JP2015201508A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2015201508A
JP2015201508A JP2014078614A JP2014078614A JP2015201508A JP 2015201508 A JP2015201508 A JP 2015201508A JP 2014078614 A JP2014078614 A JP 2014078614A JP 2014078614 A JP2014078614 A JP 2014078614A JP 2015201508 A JP2015201508 A JP 2015201508A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light emitting
layer
emitting layer
light
organic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014078614A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6307993B2 (ja
Inventor
岡本 健
Takeshi Okamoto
健 岡本
高橋 理愛子
Rieko Takahashi
理愛子 高橋
新井 賢司
Kenji Arai
賢司 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2014078614A priority Critical patent/JP6307993B2/ja
Priority to US14/668,439 priority patent/US9406897B2/en
Priority to CN201510153395.3A priority patent/CN104979482B/zh
Publication of JP2015201508A publication Critical patent/JP2015201508A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6307993B2 publication Critical patent/JP6307993B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/11OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers
    • H10K50/125OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers specially adapted for multicolour light emission, e.g. for emitting white light
    • H10K50/13OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers specially adapted for multicolour light emission, e.g. for emitting white light comprising stacked EL layers within one EL unit
    • H10K50/131OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED] characterised by the electroluminescent [EL] layers specially adapted for multicolour light emission, e.g. for emitting white light comprising stacked EL layers within one EL unit with spacer layers between the electroluminescent layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K2101/00Properties of the organic materials covered by group H10K85/00
    • H10K2101/40Interrelation of parameters between multiple constituent active layers or sublayers, e.g. HOMO values in adjacent layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/10OLEDs or polymer light-emitting diodes [PLED]
    • H10K50/14Carrier transporting layers
    • H10K50/15Hole transporting layers

