以下、本発明の吸収性物品に包含される態様について説明する。
なお、本明細書において、「凸部不存在領域」という表現は、別段規定しない限り、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する凸部不存在領域を意味する。但し、このことは、トップシート及びセカンドシートが有する全ての凸部不存在領域が、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置することを意味しない。すなわち、トップシート及びセカンドシートは、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置しない凸部不存在領域を有していてもよい。
本発明の一態様(態様1)に係る吸収性物品は、
互いに直交する長さ方向、幅方向及び厚さ方向を有し、
液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシート及び前記バックシートの間に配置された液吸収性の吸収体と、前記トップシート及び前記吸収体の間に配置された液透過性のセカンドシートとを備える吸収性物品であって、
前記トップシートの肌側表面には、前記長さ方向に延在し、前記幅方向に並ぶ複数の凸部存在領域と、前記長さ方向に延在し、前記幅方向に並ぶ複数の凸部不存在領域であって、前記複数の凸部不存在領域は、それぞれ、前記複数の凸部存在領域のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する前記複数の凸部不存在領域とが形成されており、
前記セカンドシートのトップシート側表面には、前記長さ方向に延在し、前記幅方向に並ぶ複数の凸部存在領域と、前記長さ方向に延在し、前記幅方向に並ぶ複数の凸部不存在領域であって、前記複数の凸部不存在領域は、それぞれ、前記複数の凸部存在領域のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する前記複数の凸部不存在領域とが形成されており、
前記セカンドシートに形成された前記複数の凸部不存在領域は、それぞれ、前記トップシートに形成された前記複数の凸部存在領域のうち異なる1つの凸部存在領域と前記厚さ方向において重なっているとともに、前記トップシートに形成された前記複数の凸部不存在領域のいずれとも前記厚さ方向において重なっていない、前記吸収性物品である。
態様1に係る吸収性物品において、トップシート及びセカンドシートに形成された凸部不存在領域は、長さ方向に沿って折れ曲がりやすい部分であり、吸収性物品が長さ方向に沿って折れ曲がる際の折れ起点となる。セカンドシートに形成された凸部不存在領域に、トップシートに形成された凸部不存在領域のいずれかと厚さ方向において重なる凸部不存在領域が含まれていると、その分だけ折れ起点の数が減少する。この点、態様1に係る吸収性物品において、セカンドシートに形成された凸部不存在領域は、それぞれ、トップシートに形成された凸部不存在領域のいずれとも厚さ方向において重なっていないので、折れ起点の数が最大化されている。したがって、態様1に係る吸収性物品は、着用者の体に沿って変形しやすく、着用者の肌とトップシートの肌側表面とのこすれ及びそれに起因する肌トラブルを防止することができる。
態様1に係る吸収性物品おいて、セカンドシートに形成された凸部不存在領域が、それぞれ、トップシートに形成された凸部不存在領域のいずれとも厚さ方向において重なっていない結果、セカンドシートに形成された凸部存在領域は、それぞれ、トップシートに形成された凸部不存在領域のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向において重なっている。態様1に係る吸収性物品において、セカンドシートに形成された凸部不存在領域が、それぞれ、トップシートに形成された複数の凸部存在領域のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向において重なっており、セカンドシートに形成された凸部存在領域が、それぞれ、トップシートに形成された凸部不存在領域のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向において重なっていることにより、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における柔軟性を向上させることができる。
態様1に係る吸収性物品において、トップシートの肌側表面のうち、凸部存在領域は、着用者の肌と接触しやすいが、凸部不存在領域は、着用者の肌と接触しにくいので、着用者の肌とトップシートの肌側表面との接触面積が低減する。したがって、態様1に係る吸収性物品は、着用者の肌とトップシートの肌側表面との接触に起因する肌トラブル(かぶれ等)を防止することができる。
態様1に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様2)において、前記トップシートに形成された前記複数の凸部存在領域は、同一の幅を有し、前記トップシートに形成された前記複数の凸部不存在領域は、同一の幅を有し、前記セカンドシートに形成された前記複数の凸部存在領域は、前記トップシートに形成された前記複数の凸部存在領域の幅と同一の幅を有し、前記セカンドシートに形成された前記複数の凸部不存在領域は、前記トップシートに形成された前記複数の凸部不存在領域の幅と同一の幅を有する。態様2に係る吸収性物品は、トップシートに対するセカンドシートの所望の配置(すなわち、セカンドシートに形成された凸部不存在領域が、それぞれ、トップシートに形成された凸部存在領域のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向において重なるとともに、トップシートに形成された凸部不存在領域のいずれとも厚さ方向において重ならない配置)が容易に実現可能である点で好ましい。
態様1又は態様2に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様3)において、前記トップシート及び前記セカンドシートが積層された部分におけるKES測定による圧縮仕事量は、2.5gf・cm/cm2以上である。態様3に係る吸収性物品は、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における柔軟性が十分なものである点で好ましい。
KES(Kawabata Evaluation System)測定は、「風合いの評価の標準化と解析(第2版)」川端季雄著,社団法人日本繊維機械学会 風合い計量と規格化研究委員会発行(昭和55年7月10日)に記載されており、圧縮仕事量は、KES測定による圧縮特性値の1つである。トップシート及びセカンドシートが積層された部分における圧縮仕事量は、トップシート及びセカンドシートが積層された部分を圧縮したときの仕事量であり、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における柔軟性の指標となる。なお、「トップシート及びセカンドシートが積層された部分」は、トップシート及びセカンドシートの積層体のうち、トップシート及びセカンドシートが互いに重なっている部分を意味する。
圧縮仕事量は、カトーテック製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−AUTO−Aを使用して、次の手順で測定される。吸収性物品から、トップシート及びセカンドシートの積層体を分離する。この際、セカンドシート及び吸収体の間に、綿棒、筆等でトルエンを塗布すると、分離が容易となる。分離されたトップシート及びセカンドシートの積層体を、温度23±2℃、相対湿度50±5%において24時間以上保存して状態調節する。状態調節後、トップシート及びセカンドシートの積層体のうち、トップシート及びセカンドシートが互いに重なっている部分から、100cm×100cmの試験片を切り出し、試験台に取り付ける。試験片を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮する。圧縮速度は100μm/秒、圧縮最大荷重は4.9kPaとする。回復過程も同一速度で測定を行う。圧縮仕事量(WC)は次式で表される。なお、式中、Tm、T0及びPは、それぞれ、4.9kPa(50gf/cm2)荷重時の厚み、49Pa(0.5gf/cm2)荷重時の厚み及び測定時の荷重(gf)を示す。試験片の異なる3箇所について圧縮仕事量を測定し、その平均値を、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における圧縮仕事量とする。
態様1〜態様3のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様4)において、前記トップシートに形成された前記複数の凸部存在領域には、それぞれ、点在する複数の凸部又は長さ方向に延在する畝部が存在し、前記セカンドシートに形成された前記複数の凸部存在領域には、それぞれ、点在する複数の凸部又は長さ方向に延在する畝部が存在する。なお、凸部及び畝部は、中実であってもよいし、中空であってもよいが、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における柔軟性を向上させる点から、中実であることが好ましい。
