上記の本発明のオスコネクタは、前記スライダを前記基端側位置から前記先端側位置に向かって移動させると、前記スライディングアームが前記メスコネクタを先端側へ移動させるように構成されていてもよい。かかる構成によれば、メスコネクタに手を触れることなく、メスコネクタを先端側へ移動させることができる。これは、オスコネクタからメスコネクタを分離する作業を簡単且つ迅速に行うのに有利である。
上記の本発明のオスコネクタにおいて、前記スライダが前記先端側位置にある状態で前記メスコネクタを前記ハウジングに挿入すると、前記メスコネクタは、前記スライディングアームに当接し、前記スライダを前記基端側位置に向かって移動させてもよい。この場合、前記スライダが前記基端側位置に到達したとき、前記係止爪は前記メスコネクタに係合してもよい。かかる構成によれば、スライダに手を触れることなく、オスコネクタにメスコネクタを接続することができる。オスコネクタにメスコネクタを接続する過程で、ハウジング及びメスコネクタを持ち替える必要がないので、オスコネクタにメスコネクタを接続する作業を簡単且つ迅速に行うことができる。
前記スライダが前記先端側位置から前記基端側位置へ移動する過程で、前記スライディングアームが前記ロックレバーを前記オス部材から離れる向きに変位させてもよい。かかる構成は、ロックレバーに設けられた係止爪がメスコネクタの外周面に存在するかも知れない凹凸に引っ掛かる可能性を低減するのに有利である。
前記スライディングアームは、前記メスコネクタに対して、前記オス部材の長手方向に平行な方向に当接することができるように構成されていてもよい。かかる構成によれば、オスコネクタに対してメスコネクタを接続及び分離する際に、スライダ及びメスコネクタをハウジングに対して一体的に移動させることができる。これは、オスコネクタに対するメスコネクタの接続及び分離の作業性の向上に有利である。
上記の本発明のオスコネクタは、前記基端側位置にある前記スライダが前記先端側位置に向かって移動するのを防止するスライダ移動防止機構を更に備えてもよい。かかる構成によれば、例えば患者の誤操作等によってスライダが基端側位置から先端側位置に向かって移動してしまうという不測の事態が発生する可能性が低減される。これは、メスコネクタに対する係合爪の係合が意図せずに解除され、更にはオスコネクタとメスコネクタとが意図せずに分離してしまうという事態が発生する可能性を低減するのに有利である。
前記スライダが、前記基端側位置に到達したとき、前記スライダ移動防止機構が自動的に有効化されてもよい。これは、スライダ移動防止機構を有効化するのを忘れてしまうという誤操作が起こるのを防止するのに有利である。
前記スライダ移動防止機構を無効化するためのリリースボタンが前記スライダに設けられていてもよい。リリースボタンがスライダに設けられるので、リリースボタンを押してスライダ移動防止機構を無効化するのと同時に、スライダを把持することができる。これは、オスコネクタからメスコネクタを分離する作業を簡単且つ迅速に行うのに有利である。
上記の本発明のオスコネクタは、前記リリースボタンを前記オスコネクタの中心軸に向かって押すと、前記スライダ移動防止機構を無効化することができるように構成されていてもよい。これは、スライダ移動防止機構を無効化するための操作と、スライダを把持する動作とを同時に行うのに有利である。また、スライダ移動防止機構を無効化するためにリリースボタンに加える力の向きと、係止爪とメスコネクタとの係合を解除するためにスライダを移動させる向きとが異なるので、リリースボタンに意図しない力が加えられたとしても、係止爪とメスコネクタとの係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性は低い。
前記オスコネクタの中心軸と前記リリースボタンとを含む面に垂直な方向に沿って見たとき、前記リリースボタンは、前記オスコネクタの中心軸から最も離間した前記オスコネクタの箇所よりも前記オスコネクタの中心軸側に配置されていてもよい。かかる構成は、オスコネクタが周囲の物体に衝突した場合や患者の体の下敷きになった場合などにおいて外力がオスコネクタに加えられたとしても、そのような外力がリリースボタンに加えられる可能性を低減するのに有利である。従って、スライダ移動防止機構が意図せずに無効化されてしまう可能性を低減することができる。
前記スライディングアームは、前記ロックレバーに対して前記オス部材側に、前記ロックレバーに対向して配置されていてもよい。前記ロックレバー及び前記スライディングアームのうちの少なくとも一方の他方に対向する面に、前記オス部材の長手方向に対して傾斜した傾斜面が設けられていてもよい。前記スライダが前記ハウジングに対して前記オス部材の長手方向に沿って移動したとき、前記ロックレバー及び前記スライディングアームのうちの前記他方が前記傾斜面上を摺動することによって、前記ロックレバーが前記オス部材から離れる向きに変位してもよい。これは、簡単な構成で、先端側位置と基端側位置との間でのスライダの移動に連動して、ロックレバーを半径方向に変位させるのに有利である。
前記オス部材の長手方向に沿って見た前記オスコネクタの平面視形状は略楕円形であってもよい。好ましくは、略楕円形の長軸は、オス部材とロックレバーとが対向する方向に一致する。また、前記オスコネクタの外寸法は、前記オス部材の長手方向に垂直であり且つ前記オス部材と前記ロックレバーとが対向する方向に垂直である方向において最小であってもよい。これらの構成によれば、患者の体に接するオスコネクタの面積が大きくなるので、患者がオスコネクタによって感じる痛みを軽減するのに有利である。また、オスコネクタが患者の皮膚や軟部組織を持続的に圧迫されることによって褥瘡を発生させる可能性を低減するのに有利である。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の各図に示された各部材を変更または省略し得る。本発明の実施形態を示す図面において、同一又は対応する部材には同じ符号が付してあり、そのような部材については、重複する説明を省略する。
1.オスコネクタの構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるオスコネクタ1の分解斜視図である。オスコネクタ1は、ハウジング10、スライダ50、及び、カバー80を備える。以下の説明の便宜のため、図示したようなXYZ直交座標系を設定する。Z軸は、ハウジング10のオスルアー11(後述する図2A参照)の長手方向と平行である。Z軸方向を「上下方向」、Z軸に直交する平面(XY面)を「水平面」、水平面に平行な方向を「水平方向」という。上下方向において、Z軸の矢印が向いた側を「上側」または「先端側」といい、これと反対側を「下側」または「基端側」という。但し、「上下方向」、「水平方向」、「上側」、「下側」は、オスコネクタ1の使用時の向きを意味するものではない。
ハウジング10を説明する。図2Aはハウジング10の上方から見た斜視図、図2Bはハウジング10の下方から見た斜視図である。図2Cは、中心軸1aを含む一平面に沿って切断されたハウジング10の上方から見た断面斜視図、図2Dは、中心軸1aを含む一平面に沿って切断されたハウジング10の下方から見た断面斜視図である。図2Eは、中心軸1aを含む別の平面に沿って切断されたハウジング10の上方から見た断面斜視図である。中心軸1aは、Z軸と平行であり、オスコネクタ1、及びハウジング10を含むオスコネクタ1を構成する全ての部材(図1参照)に共通する中心軸である。中心軸1aに直交する方向を「半径方向」または「径方向」といい、中心軸1aの回りを回転する方向を「周方向」という。半径方向において、中心軸1a側を「内側」、中心軸1aとは反対側を「外側」という。
