JP2015213009A - リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用集電体 Download PDF

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Abstract

【課題】二次電池を充電する際に本来の充電電位を超えた過充電状態になると、正極の結晶構造変化に伴う発熱および電解液の分解、正極構造崩壊に伴う酸素の放出により電池内部の温度が異常に高まり、発熱による誤動作状態になり、安全性を確保する取組みが求められている。【解決手段】導電性を有する多孔性の基材の空隙部分に、過充電となる電位、または電過充電に伴い発生する熱によって膨張または発泡する材料を含有させ、体積当たりの電池容量並びに種々の充放電特性を低下させることなく、過充電時に電極の抵抗を増加させる。過充電の進行を抑制し、安全性を向上させた電池を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は高エネルギー密度を有する電池、特にリチウムイオン二次電池の電極に用いる集電体およびその製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、そのエネルギー密度の高さから軽量かつ占有面積の少なさに優位性を持ち、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池に比べてメモリー効果の少ない利点を備えることから、携帯電話やノートパソコンなどのポータブルデバイスに幅広く用いられている。また、近年では環境に対する影響から、これまで自動車に用いられてきた石油などの化石燃料に代わる動力源としても用いられることが多くなってきた。さらに、最近では家庭への電力供給の一部を担う定置型蓄電池に対する期待も高い。
一般的に用いられているリチウムイオン二次電池の構成部材は、電極、電解液、セパレーター、集電体、外装体から成り、さらに電極は一般的には正極活物質又は負極活物質、導電助剤、結着材で構成されている。以降、これらの構成材料を所定の混合比率で混合したものを総じて正極材料および負極材料、正極材料と負極材料を総じて電極材料と呼称する。活物質はリチウムイオン二次電池の正極および負極においてリチウムイオンの挿入脱離が可能な材料であり、挿入脱離の際に電子の授受を伴うことで電流を流す役割を担う。導電助剤は活物質・活物質間および活物質・集電体間の電子移動を円滑に進めるために電極内部に配置される。結着材は活物質、導電助剤および集電体の密着性を高めるために電極内部に混合される。
上述のように、自動車や家庭への電力供給を目的にリチウムイオン二次電池が使用される場合、携帯電話等の従来の民生用途に比べ、より大きな電池容量が必要とされる。このように、電池内に大きなエネルギーを蓄えることは、電池に異常が生じた際の危険度が飛躍的に上昇することを意味する。特に電池を充電する際に本来の充電電位を超えて充電する状況、所謂過充電状態になると、正極の結晶構造変化に伴う発熱および電解液の分解、正極構造崩壊に伴う酸素の放出によって電池内部の温度が異常に高まり、異常発熱状態になる。一般的には、このような過充電における対策として、過充電に伴う電池内のガス発生による内圧上昇を検知手段とした外部回路による電流遮断機構を設けることで、発熱による誤動作に至る前に充電電流を止めている。しかしながら、上記対応だけでは安全性を確保することができないため、様々な取組みがなされている。
特許文献1および2では、電解液中にLiCOやビフェニルのような過充電となる電位で分解し、気体を発生する材料を添加することで、過充電時に電池の内圧上昇を促進して、より早期に所定圧力で起動する電流遮断機構を作動させて発熱による誤動作を防止している。
さらに、特許文献3では、電極中あるいは電極と集電体との間に設けた層中に熱膨張性マイクロカプセルを含ませることで過充電に伴う発熱により熱膨張マイクロカプセルが膨張し、電極の抵抗増加を引き起こすことで電流を遮断し、発熱による誤動作を抑制している。
特許第3061759号公報 特許第3575735号公報 特許第4727021号公報
しかしながら特許文献1および2に示すような、電解液中に電位分解性材料を含有させる方法では、電解液中に分散した電位分解性材料が電池の充放電に伴うリチウムイオン移動の妨げとなり、大電流を流したときの電池容量維持特性(以降、電流負荷特性という)や充放電を繰り返した場合の電池容量維持特性(以降、充放電サイクル特性という)が低下する。
