JP2016072586A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2016072586A
JP2016072586A JP2014203807A JP2014203807A JP2016072586A JP 2016072586 A JP2016072586 A JP 2016072586A JP 2014203807 A JP2014203807 A JP 2014203807A JP 2014203807 A JP2014203807 A JP 2014203807A JP 2016072586 A JP2016072586 A JP 2016072586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
layer
organic
light
light emitting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2014203807A
Other languages
English (en)
Inventor
岡本 健
Takeshi Okamoto
健 岡本
敦 今村
Atsushi Imamura
敦 今村
高橋 理愛子
Rieko Takahashi
理愛子 高橋
新井 賢司
Kenji Arai
賢司 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2014203807A priority Critical patent/JP2016072586A/ja
Publication of JP2016072586A publication Critical patent/JP2016072586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、電圧変動及び色変動の小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。【解決手段】本発明の有機EL素子(1)は、一対の陽極(20)及び陰極(60)間に、陽極(20)側から第1発光ユニット(30)、電荷発生ユニット(40)、第2発光ユニット(50)が順次積層され、第1発光ユニット(30)又は第2発光ユニット(50)が、正孔注入層(32a)又は(52a)をその内部に含む正孔注入・輸送層(32)又は(52)を有し、第1発光ユニット(30)又は第2発光ユニット(50)における正孔注入・輸送層(32)又は(52)の層厚(dHITL)と正孔注入層(32a)又は(52a)の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする。dHIL/dHITL≦0.20【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。より詳しくは、電圧変動及び色変動の小さい有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
一般に、有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)素子は、陽極/発光層/陰極からなる層構成を基本とし、これに正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の層を適宜設けることによって構成されている。
このような構成からなる有機EL素子は、一般的に発光電流効率と駆動寿命とがトレードオフの関係になることが知られている。そのため、このトレードオフの関係を改善するべく、有機材料、有機層構成、素子駆動方法等、様々な視点から検討が加えられてきた。
そして、有機層構成の観点から、このトレードオフ関係を抜本的に改善する技術として、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層を少なくとも含む、1層以上からなる有機層を1つの発光ユニットとし、電荷発生ユニットを介して複数の発光ユニットを積層することにより、発光電流効率を維持しつつ長寿命化を図る、あるいは駆動寿命を大きく損なうことなく発光電流効率を格段に増大させ得る、いわゆるタンデム構造が提案されている。
ところで、一般に、有機EL素子では、正孔注入・輸送層の移動度は電子注入・輸送層の移動度よりも小さく、その差異は低温になるほど顕著になる。その結果、正孔輸送性が律速となり、低温になると大きな電圧上昇を引き起こしていた。さらには、タンデム構造の有機EL素子においては、第1発光ユニットと第2発光ユニットのうち、発光層の電子輸送性が高い発光ユニット側の発光色に色がシフトしやすくなる。また、正孔注入・輸送層内においても、正孔輸送層と比べ、正孔注入層部分での正孔輸送性が遅い。
また、正孔注入層に導入する材料系として、一般的に三つのケースがあり、(i)有機化合物単体、(ii)金属酸化物単体、及び(iii)有機化合物と金属、金属酸化物、又はビフェロセンF−TCNQ等のp型のドーピング材料が挙げられる。材料自体の安定性(量産)の観点から、正孔注入層材料としては有機化合物単体が最も望ましいが、有機化合物単体の場合、特に正孔注入層部分において、正孔輸送性が正孔輸送層材料に比べ低くなるといった欠点があった。さらに、低温になるにつれ、ホッピング伝導の法則(μ=eRv/kT×exp(−2αR))からも、更に正孔輸送性が電子輸送性よりも律速過程として顕著になり、第1発光ユニットと第2発光ユニットのうち、発光層の電子輸送性が高い発光ユニット側の発光色に色がシフトしていた。
以上のように、一対の陽極−陰極間に、複数の発光層(特に、蛍光発光層とリン光発光層とが混在している場合)が積層された層を有する素子においては、複数の発光層でそれぞれ正孔と電子とが再結合するため、環境温度の変化により、正孔と電子との再結合領域が変動し、電圧及び色が大きく変動してしまっていた。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、電圧変動及び色変動の小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが、特定の条件式を満たすことにより、電圧変動及び色変動の小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.一対の陽極及び陰極間に、陽極側から第1発光ユニット、電荷発生ユニット、第2発光ユニットが順次積層され、前記第1発光ユニット又は前記第2発光ユニットが、正孔注入層をその内部に含む正孔注入・輸送層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記第1発光ユニット又は前記第2発光ユニットにおける前記正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と前記正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
HIL/dHITL≦0.20
2.前記正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と前記正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
HIL/dHITL≦0.10
3.前記正孔注入層の層厚が、1〜15nmの範囲内であること特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記正孔注入層の層厚が、1〜10nmの範囲内であること特徴とする第3項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記正孔注入層が、単種の化合物からなることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記正孔注入層には、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が含有されていることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016072586
(一般式(1)中、Aは、C又はNを表す。Xは、N又はCRを表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミド基(−CONHR又は−CONR)、スチリル基、エチニル基、キノリル基、キナゾリル基、フェナントロリル基、ビキノリル基、アントラキノニル基、ベンゾキノニル基、キノニル基、アクリジニル基、及び置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基又は複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。Y、Y′及びY″は、置換又は無置換の、環員としてA及びXを含む5員の芳香族複素環又は環員としてA及びXを含む6員の芳香族複素環を表す。Y、Y′及びY″は、同一でも異なっていてもよい。)
7.前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016072586
(一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR10)、スルホナト基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR10)、及び置換又は無置換の、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。)
8.前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第6項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016072586
(一般式(3)中、R11〜R22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及び置換又は無置換の、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素環基、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R11〜R22は、それぞれ隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。)
9.前記正孔注入層には、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物が含有されていることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2016072586
(一般式(4)中、R23〜R28は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表す。R23〜R28は、同一でも異なっていてもよい。R23とR24、R25とR26及びR27とR28、又は、R23とR28、R24とR25及びR26とR27は、縮合環を形成していてもよい。)
本発明の上記手段により、電圧変動及び色変動の小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
従来、正孔移動度よりも電子移動度が大きいことから、正孔と電子との再結合位置が正孔注入・輸送層側へシフトしてしまい、このため陽極に近い発光層が発光しやすくなり、これが色ずれの原因となっていた。
加えて、正孔注入・輸送層内において、正孔注入層は正孔輸送層に比べ、正孔輸送性が低いため、正孔注入層が厚い場合、低温駆動時において、大きな電圧上昇を引き起こし、更には、色変動が大きくなることがわかった。
本発明においては、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが、特定の条件式を満たすことにより、低温環境下においても正孔注入層における正孔輸送性の顕著な低下分を最小限にし、発光ユニット間で安定して正孔と電子とを再結合させ、電圧変動及び色変動を小さくすることができるものと推測される。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図
本発明の有機EL素子は、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが、特定の条件式を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)との層厚比(dHIL/dHITL)を0.10以下とすること、更には、正孔注入層の層厚を1〜15nmの範囲内、好ましくは1〜10nmの範囲内とすることがより好ましい。
また、生産効率の観点から、正孔注入層が単種の化合物からなることが好ましい。
また、材料安定性及び正孔注入性の観点から、正孔注入層に一般式(1)〜(4)で表される構造を有する化合物が含有されていることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
≪有機EL素子の構成≫
本発明の有機EL素子は、一対の陽極及び陰極間に、陽極側から第1発光ユニットと、電荷発生ユニットと、第2発光ユニットとが順次積層され、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする。
HIL/dHITL≦0.20
以下、図面を用いて、詳細に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。
