本発明のオスコネクタは、メスコネクタに挿入される棒状のオスルアーと、前記オスルアーが前記メスコネクタに挿入された状態を維持するためのロック機構とを備える。前記ロック機構は、前記オスルアーの周囲を取り囲むように配置され且つ前記メスコネクタが挿入されるフードと、弾性的に変位可能な片持ち支持構造の単一のロックレバーとを備える。前記ロックレバーは、その自由端を前記オスルアーの先端側にし且つその固定端を前記オスルアーの基端側にして、その長手方向が前記オスルアーと略平行になるように配置されている。前記ロックレバーは、前記メスコネクタに係合する爪を備える。前記爪の前記メスコネクタに係合する係合面には、前記メスコネクタと嵌合し合う嵌合構造が形成されている。操作アームが、前記ロックレバーの前記オスルアーとは反対側の面から突出し、前記固定端側に延びている。前記操作アームの先端に前記オスルアーに向かう向きの押力を印加すると、前記爪が前記オスルアーから離れるように前記ロックレバーが弾性的に変位する。
上記の本発明のオスコネクタにおいて、前記嵌合構造は、前記メスコネクタに形成された凹部に嵌入する凸部であることが好ましい。これにより、簡単な構成で嵌合構造を形成することができる。
上記において、前記凸部の前記オスルアーとは反対側の端縁は、前記オスルアーと同軸の円弧形状を有していることが好ましい。これにより、メスコネクタに形成された凹部が環状の溝形状を有する場合に、当該凹部に対する凸部の周方向の嵌合領域を大きくすることができる。
前記凸部は、前記オスルアーとは反対側の端縁に、前記オスルアーと同軸の円筒面を有していることが好ましい。これにより、オスコネクタとメスコネクタとの間に引っ張り力が印加された場合に、凸部の端縁がメスコネクタの係止面に食い込むように当接して係止される。従って、意図せずにロック状態が解除されてしまう可能性が更に低減される。
前記爪が前記ロックレバーの前記自由端に設けられていることが好ましい。これにより、ロックレバーが変位したときの爪の変位量を大きくすることができる。従って、操作アームの先端(操作部)に印加する押力が小さくてもロック状態の解除を行うことが可能になり、操作性の向上に有利である。
前記操作アームの基端を除いて、前記操作アームは前記ロックレバーから離間していることが好ましい。これは、操作アームの先端(操作部)に押力を印加したときに、爪がオスルアーから離れるようにロックレバーを変位させるのに有利である。
前記操作アームは、前記オスルアーの長手方向において、前記ロックレバーの前記固定端を越えて延びていることが好ましい。これは、操作アームの先端(操作部)に押力を印加したときに、爪がオスルアーから離れるようにロックレバーを変位させるのに有利である。
前記操作アームの基端は、前記ロックレバーの前記固定端よりも前記自由端側の位置に設けられていることが好ましい。これにより、操作アームの基端とロックレバーの固定端との間に、弾性的に曲げ変形可能な弾性部を確保することができる。これは、ロックレバーを弾性的に変位させるのに有利である。
前記フードに略「U」字状のスリットが形成されており、前記ロックレバーは前記スリットに囲まれていることが好ましい。これにより、ロックレバーをフードの外に配置する必要がなくなるので、ロックレバーの、フードの外周面からの突出量を抑えることができる。従って、外径が小さなオスコネクタを実現できる。
上記において、前記フードは、前記ロックレバーを周方向に挟む前記フードの部分をつなぐ架橋部を、前記ロックレバーよりもメスコネクタが挿入される側に備えることが好ましい。これにより、オスコネクタに接続され且つロックされたメスコネクタに外力が作用しても、メスコネクタの傾きや移動を抑えることができる。その結果、ロック状態が意図せずに解除されたり、フードが破壊されたりする可能性を低減することができる。
前記フードのメスコネクタが挿入される側の端縁に前記オスルアーと平行な方向に沿って延びた一対の切り欠きが形成されていることが好ましい。この場合、前記一対の切り欠きは前記オスルアーを挟んで互いに対向することが好ましい。これにより、チューブの途中に設けられた混注ポートに接続可能なオスコネクタを実現できる。
前記オスルアー内に流路が形成されており、前記流路と連通した横孔が前記オスルアーの外周面に開口していることが好ましい。これにより、メスコネクタに挿入されたオスルアーをメスコネクタから引き抜く際に、メスコネクタが横孔の開口の周辺に付着する液体を剥ぎ取るので、メスコネクタから引き抜いた後に横孔の開口の周辺に残存する液体量を少なくすることができる。
本発明のメスコネクタは、棒状のオスルアーと、前記オスルアーが挿入された状態を維持するためのロック機構とを備えたオスコネクタを接続することができるメスコネクタである。前記オスコネクタの前記ロック機構は前記メスコネクタと係合する爪を備える。前記メスコネクタは、弾性材料からなり、中央部に前記オスルアーが挿入される貫通孔が形成された隔壁部材と、前記隔壁部材の周縁部を保持する基台と、前記隔壁部材の前記貫通孔を露出させる開口が形成されたキャップとを備える。前記基台と前記キャップとの間で前記隔壁部材が前記隔壁部材の厚さ方向に挟持されるように、前記キャップが前記基台に固定されている。前記基台に、前記オスコネクタの前記爪が係合する係止面が形成されている。前記係止面に、前記オスコネクタと嵌合し合う嵌合構造が形成されている。
上記の本発明のメスコネクタにおいて、前記嵌合構造は、前記オスコネクタの前記爪に形成された凸部が嵌入する凹部であることが好ましい。これにより、簡単な構成で嵌合構造を形成することができる。また、メスコネクタの係止面に凹部を形成することは、凸部を形成する場合に比べて、樹脂成形が容易であることが多い。
