JP2015209401A - カフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法 - Google Patents

カフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】カフェオイルキナ酸類の新たな取得手法を提供すること。
【解決手段】カフェオイルキナ酸類抽出方法は、実施形態の一例において、カフェオイルキナ酸類を含む植物が添加された抽出溶媒であって、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒を調整する調整工程を含む。また、カフェオイルキナ酸類抽出方法は、実施形態の一例において、植物が添加された後に抽出溶媒にて抽出処理を行う抽出工程を含む。また、カフェオイルキナ酸類抽出方法は、実施形態の一例において、抽出溶媒として、イオン液体を含む混合溶媒を用いる。
【選択図】図3

Description

本発明は、カフェオイルキナ酸類取得方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法に関する。
カフェオイルキナ酸(caffeoylquinic acid,CQA)は、コーヒー豆などに含まれるポリフェノールである。カフェオイルキナ酸では、コーヒー酸のカルボキシル基が、キナ酸のヒドロキシ基とエステル結合している。CQAには、カフェオイル基の数や位置に応じて、3−CQA、3,4−diCQA、4,5−diCQA、3,5−diCQA、3,4,5−triCQA などのCQA類縁体が存在する。CQA類の生物活性としては、抗酸化作用、がん細胞増殖抑制作用、血圧降下作用、抗糖尿病作用などがあり、アルツハイマー型認知症に有効との報告もある。
ところで、近年、イオンのみで構成される低融点の有機塩(「イオン液体(Ionic Liquid)」と称される)についての研究が行われている。イオン液体には、室温付近で液体状態となるものもある。また、イオン液体は、イオンのみで構成される結果高い極性を示し、不揮発性、高い熱安定性、化学的安定性などの特徴を有する。イオン液体には、一般的な有機溶媒や水には溶解しにくいセルロースを溶解可能なものもある。イオン液体は、「イオン性液体」とも称される。室温付近で液体状態となるイオン液体は、「常温溶融塩」や「室温溶融塩」とも称される。
ここで、抽出溶媒として水やエタノールを用いた上で、サツマイモ茎葉からカフェオイルキナ酸を抽出する手法がある。なお、イオン液体を抽出溶媒として用いて、イチョウの葉からシキミ酸を抽出する技術もある。
特開2012−188374号公報
Islam,S.J.Food.Sci.2006,R13−R21. Kurata,R.;Adachi,M.;Yamakawa,O.;Yoshimoto,M.J.Agric.FoodChem.2007,55,185−190. 石黒浩二,吉元誠,鰐田仁人,高垣欣也.食科工,2007,54,45−49. Yoshimoto,M.;Kurata,R.;Okuno,S.;Ishiguro,K.;Yamakawa,O.;Tsubata,M.;Mori,S.;Takagaki,K.Acta.Hort.2006,703,107−115. Han,J.;Miyamae,Y.;Shigemori,H.;Isoda,H.Neuroscience2010,169,1039−1045. 林信行、中田崇博、藤田修二、日本農芸化学会西日本支部及び日本栄養・食糧学会九州・沖縄支部合同大会 講演要旨集 Vol.2006, Page.58 (2006.09.29) Miyamae,Y.;Kurisu,M.;Murakami,K.;Han,J.;Isoda,H.;Irie,K.;Shigemori,H.Bioorg.Med.Chem.2012,20,5844−5849.
