を触媒存在下において水素還元する方法などが挙げられる。例えば、式(12)で示される方法によれば、上記式(8)で表されるジアミンを得ることができる。
Figure 2015214597
また、上記式(7)で表されるジアミンの他の合成ルートとして、まず式(13)で示されるようにジアミンから中間体を合成してもよい。そして、式(14)で示されるように、当該中間体と酸クロライドとを反応させて前駆体となるジニトロ化合物を得、得られたジニトロ化合物を触媒存在下において水素還元する方法を用いてもよい。当該方法によれば、例えば、上記式(10)で表されるジアミンを得ることができる。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
(1−2)繰り返し単位a
ポリイミドが黄色ないし茶色に着色する原因は、ポリイミド分子内および/または分子間の電荷移動によるものである。透明なポリイミドを得るためには、これらの電荷移動を抑制する必要がある。
上記電荷移動を抑制するための一つの手段は、ポリイミドの合成に用いられるモノマーであるテトラカルボン酸二無水物成分またはジアミン成分のいずれかまたは両方に、脂肪族骨格を導入することである。
本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aに、脂肪族骨格として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物が導入されている。これにより、上記電荷移動が抑制されるため、後述する実施例に示すように、上記ポリイミドは透明性が高く、着色が少ないものとなる。
上記繰り返し単位aは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物がジアミンと重合したものであるため、繰り返し単位aを有する本発明に係るポリイミドは、特許文献2に示された以下の式(15)に示す繰り返し単位を有するポリイミドよりも剛直な構造を有する。
Figure 2015214597
よって、本発明に係るポリイミドは、後述する実施例に示すように、透明性に優れるとともに、特許文献2に示された上記式(15)に示す繰り返し単位を有するポリイミドよりもさらに低い線熱膨張係数を示すポリイミドとなる。
繰り返し単位aは式(1)で表されるが、下記式(3)で表される繰り返し単位と、式(1)においてzがOである繰り返し単位とのいずれか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
Figure 2015214597
また、透明性を向上させる観点から、繰り返し単位aは、下記式(5)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
Figure 2015214597
(1−3)繰り返し単位b
このように、繰り返し単位aは、本発明に係るポリイミドに非常に好ましい特性を付与することができるが、繰り返し単位aがポリイミド中の総繰り返し単位中に占める割合が高くなりすぎると、ポリイミドの溶液加工性が悪化しうるという問題がある。
本発明者は、繰り返し単位aと繰り返し単位bとを併用し、かつ、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの組成比、すなわち、繰り返し単位aと繰り返し単位bとのモル百分率の比を95/5〜55/45(モル%/モル%)とすることによってこの問題を解決することができ、繰り返し単位aによる好ましい特性をいかしつつ、溶液加工性も高くすることができることを見出した。
なお、本明細書において「溶液加工性」とは、有機溶媒への溶解性が優れるため加工性に優れることをいう。例えばポリイミドをフィルム化する際、ポリイミドを任意の有機溶媒に溶解して得られた溶液を支持体に塗布し、乾燥するという方法などが取られるため、溶液加工性に優れることは非常に重要な特性である。
繰り返し単位bは、式(2)に示すようにジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重合体である。ジアミンとしては、既に説明したジアミンを用いることができる。式(2)において、Aは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。
ここで「4価の芳香族基」は、2個のベンゼン環が、2価の基を介して結合しているものをいう。例えば、式(16)に示すように、2個のベンゼン環が2価の基であるヘキサフルオロイソプロピリデン基を介して結合しているものを挙げることができる。上記「2価の基」としては、例えば、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、スルホニル基、エーテル結合(−O−)またはエステル結合(−COO−)を挙げることができる。
Figure 2015214597
「当該芳香族基がトリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む」とは、例えば、上記2価の基としてヘキサフルオロイソプロピリデン基、スルホニル基、エーテル結合またはエステル結合が含有されており、ベンゼン環には上記官能基が結合されていない場合;上記2価の基としてヘキサフルオロイソプロピリデン基、スルホニル基、エーテル結合またはエステル結合が含有されており、さらに、ベンゼン環にトリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基が結合している場合、を挙げることができる。
ベンゼン環に結合するトリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる1種または2種以上の官能基の数は、特に限定されるものではなく、溶液加工性を向上させるという繰り返し単位bの機能を損なわない程度であれば結合していても構わない。
繰り返し単位bとしては、下記式(4)で表される繰り返し単位と、式(2)においてzがOである繰り返し単位とのいずれか一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。
Figure 2015214597
また、ポリイミドの溶液加工性を向上させる効果が大きいため、繰り返し単位bは、下記式(6)で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
Figure 2015214597
繰り返し単位aと繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの組成比は、95/5〜55/45(モル%/モル%)であればよいが、90/10〜60/40(モル%/モル%)であることが好ましく、85/15〜65/35(モル%/モル%)であることがより好ましく、80/20〜70/30(モル%/モル%)であることがさらに好ましい。
上述したように、繰り返し単位aは、透明性向上、より低い線熱膨張係数の達成という好ましい特性を本発明に係るポリイミドに付与することができるが、繰り返し単位aがポリイミド中の総繰り返し単位中に占める割合が高くなりすぎると、ポリイミドの溶液加工性が悪化しうる。一方、本発明では、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの組成比の上限を95/5(モル%/モル%)としているため、繰り返し単位aの上記割合が多くなりすぎることはない。したがって、繰り返し単位aによる好ましい特性をいかしつつ、溶液加工性も高くすることができる。