前記凹部は、前記メスコネクタの中心軸と同心の円弧に沿って延びた溝であることが好ましい。これにより、メスコネクタに対するオスコネクタのオスルアー周りの回転方向の位置に関わらず、オスコネクタの凸部を凹部に嵌入させることができる。
前記係止面において、前記凹部と、前記凹部より外側の領域とは傾斜面でつながれていることが好ましい。これにより、オスコネクタをメスコネクタから分離する際に、オスコネクタの爪の凸部を凹部から脱出させ易い。従って、ロック状態を解除する操作性が向上する。
前記嵌合構造を備えた前記係止面が、前記基台の全周囲に連続して形成されていることが好ましい。これにより、メスコネクタに対するオスコネクタのオスルアー周りの回転方向の位置に関わらず、オスコネクタの爪を係止面に係合し且つ嵌合させることができる。従って、メスコネクタにオスコネクタを接続する際に、メスコネクタに対してオスコネクタを回転方向の位置合わせする必要がない。また、メスコネクタにオスコネクタを接続した状態で、メスコネクタに対してオスコネクタを自由に回転することができるので、例えばメスコネクタ及び/又はオスコネクタに接続されたチューブの捩れを容易に解消することができる。
前記係止面は、前記基台の外周面から半径方向に沿って突出した突起に設けられていることが好ましい。これにより、簡単な構成で、基台に係止面を設けることができる。
上記において、前記突起の頂部が前記キャップの周囲壁の外周面と略同一面を形成することが好ましい。これにより、メスコネクタに対してオスコネクタを接続する際及び分離する際に、オスコネクタの爪はメスコネクタのキャップの周囲壁と突起との境界に引っかかることなく摺動することができる。従って、接続及び分離の作業性が向上する。
前記キャップを前記基台に係合して固定するための係合構造が前記基台及び前記キャップに形成されていることが好ましい。これにより、メスコネクタの組み立てにおいて、キャップを基台に固定する工程を容易且つ迅速に行うことができる。
前記係合構造が、前記基台の外周面に形成された係合爪と前記キャップに形成された係合爪とが周方向に噛み合う構造であることが好ましい。これにより、メスコネクタを小径化が容易になり、更にオスコネクタの小径化も可能になる。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、以下の各図中の部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
(オスコネクタ)
図1は、本発明の一実施形態にかかるオスコネクタ1の斜視図である。図2Aはオスコネクタ1の平面図、図2Bはオスコネクタ1の側面図である。更に、図3はオスコネクタ1の断面斜視図である。図3において、一点鎖線1aはオスコネクタ1の中心軸である。以下の説明の便宜のため、中心軸1aと平行な方向を「上下方向」と呼び、中心軸1aと直交する平面に平行な方向を「水平方向」と呼ぶ。また、上下方向において、筒状部15に近い側をオスコネクタ1の「下側」、遠い側(図3の紙面の上側)をオスコネクタ1の「上側」又は「先端側」と呼ぶ。但し、この「上下方向」及び「水平方向」は、オスコネクタ1の実際の使用時での向きを意味するものではない。更に、中心軸1aに直交する直線の方向を「半径方向」、中心軸1aの回りを回転する方向を「周方向」という。
本実施形態のオスコネクタ1は、中心軸1aと同軸の棒状のオスルアー10を備えている。図3に示されているように、オスルアー10は、基台19から突出した棒状の部材である。その外周面(即ち、側面)は、本実施形態1では基台19から離れるにしたがって外径がわずかに小さくなるテーパ面である。但し、オスルアー10の外周面の形状は、これに限定されず、任意に選択することができる。例えば、上下方向において外径が一定である円筒面であってもよい。
オスルアー10内には、その長手方向に沿って流路11が形成されている。流路11はオスルアー10の先端面10tには開口していない。その代わりに、オスルアー10の先端の近傍に、流路11と連通する横孔12が形成されている。横孔12は、半径方向にオスルアー10を貫通し、オスルアー10の外周面上の2カ所で開口している。なお、横孔12は、オスルアー10を貫通せずに、オスルアー10の外周面上の1カ所のみで開口していてもよい。
基台19のオスルアー10とは反対側には、流路11と連通した流路を備えた筒状部15が形成されている。筒状部15の内周面は、基台19から離れるにしたがって内径が大きくなるテーパ面である。筒状部15の外周面には、雄ねじが形成されている。筒状部15は例えばISO594−2に準拠して構成することができる。筒状部15には、例えばシリンジ等を接続することができる。但し、基台19のオスルアー10とは反対側の構成は、これに限定されず任意であり、筒状部15以外の構成を備えていてもよい。
オスルアー10を取り囲むように、フード20が基台19から、オスルアー10と同じ側に立設されている。フード20は、オスルアー10と同軸の中空の円筒形状を有し、その高さ(上下方向寸法)は、オスルアー10の高さより高い。フード20の内周面(オスルアー10に対向する面)は、オスコネクタ1が接続されるメスコネクタ100のキャップ130(後述する図6参照)の外径とほぼ同じかこれよりわずかに大きな内径を有する円筒面である。
片持ち支持構造のロックレバー30がオスルアー10に対向している。ロックレバー30は、その長手方向が中心軸1aと略平行な薄板形状(短冊形状)を有している。ロックレバー30の長手方向における一方の端部は自由端30aであり、オスルアー10の先端側に配置されている。ロックレバー30の長手方向における他方の端部は固定端30bであり、オスルアー10の基端側(即ち、基台19側)に配置されている。ロックレバー30は、中心軸1aを含む面内において、弾性的に曲げ変形可能である。
