JP2015211092A - 配線基板および半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属基板上に形成された無機系絶縁層に対して密着性が高く、低温で焼成することで形成することのできる低抵抗の配線基板及び半導体装置の提供。【解決手段】絶縁層の上面に形成された導電層を備える配線基板であって、前記基板は少なくとも上面が金属であり、前記絶縁層が、平均粒径がサブμm以下の粒子を多数含んで構成された多孔質の絶縁層であり、前記導電層が、前記絶縁層の上面に樹脂及び金属粉末を含有する金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層と、第一の導電層の上面に複合金属粉末を含有するハイブリッド金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層よりも低抵抗の第二の導電層とを備えて構成されること、前記複合金属粉末が、平均粒径が数百nm〜数μmの球状金属粒子、球状金属粒子よりも長軸の平均長さが2倍以上長く且つ長軸の平均長さが1〜数μmの薄片状金属粒子、及び平均粒径が数nm〜数十nmの金属ナノ粒子を含む配線基板及びその半導体装置。【選択図】図3

Description

本発明は、配線基板および半導体装置に関し、例えば、ナノ粒子化されたSiO及び白色無機顔料を含む液材を金属面上に塗布、加熱処理して形成される白色反射または絶縁層を有するLED発光装置に関する。本明細書における「塗布」の用語には、インクジェット法、ディスペンサー法、スプレーコート法またはスクリーン印刷法を含むものとする。
従来、金属粒子を用いて基板上に配線を形成する方法としては、金属粒子を樹脂接着剤やガラスフリット中に含ませた金属ペーストとし、これを基板上に印刷、塗布して加熱焼成する方法が一般的である。この金属ペーストに用いられている金属粒子は、数マイクロメートル(μm)から数十マイクロメートル(μm)のミクロンサイズ単位の金属微粒子が用いられ、電気的な結合は主に粒子間の接触に頼っている。
近年、金属粒子の粒径に注目がなされ、数ナノメートル(nm)から数十ナノメートル(nm)の金属超微粒子を使用することが提案されている。このように、粒径が小さいということは、対象物との接触点が多くなることにより薄膜に形成できること、表面状態がより平坦にできることなどの利点がある。特に、金属超微粒子では微粒子としての特異性が顕著になり、例えば、融点降下や、反応性が上がるなどのサイズ効果が認められる。金属超微粒子の融合によって形成された金属薄膜は、金属微粒子を並べて単に粒子同士の接触によって電気伝導を取っていた材料よりも低い抵抗値を期待できる。
このような性質を持った金属超微粒子を配線材料に利用することは、例えば、ミクロンサイズの金属微粒子(平均粒径がμmオーダーの粒子)とナノサイズの金属超微粒子(平均粒径がnmオーダーの粒子)の両方を含有することで、大きい金属粒子間の隅間を超微粒子が埋めて抵抗値を下げた導電性ペーストを配線材料とすることが提案されている。
具体例を挙げると、微細パターンの印刷が可能で、低温での熱処理で高い導電率を発現し、密着性に優れた樹脂金属複合導電材料を提供することを目的として、液状樹脂内においてミクロンサイズ金属粒子の表面には金属ナノサイズ粒子が吸着しており、そしてミクロンサイズ金属粒子同士は金属ナノサイズ粒子を介して接触する構造を有するように金属粒子を配合し、これを300℃以下の比較的低温にて熱処理を行うことにより樹脂中に金属焼結体を形成した導電材料が提案されている(特許文献1)。
ペーストの組成及び粒子径を改善することによって管理・生産性に優れるとともに製造される電子部品等の高性能を担保できる導電回路描画用ペーストを提供することを目的として、ナノサイズ乃至数ミクロンサイズのCu、Ni、Pdから選択した金属微粒子を主材料とし、それにナノサイズのAg又はAuからなる副材料及びナノサイズの還元物質を含有させて、主材料に副材料及び還元物質を混合し複合させる提案(特許文献2)や、金属ナノ粒子とこれより粒径の大きな金属粉を同時に存在させて、金属粉の隙間に金属微粒子が介在した状態となすことにより金属どうしが十分に接触した状態で導電性に優れた材料を得ること、また、熱伝導性が良いので比較的低温で焼結できるペーストが提案されている(特許文献3)。