一方、特許文献3に示したような電極中あるいは電極と集電体との間に設けた層中に、熱によって機能する熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合においても以下のような観点から課題が残る。まず、電極の基本構成は上述の通り活物質、導電助剤、結着材で構成されており、活物質の量によって電池の容量が決まるため、電極層内に基本構成以外の材料を混入すると電極層内の活物質比率が減少してしまい、電極体積当たりの電池容量が減少してしまう。また、電極と集電体の間に層を設け、その層中に熱膨張性マイクロカプセルを含有する場合においても、層を新たに設けた分、電池全体の体積が上昇し、電池体積当たりの電池容量減少に繋がる。また、電極と集電体の間に新たに層を設けることによって、電極層と集電体間の電気抵抗が増大し、電流負荷特性の低下に繋がる。
そこで、本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、種々の電池特性を劣化させることなく、過充電時の安全性を飛躍的に向上させることのできる集電体および電極およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一つの実施形態は、正極と負極の間を、電解質を介してリチウムイオンが移動するのに伴い、充電または放電することが可能な電池の電極に用いる集電体であって、導電性を有する多孔性の基材の空隙部分に次の(1)、(2)の内少なくとも1つの条件を満たす材料を含有させることを特徴とする集電体である。
(1)電池の過充電となる電位で膨張または発泡する
(2)電池の過充電に伴い生じる熱によって膨張または発泡する
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体が正極側に用いられることを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、前記多孔性の基材がアルミニウム、またはステンレス鋼であることを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、少なくとも前記条件(1)を満たす材料が、リチウム金属の平衡電位を0Vとした電位基準(リチウム基準電位)で4.5Vから5Vの範囲で膨張または発泡開始することを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、少なくとも前記条件(2)を満たす材料が80℃から140℃の範囲で膨張または発泡開始することを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、前記基材の空隙部分に、更に、導電性の材料を含有することを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、前記導電性の材料が少なくとも金属、金属化合物、非晶性炭素、結晶性炭素、導電性ポリマーのいずれかまたはそれらを組み合わせた材料であることを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、前記基材の空隙部分に、更に、結着性の材料を含有することを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体であって、前記結着性の材料がポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンラバー、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンのいずれかであることを特徴とする集電体である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の集電体の上に電極層を形成した電極板である。
本発明の他の実施形態は、上記実施形態の電極板を用いて作製された電池である。
本発明の電池の電極に用いる集電体は、導電性を有する多孔性の基材の空隙部分に電池が過充電となる電位または電池の過充電に伴い発生する熱によって膨張または発泡する材料を含有することで、体積当たりの電池容量ならびに種々の充放電特性を低下させることなく、過充電時に電極の抵抗増加を生じ、過充電の進行を抑制することができ、安全性が飛躍的に向上した電池の電極を提供することが出来る。
本発明を用いた電極の概略断面図。 本発明で用いた電極材料の概略拡大図。
以下、本発明の実施の一例を、図1を用いながら説明する。
図1に示す基板100には導電性を有する多孔性の材料を使用する。基板100に用いる導電性を有する多孔性の材料としてはアルミニウムやステンレス鋼、その中でも薄厚のアルミニウム箔が好適である。アルミニウム箔は一般的にリチウムイオン二次電池の正極集電体に用いられる材料であり、安価で且つ正極の電位においてリチウムイオンと合金化することがない材料である。
正極の電位において、リチウムイオンと合金化する材料では、リチウムイオンが挿入脱離する充放電に伴って集電体が脆化するため、電池の充放電サイクル特性が著しく低下する。また、基板100の厚さは特に限定されないが、基板100を用いて電池を製造する際に、電池の重量および体積当りのエネルギー密度を高めるために、電池製造工程上の集電体にかかる負荷に耐え得る強度を維持する範囲で、薄いことが好ましい。一般的なリチウムイオン二次電池の正極集電体に用いられるアルミニウム箔の厚さは、8μmから20μm程度である。
