JP2015203375A - シリンダブロック - Google Patents

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康 岩田
Yasushi Iwata
康 岩田
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Abstract

【課題】ウォータージャケット内に挿入されたスペーサの位置を保持することのできるシリンダブロックを提供する。【解決手段】シリンダブロック10には、シリンダボア11の周囲に形成されたウォータージャケット12内にスペーサ20が挿入されている。スペーサ20には、ウォータージャケット12内に液室16を区画する凹部21と、凹部21によって区画された液室16内に冷却水を流入させるとともに流入する冷却水の流量を絞る開口とが設けられている。そして、スペーサ20は、凹部21が設けられている面をウォータージャケット12の壁面に当接させた状態でウォータージャケット12内に配設されている。【選択図】図4

Description

この発明は、ウォータージャケット内にスペーサを備えたシリンダブロックに関する。
シリンダボアを形成するシリンダブロックであり、ウォータージャケット内にスペーサを挿入することによって、ウォータージャケット内における水の流れを最適化してシリンダ壁面の温度分布を改善するシリンダブロックが知られている。
たとえば特許文献1には、ウォータージャケット内に挿入されたスペーサによってウォータージャケット内を2つの流路に区画したシリンダブロックが開示されている。ここでは、ウォータージャケット内がスペーサによってシリンダボア側に位置する流路とスペーサよりも外側に位置する流路とに区画されている。
特開2005‐291005号公報
ところで、特許文献1に開示されているようにウォータージャケット内にスペーサを収容した場合、ウォータージャケット内でスペーサが移動しないように保持する必要がある。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウォータージャケット内に挿入されたスペーサの位置を保持することのできるシリンダブロックを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するためのシリンダブロックは、シリンダボアの周囲に形成されたウォータージャケット内にスペーサが挿入されているシリンダブロックであって、前記スペーサに、液室を区画する凹部と、前記液室内に冷却水を流入させるとともに前記液室内に流入する冷却水の流量を絞る開口とが設けられており、前記スペーサが、前記凹部が設けられている面を前記ウォータージャケットの壁面に当接させた状態で、前記ウォータージャケット内に配設されていることをその要旨とする。
上記構成によれば、ウォータージャケットは、凹部によって区画されたスペーサの内側に位置する液室と、スペーサの外側に位置する液室とに区画される。スペーサの内側に位置する液室は、開口を通じてスペーサの外側に位置する液室と連通する。
開口はスペーサの外側に位置する液室からスペーサの内側に位置する液室へ流入する冷却水の流量を絞るように形成されているため、各液室を流れる流量には偏りが生じ、スペーサの内側に位置する液室内の圧力はスペーサの外側に位置する液室内の圧力よりも小さくなる。
なお、スペーサの外側に位置する液室を流れる冷却水の圧力はスペーサのウォータージャケット内に露出している部分に作用する。その一方で、スペーサの内側に位置する液室内を流れる冷却水の圧力は凹部に作用する。そして、凹部の表面積は、ウォータージャケット内に露出している部分の表面積よりも小さい。
そのため、上記構成によれば、スペーサの内側に位置する液室内の圧力によってスペーサをウォータージャケットの壁面から引きはがす方向に作用する力よりも、スペーサの外側に位置する液室内の圧力によってスペーサをウォータージャケットの壁面に押し付ける力が大きくなる。すなわち、液室間の圧力差によってスペーサをウォータージャケットの壁面に押し付ける力が作用するようになる。要するに、上記構成によれば、液室間に生じる圧力差を利用してスペーサをウォータージャケットの壁面に押し当てることによりウォータージャケット内に挿入されたスペーサの位置を保持することができるようになる。
シリンダブロックの一実施形態について、シリンダボアの開口側から見た構造を示す平面図。 同実施形態にかかるスペーサを示す斜視図。 図1における冷却水の導出口周辺を示す拡大図。 図1における4−4線に沿った断面構造を示す断面図。 図1における5−5線に沿った断面構造を示す断面図。
以下、シリンダブロックの一実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、シリンダブロック10は、4つのシリンダボア11が形成された直列4気筒の内燃機関におけるシリンダブロックである。そして、シリンダボア11の周囲には、冷却水を循環させるウォータージャケット12が形成されている。ウォータージャケット12内には、水流を最適化するため、スペーサ20が配設されている。なお、シリンダブロック10は、いわゆるオープンデッキ構造であり、ウォータージャケット12には、その開口からスペーサ20が挿入される。
