JP2015201429A - 固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長時間での運転に伴う発電性能の低下を抑止して、耐久性に優れた燃料電池セルを提供する。【解決手段】絶縁性の多孔質支持体201の表面に、内側第1電極202、内側第2電極202、固体電解質203、外側電極204と、集電層205が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セル210であって、多孔質支持体201は、フォルステライトを含み、内側第1電極201は、Ni及び/又はNiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)とを含み、内側第2電極202は、Ni及び/又はNiOと希土類元素が固溶しているZrO2(安定化ジルコニア)若しくはセリウム含有酸化物を含み、内側第1電極202は、さらに酸化物換算でZr元素を1質量%以下含んでいる固体酸化物形態電池セル。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池セルを安価に提供するために、支持体をフォルステライトからなる焼結体にて作製することが提案されている(特開2005−93241号公報参照)。
また、特開2005−93241号公報には、フォルステライトは熱膨張率が電解質と近似するため、燃料電池セルのクラックやガスリークを防止できることが開示されている。
特開2005−93241号公報
しかしながら、支持体材料としてフォルステライトを使用し、燃料極材料として特開2005−93241号公報記載の希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)と、Ni及び/又はNiO(以下、Ni等とも呼ぶ)とからなる固体酸化物形燃料電池セルを作製したところ、燃料極中のZrOの一部が化学変化により変質し、発電性能が低下する場合があることが分かった。
この原因を調べたところ、次のような作用機序によるものと推測された。通常市販されているフォルステライト原料には、フォルステライト結晶以外に、MgO、SiO2、不純物由来の酸化物を含んでいる。燃料電池セルの製造工程は1300℃を超える温度に曝される。その際、フォルステライト結晶を構成していないSiO2成分が燃料極に拡散し、燃料極に含まれるZrOと反応し、化合物を生成する。本発明者らは、この化合物は酸素イオン導電性が低く、その結果、発電性能の低下に至るものであることを突き止めた。そしてフォルステライトを含む支持体と接する燃料極中のZr元素の濃度を調整することで上記の現象を抑制することができることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、絶縁性の多孔質支持体の表面に、内側第1電極、内側第2電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記多孔質支持体は、フォルステライトを含み、前記内側第1電極は、Ni等と酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)とを含み、前記内側第2電極は、Ni等と希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)もしくはセリウム含有酸化物とを含み、前記内側第1電極は、さらに酸化物換算でZr元素を1質量%以下含むことを特徴とする。
多孔質支持体と接する内側第1電極に含まれるZrの濃度を1質量%以下に抑制することで、多孔質支持体に含まれるSiOとZrの反応を抑制できる。その結果、発電性能の低下を抑えることができる。
また、前記酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)は、Yであることが好ましい。Yであれば、燃料電池システムを発電と運転停止する際に懸念される内側第1電極の酸化による化学変化と、それと同時に生じる体積変化が生じにくい。
また、前記固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含むことが好ましい。ランタンガレート系酸化物であれば、運転時の温度が600℃〜800℃と低い温度領域で発電できるので、支持体の化学変化が起こり難くなる。
また、前記固体電解質は、好ましくは一般式La1-aSrGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるものである。
また、本発明は、絶縁性の多孔質支持体の表面に、内側第1電極、内側第2電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルの製造方法であって、フォルステライトを含む成形体を焼成して前記多孔質支持体を形成する工程と、前記多孔質支持体の表面に前記内側第1電極用のスラリーをコーティングし、焼成することにより前記内側第1電極を形成する工程と、を含むものであり、前記内側第1電極は、Ni等と酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)と酸化物換算で1質量%以下のZr元素と、を含んでいることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池セルの製造方法に関する。
本発明によれば、長時間での運転に伴う発電性能の低下を抑止して、耐久性に優れた燃料電池セルを提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図である。 固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 固体酸化物形燃料電池システム燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図3のIII−III線に沿う断面図である。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、絶縁性の多孔質支持体の表面に、内側第1電極、内側第2電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる。多孔質支持体は、フォルステライトを含み、内側第1電極は、Ni及び/又はNiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)とを含み、内側第2電極は、Ni及び/又はNiOと希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)もしくはセリウム含有酸化物とを含み、内側第1電極は、さらに酸化物換算でZr元素を1質量%以下含む。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの形状は、特定のものに限定されるものではなく、例えば円筒、板状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。本発明の燃料電池セルの多孔質支持体は、絶縁性支持体であるので、1支持体に複数の発電素子を直列に形成した横縞形セルが好ましい。ここで、発電素子とは、内側第1電極(燃料極)、内側第2電極(燃料極触媒層)、電解質、及び外側電極(空気極)が順次積層された積層体を意味する。
多孔質支持体