また、後述する比較例2では、上記組成比が50/50(モル%/モル%)のときに、線熱膨張係数が20.7ppm/Kとなっているが、本発明に係るポリイミドでは、繰り返し単位aと繰り返し単位bとの組成比の下限が55/45(モル%/モル%)であり、繰り返し単位aをより多く含んでいるため、より低い線熱膨張係数を示すことができる。
本発明に係るポリイミドの総繰り返し単位を100モル%とした場合に、繰り返し単位aおよび繰り返し単位bの含有量の総モル数は70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、95モル%以上、100モル%の順に、後ろに記載したものほど、より溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数の低いポリイミドを提供できるため好ましい。
〔実施の形態2:ポリイミドの製造〕
本発明に係るポリイミドの製造方法は、特に限定されず、任意の方法を用いて得ることができる。ポリイミドは、例えば式(17)〜(20)で示されるように、テトラカルボン酸二無水物とジアミンをN-メチル-2-ピロリドン(以下、「NMP」という場合がある)溶媒中において撹拌することで前駆体となるポリアミド酸を得て、さらに塩基性触媒存在下で無水酢酸を脱水試薬として用いる反応により得ることができる。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
Figure 2015214597
Figure 2015214597
式(17)、(19)では式(1)に示す繰り返し単位aが生成され、式(18)、(20)では式(2)に示す繰り返し単位bが生成されているが、式(21)に示す1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物と、式(22)に示すテトラカルボン酸二無水物との総モル数を100モル%とした場合に、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物と、式(22)に示すテトラカルボン酸二無水物との組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)となるようにした上でジアミンと反応させることによって、繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)である本発明に係るポリイミドを製造することができる。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
なお、本発明に係るポリイミドを製造する場合、上記式(8)および(10)で表されるジアミンのいずれか一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよい。上記式(8)および(10)で表されるジアミンを両方用いる場合、モル比は適宜決定されればよい。
重合時に用いる溶媒は、ポリアミド酸およびポリイミドが均一に溶解できるものであればよく、反応を阻害するものでなければ、限定されるものではない。例えば上述のNMP以外にも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒が好適に用いられる。
上述したように、本発明に係るポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応によって得られるポリアミド酸をイミド化することにより製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
まず、化学イミド化によるポリイミドの製造方法について説明する。上記式(17)〜(20)に示す方法も、化学イミド化によるポリイミドの製造方法に該当する。本明細書における「化学イミド化」とは、脱水剤およびイミド化促進剤を用いてイミド化を行う方法である。具体的には、例えば、重合して得られたポリイミド前駆体ワニス、または重合時に用いる溶媒と同一の溶媒で適度に希釈したポリイミド前駆体ワニスに、攪拌下で脱水剤(例:有機酸の酸無水物)と、イミド化促進剤(例:触媒としての3級アミン)とを含有する化学イミド化試薬を滴下し、液温を0〜100℃、好ましくは20〜50℃として、0.5時間〜48時間攪拌する方法を挙げることができる。これによって、容易にイミド化反応を完結することができる。
上記化学イミド化において使用可能な脱水剤としては特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等が挙げられる。このうち、コストおよび後処理(除去)のしやすさの観点から無水酢酸が好適に用いられる。
またイミド化促進剤としては特に限定されず、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等が使用可能であるが、安全性の観点から好ましくはピリジンが用いられる。
投入する化学イミド化試薬中の脱水剤の量は、特に限定されないが、ポリイミド前駆体の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、反応の完結、反応速度および後処理の観点から2〜5倍モルの範囲であることが好ましい。またイミド化促進剤の使用量は、特に限定されないが、反応の完結、反応速度および後処理(除去のしやすさ)の観点から脱水剤の量に対して0.1〜1倍モルの範囲であることが好ましい。
本発明にかかるポリイミドは、熱的手法によるイミド化によっても得ることができる。本明細書における「熱的手法によるイミド化」とは、脱水剤およびイミド化促進剤を用いず、加熱することによってイミド化を行う方法である。具体的には、例えば、ポリアミド酸溶液を加熱することによってポリイミド溶液を得る方法を挙げることができる。ポリアミド酸溶液を調製するための溶媒としては、上述した重合時に用いる溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
熱的手法によるイミド化を行う場合の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量や加熱温度によって異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
また、共沸溶媒を用いた共沸法を用いる場合は、ポリアミド酸溶液にトルエンまたはキシレン等の水と共沸する溶媒を加え、170〜200℃に昇温して、脱水閉環により生成してくる水を積極的に系外へ除去しながら、1時間〜5時間程度反応させればよい。
化学イミド化法または熱的手法によるイミド化の反応終了後、得られた反応溶液をポリイミド溶液として用いてもよいし、上記反応溶液をアルコール等の貧溶媒中と混合してポリイミドを沈殿させ、必要に応じてアルコール等で洗浄を行ったのち、乾燥を行うことによってポリイミドを得ることができる。
すなわち、上記のようにしてイミド化した反応溶液を大量の貧溶媒中に滴下することで、ポリイミドを析出させ、繰り返し洗浄して反応溶媒、化学イミド化剤、触媒等を除去した後、減圧乾燥してポリイミドの粉末を得ることができる。