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】表示品質の低下を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】第1発光層14の陽極21側に接して、第1発光層14よりも、LUMOが浅い、且つ、T1が高い層を有し、第2発光層17の陽極21側に接して、第2発光層17よりも、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子10を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、この有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子デバイスに係わる。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう)は、発光する化合物を含有する発光層を陽極と陰極で挟んだ構成を有する。そして、電界を印加することにより、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とを発光層内で再結合させて励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用した発光素子である。有機EL素子は、電極と電極の間を厚さわずかサブミクロン程度の有機材料の膜で構成する全固体素子であり、且つ、その発光が数V〜数十V程度の電圧で発光が可能である。このため、次世代の平面ディスプレイや照明への利用が期待されている。
有機EL素子としては、例えば、赤、緑、青等の異なる色を発光する発光層を積層して、白色発光素子を構成することが提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかし、このような構成の有機EL素子では、原理的に発光色毎に発光波長が異なり、発光色毎に発光エネルギーが異なる。このため、発光と共に起こる有機材料分解と、この有機材料分解に伴う、素子の劣化速度が異なる。
従って、異なる発光色を組み合わせる構成の有機EL素子では、原理的に時間経過と共に色ずれが起きる。特にエネルギーの高い青色光は、緑色光や赤色光より、寿命が短くなりやすい。
特開2008−218320号公報 特開2007−173584号公報 特開2003−151769号公報
異なる発光色を組み合わせる構成の有機EL素子では、原理的に発光色毎に発光波長が異なり、すなわち発光エネルギーが異なるため、発光と共に起こる有機材料分解と、この有機材料分解に伴う、素子の劣化速度が異なる。
このように、異なる発光色を組み合わせる構成の有機EL素子では、原理的に時間経過と共に色ずれが起きる。そして、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色の色調が、時間経過と共に初期の色調から変化してしまう。この結果、有機エレクトロルミネッセンス素子の表示品質が、時間経過により低下してしまう。
上述した問題の解決のため、本発明においては、表示品質の低下を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイスを提供するものである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と、陰極と、陽極と、陰極との間に介在する第1発光層、及び、第2発光層とを備える。そして、第1発光層と、陽極側において第1発光層と接する層とにおいて、第1発光層と接する層が、第1発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅い、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い、の関係を満たす。さらに、第2発光層と、陽極側において第2発光層と接する層とにおいて、第2発光層と接する層が、第2発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす。
また、本発明の電子デバイスは、上記有機エレクトロルミネッセンス素子を備える。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素によれば、一方の発光層の陽極側に接して、この発光層よりも、LUMOが浅い、且つ、T1が高い層が形成される。そして、他方の発光層の陽極側に接して、この発光層よりも、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層が形成される。
この構成によれば、LUMOが浅い、且つ、T1が高い層が接する発光層の輝度低下を抑制するとともに、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層が接する発光層の輝度低下を促進することができる。
このため、駆動時間の経過により発生する各発光層の輝度低下の差を調整し、有機エレクトロルミネッセンス素子の色調の変化を抑制することができる。従って、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、この有機エレクトロルミネッセンス素子を備える電子デバイスの表示品質の低下を抑制することができる。
本発明によれば、表示品質の低下を抑制することが可能な有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイスを提供することができる。
第1実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 第1実施形態の有機EL素子の第1発光層と第1正孔輸送層との界面近傍を示す図である。 第1実施形態の有機EL素子の第2発光層と第2正孔輸送層との界面近傍を示す図である。 第2実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 第3実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 第4実施形態の有機EL素子の構成を示す図である。 実施例の試料101の有機EL素子における、赤青緑の各単波長の減衰の様子を示す図である。 実施例の試料102の有機EL素子における、赤青緑の各単波長の減衰の様子を示す図である。 実施例の試料101の有機EL素子における、色度座標x,yの変化の様子を示す図である。 実施例の試料102の有機EL素子における、色度座標x,yの変化の様子を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第1実施形態)
2.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第2実施形態)
3.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第3実施形態)
4.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第4実施形態)
5.電子デバイスの実施形態(第5実施形態)
〈1.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第1実施形態)〉
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の具体的な実施の形態について説明する。図1に、第1実施形態の有機EL素子の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図1に示す有機EL素子10は、陽極21、第1発光ユニット11、中間コネクタ層19、第2発光ユニット12、及び、陰極22を備える。そして、これらの各層が、基板23上に設けられている。
有機EL素子10では、基板23上に陽極21が形成され、この陽極21上に第1発光ユニット11が形成されている。さらに、第1発光ユニット11上に中間コネクタ層19が形成され、中間コネクタ層19上に第2発光ユニット12が形成されている。さらに、第2発光ユニット12上に陰極22が形成されている。
上記有機EL素子10は、陽極21が透明電極により構成され、陰極22を反射電極として機能させる構成を有し、基板23側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。また、中間コネクタ層19を介して、第1発光ユニット11と第2発光ユニット12とが積層された、いわゆるタンデム型の構成である。
第1発光ユニット11は、陽極21側から順に、第1正孔輸送層13、第1発光層14、及び、第1電子輸送層15が積層形成された構成である。
第2発光ユニット12は、陽極21側(中間コネクタ層19側)から順に、第2正孔輸送層16、第2発光層17、及び、第2電子輸送層18が積層形成された構成である。
第1正孔輸送層13及び第2正孔輸送層16は、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層等も含まれる。また、第1電子輸送層15及び第2電子輸送層18は、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層等も含まれる。
また、有機EL素子10は、第1発光層14、及び、第2発光層17に、少なくとも発光性の有機材料を含み、例えば、発光性の有機材料として、青(B)、緑(G)、及び、赤(R)の各色の発光ドーパントを有する、白色発光素子である。
有機EL素子10の発光効率を上げるためには、短波長の光を発光する発光層を、光取り出し側に設けることが好ましい。このため、図1に示す有機EL素子10においては、第1発光層14に、短波長の青を発光する発光ドーパントを含ませることが好ましい。そして、第2発光層17に、緑(G)、及び、赤(R)の発光ドーパントを含ませることが好ましい。
このため、図1に示す有機EL素子10では、第1発光層14が青色発光ドーパントを含む青色発光層であり、第2発光層17が緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントを含む緑色及び赤色(黄色)発光層である。
[本実施形態の概要]
一般的に有機EL素子では、短波長の発光ほど発光エネルギーが大きくなる。そして、発光エネルギーが大きいため、短波長の光(青色)を発光する発光層は、他の発光層に比べて、発光層を構成する化合物自体の崩壊が起こりやすくなる。このため、短波長の光(青色)を発光する発光層は、長波長側の光を発光する発光層に比べて、駆動時間の経過による輝度の低下が起こりやすい。
また、波長に寄らず、発光層を構成する材料によって、駆動時間の経過による輝度低下の速度が異なる。
このように、駆動時間の経過による輝度の低下が起こりやすい発光層を、一般的に輝度低下が大きい発光層とする。また、駆動時間の経過による輝度の低下が起こりやすい発光層を、一般的に輝度低下が小さい発光層とする。
なお、一般的に輝度低下が大きい発光層、及び、一般的に輝度低下が小さい発光層とは、同じ構成の有機EL素子において発光層のみを変更し、同じ条件で連続発光させた場合の、各発光層の輝度低下の大小を示す。
一般的に輝度低下が大きい発光層、例えば、短波長側の発光層の輝度が低下すると、有機EL素子から取り出される光が、駆動時間の経過とともに変化する。例えば、当初の白色光から、緑色及び赤色の発光層に由来する黄色味が強い光となり、有機EL素子の白色光としての品質が低下してしまう。
そこで、有機EL素子の駆動時間の経過による品質の低下を避けるためには、一般的に輝度低下が大きい発光層と、一般的に輝度低下が小さい発光層との輝度低下のバランスを、当初の白色光のバランスからのずれが少なくなるように調整する必要がある。例えば、各色(赤緑、及び、青)の輝度低下のバランスを調整する必要がある。このためには、例えば、一般的に輝度低下が大きい短波長(青)の発光層の輝度低下を抑制するか、一般的に輝度低下が小さい長波長(緑、赤)の発光層の輝度を短波長側に合わせて低下させる必要がある。
本実施形態の有機EL素子10では、第1発光層14及び第2発光層17と接する層のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)を調整することにより、各発光層の駆動時間による輝度低下のバランスを取ることを可能としている。
具体的には、一般的に輝度低下が大きい発光層、例えば、短波長側の光を発光する第1発光層14には、第1発光層14の陽極21側に接する層に、第1発光層14よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い層を設ける。
そして、一般的に輝度低下が小さい発光層、例えば、長波長側の光を発光する第2発光層17には、第2発光層17の陽極21側に接する層に、第2発光層17よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設ける。
第1発光層14の陽極21側に、LUMOが浅く、且つ、T1が高い層が接することにより、第1発光層14の劣化を抑制することができる。
また、第2発光層17の陽極21側に、第2発光層17よりもLUMOが深いか、或いは、T1が低い層が接することにより、第2発光層17の駆動時間による劣化を促進させることができる。
このように、第1発光層14の劣化を抑制するとともに、第2発光層17の劣化を促進させることにより、第1発光層14と第2発光層17の輝度のバランスを調整することができ、有機EL素子10の白色発光の品質の低下を抑制することができる。
[輝度調整]
次に、第1発光層14と第2発光層17との輝度を調整の仕組みについて説明する。図2に、第1発光層14と第1正孔輸送層13との界面近傍を示す。図3に、第2発光層17と第2正孔輸送層16との界面近傍を示す。図2及び図3は、第1発光層14及び第2発光層17に電界を印加した際の発光の様子を示している。
第1正孔輸送層13は、第1発光層14よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い層として形成されている。このため、図2に示すように、第1正孔輸送層13の第1発光層14との界面の表面領域が電子阻止層13Aとして機能する。これにより、第1発光層14の注入された電子は、第1正孔輸送層13への移動が阻止され、第1発光層14に蓄積されやすくなる。そして、図2に示すように、第1発光層14における発光領域14Aが、第1正孔輸送層13との界面から第1発光層14の深い位置まで広がる。
一方、第2正孔輸送層16は、第2発光層17よりもLUMOが深い層、若しくは、T1が低い層、又は、LUMOが深く、T1が低い層として形成されている。
このように、第2正孔輸送層16として、第2発光層17よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を形成することにより、第2発光層17の注入された電子は、第2正孔輸送層16へ移動しやすく、第2発光層17に蓄積されにくい。
このため、図3に示すように、第2発光層17における発光領域17Aは、第2発光層17と第2正孔輸送層16との界面付近の狭い領域に集中して発生する。さらに、この発光領域17Aは、第2発光層17から第2正孔輸送層16に跨る領域に発生する。
上述のように、発光層の陽極側に形成される層のLUMO、及び、T1を調整することにより、発光層における発光領域を調整することができる。一般的に、発光層において、発光領域が広がると、発光エネルギーの集中が緩和され、化合物の崩壊を抑制することができる。これに対して、発光領域を狭めると、発光エネルギーが集中しやすく、この集中した領域において化合物の崩壊が起こりやすくなる。
従って、有機EL素子10において、第1発光層14の陽極21側に接して、第1発光層14よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い第1正孔輸送層13を設けることにより、発光領域14Aが拡張され、発光エネルギーの集中が緩和される。このため、第1発光層14を構成する化合物の崩壊が抑制される。この結果、第1発光層14の駆動時間の経過による輝度の低下を抑制することができる。
さらに、有機EL素子10において、第2発光層17の陽極21側に接して、第2発光層17よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす第2正孔輸送層16を設けることにより、発光領域17Aが小さい領域に集中され、この小さい発光領域17Aに発光エネルギーが集中する。この結果、第2発光層17を構成する化合物が崩壊しやすくなり、第2発光層17の駆動時間の経過による輝度の低下を大きくすることができる。
従って、一般的に輝度低下が大きい短波長の光を発光する化合物を、第1発光層14に含有させることにより、短波長の光の輝度低下を抑制することができる。そして、一般的に輝度低下が小さい長波長の光を発光する化合物を、第2発光層17に含有させることにより、長波長の光の輝度低下を促進することができる。
そして、有機EL素子10において、上述のように、第1発光層14及び第1正孔輸送層13、並びに、第2発光層17及び第2正孔輸送層16が構成されることにより、短波長の光の輝度低下と、長波長の光の輝度低下とを、バランスよく調整することができる。この結果、駆動時間の経過による白色光の色変化を抑制し、有機EL素子10から取り出される白色光の品質の低下を抑制することができる。
(正孔輸送層の構成)
上述の第1発光層14よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い第1正孔輸送層13としては、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料であることが好ましい。例えば、後述する正孔輸送層に適用される材料から、第1発光層14よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い材料を選択することにより、第1正孔輸送層13を形成することができる。特に、後述の電子阻止層の構成を適用することにより、第1正孔輸送層13を形成することが好ましい。
また、第1正孔輸送層13としては、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる層を、複数積層させた構成としてもよい。この場合には、第1発光層14と接する層を、第1発光層14よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い層とする。
また、上述の第2発光層17よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす第2正孔輸送層16としては、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料であることが好ましい。具体的には、後述する正孔輸送層に適用される材料から、第2発光層17よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす材料を選択することで、第2正孔輸送層16を形成することができる。
また、第2正孔輸送層16としては、正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる層を、複数積層させた構成としてもよい。この場合には、第2発光層17と接する層を、第2発光層17よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層とする。
[発光層の厚さ]
第2発光層17の厚さは、第1発光層14よりも小さい方がよい。第2発光層17は、薄い方が発光領域17Aをより小さい領域に集中させやすい。このため、化合物の劣化をより促進させることができる。
また、第1発光層14では、発光領域14Aを拡張するためには、ある程度の厚さを必要とする。このため、第1発光層14は、少なくとも、第2発光層17よりも厚さが大きい方が好ましい。
例えば、第1発光層14の厚さを、10−100nmとすることが好ましい。そして、第2発光層17を第1発光層よりも薄く形成し、例えば、第2発光層17の厚さを、5−50nmとすることが好ましい。
また、第1発光層14及び第2発光層17のLUMO、T1は、一般的には、ドーパントの濃度が15%以下であれば、ホスト化合物のLUMO、T1に依存する。ドーパントの濃度が15%を超える場合には、ホスト化合物のLUMO、T1に、ドーパントのLUMO、T1を加味して第1発光層14及び第2発光層17のLUMO、T1が決まる。
また、第1発光層14及び第2発光層17が複数のホスト化合物やドーパントを有している場合には、最も多く含まれている化合物に依存して、第1発光層14及び第2発光層17のLUMO、T1が決まる。
また、第1正孔輸送層13及び第2正孔輸送層16のLUMO、T1は、一般的には、最も多く含まれている化合物の含LUMO、T1に依存する。また、第1正孔輸送層13及び第2正孔輸送層16に、複数の化合物が含まれている場合には、それぞれの化合物の割合により、第1正孔輸送層13及び第2正孔輸送層16のLUMO、T1が決まる。含まれる量が15%以下の化合物の場合は影響が少なく、第1正孔輸送層13及び第2正孔輸送層16のLUMO、T1への影響をほとんど考慮する必要がない。
また、第1発光層14及び第1正孔輸送層13、並びに、第2発光層17及び第2正孔輸送層16においては、それぞれ隣接する界面に近い側の領域においてのみ、LUMO、T1を考慮すればよい。上記各層においては、化合物間の電子移動やエネルギー移動による失活が起きる。この電子移動(マーカス式)や、エネルギー移動(フェルスター機構、デクスター機構)が起こるためには、化合物間の距離が近い必要がある。このため、上記各層間の界面においては、界面に近い側の領域におけるLUMO、T1を考慮する必要がある。
[構成の詳細]
以下、図1に示す有機EL素子10の陽極21、第1発光ユニット11(第1正孔輸送層13、第1発光層14、第1電子輸送層15)、中間コネクタ層19、第2発光ユニット12(第2正孔輸送層16、第2発光層17、第2電子輸送層18)、及び、陰極22の各構成、並びに、有機EL素子10が設けられる基板23の構成の詳細について説明する。なお、以下に説明する有機EL素子10の各構成は、実施形態を説明するための一例であり、上述の有機EL素子10を構成することが可能な範囲で適宜その他構成を適用することも可能である。
[発光ユニット]
第1発光ユニット11は、陽極21と中間コネクタ層19の間に設けられ、発光性を有する有機材料を含む発光層を少なくとも1層以上備える。また、第2発光ユニット12は、中間コネクタ層19と陰極22の間に設けられ、発光性を有する有機材料を含む発光層を少なくとも1層以上備える。なお、第1発光ユニット11及び第2発光ユニット12においては、発光層と、陽極21、中間コネクタ層19及び陰極22との間に他の層を備えていてもよい。
以下、これら第1発光ユニット11及び第2発光ユニット12を、総合して発光ユニットと記載して説明する。また、第1発光ユニット11及び第2発光ユニット12に形成される第1正孔輸送層13、第1発光層14、及び、第1電子輸送層15、並びに、第2正孔輸送層16、第2発光層17、及び、第2電子輸送層18についても、総合して正孔輸送層、発光層、及び、電子輸送層と記載して説明する。
発光ユニットの代表的な素子構成としては、以下の構成を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層
(2)正孔注入輸送層/第1発光層/第2発光層/電子注入輸送層
(3)正孔注入輸送層/第1発光層/中間コネクタ層/第2発光層/電子注入輸送層
(4)正孔注入輸送層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層
(5)正孔注入輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子注入輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
(8)正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層
上記構成において、発光層は、単層または複数層で構成される。
電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層である。電子輸送層には、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。また、電子輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層である。正孔輸送層には、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層も含まれる。また、正孔輸送層は、複数層で構成されていてもよい。
発光ユニット内の発光層にリン光発光材、蛍光発光材を混在させてもよいが、好ましくはリン光発光材又は蛍光発光材のみで構成することが好ましい。蛍光発光層及びリン光発光層は、ホスト、ドーパント型の発光層であることが好ましい。また、発光層に含有される発光ドーパントは、発光層の膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、濃度分布を有していてもよい。
有機EL素子に複数の発光ユニットを設ける場合には、異なる構成の発光ユニットを組み合わせて使用することができるが、発光層を除いて同一の層構成の発光ユニットであることが好ましい。さらに、各発光ユニットは、発光層数も同一であることが好ましい。これにより、使用材料数を少なくできコスト面、品質管理面等の生産面での利点がある。さらに、蒸着プロセスであれば、製膜チャンバーを各発光ユニットで共通化しやすいなどの生産効率面での利点がある。
また、異なる発光色を呈する発光ユニットを積層して白色発光を得ようとする場合には、これら発光ユニットが相互に補色の関係にあることが好ましい。例えば、青色発光ユニットと、補色となる黄緑、黄色またはオレンジ色の発光色を呈する発光ユニットを設けることで、白色発光を呈する有機EL素子とすることができる。なお、「補色」の関係とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質の発光を混合すると、白色発光を得ることができる。
品質のよい白色発光が得られ、より幅広い範囲の色度の調整が容易であることから、青色発光層に加え、緑色及び赤色の発光色を呈する層が、いずれかの発光ユニットに設けられていることが好ましい。また、青、緑、赤の発光材料を1つの発光層中に混在させ白色発光を呈する発光層として、発光ユニットに設けることもできる。
有機EL素子及び化合物の発光色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめて決定される。
光色の黒体輻射軌跡からの偏差Duvが、相関色温度が2500〜7500Kの範囲内において、−20〜+20の範囲に含まれる光を白色光と呼ぶものとする。Duv(=1000duv)の定義はJIS Z 8725:1999「光源の分布温度および色温度・相関色温度測定方法」による。
各発光ユニットに包含される個々の層の膜厚は、特に制限されない。形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、5〜200nmの範囲内に調整することが好ましく、さらに好ましくは10〜100nm以下の範囲に調整される。
各発光ユニットに包含される個々の層の形成方法としては、薄膜形成ができる方法であれば特に限定されず、例えば、蒸着法、スパッタリング、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等が挙げられる。中でも、下層へのダメージが少なく、かつピンホールの無い均質な膜が得られやすい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。
[発光層]
発光層は、電極又は隣接層から注入される電子と正孔とが再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する、発光性の有機半導体薄膜を含む層である。発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層は、発光ドーパント(発光性ドーパント化合物、ドーパント化合物、単にドーパントともいう)と、ホスト化合物(マトリックス材料、発光ホスト化合物、単にホストともいう)とを含有することが好ましい。
発光層を構成する層は、何層でもよく、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
発光層の膜厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、5〜200nmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは10〜150nmの範囲に調整される。また、個々の発光層の膜厚としては、5〜200nmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは10〜40nmの範囲に調整することである。
発光層の形成方法は特に制限はなく、後述する発光ドーパントやホスト化合物を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、インクジェット法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法等の公知の薄膜形成法により製膜して形成することができる。
(1.発光ドーパント)
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう)、及び、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう)が好ましく用いられる。発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて、任意に決定することができる。光ドーパントの濃度は、発光層の膜厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、発光層は、複数種の発光ドーパントが含まれていてもよい。例えば、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
有機EL素子は、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことが好ましい。白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば青と橙との組み合わせや、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。有機EL素子における白色としては、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1−1.リン光発光性ドーパント)
リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃においてリン光量子収率が0.01以上の化合物である。発光層に用いるリン光発光性ドーパントにおいて、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できる。発光層に用いるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は、原理として二種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上で、キャリアの再結合によるホスト化合物の励起状態が生成される。このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つは、リン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知の材料から適宜選択して用いることができる。
公知のリン光発光性ドーパントの具体例としては、以下の文献に記載されている化合物等が挙げられる。
リン光発光性化合物としては、特開2013−4245号公報の段落[0185]〜[0235]に記載の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される化合物、及び、例示化合物(Pt−1〜Pt−3、Os−1、Ir−1〜Ir−45)を好ましく挙げることができる。また、その他の例示化合物として、Ir−46、Ir−47、Ir−48、を以下に示す。
Figure 2015201508
Nature 395,151 (1998)、Appl. Phys. Lett. 78, 1622 (2001)、Adv. Mater. 19, 739 (2007)、Chem. Mater. 17, 3532 (2005)、Adv. Mater. 17, 1059 (2005)、国際公開第2009100991号、国際公開第2008101842号、国際公開第2003040257号、米国特許公開第2006835469号、米国特許公開第20060202194号、米国特許公開第20070087321号、米国特許公開第20050244673号
Inorg. Chem. 40, 1704 (2001)、Chem. Mater. 16, 2480 (2004)、Adv. Mater. 16, 2003 (2004)、Angew. Chem. lnt. Ed. 2006, 45, 7800、Appl. Phys. Lett. 86, 153505 (2005)、Chem. Lett. 34, 592 (2005)、Chem. Commun. 2906 (2005)、Inorg. Chem. 42, 1248 (2003)、国際公開第2009050290号、国際公開第2002015645号、国際公開第2009000673号、米国特許公開第20020034656号、米国特許第7332232号、米国特許公開第20090108737号、米国特許公開第20090039776号、米国特許第6921915号、米国特許第6687266号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20060008670号、米国特許公開第20090165846号、米国特許公開第20080015355号、米国特許第7250226号、米国特許第7396598号、米国特許公開第20060263635号、米国特許公開第20030138657号、米国特許公開第20030152802号、米国特許第7090928号
Angew. Chem. lnt. Ed. 47, 1 (2008)、Chem. Mater. 18, 5119 (2006)、Inorg. Chem. 46, 4308 (2007)、Organometallics 23, 3745 (2004)、Appl. Phys. Lett. 74, 1361 (1999)、国際公開第2002002714号、国際公開第2006009024号、国際公開第2006056418号、国際公開第2005019373号、国際公開第2005123873号、国際公開第2005123873号、国際公開第2007004380号、国際公開第2006082742号、米国特許公開第20060251923号、米国特許公開第20050260441号、米国特許第7393599号、米国特許第7534505号、米国特許第7445855号、米国特許公開第20070190359号、米国特許公開第20080297033号、米国特許第7338722号、米国特許公開第20020134984号、米国特許第7279704号、米国特許公開第2006098120号、米国特許公開第2006103874号
国際公開第2005076380号、国際公開第2010032663号、国際公開第第2008140115号、国際公開第2007052431号、国際公開第2011134013号、国際公開第2011157339号、国際公開第2010086089号、国際公開第2009113646号、国際公開第2012020327号、国際公開第2011051404号、国際公開第2011004639号、国際公開第2011073149号、米国特許公開第2012228583号、米国特許公開第2012212126号、特開2012−069737号公報、特開2012−195554号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも1つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(1−2.蛍光発光性ドーパント)
蛍光発光性ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
蛍光発光性ドーパントしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又は希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、蛍光発光性ドーパントして、遅延蛍光を利用した発光ドーパント等を用いてもよい。遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(2.ホスト化合物)
ホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、さらに好ましくは、リン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物の内で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、又、複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子の高効率化が可能となる。
発光層に用いるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、或いは、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能または電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、さらに、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS−K−7121に準拠した方法により求められる値である。
また、リン光発光性ドーパントが含まれる発光層のホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、2.1eVより大きいことが好ましい。T1が、2.1eVより大きいことにより、高い発光効率を得られる。最低励起3重項エネルギー(T1)とは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度、或いは液体ヘリウム温度において観測したリン光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーを言う。
また、蛍光発光性ドーパントが含まれる発光層のホスト化合物は、その最低励起3重項エネルギー(T1)が、隣接する正孔輸送層よりも大きいことが好ましい。
有機EL素子に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許公開第20030175553号、米国特許公開第20060280965号、米国特許公開第20050112407号、米国特許公開第20090017330号、米国特許公開第20090030202号、米国特許公開第20050238919号、国際公開第2001039234号、国際公開第2009021126号、国際公開第2008056746号、国際公開第2004093207号、国際公開第2005089025号、国際公開第2007063796号、国際公開第2007063754号、国際公開第2004107822号、国際公開第2005030900号、国際公開第2006114966号、国際公開第2009086028号、国際公開第2009003898号、国際公開第2012023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、EP2034538等である。
[電子輸送層]
有機EL素子に用いる電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
電子輸送層の総厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
また、有機EL素子においては、発光層で生じた光を取り出す際、発光層から陽極を通じて直接取り出される光と、陽極と対極に位置する陰極で反射されてから取り出される光とが、干渉を起こすことが知られている。
従って、有機EL素子では、発光ユニットの総厚の調整を、電子輸送層の総膜厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することで行なうことが好ましい。
一方で、電子輸送層の膜厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に膜厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は10−5cm/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という)としては、電子の注入性若しくは輸送性、又は、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、含窒素芳香族複素環誘導体、芳香族炭化水素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体等が挙げられる。
上記含窒素芳香族複素環誘導体としては、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の1つ以上が窒素原子に置換)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等が挙げられる。
芳香族炭化水素環誘導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq3)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及び、これらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、又は、これらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機EL素子では、ゲスト材料として電子輸送層にドープ材をドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体及びハロゲン化金属等の金属化合物や、その他のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
米国特許第6528187号、米国特許第7230107号、米国特許公開第20050025993号、米国特許公開第20040036077号、米国特許公開第20090115316号、米国特許公開第20090101870号、米国特許公開第20090179554号、国際公開第2003060956号、国際公開第2008132085号、Appl. Phys. Lett. 75, 4 (1999)、Appl. Phys. Lett. 79, 449 (2001)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 81, 162 (2002)、Appl. Phys. Lett. 79, 156 (2001)、米国特許第7964293号、米国特許公開第2009030202号、国際公開第2004080975号、国際公開第2004063159号、国際公開第2005085387号、国際公開第2006067931号、国際公開第2007086552号、国際公開第2008114690号、国際公開第2009069442号、国際公開第2009066779号、国際公開第2009054253号、国際公開第2011086935号、国際公開第2010150593号、国際公開第2010047707号、EP2311826号、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012115034号等
より好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。
[正孔阻止層]
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有する層である。好ましくは、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が小さい材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、正孔阻止層に、3重項エネルギーを阻止する層としての機能も有すると更に有効である。
また、上述の電子輸送層の構成を、必要に応じて正孔阻止層として用いることができる。
有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
有機EL素子において、正孔阻止層の厚さは、好ましくは3〜100nmの範囲であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、上述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
[電子注入層]
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層である。電子注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発光)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
有機EL素子において、電子注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陰極と発光層との間、又は、陰極と電子輸送層との間に設けられる。
電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5nmの範囲が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されている。電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、上述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
[正孔輸送層]
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料からなる。正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する層である。
有機EL素子において、正孔輸送層の総膜厚に特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲であり、より好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という)は、正孔の注入性または輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。正孔輸送材料は、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
正孔輸送材料は、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えばPEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体も正孔輸送材料として用いることができる。
さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を正孔輸送層に適用することもできる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらにIr(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、以下の文献に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
Appl. Phys. Lett. 69, 2160 (1996)、J. Lumin. 72-74, 985 (1997)、Appl. Phys. Lett. 78, 673 (2001)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 90, 183503 (2007)、Appl. Phys. Lett. 51, 913 (1987)、Synth. Met. 87, 171 (1997)、Synth. Met. 91, 209 (1997)、Synth. Met. 111,421 (2000)、SID Symposium Digest, 37, 923 (2006)、J. Mater. Chem. 3, 319 (1993)、Adv. Mater. 6, 677 (1994)、Chem. Mater. 15,3148 (2003)、米国特許公開第20030162053号、米国特許公開第20020158242号、米国特許公開第20060240279号、米国特許公開第20080220265号、米国特許第5061569号、国際公開第2007002683号、国際公開第2009018009号、EP650955、米国特許公開第20080124572号、米国特許公開第20070278938号、米国特許公開第20080106190号、米国特許公開第20080018221号、国際公開第2012115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号
[電子阻止層]
電子阻止層は、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層である。好ましくは、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の正孔輸送層の構成を必要に応じて、有機EL素子の電子阻止層として用いることができる。有機EL素子に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の厚さとしては、好ましくは3〜100nmの範囲であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲である。
電子阻止層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いることができる。また、上述のホスト化合物として用いられる材料も、電子阻止層として好ましく用いることができる。
[正孔注入層]
正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう)は、駆動電圧低下や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層である。正孔注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発光)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
正孔注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陽極と発光層との間、又は、陽極と正孔輸送層との間に設けられる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されている。
正孔注入層に用いられる材料は、例えば上述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432号や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
上述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
[含有物]
有機EL素子を構成する発光ユニットは、更に他の含有物を含んでもよい。
含有物としては、例えば臭素、ヨウ素及び塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
含有物の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
[中間コネクタ層]
上記発光ユニットが積層される場合には、各発光ユニットの間に非発光性の中間コネクタ層19を設けることが好ましい。中間コネクタ層19は電界中において、複数の発光ユニットを、直列に電気的に連結する有機化合物層との界面を持つ層である。
中間コネクタ層19としては、有機化合物、無機化合物を単独もしくは複数種混合して使用することができる。
中間コネクタ層19としては、少なくとも一層以上から形成されるが、好ましくは二層以上からなり、p型半導体層、n型半導体層の一方若しくは両方を含むことが特に好ましい。また、外部電界により、層内部で正孔、電子を発生・輸送することができるバイポーラ層としてもよい。また、通常の電極材料として使用可能な金属、金属酸化物、及びその合金などが好適に使用できる。
このように、中間コネクタ層19としては、一方の発光ユニットに電子を注入する機能を有し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する、電荷発生層の構成とすることができる。
また、中間コネクタ層19としては、陽極及び陰極と同じ材料を用いて形成することが可能である。また、中間コネクタ層19は、陽極及び陰極よりも導電率の低い材料を用いて形成することが可能である。
中間コネクタ層19において、電子を注入する機能を有する層としては、例えば、酸化リチウム、フッ化リチウム、炭酸セシウム等の絶縁体や半導体を用いることができる。或いは、電子輸送性の高い物質に、電子供与性物質を添加した材料を用いることもできる。
有機化合物としては、ナノカーボン材料、有機半導体材料(有機アクセプター、有機ドナー)として機能する有機金属錯体化合物、有機塩、芳香族炭化水素化合物、及びその誘導体、複素芳香族炭化水素化合物、及びその誘導体等があげられる。
無機化合物としては、金属、若しくは、無機酸化物、無機塩等が挙げられる。
電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)などのキノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。
また、この他にもビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)等のオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体等も用いることができる。
また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等も用いることができる。
上述の電子輸送性の高い物質とは、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いることも可能である。
電子輸送性の高い物質に、電子供与性物質を添加することにより、電子注入性を高くすることができる。このため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。電子供与性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、若しくは、希土類金属、又は、元素周期表における第13族に属する金属、その酸化物、若しくは、その炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウム等を用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物をドナー性物質として用いてもよい。
また、中間コネクタ層19のうち正孔を注入する機能を有する層として、例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化ルテニウム等の半導体や絶縁体を用いることができる。或いは、正孔輸送性の高い物質に、電子受容性物質を添加した材料を用いることができる。また、電子受容性物質からなる層を用いてもよい。
正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
上述の正孔輸送性の高い物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。また、上述のホスト材料を用いてもよい。
正孔輸送性の高い物質に、電子受容性物質を添加することにより、正孔注入性を高くすることができる。このため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。電子受容性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)、クロラニル等を用いることができる。また、遷移金属酸化物を用いることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
また、正孔輸送性の高い物質に電子受容性物質を添加した構成、及び、電子輸送性の高い物質に電子受容性物質を添加した構成のうち、いずれか一方又は両方の構成を用いることにより、中間コネクタ層19を厚膜化した場合にも駆動電圧の上昇を抑制することができる。よって、中間コネクタ層19を厚膜化することにより、微小な異物や衝撃等によるショートを防止することができ、駆動電圧の上昇させずに信頼性の高い発光素子を得ることができる。
なお、中間コネクタ層19において、正孔を注入する機能を有する層と電子を注入する機能を有する層との間に、必要に応じて他の層を導入してもよい。例えば、ITOのような導電層や電子リレー層を設けてもよい。電子リレー層は、正孔を注入する機能を有する層と電子を注入する機能を有する層との間で生じる電圧のロスを低減する機能を有する。具体的には、LUMO準位がおよそ−5.0eV以上である材料を用いるのが好ましく、−5.0eV以上−3.0eV以下である材料を用いるのがより好ましい。例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(略称:PTCBI)等を用いることができる。
[陽極]
有機EL素子10における陽極21としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.3V以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、AuやAg等の金属及びこれらの合金、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極21は、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、薄電極物質の膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよい。また、パターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式製膜法を用いることもできる。
陽極21側から発光光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陽極の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜1μm、好ましくは10nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[陰極]
陰極22としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、銀、銀を主成分とする合金、アルミニウム/銀混合物、希土類金属等が挙げられる。
陰極22は、上記電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、陰極22のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陰極22の厚さは、通常10nm〜5μm、好ましくは50nm〜200nmの範囲で選ばれる。
[基板]
有機EL素子10に用いる基板23は、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。
透明な支持基板として好ましくは、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましくは、有機EL素子10にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜等によるバリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましい。更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、10−5g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよい。例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に、バリア膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層との積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。例えば、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
[封止]