なお、ウォータージャケット12において、シリンダボア11側の壁面を内壁12aとし、内壁12aと対向する壁面を外壁12bとする。
ウォータージャケット12には、シリンダブロック10に形成された導入口13から冷却水が導入される。そして、シリンダブロック10に形成された導出口14からウォータージャケット12外へと冷却水が導出される。導入口13は、シリンダブロック10の図1における左側の面、すなわちシリンダブロック10の短手方向に延びる面の一方に開口するようにシリンダブロック10に形成されている。一方、導出口14は、シリンダブロック10の図1における下方の面、すなわちシリンダブロック10の長手方向に延びる面の一方に開口するようにシリンダブロック10に形成されている。
続いて、図2を参照して、スペーサ20について説明する。
スペーサ20は、略一定厚の板状部材であり、ウォータージャケット12における外壁12bの形状に沿うように波形状に成形されている。外壁12bと当接する側の面の中央部には、凹部21が設けられている。また、スペーサ20の長手方向における一端には、スペーサ20の端から凹部21までを連通するように開口22が形成されている。なお、本実施形態では、開口22を2つ設けている。
こうしたスペーサ20が、外壁12bに当接するようにウォータージャケット12内に挿入されていることにより、図3及び図4に示すように、ウォータージャケット12内は、スペーサ20と内壁12aとの間に形成される第1液室15と、スペーサ20と外壁12bとの間に形成される第2液室16と、に区画されている。
なお、ウォータージャケット12から冷却水を導出する導出口14は、当該第2液室16に連通するようにシリンダブロック10に開口している。
また、図5に示すように、スペーサ20の端に形成された開口22は、スペーサ20と外壁12bとの間に間隙を形成し、第1液室15と第2液室16とを連通させている。また、開口22の断面形状は略半円であり、その開口面積は、図4に示した凹部21の開口面積よりも小さい。
次に本実施形態にかかるシリンダブロック10の作用について、図1〜図5を参照して説明する。
図1における左側に矢印で示すように、ウォータージャケット12を循環する冷却水は、導入口13からウォータージャケット12内に導入される。図4及び図5に示すように、ウォータージャケット12内は、スペーサ20によって第1液室15と第2液室16とに区画されている。そのため、スペーサ20の配設された箇所では、冷却水の流れは、第1液室15内の流れと第2液室16内の流れとに分流される。
そして、第2液室16へは、第1液室15から開口22を通じて冷却水が流入する。第2液室16を区画する凹部21よりも開口面積の小さい開口22を通じて冷却水が流入するため、第2液室16へ流入する冷却水の流量が絞られる。つまり、第1液室15と第2液室16とを流れる流量に偏りが生じる。こうした流量の偏りに起因して、第2液室16内の圧力は第1液室15内の圧力よりも小さくなる。
なお、導入口13からウォータージャケット12内に導入され、第1液室15や第2液室16を流れた冷却水は、最終的に図2における下側に矢印で示すように、第2液室16に開口している導出口14から導出される。
上記のように、第1液室15内の圧力と第2液室16内の圧力との間には圧力差が生じており、第1液室15内の圧力よりも第2液室16内の圧力が小さくなっている。そのため、第2液室16内の圧力によってスペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bから引きはがす方向に作用する力よりも、第1液室15内の圧力によってスペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bに押し付ける力が大きくなる。すなわち、第1液室15と第2液室16との間の圧力差によって、スペーサ20が、ウォータージャケット12内の外壁12bに押し付けられるようになる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)開口22が第1液室15から第2液室16へ流入する冷却水の流量を絞るように形成されているため、各液室を流れる流量には偏りが生じ、第2液室16内の圧力は第1液室15内の圧力よりも小さくなる。
そのため、本実施形態によれば、第2液室16内の圧力によってスペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bから引きはがす方向に作用する力よりも、第1液室15内の圧力によってスペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bに押し付ける力が大きくなる。すなわち、第1液室15と第2液室16との間の圧力差によってスペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bに押し付ける力を作用させることができる。要するに、本実施形態によれば、液室間に生じる圧力差を利用してスペーサ20をウォータージャケット12の壁面に押し当てることによりウォータージャケット12内に挿入されたスペーサ20の位置を保持することができる。