多孔性の基板100の空隙率は特に制限されず、電池製造工程上の集電体にかかる負荷に耐え得る強度を維持する範囲で、導電性が確保されていれば良い。
次に、多孔性の基板100の空隙に含有する材料(以下、機能性充填材200と呼ぶ)には、電池が過充電となる電位または電池の過充電に伴い発生する熱によって膨張または発泡する条件を満たす材料であれば特に限定されず、適宜選択することができる。電位または熱により発泡する材料としては、例えばオキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドやアゾジカルボンアミドなどの材料が選択される。一方、電位または熱により膨張する材料としては、例えば膨張性気体を内包したマイクロカプセルのような材料を選択することができる。これらの材料が過充電となる電位や過充電によって発生する熱によって発泡や膨張を引き起こすことで、電極と集電体を物理的に剥離させて、電池の抵抗を増加することができる。
機能性充填材200として過充電となる電位によって膨張または発泡する材料を選択する場合、一般的に使用されるリチウムイオン電池の充電時の正極の電位は、正極活物質の種類にもよるが、リチウム基準電位で3.5Vから4.4V程度であるため、機能性充填材200は、より好適には4.5Vから5Vの範囲内で膨張または発泡開始する材料であることが好ましい。機能性充填材200の膨張または発泡開始が4.5V未満で生じると、通常の電池作動電位で機能性充填材200が膨張または発泡してしまい、抵抗上昇により電池性能が著しく劣化する。また、機能性充填材200の膨張または発泡開始が5Vを超えるまで生じない場合、発熱による誤動作の多くは5V以上の充電をきっかけとして生じるので、発熱による誤動作を防止することができない。
一般的にリチウムイオン電池が使用される環境温度は−20℃から70℃程度と想定される。そのため、機能性充填材200の膨張または発泡開始温度が80℃以下であると、通常の電池使用環境で膨張または発泡してしまい、抵抗上昇が原因となる電池性能の著しい劣化が生じる恐れがある。さらに、正極活物質種および負極活物質種類にもよるが、電池の発熱による誤動作は一般的に140℃前後で生じることが多い。そのため、機能性充填材200の膨張または発泡開始温度が140℃を超えると、発熱による誤動作を抑制できなくなることから、機能性充填材200は80℃から140℃の温度範囲で膨張または発泡することが好ましい。
機能性充填材200を多孔性の基板100の空隙に含有させる方法としては、空隙内に機能性充填剤200を均一に充填することが可能であれば特に制限されないが、例えばドクターブレード法を用いることができる。
また、機能性充填材200を多孔性の基板100の空隙に含有させる際に、同時に結着性の材料を含有させるのが好適である。結着性材料としては例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、スチレンブタジエンラバーなどが挙げられる。結着性材料を含むことで空隙内に機能性充填材200をしっかりと確保することができる
さらに、空隙に導電性の材料を同時に含有させても良い。導電性の材料としては、集電体と接触し、空隙内に導電性を付与することができれば特に限定されないが、金属粒子、金属化合物、非晶性炭素、結晶性炭素などの高導電性材料が好ましい。導電材を空隙内に含有することで、集電体の導電性をより向上することができ、電池の電流負荷特性が向上する。
以上の構成により、本発明の集電体が完成する。本発明の集電体の構成材料は上記に例示されたものに限定されず、同様の機能を持つと類推される全ての材料を含むものとする。
また、本発明の集電体上に形成される電極層の構成は特に限定されるものではなく、一般的に用いられる材料を適宜選択することができる。電極層内に用いる活物質には、例えばLiCoO、LiNiO、LiMn、LiFePO、LiMnPO、LiCo(1−x)(M:Mn、Niなどの繊維金属、0<x<1)、LiNiCoMn(1−x−y)(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)などが挙げられ、電池に求める電圧および容量特性に応じて適宜選択することができる。特にLiCoOやLiNiO、LiNiCoMn(1−x−y)(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)などのような層状化合物を電池の電極活物質として用いる場合、過充電時に発熱による誤動作を起こしやすいことが知られている。また、電極層内に用いる導電助剤には、例えば非晶性炭素材料、結晶性炭素材料、金属粒子、金属化合物粒子などの高導電性材料を適宜選択することができる。さらに、電極層内に用いる結着材には、例えばポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンラバー、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンなどが選択できる。