態様1〜態様4のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様5)において、前記トップシートのセカンドシート側表面は平坦である。態様5に係る吸収性物品は、セカンドシートの凸部存在領域に存在する凸部がトップシートのセカンドシート側表面と接触しやすく、トップシートからセカンドシートへの液移行性が低下しにくい点で好ましい。なお、「トップシートのセカンドシート側表面が平坦である」という表現は、凸部存在領域及び凸部不存在領域を形成するためにトップシートの肌側表面に対して施される賦形処理がトップシートのセカンドシート側表面に施されておらず、トップシートのセカンドシート側表面が実質的に平坦であることを意味する。したがって、「トップシートのセカンドシート側表面が平坦である」という表現は、トップシートのセカンドシート側表面が、トップシートの製造過程において不可避的に形成される凹凸構造を有する態様を包含する。トップシートの製造過程において不可避的に形成される凹凸構造としては、例えば、不織布の製造過程において、ウェブを構成する繊維を結合する際に、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スパンレース法等によって形成される凹凸構造が挙げられる。
態様1〜態様5のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様6)において、前記トップシートの前記幅方向の両端部は、前記セカンドシートの前記幅方向の両端部よりも外側に位置している。態様6に係る吸収性物品は、トップシートのうち厚さ方向においてセカンドシートと重なっていない部分が、吸収性物品が長さ方向に沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい点で好ましい。なお、本明細書において、長さ方向に延在する対象部分が、長さ方向に延在する基準部分よりも、吸収性物品の中心を通り、長さ方向に延在する仮想中心線の近位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「内側」に位置すると表現し、遠位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「外側」に位置すると表現する。同様に、幅方向に延在する対象部分が、幅方向に延在する基準部分よりも、吸収性物品の中心を通り、幅方向に延在する仮想中心線の近位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「内側」に位置すると表現し、遠位に位置する場合、対象部分が基準部分よりも「外側」に位置すると表現する。
態様1〜態様6のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様7)において、前記吸収性物品は、前記トップシート、前記セカンドシート及び前記吸収体を一体化する圧搾部であって、前記長さ方向に延在する前記圧搾部を有する。態様7に係る吸収性物品は、圧搾部が、吸収性物品が長さ方向に沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい点で好ましい。
態様1〜態様7のいずれかに係る吸収性物品の好ましい一態様(態様8)において、前記吸収体は、高坪量部分と、前記高坪量部分の前記幅方向の両端部から延在する低坪量部分とを有する。態様8に係る吸収性物品は、吸収体の低坪量部分が、吸収性物品が長さ方向に沿って折り曲げられる際の折り起点となりやすい点で好ましい。なお、高坪量部分は、低坪量部分よりも坪量が高い部分であり、低坪量部分は、高坪量部分よりも坪量が低い部分である。
態様8に係る吸収性物品の好ましい一態様(態様9)において、前記吸収体は、前記吸収体の端部まで延在する第1層と、前記吸収体の端部まで延在しない第2層とを有し、前記高坪量部分は、前記第1層及び前記2層が重なる部分によって形成されており、前記低坪量部分は、前記第1層のうち前記第2層と重ならない部分によって形成されている。態様9に係る吸収性物品は、吸収体の高坪量部分及び低坪量部分の形成が容易である点で好ましい。
本発明の吸収性物品の種類及び用途は特に限定されない。吸収性物品としては、例えば、軽失禁パッド、パンティーライナー、生理用ナプキン、使い捨てオムツ等の衛生用品が挙げられ、これらはヒトを対象としてもよいし、ペット等のヒト以外の動物を対象としてもよい。吸収性物品が吸収対象とする液体は特に限定されず、例えば、着用者から排泄される液状排泄物(例えば、尿、下り物、経血等)等が挙げられる。
以下、図面に基づいて、本発明の吸収性物品の一実施形態について説明する。
図1(a)は、本発明の吸収性物品の一実施形態に係る軽失禁パッド1の平面図であり、図1(b)は、図1(a)のI−I線断面図である。なお、図1において、トップシート2A及びセカンドシート5Aに形成された凸部は、図の簡略化の目的で省略されている。
図1(a)及び(b)に示されるように、軽失禁パッド1並びにその構成部材であるトップシート2A、バックシート3、吸収体4A及びセカンドシート5Aは、互いに直交する長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zを有する。なお、他の図におけるX、Y及びZは、図1(a)及び(b)に示される長さ方向X、幅方向Y及び厚さ方向Zと一致する。
図1(a)及び(b)に示されるように、軽失禁パッド1は、液透過性のトップシート2Aと、液不透過性のバックシート3と、トップシート2A及びバックシート3の間に配置された液吸収性の吸収体4Aと、トップシート2A及び吸収体4Aの間に配置された液透過性のセカンドシート5Aとを備える。
トップシート2Aは、液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。トップシート2Aとして使用される液透過性シートは、好ましくは、不織布である。不織布としては、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられるが、好ましくは、エアースルー不織布である。トップシート2Aの平均坪量、構成繊維長は、液透過性、凸部の形成性等を考慮して、適宜調整される。トップシート2Aがエアースルー不織布である場合、平均坪量は、好ましくは15〜50g/m2、さらに好ましくは20〜30g/m2であり、構成繊維長は、好ましくは20〜60μm、さらに好ましくは30〜50μmである。
バックシート3は、液状排泄物を透過し得ない液不透過性シートである。バックシート3として使用される液不透過性シートは、例えば、防水処理を施した不織布、合成樹脂フィルム、不織布と合成樹脂フィルムとの複合シート等である。バックシート3の厚さ、坪量、繊維密度等は、液不透過性等を考慮して適宜調整される。バックシート3は、着用時のムレを低減させるために、液不透過性に加えて、通気性又は透湿性を有することが好ましい。
吸収体4Aは、液状排泄物を吸収及び保持し得る吸収性材料を含有する。吸収性材料としては、例えば、親水性繊維、高吸収性ポリマー等が挙げられる。親水性繊維としては、例えば、セルロース系繊維が挙げられ、セルロース系繊維としては、例えば、針葉樹又は広葉樹を原料として得られる木材パルプ;木材パルプに化学処理を施して得られるマーセル化パルプ又は架橋パルプ;バガス、ケナフ、竹、麻、綿等の非木材パルプ;レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース;アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース等が挙げられる。高吸収性ポリマー(SuperBsorbent Polymer:SAP)としては、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキシド系等が挙げられる。
吸収体4Aは、例えば、吸収性材料層と、吸収性材料層を被覆するコアラップとから構成される。吸収性材料層は、単一の層であってもよいし、複数の層であってもよい。コアラップは、着用者の液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。コアラップは、例えば、不織布、織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム等であり、好ましくは不織布、さらに好ましくはティッシュである。
セカンドシート5Aは、液状排泄物が透過し得る液透過性シートである。セカンドシート5Aとして使用される液透過性シートは、好ましくは、不織布である。不織布としては、例えば、エアースルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ(例えば、SMS等)等が挙げられるが、好ましくは、エアースルー不織布である。セカンドシート5Aの平均坪量、構成繊維長は、液透過性、凸部の形成性等を考慮して、適宜調整される。サイドシート5Aがエアースルー不織布である場合、平均坪量は、好ましくは15〜50g/m2、さらに好ましくは20〜30g/m2であり、構成繊維長は、好ましくは20〜60μm、さらに好ましくは30〜50μmである。
図1(a)に示されるように、トップシート2Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部は、セカンドシート5Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部よりも外側に位置している。すなわち、トップシート2Aの幅方向Yの両側部分は、厚さ方向Zにおいてセカンドシート5Aと重なっていない。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。セカンドシート5Aの幅W5は、好ましくは20〜70mm、さらに好ましくは20〜60mmであり、セカンドシート5Aと厚さ方向Zにおいて重なっていないトップシート2Aの幅方向Yの両側部分の幅W201及びW202は、好ましくは60〜150mm、さらに好ましくは70〜120mmである。
