JP2015211763A - 医薬品容器用コネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】コネクタと容器とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減する。
【解決手段】医薬品容器用コネクタ1は、容器180の口183を封止する栓体186に穿刺することができる穿刺針20と、穿刺針に形成された流路21の先端側の開口を覆うカバー90とを備える。穿刺針20はカバー90を貫通して栓体186を穿刺するように構成されている。穿刺針20はコネクタ本体10に設けられている。カバー90はスライダ50に保持されている。スライダ90は、コネクタ本体10に対して穿刺針20の長手方向に沿って移動可能である。スライダ50は、容器180の口のフランジ182に係合可能な爪66,76を備える。
【選択図】図17

Description

本発明は、バイアル瓶のような密閉された医薬品用容器に接続されるコネクタに関する。
バイアル瓶のような密閉された医薬品用容器内には、一般に、粉末状の薬剤が収容されている。当該薬剤を患者に投与する場合、バイアル瓶内に溶解液を注入して薬剤を溶解して薬液を得た後、当該薬液をバイアル瓶から取り出す。取り出された薬液は、一般に薬液バッグに一時的に貯留される。
バイアル瓶に収容された薬剤が、例えば抗がん剤のように劇薬に指定された薬剤である場合がある。このような危険な薬剤を含む薬液が漏れ出して作業者の指などに付着したり、その蒸気を作業者が吸引したりする事態は回避しなければならない。従って、バイアル瓶内の薬剤を溶解し、その薬液を薬液バッグに移送する上記の一連の作業は、薬液が漏れ出す可能性が低い「閉鎖系のデバイス」を用いて行われることが望まれる。
このような閉鎖系のデバイスの一例が特許文献1に記載されている。特許文献1のデバイス(特許文献1ではこれを「医療用コネクタ」と称している)は、バイアル瓶及び薬液バッグがそれぞれ接続される2つのコネクタと、シリンジが接続されるポートとを備えている。デバイスは、更に、バイアル瓶、薬液バッグ、シリンジ間の流路を切り替えるためのコックを備えている。デバイスに、バイアル瓶、薬液バッグ、シリンジを接続する。薬液バッグには、当初は薬剤を溶解するための溶解液が貯蔵されている。コックを操作して流路を適宜切り替えることにより、薬液バッグ内の溶解液をシリンジを介してバイアル瓶に移送し、バイアル瓶内の薬剤を溶解して薬液を得て、その後、バイアル瓶内の薬液をシリンジを介して薬液バッグに移送することができる。必要に応じて、バイアル瓶を新しいバイアル瓶に交換して同様の操作を行う。このようにして、必要な数及び種類のバイアル瓶内の薬剤を溶解して得た薬液を共通する薬液バッグ内に貯留することができる。
バイアル瓶の口(開口)は、一般に栓体(ゴム栓)で封止されている。上記のデバイスのバイアル瓶が接続されるコネクタは、この栓体に穿刺される、鋭利な先端を備えた穿刺針を備える。バイアル瓶とコネクタとを分離した後、穿刺針の流路内に残存する薬液が穿刺針の当該流路の先端側の開口から外界に漏れ出すことがある。
特許文献2には、メス部材(ニードルレスポート)に挿入される棒状のオス部材(オスルアー)を覆う、可撓性を有するカバー(シールド)が記載されている。カバーは、圧縮変形可能な蛇腹状の外周壁と、外周壁の一端に設けられた、オス部材の先端が挿入される頭部と、外周壁の他端に設けられた基部とを備える。カバーの基部は、オス部材を保持する基台に固定される。メス部材は、直線状のスリット(切り込み)が形成されたゴム等の弾性材料からなる隔壁部材(一般に「セプタム」と呼ばれる)を備える。オス部材とメス部材とを接続する際には、オス部材は、カバーを貫通し、更にセプタムのスリットに挿入される。このとき、カバーの外周壁は弾性的に圧縮される。オス部材をメス部材から分離すると、カバーの外周壁は初期形状に復帰し、オス部材を覆う。
特許文献2のカバーを上記のデバイスの穿刺針に適用することにより、バイアル瓶とコネクタとを分離した後に薬液が穿刺針から外界に漏れ出すのを防ぐことができると考えられる。
国際公開第2013/161979号パンフレット 特開2012−254142号公報
ところが、実際に特許文献2のカバーを特許文献1のデバイスの穿刺針に適用すると、バイアル瓶とコネクタとを分離した後に、カバーの外周壁が直ちに初期形状に復帰しない場合がある。この場合、穿刺針の流路の先端側の開口が外界に露出されるので、当該開口から流路内に残存する薬液が漏れ出てしまう。
特許文献2には、カバーの外周壁が初期形状に復帰するのを助けるために、カバーの頭部の先端に、メス部材と係合可能な係合形状を設けることが記載されている。ところが、一般に、バイアル瓶は、カバーの係合形状が係合できる形状を有していない。
本発明は、上記の従来の課題を解決し、バイアル瓶で代表される容器の栓体に穿刺される穿刺針をカバーで覆ったコネクタにおいて、コネクタと容器とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減することを目的する。
本発明の医薬品容器用コネクタは、容器の口を封止する栓体に穿刺することができる穿刺針と、前記穿刺針に形成された液体が流れる流路の先端側の開口を覆うカバーとを備え、前記穿刺針は前記カバーを貫通して前記栓体を穿刺するように構成されている。前記穿刺針はコネクタ本体に設けられている。前記カバーはスライダに保持されている。前記スライダは、前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動可能である。前記スライダは、前記容器の口のフランジに係合可能な爪を備える。
本発明によれば、穿刺針が設けられたコネクタ本体に対して移動可能なスライダが、カバーを保持し、また、容器のフランジに係合可能な爪を備える。これにより、穿刺針を栓体から引き抜くと、穿刺針の流路の先端側の開口を外界に露出させることなくカバーで覆うことができる。従って、コネクタと容器とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。
図1は、本発明の一実施形態にかかるコネクタの分解斜視図である。 図2Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の前方上側から見た斜視図である。 図2Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の後方上側から見た斜視図である。 図3Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の前方下側から見た斜視図である。 図3Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の後方下側から見た斜視図である。 図4Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の前方下側から見た断面斜視図である。 図4Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の後方下側から見た断面斜視図である。 図5は、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するコネクタ本体の下面図である。 図6Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの前方上側から見た斜視図である。 図6Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの後方上側から見た斜視図である。 図7Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの前方下側から見た斜視図である。 図7Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの後方下側から見た斜視図である。 図8Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの前方下側から見た断面斜視図である。 図8Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの後方下側から見た断面斜視図である。 図9は、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するスライダの下面図である。 図10Aは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するカバーの下から見た斜視図である。 図10Bは、本発明の一実施形態にかかるコネクタを構成するカバーの断面図である。 図11Aは、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの前方上側から見た斜視図である。 図11Bは、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの後方上側から見た斜視図である。 図12Aは、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの前方下側から見た斜視図である。 図12Bは、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの後方下側から見た斜視図である。 図13は、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの断面斜視図である。 図14は、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの、穿刺針の先端及びこれを覆おうカバーの拡大断面図である。 図15は、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタにおいて、コネクタ本体の前側の開口の拡大斜視図である。 図16は、初期状態にある本発明の一実施形態にかかるコネクタにおいて、コネクタ本体の後ろ側の開口の拡大斜視図である。 図17は、本発明の一実施形態にかかるコネクタをバイアル瓶に装着する直前の状態を示した斜視断面図である。 図18は、本発明の一実施形態にかかるコネクタが装着されるバイアル瓶の断面図である。 図19は、本発明の一実施形態にかかるコネクタの爪がバイアル瓶のフランジに係合した直後の状態を示した斜視断面図である。 図20は、本発明の一実施形態にかかるコネクタの爪がバイアル瓶のフランジに係合した直後の状態において、コネクタ本体の後ろ側の開口の拡大斜視図である。 図21は、本発明の一実施形態にかかるコネクタの穿刺針がバイアル瓶の栓体を穿刺した状態を示した斜視図である。 図22は、本発明の一実施形態にかかるコネクタの穿刺針がバイアル瓶の栓体を穿刺した状態を示した斜視断面図である。 