熱処理することで導電性微粒子同士が結合して配線を基板上に形成するための配線材料において、導電性微粒子を含み、上記基板に接着するためのバインダー機能を有する第1層と、該第1層上に導電性微粒子を含む第2層とが積層され、上記導電性微粒子は、粒径が数ナノメートルから数十ナノメートルの金属超微粒子からなり、上記第1層は、含有される金属超微粒子の濃度が上記第2層に含有されている金属超微粒子の濃度よりも小さくなるように設定され、上記熱処理における加熱により蒸発する有機材料で上記金属超微粒子の周りをコーティングしたコロイド材料と、該基板に接着するためのバインダー材料とを溶媒に分散させた、主成分がアルコキシル基からなる層であり、上記第2層は、上記コロイド材料のみを溶媒に分散させた層とする配線材料が提案されている(特許文献4)。
さらに、従来、厚膜の導電層を形成するための工夫がなされており、例えば、印刷焼成する回数が少なくその分だけ厚さが薄く且つ目標とする抵抗値を下げることを可能にした積層導電パターンを提供するために、絶縁基板上に金被膜層からなる導電パターンを形成し、この金被膜導電パターン上に金よりも固有抵抗が小さく且つ金との密着性を良好にするために接着剤を混入した銀ペーストで第1の銀被膜導電層を形成する。この第1の銀被膜導電層上に第1の銀被膜導電層よりも固有抵抗の小さい銀ペーストで一層以上の第2の銀被膜導電層を形成することが提案されている(特許文献5)。
ところで、出願人等は、耐熱性、放熱性及び耐久性に優れ、反射材として機能する白色絶縁層と金属層の積層構造を備える半導体装置を提案した(特許文献6)。この白色絶縁層の表面に導電層を形成した場合、密着性が悪く、剥離するという問題が生じていた。そのため、プラズマ処理等で撥水性残渣を除去し表面活性化を行うと共に、必要であれば素材間の密着性を向上させるプライマー処理(例えばエポキシプライマー)をした後、導電層を形成する必要があった。
特開2006−339057号公報 特開2005−229106号公報 特開2005−60831号公報 特許第4219822号公報 特開平6−244518号公報 WO2013/018783
従来、金属粒子を含む金属ペーストを基板上に塗布、焼成して導電層を形成することが行われているが、0.5A以上の大電流を流すためには、導電層の厚みを数十μm以上とすることが必要であった。しかしながら、平均粒径がナノサイズの金属ナノ粒子を単独で使用した導電膜では、焼成後の体積収縮が大きく、数μm程度の導電層を形成する場合には問題はないものの、数十μmの導電層を形成した場合にはクラックが発生して導電層が剥離してしまうという課題があった。
従来、金属基板上に形成された無機系絶縁層に対して密着性が高く、低抵抗で厚塗りのできる金属ペーストは知られていなかった。
低温同時焼成セラミックス(LTCC)で使用されるような800〜900℃で焼成する銀ペーストでは、金属基板が酸化するため使用することができなかった。また、樹脂を含有する金属ペーストは、200℃以下で硬化し密着性も良好であるものの、金属粒子が焼成しないため電気抵抗が大きいという課題があった。
そこで、本発明は、金属基板上に形成された無機系絶縁層に対して密着性が高く、低温で焼成することで形成することのできる低抵抗の配線基板および半導体装置を提供することを目的とする。
市販の金属ナノ粒子と金属マイクロ粒子(例えば平均粒径1μmで最大粒径4μmの金属粒子)を混合した金属ペーストを用いて導電層を形成した場合、にじみ(ブリード)が発生するという課題がある。かかる構成では、レベリング性(メッシュ痕)が悪化し、表面の凹凸のためにワイヤーボンディングの強度が低くなるという課題もある。他方で、凹凸面にメッキをするとワイヤーボンディングの画像認識がしづらくなるといった課題が発生する。
また、出願人等が特許文献6で提案した白色絶縁層を表面が金属からなる基板上に形成した場合、白色絶縁層と導電層との密着性の点で問題があった。
本発明者らは、金属ナノ粒子を使用した導電膜のこれらの問題点を解決することを目標に鋭意努力を積み重ねることにより三元の粒径からなる複合金属粉末の使用に到達したものであり、焼成時の体積収縮を抑制するとともに厚膜導電膜の形成を可能とし、さらに、ブリードの発生およびレベリング性の悪化の問題を解決することを可能とした。
また、導電層を樹脂および金属粉末を含有する第一の導電層と複合金属粉末を含有する第二の導電層を備えて構成することにより、上述した白色絶縁層の上に密着性が良好な導電層を形成することを可能とした。
すなわち、本発明は、以下の技術的手段により構成される。