片持ち支持構造のロックレバー30は、フード20に、フード20を貫通する略「U」字状のスリット21を形成することにより形成されている。換言すれば、ロックレバー30はスリット21に囲まれている。その結果、ロックレバー30の自由端30aよりも上側(基端19から遠い側)に、ロックレバー30を周方向に挟むフード20の部分をつなぐ架橋部22が存在している。フード20の上側の端縁20aは円形の平面視形状を有し、同一高さで周方向に連続している。
図3に示されているように、ロックレバー30の自由端30aのオスルアー10に対向する側の面には、オスルアー10に向かって突出した爪34が形成されている。爪34は、傾斜面34aと係合面34bとを備える。傾斜面34aは、基台19から離れるにしたがってオスルアー10から遠ざかるように傾斜している。係合面34bは、傾斜面34aよりも基台19側に配置され、水平方向に略平行な平面である。爪34の頂部(オスルアー10に最も近い部分)34tは、フード20の内周面よりもオスルアー10側に突出している(図2A参照)。
図4は、係合面34b側から見た爪34の拡大断面斜視図である。係合面34bには凸部34pが突出している。凸部34pは、爪34の係合面34bのうち、頂部34tに近い領域に形成されている。凸部34pのオスルアー10(図3参照)とは反対側の端縁34eは、オスルアー10と同軸の円弧形状を有している。より好ましくは、端縁34eは、オスルアー10と同軸の円筒面である。
図3にもどり、操作アーム35が、ロックレバー30のオスルアー10とは反対側の面から外側(オスルアー10とは反対側)に突出している。操作アーム35の、ロックレバー30に接続されている部分を基端35bという。操作アーム35は、その基端35bから、ロックレバー30に対して離間しながら、固定端30b側(即ち、下側)に湾曲して延びている。上下方向において、操作アーム35は、ロックレバー30の固定端30bよりも下側にまで(本実施形態1では基台19とほぼ同じ位置まで)延びている。操作アーム35の先端には操作部35aが設けられている。操作アーム35は、実質的に剛体と見なしうる程度の機械的強度を有している。
操作部35aに指を押し当てて、オスルアー10(即ち、フード20)に向かう向きの力Fを操作部35aに印加すると、図5に示すように、ロックレバー30の固定端30bと操作アーム35の基端35bとの間の部分(弾性部31)が弾性的に曲げ変形し、爪34が略半径方向に沿ってオスルアー10から離れる向きに変位する。
爪34が上述したように変位するためには、操作アーム35は、ロックレバー30の固定端30bから離間していることが好ましい。また、操作アーム35はロックレバー30の固定端30bを越えて下側(筒状部15側)に延び、操作部35aは固定端30bよりも下側(筒状部15側)に位置していることが好ましい。更に、操作アーム35の基端35bは、ロックレバー30の固定端30bよりも自由端30a側に位置している(基端35bが固定端30bにある場合を含まない)ことが好ましい。
上述したフード20、及び、操作アーム35付きのロックレバー30が、本実施形態のオスコネクタ1のロック機構を構成する。
オスルアー10、基台19、フード20、ロックレバー30、及び、操作アーム35は、硬質の材料からなることが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いて、オスルアー10、基台19、フード20、ロックレバー30、及び、操作アーム35を一体成形等の方法で作成することができる。
(メスコネクタ)
上記のオスコネクタ1と接続されるメスコネクタを説明する。
図6は、本発明の一実施形態にかかるメスコネクタ100の斜視図、図7Aは、メスコネクタ100の側面図、図7Bはメスコネクタ100の断面図である。更に、図8は、メスコネクタ100の分解斜視図である。図7Bにおいて、一点鎖線100aはメスコネクタ100の中心軸である。以下の説明の便宜のため、中心軸100aと平行な方向をメスコネクタ100の「上下方向」という。また、オスコネクタ1が接続される側(図7A及び図7Bの紙面の上側)をメスコネクタ100の「上側」といい、これと反対側をメスコネクタ100の「下側」という。中心軸100aに直交する直線の方向を「半径方向」、中心軸100aの回りを回転する方向を「周方向」又は[回転方向」という。
メスコネクタ100は、円板状の隔壁部材(以下「セプタム」という)110と、セプタム100を上下方向に挟持し固定する基台120及びキャップ130とを備える。
セプタム110は、従来のメスコネクタ900のセプタム910と同様に、ゴム等の弾性材料からなり、その中央部に、セプタム110を上下方向に貫通する貫通孔である、直線状のスリット(切り込み)111が形成されている。
基台120は全体として略円筒形状を有する。基台120の外周面は円筒面形状を有し、当該外周面に、一対の係合突起121と、周方向に連続した環状突起123とが、半径方向に沿って外側に向かって突出して形成されている。各係合突起121は、周方向に向かって突出した一対の係合爪122を備え、全体として略「T」字形状を有している。一対の係合突起121は中心軸100aに対して対称位置に配置されている。環状突起123は、係合突起121に対して下側(セプタム110とは反対側)に設けられている。係合突起121及び環状突起123の頂部(中心軸100aから最も遠い部分)は中心軸100aと同軸の共通する円筒面を構成している。