図1に示すとおり、有機EL素子1は、基板10上に、陽極20、第1発光ユニット30、電荷発生ユニット40、第2発光ユニット50、陰極50を順に備えている。
第1発光ユニット30は、正孔注入・輸送層32、発光層34、電子注入・輸送層36を有し、正孔注入・輸送層32は、正孔注入層32aやその他の層32b(正孔輸送層、電子阻止層等)を含んでいてもよい。第2発光ユニット50は、正孔注入・輸送層52、発光層54、電子注入・輸送層56を有し、正孔注入・輸送層52は、正孔注入層52aやその他の層52b(正孔輸送層、電子阻止層等)を含んでいてもよい。本発明においては、少なくともいずれかの発光ユニットにおける正孔注入・輸送層が正孔注入層及び正孔輸送層を必ず含み、正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが条件式dHIL/dHITL≦0.20を満たしていればよく、その他の発光ユニットにおける正孔注入・輸送層は、例えば、正孔輸送層のみから構成されていてもよい。
有機EL素子1は、陽極20が透明電極により構成され、陰極60を反射電極として機能させる構成を有し、基板10側から光を取り出す、いわゆるボトムエミッション型の構成である。
また、有機EL素子1は、第1発光ユニット30及び第2発光ユニット50に、少なくとも発光性の有機材料、例えば、青(B)、緑(G)、赤(R)の各色の発光ドーパントが含有された、白色発光素子である。
以下、本発明の有機EL素子を構成する陽極、第1発光ユニット、電荷発生ユニット、第2発光ユニット、及び陰極の各構成、並びに本発明の有機EL素子が設けられる基板の構成の詳細について説明する。なお、以下に説明する有機EL素子の各構成は、実施形態を説明するための一例であり、上述の有機EL素子を構成することが可能な範囲で適宜その他構成を適用することも可能である。
<発光ユニット>
本発明に係る第1発光ユニット及び第2発光ユニットは、正孔注入・輸送層、発光層及び電子注入・輸送層を有しており、少なくとも第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする。
HIL/dHITL≦0.20
(発光層)
発光層は、電極又は隣接層から注入される電子と正孔とが再結合し、励起子を経由して発光する場を提供する、発光性の有機半導体薄膜を含む層である。発光する部分は、発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層は、発光性を有する有機材料を含む発光材料を少なくとも1種以上含むことが好ましい。
発光層には、リン光発光材料と蛍光発光材料とを混在させてもよいが、好ましくは発光層をリン光発光材料又は蛍光発光材料のみで構成することが好ましい。
蛍光発光層及びリン光発光層は、ホスト−ドーパント型の発光層であることが好ましい。
また、異なる発光色を呈する発光ユニットを積層して白色発光を得ようとする場合には、これら発光ユニットが相互に補色の関係にあることが好ましい。例えば、青色発光ユニットと、補色となる黄緑、黄色又はオレンジ色(橙色)の発光色を呈する発光ユニットを設けることで、白色発光を呈する有機EL素子とすることができる。なお、「補色」の関係とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質の発光を混合すると、白色発光を得ることができる。
発光層を構成する層は、何層でもよく、同一の発光スペクトルや発光極大波長を有する層が複数層あってもよい。
発光層の層厚の総和は、特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、5〜200nmの範囲内に調整することが好ましく、更に好ましくは10〜150nmの範囲内に調整される。また、個々の発光層の層厚としては、5〜200nmの範囲内に調整することが好ましく、更に好ましくは10〜40nmの範囲内に調整することである。
(1)発光ドーパント
発光ドーパントとしては、蛍光発光性ドーパント(蛍光ドーパント、蛍光性化合物ともいう。)、及び、リン光発光性ドーパント(リン光ドーパント、リン光性化合物ともいう。)が好ましく用いられる。発光層中の発光ドーパントの濃度については、使用される特定のドーパント及びデバイスの必要条件に基づいて任意に決定することができる。発光ドーパントの濃度は、発光層の層厚方向に対し、均一な濃度で含有されていてもよく、また任意の濃度分布を有していてもよい。
また、発光層には、複数種の発光ドーパントが含まれていてもよい。例えば、構造の異なるドーパント同士の組み合わせや、蛍光発光性ドーパントとリン光発光性ドーパントとを組み合わせて用いてもよい。これにより、任意の発光色を得ることができる。
本発明の有機EL素子は、1層又は複数層の発光層が、発光色の異なる複数の発光ドーパントを含有し、白色発光を示すことが好ましい。白色を示す発光ドーパントの組み合わせについては特に限定はないが、例えば、青と橙との組み合わせや、青と緑と赤との組み合わせ等が挙げられる。有機EL素子における白色としては、2度視野角正面輝度を前述の方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.39±0.09、y=0.38±0.08の領域内にあることが好ましい。
(1.1)リン光発光性ドーパント
リン光発光性ドーパントは、励起三重項からの発光が観測される化合物であり、具体的には、室温(25℃)にてリン光発光する化合物であり、25℃においてリン光量子収率が0.01以上の化合物である。発光層に用いるリン光発光性ドーパントにおいて、好ましいリン光量子収率は0.1以上である。
リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398頁(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は、種々の溶媒を用いて測定できる。発光層に用いるリン光発光性ドーパントは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率(0.01以上)が達成されればよい。
リン光発光性ドーパントの発光は、原理として2種挙げられる。
一つは、キャリアが輸送されるホスト化合物上で、キャリアの再結合によるホスト化合物の励起状態が生成される。このエネルギーをリン光発光性ドーパントに移動させることでリン光発光性ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つは、リン光発光性ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光性ドーパント上でキャリアの再結合が起こり、リン光発光性ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光性ドーパントの励起状態のエネルギーは、ホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件となる。
リン光発光性ドーパントとしては、有機EL素子の発光層に使用される公知の材料から適宜選択して用いることができる。
公知のリン光発光性ドーパントの具体例としては、Nature 395,151(1998)、Appl.Phys.Lett.78,1622(2001)、Adv.Mater.19,739(2007)、Chem.Mater.17,3532(2005)、Adv.Mater.17,1059(2005)、国際公開第2009/100991号、国際公開第2008/101842号、国際公開第2003/040257号、米国特許出願公開第2006/835469号明細書、米国特許出願公開第2006/0202194号明細書、米国特許出願公開第2007/0087321号明細書、米国特許出願公開第2005/0244673号明細書、Inorg.Chem.40,1704(2001)、Chem.Mater.16,2480(2004)、Adv.Mater.16,2003(2004)、Angew.Chem.lnt.Ed.2006,45,7800、Appl.Phys.Lett.86,153505(2005)、Chem.Lett.34,592(2005)、Chem.Commun.2906(2005)、Inorg.Chem.42,1248(2003)、国際公開第2009/050290号、国際公開第2002/015645号、国際公開第2009/000673号、米国特許出願公開第2002/0034656号明細書、米国特許第7332232号明細書、米国特許出願公開第2009/0108737号明細書、米国特許出願公開第2009/0039776号明細書、米国特許第6921915号明細書、米国特許第6687266号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2006/0008670号明細書、米国特許出願公開第2009/0165846号明細書、米国特許出願公開第2008/0015355号明細書、米国特許第7250226号明細書、米国特許第7396598号明細書、米国特許出願公開第2006/0263635号明細書、米国特許出願公開第2003/0138657号明細書、米国特許出願公開第2003/0152802号明細書、米国特許第7090928号明細書、Angew.Chem.lnt.Ed.47,1(2008)、Chem.Mater.18,5119(2006)、Inorg.Chem.46,4308(2007)、Organometallics 23,3745(2004)、Appl.Phys.Lett.74,1361(1999)、国際公開第2002/002714号、国際公開第2006/009024号、国際公開第2006/056418号、国際公開第2005/019373号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2005/123873号、国際公開第2007/004380号、国際公開第2006/082742号、米国特許出願公開第2006/0251923号明細書、米国特許出願公開第2005/0260441号明細書、米国特許第7393599号明細書、米国特許第7534505号明細書、米国特許第7445855号明細書、米国特許出願公開第2007/0190359号明細書、米国特許出願公開第2008/0297033号明細書、米国特許第7338722号明細書、米国特許出願公開第2002/0134984号明細書、米国特許第7279704号明細書、米国特許出願公開第2006/098120号明細書、米国特許出願公開第2006/103874号明細書、国際公開第2005/076380号、国際公開第2010/032663号、国際公開第第2008/140115号、国際公開第2007/052431号、国際公開第2011/134013号、国際公開第2011/157339号、国際公開第2010/086089号、国際公開第2009/113646号、国際公開第2012/020327号、国際公開第2011/051404号、国際公開第2011/004639号、国際公開第2011/073149号、米国特許出願公開第2012/228583号明細書、米国特許出願公開第2012/212126号明細書、特開2012−069737号公報、特開2012−195554号公報、特開2009−114086号公報、特開2003−81988号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−363552号公報等に記載の化合物が挙げられる。
特に、リン光発光性ドーパントとして、特開2013−4245号公報の段落[0185]〜[0235]に記載の一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)で表される構造を有する化合物、及び、例示化合物(Pt−1〜Pt−3、Os−1及びIr−1〜Ir−45)を好ましく挙げることができる。
中でも、好ましいリン光発光性ドーパントとしては、Irを中心金属に有する有機金属錯体が挙げられる。さらに好ましくは、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含む錯体が好ましい。
(1.2)蛍光発光性ドーパント
蛍光発光性ドーパントは、励起一重項からの発光が可能な化合物であり、励起一重項からの発光が観測される限り特に限定されない。
蛍光発光性ドーパントしては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、クリセン誘導体、フルオランテン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体、アリールアセチレン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、スチリルアミン誘導体、アリールアミン誘導体、ホウ素錯体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、シアニン誘導体、クロコニウム誘導体、スクアリウム誘導体、オキソベンツアントラセン誘導体、フルオレセイン誘導体、ローダミン誘導体、ピリリウム誘導体、ペリレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、希土類錯体系化合物等が挙げられる。
また、蛍光発光性ドーパントして、遅延蛍光を利用した発光ドーパント等を用いてもよい。遅延蛍光を利用した発光ドーパントの具体例としては、例えば、国際公開第2011/156793号、特開2011−213643号公報、特開2010−93181号公報等に記載の化合物が挙げられる。
(2)ホスト化合物
ホスト化合物は、発光層において主に電荷の注入及び輸送を担う化合物であり、有機EL素子においてそれ自体の発光は実質的に観測されない。