[1]基板と、当該基板の上面に形成された絶縁層と、当該絶縁層の上面に形成された導電層とを備える配線基板であって、前記基板は少なくとも上面が金属であり、前記絶縁層が、平均粒径がサブμm以下の粒子を多数含んで構成された多孔質の絶縁層であり、前記導電層が、前記絶縁層の上面に樹脂および金属粉末を含有する金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層と、第一の導電層の上面に複合金属粉末を含有するハイブリッド金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層よりも低抵抗の第二の導電層とを備えて構成されること、前記複合金属粉末が、平均粒径が数百nm〜数μmの球状金属粒子、球状金属粒子よりも長軸の平均長さが2倍以上長く且つ長軸の平均長さが1〜数μmの薄片状金属粒子、および平均粒径が数nm〜数十nmの金属ナノ粒子を含むことを特徴とする配線基板。
[2]前記導電層の厚さが平均10〜150μmであり、前記第一の導電層の厚さが前記第二の導電層の厚さより薄く且つ平均1〜10μmの範囲で設定されることを特徴とする[1]に記載の配線基板。
[3]前記第一の導電層の金属粉末が、長軸の平均長さが1〜数μm、且つ、長軸の平均長さが短軸の1.2〜3倍の薄片状金属粒子からなることを特徴とする[1]または[2]に記載の配線基板。
[4]前記金属粉末が、銀粉末であり、前記複合金属粉末が、球状銀粒子、薄片状銀粒子およびナノ銀粒子から構成され、前記導電層が、160〜230℃で加熱して形成されることを特徴とする[1]ないし[3]のいずれかに記載の配線基板。
[5]前記絶縁層が、平均粒径が数μm以下のSiO粒子及び白色無機顔料を含む反射材として機能する白色絶縁層であり、前記白色絶縁層と金属層の積層構造を前記基板の上面に形成したことを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかに記載の配線基板。
[6]前記白色無機顔料が、二酸化チタン、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛のいずれか或いはこれらを組み合わせたものであることを特徴とする[5]に記載の配線基板。
[7]前記複合金属粉末が、薄片状金属粒子100重量部に対して、球状金属粒子が40〜450重量部および金属ナノ粒子が40〜200重量部からなり、さらに、薄片状金属粒子と球状金属粒子の合計100重量部に対して金属ナノ粒子が20〜45重量部の割合であることを特徴とする[1]ないし[6]のいずれかに記載の配線基板。
[8][1]ないし[7]のいずれかに記載の配線基板を備える配線基板と、前記絶縁層の上にCOB実装された半導体チップを備えることを特徴とする半導体装置。
[9][5]または[6]に記載の配線基板を備える配線基板と、前記白色絶縁層の上にCOB実装された多数のLEDチップを備えることを特徴とする半導体装置。
本発明によれば、クラックがなく、滑らかな表面を有する導電層を提供できるので、ワイヤーボンド強度を向上させることが可能である。
また、金属複合粉末が金属結合された低抵抗で大電流通電が可能な導電層を提供することが可能となる。
また、金属粒子と樹脂を含有する接着層を介在することにより、絶縁層上に良好な密着性をもって導電層を形成することが可能である。
さらに、本発明の配線基板は、導電層を230℃以下の低温焼成により形成することが可能であるので、多様な材料を用いて配線基板を構成することが可能である。
本発明の配線基板の概要側面図を示す。 本発明の配線基板を用いたLED照明モジュールの側面断面図を示す。 (a)はベース基板上の白色絶縁層の断面を示す模式図、(b)は白色絶縁層上に接着層を形成した状態の断面を示す模式図、(c)は接着層上に低抵抗層を形成した状態の断面を示す模式図および低抵抗層の拡大図である。 絶縁層上に形成した焼成後の導電層の断面を示す模式図である。 薄片状銀粒子の電子顕微鏡写真である。 実施例で作製した低抵抗厚膜配線の断面の電子顕微鏡写真である。 図6の白色絶縁層、接着層、低抵抗層の界面の拡大写真である。 (a)は焼成後の低抵抗層の表面部分の断面写真、(b)は中間層の断面写真である。 (a)はプレ焼成処理をした低抵抗層の断面写真、(b)は230℃で本焼成した後の断面写真である。 (a−1)は焼成前の低抵抗層の表面写真(10,000倍)であり、(a−2)は焼成前の低抵抗層の表面写真(30,000倍)であり、(b−1)は焼成後の低抵抗層の表面写真(10,000倍)であり、(b−2)は焼成後の低抵抗層の表面写真(30,000倍)である。
