JP2014209476A - 固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フォルステライトを支持体に用いた燃料電池セルにおいて、発電性能や長期安定性を高めた燃料電池セルを提供すること。【解決手段】多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記多孔質支持体は、フォルステライトを含んでなり、さらに、ニッケル元素をNiO換算で前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下で含み、カルシウム元素をSrO換算で前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下で含んでなる、固体酸化物形燃料電池セル。【選択図】図1

Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法に関する。
固体酸化物形燃料電池セルを安価に提供するために、支持体をフォルステライトからなる焼結体にて作製することが提案されている(特開2005−93241号公報参照)。また、特開2005−93241号公報には、フォルステライトは熱膨張率が固体電解質と近似するため、燃料電池セルのクラックやガスリークを防止でき、さらにフォルステライト焼結体にニッケルを添加することによって多孔質支持体の熱膨張率を微調整し、固体電解質との熱膨張率差をさらに低減できることが開示されている。
特開2005−93241号公報
本発明は、フォルステライトを支持体に用いた燃料電池セルにおいて、発電性能や長期安定性を高めた燃料電池セルを提供することを目的とする。
本発明者らは、フォルステライトを含む多孔質支持体にニッケル及びカルシウムを配合することによって、多孔質支持体の強度が増すと共に、ガス透過性に影響を及ぼす連通する気孔の径と量が大きくなることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記多孔質支持体は、フォルステライトを含んでなり、さらに、ニッケル元素をNiO換算で前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下で含み、カルシウム元素をCaO換算で前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下で含んでなることを特徴とする。ニッケル及びカルシウムを所定濃度で支持体に含有させることで、多孔質支持体を形成する粒子が異常粒成長するのを抑制し、強度が向上すると考えられる。また、一次粒子が焼成により成長する過程で気孔も成長し、その結果、ガス透過性に影響を及ぼす連通する気孔の径が大きくなるものと考えられる。なお、一般的に、気孔量と強度には相関が見られ、気孔量が多くなると強度は低下する。しかし、本発明では、多孔質支持体にニッケル及びカルシウムを配合することで多孔質支持体の強度を低下させることなく(むしろ強度は高まる)気孔量を多くすることができる。したがって、本発明では、多孔質支持体の強度を高めながら、気孔量を多くし、かつ連通する気孔径を大きくすること、すなわち多孔質支持体のガス透過性を向上させることができる。以上により、本発明は、固体酸化物形燃料電池セルの発電性能を向上させ、さらに発電を安定にする(つまり耐久性を高める)ことができる。
本発明は、前記固体電解質がランタンガレート系酸化物を含んでなることが好ましく、より好適には、前記固体電解質がSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる。ランタンガレート系酸化物(好適にはLSGM)であれば、運転時の温度が600℃〜800℃と低い温度領域で発電できるので、支持体の化学変化が起こり難くなる。
また、前記固体電解質に含まれるSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物は、好ましくは一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表される。
本発明において、前記多孔質支持体は、好ましくは少なくとも前記内側電極が積層される側の表面領域において、カルシウム元素濃度がCaO換算で0質量%を超え0.2質量%以下である。多孔質支持体表面のカルシウム元素濃度を低くすることにより、(セル製造過程における)焼成時にランタンガレート系酸化物のドーパントの拡散を防止できる。ドーパントの拡散が防止できれば固体電解質の結晶構造を保持できるので、発電性能が長期的に安定する。多孔質支持体に含まれるCaは、焼成により多孔質支持体の外に移動し、各層から移動してきた他の元素と結合して多孔質支持体と内側電極との間に拡散層を形成する。多孔質支持体中のカルシウム元素濃度を低くすることで、Caとその他の元素を含む拡散層の形成が防止される。また、固体電解質の結晶構造を焼成後も保持することができる。また、ランタンガレート系酸化物に含有されるドーパントのSrは、支持体に含まれるCaによって結晶から容易に離脱してCaとともに拡散層を形成する。したがって、前記固体電解質がSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる場合、多孔質支持体に含まれるCaを少なくすることは、ランタンガレート系酸化物の結晶構造を焼成後も保持するために重要である。また、前記多孔質支持体は、好ましくは少なくとも2つの層からなる成形体である。多孔質支持体を少なくとも2つの層を備えた構造とすることで、固体電解質のドーパントを離脱させる原因となるCaの濃度を低減させた層と、Ca濃度が比較的高い高強度の層とを組み合わせることができるので、高性能のセルを容易に製造することができる。
また、本発明は、表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セル用の多孔質支持体の製造方法であって、フォルステライトを含み、さらに、ニッケル元素をNiO換算で前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下で含み、カルシウム元素をCaO換算で前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下で含む成形体を焼成して前記多孔質支持体を形成することを含む多孔質支持体の製造方法に関する。