(本発明の集電体の作製)
基板に厚さ20μmで空隙率40%のアルミニウム箔、基板の空隙内に含有する材料として、機能性充填材として熱膨張マイクロカプセル、導電性材料としてアセチレンブラック、結着材としてポリフッ化ビニリデンを準備した。
これらの材料を、n−メチル−2−ピロリドンを溶媒として一軸攪拌機を用いて10分間攪拌し、塗液を作製した。次に、作製した塗液をドクターブレード法を用いて空隙内に隈なく充填した後、塗液の溶媒を完全に除去するために、100℃で1時間乾燥処理を実施した後、真空環境下で再度100℃、12時間乾燥処理し、本発明の構成の集電体を作製した。
(本発明の正電極の作製)
次に、集電体上に形成する電極層として使用する材料に、活物質としてLiCoO、導電助剤としてアセチレンブラック、結着材としてポリフッ化ビニリデンを準備し、これらの材料を、LiCoOとアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンの重量比が90:5:5となるよう秤量し、n−メチル−2−ピロリドンを攪拌溶媒として、二軸混練攪拌機を用いて30分間攪拌して塗液を作製した。その後、アプリケーターを用いて目付量が13mg/cmとなるようにアルミニウム箔上に塗工した。さらに塗液の溶媒を完全に除去するために、100℃で1時間乾燥処理を実施した後、真空環境下で再度100℃、12時間乾燥処理し、本発明の構成の集電体を有する電極を作製した。
(本発明による負極の作製)
基板に厚さ15μmの銅箔、次に銅箔上に形成する電極層として使用する活物質として鱗片状黒鉛、導電助剤としてアセチレンブラック、結着材としてスチレンブタジエンラバーを準備した。
鱗片状黒鉛とアセチレンブラックとスチレンブタジエンラバーの重量比が96対3対1となるように秤量し、水を攪拌溶媒として、一軸混練攪拌機を用いて1時間攪拌して塗液を作製した。また、この時、塗液の粘度を調整するためにカルボキシメチルセルロースを前記組成の総重量部100に対して1重量部を添加して作製した。作製した塗液をアプリケーターで銅箔上に目付量が6mg/cmとなるように塗工した。さらに、塗工した塗液の溶媒を完全に除去するために、100℃、1時間乾燥処理を実施した後、真空環境下で再度100℃、12時間乾燥処理を実施し、負極を作製した。
実施例1における集電体に使用する機能性充填材として、熱膨張マイクロカプセルの代わりにオキシビスベンゼンスルホニルヒドラジドを使用した以外は、全て実施例1と同様にして、集電体、正電極および負電極を作成した。
実施例1における集電体に使用する機能性充填材として、熱膨張マイクロカプセルの代わりにアゾジカルボンアミドを使用した以外は、全て実施例1と同様にして、集電体、正電極および負電極を作成した。
〈比較例1〉
(一般的な正極の作製)
基板として厚さ20μmのアルミニウム箔、アルミニウム箔上に形成する電極層として使用する材料として、活物質としてLiCoO、導電助剤としてアセチレンブラック、結着材としてポリフッ化ビニリデンを準備した。
LiCoOとアセチレンブラックとポリフッ化ビニリデンの重量比が90対5対5となるように秤量し、n−メチル−2−ピロリドンを攪拌溶媒として、二軸混練攪拌機を用いて30分間攪拌して塗液を作製した。作製した塗液をアプリケーターを用いて、アルミニウム箔上に目付量が13mg/cmとなるように塗工した。さらに塗工した塗液の溶媒を完全に除去するために、100℃で1時間乾燥処理を実施した後、真空環境下で再度100℃、12時間乾燥処理を実施した。
以上の工程により、本明細書に記載の実施例1の構成に対して比較となる一般的な正極を作製することができた。
(一般的な負極の作製)
実施例1に示す手順に沿って材料を選択し、工程に従って負極を作製した。
(特性評価結果)
(過充電試験による過充電時の電池の外観変化比較)
実施例1〜3および比較例1で作製したそれぞれの正極および負極を用いて、電解液に1mol/Lの六フッ化燐酸リチウムを含有し、且つ重量比が1対1となるような割合でエチレンカーボネイトとジエチルカーボネイトが混合された溶媒を用いたラミネート型電池を作製した。電池の容量は、正極と負極を積層して500mAhとなるように設計した。以降、実施例1〜3で作製した電極を用いた電池をそれぞれ電池a、電池b、電池cと呼称し、比較例1で作製した電極を用いた電池を電池dと呼称する。
次に、電池a〜dを用いて過充電試験を実施した。測定温度を25℃として、充電電流1500mAで12Vまで充電し、その時の電池の様子を観察したところ、電池a〜cには特に変化は生じなかったが、電池dからは白煙が生じた。(表1参照)
Figure 2015213009
(電池の電流負荷特性比較)