ところで、ウォータージャケット内にスペーサを保持する構成としては、スペーサから突起等を突出させ、突起等をウォータージャケットの壁面に当接させる構成が考えられる。突起によってスペーサをウォータージャケット内に保持することはできるが、突起は経年劣化によって摩耗し、保持効果が損なわれていく虞がある。また、スペーサをウォータージャケットに挿入する際の組み付け性が低下する虞もある。
この点、本実施形態のシリンダブロック10によれば、スペーサ20を保持するための構成を別段設けることなく、スペーサ20をウォータージャケット12内に保持することができる。
(2)スペーサ20において、第2液室16を区画する凹部21の表面積は、第1液室15側に露出している部分の表面積よりも小さい。つまり、液室内を流れる冷却水からスペーサ20が受ける圧力は、第2液室16側の方が第1液室15側よりも小さくなる。すなわち、第1液室15と第2液室16との間に圧力差が生じ易くなり、スペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bに押し付ける力を、より作用させることができる。
(3)ウォータージャケット12内から冷却水を導出する導出口14が第2液室16に連通しているため、第2液室16内からはウォーターポンプの作用によって冷却水がくみ出される。したがって、開口22の大きさが比較的大きくても、ウォーターポンプによってくみ出される冷却水の量が多ければ、第1液室15と第2液室16との間に圧力差が生じるようになり、スペーサ20をウォータージャケット12の外壁12bに押し付ける力を作用させることができる。すなわち、上記実施形態のように、導出口14を第2液室16に連通させた構成を採用すれば、開口22の大きさの設計自由度が高くなる。
なお、本実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、第2液室16に連通させるように、シリンダブロック10に導出口14を設けた。こうした冷却水の導出口14を第2液室16に連通させない構成を採用することもできる。この場合、スペーサ20において、開口22を設けた端の反対側の端には、開口22に準じた開口を設けて凹部21と第1液室15とを連通させる必要がある。若しくは、凹部21を当該端まで延長して、凹部21と第1液室15とを連通させてもよい。このように構成することによって、導出口14が第2液室16に連通していなくても第2液室16を冷却水が流れるようになる。
上記構成によっても、開口22によって第2液室16へ流入する冷却水の流量が絞られるため、第1液室15と第2液室16との間に圧力差が生じるようになる。すなわち、上記実施形態と同様に、スペーサ20が外壁12bに押し付けられ、スペーサ20をウォータージャケット12内に保持することができる。
・上記実施形態では、スペーサ20を、外壁12bの形状に沿うように波形状に成形したが、内壁12aの形状に沿うように波形状に成形することもできる。この場合には、スペーサ20における内壁12aと当接する面に凹部21を形成するようにすれば、区画された液室間での圧力差によって、内壁12aにスペーサ20を押し付ける力が作用するようになる。すなわち、スペーサ20が外壁12bに押し付けられるようにした構成に代えて、スペーサ20が内壁12aに押し付けられるようにした構成を採用することで、上記実施形態と同様に、ウォータージャケット12内にスペーサ20を保持する効果を得ることができる。
・上記実施形態では、スペーサ20をウォータージャケット12内の一部に配設したが、ウォータージャケット12の全体にスペーサ20を配設するシリンダブロック10であってもよい。
・上記実施形態では、シリンダブロック10は、オープンデッキ構造としたが、クローズドデッキ構造でもよい。クローズドデッキ構造のシリンダブロックでは、ウォータージャケットの孔の開口が連続しておらず、またその大きさもオープンデッキ構造のシリンダブロックと比較して小さくなっている。こうしたクローズドデッキ構造のシリンダブロックにおけるウォータージャケットの孔に合わせて適宜スペーサ20の全長を調節すればよい。
10…シリンダブロック、11…シリンダボア、12…ウォータージャケット、12a…内壁、12b…外壁、13…導入口、14…導出口、15…第1液室、16…第2液室、20…スペーサ、21…凹部、22…開口。

Claims (1)

  1. シリンダボアの周囲に形成されたウォータージャケット内にスペーサが挿入されているシリンダブロックであって、
    前記スペーサに、液室を区画する凹部と、前記液室内に冷却水を流入させるとともに前記液室内に流入する冷却水の流量を絞る開口とが設けられており、
    前記スペーサが、前記凹部が設けられている面を前記ウォータージャケットの壁面に当接させた状態で、前記ウォータージャケット内に配設されているシリンダブロック。
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