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、電気的に絶縁性であり、フォルステライトを含む。多孔質支持体は、フォルステライト(Mg2SiO4)結晶、結晶質及び/又は非晶質のMgO、結晶質及び/又は非晶質のSiO2、その他のガラス質や不純物を含有する焼結体である。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、多孔質支持体に含まれるフォルステライトは、Mg/Si比が、モル比で、1.90以上2.2以下であることが好ましい。さらに好適には1.93以上2.13以下である。また、多孔質支持体は、Cu−Kα線を用いた粉末X線回折パターンにおいて回折角2θ=26.5°〜27.0°に現れる最大ピーク高さAと、36.5°〜37.0°に現れる最大ピーク高さBとの比A/Bが0.0%以上9.0%以下、好適には0.0%以上7.0%以下であることが好ましい。多孔質支持体のMg/Si比やピーク比A/Bを所定の範囲とすることで、高温環境下における固体酸化物形燃料電池セルの化学変化を防止できる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、多孔質支持体に含まれるフォルステライトは、Mg元素及びSi元素が、それぞれMgO及びSiO2換算で、合計で90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは98質量%以上含んでなることが好ましい。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、X線回折により得られるフォルステライト結晶の第一回折線(すなわち、強度の最も大きい回折線)のピーク強度を100としたときに、それ以外の結晶成分の第一回折線のピーク強度の総和が5以下であることが、より好ましい。
好適には、多孔質支持体は本質的にフォルステライトからなる(つまり、主としてフォルステライトから形成される)。多孔質支持体は、少なくとも発電素子が積層される側の表面領域において、カルシウム元素(Ca)の含有量がCaO換算で0.2質量%以下であってもよい。ここで、「表面領域」とは、表面から深さ約100μmまでの領域を意味する。このような表面領域のカルシウム元素の含有量は、例えばXRFで測定できる。測定試料は、固体酸化物形燃料電池セルの積層面を機械的にはぎ取り、次いで露出した多孔質支持体の表面から約100μmまでを機械的に粉砕しながらサンプリングし、XRFの試料とする。またXRFで定量するにあたっては(社)日本セラミックス協会の認証標準物質JCRM R 901 タルク粉を用い、1点検量線を作成して行なう。
多孔質支持体中のCaの濃度分布は、均一なものであってもよく、また発電素子が積層される側の表面に向かって傾斜していてもよい。あるいは、多孔質支持体は、Caの含有量の異なる2層以上の積層体であってもよい。発電素子が積層される側の表面に向かってCaの濃度分布が傾斜している多孔質支持体、又は2層以上の積層体である多孔質支持体を使用する場合は、発電素子が積層される側の表面領域以外の領域のCaの含有量はCaO換算で0.2質量%を超えていてもよい。多孔質支持体は、Caの含有量が所定の範囲の成形体を調製し、次いで焼成することで得られるが、好ましくは、Caとフォルステライトとを含み、上記範囲よりも高濃度でCaを含有する原料と、Caとフォルステライトとを含み、上記範囲よりも低濃度でCaを含有する原料とを混合してCa含有量を所定の範囲とした成形体を調製し、次いで焼成する。
内側第1電極
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、内側第1電極は、燃料極として作用する。内側第1電極は、Ni及び/又はNiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物を除く)とを含み、さらにジルコニウム(Zr)元素を酸化物(ZrO)換算で1質量%以下含む。つまり、検出下限より多く含まれていればよく、数ppm程度含んでいてもよい。Zr元素の濃度は、好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。また、内側第1電極のZr元素の濃度は、酸化物(ZrO)換算で好ましくは0質量%より多く、さらに好ましくは0.06質量%以上である。これにより多孔質支持体に含まれるSiOとZrの反応がさらに抑制され、その結果、さらに性能低下が抑えることができる。
このように内側第1電極に含まれるZr元素を特定の量とすることで、多孔質支持体に含まれるSiOとの反応が抑制できる理由としては、以下のように考えているがこれに限定されるものではない。ZrOとSiOは反応し、ZrSiOを生成することが知られている。その生成温度は、例えばゾルーゲル法であれば1000℃以下である。固体酸化物形燃料電池セルは、製造時の焼成温度が1300〜1500℃であり、ZrSiOが生成するに十分な温度である。また上記の焼成温度において、ZrOとSiOは濃度拡散すると考えられる。したがって、多孔質支持体に含まれるSiOは内側第1電極との界面に濃度拡散し、内側第1電極に含まれるZrOと反応してしまうと考えられる。その結果、多孔質支持体と内側第1電極との界面付近にZrSiOが生成すると考えられる。その量が多くなると、ガス流路が閉塞し、その結果、ガス拡散抵抗が増大し、性能低下につながると考えられる。本発明においては、内側第1電極に含まれるZr元素の濃度を酸化物換算で1質量%以内にするため、界面で発生するZrOとSiOとの反応を抑制できる。したがって、多孔質支持体と内側第1電極とのガス流路を閉塞し、ガス拡散抵抗を増大するに至らないと考えられる。
内側第1電極に含まれる酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物を除く)としては、Yが好適に利用できる。Y原料は不純物としてZrOを含まないので、これにより、内側第1電極に含まれるZr元素の量を1質量%以下にすることができ、また酸化還元による体積変化の心配もない。Ni等とYは、電気導電性ならびに還元時の体積収縮、再酸化時の体積膨張の観点から所定の比率で均一に混合されたものであることが好ましい。好ましくは、Ni等:Yの体積比が67:33以上、85:15以下である。Ni等の体積比が小さい(例えば、Ni等:Y=60:40)と高抵抗により性能が低下してしまう。一方、Ni等の体積比が大きい(例えば、Ni等:Y=90:10)と還元時の体積収縮でセルが損傷する場合がある。また均一性が不足しているとNi等が少なく抵抗になる領域と、Ni等が多く還元時の体積収縮が大きくなる領域が発生し、セル性能およびセルの損傷が起こる場合がある。なお、均一性は内側第1電極用スラリーの作製における湿式混合時の平均粒子径で判断できる。均一性を得るためには、このスラリーの平均粒子径が5μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは2μm以下である。5μmを超えると均一性が不足して好ましくない。
内側第2電極