本発明の配線基板1は、図1に示すように、ベース基板2と、絶縁層3と、接着層4および低抵抗層5からなる導電層6とを主要な構成要素とする。配線基板1は、例えば、LEDチップまたはパッケージが搭載されるLED照明モジュール用基板、パワー半導体チップが搭載されるパワー半導体パッケージ用基板である。
図2は、本発明の配線基板1を用いたLED照明モジュール20の側面断面図である。ベース基板2の反射領域には多数のLEDチップ21がCOB実装される。反射領域は、反射材として機能する絶縁層3により覆われている。なお、LEDチップ21が載置される場所に絶縁層3を設けず、代わりに熱伝導性に優れた凸状載置部を設けてもよい。反射領域は、ダム材23内により囲まれており、透明または半透明の透光性樹脂24が封止される。絶縁層3の上面には、導電層6により配線パターンが形成されている。LED照明モジュール20は、ヒートスプレッダを介してベース基板2の裏面からヒートシンクに放熱する構造を設け、リフクレタ(および/またはレンズ)を取り付けることによりLED照明装置を構成する。絶縁層3を後述する白色無機インクにより形成すれば、多数個(例えば100〜2000個)の数Wクラス(例えば、0.5〜4W)のLED素子(LEDダイス)をCOB実装し、数百W以上(例えば、200〜1000W)の光源を構成することも可能である。
以下では、配線基板1が、LED照明モジュール用基板である場合の実施形態例を説明する。
[ベース基板]
ベース基板2は、熱伝導性および電気特性に優れる材料であり、例えば、銅板またはアルミ板により構成される。ベース基板2は、例えば、矩形状、多角形状または円形状である。配線基板1に、例えば888個のLEDチップを高密度に実装して高輝度の光源を構成する場合、ベース基板2の外形寸法を90mm×90mm×1mmとすることが開示される。
[絶縁層]
実施形態例に係る絶縁層3は、反射材としての役割をも奏する無機系の白色絶縁層である。この絶縁層3は、可視光の波長域で平均反射率が70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。絶縁層3は、白色無機粉末(白色無機顔料)と二酸化珪素(SiO)を主要な成分とし、有機リン酸を含むジエチレングリコールモノブチルエーテルの溶剤でこれらを混ぜたインク(以下、「白色無機インク」という場合がある)を塗布、加熱処理して形成される。ここで、白色無機インクの塗布は、例えば、インクジェット法、ディスペンサー法、スプレーコート法またはスクリーン印刷法により行われる。絶縁層3の厚さは、放熱特性の観点からは、薄いほうが望ましいが、耐電圧と引き裂き強度の観点からは、ある程度の厚さが要求される。白色無機粉末と二酸化珪素の配合割合にもよるが、LED搭載に要求される絶縁膜の耐電圧は一般的には1.5〜5kVであり、白色無機絶縁体は1KV/10μm程度であるところ、15μm以上の厚さとすることが好ましい。他方で、無機系白色絶縁層14により放熱性能が低下するのを防ぐためには、無機系白色絶縁層14を一定の厚さ以下とすることが好ましい。すなわち、無機系白色絶縁層14の厚さは、例えば10〜150μmの範囲で設定され、好ましくは15〜100μm、より好ましくは25〜70μm、さらに好ましくは30〜60μm、さらにさらに好ましくは40〜60μm、最も好ましくは40〜50μmの範囲で設定する。
上記の白色絶縁層は、成膜された白色絶縁層の80重量%以上(好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上)が無機材料で構成されていることが好ましい。例えば、90重量%以上が無機材料で構成されているインクを塗布し、加熱処理すると、有機材料が殆ど存在しない絶縁層を形成することができる。
また、無機材料を構成する二酸化珪素(SiO)の平均粒径が数μm以下であることが好ましく、さらにはナノ粒子化されていることが好ましい。ここで、無機材料を構成する白色無機粉末の粒径を1μm以下とすることが好ましく、より好ましくは、無機材料を構成する白色無機粉末もナノ粒子化する。少なくともSiOをナノ粒子化することにより、これまで困難であった80重量%以上が無機材料で構成される液材(白色無機インク)を塗布することが可能となり、また光の波長に比べ粒子径が十分に小さいため反射率も向上される。
ここで、ナノ粒子とは、直径が数nm〜数百nmの粒子をいう。
白色無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化マグネシウムのいずれか、或いはこれらを組み合わせたものが用いられる。成膜された白色絶縁層中の白色無機顔料の含有率は、要求される反射率等により適宜調整されるが、好ましくは40〜70重量%、より好ましくは、50〜65重量%とする。40重量%以上とすることで十分な反射効果が得られ、70重量%以下ならば均一な膜を形成するために必要なインクの流動性を確保できるからである。