図23は、スライダが中間停止位置にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの拡大斜視断面図である。 図24は、スライダが中間停止位置にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの斜視図である。 図25は、スライダが中間停止位置にある本発明の一実施形態にかかるコネクタの斜視断面図である。 図26は、スライダが中間停止位置にあるときに、リリースボタンを押し込むことにより中間ストッパと停止突起との衝突が解除される様子を示した拡大斜視断面図である。 図27は、スライダがコネクタ本体から最大に引き出された、本発明の一実施形態にかかるコネクタの斜視図である。 図28は、スライダがコネクタ本体から最大に引き出された、本発明の一実施形態にかかるコネクタの斜視断面図である。 図29は、本発明の一実施形態において、スライダの爪がバイアル瓶に装着したキャップの外周面を摺動している状態を示した斜視図である。 図30は、図29の状態を示した斜視断面図である。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記爪が前記容器の前記フランジに係合している状態では、前記カバーの先端が前記栓体に当接するように構成されていることが好ましい。これにより、爪がフランジに係合している限り、穿刺針を栓体から引き抜くと、穿刺針の流路の先端側の開口は、外界に露出されることなくカバー内に確実に収納される。よって、コネクタと容器とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタが、前記爪と前記フランジとの係合が解除されるのを防止するロック機構を備えることが好ましい。これにより、爪とフランジとの係合が意図せずに解除されてしまう誤操作を防止することができる。
前記ロック機構は、前記爪が形成された、外向き(即ち、穿刺針から離れる向き)に弾性的に曲げ変形が可能な把持アームと、前記把持アームの曲げ変形を制限する前記コネクタ本体とを含みうる。これにより、簡単な構成でロック機構を構成することができる。
前記ロック機構によるロック状態及び非ロック状態は、前記スライダの前記コネクタ本体に対する前記穿刺針の長手方向に沿った位置に応じて切り替えることができることが好ましい。これにより、例えば穿刺針を栓体に穿刺する過程において、スライダをコネクタ本体に向かって移動させるのに連動して、ロック機構が非ロック状態からロック状態へ自動的に切り替わるように構成することができる。従って、ロック機構がロック状態に切り替えられないことによって、爪とフランジとの係合が意図せずに解除されてしまう誤操作を防止することができる。
前記スライダが前記コネクタ本体から最大に引き出されたとき、前記ロック機構は機能しないように構成することができる。これにより、穿刺針が栓体を穿刺した穿刺状態から容器をコネクタ本体から離れるように一方向に移動させるだけで、コネクタと容器とを分離することが可能な状態にすることができる。従って、コネクタと容器との分離作業が簡単化され、非熟練者にも分離作業の理解が容易である。
前記ロック機構が機能しない非ロック位置に向かって前記スライダを前記コネクタ本体から引き出す過程において、前記スライダが前記非ロック位置に到達するより前に、前記スライダを前記コネクタ本体から更に引き出すことができないように前記スライダの前記コネクタ本体に対する移動が規制される中間停止位置が設けられていてもよい。これにより、コネクタと容器とを分離する作業は、中間停止位置において一時的に停止される。このため、栓体の穿刺針が穿刺していた孔が閉じるための時間が、確実に確保される。従って、その後、カバーを栓体から分離したときに、薬液が栓体から漏れ出る可能性を低減することができる。
前記中間停止位置において前記スライダの前記コネクタ本体に対する移動の規制を解除するリリースボタンが設けられていてもよい。リリースボタンが押されないと、スライダを非ロック位置に移動させることはできない。従って、コネクタと容器とを分離する作業は、中間停止位置において確実に停止される。このため、栓体の穿刺針が穿刺していた孔が閉じるための時間が、十分に確保される。従って、その後、カバーを栓体から分離したときに、薬液が栓体から漏れ出る可能性を低減することができる。
前記ロック機構が機能しない非ロック位置に前記スライダが位置するとき、前記穿刺針の前記開口は前記カバーで覆われることが好ましい。これにより、スライダが非ロック位置にあるときに爪とフランジとの係合が解除されても、流路の先端側の開口から薬液が外界に漏れ出る事態の発生を防ぐことができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することができないことが好ましい。これにより、爪を容器のフランジに係合させるための圧縮力を、スライダではなくコネクタ本体に印加しても、スライダはコネクタ本体に対して移動することはない。従って、コネクタを容器に装着する作業を効率良く行うことができる。また、スライダとコネクタ本体とを誤って分離してしまう誤操作を防止することができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているとき、前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動可能であることが好ましい。これにより、爪に係合された容器をコネクタ本体に向かって移動させ、穿刺針を栓体に穿刺することができる。また、穿刺針が栓体を穿刺した状態から、爪に係合された容器をコネクタ本体から離れる向きに移動させ、穿刺針を栓体から引き抜くことができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記スライダは、前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているときに前記栓体の上側端縁に当接する当接突起と、前記当接突起が形成された、外向き(即ち、穿刺針から離れる向き)に弾性的に曲げ変形が可能なスライド規制アームとを備えうる。これにより、爪と当接突起とで、容器のフランジ及び栓体を挟持することができる。また、当接突起が曲げ変形可能なスライド規制アームに形成されているので、コネクタを装着することができるフランジ及び栓体の寸法の許容範囲が拡大する。
前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記スライド規制アームは前記コネクタ本体に衝突し、これにより前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することが規制されることが好ましい。また、前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているとき、前記スライド規制アームは前記コネクタ本体に衝突しない位置に弾性的に曲げ変形し、これにより前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することが可能になることが好ましい。これにより、爪がフランジに係合していないときには、コネクタ本体に容器に向かう圧縮力を印加して爪をフランジに係合させることができ、一旦、爪がフランジに係合すると、コネクタ本体に容器に向かう圧縮力を印加して穿刺針を栓体に穿刺することができる。従って、コネクタ本体に容器に向かう圧縮力を単に印加するだけで、爪がフランジに係合していない状態から、穿刺針が栓体を穿刺した状態まで、連続的に移行することができる。しかも、これを、簡単な構成で実現できる。
前記当接突起の前記栓体に当接する端縁は、前記穿刺針の長手方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、コネクタを装着することができるフランジ及び栓体の寸法の許容範囲が拡大する。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記カバーは、その先端に前記穿刺針が貫通することができるスリットと、前記穿刺針の外周面に密着するシール領域と、前記シール領域に対して前記先端側に配置された可変形領域とを備えうる。この場合、前記可変形領域は、前記シール領域に比べて、前記穿刺針の長手方向に沿った圧縮変形及び伸張変形が容易であることが好ましい。これにより、可変形領域は栓体の変形に追従して変形することができる。従って、爪が容器のフランジに係合されているかぎり、スライダのコネクタ本体に対する位置に関わらず、カバーの先端が栓体に密着した状態を維持し続けることができる。その結果、カバーと栓体とを分離した後に、カバーの先端や栓体の外面に付着する薬液の量を少なくすることができる。また、寸法が種々に異なる容器に対しても、外界に漏れ出る薬液の量を少なくすることができる。
前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記可変領域内に、密閉された空間が形成されることが好ましい。これにより、密閉された空間内に、薬液を貯留することができる。これは、外界に漏れ出る薬液の量を少なくするのに有利である。
前記穿刺針が前記栓体を貫通しているとき、前記密閉された空間は縮小又は消失することが好ましい。縮小又は消失した空間は、その後、穿刺針を栓体から引き抜いて、更に、爪とフランジとの係合を解除すると、初期形状に復帰する。この復帰過程で、当該空間内に負圧が発生する。負圧は、カバーの先端と栓体との間の薬液をスリットを通じて当該空間内に吸引する。従って、カバーと栓体とを分離した後に、カバーの先端や栓体の外面に付着する薬液の量を少なくすることができる。
前記カバーは、前記カバーを前記スライダに保持するための保持部を備えうる。この場合、前記保持部は、前記シール領域に設けられていることが好ましい。これにより、スライダに対するシール領域の、穿刺針の長手方向に沿った位置は、スライダのコネクタ本体に対する位置に関わらず実質的に一定に維持される。従って、穿刺針を栓体から引き抜くと、穿刺針の流路の先端側の開口は、外界に露出されることなくカバーで確実に覆われる。このため、コネクタとバイアル瓶とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を更に低減することができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記カバーの前記穿刺針によって貫通される先端には、前記栓体に向かって突出した凸面が形成されていることが好ましい。これにより、カバーの先端と栓体との密着性が向上する。従って、薬液が外界に漏れ出る可能性を更に低減することができる。