好ましくは室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が、0.1未満の化合物であり、更に好ましくは、リン光量子収率が0.01未満の化合物である。また、発光層に含有される化合物のうちで、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
また、ホスト化合物の励起状態エネルギーは、同一層内に含有される発光ドーパントの励起状態エネルギーよりも高いことが好ましい。
ホスト化合物は、単独で用いてもよく、又、複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子の高効率化が可能となる。
発光層に用いるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられている化合物を用いることができる。例えば、低分子化合物や、繰り返し単位を有する高分子化合物でもよく、あるいは、ビニル基やエポキシ基のような反応性基を有する化合物でもよい。
公知のホスト化合物としては、正孔輸送能又は電子輸送能を有しつつ、発光の長波長化を防ぎ、更に、有機EL素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対する安定性の観点から、高いガラス転移温度(Tg)を有することが好ましい。ホスト化合物としては、Tgが90℃以上であることが好ましく、より好ましくは120℃以上である。
ここで、ガラス転移点(Tg)とは、DSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121に準拠した方法により求められる値である。
また、リン光発光性ドーパントが含まれる発光層のホスト化合物は、その最低励起三重項エネルギー(T)が、2.1eVより大きいことが好ましい。Tが、2.1eVより大きいことにより、高い発光効率を得られる。最低励起三重項エネルギー(T)とは、ホスト化合物を溶媒に溶解し、液体窒素温度、あるいは液体ヘリウム温度において観測したリン光発光スペクトルの最低振動バンド間遷移に対応する発光バンドのピークエネルギーをいう。
有機EL素子に用いられる、公知のホスト化合物の具体例としては、特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報、米国特許出願公開第2003/0175553号明細書、米国特許出願公開第2006/0280965号明細書、米国特許出願公開第2005/0112407号明細書、米国特許出願公開第2009/0017330号明細書、米国特許出願公開第2009/0030202号明細書、米国特許出願公開第2005/0238919号明細書、国際公開第2001/039234号、国際公開第2009/021126号、国際公開第2008/056746号、国際公開第2004/093207号、国際公開第2005/089025号、国際公開第2007/063796号、国際公開第2007/063754号、国際公開第2004/107822号、国際公開第2005/030900号、国際公開第2006/114966号、国際公開第2009/086028号、国際公開第2009/003898号、国際公開第2012/023947号、特開2008−074939号公報、特開2007−254297号公報、欧州特許第2034538号明細書等に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
(正孔注入・輸送層)
正孔注入・輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層であり、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層等から構成される。
本発明においては、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層が、少なくとも正孔注入層及び正孔輸送層を有し、正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)とが条件式dHIL/dHITL≦0.20を満たしており、好ましくは条件式dHIL/dHITL≦0.10を満たしている。
(1)正孔注入層
正孔注入層(「陽極バッファー層」ともいう。)は、駆動電圧低減や発光輝度向上のために陽極と発光層との間に設けられる層である。正孔注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
正孔注入層は、必要に応じて設けられ、上述のように陽極又は電荷発生ユニットと、発光層又は正孔輸送層との間に設けられる。
正孔注入層は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されている。
(1.1)一般式(1)で表される構造を有する化合物
正孔注入層の構成材料としては、下記一般式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
Figure 2016072586
(一般式(1)中、Aは、C又はNを表す。Xは、N又はCRを表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミド基(−CONHR又は−CONR)、スチリル基、エチニル基、キノリル基、キナゾリル基、フェナントロリル基、ビキノリル基、アントラキノニル基、ベンゾキノニル基、キノニル基、アクリジニル基、及び置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基又は複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。Y、Y′及びY″は、置換又は無置換の、環員としてA及びXを含む5員の芳香族複素環又は環員としてA及びXを含む6員の芳香族複素環を表す。Y、Y′及びY″は、同一でも異なっていてもよい。)
一般式(1)のRにおけるアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが望ましくて、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基及びイソプロピル基、t−ブチル基等の分枝鎖アルキル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基などの単環式芳香族炭化水素環基、及びナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環式芳香族炭化水素環基などを挙げることができる。
アラルキル基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テルフェニル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などのような芳香族炭化水素環基で置換された炭素数1〜20であるアルキル基を挙げることができる。
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜20である脂肪族炭化水素に置換されたアミノ基を挙げることができる。
アリールアミノ基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テルフェニル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などのような芳香族炭化水素環基で置換されたアミノ基を挙げることができる。
アラルキルアミノ基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、テルフェニル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などのような芳香族炭化水素環基と炭素数1〜20である脂肪族炭化水素で置換されたアミノ基を挙げることができる。
複素環基としては、ピロリル基、チエニル基、インドリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピペラジニル基、チオフェニル基、フラニル基、ピリダジニル基などが挙げられる。
一般式(1)のR及びRにおける炭素数1〜60のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基等の直鎖アルキル基及びイソプロピル基、t−ブチル基等の分枝鎖アルキル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基などの単環式芳香族炭化水素環基、及びナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基などの多環式芳香族炭化水素環基などを挙げることができる。
5〜7員の複素環基としては、ピロリル基、チエニル基、インドリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピペラジニル基、チオフェニル基、フラニル基、ピリダジニル基等が挙げられる。
一般式(1)のY、Y′及びY″における5員の芳香族複素環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、インドール環、トリアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾピラゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソオキサゾール環等が挙げられる。
6員の芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環等が挙げられる。
一般式(1)におけるR〜R、並びにY、Y′及びY″は置換されていてもよく、その置換基としては、例えば、直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(例えば、エチニル基、プロパルギル基等)、芳香族炭化水素環基(芳香族炭素環基、アリール基等ともいう。例えば、ベンゼン環、ビフェニル、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−ターフェニル環、m−ターフェニル環、p−ターフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、インデン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環、テトラリン等から導出される基)、芳香族複素環基(例えば、フラン環、ジベンゾフラン環、チオフェン環、ジベンゾチオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、インダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、カルバゾール環、カルボリン環、ジアザカルバゾール環(カルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の一つが更に窒素原子で置換されている環等から導出される基。また、カルボリン環とジアザカルバゾール環を合わせて「アザカルバゾール環」と呼ぶ場合もある。)、非芳香族炭化水素環基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、非芳香族複素環基(例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基又はヘテロアリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、フッ化炭化水素基(例えば、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、チオール基、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、フェニルジエチルシリル基等)、重水素原子等が挙げられる。
上記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2016072586
(一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR10)、スルホナト基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR10)、及び置換又は無置換の、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。)
一般式(2)におけるR及びR10は、一般式(1)におけるR及びRと同義である。
一般式(2)におけるR〜R10は置換されていてもよく、その置換基としては、一般式(1)における置換基と同様のものが挙げられる。
上記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2016072586
(一般式(3)中、R11〜R22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及び置換又は無置換の、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素環基、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R11〜R22は、それぞれ隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。)