使用可能な貧溶媒としては、ポリイミドを溶解しないものであればよく、特に限定されないが、反応溶媒や化学イミド化剤との親和性および乾燥による除去のしやすさの観点から水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等やこれらの混合溶媒が好適に用いられる。
ポリイミド、イミド化促進剤及び脱水剤を含有するポリイミド溶液を貧溶媒中に投入する際、ポリイミド溶液の固形分濃度は、撹拌が可能な粘度であるならば特に制限されないが、析出したポリイミドの粒径を小さくするという観点から、濃度は希薄である方が好ましい。しかし、当該濃度が希薄すぎる場合、ポリイミドを析出させるために、大量の貧溶媒を使用することとなり、好ましくない。
これらの観点より、ポリイミド溶液の固形分濃度が15%以下、好ましくは10%以下の状態になるように希釈を行った後に、貧溶媒中にポリイミド溶液を投入することが好ましい。使用する貧溶媒量はポリイミド溶液の等量以上の量を使用することが好ましく、2〜3倍量がより好ましい。ここで得られたポリイミドは、少量のイミド化促進剤や脱水剤を含んでいるため、上記貧溶媒で数回洗浄することが好ましい。
こうして化学イミド化法または熱的手法によるイミド化によって得られたポリイミドを乾燥する方法としては、真空乾燥でも、熱風乾燥でもよい。ポリイミドに含まれる溶媒を完全に乾燥させるためには、真空乾燥が望ましく、乾燥温度は、残留溶媒の分解および残留溶媒による樹脂の劣化を防ぐ観点から80〜200℃の範囲が好ましい。
また乾燥時間は、ポリイミドに含まれる溶媒を完全に乾燥できる時間であれば任意であるが、製造プロセスコストの観点から15時間以下であることが好ましく、残留溶媒を十分に乾燥させるという観点から8時間以上であることが好ましい。
〔実施の形態3:ポリイミドの重量平均分子量、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルム、ポリイミドの固定化物〕
(3−1)重量平均分子量
本発明に係るポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、5,000〜500,000の範囲であることが好ましく、10,000〜300,000の範囲であることがさらに好ましく、30,000〜200,000の範囲であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が5,000以上であれば、ポリイミドを塗膜またはフィルムとした場合により十分な強度を得ることができる。一方、重量平均分子量が500,000以下であれば、粘度の上昇が少なく、また、良好な溶解性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一な塗膜またはフィルムを得ることができる。
ここで用いている分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の値のことをいう。
(3−2)ポリイミド溶液
本発明に係るポリイミドは、任意の方法を用いてフィルム化することができる。フィルム化する方法の一例としては、ポリイミドを任意の有機溶媒に溶解して得られたポリイミド溶液を支持体に塗布し、乾燥する方法などが挙げられる。
本発明に係るポリイミド溶液は、本発明に係るポリイミドと、有機溶媒とを含有する。本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が好適に調整されているため、透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いことに加えて、溶液加工性に優れるという利点を有する。
上記構成によれば、溶解度の高いポリイミド溶液を得ることができる。そのため、上記ポリイミド溶液を用いてポリイミドフィルムを調製することにより、ポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへ変換するという、大きな反応収縮を伴う工程を取る必要がない。
したがって、支持体に反りが生じにくく、均一で、しかも透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドフィルムを提供することができる。
上記有機溶媒は特に限定されないが、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN−メチルピロリドン(NMP)等のアミド系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキソランおよび1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ‐ブチロラクトン、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、およびδ-バレロラクトンなどのエステル系溶媒;メチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエチル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2-(2-メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2-ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2-エトキシエチル)エーテル)、ブチルジグライム(ビス(2-ブトキシエチル)エーテル)等の対称グリコールジエーテル類;ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;等を挙げることができる。使用される有機溶媒は上記の例の中から少なくとも1つ選択されることが好ましい。
またさらに、本発明に係るポリイミドは、上記のアミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒の全てに溶解することが、塗工する支持体に合わせた溶媒をその都度選定できるという点で特に好ましい。なお、ポリイミド溶液の調製に用いるポリイミドは、上述した化学イミド化によって調製したポリイミドであってもよいし、熱的手法によるイミド化によって調製したポリイミドであってもよい。
この中で、使用される有機溶媒としては、塗工中、乾燥途上の塗膜が吸湿することにより、白化、不均一化、固化等の不具合を防止するという観点から、アミド系溶媒と、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒との混合溶媒が好ましく、更には、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒単体か、またはそれらの混合溶媒での使用がより好ましい。
その中でも、アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)およびN−メチルピロリドン(NMP)、ケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エーテル系溶媒としてはメチルモノグライム(1,2-ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2-メトキシエチル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2-ビス(2-メトキシエトキシ)エタン)などが特に好ましい溶媒として挙げられる。本発明のポリイミド溶液の濃度は、5〜40重量%が好ましく、塗工されたフィルムの平滑性を確保する観点から5〜20重量%であることがさらに好ましい。