実施例1〜3および比較例1で作製したそれぞれの電極を用いて、過充電試験による過充電時の電池の外観変化比較で用いた電池と同じ構成の電池、電池a〜dを作製した。
次に、電池a〜dを用いて電流負荷特性を評価した。測定温度を25℃として、充電電流250mAで4.1Vまで充電した後、放電電流250mAで3Vまで放電し、さらにその後充電電流250mAで4.1Vまで充電した後、放電電流2000mAで3Vまで放電した。この試験における放電電流250mAで放電した時に得られた電池容量に対する放電電流2000mAで放電した時、得られた電池容量の比率を負荷容量維持率として、電池a〜dを比較したところ、電池aの負荷容量維持率は83.1%、電池bの負荷容量維持率は83.2%、電池cの負荷容量維持率は83.1%、電池dの負荷容量維持率は83.3%とほぼ同等の値を示した。(表2参照)
Figure 2015213009
(電池の充放電サイクル特性比較)
実施例1〜3および比較例1で作製したそれぞれの電極を用いて、過充電試験による過充電時の電池の外観変化比較で用いた電池と同じ構成の電池、電池a〜dを作製した。
次に、電池a〜dを用いて充放電サイクル特製を評価した。測定温度を25℃として、充電電流500mAで4.1Vまで充電した後、放電電流500mAで3Vまで放電する充放電を1サイクルとし、200サイクルまで実施したときの1サイクル目の放電容量に対する200サイクル目の放電容量を容量維持率として電池a〜dを比較したところ、電池aが容量維持率91.8%、電池bが容量維持率91.7%、電池cが容量維持率91.8%であったのに対して、電池dが92.3%とほぼ同等の値を示した。(表3参照)
Figure 2015213009
以上の特性評価結果の結果を表まとめる。これらの結果から本発明の構成となる集電体上に形成した電極を用いた電池は過充電時の安全性を向上しながら、従来の電極を用いた電池と同等の充放電性能が得られることが示された。
本発明の電極の構成は、リチウムイオン二次電池分野のみならず、安全性を必要とするエネルギーデバイスに関わる全ての分野に適用することができる。
100…基板(集電体)
101…空隙
200…機能性充填材
201…結着性材料
202…導電性材料
300…電極層
301…活物質
302…導電助剤
303…結着材

Claims (11)

  1. 正極と負極の間に電解質を介して充放電を行う二次電池の電極に用いる集電体であって、
    前記集電体は導電性を有する多孔性の基材から構成され、
    前記基材は前記基材の空隙部分に、電池の過充電となる電位で膨張または発泡する材料、または電池の過充電に伴い生じる熱によって膨張または発泡する材料を含有することを特徴とする集電体。
  2. 前記集電体が正極側に用いられることを特徴とする請求項1に記載の集電体。
  3. 前記多孔性の基材がアルミニウム、またはステンレス鋼であることを特徴とする請求項1または2に記載の集電体。
  4. 前記電池の過充電となる電位で膨張または発泡する材料が、リチウム金属の平衡電位を0Vとする電位基準で4.5Vから5Vの範囲で膨張または発泡開始することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の集電体。
  5. 前記電池の過充電に伴い生じる熱によって膨張または発泡する材料が、80℃以上から140℃以下の範囲で膨張または発泡開始することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の集電体。
  6. 前記基材は、前記基材の空隙部分に、更に、導電性の材料を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の集電体。
  7. 前記導電性を有する多孔性の基材が金属、金属化合物、非晶性炭素、結晶性炭素、導電性ポリマーのいずれかまたはそれらを組み合わせた材料であることを特徴とする請求項6に記載の集電体。
  8. 前記基材は、前記基材の空隙部分に、更に、結着性の材料を含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の集電体。
  9. 前記結着性の材料がポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンラバー、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレンのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の集電体。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の集電体の上に電極層を形成した電極板。
  11. 請求項10に記載の電極板を用いて作製された電池。
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