有機EL素子10の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、ポリマーフィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板及びポリマーフィルムとしては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上を含む金属、及び、合金が挙げられる。
有機EL素子10を薄膜化できるということから、ポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、酸素透過度10−3g/(m・24h)以下、水蒸気透過度10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度、酸素透過度がいずれも10−5g/(m・24h)以下であることがより好ましい。
封止部材を凹状に加工するには、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できることが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
(保護膜、保護板)
素子の機械的強度を高めるために、上記封止用フィルムの外側に保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が上記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、上記封止に用いたのと同様のガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
[光取出し向上技術]
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極または発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極または発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等が挙げられる。
[有機EL素子の作製方法]
次に、図1に示す、陽極21/第1発光ユニット11/中間コネクタ層19/第2発光ユニット12/陰極22からなる有機EL素子10の作製方法の一例について説明する。
まず、適当な基板23上に所望の電極物質、たとえば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陽極21を作製する。
次に、この上に有機EL素子10の材料である第1正孔輸送層13、第1発光層14、第1電子輸送層15からなる第1発光ユニット11を形成する。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。
さらに層毎に異なる製膜法を適用してもよい。
製膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50℃〜450℃、真空度10−6Pa〜10−2Pa、蒸着速度0.01nm/秒〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、膜厚0.1nm〜5μm、好ましくは5nm〜200nmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。
次に、第1発光ユニット11上に中間コネクタ層19を形成する。
中間コネクタ層19の形成方法としては、上述のように、電荷発生層や中間電極いずれにおいても、薄膜形成ができる方法であれば特に限定されず、たとえば、蒸着法、スパッタリング、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等が挙げられる。
次に、中間コネクタ層19上に有機EL素子10の材料である第2正孔輸送層16、第2発光層17、第2電子輸送層18からなる第2発光ユニット12を形成する。
第2発光ユニット12の形成方法としては、薄膜形成は前述の既知の方法を用いて形成すればよい。パターニング方法としては、たとえば、蒸着法ならばシャドーマスクを用いた方法、転写法等、ウェットプロセスならば、印刷パターンによるパターニング等で作製することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陰極22を設ける。
これにより所望の有機EL素子10が得られる。
この有機EL素子10の作製は、一回の真空引きで一貫して第1発光ユニット11から陰極22まで作製するのが好ましいが、途中で取り出して異なる製膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
その後、有機EL素子10を封止・保護してもよい。
たとえば、陽極および陰極の一部または全部を露出させた状態で有機EL素子を熱硬化性樹脂で被覆してこれを加熱硬化させ、有機EL素子を封止する。
その後、有機EL素子の封止体とそこから露出した有機EL素子の陽極及び陰極の一部又は全部とを、保護部材で被覆し、保護部材の重複部分を所定温度で加熱圧着する。2枚の保護部材を重ね合わせて有機EL素子の封止体等を被覆しその側縁部同士を加熱圧着してもよいし、1枚の保護部材を折り畳んで有機EL素子10の封止体等を被覆しその側縁部(特に開放端)同士を加熱圧着してもよい。
以上の処理により、有機EL素子10を封止・保護した有機ELモジュールが製造される。
[その他の構成]
なお、上述の第1実施形態では、基板側から、透明電極となる陽極、第1発光ユニット、中間コネクタ層、第2発光ユニット、及び、反射電極となる陰極がこの順に積層された、ボトムエミッション型の有機EL素子を例示したが、この構成に限定されない。例えば、各層の積層順は逆でもよいし、陽極と陰極とが逆の構成であってもよい。
また、有機EL素子は、少なくとも2つの発光層を有していればよい。そして、それぞれの発光層において、一般的に輝度低下が発生しやすい発光層の陽極側に、LUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設け、さらに、一般的に輝度低下が発生しにくい発光層の陽極側に、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設ける構成とする。これにより、各発光層の輝度低下のバランスを調整し、有機EL素子から取り出される白色光の品質の低下を抑制することができる。
従って、上記層構成の条件を満たしていれば、発光ユニットの層構成や積層数、発光層の層構成や積層数についても特に限定されず、所望の有機EL素子を実現することが可能な構成とすることができる。例えば、有機EL素子を構成する発光ユニットを1層としよもよく、また、発光ユニットが3層以上積層された構成としてもよい。さらに、発光ユニット内において、発光層が単層であってもよく、又は、複数の発光層が直接、若しくは、有機層を介して積層された構成であってもよい。
適宜、これらを組み合わせた構成とすることも可能である。
また、上述の実施形態では、有機EL素子に用いる発光ドーパントの種類を青、緑、及び、赤の3種類として示したが、これ以外の発光色の発光ドーパントを用いることもできる。例えば、青、緑、及び、赤の各色の補色となる発光色を有する発光ドーパントを用いてもよい。輝度低下速度の異なる発光層と、これらの発光層の陽極側に形成される層との間に、LUMO及びT1が上述の関係を満たす層を備えることにより、発光層にどのような発光ドーパントが用いられていてもよい。
また、上述の実施形態では、有機EL素子からの発光色を白色発光として説明しているが、有機EL素子の発光色は白色に限らず、複数の発光層の発光色の組み合わせによる任意の発光色とすることもできる。白色以外の発光色とした場合にも、輝度低下速度の異なる発光層と、これらの発光層の陽極側に形成される層との間に、LUMO及びT1が上述の関係を満たす層を備えることにより、駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
さらに、上述の実施形態においては、発光波長と発光エネルギーとの関係から、短波長側の発光層の輝度低下が大きく、長波長側の発光層の輝度低下が小さい例について説明しているが、輝度低下の大小は、発光波長のみに依存しない。例えば、発光層を構成する化合物の種類や積層構成により、発光波長に寄らずに駆動時間の経過による輝度低下の速度が異なる。このため、発光層の輝度低下は、発光波長のみに依存せずに、その他の構成による影響も受ける。
発光層の輝度低下が発光波長に依存しない構成においても、2層以上の発光層を有し、これらの発光層に一般的な輝度低下の大小の差が有れば、上述の実施形態の有機EL素子の構成を適用することができ、有機EL素子の駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
〈2.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第2実施形態)〉
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の第2実施形態について説明する。図4に、第2実施形態の有機EL素子の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図4に示す有機EL素子30は、陽極36、発光ユニット31、及び、陰極37を備える。そして、これらの各層が基板38上に積層形成されている。図4に示す第2実施形態の有機EL素子30は、上述の第1実施形態の有機EL素子と発光ユニット内の層構成が異なることを除き、同様の構成を適用することができる。また、発光ユニット内の構成についても、積層順や積層形態が異なるのみであり、発光ユニットを構成する各層は、上述の第1実施形態と同様の構成を適用することができる。このため、以下の説明では、有機EL素子30を構成する各層の詳細な説明については省略する。
有機EL素子30では、基板38上に陽極36が形成され、この陽極36上に発光ユニット31が形成されている。さらに、発光ユニット31上に陰極37が形成されている。
上記有機EL素子30は、陽極36が透明電極により構成され、陰極37を反射電極として機能させる構成を有し、基板38側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
発光ユニット31は、陽極36側から順に、正孔輸送層32、第1発光層33、第2発光層34、及び、電子輸送層35が積層形成された構成である。
正孔輸送層32は、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層等も含まれる。また、電子輸送層35は、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。
また、有機EL素子30は、第1発光層33、及び、第2発光層34に、少なくとも発光性の有機材料を含み、例えば、発光性の有機材料として、青(B)、緑(G)、及び、赤(R)の各色の発光ドーパントを有する、白色発光素子である。
有機EL素子30の発光効率を上げるためには、短波長の光を発光する発光層を、光取り出し側に設けることが好ましい。このため、図4に示す有機EL素子30においては、第1発光層33に、短波長の青を発光する発光ドーパントを含ませることが好ましい。そして、第2発光層34に、緑(G)、及び、赤(R)の発光ドーパントを含ませることが好ましい。
このため、図4に示す有機EL素子30では、第1発光層33が青色発光ドーパントを含む青色発光層であり、第2発光層34が緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントを含む緑色及び赤色(黄色)発光層である。
有機EL素子30では、第1発光層33が陽極36側で接する層として、正孔輸送層32が設けられている。このため、正孔輸送層32は、第1発光層33よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い層である。
また、有機EL素子30では、第2発光層34が陽極36側で接する層として、第1発光層33が設けられている。このため、第1発光層33は、第2発光層34よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層である。
上述の層構成とすることにより、第1発光層33及び第2発光層34において、上述の第1実施形態と同様の現象が発生する。従って、第1発光層33の劣化を抑制することができるとともに、第2発光層34の劣化を促進させることができる。そして、第1発光層33と第2発光層34の輝度低下のバランスを調整することにより、有機EL素子30の白色発光の品質の低下を抑制することができる。
上述のように、1つの発光ユニットによる構成や、発光層同士が直接積層されている構成においても、上述の第1実施形態と同様の効果を有する有機EL素子を構成することができる。
つまり、一般的に輝度低下が大きい短波長側の光を発光する発光層の陽極側に、LUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設けることにより、この発光層の輝度低下を抑制することができる。そして、一般的に輝度低下が小さい長波長側の光を発光する発光層の陽極側に、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設けることによりこの発光層の輝度低下を促進することができる。
そして、これらの発光層よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い層、並びに、発光層よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層は、正孔輸送性の高い層だけでなく、発光性を有する層とすることもできる。つまり、発光層よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い層、並びに、発光層よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層は、特にその形態が限定されず、この条件を満たす層であれば、どのような構成の層であっても適用できる。そして、この条件を満たす層構成により、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
〈3.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第3実施形態)〉
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の第3実施形態について説明する。図5に、第3実施形態の有機EL素子の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図5に示す有機EL素子40は、陽極47、発光ユニット41、及び、陰極48を備える。そして、これらの各層が基板49上に積層形成されている。図5に示す第3実施形態の有機EL素子40は、上述の第1実施形態及び第2実施形態の有機EL素子と発光ユニット内の層構成が異なることを除き、同様の構成を適用することができる。また、発光ユニット内の構成についても、積層順や積層形態が異なるのみであり、発光ユニットを構成する各層は、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成を適用することができる。このため、以下の説明では、有機EL素子40を構成する各層の詳細な説明については省略する。
有機EL素子40では、基板49上に陽極47が形成され、この陽極47上に発光ユニット41が形成されている。さらに、発光ユニット41上に陰極48が形成されている。
上記有機EL素子40は、陽極47が透明電極により構成され、陰極48を反射電極として機能させる構成を有し、基板49側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
発光ユニット41は、陽極47側から順に、第1有機層42、第1発光層43、第2有機層44、第2発光層45、及び、第3有機層46が積層形成された構成である。
第1有機層42は、正孔を輸送する機能を有する層であり、上述の第1実施形態における正孔輸送層に該当し、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層等も含まれる。
第3有機層46は、電子を輸送する機能を有する層であり、上述の第1実施形態における電子輸送層に該当し、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。
第2有機層44は、複数の発光層を、直列に電気的に連結する有機化合物層との界面を持つ層である。この第2有機層44は、少なくとも一層以上の有機材料層から形成されるが、外部電界により、層内部で正孔、電子を発生・輸送することができるバイポーラ層としてもよい。例えば、上述の中間コネクタ層において例示する有機材料層や、発光層に用いられるホスト化合物から適宜選択して使用することができる。
また、第1発光層43、及び、第2発光層45は、上述の第2実施形態における第1発光層、及び、第2発光層と同様の構成とすることができる。このため、有機EL素子40では、第1発光層43が青色発光ドーパントを含む青色発光層であり、第2発光層45が緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントを含む緑色及び赤色(黄色)発光層である。
有機EL素子40において、第1発光層43が陽極47側で接する層は、第1有機層42である。このため、第1有機層42は、第1発光層43よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い層である。
また、有機EL素子40において、第2発光層45が陽極47側で接する層は、第2有機層44である。このため、第2有機層44は、第2発光層45よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層である。
上述の層構成とすることにより、第1発光層43及び第2発光層45において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同様の現象が発生する。従って、第1発光層43の劣化を抑制することができるとともに、第2発光層45の劣化を促進させることができる。そして、第1発光層43と第2発光層45の輝度低下のバランスを調整することにより、有機EL素子40の白色発光の品質の低下を抑制することができる。
上述のように、1つの発光ユニットに有機層を介して複数の発光層が積層されている構成においても、上述の第1実施形態や第2実施形態と同様の効果を有する有機EL素子を構成することができる。
つまり、一般的に輝度低下が大きい短波長側の光を発光する発光層の陽極側に、LUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設け、一般的に輝度低下が小さい長波長側の光を発光する発光層の陽極側に、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設ける。この条件を満たす層構成により、各発光層の輝度低下のバランスを調整することができるため、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
〈4.有機エレクトロルミネッセンス素子の実施形態(第4実施形態)〉
次に、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の第4実施形態について説明する。図6に、第4実施形態の有機EL素子の構成を示す。
[有機EL素子の構成]
図6に示す有機EL素子50は、陽極75、第1発光ユニット51、第1中間コネクタ層55、第2発光ユニット61、第2中間コネクタ層65、第3発光ユニット71、及び、陰極76を備える。そして、これらの各層が基板77上に積層形成されている。
図6に示す第4実施形態の有機EL素子50は、上述の第1実施形態の有機EL素子と、発光ユニット及び中間コネクタ層の数が異なることを除き、同様の構成を適用することができる。また、発光ユニットの構成、及び、中間コネクタ層の構成についても、上述の第1実施形態と同様の構成を適用することができる。このため、以下の説明では、有機EL素子50を構成する各層の詳細な説明については省略する。
有機EL素子50では、基板77上に陽極75が形成され、この陽極75上に第1発光ユニット51が形成されている。そして、第1発光ユニット51上に第1中間コネクタ層55が形成され、この第1中間コネクタ層55上に第2発光ユニット61が形成されている。さらに、第2発光ユニット61上に第2中間コネクタ層65が形成され、この第2中間コネクタ層65上に第3発光ユニット71が形成されている。そして、第3発光ユニット71上に陰極76が形成されている。
上記有機EL素子50は、陽極75が透明電極により構成され、陰極76を反射電極として機能させる構成を有し、基板77側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。また、中間コネクタ層を介して、複数の発光ユニットが積層された構成である。
第1発光ユニット51は、陽極75側から順に、第1正孔輸送層52、第1発光層53、及び、第1電子輸送層54が積層形成された構成である。
第2発光ユニット61は、陽極75側(第1中間コネクタ層55側)から順に、第2正孔輸送層62、第2発光層63、及び、第2電子輸送層64が積層形成された構成である。
第3発光ユニット71は、陽極75側(第2中間コネクタ層65側)から順に、第3正孔輸送層72、第3発光層73、及び、第3電子輸送層74が積層形成された構成である。
第1正孔輸送層52、第2正孔輸送層62、及び、第3正孔輸送層72は、正孔を輸送する機能を有する層であり、広い意味で正孔注入層、及び、電子阻止層等も含まれる。また、第1電子輸送層54、第2電子輸送層64、及び、第3電子輸送層74は、電子を輸送する機能を有する層であり、広い意味で電子注入層、及び、正孔阻止層も含まれる。
有機EL素子50は、第1発光層53、第2発光層63、及び、第3発光層73に、少なくとも発光性の有機材料を含み、例えば、発光性の有機材料として、青(B)、緑(G)、及び、赤(R)の各色の発光ドーパントを有する、白色発光素子である。
有機EL素子50の発光効率を上げるためには、短波長の光を発光する発光層を、光取り出し側に設けることが好ましい。
このため、有機EL素子50においては、第1発光層53に、短波長の青を発光する発光ドーパントを含ませることが好ましい。そして、第2発光層63、及び、第3発光層73に、緑(G)、及び、赤(R)の発光ドーパントを含ませることが好ましい。
また、有機EL素子50が所望の色を発光できる構成であれば、第1発光層53、第2発光層63、及び、第3発光層73に含まれる発光ドーパントの種類は特に限定されない。例えば、第1発光層53/第2発光層63/第3発光層73において、青/緑赤/緑赤、青/青/緑赤、緑赤/青/緑赤、青/緑/緑赤、及び、青/緑/赤等の発光ドーパントを含ませる構成を適用することもできる。
このように、第1発光層53、第2発光層63、及び、第3発光層73は、任意の発光色とすることができる。
なお、以下の説明では、有機EL素子の一例として、第1発光層53が青色発光ドーパントを含む青色発光層であり、第2発光層63及び第3発光層73が緑色発光ドーパント及び赤色発光ドーパントを含む緑色及び赤色(黄色)発光層である場合について説明する。
有機EL素子50において、第1発光層53は、短波長の青色を発光する層である。また、第1発光層53が陽極75側で接する層は、第1正孔輸送層52である。
従って、第1正孔輸送層52は、第1発光層43よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い層である。
また、有機EL素子50において、第2発光層63は、長波長の緑色及び赤色を発光する層である。また、第2発光層63が陽極75側で接する層は、第2正孔輸送層62である。
従って、第2正孔輸送層62は、第2発光層63よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層である。
また、有機EL素子50において、第3発光層73は、長波長の緑色及び赤色を発光する層である。また、第3発光層73が陽極75側で接する層は、第3正孔輸送層72である。
従って、第3正孔輸送層72は、第3発光層73よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層である。
上述のように、一般的に輝度低下速度の大きい短波長の光を発光する発光層の陽極側に、この発光層よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設けることにより、発光層の劣化を抑制することができる。
そして、一般的に輝度低下速度の小さい長波長の光を発光する発光層の陽極側に、この発光層よりもLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設けることにより、発光層の劣化を促進させることができる。
このような構成とすることにより、各発光層の輝度低下のバランスを調整することができるため、有機EL素子の白色発光の品質の低下を抑制することができる。
上述のように、有機EL素子に複数の発光ユニットが設けられ、それぞれの発光ユニットに任意の発光色の発光層が設けられた場合においても、上述の条件を満たす層構成とすることにより、上述の第1実施形態と同様の効果を有する有機EL素子を構成することができる。
つまり、一般的に輝度低下が発生しやすい発光層の陽極側に、LUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設けることにより、この発光層の輝度低下を抑制することができる。そして、一般的に輝度低下が発生しにくい発光層の陽極側に、LUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設けることによりこの発光層の輝度低下を促進することができる。
このような条件を満たす層構成により、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
〈5.電子デバイスの実施形態(第5実施形態)〉
[照明装置−1]
次に、上述の第1実施形態から第4実施形態の有機EL素子が用いられる電子デバイスの実施形態の一例として、照明装置について説明する。
照明装置に用いる有機EL素子は、上述した第1〜4実施形態の構成の有機EL素子に、共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、有機EL素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の3つの発光極大波長を含有させてもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有させてもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料の組み合わせや、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせでもよい。白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合してもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば導電層を形成でき、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の有機EL素子の実施形態に記載の金属錯体、また公知の発光材料の中から任意の材料を選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
[照明装置−2]
また、照明装置は、例えば有機EL素子を複数用いることにより、発光面を大面積化することもできる。この場合、基材上に有機EL素子を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわちタイリングする)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであってもよく、この支持基板と、発光パネルの基材との間に有機EL素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と基材との間には接着剤を充填し、これによって有機EL素子を封止してもよい。なお、発光パネルの周囲には、陽極及び陰極の端子を露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けてもよい。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈有機EL素子の作製〉
試料101〜112の各有機EL素子を、発光領域の面積が5cm×5cmとなるように作製した。以下に、試料101〜112の各発光性薄膜積層体の構成、及び、作製手順を示す。
また、表1に、試料101〜105の有機EL素子の構成を示す。さらに、表2に、試料106〜112の有機EL素子の構成を示す。
なお、試料101〜102,105は、上述の図1に示す構成の有機EL素子であり、試料103〜104は、上述の図5に示す構成の有機EL素子であり、試料106〜112は、上述の図6に示す構成の有機EL素子である。
[試料101の有機EL素子の作製]
(陽極)
透明支持基板として、厚さ0.7mmのガラス基板を準備した。そして、この透明支持基板上に、ITO(インジウムチンオキシド)を110nmの厚さで製膜してパターニングを行い、ITO透明電極からなる陽極を形成した。この後、ITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(第1正孔輸送層)
次に、陽極を形成した透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。そして、試料101の有機EL素子を構成する各層の材料を、真空蒸着装置内の各蒸着用るつぼに素子作製に最適な量を充填した。各蒸着用るつぼとして、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製された蒸着用るつぼを用いた。
次に、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記構造式に示す化合物1−A(HAT−CN)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で陽極上に蒸着し、厚さ20nmになるように形成した。
Figure 2015201508
次に、下記構造式に示す化合物1−B(ガラス転移点(Tg)=140℃)を厚さ50nmになるように形成した。
Figure 2015201508
次に、下記構造式に示す化合物1−Cを、厚さ10nmになるように形成した。
Figure 2015201508