ポリイミド溶液の粘度は塗工する厚み及び塗工環境に応じて、随時選択されるが、0.1〜50Pa・sであることが好ましく、0.5〜30Pa・sであることがさらに好ましい。ポリイミド溶液の粘度が0.1Pa・s以上であれば、十分な溶液粘度を確保でき、その結果、十分な膜厚精度を確保することができる。また、ポリイミド溶液の粘度が50Pa・s以下であれば、膜厚精度を確保できるとともに、塗工後すぐに乾燥する部分が発生することによるゲル欠陥等の外観欠陥の発生をより確実に防ぐことができる。上記粘度は、23℃における動粘度を、E型粘度計を用いて測定したものである。
(3−3)ポリイミドフィルム
本発明に係るポリイミドフィルムは、本発明に係るポリイミドから得られるものである。本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が好適に調整されているため、透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低く、かつ、溶液加工性に優れる。
したがって、均一で、しかも透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドフィルムを提供することができる。さらに、ポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへ変換するという、大きな反応収縮を伴う工程を取ることなく容易に製造することができる。
上記ポリイミドフィルムは、例えば上記ポリイミド溶液を支持体に塗布(塗工ともいう)し、乾燥した後、支持体から剥離する方法によって製造することができる。
ポリイミドフィルムを製造する方法として、以下の一例を挙げることができる。すなわち、本発明に係るポリイミドをDMAcに液温を60℃として溶解して、溶液を調製する。次に当該溶液をガラス基板上に流涎し、60℃で2時間、熱風乾燥機内で乾燥する。その後、上記ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間熱処理してフィルムを調製し、当該フィルムを基板から剥がし、減圧下、300℃で1時間熱処理することによってポリイミドフィルムを製造することができる。
上記のポリイミド溶液を塗工する支持体としては、ガラス基板、SUS等の金属基板あるいは金属ベルト、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレート及びトリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム等が使用されるが、これらに限定されるものではない。現行のバッチタイプのデバイス製造プロセスに適応させるためには、ガラス基板を用いることが好ましい。
ポリイミドフィルム製造時の乾燥温度に関しては、プロセスに合わせた条件を選択することが可能であり、特性に影響を与えない限り、特に制限されない。
(3−4)平均線熱膨張係数
試料の温度(T)をTからT(T<T)まで変化させることによって試料の長さ(L)がLからLまで変化したとき、長さの変化量(ΔL=L−L)の、室温(T)における試料の長さ(L)に対する比を、温度TとTとの間の熱膨張(εth)というが、熱膨張εthを温度差ΔT=T−Tで除した値を、温度TとTとの間の平均線熱膨張係数という。つまり、平均線熱膨張係数αは以下の式で表される。
α=ΔL/L/ΔT
本発明に係るポリイミドフィルムは、当該ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数(以下、「CTE」という場合がある)が10ppm/K以下であることが好ましい。つまり、上記Tが100℃、上記Tが200℃である場合の平均線熱膨張係数が10ppm/K以下であることが好ましい。なお、CTEは負の値を示す場合もあるため、CTEが10ppm/K以下、とは、CTEの絶対値が10ppm/K以下であることを意味する。
本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)である、という構成を備えている。本発明に係るポリイミドフィルムは、当該ポリイミドから得られるものであるため、透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドフィルムを提供することができる。
例えば、本発明に係るポリイミドフィルムは実施例において、最小4.2ppm/Kという非常に低いCTEを示し、透明性および耐熱性にも優れていた。したがって、本発明に係るポリイミドフィルムは、従来よりも低い線熱膨張係数を必要とする高精細な表示機器等にも好適に使用することができるという、非常に有用性の高いポリイミドフィルムであると言える。
上記CTEは、8ppm/K以下であることがより好ましく、7.5ppm/K以下であることがより好ましい。CTEの測定法については実施例の項で後述する。
(3−5)光透過率
本発明に係るポリイミドフィルムは、膜厚が5μm以上30μm以下であって、波長400nmにおける光透過率が70%以上であることが好ましい。
本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aに1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物が導入されているため、ポリイミド分子内および/または分子間の電荷移動を効果的に抑制することができると共に、繰り返し単位aおよびbの構成単位であるジアミンも、透明性の高さに寄与しうる構造を有している。
そのため、本発明に係るポリイミドフィルムは、膜厚が5μm以上30μm以下であって、波長400nmにおける光透過率が70%以上であるという優れた透明性を示すことができる。
しかも、本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が好適に調整されているため、上記ポリイミドフィルムは、上述のように非常に低い線熱膨張係数を示すことができる。
したがって、透明性および耐熱性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドフィルムを提供することができる。
後述する実施例に示すように、上記ポリイミドフィルムは波長400nmにおける光透過率、すなわち波長400nmの光の透過率が70%以上を示し、全光線透過率も優れた値を示している。このように、本発明に係るポリイミドフィルムは、透明性に優れたポリイミドフィルムである。
波長400nmにおける光透過率は、80%以上であることがより好ましい。当該光透過率の上限値は、理論上は100%となるため、特に限定されるものではないが、90%以下であってもよく、85%以下であってもよい。
上記「膜厚」とは、フィルム化したポリイミドの膜厚のことをいう。フィルム化の方法については上記(3−3)で述べたとおりである。また、上記膜厚は、例えば接触式膜厚計を用いて測定することができる。透過率の測定方法については実施例の項で後述する。
(3−6)ガラス転移温度