基台120より下側には、基台120の内腔125と連通したオスルアー128と、オスルアー128と同軸の雌ねじ129とが形成されている。オスルアー128の外周面は、先端に近づくにしたがって(即ち、基台20から離れるにしたがって)外径が小さくなるテーパ面(円錐面)を有している。オスルアー128及び雌ねじ129は、例えばISO594−2に準拠して形成することができる。但し、基台120より下側の構成は、これに限定されず任意であり、オスルアー128及び雌ねじ129以外の構成を備えていてもよい。
キャップ130は、円板形状を有する天板131と、天板131の外周端縁から下方に向かって延びた円筒形状を有する周囲壁135とを備える。天板131の中央には円形の開口(貫通孔)132が形成されている。周囲壁135には、その下端から上側に向かって切り欠かれた一対の切り欠き136が形成されている。各切り欠き136の周方向の寸法は、一対の係合爪137にて局所的に狭い。一対の切り欠き36は中心軸100aに対して対称位置に配置されている。
基台120の上端にセプタム110を載置し、セプタム110の上方からキャップ130をかぶせる。基台120に形成された係合突起121がキャップ130に形成された切り欠き136内に嵌入し、係合爪122と係合爪137とが係合する。かくして、キャップ130は基台120に固定される(図6参照)。セプタム110は、基台120の上端とキャップ130の天板131とによりその厚さ方向(即ち、上下方向)に挟持される。セプタム110のスリット111は、天板131に形成された開口132内に露出する。基台120に形成された環状突起123は、キャップ130の周囲壁135よりも下側に位置している。係合突起121及び環状突起123の頂部は、周囲壁135の外周面と略同一の円筒面を構成している。
セプタム110の材料は、特に制限はないが、ゴム弾性を有する軟質の材料(いわゆるエラストマー)であることが好ましく、例えば、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、熱可塑性エラストマー等を用いることができる。
基台120及びキャップ130の材料は、特に制限はないが、硬質の材料であることが好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の樹脂材料を用いることができる。
図9は、下側から見た環状突起123の拡大断面斜視図である。環状突起123の下面(係止面)126には、環状突起123の外周面123sからわずかに離れた位置に、凹部126aが形成されている。凹部126aは、中心軸100aと同心の円に沿って周方向に連続した環状の溝である。環状突起123の下面126の、凹部126aより外側の領域126bは、凹部126aに比べて下側に向かって突出している。凹部126aと外側領域123aとは傾斜面126cでつながれている。
(オスコネクタとメスコネクタとの接続及び分離)
上記のオスコネクタ1とメスコネクタ100との接続方法及び分離方法を説明する。
図10は、接続する直前の、オスコネクタ1及びメスコネクタ100を示した斜視図である。図11は、接続する直前の、オスコネクタ1及びメスコネクタ100を示した断面図である。
図10及び図11に示すように、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを対向させる。そして、メスコネクタ100のキャップ130をオスコネクタ1のフード20内に挿入し、更にメスコネクタ100をオスコネクタ1に向かって押し込む。オスルアー10の先端が、キャップ130の開口132内に露出したセプタム110に当接し、スリット111内に進入する。これと並行して、ロックレバー30の爪34の傾斜面34aがキャップ130の外側の端縁130aに当接する。キャップ130の端縁130aは、傾斜面34a上を摺動しながら、弾性部31を弾性的に曲げ変形させて、爪34がオスルアー10から離れる向きにロックレバー30を変位させる。メスコネクタ100がフード20内に進入するにしたがって、爪34は、キャップ130の周囲壁135及び環状突起123上を順に摺動する。そして、爪34が環状突起123を通過し終えると、弾性部31が弾性回復し、爪34と環状突起123とが係合する(ロック状態)。
図12は、接続されロック状態にあるオスコネクタ1及びメスコネクタ100を示した斜視図である。図13は、接続されロック状態にあるオスコネクタ1及びメスコネクタ100を示した断面図である。
ロックレバー30は、初期状態(図1、図2A、図2B、図3参照)とほぼ同じ位置にあり、その爪34がメスコネクタ100の環状突起123に係合している。オスルアー10がセプタム110のスリット111を貫通し、これによりセプタム110は大きく弾性変形している。オスルアー10の横孔12の開口は、基台120の内腔125内に露出している。この状態で、流路11及び横孔12を介して、オスルアー10とメスコネクタ100との間で液体を流通させることができる。
オスコネクタ1とメスコネクタ100との分離は、ロックレバー30の操作部35aに指を当てて、爪34がオスルアー10から離れる向きにロックレバー30を変位させることにより可能である(図5参照)。これにより、爪34と環状突起123との係合が解除される。これと並行して、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを互いに離れる向きに引っ張れば、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを分離することができる。セプタム110は、オスルアー10が抜き去られると直ちに弾性回復し、スリット111は閉じられる。
(作用)
以上のように、本実施形態によれば、オスルアー10がセプタム110を貫通した状態で、オスコネクタ1の爪34がメスコネクタ100の環状突起123に係合する。従って、オスルアー10がセプタム101から意図せずに抜けてしまうのが防止される。