以上の工程により、陽極側から、化合物1−A、化合物1−B、化合物1−Cが積層された第1正孔輸送層を形成した。化合物1−Cは、後述する第1発光層を構成する化合物2−A、及び、化合物2−Bよりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。
このような関係を満たす上記化合物1−Cを、第1発光層と接する層に用いることにより、第1正孔輸送層に電子及び3重項エネルギー阻止層が形成された構成とした。
(第1発光層)
次に、ホスト化合物として下記構造式に示す化合物2−A(Tg=189℃)が95vol%、青色蛍光発光ドーパントとして下記構造式に示す化合物2−Bが5vol%となるように蒸着した。これにより、第1発光層として、青色を呈する厚さ30nmの蛍光発光層を形成した。
Figure 2015201508
(第1電子輸送層)
次に、下記構造式に示す化合物3(ET−100)が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、厚さ20nmの層を形成した。さらに、化合物3(ET−100)が98vol%、Liが2vol%となるように蒸着し、厚さ10nmの層を形成した。これにより、化合物3及びLiFと、化合物3及びLiとの2層からなる第1電子輸送性層を作製した。
以上の工程により、第1正孔輸送層(電子及び3重項エネルギー阻止層含む)、第1発光層、及び、第1電子輸送層からなる第1発光ユニットを作製した。
Figure 2015201508
(中間コネクタ層)
次に、作製した第1電子輸送層上に、Agを厚さ10nmで成膜し、中間コネクタ層を形成した。
(第2正孔輸送層)
次に、上記第1正孔輸送層と同様に、化合物1−A(HAT−CN)を厚さ20nm、化合物1−Bを60nm形成した。
以上の工程により、陽極側から、化合物1−A、化合物1−Bが積層された第2正孔輸送層を形成した。化合物1−Bは、後述する第2発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−B<ホスト化合物、及び、1−B<発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−B<ホスト化合物、及び、1−B<発光ドーパントの関係となる。
(第2発光層)
次に、ホスト化合物として下記構造式に示す化合物4(Tg=143℃)が79vol%、緑色リン光発光ドーパントとして下記構造式に示す化合物5が20vol%、赤色リン光発光ドーパントとして下記構造式に示す化合物6が1vol%となるように蒸着し、緑色と赤色を呈する厚さ20nmのリン光発光層を形成した。
Figure 2015201508
(第2電子輸送層)
次に、化合物3(ET−100)が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、厚さ20nmの層を形成した。さらに、化合物3(ET−100)が98vol%、Liが2vol%となるように蒸着し、厚さ10nmの層を形成した。これにより、化合物3及びLiFと、化合物3及びLiとの2層からなる第2電子輸送性層を作製した。
(陰極、及び、封止)
次に、アルミニウム150nmを蒸着して陰極を形成した。
次に、上記有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、有機EL素子が作製されたガラス基板(支持基板)と接触する、有機EL素子を覆うガラスケースの周辺部に、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)によるシール剤を設けた。そして、このシール材を上記有機EL素子の陰極側に重ねてガラス基板と密着させた。その後、ガラスケース側からUV光を照射してシール材を硬化することで有機EL素子を封止し、試料101の有機EL素子を作製した。
なお、ガラスケースでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
[試料102の有機EL素子の作製]
第2発光ユニットの第2正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ50nm形成した後、化合物1−Cを厚さ10nmになるように形成した以外は、上記試料101と同様の方法を用いて、試料102の有機EL素子を作製した。
化合物1−Cは、第2発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。
[試料103の有機EL素子の作製]
上記試料101と同様の方法を用いて、陽極を作製した。
次に、陽極上に、上記試料101と同様の方法を用いて、陽極側から、化合物1−Aを20nm、化合物1−Bを60nm、化合物1−Cを60nm積層した正孔輸送層(第1有機層)を形成した。
次に、ホスト化合物として化合物2−A(Tg=189℃)が95vol%、青色蛍光発光ドーパントとして化合物2−Bが5vol%となるように蒸着した。これにより、第1発光層として、青色を呈する厚さ30nmの蛍光発光層(第1発光層)を形成した。
次に、中間コネクタ層(第2有機層)として、化合物2−Aを2nmの厚さで形成した。
次に、ホスト化合物として化合物4(Tg=143℃)が79vol%、緑色リン光発光ドーパントとして化合物5が20vol%、赤色リン光発光ドーパントとして化合物6が1vol%となるように蒸着し、緑色と赤色を呈する厚さ20nmのリン光発光層(第2発光層)を形成した。
次に、化合物3(ET−100)が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、厚さ100nmの層を形成した。
次に、アルミニウム150nmを蒸着して陰極を形成した。そして、上記試料101と同様の方法を用いて有機EL素子を封止し、試料103の有機EL素子を作製した。
なお、中間コネクタ層(第2有機層)を構成する化合物2−Aは、第2発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い材料である。
つまり、LUMOにおいて、2−A<ホスト化合物、及び、2−A<発光ドーパントの関係となる。また、T1において、2−A<ホスト化合物、及び、2−A<発光ドーパントの関係となる。
[試料104の有機EL素子の作製]
中間コネクタ層(第2有機層)として、化合物1−Cを2nmの厚さで形成した以外は、上記試料103と同様の方法を用いて、試料104の有機EL素子を作製した。
化合物1−Cは、第2発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。
[試料105の有機EL素子の作製]
第2発光ユニットの第2発光層を構成する工程において、第2発光層の厚さを30nmとした以外は、上記試料101と同様の方法を用いて、試料105の有機EL素子を作製した。
下記表1に、試料101〜105の有機EL素子の構成を示す。また、表1に、各構成における正孔輸送層と発光層とのLUMO及びT1の関係を示す。
なお、表1では、各試料101〜105において、共通の構成である基板(ガラス)、陽極(ITO)、電子輸送層(化合物3,LiF/化合物3,Li)、及び、各試料101〜102,105の中間コネクタ層(Ag)の構成については記載を省略している。
Figure 2015201508
[試料106の有機EL素子の作製]
まず、上述の試料101と同様の方法を用いて、ガラス基板上に、陽極、第1発光ユニット、中間コネクタ層(第1中間コネクタ層)、及び、第2発光ユニットを形成した。
(中間コネクタ層)
次に、第2発光ユニットの第2電子輸送層上に、Agを厚さ10nmで成膜し、第2中間コネクタ層を形成した。
(第3正孔輸送層)
次に、上述の試料101の第1正孔輸送層と同様に、化合物1−A(HAT−CN)を厚さ20nm、化合物1−Bを60nm形成した。
以上の工程により、陽極側から、化合物1−A、化合物1−Bが積層された第3正孔輸送層を形成した。化合物1−Bは、後述する第3発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−B<ホスト化合物、及び、1−B<発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−B<ホスト化合物、及び、1−B<発光ドーパントの関係となる。
(第3発光層)
次いで、ホスト化合物として化合物4(Tg=143℃)が79vol%、緑色リン光発光ドーパントとして化合物5が20vol%、赤色リン光発光ドーパントとして化合物6が1vol%となるように蒸着し、緑色と赤色を呈する厚さ20nmのリン光発光層を形成した。
(第3電子輸送層)
次に、化合物3(ET−100)が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、厚さ20nmの層を形成した。さらに、化合物3(ET−100)が98vol%、Liが2vol%となるように蒸着し、厚さ10nmの層を形成した。これにより、化合物3及びLiFと、化合物3及びLiとの2層からなる第3電子輸送性層を作製した。
(陰極、及び、封止)
次に、上述の試料101と同様の方法を用いて、陰極を形成した後、この有機EL素子を封止して、試料106の有機EL素子を作製した。
[試料107の有機EL素子の作製]
第2発光ユニットの第2正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ50nm形成した後、化合物1−Cを厚さ10nmになるように形成した以外は、上記試料106と同様の方法を用いて、試料107の有機EL素子を作製した。
化合物1−Cは、第2発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。
[試料108の有機EL素子の作製]
第3発光ユニットの第3正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ50nm形成した後、化合物1−Cを厚さ10nmになるように形成した以外は、上記試料106と同様の方法を用いて、試料108の有機EL素子を作製した。
化合物1−Cは、第3発光層を構成する化合物4、化合物5、及び、化合物6よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。また、T1において、1−C>ホスト化合物、及び、1−C>発光ドーパントの関係となる。
[試料109の有機EL素子の作製]
第2発光ユニットの第2正孔輸送層を構成する工程、及び、第3発光ユニットの第3正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ50nm形成した後、化合物1−Cを厚さ10nmになるように形成した以外は、上記試料106と同様の方法を用いて、試料109の有機EL素子を作製した。
[試料110の有機EL素子の作製]
第1発光ユニットの第1発光層を、緑色と赤色を呈する厚さ20nmのリン光発光層とし、第2発光ユニットの第2発光層を、青色を呈する厚さ30nmの蛍光発光層に変更した以外は、上記試料107と同様の方法を用いて、試料110の有機EL素子を作製した。
なお、試料110の有機EL素子において、第1発光層及び第2発光層の形成方法は、試料101の第2発光層及び第1発光層と同様の方法を用いた。
[試料111の有機EL素子の作製]
第3発光ユニットの第3正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ50nm形成した後、化合物1−Cを厚さ10nmになるように形成した以外は、上記試料110と同様の方法を用いて、試料111の有機EL素子を作製した。
[試料112の有機EL素子の作製]
第1発光ユニットの第1正孔輸送層を構成する工程において、化合物1−Aを厚さ20nm、化合物1−Bを厚さ60nm形成した以外は、上記試料110と同様の方法を用いて、試料112の有機EL素子を作製した。
下記表2に、試料106〜112の有機EL素子の構成を示す。また、表2に、各構成における正孔輸送層と発光層とのLUMO及びT1の関係を示す。
なお、表2では、各試料106〜112において、共通の構成である基板(ガラス)、陽極(ITO)、第1〜3電子輸送層(化合物3,LiF/化合物3,Li)、及び、第1,2中間コネクタ層(Ag)の構成については記載を省略している。