上記の本発明の医薬品容器用コネクタにおいて、前記カバーには、前記容器と係合する係合形状が設けられていないことが好ましい。本発明では、このような係合形状を設けなくても、穿刺針を栓体から引き抜くと、穿刺針の流路の先端側の開口は、外界に露出されることなくカバーで覆われる。従って、係合形状が係合する形状が設けられていない容器に対しても、薬液が外界に漏れ出る可能性を常に低減することができる。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。
1.コネクタの構成
図1は、本発明の一実施形態にかかる医薬品容器用コネクタ(以下、単に「コネクタ」という)1の分解斜視図である。コネクタ1は、コネクタ本体10、スライダ50、カバー(またはシールド)90から構成される。一点鎖線1aは、コネクタ1の中心軸である。以下の説明の便宜のために、中心軸1aと平行な軸をZ軸とするXYZ直交座標系を設定する。Z軸方向を「上下方向」といい、Z軸の矢印が向いた側を「上」側、その反対側を「下」側という。Z軸と直交する平面に平行な方向を「水平方向」という。Y軸の矢印が向いた側を「前」側、その反対側を「後ろ」側という。中心軸1aに直交する直線に沿った方向を「半径方向」又は「直径方向」といい、中心軸1aの周りを回転する方向を「周方向」という。半径方向において、中心軸1aから離れる側を「外」側といい、中心軸1aに近づく側を「内」側という。
コネクタ1は、上述した特許文献1においてバイアル瓶が接続される「第2コネクタ200」(特許文献1の図11〜図14参照)と置き換えて、特許文献1のデバイスと同様に機能する閉鎖系デバイスを構成することができる。本明細書では、コネクタ1のうち、バイアル瓶との接続に関連する部分を中心に説明し、それ以外の部分の説明を省略する。
1.1.コネクタ本体
図2Aは、コネクタ本体10の前方上側から見た斜視図、図2Bは、その後方上側から見た斜視図である。図3Aは、コネクタ本体10の前方下側から見た斜視図、図3Bは、その後方下側から見た斜視図である。図4Aは、コネクタ本体10の前方下側から見た断面斜視図、図4Bは、その後方下側から見た断面斜視図である。図5は、コネクタ本体10の下面図である。図4A、図4Bの断面は、中心軸1a及びY軸を含む。
図3A、図3B、図4A、図4Bに示されているように、コネクタ本体10は、バイアル瓶(容器)180の栓体186(後述する図17、図18参照)に穿刺される穿刺針(「瓶針」と呼ばれることもある)20を備えている。穿刺針20は、平面視形状が略円形である天板11の中央から下方に向かって延びている。穿刺針20は中心軸1aと同軸に配置されている。
穿刺針20は、棒状の部材であって、鋭利な先端20tを形成するために略円錐面(テーパ面)の外面を有する円錐部25と、円錐部25と天板11とを繋ぐ柱状部26とを備えている。本実施形態では、柱状部26の外周面は、上下方向において外径が一定である円筒面である。但し、穿刺針20の外形は、これに限定されない。例えば、柱状部26が、円錐部25に近づくにしたがってその外径がわずかに小さくなるテーパ面であってもよい。あるいは、円錐部25と柱状部26とが明確に区別されている必要はなく、例えば、穿刺針20の外周面は、先端20tから天板11に近づくにしたがって外径がなだらかに変化する曲面で構成されていてもよい。
図4A及び図4Bに示されているように、穿刺針20内には、その長手方向(上下方向)と略平行な2つの流路21,22が互いに独立して形成されている。流路21は、液体が流れる液体流路であり、流路22は、気体が流れる気体流路である。液体流路21は、先端20t側において、横孔21aと連通している。横孔21aは、半径方向に沿って前側に向かって延び、柱状部26の外周面において開口している。横孔21aの柱状部26での開口は、液体流路21の先端20t側の開口を構成する。気体流路22は、先端20t側において、円錐部25の外周面において開口している。液体流路21及び気体流路22は、天板11を超えて上方に延び、天板11よりも上に設けられた、円筒面状の内周面を有する管状部13に達している。
穿刺針20を取り囲むように、外筒12が天板11から、下方に向かって延びている。外筒12は、穿刺針20と同軸の中空の略円筒形状を有している。外筒12には、上下方向に延びた一対の開口31,41が形成されている。開口31と開口41とは、穿刺針20に対して対称位置に配されている。
図2A、図4A、図4Bに示されているように、前側の開口31において、上下方向に沿った両側端縁から、一対のガイド突起32が開口31内に向かって突出している。ガイド突起32は、上下方向に沿って延び、その下端は停止端33で終端している。ガイド突起32は、外筒12の外周面に対して、わずかに穿刺針20に近い位置にある。
停止端33よりわずかに上の位置において、一対のガイド突起32から開口31内に向かって一対の停止突起35が突出している。停止突起35の半径方向の厚さ(寸法)は、停止突起35の下側部分35aで相対的に薄い。停止突起35の内側面(穿刺針20に対向する面)には、この停止突起35の厚さ変化に対応して、下側の薄肉部35aより上側に、上にいくにしたがって穿刺針20に近づくように傾斜した傾斜面35bが形成されている。
図2B、図4A、図4Bに示されているように、後ろ側の開口41においても、上下方向に沿った両側端縁から、一対のガイド突起42が開口41内に向かって突出している。ガイド突起42は、上下方向に沿って延びている。ガイド突起42は、外筒12の外周面に対して、わずかに穿刺針20に近い位置にある。
一対のガイド突起42から開口41内に向かって一対の停止突起45が突出している。ガイド突起42の下端と停止突起45の下端とは、上下方向における位置が一致し、ともに停止端43を構成している。停止突起35と異なり、停止突起45の半径方向の厚さ(寸法)は、上下方向において一定である。停止突起45の内側面(穿刺針20に対向する面)には、停止突起35の傾斜面35bと同様の傾斜面は形成されていない。
外筒12の内周面に、4本の溝17が、外筒12の下端から上方に向かって延びている。2本の溝17は開口31を周方向に挟んで配置され、他の2本の溝17は、開口41を周方向に挟んで配置されている。
コネクタ本体10は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができる。コネクタ本体10は、これらの樹脂材料を用いて、例えば射出成形等により一体的に成形することができる。
1.2.スライダ
図6Aは、スライダ50の前方上側から見た斜視図、図6Bは、その後方上側から見た断面斜視図である。図7Aは、スライダ50の前方下側から見た斜視図、図7Bは、その後方下側から見た斜視図である。図8Aは、スライダ50の前方下側から見た断面斜視図、図8Bは、その後方下側から見た断面斜視図である。図9は、スライダ50の下面図である。図8A、図8Bの断面は、中心軸1a及びY軸を含む。
図6A、図6B、図7A、図7B、図8A、図8Bに示されているように、スライダ50は、全体として、上下方向に開口した、中心軸1aと同軸の中空の略円筒形状を有している。スライダ50内に、上下方向に開口した略円筒形状を有する保持器58が中心軸1aと同軸に設けられている。保持器58は、スライダ50の上端近傍の位置に、X軸方向に平行な保持バー59を介してスライダ50の内周面に固定されている。
スライダ50の略円筒面形状を有する側面には、一対の開口61,71が形成されている。開口61と開口71とは、中心軸1aに対して対称位置に配されている。開口61は前側に配置され、開口71は後ろ側に配置されている。
開口61,71において、開口61,71の下側端縁から上方に向かってスライド規制アーム(以下、単に「規制アーム」という)62,72が延びている。規制アーム62,72は、その上端の頭部63,73を自由端とする片持ち支持構造を有している。規制アーム62,72は、頭部63,73が半径方向に沿って外向きに変位するように、弾性的に曲げ変形可能である。規制アーム62,72は、その頭部63,73が周方向に沿って両側に突出した略「T」字形状を有している。図7A、図7B、図8A、図8Bに示されているように、規制アーム62,72の内面(中心軸1aに対向する面)の上端近傍の位置から、当接突起64,74が中心軸1aに向かって突出している。当接突起64,74は、下にいくにしたがって中心軸1aから離れるように中心軸1aに対して傾斜した端縁64a,74aを備える。
規制アーム62を周方向に挟むように、開口61の上側端縁から下方に向かって一対の把持アーム65が延びている。同様に、規制アーム72を周方向に挟むように、開口71の上側端縁から下方に向かって一対の把持アーム75が延びている。把持アーム65,75は、その下端を自由端とする片持ち支持構造を有している。把持アーム65,75は、その下端(自由端)が半径方向に沿って外向きに変位するように、弾性的に曲げ変形可能である。把持アーム65,75の外面(中心軸1aとは反対側の面)の下端近傍の位置から、ロック突起67,77が半径方向に略沿って外向きに突出している。図7A、図7B、図8A、図8Bに示されているように、把持アーム65,75の内面(中心軸1aに対向する面)の下端近傍の位置から、爪66,76が中心軸1aに向かって突出している。爪66,76のそれぞれには、その先端(中心軸1aに最も近い箇所)66t,76tよりも下側に、先端66t,76tから下方に離れるにしたがって中心軸1aから離れるように傾斜した傾斜面66s,76sが形成されている。
図6Aに示されているように、前側の開口61の上側の端縁を構成するフロントアッパーフレーム68の周方向の略中央位置に、リリースボタン52が半径方向に沿って外向きに突出している。リリースボタン52の両側面(半径方向に略平行な面)には、中間ストッパ53及び抜け止め突起54が突出している。抜け止め突起54は、半径方向に略沿って水平方向に延びている。中間ストッパ53は抜け止め突起54よりも下に位置している。フロントアッパーフレーム68の半径方向の寸法(厚み)は、比較的薄い。従って、リリースボタン52を半径方向に沿って内向きに(中心軸1aに向かって)押すと、リリースボタン52が中心軸1aに近づくように、フロントアッパーフレーム68は弾性的に変形することができる。フロントアッパーフレーム68及び把持アーム65のうちの一方の変形によって他方が変位しないように、フロントアッパーフレーム68と把持アーム65の上端(固定端)とはスリット69を介して離間している(図6A、図6B参照)。
図6Bに示されているように、後ろ側の開口71の上側の端縁を構成するリアアッパーフレーム78の周方向の略中央位置に、抜け止め突起55が外向きに突出している。抜け止め55は、周方向に沿って延びている。
スライダ50は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができる。スライダ50は、これらの樹脂材料を用いて、例えば射出成形等により一体的に成形することができる。