本発明によれば、発電性能が高く、長期安定性にも優れた燃料電池セルを提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図である。 固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 固体酸化物形燃料電池システム燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図3のIII−III線に沿う断面図である。 実施例1の固体酸化物形燃料電池セルの破断面の電子顕微鏡写真である。 実施例5の固体酸化物形燃料電池セルの破断面の電子顕微鏡写真である。 比較例1の固体酸化物形燃料電池セルの破断面の電子顕微鏡写真である。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる。本発明の燃料電池セルの形状は、特定のものに限定されるものではなく、例えば円筒、板状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。本発明の燃料電池セルの多孔質支持体は、絶縁性支持体であるので、1支持体に複数の発電素子を直列に形成した横縞形セルが好ましい。ここで、発電素子とは、内側電極(燃料極又は空気極)、固体電解質、外側電極(空気極又は燃料極)が順次積層された積層体を意味する。
本発明の燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、フォルステライトを含有してなり、さらに、ニッケル元素(Ni)及びカルシウム元素(Ca)を含んでなる。多孔質支持体中のニッケル濃度は、NiO換算で、前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下、より好ましくは2質量%以上8質量%以下である。また、多孔質支持体中のカルシウム濃度は、CaO換算で、前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下、好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下である。ニッケル元素及びカルシウム元素を上記範囲で含むように多孔質支持体の原料を調整することで、多孔質支持体の強度が増すと共にガス透過性が向上する。
多孔質支持体は、フォルステライト(Mg2SiO4)結晶、ニッケル元素(Ni)及びカルシウム元素(Ca)以外に、結晶質及び/又は非晶質のMgO、結晶質及び/又は非晶質のSiO2、その他のガラス質や不純物を含有する焼結体である。本発明の燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、多孔質支持体中に含まれる元素を酸化物に換算した場合に、マグネシウム元素(Mg)及びケイ素元素(Si)が、それぞれMgO及びSiO2換算で、合計で90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは98質量%以上含んでなることが好ましい。本発明の燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、X線回折により得られるフォルステライト結晶のピークトップを100としたときに、それ以外の結晶成分のピークトップの総和が5以下であることが、より好ましい。
ここでニッケル元素及びカルシウム元素の濃度は、例えば蛍光X線分析装置(XRF)で測定できる。測定試料は、燃料電池セルの積層面を機械的にはぎ取り、次いで露出した多孔質支持体を機械的に粉砕し、XRFの試料とする。また、XRFで定量するにあたっては1点検量線を作成して行なう。
好適には、多孔質支持体は本質的にフォルステライトからなる(つまり、主としてフォルステライトから形成される)。また、多孔質支持体は、好適には少なくとも発電素子が積層される側の表面領域において、カルシウム元素の濃度がCaO換算で0.2質量%以下、好適には0.1質量%以下、より好適には0.06質量%以下である。ここで、「表面領域」とは、表面から深さ約100μmまでの領域を意味する。このような表面領域のカルシウム元素の濃度は、例えばXRFで測定できる。測定試料は、燃料電池セルの積層面を機械的にはぎ取り、次いで露出した多孔質支持体の表面から約100μmまでを機械的に粉砕しながらサンプリングし、XRFの試料とする。またXRFで定量するにあたっては(社)日本セラミックス協会の認証標準物質JCRM R 901 タルク粉を用い、1点検量線を作成して行なう。
多孔質支持体中のカルシウム元素の濃度分布は、均一なものであってもよく、また発電素子が積層される側の表面に向かって傾斜していてもよい。あるいは、多孔質支持体は、カルシウム元素濃度の異なる2層以上の積層体であってもよい。発電素子が積層される側の表面に向かってカルシウム元素の濃度分布が傾斜している多孔質支持体、又は2層以上の積層体である多孔質支持体を使用する場合は、発電素子が積層される側の表面領域以外の領域のカルシウム元素濃度は0.2質量%を超えていてもよい。多孔質支持体は、カルシウム元素濃度が所定の範囲の成形体を調製し、次いで焼成することで得られるが、好ましくは、カルシウム元素とフォルステライトとを含み、上記範囲よりも高濃度でカルシウム元素を含有する原料と、カルシウム元素とフォルステライトとを含み、上記範囲よりも低濃度でカルシウム元素を含有する原料とを混合してカルシウム元素濃度を所定の範囲とした成形体を調製し、次いで焼成する。
なお、フォルステライトの焼結には、1次粒子径が約0.2μm前後からなる2次粒子(=凝集粒子)粉を使用することが好ましい。1次粒子径をこの程度に小さく設定しているのは、焼成温度を1300℃前後に下げるためである。2次粒子は1μm前後程度になるまで粉砕する。粗粒子が残存すると成形欠陥を生じる傾向にあるので好ましくない。焼結後の多孔質支持体は走査型電子顕微鏡(SEM)画像から得られる面積円相当径(直径)が約1から2μmの結晶を含む。ここで、SEM画像は、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率1万倍または2万倍で得る。