Figure 2015201508
[評価]
上記のようにして得られた試料101〜112の有機EL素子に対し、下記のようにして、素子特性の評価を行った。各試料の評価結果を表3に示す。
(色度差)
各サンプルの色度の測定は、例えば、大田登「色彩工学第2版」(東京電機大学出版局)等を参考にすることができる。
具体的には、室温(約23〜25℃の範囲内)において、50mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行ったときの各サンプルの発光スペクトルを、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。そして、この測定により得られたスペクトルをCIE1931表色系で定められた原刺激[X],[Y],[Z]から三刺激値X,Y,Zを用いて色度座標x,yに変換した。
同様に、室温において、50mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行ったときの各サンプルの発光輝度を、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。また、同条件において連続駆動を行い、輝度が30%減少するまでの時間を発光寿命として求めた。
そして、初期(LT100)の色度座標x,yと、輝度が30%減少とき(LT70)の色度座標x,yから、下記式により色度差ΔExyを算出した。
ΔExy=[(xLT100−xLT70+(yLT100−yLT701/2
(相関色温度)
各サンプルの相関色温度の測定は、例えば、大田登「色彩工学第2版」(東京電機大学出版局)等を参考にすることができる。
具体的には、室温(約23〜25℃の範囲内)において、50mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行ったときの各サンプルの発光スペクトルを、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタセンシング社製)を用いて測定した。そして、この測定により得られたスペクトルをCIE1931表色系で定められた原刺激[X],[Y],[Z]から三刺激値X,Y,Zを用いて色度座標u,vに変換を行なった。
得られた色度座標u,vをCIE1960uv色度図上に示された黒体軌跡および等色温度線と照らし合わせることで色温度を決定した。
なお、各有機EL素子の相関色温度は、得られた値の100の位を四捨五入した値で表した。
Figure 2015201508
また、試料101の有機EL素子と試料102の有機EL素子において、50mA/cmでの連続駆動時における、青色光、緑色光、及び、赤色光の短波長の減衰、並びに、色度の変化を図7〜10に示す。なお、図7及び8において、縦軸は輝度の残存率であり、横軸は連続駆動時間である。
また、図7は、試料101の有機EL素子における、赤青緑の各単波長の減衰の様子を示す図である。図8は、試料102の有機EL素子における、赤青緑の各単波長の減衰の様子を示す図である。
なお、図7及び8において、「B」は第1発光層からの波長480nmの青色を呈する光、「G」は第2発光層からの波長545nmの緑色を呈する光、「R」は第2発光層からの波長595nmの赤色を呈する光を表している。
また、図9は、試料101の有機EL素子における、色度座標x,yの変化の様子を示す図である。図10は、試料102の有機EL素子における、色度座標x,yの変化の様子を示す図である。図9及び10において、縦軸は色度座標x,yであり、横軸は連続駆動時間である。
[結果]
試料101の有機EL素子では、第1発光ユニットにおいて、第1発光層よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い第1正孔輸送層が設けられている。さらに、第2発光ユニットにおいて、第2発光層よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い第2正孔輸送層が設けられている。
このため、青色発光層と、緑色及び赤色発光層との輝度低下速度を調節することができ、有機EL素子を連続駆動した際の色度差が0.003と、全試料中で最も良好な値となった。
これに対して、試料102の有機EL素子では、第2発光ユニットにおいて、第2発光層よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い第2正孔輸送層が設けられている。このため、青色発光層と、緑色及び赤色発光層との輝度低下速度を調節することができず、青色発光層の輝度低下が緑色及び赤色発光層よりも大きくなり、有機EL素子を連続駆動した際の色度差が0.028に悪化している。
発光ユニットを単層とした構成の試料103においても、第2発光層の陽極側に接する中間コネクタ層が、第2発光層よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、化合物2−Aによって形成されている。このため、青色発光層と、緑色及び赤色発光層との輝度低下速度を調節することができ、有機EL素子を連続駆動した際の色度差が0.015と、良好な値となった。
これに対し、同様に発光ユニットを単層とした構成の試料104では、第2発光層の陽極側に接する中間コネクタ層が、第2発光層よりもLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い、化合物1−Cによって形成されている。このため、色発光層と、緑色及び赤色発光層との輝度低下速度を調節することができず、有機EL素子を連続駆動した際の色度差が0.025に悪化している。
また、試料105では、試料101よりも第2発光層の厚さが厚くなり、第1発光層と第2発光層とが同じ厚さである。そして、試料105では、色度差が0.010であり、試料102に比べてよい結果が得られているものの、試料101よりは悪化している。
この結果から、試料101のように、一般的に輝度低下が少ない発光層が、輝度低下が大きい発光層よりも薄く形成されることにより、化合物の劣化をより促進できることわかる。そして、これにより各発光層の輝度低下のバランスを調整し、駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
発光ユニットを3層積層した試料106から試料109の有機EL素子の結果においても、上述の試料101から試料105の有機EL素子の結果と同様の傾向がみられる。
試料106は、第1発光ユニットにおいて、第1発光層よりもLUMOが浅く、且つ、T1が高い第1正孔輸送層が設けられている。
さらに、第2発光ユニット及び第3発光ユニットにおいて、各発光層よりもLUMOが深く、且つ、T1が低い正孔輸送層が設けられている。
つまり、第1〜3発光ユニットにおいて、上述の試料101と同様のLUMO及びT1の関係を満たしている。このため、試料106の有機EL素子では、連続駆動した際の色度差が0.005と良好な結果が得られた。
これに対し、試料109の有機EL素子では、第2発光ユニット及び第3発光ユニットにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしていない。このため、試料106の有機EL素子に比べて、有機EL素子を連続駆動した際の色度差が大きく悪化している。
試料107及び試料108では、第2発光ユニット又は第3発光ユニットにおいて、いずれかがLUMO及びT1の関係を満たしていない。このため、試料106よりも色度差が僅かに悪化している。しかし、第2発光ユニット又は第3発光ユニットにおいて、いずれかがLUMO及びT1の関係を満たしているため、試料109の有機EL素子に比べて、大きく良化している。
従って、一般的に輝度低下が小さい発光層を複数有する構成の有機EL素子においては、少なくとも一般的に輝度低下が小さい発光層のいずれか一方に接して、LUMO及びT1の関係を満たす層を形成することにより、有機EL素子の駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
さらに、一般的に輝度低下が小さい発光層のすべてに接して、LUMO及びT1の関係を満たす層を形成することにより、有機EL素子の駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を、より抑制することができる。
発光ユニットの積層順を変更した試料110から試料112の有機EL素子の結果においても、上述の試料106から試料108の有機EL素子の結果と同様の傾向がみられる。
第1発光ユニット及び第3発光ユニットにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしていない試料111の有機EL素子よりも、第1発光ユニット及び第3発光ユニットにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしている試料112や、第3発光ユニットのみにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしている試料110の方が、連続駆動した際の色度差が良好となる結果が得られた。
さらに、第1発光ユニット及び第3発光ユニットにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしている試料112の方が、第3発光ユニットのみにおいて、LUMO及びT1の関係を満たしている試料110よりも、連続駆動した際の色度差が良好となる結果が得られた。
このように、一般的に輝度低下が小さい発光層と、一般的に輝度低下が大きい発光層とが、有機EL素子においてどのような積層順になっている場合においても、上述の関係を満たすことにより、有機EL素子の駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
また、図7に示すように、第1発光層に接してLUMOが浅く、且つ、T1が高い第1正孔輸送層を備え、第2発光層に接してLUMOが深く、且つ、T1が低い第2正孔輸送層を備える試料101の有機EL素子では、青、緑、及び、赤の光の減衰の様子がほぼ一致している。これは、第1発光層と第2発光層において、輝度が低下する速度が近いことを示している。
これに対して、図8に示すように、第1発光層及び第2発光層に接して、ともにLUMOが浅く、且つ、T1が高い第1正孔輸送層及び第2正孔輸送層を備える試料102の有機EL素子では、第1発光層の青色光の減衰の様子と、第2発光層の緑及び赤色光の減衰の様子とに、大きな差ができている。
また、図7と図8とを比較すると、第1発光層の青色光の減衰の様子は近似している。しかし、図7では、図8に比べて第2発光層の緑及び赤色光の減衰の様子に、大きな差ができている。具体的には、第2発光層の緑及び赤色光の減衰の様子が、第1発光層の青色光の減衰の様子に近づく方向に遷移している。
この図7と図8とに示す結果から、第2発光層に接してLUMOが深く、且つ、T1が低い第2正孔輸送層を設けることにより、一般的に輝度低下が小さい発光層において、劣化が促進されることが分かる。
また、図9及び図10においても同様の結果が得られている。
図9に示すように、試料101の有機EL素子では、駆動時間が経過しても、色度座標x,yの変動が少ない。これは、上述の図7に示すように、青、緑、及び、赤の光の減衰の様子がほぼ一致しているためである。
また、図10に示すように、試料102の有機EL素子では、駆動時間が経過により、色度座標x,yの変動が大きい。これは、上述の図8に示すように、青色光の減衰の様子と、緑及び赤色光の減衰の様子とに、大きな差ができているためである。
従って、図7〜10に示す結果から、一般的に輝度低下が大きい発光層に接してLUMOが浅く、且つ、T1が高い層を設け、一般的に輝度低下が小さい発光層に接してLUMOが深い、及び、T1が低い、の少なくともいずれか一方を満たす層を設けることにより、有機EL素子の駆動時間の経過による当初の発光色からの色変化を抑制することができる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,30,40,50 有機EL素子、11,51 第1発光ユニット、12,61 第2発光ユニット、13,52 第1正孔輸送層、13A 電子阻止層、14,33,43,53 第1発光層、14A,17A 発光領域、15,54 第1電子輸送層、16,62 第2正孔輸送層、17,34,45,63 第2発光層、18,64 第2電子輸送層、19 中間コネクタ層、21,36,47,75 陽極、22,37,48,76 陰極、23,38,49,77 基板、31,41 発光ユニット、32 正孔輸送層、35 電子輸送層、42 第1有機層、44 第2有機層、46 第3有機層、55 第1中間コネクタ層、65 第2中間コネクタ層、71 第3発光ユニット、72 第3正孔輸送層、73 第3発光層、74 第3電子輸送層