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、内側第2電極は、燃料極触媒層として作用する。内側第2電極は、Ni及び/又はNiOと希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)もしくはセリウム含有酸化物を含む。これにより、高い燃料極触媒活性が得られ、活性過電圧を低く抑えることができる。ここで、希土類元素が固溶しているZrOは、ZrOに希土類元素を固溶させて、ZrOの結晶構造を安定化させたものであり、安定化ジルコニアとも言う。希土類元素が固溶しているZrOとして、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、イッテルビウム(Yb)のうち少なくとも1つが固溶しているZrOである。複数の希土類元素がZrOに固溶していても良い。希土類元素として好ましいのはスカンジウム(Sc)又はイットリウム(Y)である。内側第2電極は燃料極触媒層の役割を担うために、酸素イオン導電性と電子導電性の両方の性質が求められる。また、内側第2電極は電解質と反応しにくい材料であることが好ましい。
内側第2電極は、Ni等とセリウム含有酸化物とを含むことが好ましい。セリウム含有酸化物を用いることで、燃料電池セルの製造時に内側第1電極にZrOの混入を抑えることができ、内側第1電極に含まれるZr元素の濃度を抑えることが容易になる。また高い燃料極触媒活性が得られ、活性化過電圧を低くすることができる。Ni等とセリウム含有酸化物は、所定の比率で均一に混合されたものであることが好ましい。好ましくは、体積比で、Ni等:セリウム含有酸化物が35:65以上、85:15以下である。Ni等の体積比が小さい(例えば、Ni等:セリウム含有酸化物=30:70)と還元時の体積膨張が大きくなりすぎてしまう。一方、Ni等の体積比が大きい(例えば、Ni等:セリウム含有酸化物=90:10)と還元時の体積収縮が大きくなりすぎ、セルが損傷する場合がある。また均一性が不足していると、還元や再酸化時の体積変化が膨張と収縮に異なる領域が発生し、セル性能およびセルの損傷が起こる場合がある。なお、均一性は内側第2電極用スラリーの作製における湿式混合時の平均粒子径で判断できる。均一性を得るためには、このスラリーの平均粒子径が2μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは1μm以下である。2μmを超えると均一性が不足して好ましくない。
セリウム含有酸化物としては、一般式Ce1−yLn(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yのいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)などが好適に利用できる。好ましくは、10mol%GdO1.5−90mol%CeO(GDC10)、20mol%YO1.5−80mol%CeO(YDC20)、40mol%LaO1.5−60mol%CeO(LDC40)である。
外側電極
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、外側電極は空気極として作用する。外側電極としては、La1-xSrxCoO3(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1-xNix3(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO3系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンフェライト酸化物(La1-mSrmCo1-nFen3(但し、0.05<m<0.50、0<n<1))などが好適に利用できる。外側電極は、単層であっても、又は複層であっても良い。外側電極が複層である場合の例としては、例えば電解質側に空気極触媒層としてLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83を用い、最表層に空気極層としてLa0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23を用いる。
固体電解質
本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、固体電解質としては、ランタンガレート系酸化物を好適に利用できる。固体電解質は、より好適にはSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、一般式La1-aSrGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)であることが好ましい。固体電解質は、単層であっても、又は複層であっても良い。固体電解質が複層である場合、内側電極側の層には、Laを固溶させたセリア(Ce1-xLax2(但し、0.3<x<0.5))からなる反応抑制層を設け、該反応抑制層の表面に、LSGMからなる固体電解質層を設けてもよい。反応抑制層は、好適にはCe0.6La0.42である。
図1は本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図を示した。本発明における固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば多孔質支持体201と、内側(第一/第二)電極202、(第一/第二)固体電解質203と、外側(第一/第二)電極204と、集電層205から構成される。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、多孔質支持体が0.5〜2mm、内側第1電極が10〜200μm、内側第2電極(燃料極触媒層)が0〜30μm、第1固体電解質(反応抑制層)が0〜20μm、第2固体電解質(固体電解質層)が5〜60μm、第1外側電極(空気極触媒層)が0〜30μm、外側第2電極(空気極層)が10〜200μmである。ここで、(第一/第二)とは、「単層又は二層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有する」ことを意味する。
製造方法
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法は、特定のものに限定されるものではないが、本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、例えば以下のようにして製造できる。
多孔質支持体は以下のように作製できる。フォルステライトを含有する原料粉体に、溶媒(水、アルコールなど)を添加して坏土を作製する。このとき、任意成分として、分散剤、バインダー、消泡剤、造孔剤等を添加してもよい。作製した坏土を成形し、乾燥し、次いで仮焼(800℃以上1100℃未満)して多孔質支持体を得る。坏土の成形には、シート成形法、プレス成形法、押出成形法などが用いられるが、内部にガス流路が形成される多孔質支持体の場合は、押出成形法が好ましい。複層の多孔質支持体を成形する場合は、複層を一体的に押出成形する「多層押出成形」の他、上層をコーティングや印刷により成形する方法を用いることもできる。コーティングは、原料スラリーをコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などが挙げられる。印刷は、スクリーン印刷法やインクジェット法などが挙げられる。
内側第1電極は以下のように作製できる。NiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)の原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製する。このとき、スラリーに含まれるZr元素の濃度は酸化物換算で1質量%以下となるようにする。これをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。コーティングは、複層の多孔質支持体の上層をコーティングする際に使用できる方法と同様に行うことができる。