1.3.カバー
図10Aは、カバー90の下から見た斜視図、図10Bは、カバー90の断面図である。カバー90は、中心軸1aに対して任意の回転角度について対称性(いわゆる回転等方性)を有している。
カバー90は、可撓性(柔軟性)を有し、外力を加えると変形し且つ当該外力を除去すると直ちに初期形状に復帰するゴム状の弾性を有する材料(いわゆるエラストマー)からなる。具体的には、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等のゴムや、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。カバー90は、このような材料を用いて一体的に成形される。
図10Bに示されているように、カバー90には、中心軸1aに沿った内腔91が形成されている。内腔91は、カバー90の上端面に開口している。カバー90は、上側(基端側)にシール領域92を、下側(先端側)に可変形領域93を、互いに隣接して備えている。
シール領域92には、初期状態(後述する図13、図14参照)において穿刺針20が挿入される。シール領域92での内腔91の内周面は、穿刺針20の外周面形状に沿って形成されている。シール領域92での内腔91の内周面が、穿刺針20の外周面(特に横孔21aの近傍領域)に液密及び気密に密着するように、シール領域92での内径は、穿刺針20の外径よりわずかに小さく設定されていることが好ましい。
可変形領域93は、中心軸1aに沿って内径が増大しその後減小する、内周面の断面形状が略菱形である可動部93aを備えうる。本実施形態では、可動部93aは1つのみであるが、同様の略菱形断面を有する複数の可動部93aが中心軸1aに沿って配置されていてもよい。可変形領域93は、可動部93aに隣接してその下側に、下側で内径が小さくなる略円錐面形状を有する案内部93bを備える。但し、案内部93bは省略しうる。
カバー90の外周面は、全体として、下側ほど外径が小さくなる形状を有している。外径は、シール領域92より可変形領域93において概して小さい。更に、可変形領域93は、略蛇腹形状に近似した内周面形状を有する可動部93aを備える。これらのために、カバー90の機械的強度は、シール領域92より可変形領域93において概して小さい。従って、可変形領域93は、シール領域92に比べて、比較的容易に上下方向に沿って圧縮変形及び伸張変形することができる。
可変形領域93の下端面97は、下方に向かって突出した凸面である。凸面97の形状は、任意であり、円錐面、球面、ドーム状の滑らかな非球面など、任意に設定することができる。
スリット95がカバー90の先端を上下方向に貫通している。図10Aに示されているように、スリット95は、その下方から見た形状が「−」(マイナス)字形状である直線状の切り込みである。穿刺針20がスリット95を貫通していない初期状態では、スリット95を形成する互いに対向する端縁(リップ)は接触していることが好ましい。スリット95は、凸面97の頂部、及び、内腔91の最深部(すなわち、案内部93bの最深部)を通る。
カバー90の最大外径を有する保持部98は、スライダ50の保持器58に嵌入される(後述する図13、図14参照)。保持部98は、シール領域92上に設けられている。
1.4.初期状態のコネクタ
図11Aは、コネクタ1の前方上側から見た斜視図、図11Bは、コネクタ1の後方上側から見た斜視図である。図12Aは、コネクタ1の前方下側から見た斜視図、図12Bは、コネクタ1の後方下側から見た斜視図である。図13は、コネクタ1の中心軸1aを含む面に沿った断面斜視図である。
図13に示されているように、カバー90は、その保持部98を保持器58に嵌入することにより、スライダ50に保持される。スライダ50は、コネクタ本体10の外筒12内に、下から挿入される。かくして、本実施形態にかかるコネクタ1が組み立てられる。図11A、図11B、図12A、図12B、図13に示すコネクタ1は、まだバイアル瓶に装着されていない。コネクタ1のこの状態を「初期状態」という。初期状態にあるコネクタ1において、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置を「初期位置」という。
図13に示されているように、穿刺針20の先端20tを含む部分が、カバー90で覆われている。図14に、これを拡大して示す。穿刺針20が、カバー90の内腔91のシール領域92内に挿入されている。カバー90の内腔91の内周面は穿刺針20の外周面に密着する。これにより、シール領域92において、内腔91の内周面と穿刺針20の外周面との間に、液密及び気密なシールが形成される。また、シール領域92において、内腔91の内周面は、穿刺針20の外周面に密着して、液体流路21と連通した横孔21aの開口(好ましくは、更に気体流路22の開口)を液密及び気密に塞ぐ。
穿刺針20の先端20tは、カバー90の内腔91の最深部にまでは達していない。可変形領域93には穿刺針20が実質的に挿入されない。このため、可変形領域93の内腔91内に、空間99が形成される。上述したように、シール領域92では内腔91の内周面が穿刺針20の外周面に密着する。また、スリット95を形成する互いに対向する端縁(リップ)は接触して閉じられれている。従って、空間99は、好ましくは液密及び気密にシールされた密閉空間である。密閉空間99は、薬液を貯留するための空間として機能することができる。
図15は、コネクタ本体10の前側の開口31を見た拡大斜視図である。スライダ50のリリースボタン52が開口31内に嵌入し、その先端がコネクタ本体10の外筒12の外周面からわずかに外向きに突出している。
開口31内に、スライダ50の前側の規制アーム62の上端の頭部63が見える。頭部63は、開口31内に突出したコネクタ本体10のガイド突起32の下端の停止端33に、上下方向に当接している。
スライダ50のリリースボタン52の側面から突出した抜け止め突起54は、開口31内に突出した停止突起35の上方に位置している。
図示されていないが、スライダ50のリリースボタン52の側面から突出した中間ストッパ53(図6A参照)は、停止突起35の薄肉部35a(図4B参照)の内側面(穿刺針20に対向する面)に対向している。
図16は、コネクタ本体10の後ろ側の開口41を見た拡大斜視図である。図15と同様に、開口41内に、スライダ50の後ろ側の規制アーム72の上端の頭部73が見える。頭部73は、開口41内に突出したコネクタ本体10のガイド突起42の下端及び停止突起45の下端に共通する停止端43に、上下方向に当接している。
スライダ50のリアアッパーフレーム78から突出した抜け止め突起55は、開口41内に突出した停止突起45の上方に位置している。
図15及び図16から理解できるように、スライダ50の規制アーム62,72の頭部63,73の上面は、コネクタ本体10の停止端33,43に上下方向に当接している。。従って、この初期状態においてスライダ50とコネクタ本体10に上下方向の圧縮力を印加しても、規制アーム62,72の頭部63,73と停止端33,43とが衝突するので、スライダ50をコネクタ本体10内に挿入することはできない。
また、スライダ50の抜け止め突起54,55の下側に、コネクタ本体10の停止突起35,45が配置されている。従って、この初期状態においてスライダ50とコネクタ本体10に上下方向の引っ張り力を印加しても、抜け止め突起54,55と停止突起35,45とが衝突するので、スライダ50をコネクタ本体10から引き出すことはできない。これにより、スライダ50とコネクタ本体10とを誤って分離してしまうという誤操作が防止される。
このように、バイアル瓶180に装着されていない初期状態では、スライダ50はコネクタ本体10に対して上下方向(穿刺針20の長手方向)に沿って上向き及び下向きのいずれにも移動することができない。
図12A、図12Bに示されているように、スライダ50の把持アーム65,75の外面から外向きに突出したロック突起67,77は、コネクタ本体10の外筒12の下端よりも下に位置している。
2.コネクタの使用方法
本実施形態のコネクタ1は、図17に示すように、医薬品用容器としてのバイアル瓶180に装着して使用される。
2.1.バイアル瓶の構成
図18は、バイアル瓶180の一例の断面図である。バイアル瓶180は、瓶本体181の上端のフランジ182で囲まれた口(開口)183に、フランジ182と略同一外径を有する栓体(ゴム栓)186を嵌入して当該口183を気密及び液密に封止した密閉容器である。フランジ182の外周面は、そのすぐ下の部分(くびれ部分)184よりも大きな外径を有する略円筒面である。従って、フランジ182とくびれ部分184との間には、両者の外径差に基づく段差が形成されている。
栓体186が瓶本体181の口183から脱落するのを防止するために、栓体186及びフランジ182にキャップ188が装着されている。キャップ188は、金属(例えばアルミニウム)、樹脂等のシートからなり、栓体186及びフランジ182に密着している。キャップ188の下端は、フランジ182の略円筒面である外周面よりも下側にまで及んでいる。キャップ188の上端は、栓体186の上面にまで及んでいる。栓体186の上面の中央の領域は、キャップ188に設けられた円形の開口188aを介して外界に露出している(図17参照)。
栓体186及びフランジ182の各外周面は、略同一直径の円筒面である。従って、これらに装着されたキャップ188の外周面188cも略円筒面である。キャップ188の外周面188cの上端を上側端縁188bといい、また、当該外周面188cの下端を下側端縁188dという。
バイアル瓶180はキャップ188を備えていなくてもよい。その場合には、上側端縁188b、下側端縁188d、外周面188cは、栓体186又はフランジ182の対応する箇所を意味する。
バイアル瓶180内には、粉末状の薬剤(図示せず)が収容されている。
2.2.コネクタの装着
コネクタ1は、バイアル瓶180に以下のようにして装着される。
図17に示すように、バイアル瓶180の栓体186に、初期状態のコネクタ1を対向させる。そして、コネクタ1のスライダ50内にキャップ188を挿入して、コネクタ1をバイアル瓶180に向かって押し付ける。スライダ50の把持アーム65,75から突出した爪66,76の先端66t,76t(図7A、図7B、図8A、図8B参照)に沿った内接円の直径は、バイアル瓶180のキャップ188の外径より小さい。従って、爪66,76の傾斜面66s,76s(図7A、図7B、図8A、図8B参照)が、キャップ188の上側端縁188b(図18参照)に衝突する。コネクタ1をバイアル瓶180に向かって押し付けるにしたがって、爪66,76が外向きに変位するように把持アーム65,75は弾性的に曲げ変形する。把持アーム65,75の外面から突出したロック突起67,77は、コネクタ本体10の外筒12の下端よりも下に位置しているので、把持アーム65,75が外向きに弾性曲げ変形しても、ロック突起67,77はコネクタ本体10に衝突しない。爪66,76の先端66t,76tは、キャップ188の上側端縁188bを通過した後、キャップ188の外周面188c(図18参照)上を摺動する。そして、爪66,76の先端66t,76tが、キャップ188の下側端縁188d(図18参照)を越えると、把持アーム65,75が弾性回復し、爪66,76はくびれ部分184に嵌入し、爪66,76とフランジ182とが係合する。かくして、コネクタ1をバイアル瓶180に装着することができる。