本発明の燃料電池セルにおいて、内側電極は、燃料極であっても、空気極であってもよい。多孔質支持体内部にガス流路を備えた燃料電池セル(円筒形セル、中空板状セルなど)では、好適には内側電極は燃料極である。内側電極が燃料極である場合、外側電極は空気極となる。
燃料極としては、NiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物などが挙げられる。ここで、NiO/ジルコニウム含有酸化物とは、NiOとジルコニウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。また、NiO/セリウム含有酸化物とは、NiOとセリウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。NiO/ジルコニウム含有酸化物のジルコニウム含有酸化物としては、例えばCaO、Y23、Sc23のうちの1種以上をドープしたジルコニウム含有酸化物などが挙げられる。NiO/セリウム含有酸化物のセリウム含有酸化物としては、一般式Ce1-yLny2(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yのいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)などが挙げられる。なお、NiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなるため、前記混合物はそれぞれNi/ジルコニウム含有酸化物又はNi/セリウム含有酸化物となる。燃料極は、単層であっても、又は複層であっても良い。内側電極が複層の燃料極である場合の例としては、例えば支持体側にNi/YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を用い、固体電解質側にNi/GDC(Gd23−CeO2)(=燃料極触媒層)を用いる。
空気極としては、La1-xSrxCoO3(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1-xNix3(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO3系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンフェライト酸化物(La1-mSrmCo1-nFen3(但し、0.05<m<0.50、0<n<1))などが挙げられる。空気極は、単層であっても、又は複層であっても良い。外側電極が複層の空気極である場合の例としては、例えば固体電解質側にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(=空気極触媒層)を用い、最表層にLa0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23(=空気極)を用いる。
本発明の燃料電池セルにおいて、固体電解質としては、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、Scのいずれか1種又は2種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。固体電解質は、好適にはSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。ここで、燃料極側には、反応抑制層として、セリアにLaを固溶させたセリウム系酸化物(Ce1-xLax2(但し、0.3<x<0.5))を設けてもよい。反応抑制層は、好適にはCe0.6La0.42である。固体電解質は、単層であっても、又は複層であっても良い。固体電解質が複層である場合の例としては、例えば燃料極とLSGMからなる固体電解質の間にCe0.6La0.42などの反応抑制層を用いる。
図1は本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図であり、内側電極を燃料極としたタイプについて示した。本発明における固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば多孔質支持体201と、(第一/第二)燃料極202、(第一/第二)固体電解質203と、(第一/第二)空気極204と、集電層205から構成される。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、多孔質支持体が0.5〜2mm、燃料極が10〜200μm、燃料極触媒層が0〜30μm、反応抑制層が0〜20μm、固体電解質が5〜60μm、空気極触媒層が0〜30μm、空気極が10〜200μmである。ここで、(第一/第二)とは、「単層又は二層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有する」ことを意味する。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法は、特定のものに限定されるものではないが、本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、例えば以下のようにして製造できる。
フォルステライトを含有する原料粉体に、溶媒(水、アルコールなど)を添加して坏土を作製する。このとき、任意成分として、分散剤、バインダー、消泡剤、造孔剤等を添加してもよい。作製した坏土を成形し、乾燥し、次いで仮焼(800℃以上1100℃未満)して多孔質支持体を得る。坏土の成形には、シート成形法、プレス成形法、押出成形法などが用いられるが、内部にガス流路が形成される多孔質支持体の場合は、押出成形法が好ましい。複層の多孔質支持体を成形する場合は、複層を一体的に押出成形する「多層押出成形」の他、上層をコーティングや印刷により成形する方法を用いることもできる。コーティングは、原料スラリーをコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などが挙げられる。印刷は、スクリーン印刷法やインクジェット法などが挙げられる。