白色無機粉末は、平均粒径は50nm以下のものを用いることが好ましく、これに粒径が25nm以下のものを含んでいることがより好ましい。
白色絶縁層の放熱性能を向上させるために、上述した液材(白色無機インク)に無機材料からなる高熱伝導フィラー(例えば炭化ケイ素(SiC)にnmサイズのアルミナ膜をコートしたもの)を混入させても良い。例えば、SiCの熱伝導率は160w/m・k程度であり、二酸化チタン(TiO)の約20倍の熱伝導率を有する。高熱伝導フィラーの割合を増やすのに伴い放熱性は向上するが、他方で反射率は低下する。そのため、白色無機顔料の重量100に対して1〜30、好ましくは5〜20、更に好ましくは5〜15の割合で混入させる。
このような絶縁材料からなる白色無機インクを金属板上に塗布し、例えば、160〜230℃で加熱することで、溶剤中に分散したナノサイズ絶縁粒子が基材表面の凹凸に倣って配列すると共に、溶剤が蒸発して緻密な多孔質の白色絶縁層(膜)が形成される。このように、本発明では、白色絶縁層を構成する絶縁材料をインク化することにより、基板上の所望位置に所望の形状及び厚さの白色絶縁層を構成することを可能としている。
他方で、上記の白色絶縁層には、通常の銀ペーストを白色絶縁層の上面に塗布・焼成して導電層を形成した場合、白色絶縁層と導電層の密着性が悪いという課題がある。そのため、次に述べる接着層4を設けることが重要である。
[接着層]
接着層4は、接着機能を有する導電性樹脂組成物であり、低抵抗層5より薄く形成される。接着層4は、低抵抗層5と共に導電層6を構成する。本明細書では、接着層4を第一の導電層と呼称し、低抵抗層5を第二の導電層と呼称する場合もある。
接着層4は、導電性フィラーとして機能する金属粒子およびバインダー樹脂を含む金属ペーストを絶縁層3上に塗布し、加熱することにより形成される。この金属ペーストに含まれる金属粒子は、通常の印刷回路、導電膜に使用されている材料が使用されるが、最も一般的なものは銀(Ag)の粒子である。この金属ペーストに含まれるバインダー樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が開示される。接着層4を構成するバインダー樹脂は、多孔質の絶縁層3に浸み込み、硬化することによりアンカー効果が奏される。
接着層4中の金属粒子は、バインダー樹脂内に埋没しないように、薄片状銀粒子(フレーク状金属粒子)を用いることが好ましい。接着層4の樹脂から露出した銀粒子と低抵抗層5中のナノ銀粒子が焼結し、両層が強固に接合するからである。接着層4中の金属粒子は、160〜230℃の加熱により焼結する必要は無いため、例えば、短軸の平均長さが1〜数μm、長軸の平均長さが短軸の1.2〜3倍の薄片状銀粒子を用いること、より詳細には長軸径の平均が3.2〜4μm、短軸径の平均が2.4〜3μm、厚みが0.3〜0.5μm、アスペクト比(長軸径/厚み)6〜13の薄片状銀粒子を用いることが開示される。この場合、電気抵抗が大きくなるため、接着層4の厚みは1〜10μmの範囲で設定することが好ましい。
密着力試験として接着層4上に低抵抗層5を形成してテープピール試験(セロファンテープを膜の表面に張り付けてはがして剥離状態を観察する試験)を行ったところ、剥離は全く確認されなかった。比較例として絶縁層3上に直に低抵抗層5を形成したところ、少しの振動でも剥離が生じた。
[低抵抗層]
低抵抗層5は、例えば10μm〜150μmの厚さを持つ導電層であり、薄片状金属粒子(フレーク状金属粒子)、球状金属粒子および金属ナノ粒子からなる複合金属粉末を含むハイブリッド金属ペーストを接着層4上に塗布し、160〜230℃で加熱することにより形成される。薄片状金属粒子は、接着層4で用いる薄片状銀粒子と同じものを用いることができる。複合金属粉末は、薄片状金属粒子、球状金属粒子および金属ナノ粒子からなる三元金属粒子であり、好ましくは、複合金属粉末の20〜30重量%の金属ナノ粒子を添加する。より詳細には、薄片状金属粒子100重量部に対して、球状金属粒子が40〜450重量部および金属ナノ粒子が40〜200重量部からなり、さらに、薄片状金属粒子と球状金属粒子の合計100重量部に対して金属ナノ粒子が25〜45重量部の割合の組成とする。金属ナノ粒子の割合が多すぎると、焼成後の膜厚減少率が高くなり、導電層のクラックや剥離が発生する。金属ペースト中の金属粒子を金属ナノ粒子単独とし、230℃で60分焼成した際の膜厚減少率は70〜76%であった。