オスコネクタ1は、メスコネクタ100の環状突起123に対して1つの爪34のみで係合している。操作部35aに押力Fを印加して爪34を変位させるとき、メスコネクタ100はフード20で保持されているので、ほとんど移動しない。従って、操作部35aに押力Fを印加して爪34を変位させるだけで、爪34と環状突起123との係合を確実に解除することができる。
上述したように、従来の一対のロックレバー930を備えたオスコネクタ900(図20A、図20B参照)では、2つの爪974がメスコネクタ900に係合するので、ロック状態を解除するためには、2つの爪974の係合を1つずつ順に解除しなければならない場合があった。これに対して、本実施形態では、メスコネクタ100に係合する爪34の数が1つのみであるので、単に操作部35aに押力F(図5参照)を印加してロックレバー30を変位させるだけでロック状態の解除を行うことができる。従って、ロック状態の解除動作が簡単であり、操作性が向上している。
また、本実施形態では、爪34と環状突起123との係合(ロック状態)を解除するためには、操作部35aをフード20に近づくように押力Fを印加すればよい。この操作は、一方の手の1本の指のみで行うことができる。従って、当該一方の手の残りの指及び手のひらでフード20を又は筒状部15に接続された部材を安定的に保持することが可能である。例えば、筒状部15にシリンジの外筒の先端(いわゆる口部)を接続した場合には、一方の手でシリンジの外筒を保持しながら、当該手の親指又は人差し指で操作部35aを押せばよい。
従来の一対のロックレバー930を備えたオスコネクタ900(図20A、図20B参照)では、ロック状態を解除するためには例えば一方の手の親指と人差し指で2つの操作部975を挟む必要があった。このときオスコネクタ900は2つの操作部975に添えられた2本の指のみで保持されることになる。したがって、ロック状態の解除動作が不安定になるという問題があった。これに対して、本実施形態では、フード20を又はオスコネクタ1に一体的に接続された部材(例えばシリンジ)を保持しながら1本の指のみでロック状態の解除を行うことができる。従って、ロック状態の解除を、オスコネクタ1を安定的に保持しながら1本の指のみで行うことができる。
爪34を、ロックレバー30の固定端30bからより遠い位置、好ましくは自由端30aに配置することにより、爪34の変位量を大きくすることができる。従って、操作部35aに印加する押力Fが小さくてもロック状態の解除を行うことが可能になり、操作性の向上に有利である。
図14は、爪34と環状突起123との係合部分の拡大断面図である。爪34の係合面34bと、環状突起123の係止面126とが互いに対向している。係合面34b及び係止面126には、互いに嵌合し合う嵌合構造がそれぞれ形成されている。即ち、係合面34bには嵌合構造として凸部34pが形成され、係止面126には嵌合構造として凹部126aが形成されている。そして、凸部34pが凹部126a内に嵌入している。
図15は、爪34と環状突起123とが係合した状態(図14参照)において、オスコネクタ1にメスコネクタ100から離れる向きの引っ張り力が作用したときの爪34及び環状突起123の変形を示した拡大断面図である。爪34は、ロックレバー30から水平方向に沿って突出し、環状突起123に係合している。ロックレバー30に図15において上向きの引っ張り力F1が作用すると、図22に示した従来のオスコネクタ950の爪974と同様に、爪34には曲げモーメントが作用し、爪34の係合面34bが図15において反時計回り方向に傾斜するように、爪34は弾性的に変形する。更に、メスコネクタ100の基台120の外周面から突出した環状突起123も、その係止面126が図15において反時計回り方向に傾斜するように、弾性的に変形する。爪34の係合面34bの傾斜及び環状突起123の係止面126の傾斜と並行して、ロックレバー30の爪34の近傍の部分は、基台120から離れる向きに変位する。
しかしながら、本実施形態では、爪34の係合面34bから突出した凸部34pが、環状突起123の係止面126の凹部126a内に嵌入している。従って、引っ張り力F1によって係合面34b及び係止面126が図15に示すように傾斜したとしても、凸部34pが凹部126aから脱出することは困難である。これにより、ロックレバー30の爪34の近傍の部分の基台120から離れる向きへの更なる変位が制限される。その結果、爪34と環状突起123との係合状態(ロック状態)が意図せずに解除される可能性が低減される。
本実施形態のオスコネクタ1が備えるロックレバー30の数は1つのみである。これに対して、従来のオスコネクタ950は2つのロックレバー970を備える。オスコネクタにメスコネクタから離れる向きに同一の引っ張り力が作用した場合、本実施形態のオスコネクタ1のロックレバー30に作用する引っ張り力F1は、従来のオスコネクタ950の1つのロックレバー970に作用する引っ張り力F6(図22参照)の約2倍になる。従って、本実施形態での爪34の係合面34bは、従来の爪974の係合面934bよりも、より大きく傾斜する。更に、本実施形態では、爪34が係合する環状突起123は、メスコネクタ100の基台120から水平方向に突出している。従って、引っ張り力F1が作用したとき、環状突起123の係止面126も傾斜する。これらの結果、本実施形態では、もし凸部34p及び凹部126aがなければ、従来のオスコネクタ950及びメスコネクタ900に比べて、引っ張り力によってロック状態が意図せずに解除される可能性は高い。本実施形態は、このように引っ張り力によるロック状態の意図しない解除に対して不利な構成を備えるにも関わらず、これを凸部34p及び凹部126aを備えることにより解消した。このように、本実施形態は、従来のオスコネクタ950及びメスコネクタ900に比べて、引っ張り力によって意図せずにロック状態が解除されて、オスコネクタ1とメスコネクタ100とが分離してしまう可能性が低減され、安全性が向上している。