一般式(3)のR11〜R22におけるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、tert−オクチルオキシ基、2−ボルニルオキシ基、2−イソボルニルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基等の炭素数1〜18のアルコキシル基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、9−アンスリルオキシ基、2−フェナントリルオキシ基、1−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−クリセニル基、3−ペリレニル基、1−ペンタセニル基といった炭素数6〜30のアリールオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、イソヘキシルチオ基、ヘプチル基、オクチルチオ基といった炭素数1〜18のアルキルチオ基が挙げられる。
アリールチオ基としては、フェニルチオ基、4−メチルフェニルチオ基、4−tert−ブチルフェニルチオ基、1−ナフチルチオといった炭素数6〜30のアリールチオ基が挙げられる。
アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、シクロヘキシルカルボニル基、ベンゾイル基、トルオイル基、アニソイル基、シンナモイル基等の炭素数2〜18のアシル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルビニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の炭素数2〜18のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−フェナントリルオキシカルボニル基等の炭素数7〜30のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、メシル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基、ノニルスルホニル基等の炭素数1〜18のアルキルスルホニル基が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基等の炭素数6〜30のアリールスルホニル基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基といった炭素数1〜18のアルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−オクテニル基、1−デセニル基、1−オクタデセニル基といった炭素数2〜18のアルケニル基)、アルキニル基(例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−オクチニル基、1−デシニル基、1−オクタデシニル基といった炭素数2〜18のアルキニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクタデシル基、2−ボルニル基、2−イソボルニル基、1−アダマンチル基といった炭素数3〜18のシクロアルキル基)等の炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アンスリル基、2−アンスリル基、5−アンスリル基、1−フェナンスリル基、9−フェナンスリル基、1−アセナフチル基、2−トリフェニレニル基、1−クリセニル基、2−アズレニル基、1−ピレニル基、2−トリフェニレル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、1−ペリレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−インデニル基、1−アセナフチレニル基、2−ナフタセニル基、2−ペンタセニル基等の炭素数10〜30の縮合環炭化水素基、o−ビフェニリル基、m−ビフェニリル基、p−ビフェニリル基、テルフェニリル基、7−(2−ナフチル)−2−ナフチル基等の炭素数12〜30の環集合炭化水素基が挙げられる。
脂肪族複素環基としては、3−イソクロマニル基、7−クロマニル基、3−クマリニル基、ピペリジノ基、モルホリノ基、2−モルホリニル基等の炭素数3〜18の1価の脂肪族複素環基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、2−フリル基、3−フリル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ベンゾフリル基、2−ベンゾチエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル、5−イソキノリル基等の炭素数3〜30の芳香族複素環基が挙げられる。
一般式(3)におけるR11〜R22は置換されていてもよく、その置換基としては、一般式(1)における置換基と同様のものが挙げられる。
(1.2)一般式(4)で表される構造を有する化合物
正孔注入層の構成材料としては、下記一般式(4)で表される化合物好適に用いることができる。
Figure 2016072586
(一般式(4)中、R23〜R28は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表す。R23〜R28は、同一でも異なっていてもよい。R23とR24、R25とR26及びR27とR28、又は、R23とR28、R24とR25及びR26とR27は、縮合環を形成していてもよい。)
一般式(4)のR23〜R28におけるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基などの直鎖アルキル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐アルキル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基などの単環芳香族炭化水素環基、ナフチル基、アントラセニル基などの多環芳香族炭化水素環基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
複素環基としては、ピロリル基、チエニル基、ピリジル基、フェナジル基、ピリダジル基、アクリジル基などの複素単環や複素縮合環などが挙げられる。
一般式(4)におけるR23〜R28の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミド基、スチリル基、エチニル基やフェニル基、ナフチル基、アンスラニル基などの単環の芳香環や多環縮合環、ピリジル基、ピリダジル基、フェナジル基やピロリル基、イミダゾリル基などやキノリル基、アクリジル基などの多環複素縮合環などが挙げられる。
23とR24、R25とR26及びR27とR28、又は、R23とR28、R24とR25及びR26とR27間で形成される縮合環としては、ベンゾ基、ナフト基、ピリド基などが挙げられる。
(1.3)その他の材料
本発明においては、下記一般式(5)〜(12)で表される構造を有する化合物も好適に用いられる。
Figure 2016072586
(一般式(5)〜(12)中、R′は、それぞれ独立に、水素原子、置換又は無置換の、核原子数5〜60のアリール基又は核原子数1〜50のアルキル基を表す。)
一般式(5)〜(12)のR′における核原子数5〜60のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニルイル基、アントラニル基、フェナントリル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、フルオレニル基、ピリジニル基、キノリル基、イソキノリル基、フェナントリル基などが挙げられる。
核原子数1〜50のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基などが挙げられる。
一般式(5)〜(12)におけるR′は置換されていてもよく、その置換基としては、一般式(1)における置換基と同様のものが挙げられる。
以下に、一般式(1)〜(12)で表される構造を有する化合物の具体例を示す。なお、以下の例示化合物において「Tol」とは、o−、m−又はp−メチルフェニル基のいずれかを表している。
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
Figure 2016072586
その他、正孔注入層に用いられる材料としては、例えば、後述の正孔輸送層に用いられる材料等が挙げられる。中でも、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン誘導体、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているようなヘキサアザトリフェニレン誘導体、酸化バナジウムに代表される金属酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム錯体等に代表されるオルトメタル化錯体、トリアリールアミン誘導体等が好ましい。
上述の正孔注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよいが、本発明に係る正孔注入層は、単種の化合物からなることが好ましい。
正孔注入層の層厚としては、1〜15nmの範囲内であることが好ましく、1〜10nmの範囲内であることがより好ましい。
(2)正孔輸送層
正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する材料からなる。正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する層である。
有機EL素子において、正孔輸送層の総層厚に特に制限はないが、通常は5nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜200nmの範囲内である。
正孔輸送層に用いられる材料(以下、正孔輸送材料という。)は、正孔の注入性又は輸送性、電子の障壁性のいずれかを有していればよい。正孔輸送材料は、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。正孔輸送材料は単独で用いてもよく、また、複数種を併用して用いてもよい。
正孔輸送材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、イソインドール誘導体、アントラセンやナフタレン等のアセン系誘導体、フルオレン誘導体、フルオレノン誘導体、ポリビニルカルバゾール、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー、ポリシラン、導電性ポリマー又はオリゴマー(例えば、PEDOT:PSS、アニリン系共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン等)等が挙げられる。
トリアリールアミン誘導体としては、α−NPDに代表されるベンジジン型や、MTDATAに代表されるスターバースト型、トリアリールアミン連結コア部にフルオレンやアントラセンを有する化合物等が挙げられる。
また、特表2003−519432号公報や特開2006−135145号公報等に記載されているヘキサアザトリフェニレン誘導体も正孔輸送材料として用いることができる。
さらに、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。例えば、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載された構成を正孔輸送層に適用することもできる。
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、いわゆるp型正孔輸送材料やp型−Si、p型−SiC等の無機化合物を用いることもできる。さらに、Ir(ppy)に代表されるような中心金属にIrやPtを有するオルトメタル化有機金属錯体も好ましく用いられる。
正孔輸送材料としては、上記のものを使用することができるが、トリアリールアミン誘導体、カルバゾール誘導体、インドロカルバゾール誘導体、アザトリフェニレン誘導体、有機金属錯体、芳香族アミンを主鎖若しくは側鎖に導入した高分子材料又はオリゴマー等が好ましく用いられる。
正孔輸送材料の具体例としては、上記で挙げた文献の他、Appl.Phys.Lett.69,2160(1996)、J.Lumin.72−74,985(1997)、Appl.Phys.Lett.78,673(2001)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.90,183503(2007)、Appl.Phys.Lett.51,913(1987)、Synth.Met.87,171(1997)、Synth.Met.91,209(1997)、Synth.Met.111,421(2000)、SID Symposium Digest,37,923(2006)、J.Mater.Chem.3,319(1993)、Adv.Mater.6,677(1994)、Chem.Mater.15,3148(2003)、米国特許出願公開第2003/0162053号明細書、米国特許出願公開第2002/0158242号明細書、米国特許出願公開第2006/0240279号明細書、米国特許出願公開第2008/0220265号明細書、米国特許第5061569号明細書、国際公開第2007/002683号、国際公開第2009/018009号、欧州特許第650955号明細書、米国特許出願公開第2008/0124572号明細書、米国特許出願公開第2007/0278938号明細書、米国特許出願公開第2008/0106190号明細書、米国特許出願公開第2008/0018221号明細書、国際公開第2012/115034号、特表2003−519432号公報、特開2006−135145号公報、米国特許出願番号13/585981号に記載の化合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