ここで、カフェオイルキナ酸の新たな取得方法が求められている。
開示の技術は、上述に鑑みてなされたものであって、新たなカフェオイルキナ酸取得方法及びカフェオイルキナ酸製造方法を提供することを目的とする。
開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法は、一つの態様において、カフェオイルキナ酸類を含む植物が添加された抽出溶媒であって、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒を調整する調整工程と、前記植物が添加された後に前記抽出溶媒にて抽出処理を行う抽出工程とを含む。
開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法の一つの態様によれば、新たなカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法を提供可能であるという効果を奏する。
図1は、カフェオイルキナ酸類の構造の一例について示す図である。 図2は、カフェオイルキナ酸の一例とその活性とを示す図である。 図3は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出されたカフェオイルキナ酸類の抽出率を示す図である。 図4は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,4ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。 図5は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,5ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。 図6は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された4,5ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。 図7は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,4,5トリカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。
以下に、開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法について詳細に説明する。開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法は、調整工程と、抽出工程とを含む。また、開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法は、回収工程を更に含んでも良い。
(カフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法)
以下に詳細に説明するように、開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法では、新たなカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法を提供可能である。具体的には、不揮発性を有するイオン液体を抽出溶媒として用いて、植物からカフェオイルキナ酸類を取得可能となる。ここで、例えば、豊富に存在するサツマイモの葉などの植物からカフェオイルキナ酸類を取得可能となる。また、イオン液体を抽出溶媒として用いることで、抽出溶媒を繰り返し利用可能なカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法を提供可能となる。また、他の有機溶媒や水を抽出溶媒として用いる場合と比較して、カフェオイルキナ酸類を効率良く取得可能なカフェオイルキナ酸類取得手法及びカフェオイルキナ酸類製造方法を提供可能となる。
調整工程では、カフェオイルキナ酸類を含む植物が添加された抽出溶媒であって、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒を調整する。
図1は、カフェオイルキナ酸類の構造の一例について示す図である。図2は、カフェオイルキナ酸の一例とその活性とを示す図である。図1に示す例では、カフェオイル基の位置及び数の異なる5つのカフェオイルキナ酸類の構造を示した。また、図2に示すように、図1に示した5つのカフェオイルキナ酸類は、それぞれ、活性が異なる。なお、図2に示す値(IC50(μM)(half maximal (50%) inhibitory concentration))は、値が小さければ小さいほど、Aβ42凝集阻害活性が高いことを示す。
ただし、カフェオイルキナ酸類としては、図1及び図2に限定されるものではなく、カフェオイル基を有する他の化合物であっても良い。例えば、4−CQAであっても良く、5−CQAであっても良い。