Claims (9)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と、前記陰極との間に介在する第1発光層、及び、第2発光層と、を備え、
    前記第1発光層と、前記陽極側において前記第1発光層と接する層とにおいて、
    前記第1発光層と接する層が、前記第1発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅い、且つ、最低励起3重項エネルギー(T1)が高い、の関係を満たし、
    前記第2発光層と、前記陽極側において前記第2発光層と接する層とにおいて、
    前記第2発光層と接する層が、前記第2発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記第2発光層と接する層が、前記第2発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、両方を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記第2発光層よりも、前記第1発光層からの発光光の波長が短い請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記第2発光層が、前記第1発光層よりも厚さが小さく形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記第1発光層が、前記第2発光層よりも前記有機エレクトロルミネッセンス素子の光取り出し側に形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記第1発光層と前記第2発光層との間に、中間コネクタ層を有する請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記中間コネクタ層が、電荷発生層又は金属層である請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  8. 前記第1発光層、及び、前記第2発光層とともに、第3発光層を有し、前記陽極側において前記第3発光層と接する層が、前記第3発光層よりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が深い、及び、最低励起3重項エネルギー(T1)が低い、の少なくともいずれか一方を満たす請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える
    電子デバイス。
JP2014078614A 2014-04-07 2014-04-07 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス Active JP6307993B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014078614A JP6307993B2 (ja) 2014-04-07 2014-04-07 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス
US14/668,439 US9406897B2 (en) 2014-04-07 2015-03-25 Organic electroluminescent element and electronic device
CN201510153395.3A CN104979482B (zh) 2014-04-07 2015-04-02 有机电致发光元件及电子器件