爪66,76が外向きに弾性的に変位可能であること、及び、爪66,76が傾斜面66s,76sを備えていることにより、上記のようにコネクタ1をバイアル瓶180に向かって単に押し込むだけで、爪66,76をフランジ182に係合させ、コネクタ1をバイアル瓶180に装着することができる。従って、コネクタ1のバイアル瓶180に対する装着の作業性は良好である。
上述したように、初期状態ではスライダ50とコネクタ本体10とは穿刺針20の長手方向における相対的移動は規制されている。従って、爪66,76をフランジ182に係合させるための下向きの圧縮力を、スライダ50ではなくコネクタ本体10に印加しても、スライダ50はコネクタ本体10に対して移動することはない。この点においても、コネクタ1のバイアル瓶180に対する装着の作業性は良好である。
図19は、爪66,76(図19では見えない)がバイアル瓶180のフランジ182に係合した状態を示した斜視断面図である。
スライダ50に保持されたカバー90の下端(先端)の凸面97が、キャップ188の開口188a内に露出した栓体186の上面に当接している。栓体186は、凸面97から下方に向かう押力を受けて、わずかに下方に変形している。穿刺針20は、まだ、カバー90及び栓体186を貫通していない。図19では、カバー90は実質的に変形していないが、カバー90の可変形領域93(図10B、図14参照)が上下方向に弾性的に圧縮変形してもよい。
栓体186やフランジ182、キャップ188の外形寸法の違いなどにより、栓体186の上面の上下方向の位置(高さ)がバイアル瓶180ごとに相違している場合がありうる。この場合には、栓体186の変形量に加えて、カバー90の可変形領域93の上下方向の圧縮変形量が適宜変化しうる。従って、寸法が異なるバイアル瓶180に対しても、カバー90の凸面97と栓体186の上面とを良好に密着させることができる。
図17から理解できるように、爪66,76がフランジ182に係合する直前に、スライダ50の規制アーム62,72の当接突起64,74の端縁64a,74a(図7A、図7B、図8A、図8B参照)がキャップ188の上側端縁188b(図18参照)に衝突する。従って、図19に示すように、爪66,76がフランジ182に係合すると、当接突起64,74が外向きに変位するように規制アーム62,72が弾性的に曲げ変形する。スライダ50の爪66,76と当接突起64,74とがキャップ188を上下方向に挟持する。従って、バイアル瓶180に対してスライダ50が位置決めされる。
当接突起64,74のキャップ188に当接する端縁64a,74a(図7A、図7B、図8A、図8B参照)は、上下方向に対して傾斜している。従って、例えば栓体186やフランジ182の外形寸法の違いなどにより、キャップ188の上側端縁188bと下側端縁188dとの距離や外周面188cの外径がバイアル瓶180ごとに相違していても、当該相違に応じて、上側端縁188bが当接する端縁64a,74a上の位置が変化し、または、規制アーム62,72の曲げ変形量が変化する。従って、コネクタ1を装着できるキャップ188の寸法の許容範囲は広い。
図20は、図19の状態にあるコネクタ1の、コネクタ本体10の後ろ側の開口41を見た拡大斜視図である。開口41内に、スライダ50の後ろ側の規制アーム72の上端の頭部73が見える。規制アーム72が弾性的に曲げ変形しているので、頭部73が外向きに変位している。図16と比較すれば理解できるように、頭部73は、コネクタ本体10のガイド突起42の下端の停止端43よりも、外側に位置している。
図示を省略するが、コネクタ本体10の前側の開口31内においても(図15参照)、規制アーム62が弾性的に曲げ変形した結果、その頭部63はコネクタ本体10のガイド突起32の下端の停止端33よりも、外側に位置している。
このように、スライダ50の爪66,76がバイアル瓶180のフランジ182に係合すると、規制アーム62,72が弾性曲げ変形して、その上端の頭部63,73とコネクタ本体10の停止端33,43との衝突が解除される。従って、この状態において、コネクタ本体10及びバイアル瓶180に、互いを接近させるような上下方向の圧縮力を印加すると、バイアル瓶180とスライダ50との相対的位置関係は一定のままで、スライダ50及びバイアル瓶180をコネクタ本体10内に進入させることができる。
2.3.穿刺針の穿刺
図19の状態から、コネクタ本体10をバイアル瓶180に向かって押し付ける。バイアル瓶180を保持したスライダ50は、コネクタ本体10内に収納されるようにコネクタ本体10に対して移動する。
スライダ50の規制アーム62,72の当接突起64,74はキャップ188の上側端縁188bに衝突している。従って、コネクタ本体10とバイアル瓶180とに上下方向の圧縮力を印加しても、バイアル瓶180とスライダ50との相対的位置関係は実質的に変わることなく、スライダ50がコネクタ本体10に対して移動する。
スライダ50がコネクタ本体10に対して移動する前、スライダ50のリリースボタン52の側面から突出した中間ストッパ53(図6A参照)は、コネクタ本体10の停止突起35の薄肉部35a(図4B参照)の内側面に対向している。スライダ50がコネクタ本体10に対して移動し始めると、スライダ50の中間ストッパ53は、コネクタ本体10の停止突起35の傾斜面35b(図4B参照)上を摺動する。この際、リリースボタン70が内向きに移動するようにフロントアッパーフレーム68がわずかに弾性的に曲げ変形する。中間ストッパ53が傾斜面35bの上端を通過して停止突起35よりも上に移動すると、フロントアッパーフレーム68が弾性回復し、リリースボタン70は、外向きにわずかに変位して初期位置に復帰する。
スライダ50がコネクタ本体10に対して移動するとき、スライダ50のリリースボタン52の両側面から突出した中間ストッパ53(図6A参照)は、コネクタ本体10の開口31内に突出した一対のガイド突起32の先端面(ガイド突起32の相手方のガイド突起32に対向する面)上を摺動する。スライダ50の規制アーム62,72の周方向に突出した頭部63,73は、コネクタ本体10の開口31,41内に突出したガイド突起32,42(図4A、図4B参照)の外側面上を摺動する。また、スライダ50の把持アーム65,75の外面から外向きに突出したロック突起67,77は、コネクタ本体10の内周面に形成された溝17内に収納される(図12A、図12B参照)。
図19の状態から、スライダ50がコネクタ本体10内に進入すると、コネクタ本体10に設けられた穿刺針20は、スライダ50に保持されたカバー90及びバイアル瓶180に対して下方に向かって相対的に移動する。穿刺針20は、カバー90の先端のスリット95に到達し、これを貫通する。続いて、バイアル瓶180の栓体186を穿刺し、これを貫通する。カバー90の内腔91に設けられた案内部93b(図10B参照)は、穿刺針20の先端20tをスリット95に案内するように機能する。
図21は、スライダ50がコネクタ本体10内に最も深く進入した状態を示した斜視図、図22はその斜視断面図である。
図22に示されているように、穿刺針20は、カバー90の先端(下端)に形成されたスリット95を貫通し、更に、栓体186をも貫通している。穿刺針20がカバー90及び栓体186を貫通する際、カバー90及び栓体186は穿刺針20から下向きの力を受ける。従って、栓体186は、穿刺針20に貫通されることにより、瓶本体181の側に大きく変形している。カバー90も、凸面97が栓体186に密着した状態を維持しながら、初期の形状(図10A、図10B、図14参照)が認められないほどに下方に向かって大きく変形している。カバー90の保持部98はスライダ50の保持器58に保持されているので、保持部98とバイアル瓶180との上下方向距離は、穿刺針20が穿刺する前(図19)と後(図22)とでは実質的に同じである。従って、栓体186の変形に追従して、カバー90の可変形領域93(図10A、図14参照)が下方に伸ばされる。可変形領域93内に形成されていた密閉空間99(図14参照)は、ほぼ完全に消失している。
穿刺針20の液体流路21及び気体流路22に連通した先端20t側の各開口は、バイアル瓶180内に露出している。この状態で、液体流路21及び横孔21aを介して、バイアル瓶180内に液体(例えば溶解液)を流入させることができ、また、バイアル瓶180内の液体(例えば薬剤を溶解して得た薬液)をバイアル瓶180外に流出させることができる。バイアル瓶180に対して液体が出入りする際に、気体流路22を介して空気がバイアル瓶180に対して出入りする。これにより、バイアル瓶180内の気圧の変動を低減し、液体の出入りを容易にする。
本発明では、図21、図22に示す、穿刺針20が栓体186を穿刺した状態を「穿刺状態」という。穿刺状態のときのスライダ50のコネクタ本体10に対する位置を「穿刺位置」という。
2.4.穿刺針の引き抜き
穿刺針20を介してバイアル瓶180に対して液体の出し入れを行った後、穿刺針20を栓体186から引き抜く。すなわち、図21、図22に示す穿刺状態から、コネクタ本体10とバイアル瓶180とを互いに引き離すように上下方向に引っ張る。
スライダ50の爪66,76がバイアル瓶180のフランジ182に係合している。従って、バイアル瓶180を下方に引っ張ると、バイアル瓶180と一緒にスライダ50もコネクタ本体10から引き出される。この過程でスライダ50とバイアル瓶180との相対的位置関係は実質的に変化しないので、カバー90とバイアル瓶180との相対的位置関係も実質的に変化しない。
スライダ50の把持アーム65,75の爪66,76とは反対側の面からロック突起67,77が突出している。ロック突起67,77は、コネクタ本体10の内周面に形成された溝17内に収納されている。ロック突起67,77が溝17の底面に衝突するために、爪66,76が外向きに変位するように把持アーム65,75は弾性的に曲げ変形することができない。従って、バイアル瓶180とコネクタ本体10とを互いに引き離すように引っ張っても、爪66,76とフランジ182との係合が外れることはない。