環状突起123の凹部126aは、中心軸100aと同心の円に沿って延びた環状の溝である。これにより、メスコネクタ100に対するオスコネクタ1の中心軸1a,100a周りの回転方向の位置に関わらず、爪34を環状突起123の係止面126に係合させたとき、常に凸部34pを凹部126aに嵌入させることができる。その結果、引っ張り力によって意図せずにロック状態が解除されてしまうのを防止するという本発明の効果を安定的に奏することができる。
爪34の凸部34pのオスルアー10とは反対側の端縁34eは、オスルアー10と同軸の円弧形状を有している。これにより、環状の溝形状を有する凹部126aに対する凸部34pの周方向の係合領域を大きくすることができる。従って、引っ張り力によって意図せずにロック状態が解除されてしまう可能性を更に低減することができる。
更に、爪34の凸部34pのオスルアー10とは反対側の端縁34eがオスルアー10と同軸の円筒面であると、図15のように爪34の係合面34bが傾斜したとき、凸部34pの端縁34eが環状突起123の係止面126(特にその傾斜面126c)に食い込むように当接して係止される。従って、意図せずにロック状態が解除されてしまう可能性が更に低減される。
環状突起123の凹部126aより外側に傾斜面126cが設けられているので、オスコネクタ1の操作部35aを押圧してロックを解除する(図5参照)際に、爪34の凸部34pが凹部126aから脱出し易い。従って、ロック状態を解除する操作性が向上する。
爪34の基台19とは反対側に傾斜面34aが形成されているので、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを接続する工程では、作業者は、ロックレバー30に手を触れる必要はなく、単にメスコネクタ100をフード20内に押し込むだけで、爪34と環状突起123とを係合させることができる。従って、接続操作性が良好である。
フード20がオスルアー10を取り囲むので、作業者がオスルアー10に誤って手を触れる可能性を低減している。これは、危険な薬液や血液から作業者を隔離するのに有利である。
更に、フード20は、メスコネクタ100を水平面内で位置決めするのにも貢献する。即ち、フード20は、オスルアー10が、キャップ130の開口131内に露出したセプタム110のスリット111に正確に挿入されるように、オスルアー10に対してメスコネクタ100を位置決めする。また、フード20は、爪34が環状突起123に確実に係合するように、また、爪34と環状突起123との係合が確実に解除されるように、ロックレバー30に対してメスコネクタ100を位置決めする。
フード20に略「U」字状のスリット21が形成され、ロックレバー30は当該スリット21に囲まれている。これにより、フード20の円筒面にほぼ沿ったロックレバー30を形成することができるので、フード20の外周面より外側(オスルアー10とは反対側)にロックレバーを配置した場合に比べて、ロックレバー30のフード20の外周面からの突出量を抑えることができる。従って、外径が小さな小型のオスコネクタ1を実現できる。
フード20に形成されたスリット21は、フード20の上端にまで及んでいない。フード20は、スリット21よりも上に架橋部22を備える。その結果、フード20の上側の端縁20aは同一高さで周方向に連続している。これは、フード20の上側の端縁20aの強度を向上させる。これにより、ロック状態(図12、図13)にあるメスコネクタ100に水平方向の外力が作用した場合に、フード20がメスコネクタ100の傾きや移動を抑える。従って、メスコネクタ100の傾きや移動によって爪34と環状突起123との係合が外れるのが防止されるので、ロック状態が意図せずに解除される可能性が低減し、安全性が向上する。また、メスコネクタ100の傾きや移動によってフード20が破壊されるのを防ぐことができる。
オスルアー10の流路11は、オスルアー10の先端面10tには開口しておらず、流路11に連通した横孔12がオスルアー10の外周面に開口している。これは、セプタム110を貫通したオスルアー10を、その後セプタム110から引き抜く際に、横孔12の開口の周辺に付着する液体を、セプタム110のスリット111の端縁で剥ぎ取りやすくなるので、セプタム110から引き抜いた後に横孔12の開口の周辺に残存する液体量を少なくするのに有利である。
オスコネクタ1の爪34が係合するのは、メスコネクタ100の、キャップ130ではなく、基台120に形成された環状突起123である。従って、オスコネクタ1とメスコネクタ1とが接続された状態(図12、図13参照)において、オスコネクタ1にメスコネクタ100から離れる向きの引っ張り力が意図せずに加わっても、当該引っ張り力は、爪34が係合する環状突起123には作用するが、キャップ130には作用しない。従って、意図しない外力によってキャップ930が塑性変形又は破損するという従来のメスコネクタ900(図19A、図19B、図19C参照)の問題が、本実施形態では生じない。