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014078614A JP6307993B2 (ja) 2014-04-07 2014-04-07 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015201508A true JP2015201508A (ja) 2015-11-12
JP6307993B2 JP6307993B2 (ja) 2018-04-11

Family

ID=54210507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014078614A Active JP6307993B2 (ja) 2014-04-07 2014-04-07 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9406897B2 (ja)
JP (1) JP6307993B2 (ja)
CN (1) CN104979482B (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016076187A1 (ja) * 2014-11-14 2016-05-19 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2016088513A1 (ja) * 2014-12-04 2016-06-09 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2017010489A1 (ja) * 2015-07-14 2017-01-19 出光興産株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子および電子機器
JP6151846B1 (ja) * 2016-12-27 2017-06-21 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
JP6155378B1 (ja) * 2016-12-27 2017-06-28 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
CN111584720A (zh) * 2019-02-15 2020-08-25 三星显示有限公司 有机发光装置及包括所述有机发光装置的电子设备

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105307337B (zh) * 2015-11-02 2019-02-12 固安翌光科技有限公司 一种自动调节亮度的oled发光器件及其制备方法
CN105244366B (zh) * 2015-11-23 2018-03-30 武汉华星光电技术有限公司 柔性显示基板及其制造方法
KR102642369B1 (ko) 2016-03-25 2024-03-05 삼성디스플레이 주식회사 유기 발광 표시 장치 및 유기 발광 표시 장치의 제조 방법
KR102611206B1 (ko) * 2016-07-13 2023-12-08 삼성디스플레이 주식회사 유기 발광 소자
CN106549113B (zh) * 2017-01-16 2019-10-01 上海天马有机发光显示技术有限公司 一种有机发光显示面板及装置
CN107275514B (zh) * 2017-06-15 2018-12-18 京东方科技集团股份有限公司 一种oled器件及其制备方法、显示装置
CN107958962A (zh) * 2017-11-21 2018-04-24 合肥鑫晟光电科技有限公司 Oled器件及其驱动方法、oled基板及其制作方法、显示装置
KR20200076969A (ko) * 2018-12-20 2020-06-30 엘지디스플레이 주식회사 유기 발광 소자를 이용한 조명 장치
US11094886B2 (en) * 2019-09-13 2021-08-17 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Organic electroluminescent element and electronic device
CN113299845A (zh) * 2021-06-11 2021-08-24 维沃移动通信有限公司 电致发光单元、显示面板及电子设备
CN113838989B (zh) * 2021-09-23 2024-03-19 京东方科技集团股份有限公司 一种oled器件

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006332031A (ja) * 2005-04-28 2006-12-07 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置及びその作製方法
JP2007287691A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Lg Electronics Inc 有機el素子及びその製造方法
US20080284318A1 (en) * 2007-05-17 2008-11-20 Deaton Joseph C Hybrid fluorescent/phosphorescent oleds
JP2011003607A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Dainippon Printing Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
US20130264551A1 (en) * 2012-04-05 2013-10-10 Lg Display Co., Ltd. Tandem White Organic Light Emitting Device

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4281308B2 (ja) 2001-08-28 2009-06-17 コニカミノルタホールディングス株式会社 多色発光装置及びその製造方法
JP4496948B2 (ja) * 2004-12-13 2010-07-07 株式会社豊田自動織機 有機el素子
US7683536B2 (en) * 2005-03-31 2010-03-23 The Trustees Of Princeton University OLEDs utilizing direct injection to the triplet state
JP2007173584A (ja) 2005-12-22 2007-07-05 Canon Inc 発光装置
JP2008218320A (ja) 2007-03-07 2008-09-18 Matsushita Electric Works Ltd 有機電界発光素子
EP2433929B1 (en) * 2010-09-27 2013-10-23 Semiconductor Energy Laboratory Co, Ltd. Organic Compound, Light-Emitting Element, Light-Emitting Device, Electronic Device, and Lighting Device
KR101351417B1 (ko) * 2010-10-26 2014-01-14 엘지디스플레이 주식회사 백색 유기 발광 소자
US8476624B1 (en) * 2012-06-01 2013-07-02 Au Optronics Corporation Organic light emitting diode (OLED) device
TWI637543B (zh) * 2012-09-21 2018-10-01 半導體能源研究所股份有限公司 發光元件,發光裝置,電子裝置,及照明裝置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006332031A (ja) * 2005-04-28 2006-12-07 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 発光装置及びその作製方法
JP2007287691A (ja) * 2006-04-13 2007-11-01 Lg Electronics Inc 有機el素子及びその製造方法
US20080284318A1 (en) * 2007-05-17 2008-11-20 Deaton Joseph C Hybrid fluorescent/phosphorescent oleds
JP2011003607A (ja) * 2009-06-16 2011-01-06 Dainippon Printing Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
US20130264551A1 (en) * 2012-04-05 2013-10-10 Lg Display Co., Ltd. Tandem White Organic Light Emitting Device

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016076187A1 (ja) * 2014-11-14 2016-05-19 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2016088513A1 (ja) * 2014-12-04 2016-06-09 コニカミノルタ株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2017010489A1 (ja) * 2015-07-14 2017-01-19 出光興産株式会社 有機エレクトロルミネッセンス素子および電子機器
WO2018124240A1 (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
JP6155378B1 (ja) * 2016-12-27 2017-06-28 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
WO2018124238A1 (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
JP6151846B1 (ja) * 2016-12-27 2017-06-21 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
JP2018107033A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
JP2018107032A (ja) * 2016-12-27 2018-07-05 Lumiotec株式会社 有機エレクトロルミネッセント素子、照明装置、ディスプレイ装置
US11024822B2 (en) 2016-12-27 2021-06-01 Xianyang Chvt New Display Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent element, lighting device, and display device
US11081664B2 (en) 2016-12-27 2021-08-03 Xianyang Chvt New Display Technology Co., Ltd. Organic electroluminescent element having stacked light emitting units
CN111584720A (zh) * 2019-02-15 2020-08-25 三星显示有限公司 有机发光装置及包括所述有机发光装置的电子设备
JP2020136256A (ja) * 2019-02-15 2020-08-31 三星ディスプレイ株式會社Samsung Display Co.,Ltd. 有機発光素子、及びそれを含んだ電子装置
US11600795B2 (en) 2019-02-15 2023-03-07 Samsung Display Co., Ltd. Organic light-emitting device and electronic apparatus including the same
JP7266441B2 (ja) 2019-02-15 2023-04-28 三星ディスプレイ株式會社 有機発光素子、及びそれを含んだ電子装置

Also Published As

Publication number Publication date
US9406897B2 (en) 2016-08-02
JP6307993B2 (ja) 2018-04-11
CN104979482B (zh) 2017-04-26
US20150287949A1 (en) 2015-10-08
CN104979482A (zh) 2015-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6307993B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、及び、電子デバイス
KR102237305B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자용 재료, 유기 일렉트로루미네센스 소자, 표시 장치 및 조명 장치
KR102052812B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자, 표시 장치 및 조명 장치
US11910628B2 (en) Luminescent film, organic electroluminescent element, organic material composition and method for producing organic electroluminescent element
WO2016017684A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、発光性薄膜、表示装置及び照明装置
JP6319319B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2017126606A (ja) 電子デバイス材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び、照明装置
JPWO2016017757A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置、π共役系化合物、発光性薄膜
KR20170082447A (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자, 유기 일렉트로루미네센스 소자의 제조 방법, 표시 장치 및 조명 장치
JP2016036022A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子材料、有機エレクトロルミネッセンス素子、電荷移動性薄膜、表示装置及び照明装置
JP2016225498A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6417821B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び照明装置
CN107534092B (zh) 有机电致发光元件用材料、有机电致发光元件、显示装置及照明装置
US9843008B2 (en) Organic electroluminescent element and electronic device
WO2007119420A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、有機エレクトロルミネッセンス素子の発光色度安定化方法、照明装置及び電子ディスプレイ装置
WO2015087795A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP6941160B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
WO2018116923A1 (ja) 透明電極及び電子デバイス
JP2021166212A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP7060490B2 (ja) 非イオン性有機エレクトロニクス材料、電子デバイス、有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子作製用溶液
WO2016088513A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2016072586A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2017084562A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180213

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6307993

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250