内側電極、固体電解質、及び外側電極は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。コーティングは、複層の多孔質支持体の上層をコーティングする際に使用できる方法と同様に行うことができる。焼成は、各電極及び固体電解質の層を形成する都度行ってもよいが、複数の層を一度に焼成する「共焼成」を行うことが好ましい。また、固体電解質がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気及び酸素の混合ガスを用い、酸素濃度は20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。内側電極に燃料極を、外側電極に空気極を用いる場合、燃料極と固体電解質とを共焼成した後、空気極を成形し、共焼成よりも低い温度で焼成することが好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルを使用した固体酸化物形燃料電池システムは、特定のものに限定されず、その製造や他の材料等は、公知のものが使用できる。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池システムを示す全体構成図である。この図2に示すように、固体酸化物形燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密封空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図4参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図5参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図3及び図6により、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図3は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図6は、図3のIII−III線に沿った断面図である。図3及び図6に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密封空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bが形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図6に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に予熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図6に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図2に示す上述した温水製造装置50に接続されている。図3に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルスタック14について説明する。図4は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。図4に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図4では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図5により燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、固体酸化物形燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の多孔質支持体91上に内側電極90と、外側電極92と、内側電極90と外側電極92との間にある固体電解質94とを備えている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極90の上部90aは、固体電解質94と外側電極92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。燃料電池セル84として本発明の燃料電池セルを用いる。
次に、燃料電池システムFCSの起動モードについて説明する。先ず、改質用空気を増やすように改質用空気流量調整ユニット44、電磁弁42及び混合部47を制御し、改質器20に空気を供給する。また、発電室10には、発電用空気流量調整ユニット45、電磁弁42を制御し、空気導入管76から発電用の空気が供給される。そしてまた、燃料ガスの供給を増やすように燃料流量調整ユニット38、及び混合部47を制御し、改質器20に被改質ガスを供給し、改質器20へ送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、改質器20、燃料ガス供給管64、ガスマニホールド66を介して、各々の貫通孔69から各燃料電池セルユニット16内に送り込まれる。各燃料電池セルユニット16内に送り込まれた被改質ガス及び改質用空気は、各燃料電池セルユニット16の下端に形成されている燃料ガス流路98から燃料ガス流路88を通過し、上端に形成されている燃料ガス流路98から夫々流出する。その後、点火装置83によって、燃料ガス流路98上端から流出した被改質ガスに着火して燃焼運転を実行する。これにより、燃焼室18内で被改質ガスが燃焼され、上述した部分酸化改質反応(POX)が発生する。