(3)電子阻止層
電子阻止層は、広い意味では正孔輸送層の機能を有する層である。好ましくは、正孔を輸送する機能を有しつつ、電子を輸送する能力が小さい材料からなる。電子阻止層は、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、上述の正孔輸送層の構成を必要に応じて、有機EL素子の電子阻止層として用いることができる。有機EL素子に設ける電子阻止層は、発光層の陽極側に隣接して設けられることが好ましい。
電子阻止層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
電子阻止層に用いられる材料としては、上述の正孔輸送層に用いられる材料が好ましく用いることができる。また、上述のホスト化合物として用いられる材料も、電子阻止層として好ましく用いることができる。
(電子注入・輸送層)
電子注入・輸送層は、例えば、電子注入層、電子輸送層、正孔阻止層等から構成されている。
(1)電子輸送層
有機EL素子に用いる電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する材料からなり、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。
電子輸送材料は単独で用いてもよく、また複数種を併用して用いてもよい。
電子輸送層の総厚については特に制限はないが、通常は2nm〜5μmの範囲内であり、より好ましくは2〜500nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜200nmの範囲内である。
また、有機EL素子においては、発光層で生じた光を取り出す際、発光層から陽極を通じて直接取り出される光と、陽極と対極に位置する陰極で反射されてから取り出される光とが、干渉を起こすことが知られている。
したがって、有機EL素子では、発光層の層厚の調整を、正孔輸送層及び電子輸送層の層厚を数nm〜数μmの間で適宜調整することで行うことが好ましい。
一方で、電子輸送層の層厚を厚くすると電圧が上昇しやすくなるため、特に層厚が厚い場合においては、電子輸送層の電子移動度は1×10−5cm/Vs以上であることが好ましい。
電子輸送層に用いられる材料(以下、電子輸送材料という。)としては、電子の注入性若しくは輸送性、又は、正孔の障壁性のいずれかを有していればよく、従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができる。例えば、含窒素芳香族複素環誘導体、芳香族炭化水素環誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、シロール誘導体等が挙げられる。
上記含窒素芳香族複素環誘導体としては、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体(カルバゾール環を構成する炭素原子の一つ以上が窒素原子に置換したもの)、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリダジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、アザトリフェニレン誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体等が挙げられる。
芳香族炭化水素環誘導体としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン等が挙げられる。
また、配位子にキノリノール骨格やジベンゾキノリノール骨格を有する金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及び、これらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又は、それらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。また、発光層の材料としても用いられるジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
また、これらの材料を高分子鎖に導入した、又は、これらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
有機EL素子では、ゲスト材料として電子輸送層にドープ材をドープして、n性の高い(電子リッチ)電子輸送層を形成してもよい。ドープ材としては、金属錯体及びハロゲン化金属等の金属化合物や、その他のn型ドーパントが挙げられる。このような構成の電子輸送層の具体例としては、例えば、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等の文献に記載されたものが挙げられる。
公知の好ましい電子輸送材料の具体例としては、米国特許第6528187号明細書、米国特許第7230107号明細書、米国特許出願公開第2005/0025993号明細書、米国特許出願公開第2004/0036077号明細書、米国特許出願公開第2009/0115316号明細書、米国特許出願公開第2009/0101870号明細書、米国特許出願公開第2009/0179554号明細書、国際公開第2003/060956号、国際公開第2008/132085号、Appl.Phys.Lett.75,4(1999)、Appl.Phys.Lett.79,449(2001)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.81,162(2002)、Appl.Phys.Lett.79,156(2001)、米国特許第7964293号明細書、米国特許出願公開第2009/030202号明細書、国際公開第2004/080975号、国際公開第2004/063159号、国際公開第2005/085387号、国際公開第2006/067931号、国際公開第2007/086552号、国際公開第2008/114690号、国際公開第2009/069442号、国際公開第2009/066779号、国際公開第2009/054253号、国際公開第2011/086935号、国際公開第2010/150593号、国際公開第2010/047707号、欧州特許第2311826号明細書、特開2010−251675号公報、特開2009−209133号公報、特開2009−124114号公報、特開2008−277810号公報、特開2006−156445号公報、特開2005−340122号公報、特開2003−45662号公報、特開2003−31367号公報、特開2003−282270号公報、国際公開第2012/115034号等に記載の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
より好ましい電子輸送材料としては、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、トリアジン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、カルバゾール誘導体、アザカルバゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体が挙げられる。
(2)正孔阻止層
正孔阻止層は、広い意味では電子輸送層の機能を有する層である。好ましくは、電子を輸送する機能を有しつつ、正孔を輸送する能力が小さい材料からなる。電子を輸送しつつ正孔を阻止することで、電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。
また、正孔阻止層に、三重項エネルギーを阻止する層としての機能も有すると更に有効である。
また、上述の電子輸送層の構成を、必要に応じて正孔阻止層として用いることができる。
有機EL素子に設ける正孔阻止層は、発光層の陰極側に隣接して設けられることが好ましい。
有機EL素子において、正孔阻止層の層厚は、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、更に好ましくは5〜30nmの範囲内である。
正孔阻止層に用いられる材料としては、上述の電子輸送層に用いられる材料が好ましく用いられ、また、上述のホスト化合物として用いられる材料も正孔阻止層に好ましく用いられる。
(3)電子注入層
電子注入層(「陰極バッファー層」ともいう。)は、駆動電圧低減や発光輝度向上のために陰極と発光層との間に設けられる層である。電子注入層の一例は、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発光)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に記載されている。
有機EL素子において、電子注入層は必要に応じて設けられ、上述のように陰極と発光層との間、又は、陰極と電子輸送層との間に設けられる。
電子注入層はごく薄い膜であることが好ましく、素材にもよるがその層厚は0.1〜5nmの範囲内が好ましい。また構成材料が断続的に存在する不均一な膜であってもよい。
電子注入層は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されている。電子注入層に好ましく用いられる材料の具体例としては、ストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属、フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等に代表されるアルカリ金属化合物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム等に代表されるアルカリ土類金属化合物、酸化アルミニウムに代表される金属酸化物、リチウム8−ヒドロキシキノレート(Liq)等に代表される金属錯体等が挙げられる。また、上述の電子輸送材料を用いることも可能である。
また、上記の電子注入層に用いられる材料は単独で用いてもよく、複数種を併用して用いてもよい。
<電荷発生ユニット>
本発明の有機EL素子においては、第1発光ユニットと第2発光ユニットとの間に、非発光性の電荷発生ユニットが設けられる。電荷発生ユニットは、電界中において、第1発光ユニット及び第2発光ユニットを直列に電気的に連結する有機化合物層との界面を持つ層である。
電荷発生ユニットとしては、有機化合物、無機化合物を単独又は複数種混合して使用することができる。
電荷発生ユニットは、少なくとも1層以上から構成されるが、好ましくは1層からなり、また、p型半導体層、n型半導体層の一方若しくは両方を含むことが特に好ましい。
また、電荷発生ユニットは、外部電界により、層内部で正孔、電子を発生・輸送することができるバイポーラ層としてもよい。また、通常の電極材料として使用可能な金属、金属酸化物、及びその合金などが好適に使用できる。
このように、電荷発生ユニットとしては、一方の発光ユニットに電子を注入する機能を有し、他方の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する、電荷発生層の構成とすることができる。
特にこのような場合には、第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層を、第1発光ユニット同様に、正孔注入・輸送層と正孔注入層との層厚比(dHIL/dHITL)を0.20以下となるようにすることが好ましい。
また、電荷発生ユニットは、陽極又は陰極と同じ材料を用いて形成することができ、陽極及び陰極よりも導電率の低い材料を用いて形成することが可能である。
電荷発生ユニットにおいて、電子を注入する機能を有する層としては、例えば、酸化リチウム、フッ化リチウム、炭酸セシウム等の絶縁体や半導体を用いることができる。又は、電子輸送性の高い物質に電子供与性物質を添加した材料を用いることもできる。
電荷発生ユニットに用いられる有機化合物としては、ナノカーボン材料、有機半導体材料(有機アクセプター、有機ドナー)として機能する有機金属錯体化合物、有機塩、芳香族炭化水素化合物及びその誘導体、複素芳香族炭化水素化合物及びその誘導体等が挙げられる。
無機化合物としては、金属、無機酸化物、無機塩等が挙げられる。
電子輸送性の高い物質としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)などのキノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等を用いることができる。
また、この他にもビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))等のオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体等も用いることができる。
また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、バソフェナントロリン(BPhen)、バソキュプロイン(BCP)等も用いることができる。