ハウジング10は、オス部材としてのオスルアー11を備える。オスルアー11は、中心軸1aと同軸に、中心軸1aに沿って延びた棒状の部材である。オスルアー11の外周面(側面)は、本実施形態では、先端11aに近づくにしたがって外径が小さくなるテーパ面(円錐面)である。但し、オスルアー11の外周面の形状はこれに限定されず、任意に選択することができる。例えば、オスルアー11の外周面は、外径が中心軸1a方向(即ち、オスルアー11の長手方向)において一定である円筒面であってもよい。あるいは、オスルアー11の外周面は、テーパ面と円筒面との組み合わせや、外径が中心軸1a方向において任意に変化する曲面などであってもよい。
図2C〜図2Eに示されているように、オスルアー11内には、その長手方向に沿って流路12が形成されている。流路12は、オスルアー11の先端11aには開口していない。オスルアー11の外周面の先端11aの近傍の位置に、流路12と連通する2つの横孔13が形成されている。各横孔13は、半径方向にオスルアー11を貫通し、オスルアー11の外周面上で開口している。なお、横孔13の数は2つである必要はなく、1つ又は3つ以上であってもよい。
オスルアー11の基端からベース15が外向きに突出している。ベース15は、水平面に平行な平板状の部材である。
筒状部17がベース15から下方に向かって突出している。筒状部17は、オスルアー11と同軸の中空の略円筒形状を有し、オスルアー11の流路12と連通している。筒状部17の内周面17aは、ベース15から離れるにしたがって内径が大きくなるメステーパ面(例えば6%テーパ面)である。筒状部17の外周面には、螺状突起(または雄ネジ)18が設けられている。なお、筒状部17の構成は、本実施形態に限定されない。オスコネクタ1を、液体が流れる流路を構成するチューブに接続することができる任意の構成が筒状部17に設けられうる。
図2A及び図2Bに最もよく示されているように、フード20が、ベース15の外側端縁から、オスルアー11と同じ側に立設されている。フード20は、オスルアー11を挟んでY軸方向に対向する一対のフード壁21と、一対のフード壁21の上端をつなぐ連結環22とを備える。連結環22は、中心軸1aと同軸の円形状を有する。連結環22で囲まれた円形の領域が、フード20の開口を構成する。フード20の上端(即ち、連結環22)は、オスルアー11の先端11aより高い位置にある。なお、フード20の構成は、本実施形態に限定されない。例えば、一対のフード壁21をつなぐ連結環22を省略してもよい。
一対のロックレバー30が、オスルアー11を挟んでX軸方向に対向している。ロックレバー30は、中心軸1aと略平行に延びている。ロックレバー30は、ベース15の外周端縁に片持ち支持されている。ロックレバー30は、その上端(自由端)がオスルアー11に対して接離する方向(即ち、半径方向)に弾性的に変位することができる。ロックレバー30のこのような弾性的な変位は、ロックレバー30とベース15との接続部分(即ち、ロックレバー30の固定端)またはその近傍のベース15またはロックレバー30の部分が弾性的に曲げ変形することにより可能となる。
ロックレバー30の上端は、フード20の連結環22より下側に位置し、且つ、連結環22から離間している。ロックレバー30とフード壁21とは周方向に離間している。
図2C及び図2Dに示されているように、ロックレバー30の上端又はその近傍に、オスルアー11に向かって突出した係止爪39が設けられている。係止爪39は、上方を向いた傾斜面39aを備える。傾斜面39aは、中心軸1aに近づくにしたがってベース15に近づくように傾斜している。
係止爪39よりも下側の、ロックレバー30の内側面(オスルアー11に向いた面)に、オスルアー11に向かって突出した第1突起31、第2突起32、及び第3突起33が、上から下へこの順に設けられている。
オスルアー11に対して第1突起31に比べて相対的に後退した第1及び第2凹部34a,34bが、第1突起31に上下方向に隣接して設けられている。第1突起31は、その頂部(オスルアー11に最も接近した部分)31cに対して上側(即ち、第1凹部34a側)に第1傾斜面31aを備え、その頂部31cに対して下側(即ち、第2凹部34b側)に第2傾斜面31bを備える。第1傾斜面31aは、頂部31cから第1凹部34aに向かうにしたがってオスルアー11から離れるように傾斜しており、第2傾斜面31bは、頂部31cから第2凹部34bに向かうにしたがってオスルアー11から離れるように傾斜している。
第3突起33に上側に隣接して、オスルアー11に対して第3突起33に比べて相対的に後退した第3凹部34cが設けられている。第3突起33は、その頂部(オスルアー11に最も接近した部分)33cに対して上側(第3凹部34c側)に傾斜面(第3傾斜面)33aを備え、その頂部33cに対して下側に停止面33bを備える。第3傾斜面33aは、頂部33cから第3凹部34cに向かうにしたがってオスルアー11から離れるように傾斜している。停止面33bは、水平面に略平行な平面である。
傾斜面31a,31b,33aは、中心軸1aからの距離が、中心軸1a方向において漸増又は漸減するような面であればよく、正確な平面であってもよいし、曲面であってもよい。
第2突起32は、第2凹部34bと第3凹部34cとの間に、これらに隣接して設けられている。第2突起32と第2凹部34bとの境界部分、及び、第2突起32と第3凹部34cとの境界部分には、傾斜面31a,31b,33aのような傾斜面ではなく、水平面に略平行な平面が設けられている。
スライダ50を説明する。図3Aはスライダ50の上方から見た斜視図、図3Bはスライダ50の下方から見た斜視図、図3Cはスライダの平面図である。図3Dは、中心軸1aを含む一平面に沿って切断されたスライダ50の上方から見た断面斜視図、図3Eは、図3Cの3E−3E線を含む平面に沿って切断されたスライダ50の断面図である。3E−3E線は、中心軸1aからY軸方向にわずかに離間した位置を通る。
スライダ50は、略円環状のベース環51を備える。ベース環51に、一対のスライディングアーム60、一対のロック部材70、及び、4本の遮蔽部材53が設けられている。
図3A及び図3Dに示されているように、一対のスライディングアーム60は、中心軸1aを挟んで、X軸方向に対向している。スライディングアーム60は、ベース環51から、中心軸1aと略平行に上方に向かって延びている。スライディングアーム60は、ベース環51に片持ち支持されているが、ハウジング10の片持ち支持されたロックレバー30とは異なり、実質的に剛体とみなすことができる。即ち、スライディングアーム60を、その上端が中心軸1aに接離する方向(即ち、半径方向)に変位させることは実施的に困難である。スライディングアーム60の上端又はその近傍に、スライディング突起61及び保持突起62が設けられている。スライディング突起61は、スライディングアーム60の外側面(中心軸1aとは反対側に向いた面)から、半径方向に沿って外向きに突出している。保持突起62は、スライディングアーム60の内側面(中心軸1aに向いた面)から、中心軸1aに向かって突出している。保持突起62は、上方を向いた当接面62aを備える。当接面62aは、水平面に略平行な平面である。
図3A及び図3Dに示されているように、ロック部材70は、略「U」字の平面視形状を有するリリースボタン71と、リリースボタン71の上端から上方に向かって延びた2本のロックアーム72と、ロックアーム72の上端又はその近傍に設けられたロック突起73とを備える。リリースボタン71の外側面(スライディングアーム60とは反対側を向いた面)は、押圧面71aを構成する。ロックアーム72は、中心軸1aと平行な棒状の部材である。ロック突起73は、ロックアーム72の外側面(中心軸1aとは反対側に向いた面)から、半径方向に沿って外向きに突出している。ロック突起73は、上方を向いたロック面73aを備える。ロック面73aは、水平面に略平行な平面である。