複合金属粉末を構成する三種類の金属粒子の役割は、次のとおりである。
薄片状金属粒子は、例えば長軸の平均長さが1〜6μm、短軸の平均長さが1〜5μmの長尺のフレーク状粒子であり、それ自体が焼結しないため収縮することはなく形成された導電層のクラック防止、体積収縮の防止に有用である。薄片状金属粒子が上記の範囲より大きくなると表面のレベリング性の低下、他の金属粒子との混合特性などの悪化が生じて好ましくはない。また、上記の範囲より小さくなると焼成後のクラック発生、体積収縮の防止効果が低下する。
球状金属粒子は、例えば平均粒径が0.5〜5μmであり、導電層における金属の充填率を向上することにより膜の低抵抗化に寄与する。すなわち、球状金属粒子は、薄片状金属粒子間の空隙を充填することにより配線の抵抗を下げる作用を奏する。平均粒径がこの上記の範囲よりも大きくなると薄片状金属粒子が形成する隙間を埋めることができなくなり配線の抵抗値を下げることができない。また、平均粒径がこの上記の範囲を下回ると、隙間に埋没して薄片状金属粒子との接触点が減少し抵抗値に悪影響を与える。なお、球状金属粒子は、薄片状金属粒子と比べ相対的に球に近い形状であることから球状と呼称しているに過ぎず、例えば扁平状の場合もある。
金属ナノ粒子は、例えば平均粒径が10〜100nm(好ましくは平均粒径が10〜50nm)であり、薄片状金属粒子と球状金属粒子の表面を被覆し、低温で焼結することにより薄片状金属粒子と球状金属粒子を金属結合して印刷後のレベリング性の向上、なめらかな配線表面によるワイヤーボンド強度の向上に寄与する。厚みを数十μmとするためには、例えば金属ペーストを複数回塗布して積層することにより行われる。平均粒径が上記の範囲よりも大きくなると薄片状金属粒子あるいは球状金属粒子表面への被覆作用が低下する。また、平均粒径が上記の範囲を下回る粒径のものは入手が困難となるばかりか取扱いが困難となり好ましくはない。
金属ナノ粒子、例えば、銀(Ag)の融点は961.9℃であるが、粒径が約100nmから粒子同士が焼結を始める温度が著しく下がり始め、10nm程度の大きさの焼結温度は200〜250℃まで下がることが知られている。こうした金属ナノ粒子を用いると、焼結温度が低いため、高温加熱時に酸化が生じる金属基板はもちろんのこと、有機膜またはプラスチック基板などの低温焼成が要求される機材類にも配線形成が可能となる。
複合金属粉末を、こうした各金属粒子の配合とすることにより焼成による体積収縮が少なく、厚膜(例えば10〜150μm、好ましくは30〜150μm、より好ましくは50〜150μm)の形成が容易となり、ブリードや凹凸のない表面を得ることができる。
本発明のハイブリッド金属ペーストに使用する金属粒子は、通常の印刷回路、導電膜に使用されている材料が使用されるが、最も一般的なものは銀(Ag)の粒子である。ハイブリッド金属ペースト中には、金属粒子と公知の分散媒以外に入っている成分として、希釈剤、耐腐食材料、粘性付与剤などが含有されてもよい。
[絶縁層と導電層の積層構造]
図3(a)は、ベース基板2上に形成した絶縁層3を示す模式図である。絶縁層3は、上述の白色無機インクを塗布、加熱処理して形成した無機系白色絶縁層である。白色絶縁層3は多孔質であり、この上に接着層4を設けることにより低抵抗層5と白色絶縁層3との接着を強固にする。
接着層4は、上述したように樹脂含有の金属ペーストを絶縁層3の表面上に塗布し、加熱処理することにより形成される。未硬化の樹脂成分(および金属粒子)が白色絶縁層3の表面隙間に浸み込み、樹脂を熱硬化させることにより樹脂によるアンカー効果が得られる(図3(b)参照)。
続いて、接着層4の表面上に3種の複合金属粉末を含むハイブリッド金属ペーストを塗布し、焼成することにより低抵抗層5が形成される。実施形態例では、複合金属粉末を大きさ・形状の異なる銀粒子により構成した。このとき、ハイブリッド金属ペースト中のナノ銀粒子は薄片状銀粒子と球状銀粒子の表面を被覆するよう作用する(図3(c)参照)。
接着層4および低抵抗層5の焼成は、通常は同時に行うが、個別に行ってもよい。いずれにせよ、ハイブリッド金属ペーストを塗布して積層構造とした後、焼成することにより、銀粒子が焼結してベース基板上に低抵抗層5が形成される。
図4に、絶縁層3上に形成した焼成後の導電層6の断面を示す模式図を示す。クラックのない滑らかな導電層の表面11はレベリング性が良好であり、ワイヤーボンドの強度を向上させる。
