JP5605771B2 - 固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池セル及びその製造方法に関する。
近年、固体酸化物形燃料電池の作動温度を600℃〜800℃程度まで低温化させることを目的とした、低温作動型固体酸化物形燃料電池の研究が精力的に行われている。低温作動型固体酸化物形燃料電池の固体電解質材料として、ランタンガレート酸化物が提案されている(例えば、特開2002−15756号公報(第1−9頁、図1−図9)、及び特開平11−335164号公報(第1−12頁、図1−図12)参照)。ランタンガレート酸化物が固体電解質材料として用いられる固体酸化物形燃料電池においては、熱膨張が良く似ているNiO−YSZが支持体材料として採用されている。しかしながら、NiO−YSZは高価であり、安価な支持体材料が望まれている。これに関して、支持体材料として比較的安価なフォルステライト質焼結体を使用することが提案されている(特開2005−93241号公報参照)。
特開2002−15756号公報 特開平11−335164号公報 特開2005−93241号公報
しかしながら、支持体材料としてフォルステライトを、及び固体電解質材料としてランタンガレート系酸化物を使用して、多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層された固体酸化物形燃料電池セルを作製したところ、この燃料電池セルは発電できないことが分かった。この原因を調べたところ、焼成により支持体材料として使用したフォルステライト原料中のCaが支持体の外に移動し、各層から移動してきた他の元素と結合して支持体と内側電極との間に拡散層を形成することが分かった。また、焼成後には、ランタンガレート系酸化物の結晶構造が保たれていないことが分かった。この原因としては、ランタンガレート系酸化物に含有されるドーパントのSrが、支持体から移動してきたCaによって結晶から容易に離脱してCaとともに拡散層を形成し、Srの離脱によってランタンガレート系酸化物は結晶構造を保つことができなくなったと推測される。
上記現象を発見した本発明者らは、通常市販されているフォルステライト原料には、不純物としてCaOを含有していることを見出した。そして、この不純物として存在するCaOの含有量を低減することによって、上記現象を抑制することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。すなわち、本発明は、多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルの製造方法であって、前記多孔質支持体は、フォルステライトを含む成形体であって、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものである。多孔質支持体を少なくとも2つの層を備えた構造とすることで、電解質のドーパントを離脱させる原因となるCaの濃度を低減させた層と、Ca濃度が比較的高い汎用のフォルステライトの原料を使用した層とを組み合わせることができるので、安価に固体酸化物形燃料電池セルを提供することができる。また、本発明は、多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極を順次積層してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記多孔質支持体は、フォルステライトを含む成形体であって、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものである、固体酸化物形燃料電池セルに関する。
本発明は、前記固体電解質がSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる場合に、より効果的である。ランタンガレート系酸化物に含有されるドーパントのSrは、支持体に含まれるCaによって結晶から容易に離脱してCaとともに拡散層を形成する。したがって、前記固体電解質がSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる場合、支持体に含まれるCaを少なくすることは、ランタンガレート系酸化物の結晶構造を焼成後も保持するために重要である。
また、前記固体電解質は、好ましくは一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表される。これにより、低温で高い発電性能を得ることができる。本発明においては、支持体に含まれるCaを減らすという簡単なやり方で、電解質の性能を担保できる理想的な配合比を保持した焼成体を得ることができる。
本発明において、前記成形体の内側電極が積層される側の層は、好ましくは前記成形体の他の層よりもCa元素含有量が少ないか、又はCaを含有しない。成形体の内側電極が積層される側の層のCa濃度を、前記成形体の他の層よりもCa元素含有量を低くすることで、焼成時に支持体の外にCaが拡散するのを効率よく防止し、拡散層の形成を防止することができる。また、ランタンガレート系酸化物の結晶構造を焼成後も保持できる。
本発明において、前記成形体の内側電極が積層される側の層は、好ましくはCa元素含有量がCaO換算で0.2質量%以下であり、さらにフォルステライトを含有してなる。成形体の内側電極が積層される側の層のCa濃度を当該範囲にすることで、より優れた発電性能の固体酸化物形燃料電池セルを提供することができる。