図1(a)に示されるように、セカンドシート5Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部が、吸収体4Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部よりも内側に位置している。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。セカンドシート5Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部は、その一部又は全部が、吸収体4Aの長さ方向Xの両端部及び幅方向Yの両端部よりも外側に位置していてもよい。
図1(a)に示されるように、トップシート2A、バックシート3及び吸収体4Aの平面視形状は略楕円形状であり、セカンドシート5Aの平面視形状は略矩形状である。トップシート2A、バックシート3、吸収体4A及びセカンドシート5Aの平面視形状は適宜変更可能である。例えば、トップシート2A、バックシート3及び吸収体4Aの平面視形状が、長さ方向Xの略中央がくびれた瓢箪状である場合、くびれた部分が着用者の股間にフィットしやすい点で有利である。
図1(b)に示されるように、トップシート2Aの周縁部は、バックシート3の周縁部と重ねられ、不図示のシール部によって接合されている。シール部は、軽失禁パッド1の変形時におけるトップシート2A及びバックシート3の離間を防止する。シール部による接合様式としては、例えば、ヒートエンボス処理による接合、ホットメルト型接着剤による接合等が挙げられる。
図1(a)及び(b)に示されるように、軽失禁パッド1は、トップシート2A、吸収体4A及びセカンドシート5Aを厚さ方向Zに一体化する一対の圧搾部61及び62であって、長さ方向Xに延在する一対の圧搾部61及び62を有する。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。
図1(a)に示されるように、圧搾部61及び62は、間隔W6で配置されている。間隔W6は、圧搾部61及び62間の最短距離であり、好ましくは20〜50mm、さらに好ましくは30〜40mmである。
圧搾部61及び62は、ヒートエンボス処理により、トップシート2Aの中央領域の両側に形成された圧搾溝である。トップシート2Aの中央領域は、着用者の排泄口(例えば、小陰唇、大陰唇等)が当接し、着用者の液状排泄物が主に供給される領域である。ヒートエンボス処理は、例えば、パターニングされた凸部を有するエンボスロールとフラットロールとの間に、トップシート2A、セカンドシート5A及び吸収体4Aの積層体を通過させることによって行われる。この方法では、エンボスロール及び/又はフラットロールの加熱により、圧縮時の加熱が可能である。エンボス処理における加熱温度、圧力、処理時間等は、適宜調整することができる。
図1(b)に示されるように、軽失禁パッド1は、バックシート3の下着側表面に形成された粘着剤層7を有する。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。粘着剤層7は、軽失禁パッド1が下着に取り付けられる際、軽失禁パッド1を下着に固定し、着用時の軽失禁パッド1のズレを防止する。
図2(a)は、トップシート2Aの平面図であり、図2(b)は、図2(a)のI−I線断面図であり、図3(a)は、セカンドシート5Aの平面図であり、図3(b)は、図3(a)のI−I線断面図であり、図4(a)は、トップシート2Aの一部拡大斜視図であり、図4(b)は、セカンドシート5Aの一部拡大斜視図である。
図2(a)及び(b)に示されるように、トップシート2Aは、厚さ方向Zの一方側(図2(b)において上側)に位置する第1表面S21と、厚さ方向Zの他方側(図2(b)において下側)に位置する第2表面S22とを有する。トップシート2Aは、第1表面S21が着用者の肌側に位置し、第2表面S22がセカンドシート側に位置するように、軽失禁パッド1に搭載される。したがって、第1表面S21及び第2表面S22は、それぞれ、軽失禁パッド1に搭載されたトップシート2Aの肌側表面及びセカンドシート側表面に相当する。
図2(a)に示されるように、トップシート2Aの第1表面S21には、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部存在領域21A1〜21A7と、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部不存在領域22A1〜22A6とが形成されている。図2(a)に示されるように、凸部不存在領域22A1〜22A6は、それぞれ、凸部存在領域21A1〜21A7のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する。すなわち、凸部存在領域21A1及び21A2の間には凸部不存在領域22A1が、凸部存在領域21A2及び21A3の間には凸部不存在領域22A2が、凸部存在領域21A3及び21A4の間には凸部不存在領域22A3が、凸部存在領域21A4及び21A5の間には凸部不存在領域22A4が、凸部存在領域21A5及び21A6の間には凸部不存在領域22A5が、凸部存在領域21A6及び21A7の間には凸部不存在領域22A6が位置する。
トップシート2Aの第1表面S21に形成される凸部存在領域及び凸部不存在領域の数は、適宜変更可能である。トップシート2Aの第1表面S21に形成される凸部存在領域及び凸部不存在領域の数は、複数である限り特に限定されないが、凸部存在領域の数は、好ましくは10〜40、さらに好ましくは20〜30であり、凸部不存在領域の数は、好ましくは9〜39、さらに好ましくは19〜29である。なお、凸部不存在領域の数は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する凸部不存在領域の数であるので、凸部存在領域の数よりも1つ少ない。
トップシート2Aの第1表面S21に形成された複数の凸部存在領域のうち、幅方向Yの両端に位置する2つの凸部存在領域の外側には、凸部不存在領域が存在してもよいし存在しなくてもよい。本実施形態では、凸部存在領域21A1〜21A7のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部存在領域21A1及び21A7の外側に、凸部不存在領域が存在している。但し、本発明の吸収性物品において注目されるべき凸部不存在領域(すなわち、「セカンドシートに形成された複数の凸部不存在領域は、それぞれ、トップシートに形成された複数の凸部存在領域のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向において重なっているとともに、トップシートに形成された複数の凸部不存在領域のいずれとも厚さ方向において重なっていない」という要件の具備を判断する際に対象とすべき凸部不存在領域)は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に存在する凸部不存在領域である。凸部存在領域21A1及び21A7の外側に存在する凸部不存在領域は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に存在しないので、本発明の吸収性物品において注目されるべき凸部不存在領域に該当しない。
凸部存在領域21A1〜21A7及び凸部不存在領域22A1〜22A6を形成するためにトップシート2Aの第1表面S21に対して施される賦形処理は、トップシート2Aの第2表面S22に施されていない。このため、図2(b)に示されるように、トップシート2Aの第2表面S22は平坦である。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。
図3(a)及び(b)に示されるように、セカンドシート5Aは、厚さ方向Zの一方側(図3(b)において上側)に位置する第1表面S51と、厚さ方向Zの他方側(図3(b)において下側)に位置する第2表面S52とを有する。セカンドシート5Aは、第1表面S51がトップシート側に位置し、第2表面S52が吸収体側に位置するように、軽失禁パッド1に搭載される。したがって、第1表面S51及び第2表面S52は、それぞれ、軽失禁パッド1に搭載されたセカンドシート5Aのトップシート側表面及び吸収体側表面に相当する。
図3(a)に示されるように、セカンドシート5Aの第1表面S51には、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部存在領域51A1〜51A4と、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部不存在領域52A1〜52A3とが形成されている。図3(a)に示されるように、凸部不存在領域52A1〜52A3は、それぞれ、凸部存在領域51A1〜21A4のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する。すなわち、凸部存在領域51A1及び51A2の間には凸部不存在領域52A1が、凸部存在領域51A2及び51A3の間には凸部不存在領域52A2が、凸部存在領域51A3及び51A4の間には凸部不存在領域52A3が位置する。
セカンドシート5Aの第1表面S51に形成される凸部存在領域及び凸部不存在領域の数は、適宜変更可能である。セカンドシート5Aの第1表面S51に形成される凸部存在領域の数及び凸部不存在領域の数は、複数である限り特に限定されるものではないが、凸部存在領域の数は、好ましくは5〜35、さらに好ましくは10〜30であり、凸部不存在領域の数は、好ましくは4〜34、さらに好ましくは9〜29である。なお、凸部不存在領域の数は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する凸部不存在領域の数であるので、凸部存在領域の数よりも1つ少ない。