三種の複合金属粒子が金属結合した低抵抗層の中間層12は、大電流の通電を可能とする。
低抵抗層と接着層の界面13付近では接着層4の表面にある金属粒子と低抵抗層5の金属粒子が焼結することで密着性、接着強度および導電性を向上させている。接着層の界面13では、接着層4の樹脂から露出した銀粒子と焼結した低抵抗層5中のナノ銀粒子が金属結合を構成している。
接着層と絶縁層の界面14付近では樹脂が空隙に浸み込んで硬化しており、密着性および接着強度は良好である。
以上に説明した本発明の配線基板1によれば、にじみ(ブリード)が無く、レベリング性が良好な導電層6を形成することができるので、ワイヤーボンディングの強度を高めることが可能となる。また、導電層6にメッキをしても凹凸が少ないため、ワイヤーボンディングの画像認識性は良好である。
また、絶縁層3を無機系材料からなる絶縁層により構成した場合でも、無機系絶縁層と導電層6との密着性を良好とすることが可能である。
なお、絶縁層3は有機系材料からなる絶縁層であってもよく、実験の結果、有機系材料からなる絶縁層においても、本発明の接着層4により良好な密着性が得られることは確認済みである。
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
複合金属粒子として次の3種の銀粒子を配合して薄片状銀粒子100重量部に対して、球状銀粒子200重量部、ナノ銀粒子100重量部となるように配合し、テキサノールを溶媒としてハイブリッド金属ペーストを調製した。
(1)薄片状金属粒子:平均長軸径が3.0〜6.0μm、比表面積(BET多点法)が1.5〜2.6m/g、メジアン径(D50)が2.78の薄片状銀粉粒子(図5に顕微鏡写真を示す。)
(2)球状金属粒子および金属ナノ粒子:平均粒径が1μm、最大粒径が4μmの球形銀粉および平均粒径が50〜100nmの混合物からなる銀粒子
(3)金属ナノ粒子:平均粒径が30nmのナノ銀粒子
銅からなるベース基板上に上述の白色絶縁層を形成し、接着層用金属ペーストを塗布し、200℃30分間加熱処理した後、低抵抗層用ハイブリッド金属ペーストを塗布し、120℃で10分間乾燥後、さらに3回塗布後230℃で30分間焼成した。焼成して得た本発明の導電層(低抵膜厚膜配線)の断面を電子顕微鏡で撮影した写真を図6、図7、図8に示す。
図6は、白色絶縁層、接着層および低抵抗層からなる全体像を示し、全体の厚みは約43μm、その中で低抵抗層が約35μm、接着層が約10μm未満であった。
図7は、白色絶縁層、接着層および低抵抗層を拡大した写真であり、接着層中の樹脂は白色絶縁層中に浸透している。接着層中の銀粒子の間は、硬化した樹脂で充填されている(白矢印)。
図8(a)は焼成後の低抵抗層の表面部分の断面写真、(b)は中間層の断面写真であり、焼成されることにより銀の粒子が成長し、接合していることが確認できる。
図9(a)はプレ焼成処理をした低抵抗層の断面写真、(b)は230℃で本焼成した後の断面写真である。図9(a)中、白塗矢印で示しているのが薄片状銀粒子、黒塗矢印で示しているのが球状銀粒子、網掛矢印で示しているのがナノ銀粒子である。図9(a)から、薄片状銀粒子および球状銀粒子の表面にナノ銀粒子が付着している状態を視認することができる。
焼成後の断面を示した図9(b)からは、ナノ銀粒子が焼成して粒成長が起こり、薄片状銀粒子と球状銀粒子を接合していることがわかる。
実施例1で焼成して形成された低抵抗厚膜配線は、体積固有低効率(μΩ・cm)は4.7を示し、焼成後の表面状態のレベリングは良好であり、クラックの発生はなかった。
[実施例2]
実施例1と同様にして、薄片状銀粒子100重量部に対し、球状銀400重量部、ナノ銀粒子130重量部を配合し、低抵抗層を形成した。焼成前後の低抵抗層の表面状態の電子顕微鏡写真を図10に示す。
図10(a−1)は焼成前の低抵抗層の表面写真(10,000倍)であり、(a−2)は焼成前の低抵抗層の表面写真(30,000倍)である。図10(a−1)中、白塗矢印で示しているのが薄片状銀粒子、黒塗矢印で示しているのが球状銀粒子であり、薄片状銀粒子が球状銀粒子内に分散している状態を視認することができる。図10(a−2)中、網掛矢印で示しているのがナノ銀粒子であり、ナノ銀粒子が球状銀粒子の表面に付着している状態を視認することができる。
図10(b−1)は焼成後の低抵抗層の表面写真(10,000倍)であり、(b−2)は焼成後の低抵抗層の表面写真(30,000倍)である。焼成後の低抵抗層の表面は、ナノ銀粒子が成長して粒成長が起こり、薄片状銀粒子と球状銀粒子を接合していることがわかる。