上述の電子輸送性の高い物質とは、主に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いることも可能である。
電子輸送性の高い物質に、電子供与性物質を添加することにより、電子注入性を高くすることができる。このため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。電子供与性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属若しくは元素周期表における第13族に属する金属、その酸化物、又は、その炭酸塩を用いることができる。具体的には、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)、インジウム(In)、酸化リチウム、炭酸セシウム等を用いることが好ましい。また、テトラチアナフタセンのような有機化合物をドナー性物質として用いてもよい。
また、電荷発生ユニットのうち正孔を注入する機能を有する層として、例えば、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化ルテニウム等の半導体や絶縁体を用いることができる。又は、正孔輸送性の高い物質に、電子受容性物質を添加した材料を用いることができる。また、電子受容性物質からなる層を用いてもよい。
正孔輸送性の高い物質としては、例えば、4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB又はα−NPD)、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニル−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン(TPD)、4,4′,4″−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4′,4″−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA)等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
上述の正孔輸送性の高い物質は、主に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を用いても構わない。また、上述のホスト化合物を用いてもよい。
正孔輸送性の高い物質に、電子受容性物質を添加することにより、正孔注入性を高くすることができる。このため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。電子受容性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(F4−TCNQ)、クロラニル等を用いることができる。また、遷移金属酸化物を用いることができる。また、元素周期表における第4族〜第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
また、正孔輸送性の高い物質に電子受容性物質を添加した構成、及び、電子輸送性の高い物質に電子受容性物質を添加した構成のうち、いずれか一方又は両方の構成を用いることにより、電荷発生ユニットを厚膜化した場合にも駆動電圧の上昇を抑制することができる。よって、電荷発生ユニットを厚膜化することにより、微小な異物や衝撃等によるショートを防止することができ、駆動電圧の上昇させずに信頼性の高い発光素子を得ることができる。
なお、電荷発生ユニットにおいて、正孔を注入する機能を有する層と電子を注入する機能を有する層との間に、必要に応じて他の層を導入してもよい。例えば、ITOのような導電層や電子リレー層を設けてもよい。電子リレー層は、正孔を注入する機能を有する層と電子を注入する機能を有する層との間で生じる電圧のロスを低減する機能を有する。具体的には、LUMO準位がおよそ−5.0eV以上である材料を用いるのが好ましく、−5.0〜−3.0eVの範囲内である材料を用いるのがより好ましい。例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PTCDA)、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボキシリックビスベンゾイミダゾール(PTCBI)等を用いることができる。
<その他添加剤>
有機EL素子を構成する発光層は、更に他の添加剤を含んでもよい。
添加剤としては、例えば、臭素、ヨウ素、塩素等のハロゲン元素やハロゲン化化合物、Pd、Ca、Na等のアルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属の化合物や錯体、塩等が挙げられる。
添加剤の含有量は、任意に決定することができるが、含有される層の全質量%に対して1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは500ppm以下であり、更に好ましくは50ppm以下である。
ただし、電子や正孔の輸送性を向上させる目的や、励起子のエネルギー移動を有利にするための目的などによってはこの範囲内ではない。
<陽極>
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上、好ましくは4.3eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、AuやAg等の金属及びこれらの合金、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、薄電極物質の膜を形成し、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよい。また、パターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に、所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式など湿式成膜法を用いることもできる。
陽極側から発光光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陽極の厚さは、材料にもよるが、通常10nm〜1μmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
<陰極>
陰極としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物、及び、これらの混合物からなる電極物質が用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム、銀、銀を主成分とする合金、アルミニウム/銀混合物、希土類金属等が挙げられる。
陰極は、上記電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法を用いて、作製することができる。また、陰極のシート抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。また、陰極の厚さは、通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。
<基板>
有機EL素子に用いる基板は、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また、透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。
透明な基板として、好ましくは、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましくは、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等のフィルムを挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜等によるガスバリアー膜が形成されていてもよい。ガスバリアー膜は、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が0.01g/(m・24h)以下のガスバリアー性フィルムであることが好ましい。更には、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h)以下の高ガスバリアー性フィルムであることが好ましい。
ガスバリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよい。例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに、ガスバリアー膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層との積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
ガスバリアー膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。例えば、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板・フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
<封止>
有機EL素子の封止に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材と、電極、基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されていればよく、凹板状でも、平板状でもよい。また、透明性、電気絶縁性は特に限定されない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板、ポリマーフィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。
ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。
また、ポリマー板及びポリマーフィルムとしては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。
金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる1種以上を含む金属、及び、合金が挙げられる。
有機EL素子を薄膜化できるということから、ポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、酸素透過度1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度1×10−3g/(m・24h)以下であることが好ましい。また、水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24h)以下、かつ酸素透過度が1×10−5ml/(m・24h・atm)以下であることがより好ましい。
封止部材を凹状に加工するには、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。接着剤として、具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(2液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温(25℃)から80℃までに接着硬化できることが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は、市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体や、フッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
<保護膜、保護板>
有機EL素子の機械的強度を高めるために、上記封止用フィルムの外側に保護膜あるいは保護板を設けてもよい。特に、封止が上記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、上記封止に用いたのと同様のガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
<光取出し向上技術>
有機EL素子は、空気よりも屈折率の高い(屈折率1.6〜2.1程度の範囲内)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15〜20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極又は発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極又は発光層を導波し、結果として、光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(例えば、米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(例えば、特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(例えば、特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(例えば、特開昭62−172691号公報)、基板と発光体との間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(例えば、特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(基板と外界間を含む。)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等が挙げられる。