内側第2電極、(第一/第二)固体電解質、及び外側(第一/第二)電極は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。コーティングは、複層の多孔質支持体の上層をコーティングする際に使用できる方法と同様に行うことができる。焼成は、各電極及び固体電解質の層を形成する都度行ってもよいが、複数の層を一度に焼成する「共焼成」を行うことが好ましい。また、電解質がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気+酸素の混合ガスを用い、酸素濃度は20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。内側電極に燃料極を、外側電極に空気極を用いる場合、燃料極と電解質とを共焼成した後、空気極を成形し、共焼成よりも低い温度で焼成することが好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルを使用した固体酸化物形燃料電池システムは、特定のものに限定されず、その製造や他の材料等は、公知のものが使用できる。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。この図2に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図4参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図5参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図3及び図6により、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図3は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図6は、図3のIII−III線に沿った断面図である。図3及び図6に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密封空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bが形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図6に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に予熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図6に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。
また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図2に示す上述した温水製造装置50に接続されている。図3に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルスタック14について説明する。図4は、固体酸化物型燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。図4に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図4では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図5により燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の多孔質支持体91上に内側電極層90と、外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。燃料電池セル84として本発明の燃料電池セルを用いる。
次に、燃料電池システムFCSの起動モードについて説明する。先ず、改質用空気を増やすように改質用空気流量調整ユニット44、電磁弁42及び混合部47を制御し、改質器20に空気を供給する。また、発電室10には、発電用空気流量調整ユニット45、電磁弁42を制御し、空気導入管76から発電用の空気が供給される。そしてまた、燃料ガスの供給を増やすように燃料流量調整ユニット38、及び混合部47を制御し、改質器20に被改質ガスを供給し、改質器20へ送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、改質器20、燃料ガス供給管64、ガスマニホールド66を介して、各々の貫通孔69から各燃料電池セルユニット16内に送り込まれる。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の下端に形成されている燃料ガス流路98から燃料ガス流路88を通過し、上端に形成されている燃料ガス流路98から夫々流出する。その後、点火装置83によって、燃料ガス流路98上端から流出した被改質ガスに着火して燃焼運転を実行する。これにより、燃焼室18内で被改質ガスが燃焼され、上述した部分酸化改質反応(POX)が発生する。
その後、改質器20の温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約250℃を超えたことを条件として、オートサーマル改質反応(ATR)へと移行させる。この時、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、被改質ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。次いで、改質器20の温度が650
℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応(SR)へと移行させる。
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室10内の温度が徐々に上昇する。発電室10の温度が、燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュール2は発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(多孔質支持体用坏土Aの作製)
フォルステライト粉末はMg/Si比がモル比で1.98であり、かつ、後述する方法により求めたピーク比A/Bが0.0であるフォルステライト粉末(0.02質量%のCaOを含む)を平均粒子径が0.7μmとなるようあらかじめ調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース系水溶性高分子)8重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部を高速ミキサーで混合後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R 1629にて測定し、50%径(D50)にて示した値である(以下同様)。
(内側第1電極用スラリーの作製)