セカンドシート5Aの第1表面S51に形成された複数の凸部存在領域のうち、幅方向Yの両端に位置する2つの凸部存在領域の外側には、凸部不存在領域が存在してもよいし存在しなくてもよい。本実施形態では、凸部存在領域51A1〜51A4のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部存在領域51A1及び51A4の外側に、凸部不存在領域が存在している。但し、本発明の吸収性物品において注目されるべき凸部不存在領域(すなわち、「セカンドシートに形成された複数の凸部不存在領域は、それぞれ、トップシートに形成された複数の凸部存在領域のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向において重なっているとともに、トップシートに形成された複数の凸部不存在領域のいずれとも厚さ方向において重なっていない」という要件の具備を判断する際に対象とすべき凸部不存在領域)は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に存在する凸部不存在領域である。凸部存在領域51A1及び51A4の外側に存在する凸部不存在領域は、隣り合う2つの凸部存在領域の間に存在しないので、本発明の吸収性物品において注目されるべき凸部不存在領域に該当しない。
凸部存在領域51A1〜51A4及び凸部不存在領域52A1〜52A3を形成するためにセカンドシート5Aの第1表面S51に対して施される賦形処理は、セカンドシート5Aの第2表面S52に施されていない。このため、図3(b)に示されるように、セカンドシート5Aの第2表面S52は平坦である。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。
セカンドシート5Aの第2面S52は、セカンドシート5Aの第2面S52に塗工された接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって、吸収体4と接合されていることが好ましい。接着剤は、セカンドシート5Aの第2面S52の全体には塗工されていないことが好ましい。接着剤の形態としては、例えば、ドット、ライン等が挙げられる。接着剤ラインの形状としては、例えば、直線状、スパイラル状、オメガ状等が挙げられる。
図2(a)及び図3(a)に示されるように、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7は、略同一の幅を有し、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6は、略同一の幅を有し、セカンドシート5Aに形成された凸部存在領域51A1〜51A4は、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7の幅と略同一の幅を有し、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3は、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6の幅と略同一の幅を有する。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。
図2(b)及び図4(a)に示されるように、凸部存在領域21A1〜21A7には、長さ方向Xに延在する畝部(凸条部)210Aが形成されている一方、凸部不存在領域22A1〜22A6には、畝部210Aが形成されていない。凸部不存在領域22A1〜22A6には、畝部210Aよりも厚みが小さい溝部(凹条部)220Aが形成されている。凸部存在領域21A1〜21A7の幅は、畝部210Aの幅と略一致し、凸部不存在領域22A1〜22A6の幅は、溝部220Aの幅と略一致する。したがって、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は、畝部210Aと溝部220Aとの境界線としてトップシート2Aの第1表面S21に現れる。
図3(b)及び図4(b)に示されるように、凸部存在領域51A1〜51A4には、長さ方向Xに延在する畝部(凸条部)510Aが形成されている一方、凸部不存在領域52A1〜52A3には、畝部510Aが形成されていない。凸部不存在領域52A1〜52A3には、畝部510Aよりも厚みが小さい溝部(凹条部)520Aが形成されている。凸部存在領域51A1〜51A4の幅は、畝部510Aの幅と略一致し、凸部不存在領域52A1〜52A3の幅は、溝部520Aの幅と略一致する。したがって、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は、畝部510Aと溝部520Aとの境界線としてセカンドシート5Aの第1表面S51に現れる。
凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aの先端部は、トップシート2Aの第2面S22に塗工された接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)によって、トップシート2Aの第2面S22と接合されていることが好ましい。接着剤は、トップシート2Aの第2面S22のうち、セカンドシート5Aの凸部存在領域51A1〜51A4と対向する領域には塗工されているが、セカンドシート5Aの凸部不存在領域52A1〜52A3と対向する領域には塗工されていないことが好ましい。これにより、トップシート2Aの第2面S22とセカンドシート5Aの凸部不存在領域52A1〜52A3との接着が防止され、トップシート2Aの第2面S22とセカンドシート5Aの凸部不存在領域52A1〜52A3との間に空間が形成される。このような空間は、厚さ方向Zの圧力(例えば、着用者の体圧)に対する圧力緩衝効果に寄与する。接着剤が、トップシート2Aの第2面S22のうち、セカンドシート5Aの凸部存在領域51A1〜51A4と対向する領域に塗工されている場合、接着剤は、当該領域の全体には塗工されていないことが好ましい。接着剤の形態としては、例えば、ドット、ライン等が挙げられる。接着剤ラインの形状としては、例えば、直線状、スパイラル状、オメガ状等が挙げられる。接着剤の種類は特に限定されるものではない。接着剤の塗布方法としては、例えば、スパイラル塗工、コーター塗工、カーテンコーター塗工、サミットガン塗工等が挙げられる。接着剤の塗工量は、通常5〜20g/m2である。
図2〜図4に示されるように、凸部存在領域21A1〜21A7に存在する畝部210A、及び、凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aは、長さ方向Xに直線状に延在している。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。凸部存在領域21A1〜21A7に存在する畝部210Aは、その1つ又は2つ以上が長さ方向Xに曲線状(例えば、平面視波状)に延在していてもよい。凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aについても同様である。
図2〜図4に示されるように、凸部存在領域21A1〜21A7に存在する畝部210A、及び、凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aは、長さ方向Xに連続して延在している。これにより、液状排泄物の幅方向Yへの広がり及びこれに起因する液状排泄物の横漏れを防止することができる。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。凸部存在領域21A1〜21A7に存在する畝部210Aは、その1つ又は2つ以上が長さ方向Xに断続的に延在していてもよい。凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aについても同様である。
図2〜図4に示されるように、畝部210A及び畝部510Aの断面形状は、第1表面S21及び第1表面S51に向かって略逆U字型形状である。但し、このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。凸部存在領域21A1〜21A7に存在する畝部210Aの断面形状は、台形状、三角状等であってもよい。凸部存在領域51A1〜51A4に存在する畝部510Aについても同様である。なお、本実施形態を含め、畝部210A及び畝部510Aが基端部から先端部に向けて先細りとなる実施形態は、軽失禁パッド1に加えられた圧力(例えば、着用者の体圧)によって畝部210A及び畝部510Aが潰れても、隣り合う2つの畝部210A間又は隣り合う2つの畝部510A間に形成された空間を維持することができる点で有利である。
図4(a)及び(b)に示されるように、畝部210A及び畝部510Aは、それぞれ、厚さT21A及び厚さT51Aを有し、溝部220A及び溝部520Aは、それぞれ、厚さT22A及び厚さT52Aを有する。畝部210Aの厚さT21Aと溝部220Aの厚さT22Aとの差及び畝部510Aの厚さT51Aと溝部520Aの厚さT52Aとの差は、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜2mmである。畝部210Aの厚さT21Aと溝部220Aの厚さT22Aとの差及び畝部510Aの厚さT51Aと溝部520Aの厚さT52Aとの差が0.5mm未満であると、隣り合う2つの畝部210A間又は隣り合う2つの畝部510A間に形成される空間及び該空間に基づく圧力緩衝効果が不十分となるおそれがある一方、5mmを超えると、畝部210A及び畝部510Aが起立状態を維持できないおそれがある。