≪有機EL素子の作製方法≫
次に、陽極/第1発光ユニット/電荷発生ユニット/第2発光ユニット/陰極からなる有機EL素子の作製方法の一例について説明する。
まず、適当な基板上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陽極を作製する。
次に、この上に、第1発光ユニットとして、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、電子注入層、電子輸送層を形成する。
この有機化合物薄膜の薄膜化の方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、LB法(ラングミュア−ブロジェット法)、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スロット型コータ法が特に好ましい。層毎に異なる成膜法を適用してもよい。
成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50℃〜300℃、層厚0.1nm〜5μm、好ましくは5〜200nmの範囲内で適宜選ぶことが望ましい。
次いで、第1発光ユニット上に、電荷発生ユニットを形成する。
電荷発生ユニットの形成方法としては、薄膜形成ができる方法であれば特に限定されず、例えば、蒸着法、スパッタリング、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、スプレー法、印刷法、スロット型コータ法)等が挙げられる。
次いで、電荷発生ユニット上に、第1発光ユニットと同様にして、第2発光ユニットを形成する。
その後、その上に陰極用物質からなる薄膜を、1μm以下好ましくは50〜200nmの範囲内の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成し、陰極を設ける。
これにより所望の有機EL素子が得られる。
この有機EL素子の作製は、1回の真空引きで一貫して第1発光ユニットから陰極まで作製することが好ましいが、途中で取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
その後、有機EL素子を封止・保護してもよい。
例えば、陽極及び陰極の一部又は全部を露出させた状態で有機EL素子を熱硬化性樹脂で被覆してこれを加熱硬化させ、有機EL素子を封止する。
その後、有機EL素子の封止体とそこから露出した有機EL素子の陽極及び陰極の一部又は全部とを、保護部材で被覆し、保護部材の重複部分を所定温度で加熱圧着する。2枚の保護部材を重ね合わせて有機EL素子の封止体等を被覆しその側縁部同士を加熱圧着してもよいし、1枚の保護部材を折り畳んで有機EL素子の封止体等を被覆しその側縁部(特に開放端)同士を加熱圧着してもよい。
以上の処理により、有機EL素子を封止・保護した有機ELモジュールが製造される。
≪その他の構成≫
なお、上述の実施態様では、基板側から、透明電極となる陽極、第1発光ユニット、電荷発生ユニット、第2発光ユニット、及び、反射電極となる陰極がこの順に積層された、ボトムエミッション型の有機EL素子を例示したが、この構成に限定されない。例えば、各層の積層順は逆でもよいし、陽極と陰極とが逆の構成であってもよい。
従って、上記層構成の条件を満たしていれば、発光層の層構成や積層数についても特に限定されず、所望の有機EL素子を実現することが可能な構成とすることができる。さらに、発光層内において、発光材が単種であってもよく、又は、複数の発光層が直接、若しくは、有機層を介して積層された構成であってもよい。
適宜、これらを組み合わせた構成とすることも可能である。
また、上述の実施態様では、有機EL素子に用いる発光ドーパントの種類を青、緑及び赤の3種類として示したが、これ以外の発光色の発光ドーパントを用いることもできる。例えば、青、緑及び赤の各色の補色となる発光色を有する発光ドーパントを用いてもよい。発光層にどのような発光ドーパントが用いられていてもよい。
また、上述の実施態様では、有機EL素子からの発光色を白色発光として説明しているが、有機EL素子の発光色は白色に限らず、複数の発光層の発光色の組み合わせによる任意の発光色とすることもできる。
≪照明装置−1≫
次に、上述の有機EL素子が用いられる電子デバイスの実施形態の一例として、照明装置について説明する。
照明装置に用いる有機EL素子は、上述した構成の有機EL素子に、共振器構造を持たせた設計としてもよい。共振器構造として構成された有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用してもよい。
なお、有機EL素子に用いられる材料は、実質的に白色の発光を生じる有機EL素子(白色有機EL素子ともいう。)に適用できる。例えば、複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得ることもできる。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の3原色の三つの発光極大波長を含有させてもよいし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した二つの発光極大波長を含有させてもよい。
また、複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料の組み合わせや、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせでもよい。白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせて混合してもよい。
このような白色有機EL素子は、各色発光の有機EL素子をアレー状に個別に並列配置して白色発光を得る構成と異なり、有機EL素子自体が白色を発光する。このため、素子を構成するほとんどの層の形成にマスクを必要とせず、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば導電層を形成でき、生産性も向上する。
また、このような白色有機EL素子の発光層に用いる発光材料としては、特に制限はなく、例えば液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、上述の金属錯体、また公知の発光材料の中から任意の材料を選択して組み合わせて白色化すればよい。
以上に説明した白色有機EL素子を用いれば、実質的に白色の発光を生じる照明装置を作製することが可能である。
≪照明装置−2≫
また、照明装置は、例えば有機EL素子を複数用いることにより、発光面を大面積化することもできる。この場合、基板上に有機EL素子を設けた複数の発光パネルを、支持基板上に複数配列する(すなわち、タイリングする。)ことによって発光面を大面積化する。支持基板は、封止材を兼ねるものであってもよく、この支持基板と、発光パネルの基板との間に有機EL素子を挟持する状態で各発光パネルをタイリングする。支持基板と基板との間には接着剤を充填し、これによって有機EL素子を封止してもよい。なお、発光パネルの周囲には、陽極及び陰極の端子を露出させておく。
このような構成の照明装置では、各発光パネルの中央が発光領域となり、発光パネル間には非発光領域が発生する。このため、非発光領域からの光取り出し量を増加させるための光取り出し部材を、光取り出し面の非発光領域に設けてもよい。光取り出し部材としては、集光シートや光拡散シートを用いることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
≪有機EL素子の作製≫
有機EL素子について、発光領域面積が5cm×5cmとなるように各サンプルを作製した。
(1)有機EL素子101の作製
(1.1)陽極
透明支持基板として、厚さ0.7mmのガラス基板を準備した。そして、この透明支持基板上に、ITO(インジウム・スズ酸化物)を110nmの厚さで成膜してパターニングを行い、ITO透明電極からなる陽極を形成した。この後、ITO透明電極を付けた透明支持基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。
(1.2)第1発光ユニット
(1.2.1)正孔注入・輸送層
次に、陽極を形成した透明支持基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。そして、有機EL素子を構成する各層の材料を、真空蒸着装置内の各蒸着用るつぼに素子作製に最適な量を充填した。各蒸着用るつぼとして、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製された蒸着用るつぼを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、例示化合物HI−145(HAT−CN)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で陽極上に蒸着し、層厚2nmの正孔注入層を形成した。
次に、下記構造式に示す化合物1−A(ガラス転移点(Tg)=140℃)を層厚90nmになるように蒸着し、正孔輸送層を形成した。
Figure 2016072586
次に、下記構造式に示す化合物1−Bを、層厚10nmになるように蒸着し、電子阻止層を形成した。
Figure 2016072586
以上の工程により、陽極側から、例示化合物HI−145、化合物1−A、化合物1−Bが積層された正孔注入・輸送層を形成した。化合物1−Bは、後述する発光層を構成する化合物2−A及び化合物2−Bよりも、LUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)が浅く、かつ、最低励起三重項エネルギー(T)が高い材料である。
つまり、LUMOにおいて、LUMO(1−B)>LUMO(2−A)、及び、LUMO(1−B)>LUMO(2−B)の関係となる。また、Tにおいて、T(1−B)>T(2−A)、及び、T(1−B)>T(2−B)の関係となる。
このような関係を満たす上記化合物1−Bを、発光層と接する層に用いることにより、正孔注入・輸送層に電子及び三重項エネルギー阻止層が形成された構成とした。
(1.2.2)発光層
次に、ホスト化合物として下記構造式に示す化合物2−A(Tg=189℃)が98vol%、青色蛍光発光ドーパントとして下記構造式に示す化合物2−Bが2vol%となるように蒸着した。これにより、発光層として、青色を呈する層厚15nmの蛍光発光層を形成した。
Figure 2016072586
(1.2.3)電子注入・輸送層
次に、下記構造式に示す化合物3が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、層厚20nmの層を形成した。さらに、化合物3が98vol%、Liが2vol%となるように蒸着し、層厚10nmの層を形成した。これにより、化合物3及びLiFからなる層と、化合物3及びLiからなる層との2層から構成される電子注入・輸送層を形成した。
Figure 2016072586
(1.3)電荷発生ユニット
次いで、第1発光ユニット上に、Agを厚さ5nmで成膜し、電荷発生ユニットを形成した。
(1.4)第2発光ユニット
(1.4.1)正孔注入・輸送層
次いで、第1発光ユニットの正孔注入・輸送層と同様にして、例示化合物HI−145(HAT−CN)の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で電荷発生ユニット上に蒸着し、層厚10nmの正孔注入層を形成した。
次に、化合物1−Aを層厚80nmになるように蒸着し、正孔輸送層を形成した。
次に、化合物1−Bを層厚10nmになるように蒸着し、電子阻止層を形成した。
(1.4.2)発光層
次いで、ホスト化合物として下記構造式に示す化合物4−A(Tg=143℃)が85vol%、黄色リン光発光ドーパントとして下記構造式に示す化合物4−Bが15vol%となるように蒸着し、黄色を呈する層厚10nmのリン光発光層を形成した。
Figure 2016072586
(1.4.3)電子注入・輸送層
次に、第1発光ユニットの電子注入・輸送層と同様にして、化合物3が86vol%、LiFが14vol%となるように蒸着し、層厚20nmの層を形成した。さらに、化合物3が98vol%、Liが2vol%となるように蒸着し、層厚10nmの層を形成した。これにより、化合物3及びLiFからなる層と、化合物3及びLiからなる層との2層から構成される電子注入・輸送層を形成した。
(1.5)陰極及び封止
次に、アルミニウム150nmを蒸着して陰極を形成した。
次に、陰極まで形成した有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、有機EL素子が作製されたガラス基板と接触する、有機EL素子を覆うガラスケースの周辺部に、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラクストラックLC0629B)によるシール材を設けた。そして、このシール材を上記有機EL素子の陰極側に重ねてガラス基板と密着させた。その後、ガラスケース側からUV光を照射してシール材を硬化することで有機EL素子を封止し、有機EL素子101を作製した。
なお、ガラスケースでの封止作業は、有機EL素子を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。