調整工程において抽出溶媒に添加される植物としては、カフェオイルキナ酸類を含む植物であれば任意の植物を用いて良い。また、抽出工程における植物としては、カフェオイルキナ酸類を含む任意の植物の内、任意の一部を用いて良く、植物全部を用いても良い。植物の一部としては、例えば、植物の葉を用いるのが好ましく、乾燥、粉末状のものを用いるのがより好ましい。調整工程における植物としては、例えば、サツマイモの葉や春菊、ゴボウ、フキ、ヨモギ、ニガナなどのキク科の植物、ナス、ジャガイモなどのナス科、コーヒー、モロヘイヤ、エンサイ、パイナップル葉などを用いるのがより好ましい。
調整工程における植物としては、抽出効率を高めるという観点から、粉砕された植物を用いるのが好ましく、粉末状のものを用いるのがより好ましい。植物の粉砕の手法としては、任意の手法を用いて良い。なお、元々粉砕されたものを購入して用いても良い。
調整工程における植物と抽出溶媒との重量比としては、任意の重量比を用いて良い。例えば、抽出溶媒として、イオン液体と、水又はメタノールを1:1にて混合した混合溶媒を用いる場合、乾燥葉1重量部に対して、混合溶媒が5重量部程度では攪拌しにくく、混合溶媒の重量比が16重量部である場合と比較して、抽出率は低下した。混合溶媒の重量部が16となる方が、混合溶媒が5重量部となる場合と比較して粘性が低くなり、抽出率が高くなったからであると考えられる。このことを踏まえ、植物と抽出溶媒との重量比としては、例えば、植物1重量部に対して、抽出溶媒の重量部が5〜30重量部であることが好ましく、抽出溶媒を8〜20重量部とすることがより好ましく、抽出溶媒を10〜16重量部とすることがより一層好ましい。なお、重量比の一例として示した値は、乾燥させた植物と抽出溶媒の重量比である。植物は、乾燥させたものを用いても良く、乾燥していないものを用いても良い。
セルロースを溶解可能なイオン液体とは、セルロースを溶解可能なものであれば任意のものを用いて良い。イオン液体とは、幅広い温度範囲で流動性があり、完全にイオンからなる液体を示す。例えば、100℃以下又は室温以下にて液体状態となる塩を示す。
イオン液体は塩であり、カチオンとアニオンとを有する。抽出溶媒として用いられるイオン液体のカチオンとしては、例えば、4級アンモニウムカチオンやイミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオンなどの有機カチオンを一種又は2種以上を混合して用いて良い。例えば、イオン液体のカチオンとしては、好ましくは、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンや1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムカチオンであり、より好ましくは、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンである。
また、イオン液体のアニオンとしては、例えば、BF4−、PF6−、AsF6−、SbF6−、AlCl4−、HSO4−、ClO4−、CH3SO3−、CH3SO4−、CH3C6H4SO3−、CF3SO3−、CF3SO4−、CF3CO2−、C2F5CO2−、(CF3SO2)2N−、(C2F5SO2)2N−、ホスホン酸、リン酸系イオン((CH3O)2PO2−、(CH3O)CH3PO2−、(CH3O)C2H5OPO2−、(CH3O)HPO2−、(C2H5O)2PO2−、(C2H5O)CH3PO2−、(C2H5O)C2H5PO2−、(C2H5O)HPO2−)、ハロゲン化物イオン、総炭素数1〜3のカルボン酸イオン、ギ酸イオン(HCOO−)、過塩素酸イオン、擬ハロゲン化物イオン、シアナミドイオン(NCN−)、ジシアナミドイオン(N(CN)2−)などを用いて良い。ハロゲン化物イオンとは、例えば、Cl−、Br−、I−などである。擬ハロゲン化物イオンとは、例えば、CN−やSCN−、OCN−、ONC−、N3−などである。例えば、イオン液体のアニオンとしては、好ましくは、Cl−やリン酸系アニオン、カルボン酸系アニオンであり、より好ましくは、Cl−やメチル亜リン酸アニオン((CH3O)HPO2−)、酢酸アニオン(CH3COO−)である。
また、イオン液体のカチオンとアニオンとの組み合わせとしては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロライド(以下では、「[bmim]Cl」と称する)や1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム酢酸、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−アリル−3−メチルイミダゾリウムメチル亜リン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチル亜リン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミドなどを用いるのが好ましい。また、イオン液体のカチオンとアニオンとの組み合わせとしては、例えば、[bmim]Clや1−アリル−3−メチルイミダゾリウムメチル亜リン酸、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチル亜リン酸を用いるのがより好ましい。なお、抽出溶媒としてイオン液体は、商業的に入手できるものを用いても良く、公知の手法にて合成したものを用いても良い。