このように、スライダ50がコネクタ本体10内に収納されている状態では、コネクタ本体10は、ロック突起67,77を含む把持アーム65,75に衝突することによって、把持アーム65,75が外向きに曲げ変形するのを防止する。すなわち、爪66,76が形成された弾性的に曲げ変形可能な把持アーム65,75と、把持アーム65,75の曲げ変形を制限するコネクタ本体10とは、爪66,76とフランジ182との係合が解除されるのを防止する「ロック機構」を構成する。コネクタ1がロック機構を備えることにより、穿刺状態においてコネクタ本体10とバイアル瓶180とに引っ張り力を印加して、穿刺針20の引き抜き操作を安定的に行うことができる。引き抜き操作の途中で、爪66,76とフランジ182との係合が外れる誤操作は生じない。なお、本実施形態では、把持アーム65,75の外側面にロック突起67,77が突出しているが、ロック突起67,77を省略しても、コネクタ本体10が把持アーム65,75の曲げ変形を制限することによって爪66,76とフランジ182との係合が解除されるのを防止するロック機構を構成することは可能である。
スライダ50をコネクタ本体10から引き出す過程で、図23に示すように、スライダ50のリリースボタン52の両側面から突出した中間ストッパ53は、コネクタ本体10の前側の開口31内に突出した停止突起35の上端に衝突する。中間ストッパ53と停止突起35とが衝突すると、スライダ50をコネクタ本体10に対して更に下方に移動させることはできない。スライダ50をコネクタ本体10から引き出す過程において、スライダ50をコネクタ本体10から更に引き出すことができなくなる、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置を「中間停止位置」という。
図24はスライダ50が中間停止位置にあるコネクタ1の斜視図、図25はその斜視断面図である。
図24に示されているように、スライダ50が中間停止位置にあるとき、スライダ50の把持アーム65の外面から外向きに突出したロック突起67(図6A参照)は、コネクタ本体10の内周面に形成された溝17内に収納されたままである。図示を省略するが、後ろ側の把持アーム75のから突出したロック突起77(図6B参照)も、同様にコネクタ本体10の溝17内に収納されたままである。従って、上述したロック機構は、中間停止位置においても機能している。
図25に示されているように、穿刺針20は栓体186からほぼ引き抜かれている。穿刺針20の先端20tは、カバー90のスリット95(図10B参照)内に位置している。カバー90の下端の凸面97は、栓体186の上面に密着し、栓体186を下方に押圧している。栓体186は、カバー90の凸面97からの押力を受けて、栓体186の穿刺針20が穿刺されていた箇所が下方に変形している。カバー90の可変形領域93は初期状態(図14参照)に比べてわずかに下方に伸ばされている。可変形領域93内に形成されていた密閉空間99(図14参照)は、依然としてほとんど認めることができない。
スライダ50が中間停止位置にある状態(図23〜図25)において、図26に示すように、リリースボタン52を内側に向かって押し込む。図26を図23と比較すれば容易に理解できるように、リリースボタン52を押すと、リーリースボタン52を保持するフロントアッパーフレーム68が弾性変形して、リリースボタン52及びその両側面の中間ストッパ53が内向きに変位する。これにより、中間ストッパ53と停止突起35との衝突が解除される。その結果、スライダ50は、コネクタ本体10に対して更に下方に移動可能になる。
リリースボタン52を押しながらバイアル瓶180をコネクタ本体10に対して下方に引っ張ると、バイアル瓶180とこれに装着されたスライダ50とを、コネクタ本体10にから更に引き出すことができる。スライダ50の抜け止め突起54,55(図6A、図6B参照)がコネクタ本体10の停止突起35,45(図2A、図2B参照)に衝突するまで、バイアル瓶180及びスライダ50を引き出すことができる。
図27は、バイアル瓶180及びスライダ50をコネクタ本体10から最大に引き出した状態を示した斜視図、図28はその斜視断面図である。コネクタ本体10に対するバイアル瓶180及びスライダ50の相対的位置関係は、コネクタ1をバイアル瓶180に装着した直後の状態(図19)と同じである。
図27から理解できるように、スライダ50の把持アーム65,75の外面から突出したロック突起67,77(図27ではロック突起77は見えない)は、コネクタ本体10の外筒12の下端よりも下に位置している。従って、把持アーム65,75は外向きに弾性曲げ変形可能である。すなわち、爪66,76とフランジ182との係合が解除されるのを防止する「ロック機構」は、機能していない。図27、図28に示す、ロック機構が機能していない、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置を「非ロック位置」という。
図28に示されているように、穿刺針20はカバー90のシール領域92内に収納されている。穿刺針20の横孔21aの開口(好ましくは、更に気体流路22の開口)は、カバー90の内腔91(図10B参照)の内周面によって塞がれている。カバー90及び栓体186の形状は、図19と概略同じである。カバー90の下端(先端)の凸面97が栓体186に当接している。栓体186は、凸面97から下方に向かう押力を受けて、わずかに下方に変形している。カバー90の可変形領域93内には密閉空間99が復元されている。図28では、カバー90は実質的に変形していないが、カバー90の可変形領域93が上下方向に弾性的に圧縮変形してもよい。また、可変形領域93が圧縮変形することにより、密閉空間99も圧縮され、その容積が初期状態(図13、図14参照)より小さくなっていてもよい。
2.5.コネクタとバイアル瓶との分離
スライダ50が非ロック位置にある状態(図27、図28)から、バイアル瓶180をコネクタ1に対して下方に向かって引っ張る。バイアル瓶180のフランジ182にはスライダ50の爪66,76が係合している。爪66,76が形成された把持アーム65,75の外面から突出したロック突起67,77は、外筒12の下端よりも下に位置している。従って、把持アーム65,75は外向きに弾性的に曲げ変形することができる。バイアル瓶180が引っ張られることにより、爪66,76はフランジ182の下側の傾斜した円錐面に沿って外向きに移動する。
図29は、爪66,76がバイアル瓶180のキャップ188の下側端縁188dを超え、キャップ188の外周面188c上を摺動している状態を示した斜視図である。図30は、図29の状態の斜視断面図である。図30に示されているように、カバー90がバイアル瓶180の栓体186から分離している。カバー90及び栓体186は、いずれも初期状態(図13、図17参照)に復帰している。スライダ50の規制アーム62,72の当接突起64,74はキャップ188から離間している。このため、規制アーム62,72は、内向きに向かって移動し初期状態の位置に復帰している。その結果、図15及び図16に示した初期状態と同様に、規制アーム62,72の頭部63,73と停止端33,43とが上下方向に衝突する。
上述したように、スライダ50がコネクタ本体10に対して非ロック位置(図27、図28参照)に到達すると、スライダ50の抜け止め突起54,55(図6A、図6B参照)がコネクタ本体10の停止突起35,45(図2A、図2B参照)に衝突する。従って、図29、図30に示すコネクタ1とバイアル瓶180と分離作業では、スライダ50ではなくコネクタ本体10に引っ張り力を印加しても、コネクタ本体10とスライダ50との相対的位置関係を実質的に一定に維持したままでコネクタ1とバイアル瓶180とを分離するすることができる。
かくして、バイアル瓶180をコネクタ1から分離することができる。必要に応じて、コネクタ1に新しいバイアル瓶180を接続して、上記の操作を繰り返す。その後、危険な薬剤に触れた使用済みのコネクタ1は廃棄される。
3.作用
以上のように、本実施形態のコネクタ1は、穿刺針20の流路21,22と連通した先端20t側の開口を覆うカバー90を備える。穿刺針20はコネクタ本体10に設けられ、カバー90はスライダ50に保持されている。スライダ50は、コネクタ本体10とは別個の部品であり、コネクタ本体10に対して穿刺針20の長手方向に沿って移動可能である。スライダ50は、バイアル瓶180のフランジ182に係合する爪66,76を備える。従って、一旦、スライダ50の爪66,76をバイアル瓶180のフランジ182に係合させると、その後、爪66,76とフランジ182との係合が解除されるまでの間、カバー90とバイアル瓶180との相対的位置関係は実質的に一定である。このようなカバー90及びバイアル瓶180に対して穿刺針20が移動する。
上述した特許文献2のカバーは、オス部材を保持する基台に固定されていた。従って、カバーはオス部材と一体的に変位する。このようなカバーをバイアル瓶の栓体に穿刺される穿刺針に適用した場合を考える。この場合には、穿刺針を栓体から引き抜くと、これと同時にカバーは栓体から分離される。カバーが穿刺針と一緒に移動するので、例えば穿刺針を栓体から素早く引き抜くと、カバーが直ちに初期形状に復帰できない事態が起こりうる。この場合、穿刺針の流路の先端側の開口がカバーで覆われるまでの間に、穿刺針の流路の当該開口から薬液が外界に漏れ出てしまう。
これに対して、本実施形態のコネクタ1では、爪66,76がバイアル瓶180のフランジ182に係合している限り、カバー90の位置は、栓体186に対して実質的に不変である。従って、穿刺針20を栓体186から引き抜く際、カバー90は穿刺針20に対して確実に移動する。この結果、栓体186から引き抜かれた穿刺針20の液体流路21の先端20t側の開口(即ち、横孔21aの開口)を外界に露出させることなくカバー90内に収納することができる。このため、栓体186から引き抜かれた穿刺針20がカバー90で覆われないために、液体流路21の先端20t側の開口から薬液が漏れ出るという事態が起こる可能性が低減される。かくして、本発明のコネクタ1によれば、コネクタ1とバイアル瓶180とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。
上述した特許文献2のカバーの先端には、メス部材と係合可能な係合形状が設けられていた。係合形状は、オス部材がメス部材から引き抜かれ、カバー内に収納された後に、カバーがメス部材から分離することを意図して設けられている。これに対して、本実施形態では、上述したように、穿刺針20を栓体186から引き抜く際、カバー90の栓体186に対する位置は実質的に不変である。従って、本実施形態のカバー90には、特許文献2のカバーに設けられた係合形状と同様の、バイアル瓶180に係合可能な係合形状は不要である。そもそも、バイアイル瓶180は、特許文献2のカバーの係合形状が係合可能な構造を有していない。特許文献2では、仕様が異なる複数のメス部材に係合形状を係合させるためには、メス部材の仕様に応じて係合形状が異なる複数のカバーを準備する必要がある。本発明の好ましい実施形態では、カバー90には、このような係合形状が不要であるので、メス部材の仕様に応じて複数種類のカバー90を準備する必要はない。本実施形態のコネクタ1によれば、係合形状が係合する形状が設けられていないバイアル瓶180に対しても、薬液が外界に漏れ出る可能性を低減することができる。