本発明に係るポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が300℃以上であることが好ましい。上記ガラス転移温度は、ポリイミドの化学構造に起因して達成される特性であるが、本発明に係るポリイミドは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が好適に調整されているため、ガラス転移温度が300℃以上であり非常に耐熱性が高いことはもちろん、溶液加工性が優れ、透明性が高く、線熱膨張係数が従来よりも一層低いポリイミドを提供することができる。
したがって、本発明に係るポリイミドフィルムは、透明性が高く、線熱膨張係数が非常に低いという特性の他、ガラス転移温度が300℃以上であるという優れた耐熱性を示すこともできる。
後述する実施例でも、本発明に係るポリイミドフィルムは300℃以上のガラス転移温度を示すことが実証されている。ガラス転移温度の測定法については実施例の項で後述する。ガラス転移温度の上限値は、特に限定されるものではないが、500℃以下であってもよい。
(3−7)ポリイミドの固定化物
本発明に係るポリイミドの固定化物とは、本発明に係るポリイミドと、支持体とを含有し、上記支持体が表面に上記ポリイミドを備えているものをいう。上記ポリイミド溶液を支持体に塗布し、乾燥することによって、支持体の表面に上記ポリイミドが備えられる。すなわち、支持体の表面に上記ポリイミドが固定されたものである、ポリイミドの固定化物を得ることができる。
なお、上記支持体の「表面」とは、表面、裏面、側面の区別を厳密に行うものではなく、本明細書では、上記支持体の表面、裏面、側面のいずれであっても上記支持体の表面と称する。上記ポリイミド溶液は、上記支持体の全ての表面に備えられていることが好ましく、支持体自体が露出した部分がないことが好ましい。
本発明に係るポリイミドの固定化物(すなわち、本発明に係るポリイミドが支持体に固定された、ポリイミドの固定化物)は、例えば、固定したポリイミドに、コーティング、無機膜の積層等の必要な加工を行う場合に好適に用いることができる。固定されたポリイミドは、優れた特性を有する本発明に係るポリイミドであるため、例えば、上記固定化物において当該ポリイミドにコーティング等の必要な加工を施した後、ポリイミドを支持体から剥離し、後述する電子デバイス等に好適に使用することができる。
〔実施の形態4:ポリイミドの成形等〕
本発明に係るポリイミドは、そのまま製品や部材を作製するためのコーティングや成形プロセスに供してもよいが、フィルム状に成形された成形物にさらにコーティング等の処理を行い積層物として用いることができる。
コーティングあるいは成形プロセスに供するために、該ポリイミドを必要に応じて溶剤に溶解又は分散させ、さらに、光又は熱硬化性成分、本発明に係るポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、その他の成分を配合して、ポリイミド樹脂組成物を調製してもよい。本明細書において「ポリイミド樹脂組成物」とは、本発明に係るポリイミドと、その他の成分とを含有する組成物をいう。
上記ポリイミド樹脂組成物は、ポリイミド樹脂組成物に加工特性や各種機能性を付与するために、その他に様々な有機又は無機の低分子又は高分子化合物が配合されていてもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、増感剤等を用いることができる。
微粒子には、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボン、層状珪酸塩等の無機微粒子等が包含され、それらは多孔質や中空構造であってもよい。また、上記低分子又は高分子化合物の機能又は形態としては顔料、フィラー、繊維等がある。
本発明に係るポリイミドフィルムは、その表面に金属酸化物や透明電極等の各種無機薄膜を形成していても良い。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、ならびに、スパッタリング法、真空蒸着法およびイオンプレーティング法等のPVD法等が挙げられる。
〔実施の形態5:ポリイミドの利用〕
本発明に係るポリイミドは、耐熱性、絶縁性等のポリイミド本来の特性に加えて、従来にないほどに線熱膨張係数が低く、しかも溶液加工性および透明性に優れるという極めて有用な特性を示すことができる。
そのため、本発明に係るポリイミドは、これらの特性が有効とされる分野および製品、例えば、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイス、画像表示装置などに使用されることが好ましく、さらには現在ガラスや透明材料が使用されている部分の代替材料とすることがさらに好ましい。
すなわち、本発明に係るポリイミドの基板は、本発明に係るポリイミドを含有することが好ましい。
また、本発明に係る画像表示装置は、本発明に係るポリイミドを含有することが好ましい。さらに、本発明に係る光学材料は、本発明に係るポリイミドを含有することが好ましい。そして、本発明に係る電子デバイスは、本発明に係るポリイミドを含有することが好ましい。
これにより、ガラスにはない軽量性およびフレキシブル性を示し、かつ高精細であるという特性を備えた基板、画像表示装置、光学材料、電子デバイスを提供することができる。
上記基板は、TFT基板、フレキシブルディスプレイ基板および透明導電膜基板などである。電子デバイスは、タッチパネルおよび太陽電池などである。画像表示装置は、フレキシブルディスプレイ、液晶表示装置、有機EL、電子ペーパーおよび3−Dディスプレイ等である。光学材料は、光学フィルム等である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
(平均線熱膨張係数の測定)
ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数(上述のように「CTE」という場合がある)の測定は、Bruker−AXS製TMA4000を用いて(サンプルの幅5mm、測定治具間隔15mm、荷重を膜厚(μm)×0.5g重として行った。
CTEは、5℃/minで、ポリイミドフィルムの温度を20℃から150℃まで一旦昇温させた後、20℃まで冷却し、さらに5℃/minで300℃まで昇温させて2回目の昇温時のTMA(熱機械分析)曲線より計算した。
(ガラス転移温度の測定)
Bruker−AXS製TMA4000を用い、ポリイミドフィルムについて、測定長(測定治具間隔)を15mmとして、周波数0.1Hzにて正弦的に荷重(振幅15g重)をかけて動的粘弾性測定を行い、損失エネルギーが最大となる温度をガラス転移温度(Tg)とした。
(熱分解温度の測定)
TG−DTA2000(Bruker−AXS社)を用い、アルミパンに5mg〜10mg程度の試料を精秤し、もう一方のアルミパンは空の状態でセットした。重量値をゼロにセットした後に、窒素雰囲気中または空気雰囲気中で昇温速度10℃/minで550℃まで昇温させ、5%重量減少時の温度を測定することで、熱分解温度(Td,Tdair)を測定した。
(機械特性の測定)
TENSILON UTM−2(エー・アンド・デイ社製)を用い、ポリイミドフィルムを3mm×35mmに切り出して治具に固定し、チャック間距離が20mmになるように引張試験機にセットし、クロスヘッドスピード8mm/minで引張り試験を行い、破断伸び、引張弾性率、破断強度の測定を行った。