また、抽出溶媒として、イオン液体を含む混合溶媒を用いることが好ましい。例えば、イオン液体を含む混合溶媒としては、イオン液体に加えて、水、有機溶媒、超臨界二酸化炭素などの超臨界流体を含む混合溶媒であることが好ましい。ここで、有機溶媒としては、例えば、アルコール類が好ましい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールが好ましい。
ここで、抽出溶媒として、イオン液体とアルコール類との混合溶媒を用いることで、例えば、イオン液体や水、アルコール類を単独で抽出溶媒として用いる場合と比較して、3,5−diCQAをより多く抽出可能となる。
また、抽出溶媒として、イオン液体と水との混合溶媒を用いることで、例えば、水、アルコール類を単独で抽出溶媒として用いる場合と比較して、4,5−diCQAや3,5−diCQA、3,4,5−triCQAをより多く抽出可能となる。
また、抽出溶媒として用いる混合溶媒には、イオン液体に対して、任意の割合の他の溶媒を混合して良い。例えば、イオン液体とメタノールとの混合溶媒を用いる場合には、メタノール1重量部に対してイオン液体が0.5〜3.5重量部含まれることが好ましく、より好ましくは、2.5〜3.5重量部である。
また、ここで、メタノール1重量部に対してイオン液体が0.5重量部以上含まれる混合溶媒を用いることで、例えば、イオン液体や水、アルコール類を単独で抽出溶媒として用いるよりも効率的に、カフェオイルキナ酸として3.5−diCQAを抽出可能となる。
また、例えば、イオン液体と水との混合溶媒を用いる場合には、水1重量部に対してイオン液体が0.5〜3.5重量部含まれることが好ましく、より好ましくは、0.5〜1.5重量部である。
抽出工程では、植物が添加された後に抽出溶媒にて抽出処理を行う。抽出を行う温度としては、任意の温度を用いて良い。抽出を行う温度としては、例えば、80〜150℃を用いるのが好ましく、100〜120℃を用いることが更に好ましい。
抽出を行う時間としては、任意の時間を用いて良い。抽出を行う時間としては、例えば、0.5〜5時間を用いるのが好ましく、0.5〜1.5時間を用いるのがより好ましい。
回収工程では、抽出工程により得られたイオン液体を含む抽出液に対してデカンテーションを行うことで、抽出液からカフェオイルキナ酸類を回収する。例えば、抽出液に対して飽和食塩水を加え、その後、有機溶媒を回収溶媒として添加して攪拌の上回収し、回収した溶媒から有機溶媒を除去することで、カフェオイルキナ酸類を回収する。
ここで、例えば、飽和食塩水は、抽出液10gに対して、100〜200mlの範囲を用いるのが好ましく、より好ましくは、100〜120mlであり、100mlを用いることが更に好ましい。また、回収溶媒としては、カフェオイルキナ酸類を溶解する任意の溶媒を用いて良く、例えば、MeOH、EtOHの内一つ又は複数の溶媒の混合溶媒を用いて良く、酢酸エチル200ml、MeOH40ml、ギ酸(90%溶液)2mlの割合で混合した回収溶媒を用いることが好ましい。
また、ここで、回収溶媒を添加して攪拌の上回収する処理は、1回行っても良く、複数回行っても良い。回収する処理は、好ましくは、複数回実行する。ここで、複数回実行することで、回収可能なカフェオイルキナ酸の回収率を向上可能となる。また、複数回回収溶媒を添加する場合には、添加するごとに、飽和食塩水が添加された抽出液に対して、脱イオン水を加えることが好ましい。これは、有機溶媒で回収を行った場合、有機溶媒層に水も抽出されることを踏まえてのことであり、脱イオン水を加えることで、回収溶媒に抽出されてしまった水を補給可能となり、回収処理を複数回実行可能となる。また、加える脱イオン水の量は、任意の量であって良く、例えば、抽出液10gに対して加えた飽和食塩水の10%〜30%の範囲を用いるのが好ましく、より好ましくは、10%〜20%であり、10%程度であることが好ましい。
以下、開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法について、実施例をあげて更に詳細に説明する。ただし、開示するカフェオイルキナ酸類抽出方法及びカフェオイルキナ酸類製造方法は、下記の実施例に限定されるものではない。
(抽出について)
(実施例1)
パウダー状のサツマイモ葉試料1gを以下に記載する種々の溶媒16gに添加し、以下に記載する種々の抽出温度にて1時間撹拌することで抽出処理を行った。

溶媒(混合割合(重量比),抽出温度)
実施例1:[bmim]Cl(150℃)
そして、抽出処理を行うことで得られた抽出液に対してMeOH(50−80ml)を加え、室温で30秒程度攪拌した。その後、セライトろ過を行い、ろ液に含まれる揮発性の溶媒を減圧濃縮により除媒した。そして、揮発性の溶媒が除去されたろ液を水−MeOH(7:3)溶液に溶かし、ヘキサンとの分液を3回行うことで洗浄した。その後、洗浄後の水−MeOH層を減圧濃縮により除媒し、抽出物を得た。