図3C及び図3Eに示されているように、ロック部材70は、スライディングアーム60から離間して、スライディングアーム60に対して半径方向の外側に配されている。図3Eに示されているように、ロック部材70は、その下端(固定端)がベース環51に固定された片持ち支持構造を有する。リリースボタン71は、片持ち支持されたロック部材70の固定端より上側に位置する。リリースボタン71の押圧面71aを半径方向の内向きに押すと、ロック突起73が中心軸1aに近づく向きにロック部材70を弾性的に変位させることができる。ロック部材70がこのように変位しても、スライディングアーム60は変位しない。
図3Aに示されているように、遮蔽部材53は、ベース環51から、中心軸1aと略平行に上方に向かって延びている。図3Cに示されているように、2つの遮蔽部材53が1つのスライディングアーム60をY軸方向に挟むように、4本の遮蔽部材53が配置されている。
ハウジング10及びスライダ50は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリプロピレン、ポリアセタール、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができる。ハウジング10及びスライダ50はそれぞれ、このような樹脂材料を用いて射出成形法等により一部品として一体的に作成することができる。
カバー80を説明する。図4Aはカバー80の上方から見た斜視図、図4Bはカバー80の斜視断面図である。
カバー80は、特許文献5に記載されたカバーと概
略同じであり、略筒形状を有する外周壁81と、外周壁81の上端に設けられた頭部85と、外周壁81の下端に外方向に突出するように設けられた基部89とを備える。頭部85には、外周壁81の内部空間と連通したキャビティ86が形成されている。キャビティ86の内周面は、円筒面、または下方(外周壁81)に向かって内径がわずかに増加するテーパ面である。キャビティ86の最深部には頭部85を上下方向に貫通するスリット87が形成されている。図4Aに示されているように、スリット87は、「−」(マイナス)字状の平面視形状を有する直線状の切り込みである。初期状態では、スリット87が液密及び気密に封止されるように、スリット87を形成する互いに対向する端縁は接触している。頭部85の外表面の先端には、ドーム状に突出した凸部88が設けられている。スリット87は、凸部88の最も突出した部分(頂部)を横切るように設けられている。
カバー80は可撓性(ゴム弾性)を有する材料(例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴム材料や、熱可塑性エラストマー等)で一体的に作成されている。カバー80に上下方向の圧縮力が印加されると、外周壁81が、その上下方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形する。
オスコネクタ1は、図1に示すように、スライダ50を、ハウジング10に、その下側から装着し、カバー80を、スライダ50のフード20内に挿入して組立られる。
図5Aはオスコネクタ1の上方から見た斜視図、図5Bはオスコネクタ1の下方から見た斜視図である。図5Cはオスコネクタ1の正面図、図5Dはオスコネクタ1の側面図、図5Eはオスコネクタ1の平面図である。図5Fは、図5Eの5F−5F線及び中心軸1aを含む面で切断されたオスコネクタ1の断面図である。
図5Aに示されているように、スライダ50の4本の遮蔽部材53は、ハウジング10の、周方向に隣り合うフード壁21とロックレバー30との間に挿入される。遮蔽部材53は、フード壁21とロックレバー30との間の隙間を介してハウジング10内にアクセスするのを困難にしている。
図5Fに示されているように、スライダ50のスライディングアーム60は、ハウジング10のロックレバー30に対してオスルアー11側(即ち、内側)に、ロックレバー30に半径方向に対向して配置されている。スライディングアーム60に設けられたスライディング突起61は、ロックレバー30に設けられた第1凹部34a内に嵌入している。スライディング突起61は、第1傾斜面31aに上下方向に対向している。
スライダ50のロック突起73は、ハウジング10の第3凹部34c内に嵌入している。ロック突起73は、第2突起32及び第3傾斜面33aに上下方向に対向している。
スライディングアーム60に設けられた保持突起62は、ロックレバー30に設けられた係止爪39よりも下側に位置している。
カバー80がオスルアー11を覆っている。カバー80のキャビティ86に、オスルアー11の先端が挿入されている。キャビティ86の内周面は、オスルアー11の外周面に密着し、オスルアー11に設けられた横孔13を液密及び気密に封止している。カバー80の基部89は、スライダ10のベース15に密着し固定されている。基部89をベース15に固定する方法は、制限はなく、例えば、接着剤を用いる方法、溶着する方法、環状の治具(図示せず)を、基部89を治具とベース15との間挟んだ状態でハウジング10に固定する方法などを用いうる。
ハウジング10の筒状部17は、スライダ50のベース環51内に挿入されている(図5B参照)。ベース環51は、ハウジング10のベース15(または、フード壁21の下端)に上下方向に当接している。
図5A〜図5Eに示されているように、ハウジング10及びスライダ50によってオスコネクタ1の滑らかな外表面が形成されている。
図5Cに示されているように、Y軸に沿って見たオスコネクタ1の輪郭形状は、上下方向に平行な長軸を有する楕円の、長軸方向の両端を切断した形状に略一致する。ロックレバー30の外面がアーチ状に膨らんだ滑らかな曲線を形成し、当該曲線の上方への延長線上にフード20の連結環22の外面が配置されている。スライダ50のリリースボタン71の押圧面71aは、ロックレバー30の外面が形成する滑らかな曲線の延長線よりも、半径方向の外側にわずかに突出している。但し、オスコネクタ1のうち、半径方向の外側に最も大きく突出しているのはロックレバー30である。押圧面71aは、半径方向の外側に最も大きく突出したロックレバー30の部分よりも半径方向の内側に後退している。
図5Dに示されているように、X軸に沿って見たオスコネクタ1の輪郭形状は、上下方向に沿った長辺を有する長方形に略一致する。ハウジング10のフード20と、スライダ50のベース環51とが、当該長方形の長辺を構成している。
図5Eに示されているように、オスコネクタ1の平面視形状は、楕円形に略一致する。楕円形の長軸1bは、X軸方向(ロックレバー30が対向する方向)に平行であり、楕円形の短軸1cは、Y軸方向(フード壁21が対向する方向)に平行である。当該楕円形は、ハウジング10のフード壁21及びロックレバー30と、フード壁21及びロックレバー30の間の隙間を補完するスライダ50の遮蔽部材53とで構成される。フード20の連結環22が規定する開口内に、ロックレバー30の係止爪39、及び、スライディングアーム60の保持突起62が突出している。
本発明では、図5A〜図5Fに示したオスコネクタ1の状態を「初期状態」という。また、初期状態でのハウジング10に対するスライダ50の位置(特に中心軸1a方向の位置)を「先端側位置」という。スライダ50が先端側位置にあるとき、スライダ50のスライディング突起61はハウジング10の第1傾斜面31aに上下方向に対向し(図5F参照)、スライダ50のロック突起73はハウジング10の第2突起32及び第3傾斜面33aに上下方向に対向し(図5F参照)、また、スライダ50のベース環51はハウジング10のベース15(または、フード壁21の下端)に上下方向に対向している(図5B参照)。このため、スライダ50は、ハウジング10に対して上下方向に移動することができない。
オスコネクタ1は、中心軸1aに対して2回回転対称(180度回転させると回転前の状態と重なる)である。
2.オスコネクタの使用方法
オスコネクタ1は、メスコネクタに接続されて、液体が流れる流路を構成するために使用される。流路の構成や、流路を流れる液体の種類は、制限はなく、任意である。図6は、オスコネクタ1を用いた、輸液を行うための輸液ラインの一例を示す。