(透過率の測定)
紫外−可視分光光度計V−530(日本分光社製)を用い、波長200〜800nmにおけるポリイミドフィルムの光透過率(T%)を測定した。透過率が0.5%以下になったときの波長をCut off波長とし、透明性の指標とした。また波長400nmにおける光透過率をもう一つの透明性の指標として求め、透明性の評価を行った。
(黄色度)
紫外−可視分光光度計V−530(日本分光社製)を用い、波長380〜780nmにおけるポリイミドフィルムの光透過率(T%)から、JISK7373に準拠して黄色度(YI)を算出した。
(全光線透過率およびヘイズ)
Haze Meter NDH4000(日本電色工業製)を用い、ポリイミドフィルムのJISK7361に準拠した全光線透過率と、JISK7136に準拠したヘイズ(濁度)とを求めた。
(複屈折の測定)
偏光板付接眼鏡付Abbe屈折計4T(ATAGO社製)を用い、光源としてNaD線(589.3nm)を、中間液としてヨウ化メチレン溶液に硫黄を飽和させた溶液(nD=1.72〜1.80)およびテストピース(nD=1.72)を用いて、面内屈折率ninと面外屈折率noutを測定し複屈折Δn(=nin−nout)を求めた。
(固有粘度の測定)
0.5wt%のポリイミド溶液およびポリアミド酸溶液を用い、30℃にてオストワルド粘度計(柴田科学製 粘度計番号2)を用いて測定した。この溶液の溶媒は、DMAc(N,N−ジメチルアセトアミド)を用いた。
(用いた原料の略称)
以下の化合物名については下記の略号を用いて書く場合がある。
テトラヒドロフラン=THF
2,2´−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン=TFMB
1,2,3,4‐シクロブタンテトラカルボン酸1,2:3,4‐二無水物=CBDA
4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物=6FDA
N,N−ジメチルアセトアミド=DMAc
シクロペンタノン=CPN
〔合成例1 ジアミンの合成〕
上記式(9)で表されるジアミン(以下、「ABMB」という)を上記式(12)に示す方法によって合成した。具体的な合成方法を以下に示す。
3.2g(10.0mmol)のトリフルオロメチルベンジジン(以下、TFMBと称することがある)、1.75mLのTHF、および3.3mL(40.0mmol)のピリジン溶液を、3.8g(20.5mmol)の4−ニトロベンゼンカルボン酸クロライド(以下、4−NBCと称することがある)を6.26mLのTHFに溶かした溶液に氷浴下シリンジを用いて添加した。その結果、多量の黄白色沈殿が生じた。
12時間静置後、得られた黄白色沈殿をろ過し、THF、イオン交換水で十分洗浄した。得られた粉末を100℃で12時間減圧乾燥し、ABMB前駆体であるニトロ化物(以下、「NBMB」と称することがある。)を収量:6.0g、収率:95.7%)で得た。得られた生成物はプロトンNMR、FT−IRにより同定した。
9.2g(14.9mmol)のNBMBおよび0.92gのパラジウムカーボンを、120mLのエタノールに溶解および分散した。ここに80℃にて水素ガスをバブリングし7時間反応を行なった。反応終点は薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応終了後、反応混合物を熱ろ過し、ろ液を水中に滴下したところ白色沈殿を生じた。12時間攪拌後、得られた粉末を分取し、水で十分洗浄した。その後100℃で12時間減圧乾燥を行い、ABMB粗生成物8.0g(収率:95.6%)を得た。
ABMBの精製は次のように行なった。ABMB粗生成物0.50gを0.50gの活性炭存在下、エタノール40mL、イオン交換水10mLに65℃にて溶解し、熱ろ過を行なった。
ろ液にイオン交換水20mLを追加し、冷却することにより、精製されたABMB生成物0.42g(再結晶収率:84.0%)を得た。この生成物の融点を示差走査熱量分析装置DSC3100(Bruker−AXS社)によって測定したところ、317℃にシャープな吸熱ピークが現れ、純度の高い生成物であることが確認できた。
得られた生成物はフーリエ変換赤外分光光度計FT/IR5300(日本分光社製)より、3512、3417、3303cm−1にアミンおよびN−H伸縮振動、1651cm−1にアミドC=O伸縮振動を確認し、フーリエ変換核磁気共鳴JNM―ECP400(JEOL製)を用いたプロトンNMR測定より(DMSO−d6,δ,ppm):5.86(s,NH,4H), 6.62(d,J=8.6Hz,ArH,4H), 7.31(d,J=8.5Hz,ArH,2H), 7.76(d,J=8.6Hz,ArH,4H),8.06(d,J=8.6Hz, ArH,2H), 8.33(s,ArH,2H), 10.15(s,NH,2H)と帰属した。
〔実施例1〕
1.6754g(3mmol)のABMBを5.6gのDMAcに溶解した。ここに0.2665g(0.6mmol)の6FDAと0.4707g(2.4mmol)のCBDAとを混合した粉末を加え、室温にて撹拌後、固形分濃度が14.3重量%となるまでDMAcで希釈して3日間攪拌した。得られたポリアミド酸の固有粘度は3.98dL/gであった。CBDAと6FDAの総モル数を100モル%とした場合、CBDAと6FDAとの組成比は80/20(モル%/モル%)である。
このポリアミド酸溶液をDMAcで固形分濃度が3重量%となるように希釈後、3.1g(30mmol)の無水酢酸と1.2g(15mmol)のピリジンとの混合溶液を室温下でゆっくり加え、その後24時間攪拌した(以後、このプロセスを「化学イミド化」という)。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。
次に、得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドにおいて、式(5)に示される繰り返し単位aと、式(6)に示される繰り返し単位bとの組成比は80/20(モル%/モル%)である。
得られたポリイミド粉末をDMAcに液温を60℃として溶解し、6重量%の溶液を調製した。上記ポリイミド粉末はDMAcに均一に溶解し、上記溶液の透明性は良好であった。上記溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。なお、本明細書の実施例および比較例において、上記60℃とは熱風乾燥器内の雰囲気温度である。
その後ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間、そして基板との界面で生じた歪を除くためにフィルムを基板から剥がして減圧下、300℃で1時間熱処理をしてポリイミドフィルムを作製した。
〔実施例2〕
1.1169g(2mmol)のABMBを3.87gのDMAcに溶解した。ここに0.2665g(0.6mmol)の6FDAと0.2745g(1.4mmol)のCBDAとを混合した粉末を加え、室温にて撹拌後、固形分濃度が14.9重量%となるまでDMAcで希釈して3日間攪拌した。得られたポリアミド酸の固有粘度は4.38dL/gであった。CBDAと6FDAの総モル数を100モル%とした場合、CBDAと6FDAとの組成比は70/30(モル%/モル%)である。