ここで、下記の分析条件を用いて、抽出物に対して逆相HPLC(High Performance Liquid Chromatography)分析を行い、カフェオイルキナ酸類の抽出率を絶対検量線法を用いて定量した。定量した抽出率は、図3〜図7に示した。

(HPLCの分析条件)
カラム:YMC-Pack ODS-AM (150×4.6mm)
溶媒:0.2%ギ酸水溶液/アセトニトリル
流速:1.0ml/min
カラム温度:40℃
UV検出:326nm

(実施例2〜6)
実施例2〜6では、実施例1とは異なり、以下に記載する種々の混合溶媒、温度を用いて、抽出処理を行った。

溶媒(混合割合(重量比),抽出温度)
実施例2:[bmim]Cl/MeOH(1:1,100℃)
実施例3:[bmim]Cl/MeOH(3:1,100℃)
実施例4:[bmim]Cl/H2O(1:1,120℃)
実施例5:[bmim]Cl/H2O(3:1,120℃)
実施例6:[bmim]Cl/MeOH/H2O(2:1:1,100℃)
実施例2〜6においても、MeOHを加えた後にセライトろ過を行った。ろ液に含まれる揮発性の溶媒を減圧濃縮により除媒した。抽出溶媒及び抽出温度以外の点については、実施例1と同様である。
(比較例1及び比較例2)
比較例1と比較例2とでは、以下に示す溶媒と抽出温度を用いて、抽出処理を行った。そして、抽出処理を行うことで得られた抽出液に対してセライトろ過を行い、除媒後、水−MeOH(7:3)溶液に溶かし、ヘキサンとの分液を3回行うことで洗浄した。その他の点については、実施例1〜実施例6と同様である。

比較例1:メタノール(80℃)
比較例2:水(120℃)
(比較例1及び比較例2、実施例1〜6についての抽出率)
図3は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出されたカフェオイルキナ酸類の抽出率を示す図である。図3の縦軸は、抽出率を示す。図3に示すように、メタノール単独、又は、水単独を用いて抽出処理を行った場合には、抽出率は、それぞれ、1.1%、1.5%であった。これに対して、イオン液体として[bmim]Clを用いた場合には、2.3%となり、大幅に抽出率が向上した、更には、イオン液体単独ではなく、イオン液体とアルコール類との混合溶媒を用いることで、抽出率は更に向上した。例えば、[bmim]Cl/MeOH(3:1)とすることで、2.3%から2.5%へと抽出率が9%程度向上した。
このように、[bmim]Clを用いて抽出処理を実行することで、メタノール単独で抽出処理を行う場合と比較して2.1倍効率良く抽出処理が可能となり、水単独で抽出処理を行う場合と比較して1.5倍効率良く抽出処理が可能となった。更には、イオン液体とアルコール類との混合溶媒を用いることで、イオン液体、メタノール又は水単独で抽出処理を行う場合と比較して抽出率を向上可能となった。更に、メタノールとイオン液体との混合溶媒を用いる場合には、メタノール1重量部に対して、イオン液体を1重量部よりも大きくすることで、より好ましくは、2.5より大きくすることで、抽出率を9%向上可能となった。
図4は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,4ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。図4の縦軸は、抽出率を示す。図4に示すように、3,4ジカフェオイルキナ酸については、[bmim]Cl/H2O(1:1)、または水単独にて用いた場合に最も高い抽出率が得られた。
図5は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,5ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。図5の縦軸は、抽出率を示す。図5に示すように、メタノール単独、又は、水単独を用いて抽出処理を行った場合には、抽出率は、それぞれ、0.71%、0.36%であった。これに対して、イオン液体として[bmim]Clを用いた場合には、0.87%となり、抽出率が向上した、更には、イオン液体単独ではなく、イオン液体と、水又はアルコール類との混合溶媒を用いることで、抽出率は更に大幅に向上した。例えば、[bmim]Cl/MeOH(1:1)を用いた場合には、イオン液体単独で抽出処理を行う場合と比較して、0.87%から1.37%へと57%も抽出率が向上した。また、例えば、[bmim]Cl/MeOH(3:1)を用いた場合には、イオン液体単独で抽出処理を行う場合と比較して、0.87%から1.40%へと61%も抽出率が向上した。
このように、[bmim]Clを用いて抽出処理を実行することで、メタノール単独で抽出処理を行う場合と比較して1.2倍効率良く抽出処理が可能となり、水単独で抽出処理を行う場合と比較して2.4倍効率良く抽出処理が可能となった。更には、イオン液体と、水又はアルコール類との混合溶媒を用いることで、イオン液体単独で抽出処理を行う場合と比較して、効率良く抽出処理を処理可能となった。例えば、メタノールとイオン液体との混合溶媒を用いる場合には、メタノール1重量部に対して、イオン液体を0.5重量部より大きくすることで、好ましくは、0.5〜3.5重量部とし、更に好ましくは、2.5〜3.5重量部とすることで、イオン液体単独で抽出を行う場合と比較して、約1.6倍も効率良く抽出可能となった。