患者に投与される輸液は輸液容器900に貯留される。輸液セット910は、輸液を流すための柔軟なチューブ911と、チューブ911の上流側端に設けられたオスコネクタ912(例えば特許文献6参照)と、チューブ911の下流側端に設けられたネジロック型コネクタ918とを有する。チューブ911上には、輸液の流れを可視化するための点滴筒914、チューブ911内を流れる輸液の流量を調整するためのクレンメ916が設けられている。図示を省略するが、チューブ911上に、輸液を濾過するためのフィルタが設けられている場合もある。輸液容器900のポート901に、アダプタ905(例えば特許文献7参照)を介してオスコネクタ912が接続される。ネジロック型コネクタ918は、オスコネクタ1の筒状部17(図5B参照)に接続される。コネクタ918は、先細のオステーパ面を備えたオスルアーと、内周面に雌ネジを備え且つオスルアーの回りを回転可能なロックナットとを備える(例えば、特許文献8、特許文献9の図8〜図11参照)。コネクタ918のオスルアーがオスコネクタ1の筒状部17に挿入され、ロックナットの雌ネジが筒状部17に設けられた螺状突起18に螺合される。
留置針装置920(例えば、特許文献1,2参照)の針921が患者の静脈に穿刺される。針921に連通した柔軟なチューブ923の上流側端に、メスコネクタ950が設けられている。チューブ923には、チューブ923内の流路を開閉するためのクランプ925が設けられている。
輸液を行う場合、オスコネクタ1にメスコネクタ950が接続されて、輸液容器900から留置針装置920までをつなぐ流路(輸液ライン)が形成される。オスコネクタ1とメスコネクタ950とを接続する方法を説明する。
図7Aは、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続する直前の状態を示した斜視図、図7Bはその断面図である。図面を簡単化するために、オスコネクタ1及びメスコネクタ950以外の部材の図示を省略している。オスコネクタ1は、初期状態(図5A〜図5F参照)にある。
メスコネクタ950は、自閉式の弁体951(「セプタム」と呼ばれることがある)を備えたメスコネクタである。弁体951は、ゴム弾性を有する軟質の材料(例えば、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のゴム材料や、熱可塑性エラストマー等)からなる円形の薄板状物であり、その中央に、弁体951を厚さ方向に貫通するスリット(切り込み)952が形成されている。図7Bに示されているように、弁体951は、コネクタ本体960の中空の略円筒形状を有する台座961の先端に、その開口を塞ぐように当接され、更にキャップ955が被せられる。キャップ955は、円形の天板956と、天板956の外周端縁から延びた円筒形状の周壁958とを備える。コネクタ本体960の、台座961と連通した接続管965に、チューブ923(図6参照)が接続される。
図7Aに示されているように、台座961の外周面に設けられた突起962が、周壁958を貫通するように設けられた孔959に嵌入することによって、キャップ955はコネクタ本体960に固定される。天板956の中央には円形の開口(貫通孔)957が設けられており、当該開口957を介して、スリット952を含む弁体951の中央の領域が外界に露出されている。コネクタ本体960の外周面から、周方向に連続する環状突起963が、半径方向に沿って外向きに突出している。環状突起963の外周面とキャップ955の周壁958の外周面とは連続して単一の円筒面を構成する。
鋭利な先端を有しない筒状のオスルアー(例えばオスコネクタ1のオスルアー11)を弁体951のスリット952に向かって押し込むと、オスルアーは弁体951を変形させて、スリット952を貫通することができる。これにより、オスルアーとメスコネクタ950とが連通する。その後、オスルアーを弁体951から引き抜くと、弁体951は直ちに初期状態に弾性復帰し、スリット952は閉じられる。オスルアーがスリット952を貫通していないとき、スリット952は液密及び気密に閉じられる。オスルアーは、弁体951に、何度でも繰り返し挿抜することができる。このようなリシール性を有する弁体951を備えたメスコネクタは「ニードルレスポート」とも呼ばれ、一般に公知である(例えば特許文献8,9参照)。
一方の手でオスコネクタ1のハウジング10(特に、そのフード壁21)を保持し、他方の手でメスコネクタ950を保持し、図7A及び図7Bに示すように、オスコネクタ1とメスコネクタ950とを対向させる。そして、メスコネクタ950をオスコネクタ1のフード20の連結環22内に挿入する。好ましくは、連結環22の内径は、メスコネクタ950の周壁958及び環状突起963の外径と同じかこれよりわずかに大きい。このため、連結環22は、連結環22に挿入されたメスコネクタ950を水平方向に位置決めする。更に、連結環22は、フード20の機械的強度の向上に有利である。このため、フード壁21にてハウジング10を保持したとき、フード20はほとんど変形しない。
図5Eに示したように、連結環22の開口内に、ロックレバー30の係止爪39が突出している。従って、図7Bから容易に理解できるように、キャップ955の天板956の外周端縁956aは、係止爪39の傾斜面39aに当接する。メスコネクタ950をフード20内に更に押し込む。外周端縁956aは傾斜面39a上を摺動しながら、係止爪39がオスルアー11から離れるようにロックレバー30を弾性的に変位させる。続いて、係止爪39は、キャップ955の周壁958上を摺動する。
図8A及び図8Bは、次の段階を示した正面図及び断面図である。図8Bに示されているように、係止爪39はキャップ955の周壁958(図7A参照)に当接している。図8Bを図7Bと比較すれば明らかなように、ロックレバー30は半径方向の外向きに変位している。
キャップ955の天板956が、スライダ50のスライディングアーム60に設けられた保持突起62に上下方向に当接している。メスコネクタ950が保持突起62を下方に向かって押し、これにより、スライダ50をハウジング10に対してわずかに下方に移動させている。
カバー80の凸部88(図4A参照)が、メスコネクタ950の開口957(図7A参照)に露出した弁体951に当接している。カバー80は、メスコネクタ850とハウジング10のベース15によって上下方向に圧縮され、上下方向寸法が縮小するように、特に外周壁81にてわずかに圧縮変形されている。オスルアー11はカバー80のスリット87(図4B参照)を貫通し、その先端はメスコネクタ950の弁体951に当接している。
図8A及び図8Bの状態においてメスコネクタ950をハウジング10に向かって強く押し込む。保持突起62はメスコネクタ950から下向きの力を受ける。このため、ハウジング10に対して、メスコネクタ950及びスライダ50は一体的に下方に向かって相対的に移動し始める。スライディング突起61は、第1傾斜面31a上を摺動し、ロックレバー30を半径方向の外向きに更に弾性的に変位させる。ロック突起73は第3傾斜面33a上を摺動し、ロック突起73が半径方向の内向きに移動するようにロックアーム72(図3A、図3E参照)が弾性的に曲げ変形する(図示を省略)。
図9A及び図9Bは、次の段階を示した正面図及び断面図である。図9Aを図8Aと比較すれば容易に理解できるように、ハウジング10に対して、メスコネクタ950及びスライダ50が下方に移動している。
図9Bに示されているように、スライダ50のスライディング突起61が、ハウジング10の第1突起31をまさに乗り越えんとしている。図8Bと比較すれば明らかなように、ロックレバー30は、半径方向の外向きに更に変位されている。係止爪39は、メスコネクタ950から半径方向に離間している。これは、メスコネクタ950の外周面に存在するかも知れない凹凸(例えば周壁958に設けられた孔959や、周壁958と環状突起963との間の段差又は隙間(図7A参照))に係止爪39が引っ掛かってメスコネクタ950の移動を妨げるという事態が起こる可能性を低減するのに有利である。