このポリアミド酸溶液をDMAcで固形分濃度が2重量%となるように希釈後、2.0g(20mmol)の無水酢酸と0.8g(10mmol)のピリジンとの混合溶液を室温下でゆっくり加え、その後48時間攪拌して化学イミド化した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。
次に、得られた白色沈殿をメタノールで十分に洗浄し、100℃で減圧乾燥して、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドにおいて、式(5)に示される繰り返し単位aと、式(6)に示される繰り返し単位bとの組成比は70/30(モル%/モル%)である。
得られたポリイミド粉末をDMAcに液温を60℃として溶解し、6重量%の溶液を調製した。上記ポリイミド粉末はDMAcに均一に溶解し、上記溶液の透明性は良好であった。上記溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。
その後ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間、そして基板との界面で生じた歪を除くために基板からフィルムを剥がして減圧下、250℃で1時間熱処理をしてポリイミドフィルムを作製した。
〔比較例1〕
1.6754g(3mmol)のABMBを5.3gのDMAcに溶解した。ここに0.5883g(3mmol)のCBDAの粉末を加え室温にて撹拌後、固形分濃度が11.0重量%となるまでDMAcで希釈して3日間攪拌した。得られたポリイミド前駆体(以後、ポリアミド酸という)の固有粘度は8.21dL/gであった。CBDAと6FDAの総モル数を100モル%とした場合、CBDAと6FDAとの組成比は100/0(モル%/モル%)である。
このポリアミド酸溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。その後ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間、および300℃で1時間イミド化し(以後、このプロセスを「熱イミド化」という)、基板との界面で生じた歪を除くために基板からフィルムを剥がして、減圧下、300℃で1時間熱処理をして、ポリイミドフィルムを作製した。
また、合成した上記ポリアミド酸溶液をDMAcで固形分濃度が2重量%となるように希釈後、3.1g(30mmol)の無水酢酸と1.2g(15mmol)のピリジンとの混合溶液を室温下でゆっくり加えて化学イミド化したところ、溶液の流動性が喪失し、ゲル化した。
〔比較例2〕
1.1169g(2mmol)のABMBを5.3gのDMAcに溶解した。ここに0.4442g(1mmol)の6FDAと0.1961g(1mmol)のCBDAとを混合した粉末を加え、室温にて撹拌後、固形分濃度が20.9重量%となるまでDMAcで希釈して3日間攪拌した。得られたポリアミド酸の固有粘度は1.25dL/gであった。CBDAと6FDAとの総モル数を100モル%とした場合、CBDAと6FDAとの組成比は50/50(モル%/モル%)である。
このポリアミド酸溶液をDMAcで固形分濃度が5重量%となるように希釈後、2.0g(20mmol)の無水酢酸と0.8g(10mmol)のピリジンとの混合溶液を室温下でゆっくり加え、その後24時間攪拌し、化学イミド化した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。
次に、得られた白色沈殿をメタノールで十分洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドにおいて、式(5)に示される繰り返し単位aと、式(6)に示される繰り返し単位bとの組成比は50/50(モル%/モル%)である。
得られたポリイミド粉末をDMAcに室温で溶解し、10重量%の溶液を調製した。これをガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。その後ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間、そして基板との界面で生じた歪を除くために基板からフィルムを剥がして減圧下、250℃で1時間熱処理をしてポリイミドフィルムを作製した。
〔比較例3〕
1.1169g(2mmol)のABMBを4.7gのDMAcに溶解した。ここに0.8885g(2mmol)の6FDAを加え室温にて撹拌後、固形分濃度が20.1重量%となるまでDMAcで希釈して3日間攪拌した。得られたポリアミド酸の固有粘度は2.34dL/gであった。このとき、CBDAと6FDAとの組成比は0/100(モル%/モル%)である。
このポリアミド酸溶液をDMAcで固形分濃度8重量%に希釈後、2.0g(20mmol)の無水酢酸と0.8g(10mmol)のピリジンの混合溶液を室温下でゆっくり加え、その後24時間攪拌して化学イミド化した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分洗浄し、100℃で減圧乾燥し、ポリイミド粉末を得た。得られたポリイミドにおいて、式(5)に示される繰り返し単位aと、式(6)に示される繰り返し単位bとの組成比は0/100(モル%/モル%)である。
得られたポリイミド粉末をCPNに室温で溶解し、11.4重量%の溶液を調製した。これをガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。その後ガラス基板上で減圧下、200℃で1時間、そして基板との界面で生じた歪を除くためにフィルムを基板から剥がして減圧下、240℃で1時間熱処理をしてポリイミドフィルムを作製した。
〔参考例〕
1.6754g(3mmol)のABMBを5.4784gのNMPに溶解した。得られた溶液に0.6725g(3mmol)の(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物を加え、室温で7時間攪拌した。得られた溶液をNMPによって固形分濃度10.2重量%に希釈後、得られた希釈液に3.0627g(30mmol)の無水酢酸と1.1865g(15mmol)のピリジンとの混合溶媒を室温下でゆっくりと滴下し、その後24時間攪拌した。得られた溶液を大量のメタノールに加え、目的生成物を沈殿させた。得られた白色沈殿をメタノールで十分洗浄し、真空乾燥して、ポリイミド粉末を得た。
得られたポリイミド粉末をシクロペンタノンに溶解し、3重量%の溶液を調製した。当該溶液をガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器内で乾燥した。その後ガラス基板上で真空中250℃の条件で1時間乾燥を行い、その後基板から剥離しさらに真空中250℃で1時間熱処理し、フィルムを作製した。なお、フィルムは、平均線熱膨張係数、機械特性の測定用として膜厚10μmのものと、屈折率の測定用として膜厚15μmのものと2種類を作製した。
得られたフィルムの機械特性を測定したところ、平均伸び12%、最大伸び31%、引張弾性率3.4GPa、破断強度0.12GPa、CTEは15.7ppm/K、ガラス転移温度は370℃、Tdは426℃であった(試験本数20本の平均、膜厚10μm)。また、波長400nmでの光透過率(膜厚15μm)は76.2%、カットオフ波長は329.5nmであった。以上記載した参考例は、特許文献2の実施例3に記載されている。