図6は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された4,5ジカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。図6の縦軸は、抽出率を示す。図6に示すように、メタノール単独、又は、水単独を用いて抽出処理を行った場合には、抽出率は、それぞれ、0.12%、0.53%であった。これに対して、イオン液体として[bmim]Clを用いた場合には、0.78%となり、抽出率が向上した。また、[bmim]Cl/H2O(1:1)を用いた場合には、0.76%となった。
このように、[bmim]Clを用いて抽出処理を実行することで、メタノール単独で抽出処理を行う場合と比較して6.5倍効率良く抽出処理が可能となり、水単独で抽出処理を行う場合と比較して1.4倍効率良く抽出処理が可能となった。
図7は、比較例1及び比較例2、実施例1〜6について、サツマイモ葉から抽出された3,4,5トリカフェオイルキナ酸の抽出率を示す図である。図7の縦軸は、抽出率を示す。図7に示すように、メタノール単独、又は、水単独を用いて抽出処理を行った場合には、抽出率は、それぞれ、0.10%、0.17%であった。これに対して、イオン液体として[bmim]Clを用いた場合には、0.32%となり、抽出率が向上した。
このように、[bmim]Clを用いて抽出処理を実行することで、メタノール単独で抽出処理を行う場合と比較して3.2倍効率良く抽出処理が可能となり、水単独で抽出処理を行う場合と比較して1.9倍効率良く抽出処理が可能となった。
(カフェオイルキナ酸類の回収処理)
実施例4にて得られた抽出後のCQA類を含む[bmim]Cl抽出物10gに対して100mlのbrineを加えた上で、30秒程度攪拌した。その後、酢酸エチル200ml、MeOH40ml、ギ酸(90%溶液)2mlの割合で予め混合した混合有機溶媒242mlを、IL混合物とbrineとの混合溶液に対して加えた上で、15分程度攪拌した。そして、デカンテーションを行い、有機層を回収した。
ここで、抽出物に対して混合有機溶媒を加えてから有機層を回収するまでの処理を、4回繰り返した。有機溶媒で抽出を行うと、有機溶媒層に水も抽出されることを踏まえ、IL−brine層に対して再度混合有機溶媒を加える際には、10ml程度の脱イオン水を更に添加した。
その後、回収した有機層に含まれる揮発性溶媒を減圧濃縮により除去することで、CQA類を回収した。3,4−diCQA、3,5−diCQA、4,5−diCQA、3,4,5−triCQAの回収量は、それぞれ、2.64mg、7.72mg、6.62mg、2.20mgであった。

Claims (8)

  1. カフェオイルキナ酸類を含む植物が添加された抽出溶媒であって、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒を調整する調整工程と、
    前記植物が添加された後に前記抽出溶媒にて抽出処理を行う抽出工程と
    を含むことを特徴とするカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  2. 前記抽出溶媒として、前記イオン液体を含む混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  3. 前記抽出工程により得られた前記イオン液体を含む抽出液に対してデカンテーションを行うことで、前記抽出液から前記カフェオイルキナ酸類を回収する回収工程を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  4. 前記抽出溶媒として、イオン液体とアルコール類との混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  5. 前記抽出溶媒として、イオン液体と水との混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  6. 前記抽出溶媒として、メタノール1重量部に対してイオン液体が0.5重量部以上含まれる混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  7. 前記抽出溶媒として、水1重量部に対してイオン液体が0.5重量部以上2重量部以下含まれる混合溶媒を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカフェオイルキナ酸類抽出方法。
  8. カフェオイルキナ酸類を含む植物が添加された抽出溶媒であって、セルロースを溶解可能なイオン液体を含む抽出溶媒を調整する調整工程と、
    前記植物が添加された後に前記抽出溶媒にて抽出処理を行う抽出工程と
    を含むことを特徴とするカフェオイルキナ酸類製造方法。
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