NiO粉末とY粉末とを重量比70:30で調合した。さらに湿式混合時に用いるYSZビーズからの混入分と合わせて、ZrO換算でZr元素の濃度が0.15質量%になるようにYSZ粉末を加え、YSZビーズを用いて湿式混合した。このときスラリーの平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌して内側第1電極用スラリーを調製した。
(内側第2電極用スラリーの作製)
NiOとYDC20(20mol%YO1.5−80mol%CeO2)の混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い内側第2電極粉末を得た。NiOとYDC20の混合比は重量比で40/60とした。平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。該粉末20重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌して内側第2電極用スラリーを調製した。
(反応抑制層用スラリーの作製)
反応抑制層の材料として、前記したセリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLaO1.5−60mol%のCeO2)の粉末10重量部を用いた。焼結助剤としてGa23粉末を0.04重量部混合し、さらに溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌して反応抑制層用スラリーを調製した。
(固体電解質用スラリーの作製)
固体電解質の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23の組成のLSGM粉末を用いた。LSGM粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌して固体電解質用スラリーを調製した。
(外側電極用スラリーの作製)
外側電極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83の組成の粉末を用いた。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌して外側電極用スラリーを調製した。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
前記多孔質支持体用坏土A、前記内側第1電極用スラリー、前記内側第2電極用スラリー、前記固体電解質用スラリー、前記反応抑制層用スラリー、及び、前記外側電極用スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Aを押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により内側第1電極、内側第2電極、反応抑制層、固体電解質の順番で成形し、積層成形体を得た。この積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、外側電極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質の表面に外側電極を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、内側第1電極の厚さが100μmであり、内側第2電極の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質の厚みが30μmであり、外側電極の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。
(粉末X線回折法によるピーク比の計測)
装置 :パナリティカル社製「機種名:X’Pert PRO」X線回折装置
検出器 :検出素子が100 チャンネルある半導体アレイ検出器
X線出力:(Cu封入管)管電圧40kV−管電流40mA
特性X線:Cu−Kα線
フィルタ:Ni
走査方法:ステップ・スキャンニング法(Scanning Step Size:0.05°)
試料処理:粉末プレス法
以上の装置および条件で、2θ=10°〜90°における検出強度を測定した。2θ=26.5°から27.0°の間に現れる最大ピーク高さA(これは不純物由来のピークと考えられる)と、2θ=36.5°から37.0°の間に現れる最大ピーク高さB(これは主成分由来のピークと考えられる)との比、すなわちA/Bをピーク比とし、百分率で表示した。なお、各ピーク高さは、ピーク強度からバックグラウンドの強度を差し引いた値である。
(発電試験)
得られた固体酸化物形燃料電池セルを用いて、発電試験を行った。内側第2電極側の集電は、内側第2電極極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。外側電極側の集電は、外側電極表面に銀ペーストを塗布した後、外側電極の端部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。
発電条件は以下である。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:75%
酸化性ガス:空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0A/cm2、0.2A/cm2
この条件で発電試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例2〜5、および比較例1)
内側第1電極用スラリーの作製において、ZrO換算のZr元素の濃度が表1に示す値となるように調製した以外は実施例1と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2015201429
(実施例6)
(多孔質支持体用坏土Bの作製)
Mg/Si比がモル比で1.98であり、ピーク比A/Bが2.6であり、CaをCaO換算濃度で0.5質量%となるように調製したフォルステライト粉末を、平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤(脂肪酸エステル)0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部を高速ミキサーで混合した後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気して、押し出し成形用の坏土を調製した。
(多孔質支持体用スラリーの作製)
Mg/Si比がモル比で1.98であり、ピーク比A/Bが0.0であり、CaをCaO換算濃度で0.02質量%となるように調製したフォルステライト粉末を、平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末20重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、及び分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部をボールミルで十分に攪拌して多孔質支持体用スラリーを調製した。
(内側第1電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(内側第2電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(反応抑制層用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(固体電解質用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(外側電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