なお、畝部及び溝部の厚さの測定は、吸収性物品から切り出した100mm×100mmのトップシートサンプル又はセカンドシートサンプルと、レーザー変位計(例えば、キーエンス株式会社製 高精度2次元レーザー変位計LJ−Gシリーズ(型式:LJ−G030))とを使用して、次のように非接触方式で実施される。トップシートサンプル又はセカンドシートサンプルを水平の測定台の上に置き、異なる5つの畝部について、測定台からの変位をレーザー変位計で測定し、5つの測定値の平均値を畝部の厚み(mm)とする。同様に、異なる5つの溝部について、測定台からの変位をレーザー変位計で計測し、5つの測定値の平均値を溝部の厚み(mm)とする。
図4(a)及び(b)に示されるように、畝部210A及び畝部510Aは、それぞれ、幅W21A及び幅W51Aを有し、溝部220A及び溝部520Aは、それぞれ、幅W22A及び幅W52Aを有する。畝部210Aの幅W21Aは、溝部220Aの幅W22Aよりも大きく、畝部510Aの幅W51Aは、溝部520Aの幅W52Aよりも大きい。畝部210Aの幅W21Aと溝部220Aの幅W22Aとの差(畝部210Aの幅W21A−溝部220Aの幅W22A)及び畝部510Aの幅W51Aと溝部520Aの幅W52Aとの差(畝部510Aの幅W51A−溝部520Aの幅W52A)は、好ましくは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.5〜2mmである。溝部220Aの幅W22A及び溝部520Aの幅W52Aは、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。
畝部210Aの幅W21Aは、無加圧状態におけるトップシート2Aの平面写真又は平面画像に基づいて、畝部210Aと、その両側に位置する2つの溝部220Aとの境界線間の距離として測定される。畝部510Aの幅W51Aも同様である。
溝部220Aの幅W22Aは、無加圧状態におけるトップシート2Aの平面写真又は平面画像に基づいて、溝部220Aと、その両側に位置する2つの畝部210Aとの境界線間の距離として測定される。溝部520Aの幅W52Aも同様である。
畝溝構造が形成されたエアースルー不織布は、例えば、熱可塑性樹脂繊維を含有するウェブ(フリース)に畝溝構造を形成した後、熱風を吹き付けてウェブ中の熱可塑性樹脂繊維同士の交差部分を熱融着させることにより製造することができる。
ウェブに畝溝構造を形成する方法としては、例えば、特開2008−25079号公報、特開2008−23326号公報、特開2009−30218号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの方法によれば、ウェブを通気性支持部材(例えば、網状支持部材)に載置し、通気性支持部材を所定方向に移動させながら、ウェブの上面に連続的に気体(通常はエア)を吹き付けることにより、ウェブに畝溝構造を形成することができる。なお、気体が吹き付けられた領域には、通気性支持部材の移動方向に延在する溝部が形成されるとともに、隣り合う2つの溝部の間に1つの畝部が形成される。この際、気体が吹き付けられた領域の繊維が溝部の両側に移動するので、畝部の坪量は、通常、溝部の坪量よりも高くなる。形成される畝部及び溝部の数、間隔、坪量、繊維密度等は、ノズルの数、口径及びピッチ、ノズルから噴射される気体の温度及び噴射量、ウェブのテンション等を調整することにより、所望の範囲に調整することができる。
ウェブに含有される熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリブチレン、これらを主体とした共重合体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー樹脂)等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンタレフタレート(PET)、ポリトリメチレテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレタレート(PBT)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸をはじめとする直鎖状又は分岐状の炭素数20までのポリヒドロキシアルカン酸等のポリエステル、これらを主体とした共重合体、アルキレンテレフタレートを主成分として他の成分を少量共重合してなる共重合ポリエステル等が挙げられる。ポリアミドとしては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン等が挙げられる。熱可塑性樹脂繊維は、親水化処理されていることが好ましい。熱可塑性樹脂繊維の親水化処理としては、例えば、界面活性剤、親水剤等を利用した処理(例えば、繊維内部への界面活性剤の練り込み、繊維表面への界面活性剤の塗布等)、プラズマ加工等が挙げられる。
図5(a)は、軽失禁パッド1に搭載される際のトップシート2A及びセカンドシート5Aの位置関係を示す平面図であり、図5(b)は、図5(a)のI−I線断面図である。
図5(a)及び(b)に示されるように、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3は、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっている。すなわち、凸部不存在領域52A1は凸部存在領域21A3と、凸部不存在領域52A2は凸部存在領域21A4と、凸部不存在領域52A3は凸部存在領域21A5と厚さ方向Zにおいて重なっている。凸部不存在領域52A1〜52A3の幅は、凸部存在領域21A3〜21A5の幅よりも小さいので、平面視において、凸部不存在領域52A1の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21A3の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域52A2の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21A4の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域52A3の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21A5の幅方向Yの両端部よりも内側に位置する。
図5(a)及び(b)に示されるように、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3は、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていない。セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3が、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていない結果、セカンドシート5Aに形成された凸部存在領域51A1〜51A4は、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっている。すなわち、凸部存在領域51A1は凸部不存在領域22A2と、凸部存在領域51A2は凸部不存在領域22A3と、凸部存在領域51A3は凸部不存在領域22A4と、凸部存在領域51A4は凸部不存在領域22A5と厚さ方向Zにおいて重なっている。凸部不存在領域22A2〜22A5の幅は、凸部存在領域51A1〜51A4の幅よりも小さいので、平面視において、凸部不存在領域22A2の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51A1の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22A3の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51A2の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22A4の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51A3の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22A5の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51A4の幅方向Yの両端部よりも内側に位置する。
図5(a)及び(b)に示されるように、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部存在領域21A1及び21A7は、セカンドシート5Aのいずれの部分とも厚さ方向Zにおいて重なっていない。同様に、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部不存在領域22A1及び22A6は、セカンドシート5Aのいずれの部分とも厚さ方向Zにおいて重なっていない。このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。凸部存在領域21A1及び21A7並びに凸部不存在領域22A1及び22A6は、セカンドシート5Aと厚さ方向Zにおいて重なっていてもよい。この場合、セカンドシート5Aの第1表面51のうち、凸部存在領域21A1及び21A7並びに凸部不存在領域22A1及び22A6と厚さ方向Zにおいて重なる部分には、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する凸部不存在領域が形成されていてもよい。このような凸部不存在領域は、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向Zにおいて重なるとともに、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重ならないように形成される。
トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分(すなわち、トップシート2A及びバックシート5Aの積層体のうち、トップシート2A及びセカンドシート5Aが互いに重なっている部分)におけるKES(Kawabata Evaluation System)測定による圧縮仕事量は、好ましくは2.5gf・cm/cm2以上であり、さらに好ましくは2.6gf・cm/cm2以上である。圧縮仕事量が大きいほど、トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における柔軟性が大きいことを意味する。圧力仕事量が2.5gf・cm/cm2未満であると、圧力が加えられた際に潰れやすいため、圧力緩衝効果が不十分となるおそれがある。
トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における圧縮仕事量の上限値は特に限定されない。例えば、トップシート2Aに対して積層されるセカンドシート5Aの数を増加させることにより、圧縮仕事量を増加させることができる。トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における圧縮仕事量は、好ましくは6gf・cm/cm2以下、さらに好ましくは4gf・cm/cm2以下である。
トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における圧縮仕事量と、トップシート2A単独の圧縮仕事量(トップシート2Aのうち、セカンドシート5Aと重なっていない部分における圧縮仕事量)との差は、好ましくは0.5〜2gf・cm/cm2であり、さらに好ましくは0.6〜1gf・cm/cm2である。これにより、トップシート2Aのうち厚さ方向Zにおいてセカンドシート5Aと重なっていない部分が、軽失禁パッド1が長さ方向Xに沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい。
トップシート2A及びセカンドシート5Aとして、畝部が形成されたエアースルー不織布(平均坪量22g/m2)を使用する場合、圧縮仕事量に影響を与える条件(例えば、エアースルー不織布の厚み、エアースルー不織布を構成する繊維の材質及び繊維長、トップシート及びセカンドシートに形成された畝部の高さ及び間隔)を適宜調整することにより、次のような圧縮仕事量を実現することができる。
1枚のトップシート2Aに対して、1枚のセカンドシート5Aを重ねる場合、トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における圧縮仕事量は、例えば、2.68gf・cm/cm2となり得る。なお、セカンドシート5Aの代わりに、畝部が形成されていないエアースルー不織布(平均坪量22g/m2)を使用する場合、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における圧縮仕事量は、例えば、2.09gf・cm/cm2となり得る。また、トップシート2Aの代わりに、畝部が形成されていないエアースルー不織布(平均坪量22g/m2)を使用し、セカンドシート5Aの代わりに、畝部が形成されていないエアースルー不織布(平均坪量22g/m2)を使用する場合、トップシート及びセカンドシートが積層された部分における圧縮仕事量は、例えば、2.00〜2.06gf・cm/cm2となり得る。
1枚のトップシート2Aに対して、2枚のセカンドシート5Aを重ねる場合、トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における圧縮仕事量は、例えば、4.86gf・cm/cm2となり得る。
軽失禁パッド1において、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6及びセカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3は、長さ方向Xに沿って折れ曲がりやすい部分であり、軽失禁パッド1が長さ方向Xに沿って折れ曲がる際の折れ起点となる。セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3に、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれかと厚さ方向Zにおいて重なる凸部不存在領域が含まれていると、その分だけ折れ起点の数が減少する。この点、軽失禁パッド1において、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3は、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていないので、折れ起点の数が最大化されている。したがって、軽失禁パッド1は、着用者の体に沿って変形しやすく、着用者の肌とトップシート2Aの肌側表面とのこすれ及びそれに起因する肌トラブルを防止することができる。
軽失禁パッド1において、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3が、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていない結果、セカンドシート5Aに形成された凸部存在領域51A1〜51A4は、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっている。軽失禁パッド1において、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3が、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっており、セカンドシートに形成された凸部存在領域51A1〜51A4が、それぞれ、トップシートに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっていることにより、トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における柔軟性を向上させることができる。
軽失禁パッド1において、トップシート2Aの肌側表面のうち、凸部存在領域21A1〜21A7は、着用者の肌と接触しやすいが、凸部不存在領域22A1〜22A6は、着用者の肌と接触しにくいので、着用者の肌とトップシート2Aの肌側表面との接触面積が低減する。したがって、軽失禁パッド1は、着用者の肌とトップシート2Aの肌側表面との接触に起因する肌トラブル(かぶれ等)を防止することができる。
トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7が、同一の幅を有し、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6が、同一の幅を有し、セカンドシート5Aに形成された凸部存在領域51A1〜51A4が、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7の幅と同一の幅を有し、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3が、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6の幅と同一の幅を有する実施形態は、軽失禁パッド1の好ましい実施形態である。この実施形態では、トップシート2Aに対するセカンドシート5Aの所望の配置(すなわち、セカンドシート5Aに形成された凸部不存在領域52A1〜52A3が、それぞれ、トップシート2Aに形成された凸部存在領域21A1〜21A7のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向Zにおいて重なるとともに、トップシート2Aに形成された凸部不存在領域22A1〜22A6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重ならない配置)を容易に実現可能である点で好ましい。
トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分におけるKES測定による圧縮仕事量が2.5gf・cm/cm2以上である実施形態は、軽失禁パッド1の好ましい実施形態である。この実施形態は、トップシート2A及びセカンドシート5Aが積層された部分における柔軟性を十分なものとなる点で好ましい。
トップシート2Aのセカンドシート側表面が平坦である実施形態は、軽失禁パッド1の好ましい実施形態である。この実施形態は、セカンドシート5Aの凸部存在領域51A1〜51A4に存在する凸部が、トップシート2Aのセカンドシート側表面と接触しやすく、トップシート2Aからセカンドシート5Aへの液状排泄物の移行性が低下しにくい点で好ましい。
トップシート2Aの幅方向Yの両端部が、セカンドシート5Aの幅方向Yの両端部よりも外側に位置している実施形態は、軽失禁パッド1の好ましい実施形態である。この実施形態は、トップシート2Aのうち厚さ方向Zにおいてセカンドシート5Aと重なっていない部分が、軽失禁パッド1が長さ方向Xに沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい点で好ましい。
軽失禁パッド1が、トップシート2A、セカンドシート5A及び吸収体4Aを一体化する圧搾部61及び62であって、長さ方向Xに延在する圧搾部61及び62を有する実施形態は、軽失禁パッド1の好ましい実施形態である。この実施形態は、圧搾部61及び62が、軽失禁パッド1が長さ方向Xに沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい点で好ましい。