従来のメスコネクタ900では、オスコネクタ950に作用する引っ張り力によってキャップ930の塑性変形や破損を防止するためには、キャップ930の周囲壁135の厚さ(半径方向の寸法)T(図19A参照)を大きくすればよい。ところが、厚さTを大きくすると、キャップ930の外径が拡大するので、メスコネクタ900及びオスコネクタ950を小型化することが困難であった。これに対して、本実施形態では、オスコネクタ1に作用する引っ張り力に対抗するためには、例えば環状突起123の幅(中心軸100a方向の寸法)W(図7B参照)を大きくすればよい。この場合、キャップ130及び環状突起123の外径を拡大する必要はない。環状突起123の幅Wを大きくする場合には、これに応じてキャップ130の周囲壁135の中心軸100a方向の寸法を小さくすることができる。従って、本実施形態によれば、メスコネクタ100及びオスコネクタ1を大型化することなく、オスコネクタ1に作用する引っ張り力力に対抗するための強度を有するメスコネクタ100を実現できる。
従来のメスコネクタ900では、基台920の外周面に形成された係止突起922を、キャップ930の周囲壁935に形成された係止孔936に嵌入させることにより、キャップ930を基台920に固定した(図19A参照)。このような半径方向に噛み合う係合構造では、基台920にキャップ930を強固に固定するためには、係止突起922の半径方向の突出高さを大きくし、且つ、キャップ930の周囲壁135の厚さTを大きくする必要がある。これがメスコネクタ900及びオスコネクタ950を小型化することを困難にしていた。これに対して、本実施形態では、キャップ130は、その周囲壁135に形成された切り欠き136の係合爪137に基台120の係合爪122を係合させることにより、基台120に固定される(図6、図8参照)。このような係合爪137と係合爪122とが略周方向に噛み合う係合構造では、基台120に対するキャップ130の固定強度は、係合爪137と係合爪122との周方向の噛み合い深さの大小に依存する。即ち、従来の半径方向に噛み合う係合構造とは異なり、キャップ130の外径を変えずに、キャップ130を基台120に強固に固定することができる。従って、本実施形態の係合爪137と係合爪122との係合構造は、メスコネクタ100及びオスコネクタ1の小径化に有利である。
上述したように、本実施形態では、オスコネクタ1とメスコネクタ100とが接続された状態(図12、図13参照)において、キャップ130に意図しない大きな外力が印加される可能性は低い。従って、基台120に対するキャップ130の固定強度を、従来に比べて小さくすることができる。これにより、係合爪137と係合爪122との周方向の噛み合い深さを小さくすることができる。これは、係合爪137と係合爪122とを係合させてキャップ130を基台120に装着する作業を容易にするので、メスコネクタ100の組み立て性の向上に有利である。
但し、基台920の係止突起922がキャップ930の周囲壁935の係止孔936に嵌入する従来の半径方向に噛み合う係合構造と同様の係合構造を、本実施形態のキャップ130を基台120に固定するための係合構造として用いてもよい。この場合であっても、本実施形態ではキャップ130に意図しない大きな外力が印加される可能性は低いので、キャップ130を従来のキャップ930に比べて小径化することは可能である。
環状突起123が基台120の全周囲にわたって連続しているので、メスコネクタ100にオスコネクタ1を接続する際に、オスコネクタ1がメスコネクタ100に対して中心軸1a,100aまわりの回転方向に任意の位置にあっても、爪34を環状突起123の係止面126に係合させることができる。これは、オスコネクタ1とメスコネクタ100との接続の操作性の向上に有利である。また、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを接続した状態のままで、メスコネクタ100に対してオスコネクタ1を中心軸1a,100aまわりに自由に回転させることができる。これは、オスコネクタ1とメスコネクタ100とを接続した状態で、例えばオスコネクタ1及び/又はメスコネクタ100に接続されたチューブの捩れを容易に解消するのに有利である。
環状突起123の頂部(中心軸100aから最も離れた部分)が周囲壁135の外周面と略同一面を形成している。これにより、メスコネクタ100にオスコネクタ1を接続する作業、及び、接続したオスコネクタ1をメスコネクタ100から分離する作業を、キャップ130の周囲壁135及び環状突起123の上を爪34の先端34tを摺動させながら行うことができる。これは、接続及び分離の作業性の向上に有利である。同様に、係合突起121の頂部(中心軸100aから最も離れた部分)が周囲壁135の外周面と略同一面を形成していることも、接続及び分離の作業性の向上に有利である。
(各種変更実施形態)
上記の実施形態は、例示にすぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
上記の実施形態では、爪34の係合面34b及び環状突起123の係止面126に設けられる、互いに嵌合し合う嵌合構造として、係合面34bに凸部34pが設けられ、係止面126に凹部126aが設けられていた。本発明は、これに限定されず、例えば係合面34bに凹部を設け、係止面126に凸部を設けてもよい。この場合、係合面34bに設けられる凹部は、オスルアー10と同軸の円弧に沿って延びた溝であることが好ましく、また、当該凹部にオスルアー10側に隣接して傾斜面が設けられることが好ましい。また、係止面126に設けられる凸部は、中心軸100aと同心の円に沿って延びた環状の凸部であることが好ましく、当該凸部の中心軸100a側の端縁が中心軸100aと同軸の円筒面を有していることが好ましい。