本発明の好ましい実施形態では、爪66,76がフランジ182に係合している状態では、カバー90の先端の凸面97が栓体186の上面に当接するように構成される。従って、爪66,76がフランジ182に係合している限り、穿刺針20を栓体186から引き抜いた後であっても、カバー90の凸面97は栓体186に当接し続ける。このため、栓体186から引き抜かれた穿刺針20の液体流路21の先端20t側の開口を外界に露出させることなくカバー90内に確実に収納することができる。よって、コネクタ1とバイアル瓶180とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を更に低減することができる。
栓体186の穿刺針20が穿刺されていた孔は、穿刺針20を引き抜いた直後にはまだ完全に塞がっていない場合がある。この場合には、当該孔を通って薬液が外界に漏れ出てしまう事態が起こりうる。ところが、本発明の好ましい本実施形態では、穿刺針20を栓体186から引き抜いても、爪66,76がフランジ182に係合している限り、カバー90の凸面97が栓体186に密着し続ける。栓体186の穿刺針20が穿刺していた孔は、栓体186自身の自己復元力によって当該孔が塞がれるまでのしばらくの間、この凸面97が密着するすることによって塞がれる。従って、その後、カバー90を栓体186から分離しても、薬液が栓体186から漏れ出る可能性を低減することができる。
本発明の好ましい実施形態では、爪66,76とフランジ182との係合が解除されるのを防止する「ロック機構」が設けられる。ロック機構が機能した「ロック状態」では、バイアル瓶180のフランジ182と爪66,76との係合を解除することができない。ロック機構が機能しない「非ロック状態」では、バイアル瓶180のフランジ182に爪66,76を係合させることができ、また、フランジ182と爪66,76との係合を解除することができる。
ロック状態と非ロック状態とは、スライダ50のコネクタ本体10に対する穿刺針20の長手方向に沿った位置に応じて切り替わる。これにより、穿刺針20を栓体186に穿刺する過程において、スライダ50及びバイアル瓶180をコネクタ本体10内に進入させるのに連動して、ロック機構は非ロック状態からロック状態へ自動的に切り替わるように構成することができる。この場合、手動でロック状態へ切り替える手間が不要である。ロック機構の非ロック状態からロック状態への切り替えが、忘れられることなく、確実に行われる。例えば、穿刺状態(図22参照)において、ロック機構がロック状態に切り替わっていないと、爪66,76とフランジ182との係合を解除してしまい、バイアル瓶180をコネクタ1から分離してしまう誤操作が起こりうる。この場合、穿刺針20の液体流路21の先端20t側の開口から薬液が外界に漏れ出てしまう。これに対して、本発明の好ましい実施形態では、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置に応じてロック状態と非ロック状態とが切り替わるので、ロック機構がロック状態に切り替えられないことによって、上記の誤操作が起こる可能性がない。したがって、安全性が向上する。
ロック機構が非ロック状態になる、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置を「非ロック位置」という。本発明の好ましい実施形態では、スライダ50がコネクタ本体10から最大に引き出された状態のとき、すなわち、(1)「初期状態」(図11A、図11B、図12A、図12B、図13)、(2)バイアル瓶180に爪66,76に係合した直後の状態(図19)、及び、(3)中間停止位置を超えてスライダ50をコネクタ本体10から引き出した状態(図27、図28)、のときのスライダ50の位置が非ロック位置に該当する。スライダ50をコネクタ本体10から最大に引き出すことにより、ロック状態から非ロック状態に切り替わるので、穿刺状態(図21、図22)からバイアル瓶180をコネクタ本体10から離れるように一方向に移動させるだけで、コネクタ1とバイアル瓶180とを分離することが可能な状態に至る。従って、コネクタ1とバイアル瓶180との分離作業が簡単化され、非熟練者にも分離作業の理解が容易である。
本発明の好ましい実施形態では、スライダ50が非ロック位置にあるとき、穿刺針20の液体流路21の先端20t側の開口は、カバー90で覆われる。従って、スライダ50が非ロック位置にあるときに爪66,76とフランジ182との係合が解除されても、液体流路21の先端20t側の開口から薬液が外界に漏れ出る事態の発生を防ぐことができる。
本発明の好ましい実施形態では、穿刺状態(図21、図22)からスライダ50を非ロック位置(図27、図28)に向かってコネクタ本体10から引き出す過程において、スライダ50が非ロック位置に到達するよりも前に、「中間停止位置」が設けられている(図23〜図25)。中間停止位置では、スライダ50をコネクタ本体10から更に引き出すことができないようにスライダ50のコネクタ本体10に対する移動が規制される。作業者は、スライダが中間停止位置に至ると、リリースボタン52を押して、スライダ50のコネクタ本体10に対する移動の規制を解除しなければならない(図26参照)。そうすることによって、スライダ50を非ロック位置にまで更に移動させることができる。非ロック位置で爪66,76とフランジ182との係合が解除されると、カバー90と栓体186とが分離される。
このような好ましい実施形態では、コネクタ1をバイアル瓶180から分離する作業は、中間停止位置において一時的に停止される。中間停止位置では、穿刺針20は実質的に栓体186から引き抜かれているが、カバー90と栓体186とは密着している(図25参照)。中間停止位置においてリリースボタン52が押されて分離作業が再開するまでの時間内に、栓体186の穿刺針20が穿刺していた孔は、栓体186自身の自己復元力によって塞がれる。すなわち、中間停止位置を設けることによって、栓体186の穿刺針20が穿刺していた孔が閉じるための時間が、確実に確保される。従って、その後、カバー90を栓体186から分離したときに、薬液が栓体186から漏れ出る可能性を低減することができる。
本発明の好ましい実施形態では、カバー90は、シール領域92よりも先端側に、比較的容易に変形することができる可変形領域93を備えている。初期状態(図13、図14)では、可変形領域93内には密閉空間99が形成されている。密閉空間99は、穿刺針20が栓体186を穿刺した穿刺状態(図22)では縮小(好ましくは消失)するが、その後、スライダ50が非ロック位置に至ると復元し始め(図28)、カバー90が栓体186から分離すると初期状態に復帰する(図30)。密閉空間99が、このように、縮小又は実質的に消失した状態から初期状態の形状に復帰するまでの過程で、密閉空間99内には負圧が発生する。密閉空間99に対して上側のシール領域92ではカバー90の内腔91の内周面は穿刺針20の外周面に液密及び気密に密着している。従って、密閉空間99内の負圧は、スリット95を通じてカバー90の凸面97と栓体186との間の薬液を密閉空間99内に吸引する。例えば、栓体186を穿刺していた穿刺針20を栓体186から引き抜く際、バイアル瓶180内の薬液が穿刺針20の外周面に付着して栓体186外に漏れ出る可能性がある。また、穿刺針20を栓体186から引き抜いた直後に、穿刺針20が穿刺していた孔を通って薬液が栓体186外に漏れ出る可能性がある。仮に薬液がこのように栓体186を通過して栓体186とカバー90の凸面97との間に漏れ出たとしても、当該薬液は、密閉空間99に発生する負圧によって密閉空間99内に吸引される。従って、カバー90と栓体186とを分離した後に、カバー90の凸面97や栓体186の外面に付着する薬液の量を少なくすることができる。なお、穿刺状態(図22)において密閉空間99は完全に消失する必要はない。穿刺状態(図22)において密閉空間99は縮小するだけであっても、その後、初期状態の形状に復帰する過程で密閉空間99内に負圧が発生するので、上記と同様の効果が奏される。
カバー90の可変形領域93は、シール領域92に比べて、上下方向に沿った圧縮/伸張が比較的容易である。このため、スライダ50が初期位置、穿刺位置、中間停止位置、非ロック位置などのいずれの位置にあっても、可変形領域93は栓体186の変形に追従して変形する。従って、カバー90の凸面97と栓体186との密着状態は、爪66,76がフランジ182に係合している限り確実に維持され続ける。このため、密閉空間99内に発生する上記の負圧が意図せずに常圧に戻ることはない。また、栓体186の穿刺針20が穿刺されていた孔を通じて薬液が外界に漏れ出るのを、カバー90の凸面97が防止する。よって、可変形領域93が圧縮/伸張が比較的容易であることは、カバー90と栓体186とを分離した後に、カバー90の凸面97や栓体186の外面に付着する薬液の量を少なくするのに有利である。
バイアル瓶180によっては、例えば栓体186やフランジ182の上下方向寸法の違いなどにより、コネクタ1をバイアル瓶180に装着した時の栓体186の上面の高さが異なることがある。可変形領域93の圧縮/伸張量は、栓体186の上面のこの高さの違いに応じて適宜変化しうる。従って、寸法が種々に異なるバイアル瓶180に対しても、カバー90の凸面97と栓体186とは常に密着され、また、密閉空間99内に上記の負圧を確実に発生させることができる。よって、可変形領域93が圧縮/伸張が比較的容易であることは、寸法が種々に異なるバイアル瓶180に対しても、外界に漏れ出る薬液の量を少なくするのに有利である。
本発明の好ましい実施形態では、スライダ50に保持される保持部98は、シール領域92に設けられている。カバー90は、保持部98とシール領域92との間に、圧縮/伸張が可能な領域を実質的に備えていない。従って、シール領域92の保持部98に対する上下方向位置は、スライダ50のコネクタ本体10に対する位置に関わらず実質的に不変である。このため、穿刺針20を栓体186から引き抜く際、カバー90のシール領域92は、スライダ50及びバイアル瓶180と一体的に、穿刺針20に対して移動する。この結果、栓体186から引き抜かれた穿刺針20の液体流路21の先端20t側の開口を外界に露出させることなくカバー90内に収納し、シール領域92で液体流路21の開口を塞ぐことができる。このため、コネクタ1とバイアル瓶180とを分離した後に、薬液が外界に漏れ出る可能性を更に低減することができる。