オスルアー11は、メスコネクタ950の弁体951に設けられたスリット952(図7A、図7B参照)内に侵入している。カバー80は、特に外周壁81が図8Bよりも更に大きく上下方向に圧縮変形されている。
図8Bと同様に、キャップ955の天板956は、依然としてスライディングアーム60の保持突起62に上下方向に当接している。ロック部材70のロック突起73(図3A参照)はロックレバー30に設けられた第3突起33の頂部33c(図2C参照)に当接している(図9Bでは、ロック突起73及びロックアーム72は、スライディングアーム60の背後に位置しているため見えない)。
メスコネクタ950をハウジング10に向かって更に押し込むと、スライディング突起61は第1突起31を乗り越える。スライディング突起61は、第1突起31の下側に設けられた第2傾斜面31b上を摺動しながら第2凹部34bに移動する。これにともない、ロックレバー30は、弾性復元力によって半径方向の内向きに移動する。また、ロック突起73は第3突起33を乗り越える。ロック突起73が第3突起33を乗り越えると、ロックアーム72(図3A参照)が弾性復帰し、半径方向の外向きに移動する。
図10Aはオスコネクタ1にメスコネクタ950を接続した状態を示した正面図、図10Bはその断面図である。図10Aを図9Aと比較すれば容易に理解できるように、ハウジング10に対して、メスコネクタ950及びスライダ50が更に下方に移動している。図10A及び図10Bに示した、ハウジング10に対するスライダ50の位置(特に中心軸1a方向の位置)を「基端側位置」という。
図10Bに示されているように、オスルアー11は、カバー80のスリット87(図4B参照)及び弁体951のスリット952(図7A、図7B参照)を順に貫通している。オスルアー11が貫通された弁体951は台座961の内腔962に向かって変形している。オスルアー11の横孔13の開口は、内腔962内に露出している。従って、オスルアー11の流路12と内腔962とが連通する。この状態で、輸液容器900内の輸液を、輸液セット910、オスコネクタ1、メスコネクタ950、チューブ923、留置針装置920へ流すことができる(図6参照)。
カバー80は、上下方向の圧縮力を受け、特にその外周壁81が、その上下方向寸法が縮小するように変形している。
スライディング突起61は、ロックレバー30の第2凹部34bに嵌入している。ロックレバー30は初期状態(図5A〜図5F)とほぼ同じ位置に復帰し、係止爪39は、メスコネクタ950の環状突起963に係合している。即ち、オスコネクタ1は、図9Bの状態に続いてスライディング突起61が第2傾斜面31b上を摺動するのと並行してロックレバー30は半径方向の内向きに移動し、スライディング突起61が第2凹部34bに嵌入するのとほぼ同時に係止爪39が環状突起963に係合する(図10B参照)ように構成されている。ハウジング10に設けられた係止爪39がメスコネクタ950に係合しているので、ハウジング10の筒状部17に接続されたチューブ911と、メスコネクタ950に接続されたチューブ923(図6参照)との間に引張り力が作用しても、オスコネクタ1とメスコネクタ950とが分離されることはない。即ち、ロックレバー30に設けられた係止爪39は、オスコネクタ1とメスコネクタ950との接続状態を維持するための「ロック機構」として機能する。係止爪39がメスコネクタ950に係合した状態、即ち、ロック機構が有効に機能している状態を「ロック状態」という。
スライダ50のロック突起73は第3突起33よりも下側に移動している。図10Cに示されているように、ロック突起73は、第3突起33の下面に設けられた停止面33bに上下方向に当接している。このため、ハウジング10とスライダ50との間に上下方向の圧縮力が加えられても、基端側位置にあるスライダ50が先端側位置に向かってハウジング10に対して移動することはできない。即ち、スライダ50のロック部材70(特に、そのロック突起73)とハウジング10の第3突起33(特に、その停止面33b)とは、基端側位置にあるスライダ50が先端側位置に向かって移動するのを防止する「スライダ移動防止機構」を構成する。オスコネクタ1は、図9Bの状態の後、スライダ50が基端側位置に到達すると、ロック突起73は第3突起33を乗り越えて半径方向の外向きに移動し、ロック突起73と停止面33bとが上下方向に対向する(即ち、スライダ移動防止機構が有効化される)ように構成されている。
スライダ50が基端側位置にあるとき、ハウジング10に対するスライダ50の下方向への移動は、スライダ50のスライディング突起61がハウジング10の第2突起32に当接することによって規制される(図10B参照)。
次に、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離する方法を説明する。
スライダ50が基端側位置にある状態(図10A〜図10C)で、スライダ50の2つのリリースボタン71の押圧面71aを、半径方向の内向きに押す。上述したように、リリースボタン71は、ベース環51に片持ち支持されたロック部材70に設けられている(図3A、図3B、図3D、図3E参照)。このため、リリースボタン71を押すと、ロック部材70が半径方向の内向きに弾性的に変位する。従って、ロック部材70の自由端またはその近傍に設けられたロック突起73も、ハウジング10の停止面33bに対して半径方向の内向きに変位し、上記スライダ移動防止機構が無効化される。一方の手で2つのリリースボタン71を押しながらスライダ50を保持し、他方の手でハウジング10(特にそのフード壁21)を保持して、スライダ50及びハウジング10に上下方向の圧縮力を印加すると、スライダ50をハウジング10に対して先端側位置に向かって(即ち、上方に向かって)移動させることができる。
スライダ50が、ハウジング10に対して、基端側位置から先端側位置へ移動する過程は、以下のように上述した接続時の動作と概略逆に進行する。
スライダ50が基端側位置から先端側位置へ移動すると、ハウジング10のロック突起73は、ハウジング10の第3突起33の頂部33cを通過し、その後、第3凹部34cへ移動する(図2C、図2D参照)。
スライダ50のスライディングアーム60の保持突起62には、メスコネクタ950が上下方向に当接している。このため、スライダ50がハウジング10に対して上方に向かって移動すると、メスコネクタ950もスライダ50とともにハウジング10に対して上方に移動する。
基端側位置にあるスライダ50がハウジング10に対して上方に向かって移動し始めると、スライダ50のスライディング突起61は、第2傾斜面31bに衝突する。スライダ50及びハウジング10に更に大きな上下方向の圧縮力を印加すると、スライディング突起61は、第2傾斜面31b上を摺動し、ロックレバー30を半径方向の外向きに弾性的に変位させる。従って、ロックレバー30の係止爪39とメスコネクタ950との係合が解除される(図9B参照)。
スライディング突起61が第1突起31を乗り越えると、ロックレバー30は、弾性復元力によって半径方向の内向きに移動し、係止爪39は、メスコネクタ950の周壁958又は環状突起963に当接する。スライダ50をハウジング10に対して上方に向かって更に移動させると、係止爪39は、メスコネクタ950の周壁958又は環状突起963上を摺動する。
スライダ50が先端側位置に到達すると(図8B参照)、スライダ50のベース環51がハウジング10のベース15(または、フード壁21の下端)に上下方向に当接し、又は、スライダ50のロック突起73がハウジング10の第2突起32に上下方向に当接する。このため、スライダ50をハウジング10に対して先端側位置よりも更に上方に移動させることはできない。ロックレバー30の係止爪39はメスコネクタ950の周壁958又は環状突起963に当接する。スライダ50のロック突起73はハウジング10の第3凹部34cに嵌入する。メスコネクタ950の大部分は、ハウジング10(特に、そのフード20)から上方に向かって押し出される(図8A参照)。