(2)有機EL素子102〜112の作製
有機EL素子101の作製において、第1発光ユニット及び第2発光ユニットにおける正孔注入層と正孔注入・輸送層との層厚比(dHIL/dHITL)が表1に記載のとおりとなるように、正孔注入層、正孔輸送層及び電子阻止層の層厚を変更した以外は同様にして、有機EL素子102〜112を作製した。
≪有機EL素子の評価≫
上記のようにして得られた各有機EL素子について、下記のようにして、素子特性の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
(1)電圧変化
作製した各有機EL素子について、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタ社製)を用いて正面輝度を測定し、正面輝度1000cd/mにおける駆動電圧を求めた。より具体的には、有機EL素子自体を恒温層に入れ、恒温層のモニター温度が−30℃又は60℃に到達してから10分後、駆動電圧を測定し、その電圧差異ΔV(V)を算出した。
ΔV=V(−30℃)−V(60℃)
(2)温度変化に伴う色度差の測定
各サンプルの色度の測定は、例えば、大田登「色彩工学第2版」(東京電機大学出版局)等を参考にすることができる。
具体的には、所定温度(−30℃及び60℃)において、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行ったときの各サンプルの発光スペクトルを、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて測定した。そして、この測定により得られたスペクトルをCIE1931表色系で定められた原刺激[X]、[Y]、[Z]から三刺激値X、Y、Zを用いて色度座標x、yに変換した。
温度変化に伴う色度差ΔExyは、1000cd/m時の色度座標x、yから、下記式により色度差ΔExyを算出した。
ΔExy=[(x−30℃−x60℃+(y−30℃−y60℃1/2
Figure 2016072586
表1から明らかなように、第1発光ユニット又は第2発光ユニットにおける正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と正孔注入層の層厚(dHIL)との層厚比(dHIL/dHITL)が0.20以下である場合に、環境温度の変化による色変動が抑制されていることがわかる。さらには、環境温度の変化による電圧変動も抑制されていることが確認された。
1 有機EL素子
10 基板
20 陽極
30 第1発光ユニット
32 正孔注入・輸送層
32a 正孔注入層
32b 他の層
34 発光層
36 電子注入・輸送層
40 電荷発生ユニット
50 第2発光ユニット
52 正孔注入・輸送層
52a 正孔注入層
52b 他の層
54 発光層
56 電子注入・輸送層
60 陰極

Claims (9)

  1. 一対の陽極及び陰極間に、陽極側から第1発光ユニット、電荷発生ユニット、第2発光ユニットが順次積層され、前記第1発光ユニット又は前記第2発光ユニットが、正孔注入層をその内部に含む正孔注入・輸送層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
    前記第1発光ユニット又は前記第2発光ユニットにおける前記正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と前記正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    HIL/dHITL≦0.20
  2. 前記正孔注入・輸送層の層厚(dHITL)と前記正孔注入層の層厚(dHIL)とが、下記条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    HIL/dHITL≦0.10
  3. 前記正孔注入層の層厚が、1〜15nmの範囲内であること特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記正孔注入層の層厚が、1〜10nmの範囲内であること特徴とする請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記正孔注入層が、単種の化合物からなることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記正孔注入層には、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016072586
    (一般式(1)中、Aは、C又はNを表す。Xは、N又はCRを表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、アミド基(−CONHR又は−CONR)、スチリル基、エチニル基、キノリル基、キナゾリル基、フェナントロリル基、ビキノリル基、アントラキノニル基、ベンゾキノニル基、キノニル基、アクリジニル基、及び置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基又は複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。Y、Y′及びY″は、置換又は無置換の、環員としてA及びXを含む5員の芳香族複素環又は環員としてA及びXを含む6員の芳香族複素環を表す。Y、Y′及びY″は、同一でも異なっていてもよい。)
  7. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016072586
    (一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基(−SO)、スルフィニル基(−SOR)、スルホンアミド基(−SONR10)、スルホナト基(−SO)、トリフルオロメチル基、エステル基(−COOR)、アミド基(−CONHR又は−CONR10)、及び置換又は無置換の、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、アリールアミノ基、非芳香族複素環基、芳香族複素環基又はアラルキルアミノ基の中から選択されるいずれかの基を表す。R及びR10は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、炭素数1〜60のアルキル基、アリール基又は5〜7員の複素環基を表す。)
  8. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016072586
    (一般式(3)中、R11〜R22は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及び置換又は無置換の、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素環基、脂肪族複素環基又は芳香族複素環基の中から選択されるいずれかの基を表す。R11〜R22は、それぞれ隣接する置換基同士で環を形成していてもよい。)
  9. 前記正孔注入層には、下記一般式(4)で表される構造を有する化合物が含有されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2016072586
    (一般式(4)中、R23〜R28は、それぞれ独立に、置換又は無置換の、アルキル基、アリール基、アラルキル基又は複素環基を表す。R23〜R28は、同一でも異なっていてもよい。R23とR24、R25とR26及びR27とR28、又は、R23とR28、R24とR25及びR26とR27は、縮合環を形成していてもよい。)
JP2014203807A 2014-10-02 2014-10-02 有機エレクトロルミネッセンス素子 Pending JP2016072586A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014203807A JP2016072586A (ja) 2014-10-02 2014-10-02 有機エレクトロルミネッセンス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014203807A JP2016072586A (ja) 2014-10-02 2014-10-02 有機エレクトロルミネッセンス素子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016072586A true JP2016072586A (ja) 2016-05-09

Family

ID=55864939

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014203807A Pending JP2016072586A (ja) 2014-10-02 2014-10-02 有機エレクトロルミネッセンス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016072586A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022038693A1 (ja) * 2020-08-19 2022-02-24 株式会社フラスク 有機el素子

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022038693A1 (ja) * 2020-08-19 2022-02-24 株式会社フラスク 有機el素子

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108431983B (zh) 薄膜和有机电致发光元件
CN108886108B (zh) 发光性薄膜和有机电致发光元件
JP6705148B2 (ja) π共役系化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、発光材料、発光性薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
KR102241439B1 (ko) 유기 일렉트로루미네센스 소자, 유기 일렉트로루미네센스 소자의 제조 방법, 표시 장치 및 조명 장치
WO2016129672A1 (ja) 芳香族複素環誘導体、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
WO2018186462A1 (ja) 蛍光発光性化合物、有機材料組成物、発光性膜、有機エレクトロルミネッセンス素子材料及び有機エレクトロルミネッセンス素子
JP7081898B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP6942127B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置
JP6686748B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置、π共役系化合物
JP6593114B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び芳香族複素環誘導体
JP2016149520A (ja) 芳香族複素環誘導体、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP2017103437A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び芳香族複素環誘導体
JP2017103436A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び芳香族複素環誘導体
US10050237B2 (en) Organic electroluminescence element
WO2016194865A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2016207328A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機発光装置
WO2016088513A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2016047661A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP6606986B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、照明装置及び芳香族複素環誘導体
JP2016072586A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子
WO2016167058A1 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子及び有機発光装置
JP2022075698A (ja) π共役系化合物、有機エレクトロルミネッセンス素子材料、発光材料、電荷輸送材料、発光性薄膜、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置
JP2016149521A (ja) 芳香族複素環誘導体、それを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子、照明装置及び表示装置
JP2013058647A (ja) 白色有機エレクトロルミネッセンス素子