また、保持部98がシール領域92に設けられているので、爪66,76をフランジ182に係合した状態では、シール領域92よりも先端側に配された可変形領域93が選択的に変形して、カバー90の凸面97と栓体186とが密着する。このため、カバー90と栓体186とを分離した後に、カバー90の凸面97や栓体186の外面に付着する薬液の量を少なくすることができる。
カバー90の保持部98は保持器58で直径方向に圧縮されてもよい。本発明の好ましい実施形態では、保持部98はシール領域92の外周面上に設けられているので、直径方向の圧縮力は、シール領域92でカバー90と穿刺針20との密着性を向上させる。これは、密閉空間99内の負圧の発生に有利である。従って、カバー90と栓体186とを分離した後に、カバー90の凸面97や栓体186の外面に付着する薬液の量を更に少なくすることができる。また、液体流路21の先端20t側の開口の封止性の向上に有利である。従って、薬液の外界への漏れ出しを更に少なくすることができる。
4.各種変更実施形態
上記の実施形態は、例示にすぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
例えば、穿刺針20の形状は上記に限定されず、適宜変更しうる。横孔21aは、中心軸1aに対して直角に(すなわち、半径方向に)延びている必要はなく、中心軸1aに対して傾斜する直線に沿って延びていてもよい。気体流路22にも、横孔21aと同様の横孔を形成してもよい。横孔21aを省略し、気体流路22と同様に、液体流路21が中心軸1aに沿って延び、円錐部25の外周面で開口していてもよい。この場合も、初期状態では、液体流路21の開口がカバー90のシール領域92において内腔91の内周面で塞がれるように、内腔91の内周面の形状が設定されていることが好ましい。
リリースボタン52を、スライダ50のリアアッパーフレーム78にも設けることができる。即ち、前側の開口31,61及びその近傍の構成と、後ろ側の開口41,61及びその近傍の構成とを、概略同じにすることができる。この場合、スライダ50が中間停止位置にあるときに前後のリリースボタンを同時に押すことにより、スライダ50を非ロック位置まで更に移動させることが可能になる。
コネクタ本体10において、後ろ側の開口41を省略してもよい。この場合、スライダ50の後ろ側の規制アーム72を省略することができる。
フランジ182に係合する爪の数は、上記の実施形態のように4つに限定されない。これより多くても、あるいは、少なくてもよい。
スライダ50の中間停止位置を省略し、スライダ50を穿刺位置から非ロック位置まで、スライダ50のコネクタ本体10に対する移動を途中で停止させることなく移動可能であってもよい。
ロック機構を省略してもよい。例えば、把持アーム65,75の曲げ強度を適切に設定することにより、ロック機構がなくても、爪66,76とバイアル瓶180のフランジ182との係合が意図せずに解除される可能性を低減することは可能である。
カバー90の形状も適宜変更しうる。可変形領域93に形成される可動部93aの形状は、任意である。可変形領域93は、圧縮/伸張が容易になるように、その外径及び内径が上下方向に沿って周期的に変化する蛇腹形状を有していてもよい。保持部98は、カバー90の最大外径を有している必要はなく、スライダ50に安定的に保持することができるような任意の形状を有しうる。
上記の実施形態のコネクタ1は、特許文献1の「第2コネクタ200」(特許文献1の図11〜図14参照)と置き換えて、特許文献1の閉鎖系デバイスを構成することができる。但し、本発明のコネクタは、特許文献1の閉鎖系デバイス以外にも適用することができる。コネクタ本体10の天板11よりも上側の構成は、任意に変更することができる。
本発明の利用分野は、制限はないが、危険な薬剤を収容した容器に接続されるコネクタとして好ましく利用することができる。
1 コネクタ(医薬品容器用コネクタ)
1a コネクタの中心軸
10 コネクタ本体
20 穿刺針
20t 穿刺針の先端
21 液体流路
21a 液体流路の横孔
22 気体流路
50 スライダ
52 リリースボタン
62,72 規制アーム(スライド規制アーム)
64,74 当接突起
64a,74a 当接突起の端縁
65,75 把持アーム
66,76 爪
90 カバー
92 シール領域
93 可変形領域
95 スリット
97 カバーの先端(凸面)
98 保持部
99 密閉空間
180 バイアル瓶(容器)
182 フランジ
183 バイアル瓶の口
186 栓体
188b 栓体(キャップ)の上側端縁

Claims (20)

  1. 容器の口を封止する栓体に穿刺することができる穿刺針と、前記穿刺針に形成された液体が流れる流路の先端側の開口を覆うカバーとを備え、前記穿刺針は前記カバーを貫通して前記栓体を穿刺するように構成された医薬品容器用コネクタであって、
    前記穿刺針はコネクタ本体に設けられており、
    前記カバーはスライダに保持されており、
    前記スライダは、前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動可能であり、
    前記スライダは、前記容器の口のフランジに係合可能な爪を備えることを特徴とする医薬品容器用コネクタ。
  2. 前記爪が前記容器の前記フランジに係合している状態では、前記カバーの先端が前記栓体に当接するように構成されている請求項1に記載の医薬品容器用コネクタ。
  3. 前記爪と前記フランジとの係合が解除されるのを防止するロック機構を備える請求項1又は2に記載の医薬品容器用コネクタ。
  4. 前記ロック機構は、前記爪が形成された、外向きに弾性的に曲げ変形が可能な把持アームと、前記把持アームの曲げ変形を制限する前記コネクタ本体とを含む請求項3に記載の医薬品容器用コネクタ。
  5. 前記ロック機構によるロック状態及び非ロック状態は、前記スライダの前記コネクタ本体に対する前記穿刺針の長手方向に沿った位置に応じて切り替えることができる請求項3又は4に記載の医薬品容器用コネクタ。
  6. 前記スライダが前記コネクタ本体から最大に引き出されたとき、前記ロック機構は機能しない請求項3〜5のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  7. 前記ロック機構が機能しない非ロック位置に向かって前記スライダを前記コネクタ本体から引き出す過程において、前記スライダが前記非ロック位置に到達するより前に、前記スライダを前記コネクタ本体から更に引き出すことができないように前記スライダの前記コネクタ本体に対する移動が規制される中間停止位置が設けられている請求項3〜6のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  8. 前記中間停止位置において前記スライダの前記コネクタ本体に対する移動の規制を解除するリリースボタンが設けられている請求項7に記載の医薬品容器用コネクタ。
  9. 前記ロック機構が機能しない非ロック位置に前記スライダが位置するとき、前記穿刺針の前記開口は前記カバーで覆われる請求項3〜8のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  10. 前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することができない請求項1〜9のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  11. 前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているとき、前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動可能である請求項1〜10のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  12. 前記スライダは、前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているときに前記栓体の上側端縁に当接する当接突起と、前記当接突起が形成された、外向きに弾性的に曲げ変形が可能なスライド規制アームとを備える請求項1〜11のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  13. 前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記スライド規制アームは前記コネクタ本体に衝突し、これにより前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することが規制され、
    前記爪が前記容器の前記フランジに係合しているとき、前記スライド規制アームは前記コネクタ本体に衝突しない位置に弾性的に曲げ変形し、これにより前記スライダは前記コネクタ本体に対して前記穿刺針の長手方向に沿って移動することが可能になる請求項12に記載の医薬品容器用コネクタ。
  14. 前記当接突起の前記栓体に当接する端縁は、前記穿刺針の長手方向に対して傾斜している請求項12又は13に記載の医薬品容器用コネクタ。
  15. 前記カバーは、その先端に前記穿刺針が貫通することができるスリットと、前記穿刺針の外周面に密着するシール領域と、前記シール領域に対して前記先端側に配置された可変形領域とを備え、
    前記可変形領域は、前記シール領域に比べて、前記穿刺針の長手方向に沿った圧縮変形及び伸張変形が容易である請求項1〜14のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  16. 前記爪が前記容器の前記フランジに係合していないとき、前記可変領域内に、密閉された空間が形成される請求項15に記載の医薬品容器用コネクタ。
  17. 前記穿刺針が前記栓体を貫通しているとき、前記密閉された空間は縮小又は消失する請求項16に記載の医薬品容器用コネクタ。
  18. 前記カバーは、前記カバーを前記スライダに保持するための保持部を備え、
    前記保持部は、前記シール領域に設けられている請求項15〜17のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  19. 前記カバーの前記穿刺針によって貫通される先端には、前記栓体に向かって突出した凸面が形成されている請求項1〜18のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
  20. 前記カバーには、前記容器と係合する係合形状が設けられていない請求項1〜19のいずれかに記載の医薬品容器用コネクタ。
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