スライダ50を先端側位置まで移動させた後、ハウジング10を保持していた手をメスコネクタ950に持ち替え、スライダ50(特にそのリリースボタン71)を保持していた手をハウジング10(特にそのフード壁21)に持ち替える。そして、オスコネクタ1とメスコネクタ950とを、互いに離れる向きに引っ張る。メスコネクタ950は、フード20から抜け出る(図7A、図7B参照)。オスコネクタ1は直ちに初期状態(図5A〜図5F)に復帰する。即ち、ロックレバー30は、半径方向の内向きに向かって弾性復帰する。カバー80は、自身の弾性回復力によって伸張する。オスルアー11は、オスルアー11はカバー80内に収納され、カバー80のスリット87は閉じられる。オスルアー11の横孔13の開口は、カバー80の頭部85の内周面で塞がれる。一方、メスコネクタ950の弁体951は、オスルアー11が抜き去られると直ちに弾性回復し、スリット952は閉じられる。
上述したオスコネクタ1に対するメスコネクタ950の接続及び分離は、繰り返し行うことができる。
3.作用
以上のように本発明のオスコネクタ1では、オスルアー11がメスコネクタ950に挿入され且つ係止爪39がメスコネクタ950に係合した基端側位置から先端側位置へスライダ50が移動する過程で、係止爪39とメスコネクタ950との係合が解除されるようにスライディングアーム60がロックレバー30をオスルアー11から離れる向き(半径方向の外向き)に変位させる。係止爪39がメスコネクタ950に係合した状態(即ち、ロック状態)を解除するためには、スライダ50をハウジング10に対して、オスルアー11の長手方向と平行に、基端側位置から先端側位置に向かって移動させる必要がある。
上述したように、従来のロック機構付きのオスコネクタ(例えば、特許文献4参照)では、ロック機構を構成するロックレバーの操作部を半径方向の内向きに押すことにより、ロック状態を解除することが可能である。オスコネクタが周囲の物体に衝突した場合や、オスコネクタが患者の体の下敷きになった場合などでは、操作部に半径方向の内向きの力が作用することがある。このため、従来のオスコネクタは、係止爪とメスコネクタとの係合が意図せずに解除されてしまい、その結果、オスコネクタとメスコネクタとが分離してしまうという課題を有している。
これに対して、本発明のオスコネクタ1では、ロックレバー30に半径方向の内向きの力が加えられても、係止爪39とメスコネクタ950との係合が解除されることはない。係止爪39とメスコネクタ950との係合を解除するためには、スライダ50をハウジング10に対してオスルアー11の長手方向に沿って移動させる必要がある。より詳細には、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続した状態において、ハウジング10(メスコネクタ950ではない)及びスライダ50に、オスルアー11の長手方向に平行な圧縮力が加えられなければならない。オスコネクタ1の現実の使用状況において、このような圧縮力がオスコネクタ1に意図せずに加えられることはほとんどない。従って、本発明のオスコネクタ1は、ロック状態が意図せずに解除されてしまう可能性が低減され、安全性が向上している。
また、上記の従来のロック機構付きのオスコネクタは、ロックレバーの操作部が大きく突出しているので、操作部が患者の皮膚に触れると患者が痛みを感じたり、更には患者の皮膚や軟部組織が持続的に圧迫されることによって褥瘡が発生したりすることがあるという課題を有している。これに対して、本発明のオスコネクタ1では、係止爪39とメスコネクタ950との係合を解除するためにロックレバー30を半径方向の外向きに変位させるのは、スライダ50のスライディングアーム60である。ロック状態を解除するためにロックレバー30に触れる必要はない。このため、ロックレバー30に、大きく突出した操作部は設けられていない。従って、オスコネクタ1の外表面を、突出物が少ない、滑らかな面で構成することができる。オスコネクタ1が患者の皮膚に触れても、患者が痛みを感じたり、褥瘡が発生したりする可能性は低い。
オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続するためには、スライダ50が先端側位置にある状態(図7A、図7B参照)で、一方の手でオスコネクタ1のハウジング10(例えばフード壁21)を保持し、他方の手でメスコネクタ950を保持して、メスコネクタ950をハウジング10のフード20内に挿入し押し込むだけで足りる。メスコネクタ950がスライダ50のスライディングアーム60に当接するので、メスコネクタ950を介してスライダ50を基端側位置に向かって移動させることができる。スライダ50が基端側位置に到達したとき、係止爪39はメスコネクタ950に係合する(図10B参照)。スライダ50に手を触れることなく、オスコネクタ1に対するメスコネクタ950の接続が完了する。オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続する過程で、ハウジング10及びメスコネクタ950を持ち替える必要がない。従って、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続する作業を簡単且つ迅速に行うことができる。
スライダ50が先端側位置から基端側位置へ移動する過程で、スライディングアーム60がロックレバー30をオスルアー11から離れる向き(即ち、半径方向の外向き)に変位させる(図9B参照)。好ましくは、係止爪39は、メスコネクタ950から半径方向に離間する。これは、係止爪39が、メスコネクタ950の外周面に存在するかも知れない凹凸に引っ掛かる可能性を低減するのに有利である。
オスルアー11がメスコネクタ950に連通してオスコネクタ1とメスコネクタ950とが接続されると、係止爪39はメスコネクタ950に係合する。このとき、スライダ50は基端側位置にある(図10A〜図10C参照)。
その後、スライダ50を基端側位置から先端側位置に向かって移動させると、スライダ50のスライディングアーム60がメスコネクタ950を先端側へ移動させる。即ち、メスコネクタ950に手を触れることなく、メスコネクタ950を移動させることができる。これは、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離する作業を簡単且つ迅速に行うのに有利である。
オスコネクタ1は、基端側位置にあるスライダ50が先端側位置に向かって移動するのを防止するスライダ移動防止機構(スライダ50のロック部材70及びハウジング10の第3突起33)を備えている。このため、例えば患者が誤ってオスコネクタ1を操作する等によってスライダ50が基端側位置から先端側位置に向かって移動してしまうという不測の事態が発生する可能性が低減される。これは、メスコネクタ950に対する係合爪39の係合が意図せずに解除され、更にはオスコネクタ1とメスコネクタ950とが意図せずに分離してしまうという事態が発生する可能性を低減するのに有利である。
上記スライダ移動防止機構は、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続する過程においてスライダ50が基端側位置に到達したとき、自動的に有効化される。このため、スライダ移動防止機構を有効化するための別途の操作は不要である。従って、スライダ移動防止機構を有効化するのを忘れてしまうという誤操作が起こるのを防止することができる。これは、スライダ移動防止機構が有効化されることなくオスコネクタ1が放置されることによって、メスコネクタ950に対する係合爪39の係合が意図せずに解除され、更にはオスコネクタ1とメスコネクタ950とが意図せずに分離してしまうという事態が発生する可能性を低減するのに有利である。