前記多孔質支持体用坏土B、前記多孔質支持体用スラリー、前記内側第1電極用スラリー、前記内側第2電極用スラリー、前記固体電解質用スラリー、前記反応抑制層用スラリー、及び、前記外側電極用スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Bを押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により多孔質支持体用スラリー層、内側第1電極、内側第2電極、反応抑制層、固体電解質の順番で成形し積層成形体を得た。この積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、外側電極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質の表面に外側電極を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、内側第1電極の厚さが100μmであり、内側第2電極の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質の厚みが30μmであり、外側電極の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。
(実施例7〜10)
内側第1電極用スラリーの作製において、ZrO換算のZr元素の濃度が表2に示す値となるように調製した以外は実施例5と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2015201429
(実施例11)
(多孔質支持体用坏土Cの作製)
Mg/Si比がモル比で1.98であり、ピーク比A/Bが2.6であり、CaをCaO換算濃度で0.2質量%となるように調製したフォルステライト粉末を、平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤(脂肪酸エステル)0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部を高速ミキサーで混合した後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気して、押し出し成形用の坏土Cを調製した。
(内側第1電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(内側第2電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(反応抑制層用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(固体電解質用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(外側電極用スラリーの作製)
実施例1と同様とした。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
上記多孔質支持体用坏土C、前記内側第1電極用スラリー、前記内側第2電極用スラリー、反応抑制層用スラリー、前記固体電解質層用スラリー、及び前記外側電極用スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
多孔質支持体用坏土Cから押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1100℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により多孔質支持体層、第1内側電極の層、第2内側電極の層、反応抑制層、固体電解質層の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、外側電極の面積が17.3cmになるようにセルへマスキングをし、固体電解質層の表面に外側電極の層を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、第1内側電極の層の厚さが100μmであり、第2内側電極の層の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質層の厚みが30μmであり、外側電極の層の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。得られた固体酸化物形燃料電池セルについて、実施例1と同様にして発電試験を行った。結果を表3に示す。
(実施例12〜14)
内側第1電極用スラリーの作製において、ZrO換算のZr元素の濃度が表3に示す値となるように調製した以外は実施例9と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2015201429

Claims (5)

  1. 絶縁性の多孔質支持体の表面に、内側第1電極、内側第2電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、
    前記多孔質支持体は、フォルステライトを含み、
    前記内側第1電極は、Ni及び/又はNiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)とを含み、
    前記内側第2電極は、Ni及び/又はNiOと希土類元素が固溶しているZrO(安定化ジルコニア)もしくはセリウム含有酸化物とを含み、
    前記内側第1電極は、さらに酸化物換算でZr元素を1質量%以下含むことを特徴とする、固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 前記酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)はYであることを特徴とする、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 前記固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含むことを特徴とする、請求項1もしくは2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  4. 前記固体電解質は、一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  5. 絶縁性の多孔質支持体の表面に、内側第1電極、内側第2電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルの製造方法であって、
    フォルステライトを含む成形体を焼成して前記多孔質支持体を形成する工程と、
    前記多孔質支持体の表面に前記内側第1電極用のスラリーをコーティングし、焼成することにより前記内側第1電極を形成する工程と、を含むものであり、
    前記内側第1電極は、Ni及び/又はNiOと酸化物(ただし、Zr元素を含む酸化物は除く)と酸化物換算で1質量%以下のZr元素と、を含んでいることを特徴とする、固体酸化物形燃料電池セルの製造方法。
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