以下、軽失禁パッド1の変更例について説明する。なお、以下の変形例において、特に言及しない要件については、軽失禁パッド1に関して上記した要件をそのまま又は適宜変更して適用することができる。
図6(a)は、トップシート2Aの変更例に係るトップシート2Bを示す平面図であり、図6(b)は、図6(a)のI−I線断面図であり、図7(a)は、セカンドシート5Aの変更例に係るセカンドシート5Bを示す平面図であり、図7(b)は、図7(a)のI−I線断面図であり、図8(a)は、トップシート2Bの一部拡大斜視図であり、図8(b)は、セカンドシート5Bの一部拡大斜視図である。
図6(a)及び(b)に示されるように、トップシート2Bは、トップシート2Aと同様、肌側表面に相当する第1表面S21と、セカンドシート側表面に相当する第2表面S22とを有する。図6(a)に示されるように、トップシート2Bの第1表面S21には、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部存在領域21B1〜21B7と、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部不存在領域22B1〜22B6とが形成されている。図6(a)に示されるように、凸部不存在領域22B1〜22B6は、それぞれ、凸部存在領域21B1〜21B7のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する。すなわち、凸部存在領域21B1及び21B2の間には凸部不存在領域22B1が、凸部存在領域21B2及び21B3の間には凸部不存在領域22B2が、凸部存在領域21B3及び21B4の間には凸部不存在領域22B3が、凸部存在領域21B4及び21B5の間には凸部不存在領域22B4が、凸部存在領域21B5及び21B6の間には凸部不存在領域22B5が、凸部存在領域21B6及び21B7の間には凸部不存在領域22B6が位置する。
図7(a)及び(b)に示されるように、セカンドシート5Bは、セカンドシート5Aと同様、トップシート側表面に相当する第1表面S51と、吸収体側表面に相当する第2表面S52とを有する。図7(a)に示されるように、セカンドシート5Bの第1表面S51には、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部存在領域51B1〜51B4と、長さ方向Xに延在し、幅方向Yに並ぶ凸部不存在領域52B1〜52B3とが形成されている。図7(a)に示されるように、凸部不存在領域52B1〜22B3は、それぞれ、凸部存在領域51B1〜21B4のうち隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する。すなわち、凸部存在領域51B1及び51B2の間には凸部不存在領域52B1が、凸部存在領域51B2及び51B3の間には凸部不存在領域22B2が、凸部存在領域51B3及び51B4の間には凸部不存在領域52B3が位置する。
図6(b)及び図8(a)に示されるように、凸部存在領域21B1〜21B7には、点在する複数の凸部210Bが形成されている一方、凸部不存在領域22B1〜22B6には、凸部210Bが形成されていない。凸部不存在領域22B1〜22B6には、凸部210Bには、凸部210Bよりも高さが小さい凹部220Bが形成されている。凸部存在領域21B1〜21B7の幅は、凸部510Bの幅と略一致し、凸部不存在領域22B1〜22B6の幅は、凹部220Bの幅と略一致する。但し、凸部210Bは、凸部存在領域21B1〜21B7に点在するので、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は、トップシート2Bの第1表面S21に現れない。したがって、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は仮想線であり、凸部存在領域21B1〜21B7及び凸部不存在領域22B1〜22B6は仮想領域として画定される。
図7(b)及び図8(b)に示されるように、凸部存在領域51B1〜51B4には、点在する複数の凸部510Bが形成されている一方、凸部不存在領域52B1〜52B3には、凸部510Bが形成されていない。凸部不存在領域52B1〜52B3には、凸部510Bよりも高さが小さい凹部520Bが形成されている。凸部存在領域51B1〜51B4の幅は、凸部510Bの幅と略一致し、凸部不存在領域52B1〜52B3の幅は、凹部220Bの幅と略一致する。但し、凸部510Bは、凸部存在領域51B1〜51B4に点在するので、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は、セカンドシート5Bの第1表面S51に現れない。したがって、凸部存在領域と凸部不存在領域との境界線は仮想線であり、凸部存在領域51B1〜51B4及び凸部不存在領域52B1〜52B3は仮想領域として画定される。
凸部存在領域21B1〜21B7及び凸部存在領域51B1〜51B4に存在する凸部の形状は適宜変更可能である。凸部の形状としては、例えば、稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体、頂点が丸みを帯びた角錐状(例えば、三角錐状、四角錐状等)、頂点が丸みを帯びた円錐状、アーチ状等が挙げられる。各凸部存在領域に点在する凸部の間隔は、好ましくは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。なお、各凸部存在領域において、隣り合う2つの凸部の間には、凸部よりも高さが小さい凹部が形成されている。
図8(a)及び(b)に示されるように、凸部210B及び凸部510Bは、それぞれ、高さT21B及び高さT51Bを有し、凹部220B及び凹部520Bは、それぞれ、高さT22B及び高さT52Bを有する。凸部210Bの高さT21Bと凹部220Bの高さT22Bとの差及び凸部510Bの高さT51Bと凹部520Bの高さT52Bとの差は、好ましくは0.5〜5mm、さらに好ましくは0.5〜2mmである。凸部210Bの高さT21Bと凹部220Bの高さT22Bとの差及び凸部510Bの高さT51Bと凹部520Bの高さT52Bとの差が0.5mm未満であると、隣り合う2つの凸部210B間又は隣り合う2つの凸部510B間に形成される空間及び該空間に基づく圧力緩衝効果が不十分となるおそれがある一方、5mmを超えると、凸部210B及び凸部510Bが起立状態を維持できないおそれがある。
図8(a)及び(b)に示されるように、凸部210B及び凸部510Bは、それぞれ、幅W21B及び幅W51Bを有し、凹部220B及び凹部520Bは、それぞれ、幅W22B及び幅W52Bを有する。凸部210Bの幅W21Bは、凹部220Bの幅W22Bよりも大きく、凸部510Bの幅W51Bは、凹部520Bの幅W52Bよりも大きい。凸部210Bの幅W21Bと凹部220Bの幅W22Bとの差(凸部210Bの幅W21B−凹部220Bの幅W22B)及び凸部510Bの幅W51Bと凹部520Bの幅W52Bとの差(凸部510Bの幅W51B−凹部520Bの幅W52B)は、好ましくは0.1〜3mm、さらに好ましくは0.5〜2mmである。凹部220Bの幅W22B及び凹部520Bの幅W52Bは、好ましくは0.1〜2mm、さらに好ましくは0.5〜1.5mmである。
点在する多数の凸部が形成された不織布を製造する方法としては、ギア延伸を利用する方法、熱伸長性繊維の熱伸長及び/又は熱収縮性繊維の熱収縮を利用する方法等が挙げられる。
ギア延伸を利用する方法としては、例えば、特開2004−174234号公報、特開2009−160035号公報、特開2009−201964号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの方法によれば、不織布層をギア延伸によって凹凸賦形することにより、点在する多数の凸部が形成された不織布を製造することができる。不織布層をギア延伸によって凹凸賦形した後、凸部以外の部分において別の不織布層と部分的に接合させてもよい。こうして製造された不織布における凸部は、肌側に隆起しており、内部が空洞となっている。
熱伸長性繊維の熱伸長及び熱収縮性繊維の熱収縮を利用する方法としては、例えば、特開2012−5701号公報等に記載の方法が挙げられる。この方法によれば、熱伸長性繊維層を肌側に有するとともに、接合部によって熱伸長性繊維層と部分的に接合された熱収縮性繊維層を非肌側に有する積層シートを加熱処理し、熱伸長性繊維層の熱伸長及び熱収縮性繊維層の熱収縮によって熱伸長性繊維層を肌側に隆起させることにより、点在する多数の凸部が形成された不織布を製造することができる。熱伸長性繊維層に含有される熱伸長性繊維は、加熱処理により実際の繊維長が伸長する繊維(例えば、樹脂の結晶状態が変化して実際の繊維長が伸長する繊維)であってもよいし、加熱処理により実際の繊維長は伸長しないが、見かけ上の繊維長が伸長する繊維(例えば、発現していたジクザク状、Ω状、スパイラル状等の捲縮が解除されて見かけ上の繊維長が伸長する捲縮繊維)であってもよい。様々な熱伸長性繊維が公知であり(例えば、特開2004−218183号公報、特開2005−350836号公報、特開2007−303035号公報、特開2007−204899号公報、特開2007−204901号公報、特開2007−204902号公報、特開2008−101285号公報等)、適宜選択して使用することができる。熱収縮性繊維層に含有される熱収縮性繊維は、加熱処理により実際の繊維長が短くなる繊維であってもよいし、加熱処理により実際の繊維長は短くならないが、見かけ上の繊維長が短くなる繊維(例えば、ジクザク状、Ω状、スパイラル状の捲縮を発現して見かけ上の繊維長が短くなる潜在捲縮性繊維)であってもよい。様々な熱収縮性繊維が公知であり(例えば、特開平9−296325号公報、特開平2−191720号公報、特開2007−177335号公報)、適宜選択して使用することができる。熱伸長性繊維層と熱収縮性繊維層とを部分的に接合する接合部は、例えば、ヒートエンボス処理によって形成された凹部である。複数の接合部によって囲まれた1つの領域が、これらの接合部を起点として肌側に隆起することにより、1つの凸部が形成されるので、接合部の数、位置等は、凸部の形成性、嵩高性等を考慮して適宜調整される。