オスコネクタ1は、スライダ移動防止機構を無効化するためのリリースボタン71を備えている。リリースボタン71は、スライダ50に設けられている。このため、リリースボタン71を押してスライダ移動防止機構を無効化するのと同時に、スライダ50を把持することができる。従って、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離する場合には、一方の手でスライダ50をリリースボタン71にて把持してスライダ移動防止機構を無効化し、他方の手でハウジング10を把持した状態で、スライダ50をハウジング10に対して基端側位置から先端側位置まで移動させればよい。スライダ移動防止機構を無効化する操作と、スライダ50を基端側位置から先端側位置まで移動させる操作とを、リリースボタン71を押したまま連続的に行うことができる。従って、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離するためにスライダ移動防止機構を無効化する操作が必要であるにも関わらず、分離作業を簡単且つ迅速に行うことができる。
スライダ移動防止機構を無効化するためには、リリースボタン71を半径方向の内向きに押す必要がある。リリースボタン71に加えるこの力の向きは、メスコネクタ950に対する係止爪39の係合を解除するためにスライダ50を移動させる向き(即ち、中心軸1a方向)と異なる。より具体的には、前記2つの向きは90度異なる。このため、オスコネクタ1が周囲の物体に衝突した場合や、オスコネクタ1が患者の体の下敷きになった場合などにおいてリリースボタン71に意図しない力が加えられてスライダ移動防止機構が無効化されたとしても、スライダ50が基端側位置から先端側位置に向かって移動されてメスコネクタ950に対する係止爪39の係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性は低い。
スライディングアーム60は、メスコネクタ950に対して、オスルアー11の長手方向に平行な方向に当接する。このため、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続する際には、メスコネクタ950をハウジング10内に押し込めば、メスコネクタ950とともにスライダ50を基端側に向かって移動させることができ、また、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離する際には、スライダ50をハウジング10に対して先端側位置に向かって移動させれば、スライダ50とともにメスコネクタ950を先端側に向かって移動させることができる。このように、スライダ50及びメスコネクタ950をハウジング10に対して一体的に移動させることができるので、オスコネクタ1に対するメスコネクタ950の接続及び分離の作業性が向上する。
スライディングアーム60は、ロックレバー30を半径方向の外向きに変位させることに加えて、メスコネクタ950に当接する。異なる二つの機能を共通する部材に担わせることによって、スライダ50の構成を簡単化することができる。
スライディングアーム60は、ロックレバー30に対してオスルアー11側に、ロックレバー30に対向して配置される。ロックレバー30のスライディングアーム60に対向する面に傾斜面31a,31bが設けられている。スライダ50がハウジング10に対してオスルアー11の長手方向に沿って移動したとき、スライディングアーム60に設けられたスライディング突起61が傾斜面31a,31b上を摺動し、これにより、ロックレバー30が半径方向の外向きに変位する。このように、ハウジング10に対するスライダ50の中心軸1aに沿った相対的な移動を、傾斜面31a,31bを利用してロックレバー30の半径方向の外向きの変位に変換する。これは、簡単な構成で、先端側位置と基端側位置との間でのスライダ50の移動に連動して、ロックレバー30を半径方向に変位させるのに有利である。
一方、ロックレバー30を半径方向の内向きに変位させるために、片持ち支持されたロックレバー30の内向きに向かう弾性復元力を利用する。これは、ロックレバー30を内向きに変位させるための別個の部材が不要であるので、オスコネクタ1の構成を簡単化するのに有利である。
オスルアー11の長手方向に沿って見たオスコネクタ1の形状(平面視形状)は、ロックレバー30とオスルアー11とが対向する方向(X軸方向)に平行な長軸1bを有する略楕円形である(図5E参照)。また、図示を省略するが、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続したときのオスコネクタ1の平面視形状も、図5Eと同様に、ロックレバー30とオスルアー11とが対向する方向に平行な長軸1bを有する略楕円形である。また、オスコネクタ1の外寸法は、メスコネクタ950が接続されていない状態及び接続された状態のいずれにおいても、Y軸方向(即ち、短軸1c方向)において最小である。このため、オスコネクタ1を患者の体に粘着テープ等で固定する場合には、Y軸方向(短軸1c方向)を患者の皮膚に垂直にすればオスコネクタ1を最も安定的に患者に固定することができる。また、中心軸1aを水平方向と平行にしてオスコネクタ1が患者の体の下敷きになった場合には、オスコネクタ1は、長軸1bが水平方向と平行になるように容易に回転する。これらの場合、患者の体に接するオスコネクタ1の面積が大きくなるので、患者がオスコネクタ1によって感じる痛みは軽減される。また、オスコネクタ1が患者の皮膚や軟部組織を持続的に圧迫されることによって褥瘡を発生させる可能性も低減される。
スライダ移動防止機構を無効化するためのリリースボタン71は、オスルアー11の長手方向に沿って見たとき、前記長軸1b上に設けられている。このため、オスコネクタ1が患者の体の下敷きになった場合には、リリースボタン71は水平方向を向く可能性が高い。従って、リリースボタン71に患者の体重が作用して、スライダ移動防止機構が意図せずに無効化されてしまう可能性は低い。
更に、Y軸に沿って見たとき(図10A参照)、リリースボタン71は、中心軸1aから最も離間したオスコネクタ1の箇所(即ち、ロックレバー30の半径方向に最も外側に突出した箇所)よりも中心軸1a側に配置されている。このため、オスコネクタ1が周囲の物体に衝突した場合や、オスコネクタ1が患者の体の下敷きになった場合などにおいて外力がオスコネクタ1に加えられたとしても、そのような外力は、半径方向に最も大きく突出したロックレバー30に加えられる可能性が高く、リリースボタン71に加えられる可能性は相対的に低い。従って、スライダ移動防止機構が意図せずに無効化されてしまう可能性を低減することができる。
4.各種変更実施形態
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
上記の実施形態では、オスコネクタ1からメスコネクタ950を分離するためにスライダ50が基端側位置から先端側位置へ移動する過程で、ロックレバー30は、最初に半径方向の外側に向かって変位し、次いで、半径方向の内側に向かって変位した。また、上記の実施形態では、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続するためにスライダ50が先端側位置から基端側位置へ移動する過程でも、ロックレバー30は、最初に半径方向の外側に向かって変位し、次いで、半径方向の内側に向かって変位した。しかしながら、本発明では、このようなロックレバー30の変位は必須ではない。スライダ50が基端側位置から先端側位置へ移動する過程では、ロックレバー30は、単に半径方向の外側に向かって変位するのみであってもよい。ロックレバー30が半径方向の外側に向かって変位しさえすれば、係止爪39とメスコネクタ950との係合を解除することが可能だからである。また、スライダ50が先端側位置から基端側位置へ移動する過程では、ロックレバー30は、単に半径方向の内側に向かって変位するのみであってもよい。ロックレバー30が半径方向の内側に向かって変位しさえすれば、係止爪39をメスコネクタ950に係合させることが可能だからである。