〔ポリイミドフィルムの特性〕
以上のように得られたポリイミドフィルムについて、各種の特性を測定した結果を表1〜3に示す。
Figure 2015214597
表1において、Tg, CTE, Td5N2, Td5 airの測定値の下にカッコ書きした値は、Tg, CTE, Td5N2, またはTd5 airの測定に供したポリイミドフィルムの膜厚を意味する。
Figure 2015214597
Figure 2015214597
表1は、ポリアミド酸の均一性および固有粘度と、ポリアミド酸またはポリイミド溶液から得られたポリイミドフィルムの熱特性を示すものである。
表1より、CBDAと6FDAの総モル数を100モル%とした場合に、CBDAと6FDAとの組成比がそれぞれ80/20(モル%/モル%)、70/30(モル%/モル%)である実施例1,2(つまり、式(5)に示される繰り返し単位aと、式(6)に示される繰り返し単位bとの組成比がそれぞれ80/20(モル%/モル%)、70/30(モル%/モル%)である)で得られたポリイミドフィルムは、それぞれ4.2ppm/K、7.3ppm/Kという10ppm/Kを下回る非常に低いCTEを示した。このような低いCTEを示すポリイミドは従来見出されていない。
参考例に示したように、上記式(15)に示す繰り返し単位を有するポリイミドフィルムのCTEは15.7ppm/Kであった。これに対し、本発明に係るポリイミドでは、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)という構成を備えるため、非常に優れたCTEを示したと考えられる。
さらに、本発明に係るポリイミドは、実施例に示すように、有機溶媒に容易に溶解してポリイミド溶液を調製することができている。そして、当該溶液を支持体であるガラス基板に塗工し、乾燥することによって、上記ポリイミドと、支持体とを含有し、上記支持体が表面に上記ポリイミドを備えているポリイミドの固定化物を容易に調製することができ、さらに熱処理を行うことによってポリイミドフィルムを容易に調製することができている。すなわち、本発明に係るポリイミドは、非常に優れたCTEを示すだけではなく、溶液加工性に非常に優れているということができる。
さらに、表1に示すように300℃以上のガラス転移温度を示し、熱分解温度も高い。つまり、優れた耐熱性を示している。また、表2に示すように波長400nmにおける光透過率が70%以上であり、かつ、複屈折、全光線透過率、ヘイズ、YIのいずれにも優れるという結果を示している。すなわち、優れた透明性を示している。そして、表3に示すように、機械特性も優れている。
一方、上記構成を満たさない比較例では、例えガラス転移温度が300℃以上、波長400nmにおける光透過率が70%以上、等の特性を示していたとしても、CTEは10ppm/Kを大きく上回っている。
実施例および比較例の結果から分かるように、本発明に係るポリイミドは、溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数がより低いポリイミドを提供することが可能な、非常に有用な材料であるということができる。
本発明にかかるポリイミドは、例えば、フィルムとして、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイス、画像表示装置などに好適に使用される。よって、これらの産業分野に広く利用することが可能である。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される繰り返し単位aと、下記式(2)で表される繰り返し単位bとを含有するポリイミドであって、
    上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの総モル数を100モル%とした場合に、上記繰り返し単位aと上記繰り返し単位bとの組成比が95/5〜55/45(モル%/モル%)であることを特徴とするポリイミド。
    Figure 2015214597
    (ここで式中のzはNHまたはOである。)
    Figure 2015214597
    (ここで式中のzはNHまたはOであり、Aは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
  2. 上記繰り返し単位aが下記式(3)で表され、上記繰り返し単位bが下記式(4)で表されることを特徴とする請求項1に記載のポリイミド。
    Figure 2015214597
    Figure 2015214597
    (ここで式中のAは4価の芳香族基であって、当該芳香族基は、トリフルオロメチル基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選ばれる1種または2種以上の官能基を含む。)
  3. 上記繰り返し単位aが下記式(5)で表され、上記繰り返し単位bが下記式(6)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミド。
    Figure 2015214597
    Figure 2015214597
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドと、有機溶媒とを含有することを特徴とするポリイミド溶液。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドから得られることを特徴とするポリイミドフィルム。
  6. 上記ポリイミドフィルムの温度を100℃から200℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数が10ppm/K以下であることを特徴とする請求項5に記載のポリイミドフィルム。
  7. 膜厚が5μm以上30μm以下であって、波長400nmにおける光透過率が70%以上であることを特徴とする請求項5または6に記載のポリイミドフィルム。
  8. ガラス転移温度が300℃以上であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  9. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドと、支持体とを含有し、上記支持体が表面に上記ポリイミドを備えていることを特徴とするポリイミドの固定化物。
  10. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドを含有することを特徴とする基板。
  11. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドを含有することを特徴とする画像表示装置。
  12. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドを含有することを特徴とする光学材料。
  13. 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリイミドを含有することを特徴とする電子デバイス。
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