その後、改質器20の温度が約600℃以上になり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約250℃を超えたことを条件として、オートサーマル改質反応(ATR)へと移行させる。この時、水流量調整ユニット28、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44により、被改質ガスと改質用空気と水蒸気とを予め混合したガスを改質器20に供給する。次いで、改質器20の温度が650℃以上となり、且つ燃料電池セル集合体12の温度が約600℃を超えたことを条件として、水蒸気改質反応(SR)へと移行させる。
上述したように着火から燃焼工程の進行に合わせて改質工程を切り替えていくことで、発電室10内の温度が徐々に上昇する。発電室10の温度が、燃料電池モジュール2を安定的に作動させる定格温度(約700℃)よりも低い所定の発電温度に達したら、燃料電池モジュール2を含む電気回路を閉じる。それにより、燃料電池モジュール2は発電を開始し、回路に電流が流れて外部に電力を供給することができる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(多孔質支持体用坏土の作製)
フォルステライト粉末(Mg/Siモル比1.98、CaO濃度0.4質量%、平均粒子径2.0μm)99.7質量部と、酸化ニッケル粉末(平均粒子径0.5μm)2質量部をボールミルで湿式粉砕混合後、スプレードライ乾燥して混合粉末を調製した。該混合粉末100質量部と、バインダー(メチルセルロース系水溶性高分子)8質量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)20質量部を高速ミキサーで混合した。さらに溶媒(水)20質量部を追加し高速ミキサーで混合した。出来上がった土を混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R 1629にて測定し、50%径(D50)にて示した値である(以下同様)。
(高純度フォルステライト層用スラリーの作製)
0.02質量%のCaOを含むフォルステライト粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末20質量部を溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、及び分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部をボールミルで十分に攪拌してスラリーを調製した。
(燃料極用スラリーの作製)
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y23−90mol%ZrO2)粉末とを質量比65:35で湿式混合し乾燥粉末を得た。平均粒子径は0.7μmとなるよう調節した。該粉末40質量部を溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Y23−90mol%ZrO2」は、Y原子およびZr原子の総量に対する、Y原子の濃度が10mol%、Zr原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(燃料極触媒層用スラリーの作製)
NiOとGDC10(10mol%Gd23−90mol%CeO2)の混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い燃料極触媒層粉末を得た。NiOとGDC10の混合比は質量比で50/50とした。平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。該粉末20質量部を溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Gd23−90mol%CeO2」は、Gd原子およびCe原子の総量に対する、Gd原子の濃度が10mol%、Ce原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(反応抑制層用スラリー作製)
反応抑制層の材料として、前記したセリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLa23−60mol%のCeO2)の粉末10質量部を用いた。焼結助剤としてGa23粉末を0.04質量部混合し、さらに溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「40mol%のLa23−60mol%のCeO2」は、La原子およびCe原子の総量に対する、La原子の濃度が40mol%、Ce原子の濃度が60mol%であることを意味する。
(固体電解質用スラリー作製)
固体電解質の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23の組成のLSGM粉末を用いた。LSGM粉末40質量部を溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
(空気極用スラリーの作製)
空気極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83の組成の粉末を用いた。該粉末40質量部を溶媒(エタノール)100質量部、バインダー(エチルセルロース)2質量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1質量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