このようなロックレバー30の動きは、例えばロックレバー30の内側面に設けられた第1凹部34a及び第1傾斜面31aを省略すれば実現できる。この構成では、スライダ50が先端側位置にあるときに、係止爪39は中心軸1aから半径方向に大きく離間される。好ましくは、ハウジング10にメスコネクタ950を挿入したとき、メスコネクタ950のキャップ955の外周端縁956aは、係止爪39の傾斜面39aに衝突しない。これは、ロックレバー30を半径方向の外向きに弾性的に変位させるためにメスコネクタ950をハウジング10に強く押し込む必要がなくなるので、オスコネクタ1に対してメスコネクタ950を接続する作業を容易化するのに有利である。但し、スライダ50が先端側位置のままで長期間放置すると、スライダ50を基端側位置へ移動させたときにロックレバー30を半径方向の内側へ変位させるための弾性復元力が低下する可能性がある。
本発明において、スライダ50のスライディングアーム60がメスコネクタ950に、中心軸1a方向に当接することは必須ではない。例えば、保持突起62を省略してもよい。この場合、ハウジング10に対するスライダ50の中心軸1a方向の移動と、ハウジング10に対するメスコネクタ950の中心軸1a方向の移動とが独立する。特に、この構成を、上述した、スライダ50が先端側位置にあるとき、ロックレバー30が半径方向の外側に変位したままである構成に組み合わせることができる。オスコネクタにメスコネクタ950を接続する場合には、スライダ50が先端側位置にある状態でメスコネクタ950をハウジング10内に深く挿入してオスルアー11とメスコネクタ950とを連通させ、その後、スライダ50を基端側位置に移動させて、係止爪39をメスコネクタ950に係合させる。メスコネクタ950をオスコネクタから分離する場合には、最初に、スライダ50を先端側位置に移動させて、係止爪39とメスコネクタ950との係合を解除し、その後、メスコネクタ950をハウジング10から引き抜く。
基端側位置にあるスライダ50が先端側位置に向かって移動するのを防止するスライダ移動防止機構の構成は、上記の実施形態に限定されない。
例えば、ロック突起73を省略し、ロックアーム72の上端が、ハウジング10の第3突起33と、中心軸1aに対向してもよい。
ロック部材70と同様の構成を、スライダ50ではなく、ハウジング10に設けてもよい。例えば、ハウジング10のフード壁21の下端またはベース15に、ロックアームを設けてもよい。ロックアームは、中心軸1aと略平行に、下方に向かって延びる。ロックアームの先端又はその近傍には、半径方向の外向きに突出したロック突起が設けられる。スライダ50が先端側位置にあるとき、ロックアーム及びロック突起は、スライダ50のベース環51の内側に収納される。スライダ50が基端側位置に移動すると、ロックアームの弾性復元力によってロック突起が半径方向の外向きに変位して、ロック突起がベース環51の上端に、中心軸1a方向に当接する。ロック突起がベース環51よりも半径方向の内側に変位するようにロックアームを弾性的に曲げ変形させることにより、スライダ50を先端側位置に向かって移動させることが可能になる。
本発明では、スライダ移動防止機構を省略してもよい。例えば、スライダ50が、ロック部材70を備えていなくてもよい。これは、オスコネクタ1の構成の簡単化に有利である。また、リリースボタン71も省略されるので、オスコネクタ1の外表面を、凹凸が少ない、より滑らかな面にすることが可能になる。これは、オスコネクタ1が患者の皮膚に触れた場合の不快感(例えば痛み)を低減するのに有利である。スライダ移動防止機構を省略した場合であっても、上述したように、オスコネクタ1にメスコネクタ950を接続した状態において、ハウジング10及びスライダ50に、オスルアー11の長手方向に平行な圧縮力が意図せずに加えられる可能性は低いから、係止爪39とメスコネクタ950との係合(ロック状態)が意図せずに解除されてしまう可能性は低い。
スライダ50の中心軸1a方向の移動に連動してロックレバー30を半径方向に変位させるための構成は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更できる。例えば、スライディングアーム60のスライディング突起61の頂部に対して上下方向に隣接して、傾斜面31a,31bと同様の傾斜面が設けられていてもよい。突起31、傾斜面31a,31b、及び凹部34a,34bをスライディングアーム60に設け、スライディング突起61をロックレバー30に設けてもよい。
スライダ50の遮蔽部材53を省略してもよい。
上記の実施形態では、係止爪39はメスコネクタ950の環状突起963に係合したが、係止爪39が係合するメスコネクタ950の部分は、メスコネクタ950の構成に応じて適宜変更してよい。メスコネクタ950に係合する部分に応じて、係止爪39の形状や位置を変更することができる。
本発明のオスコネクタに備えられる、係止爪39を有するロックレバー30の数は2つに限定されず、1つであってもよい。
フード20の形状も任意である。例えば、連結環22を省略し、フード20が、フード壁21のみで構成されていてもよい。
フード20を省略してもよい。メスコネクタ950を水平方向に位置決めする機能は、係止爪39に担わせることができる。例えば、中心軸1a方向に沿って見た係止爪39の先端を円弧状に形成する等によって、係止爪39を用いてメスコネクタ950をX軸方向に加えてY軸方向にも位置決めすることができる。
オスルアー11の形状は、任意に変更しうる。流路12に連通した横孔13の数は2つである必要はなく、1つ又は3つ以上であってもよい。横孔13を省略し、オスルアー11の先端11aに流路12が開口していてもよい。
カバー80の構成も、任意に変更しうる。例えば外周壁81が、テーパの向きが逆である2つのテーパ状部分が交互に接続された蛇腹形状を有していてもよい。スリット87を省略し、キャビティ86を構成する貫通孔が頭部85を上下方向に貫通していてもよい。
本発明では、カバー80を省略してもよい。
上記の実施形態では、輸液を行うための輸液ラインを構成するためにオスコネクタ1を使用する場合を説明したが、本発明のオスコネクタは、これ以外の用途にも使用しうる。例えば、オスコネクタに接続されるメスコネクタは、ニードルレスポートに限定されない。例えば、メスコネクタが、バイアル瓶の開口を封止したゴム栓であってもよい。ゴム栓には、弁体951のスリット952のような貫通孔が予め形成されていない。従って、この場合には、オスコネクタは、オス部材として、ゴム栓に穿刺することができるような鋭利な先端を備えた穿刺針(瓶針と呼ばれることもある)を備えることが好ましい。更に、バイアル瓶内に対して液体を流出/流入させる際のバイアル瓶内の気圧の変動を抑えるために、穿刺針に、互いに独立した液体用流路と気体用流路が設けられていてもよい。ロックレバー及び係止爪は、バイアル瓶の開口を取り囲む、拡径したフランジに係合できるように適宜変更される。
オスコネクタの外観形状も、適宜変更しうる。
中心軸1aに沿って見たオスコネクタの輪郭(平面視形状)は、楕円形(図5E参照)に限定されず、菱形、陸上競技場のトラック形状、若しくは長方形、またはこれらのいずれかに近似した形状であってもよい。
オスコネクタの正面視形状も、楕円から、その長軸方向の両端を切り落とした形状(図5C)に限定されない。オスコネクタは、中心軸1a方向の略中央部分が半径方向の外向きに膨らんでいる必要はない。例えば、オスコネクタの正面視形状は、水平方向に沿った外寸法が中心軸1a方向において一定である長方形またはこれに近似した形状であってもよい。
一般には、オスコネクタの外形状は、中心軸1aに直交する一方向(上記の実施形態ではY軸方向)において外寸法が最小となるような形状(例えば、薄板形状)を有することが好ましい。患者の体に接するオスコネクタの面積が大きくなるからである。