熱収縮性繊維の熱収縮を利用する方法としては、例えば、特開2002−187228号公報、特開2003−247155号公報、特開2007−177340号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの方法によれば、非熱収縮性繊維層を肌側に有するとともに、接合部によって非熱収縮性繊維層と部分的に接合された熱収縮性繊維層を非肌側に有する積層シートを加熱処理し、熱収縮性繊維層の熱収縮によって非熱収縮性繊維層を肌側に隆起させることにより、点在する多数の凸部が形成された不織布を製造することができる。非熱収縮性繊維層に含有される非熱収縮性繊維は、実質的に熱収縮性を有しない繊維であってもよいし、熱収縮性を有するが、その熱収縮開始温度が、熱収縮性繊維層に含有される熱収縮性繊維の熱収縮開始温度よりも高い繊維(すなわち、熱収縮性繊維層に含有される熱収縮性繊維の熱収縮開始温度以下の温度で実質的に熱収縮しない繊維)であってもよい。非熱収縮性繊維としては、例えば、レーヨン等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維;綿、ウール等の天然繊維;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂繊維等が挙げられる。熱収縮性繊維及び接合部の意義及び具体例は上記と同様である。
熱伸長性繊維の熱伸長を利用する方法としては、例えば、特開2005−350836号公報、特開2010−168715号公報等に記載の方法が挙げられる。これらの方法によれば、熱伸長性繊維層を肌側に有するとともに、接合部によって熱伸長性繊維層と部分的に接合された非熱伸長性繊維層を非肌側に有する積層シートを加熱処理し、熱伸長性繊維層の熱伸長によって熱伸長性繊維層を肌側に隆起させることにより、点在する多数の凸部が形成された不織布を製造することができる。非熱伸長性繊維層に含有される非熱伸長性繊維は、実質的に熱伸長性を有しない繊維であってもよいし、熱伸長性を有するが、その熱伸長開始温度が、熱伸長性繊維層に含有される熱伸長性繊維の熱伸長開始温度よりも高い繊維(すなわち、熱伸長性繊維層に含有される熱伸長性繊維の熱伸長開始温度以下の温度で実質的に熱伸長しない繊維)であってもよい。非熱伸長性繊維としては、例えば、レーヨン等の再生繊維;アセテート等の半合成繊維;綿、ウール等の天然繊維;ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂繊維等が挙げられる。熱伸長性繊維及び接合部の意義及び具体例は上記と同様である。
図9(a)は、軽失禁パッド1に搭載される際のトップシート2B及びセカンドシート5Bの位置関係を示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)のI−I線断面図であり、図10は、図9(a)の一部拡大図である。
図9及び図10に示されるように、セカンドシート5Bに形成された凸部不存在領域52B1〜52B3は、それぞれ、トップシート2Bに形成された凸部存在領域21B1〜21B7のうち異なる1つの凸部存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっている。すなわち、凸部不存在領域52B1は凸部存在領域21B3と、凸部不存在領域52B2は凸部存在領域21B4と、凸部不存在領域52B3は凸部存在領域21B5と厚さ方向Zにおいて重なっている。凸部不存在領域52B1〜52B3の幅は、凸部存在領域21B3〜21B5の幅よりも小さいので、平面視において、凸部不存在領域52B1の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21B3の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域52B2の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21B4の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域52B3の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域21B5の幅方向Yの両端部よりも内側に位置する。
図9及び図10に示されるように、セカンドシート5Bに形成された凸部不存在領域52B1〜52B3は、それぞれ、トップシート2Bに形成された凸部不存在領域22B1〜22B6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていない。セカンドシート5Bに形成された凸部不存在領域52B1〜52B3が、それぞれ、トップシート2Bに形成された凸部不存在領域22B1〜22B6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重なっていない結果、セカンドシート5Bに形成された凸部存在領域51B1〜51B4は、それぞれ、トップシート2Bに形成された凸部不存在領域22B1〜22B6のうち異なる1つの凸部不存在領域と厚さ方向Zにおいて重なっている。すなわち、凸部存在領域51B1は凸部不存在領域22B2と、凸部存在領域51B2は凸部不存在領域22B3と、凸部存在領域51B3は凸部不存在領域22B4と、凸部存在領域51B4は凸部不存在領域22B5と厚さ方向Zにおいて重なっている。凸部不存在領域22B2〜22B5の幅は、凸部存在領域51B1〜51B4の幅よりも小さいので、平面視において、凸部不存在領域22B2の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51B1の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22B3の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51B2の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22B4の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51B3の幅方向Yの両端部よりも内側に、凸部不存在領域22B5の幅方向Yの両端部は、凸部存在領域51B4の幅方向Yの両端部よりも内側に位置する。
図9及び図10に示されるように、トップシート2Bに形成された凸部存在領域21B1〜21B7のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部存在領域21B1及び21B7は、セカンドシート5Bのいずれの部分とも厚さ方向Zにおいて重なっていない。同様に、トップシート2Bに形成された凸部不存在領域22B1〜22B6のうち、幅方向Yの両端に位置する凸部不存在領域22B1及び22B6は、セカンドシート5Bのいずれの部分とも厚さ方向Zにおいて重なっていない。このような条件は、本発明の吸収性物品において必須ではない。凸部存在領域21B1及び21B7並びに凸部不存在領域22B1及び22B6は、セカンドシート5Bと厚さ方向Zにおいて重なっていてもよい。この場合、セカンドシート5Bの第1表面51のうち、凸部存在領域21B1及び21B7並びに凸部不存在領域22B1及び22B6と厚さ方向Zにおいて重なる部分には、隣り合う2つの凸部存在領域の間に位置する凸部不存在領域が形成されていてもよい。このような凸部不存在領域は、トップシート2Bに形成された凸部存在領域21B1又は21B7と厚さ方向Zにおいて重なるとともに、トップシート2Bに形成された凸部不存在領域22B1〜22B6のいずれとも厚さ方向Zにおいて重ならないように形成される。
図11(a)は、吸収体4Aの変更例に係る吸収体4Bの平面図であり、図11(b)は、図11(a)のI−I線断面図である。
図11(a)及び(b)に示されるように、吸収体4Bは、第1層41B及び第2層42Bを有する。第1層41B及び第2層42Bは、液状排泄物を吸収及び保持し得る吸収性材料を含有する。第1層41Bは、吸収体4Bの端部まで延在しているが、第2層42Bは、吸収体4Bの端部まで延在していない。第1層41Bのうち第2層42Bと重ならない部分によって低坪量部分が形成されており、第1層41B及び第2層42Bが重なる部分によって、低坪量部分よりも坪量が高い高坪量部分が形成されている。したがって、吸収体4Bは、高坪量部分と、高坪量部分の幅方向Yの両端部から延在する低坪量部分とを有する。高坪量部分の坪量は、好ましくは200〜600g/m2、さらに好ましくは300〜500g/m2であり、低坪量部分の坪量は、好ましくは100〜300g/m2、さらに好ましくは150〜250g/m2である。この実施形態では、吸収体4Bの低坪量部分が、軽失禁パッド1が長さ方向Xに沿って折れ曲がる際の折れ起点となりやすい。また、サイズの異なる第1層41B及び第2層42Bを積層することにより、吸収体4Bの高坪量部分及び低坪量部分の形成が容易である。吸収体4Bは、第1層41Bがセカンドシート側に位置するように軽失禁パッド1に搭載されてもよいし、第2層42Bがセカンドシート側に位置するように軽失禁パッド1に搭載されてもよいが、第2層42Bがセカンドシート側に位置するように軽失禁パッド1に搭載されることが好ましい。