上記のようにして得られた坏土並びに各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土を押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理した。次に、スラリーコート法により高純度フォルステライト層を形成し、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により燃料極、燃料極触媒層、反応抑制層、固体電解質の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、空気極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質の表面に空気極を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとし、高純度フォルステライト層の厚さが50μmであった。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、燃料極の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質の厚みが30μmであり、空気極の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。
(支持体のガス透過係数の評価)
長さ50mmの試料を20℃の空気中に置いて、試料の内外面間に0.1kgf/cm2の差圧(N2ガス)をかけ、この差圧下で試料を透過するN2ガス量を測定してガス透過係数を算出した。ガス透過係数の単位はm2/hr・atmである。大きい値ほどガス透過性に高く、支持体として好ましい。
(支持体の強度の評価)
強度は支持体をセル同様に焼成後に測定した。試験片は押し出しにより作製し、試験方法はファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法(JISR1601)に準じた。曲げ方式は3点曲げ方式とし、固定形3点曲げ試験ジグを用いた。測定には島津製作所製AGS−H 1kNを用いた。
(電子顕微鏡観察)
固体酸化物形燃料電池セルの破断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率10000倍で観察し、固体電解質の組織の形状を評価した。
(発電試験)
得られた固体酸化物形燃料電池セルを用いて、発電試験を行った。燃料極側の集電は、燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。空気極側の集電は、空気極表面に銀ペーストを塗布した後、空気極の端部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。
発電条件は以下である。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:75%
酸化ガス :空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0.2A/cm2
この条件で発電試験を行い、運転0時間後の起電力;OCV(V)と初期電位(V0)と連続運転2000時間後の電位(V2000)とを測定した。耐久性能は、2000時間連続運転後の電位を初期電位で割り100を乗じた値(V2000*100/V0)とした。結果を表1に示す。
(実施例2〜4及び比較例1〜3)
Mg/Siモル比及びCaO濃度が表1に示す値となるようにフォルステライト粉末を調製し、表1に示す酸化ニッケルの濃度を使用したこと以外は実施例1と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表1に示す。
*1)2000時間に達する前に発電電位が0.5Vを切ったために強制終了。ガス透過性が悪く、燃料枯れに近い状態で運転していたため、燃料極触媒層の劣化が著しく、その結果、性能が急激に低下したと推定した。
*2)2000時間に達する前に発電電位が0.5Vを切ったために強制終了。固体電解質の焼成時の収縮が小さく、緻密性が劣っていたため、固体電解質ガスリークが発生したと推定した。その結果、燃料極触媒層が酸化膨張し、固体電解質に微小な亀裂を生じたため、運転中のガスリークが酷くなり、性能が急激に低下したと推定した。
*3)2000時間に達する前に発電電位が0.5Vを切ったために強制終了。ガス透過性が悪く、燃料枯れに近い状態で運転していたため、燃料極触媒層の劣化が著しく、その結果、性能が急激に低下したと推定した。

Claims (5)

  1. 多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、
    前記多孔質支持体は、フォルステライトを含んでなり、さらに、ニッケル元素をNiO換算で前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下で含み、カルシウム元素をCaO換算で前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下で含んでなる、
    固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 前記固体電解質は、ランタンガレート系酸化物を含んでなる、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 前記多孔質支持体は、少なくとも前記内側電極が積層される側の表面領域において、カルシウム元素濃度がCaO換算で0質量%を超え0.2質量%以下である、請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  4. 表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セル用の多孔質支持体の製造方法であって、
    フォルステライトを含み、さらに、ニッケル元素をNiO換算で前記フォルステライトの質量に対して1質量%以上15質量%以下で含み、カルシウム元素をCaO換算で前記フォルステライトの質量に対して0.05質量%以上2質量%以下で含む成形体を焼成して前記多孔質支持体を形成することを含む多孔質支持体の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により多孔質支持体を形成し、
    前記多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極を順次形成することを含む固体酸化物形燃料電池セルの製造方法。
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