図16に示すように、オスコネクタ2のフード20に、その上側の端縁20aからオスルアー10と平行に基台19に向かって延びる一対の切り欠き23を形成してもよい。一対の切り欠き23は、オスルアー10を挟んで対向し、一対の切り欠き23が対向する方向は、ロックレバー30とオスルアー10とが対向する方向と略直交する。このオスコネクタ2は、図17に示すメスコネクタ200と接続することができる。メスコネクタ200は、柔軟なチューブ230の途中に設けられており、いわゆる混注ポート(例えば特許文献3参照)として機能する。メスコネクタ200の構成は、上記のメスコネクタ100と概略同じである。メスコネクタ100には、周方向に連続した環状突起123が形成されていたが、図17のメスコネクタ200には、周方向の一部のみに円弧状の突起223が形成されている。この突起223の下側を向いた係止面にロックレバー30に形成された爪34が係合する。係止面には、上述した係止面126に設けられた溝(凹部)126a及び傾斜面126cと同様の溝及び傾斜面が形成されている。図18は、オスコネクタ2をメスコネクタ200に接続した状態を示した斜視図である。フード20に形成された切り欠き23内に、ニードルレスポート200の外周面に接続されたチューブ230が嵌入している。このように、フード20に切り欠き23を形成したオスコネクタ2は、フード20がチューブ230に干渉することなく、混注ポート200に接続することができる。
ロックレバー30は、メスコネクタに係合する爪を備え、且つ、弾性変位可能な片持ち支持構造を有していれば、その形状は任意に変更することができる。例えば、上記の実施形態のロックレバー30は、フード20に略「U」字状のスリット21を形成することにより形成したが、例えば、ロックレバーをフード20よりも外側(オスルアー10から遠い側)に、フード20から離間して設けてもよい。このとき、ロックレバーの固定端はフード20の外周面に、または、フード20からはみ出させた基台19に、設けることができる。ロックレバーの爪は、フードに形成した開口を介して、または、フードの上側の端縁20aよりも上側においてメスコネクタに係合させることができる。
操作アーム35の形状も、任意に変更することができる。操作アーム35の操作部35aは、上下方向において、ロックレバー30の固定端30bよりも下側に、固定端30bから離れるにしたがって、ロックレバー30を変位させるために必要な力Fを小さくすることができる。操作アーム35の基端35bは、基端35bと固定端30bとの間のロックレバー30の領域を弾性部31として確保できるように、固定端30bから離れた位置に設けることが好ましい。但し、基端35bを自由端30aに近づけると、操作アーム35を長くする必要があり、操作アーム35の機械的強度が低下する。一般には、上記の実施形態のように、固定端30bと自由端30aとのほぼ中間位置に操作アーム35の基端35bを設けることが好ましい。
上記の実施形態では、オスルアー10の横孔12は、中心軸1aに直交する直線(即ち半径方向)に沿って延びていたが、本発明はこれに限定されず、中心軸1aに対して直角以外の角度で交差する直線に沿って延びていてもよい。横孔12の数も上記の実施形態に限定されず、任意に変更することができる。また、横孔12を形成せずに、オスルアー10の先端面10tに流路11が開口していてもよい。
メスコネクタと非接続時にオルアー10の流路の先端側の開口が露出しないように、オスルアー10にカバーを取り付けてもよい。このカバーは、ゴム弾性を有する柔軟な材料からなり、オスルアー10をメスコネクタに接続する場合にはオスルアー10によって貫通されて弾性的に圧縮変形する(特許文献4,5参照)。
上記の実施形態では、爪34が係合する係止面126は、メスコネクタの基台120の外周面から半径方向に沿って外向きに突出した環状突起123の下面に設けられていたが、係止面はこれ以外の箇所に設けられていてもよい。例えば、従来のメスコネクタ900と同様に、爪34が係合する係止面が、キャップ130の周囲壁135の下側の端面に設けられていてもよい。あるいは、基台120の外周面に周方向に沿って延びた溝の内壁面が、爪34が係合する係止面であってもよい。
上記の実施形態では、爪34が係合する突起123,223の頂部は、キャップ130の周囲壁135の外周面と略同一面を形成したが、突起123,223の頂部が周囲壁135の外周面に対して突出していてもよく、あるいは、窪んでいてもよい。
基台120は、液体を流通させるための通路(内腔125)を有していればよく、上記の実施形態のような円筒形状を有している必要はない。例えば中空の多角柱形状(正四角柱形状、正六角柱形状など)を有していてもよい。基台120の外周面の形状に嵌合するように、キャップ130の周囲壁135の内周面の形状を設定することができる。
上記の実施形態では、係合爪122と係合爪137とを係合させることによりキャップ130を基台120に固定した。キャップ130及び基台120にそれぞれ形成した係合構造を係合させてキャップ130を基台120に固定する方法は、メスコネクタの組み立てを容易且つ迅速に行うのに有利である。但し、本発明ではキャップ130を基台120に固定する方法は係合に限定されず、例えば、接着、溶着など任意の固定方法を用いることができる。接着方法としては、シアノアクリレート系、ウレタン系、エポキシ系などの接着剤を用いる方法や、キャップ130及び/又は基台120の材料を溶かす溶剤を用いる方法などを例示できる。溶着方法としては、超音波溶着、高周波溶着、熱溶着など公知の方法を用いることができる。
上記の実施形態では、セプタム110の、オスルアーが挿入される貫通孔が、直線状のスリット111であったが、貫通孔の形状はこれに限定されない。例えば、貫通孔の平面視形状(上方から見た形状)は、曲線状、2以上の直線又は曲線が交差した形状(例えば十字形状)、点状など任意の形状であってもよい。貫通孔は、その平面視形状に関わらず、オスルアーを挿入する際にはオスルアーの外周面の形状に応じて弾性的に変形してオスルアーの挿入を可能にし、オスルアーを抜き去ると直ちに初期形状に戻り液密に閉じるものであることが好ましい。