実施例2の焼成後の低抵抗層は、体積固有低効率(μΩ・cm)は4.3を示し、焼成後の表面状態のレベリングは良好であり、クラックの発生はなかった。
[実施例3〜5]
実施例1と同様にして、薄片状銀粒子100重量部に対し、球状銀、ナノ銀粒子の配合を表1に示したごとく変化させて、実施例3〜5に係る低抵抗層を上述の接着層の上面に形成した。その結果、表1に示すごとく良好な焼成後の表面状態および体積固有低効率を示し、焼成後の表面状態のレベリングは良好であり、クラックの発生はなかった。
本発明は、電子部品類の配線基板として適用範囲が広く、特に、密着性の良い大電流(0.5A以上の)の通電に適した配線基板として使用される。
1:配線基板
2:ベース基板
3:絶縁層
4:接着層
5:低抵抗層
6:導電層
11:導電層の表面
12:低抵抗層の中間層
13:低抵抗層と接着層の界面
14:接着層と絶縁層との界面
20:LED照明モジュール
21:LEDチップ
23:ダム材
24:透光性樹脂

Claims (9)

  1. 基板と、当該基板の上面に形成された絶縁層と、当該絶縁層の上面に形成された導電層とを備える配線基板であって、
    前記基板は少なくとも上面が金属であり、
    前記絶縁層が、平均粒径がサブμm以下の粒子を多数含んで構成された多孔質の絶縁層であり、
    前記導電層が、前記絶縁層の上面に樹脂および金属粉末を含有する金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層と、第一の導電層の上面に複合金属粉末を含有するハイブリッド金属ペーストを塗布し、加熱して形成される第一の導電層よりも低抵抗の第二の導電層とを備えて構成されること、
    前記複合金属粉末が、平均粒径が数百nm〜数μmの球状金属粒子、球状金属粒子よりも長軸の平均長さが2倍以上長く且つ長軸の平均長さが1〜数μmの薄片状金属粒子、および平均粒径が数nm〜数十nmの金属ナノ粒子を含むことを特徴とする配線基板。
  2. 前記導電層の厚さが平均10〜150μmであり、前記第一の導電層の厚さが前記第二の導電層の厚さより薄く且つ平均1〜10μmの範囲で設定されることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
  3. 前記第一の導電層の金属粉末が、長軸の平均長さが1〜数μm、且つ、長軸の平均長さが短軸の1.2〜3倍の薄片状金属粒子からなることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。
  4. 前記金属粉末が、銀粉末であり、
    前記複合金属粉末が、球状銀粒子、薄片状銀粒子およびナノ銀粒子から構成され、
    前記導電層が、160〜230℃で加熱して形成されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配線基板。
  5. 前記絶縁層が、平均粒径が数μm以下のSiO粒子及び白色無機顔料を含む反射材として機能する白色絶縁層であり、
    前記白色絶縁層と金属層の積層構造を前記基板の上面に形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の配線基板。
  6. 前記白色無機顔料が、二酸化チタン、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛のいずれか或いはこれらを組み合わせたものであることを特徴とする請求項5に記載の配線基板。
  7. 前記複合金属粉末が、薄片状金属粒子100重量部に対して、球状金属粒子が40〜450重量部および金属ナノ粒子が40〜200重量部からなり、さらに、薄片状金属粒子と球状金属粒子の合計100重量部に対して金属ナノ粒子が20〜45重量部の割合であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の配線基板。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の配線基板を備える配線基板と、
    前記絶縁層の上にCOB実装された半導体チップを備えることを特徴とする半導体装置。
  9. 請求項5または6に記載の配線基板を備える配線基板と、
    前記白色絶縁層の上にCOB実装された多数のLEDチップを備えることを特徴とする半導体装置。
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