本発明において、前記成形体の内側電極が積層される側の層は、好ましくは前記成形体の他の層よりも薄い。高純度の(すなわち、Ca濃度の低い)フォルステライトを少量しか使わずに済むので、低温で高い発電性能を発現する固体酸化物形燃料電池セルを安価に提供することができる。
本発明において、前記焼成は、少なくとも、前記成形体の内側電極が積層される側の層と、内側電極と、固体電解質とを、1100℃以上1400℃未満で共焼成することを含む。ランタンガレート系酸化物とフォルステライトを含む成形体との共焼成を、ランタンガレート系酸化物の結晶構造を保持可能な低温度で行なうことができる。
本発明によれば、焼成時にCaが支持体の外に拡散してCa及びその他の元素を含有する拡散層が形成されるのを防止することができる。また、焼成によって電解質の結晶構造が崩壊するのを防ぎ、低温での発電性能に優れた燃料電池セルを提供することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図である。 固体電解質型燃料電池システムを示す全体構成図である。 固体電解質型燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図である。 固体電解質型燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。 固体電解質型燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。 図3のIII−III線に沿う断面図である。 参考例1で得られた固体酸化物形燃料電池セルのSEM断面図である。 比較例1で得られた固体酸化物形燃料電池セルのSEM断面図である。 実施例8で得られた固体酸化物形燃料電池セルのSEM断面図である。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法は、固体酸化物形燃料電池セルが多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極を順次積層してなり、前記多孔質支持体が、フォルステライトを含む成形体であって、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものである。本発明の燃料電池セルの形状は、特定のものに限定されるものではなく、例えば円筒、板状、内部にガス流路を複数形成した中空板状などであってもよい。本発明の燃料電池セルの多孔質支持体は、絶縁性支持体であるので、1支持体に複数の発電素子を直列に形成した横縞形セルが好ましい。ここで、発電素子とは、内側電極(燃料極又は空気極)、固体電解質、外側電極(空気極又は燃料極)が順次積層された積層体を意味する。
本発明の燃料電池セルにおいて、多孔性支持体は、フォルステライトを含有してなる。多孔質支持体は、フォルステライト(Mg2SiO4)結晶、結晶質及び/又は非晶質のMgO、結晶質及び/又は非晶質のSiO2、その他のガラス質や不純物を含有する焼結体である。本発明の燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、Mg元素及びSi元素が、それぞれMgO及びSiO2換算で、合計で90質量%、好ましくは95質量%、より好ましくは98質量%以上含んでなることが好ましい。本発明の燃料電池セルにおいて、多孔質支持体は、X線回折により得られるフォルステライト結晶の第一回折線(すなわち、強度の最も大きい回折線)のピーク強度を100としたときに、それ以外の結晶成分の第一回折線のピーク強度の総和が5以下であることが、より好ましい。
好適には、多孔性支持体は本質的にフォルステライトからなる(つまり、主としてフォルステライトから形成される)。多孔性支持体は、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものである。好ましくは、成形体の内側電極が積層される側の層は、前記成形体の他の層よりもCa元素含有量が少ないか、又はCaを含有しない。また、好ましくは、成形体の内側電極が積層される側の層は、Ca元素含有量がCaO換算で0.2質量%以下、好適には0.1質量%以下、より好適には0.06質量%以下であり、Ca元素を含まなくてもよい。なお、成形体の内側電極が積層される側の層以外の層のCa元素含有量は0.2質量%を超えていてもよい。
本発明の燃料電池セルにおいて、内側電極は、燃料極であっても、空気極であってもよい。多孔質支持体内部にガス流路を備えた燃料電池セル(円筒形セル、中空板状セルなど)では、好適には内側電極は燃料極である。内側電極が燃料極である場合、外側電極は空気極となる。
燃料極としては、NiO/ジルコニウム含有酸化物、NiO/セリウム含有酸化物などが挙げられる。ここで、NiO/ジルコニウム含有酸化物とは、NiOとジルコニウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。また、NiO/セリウム含有酸化物とは、NiOとセリウム含有酸化物とが、所定の比率で均一に混合されたものを意味する。NiO/ジルコニウム含有酸化物のジルコニウム含有酸化物としては、例えばCaO、Y23、Sc23のうちの1種以上をドープしたジルコニウム含有酸化物などが挙げられる。NiO/セリウム含有酸化物のセリウム含有酸化物としては、一般式Ce1-yLny2(但し、LnはLa、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Yのいずれか1種又は2種以上の組み合わせであり、0.05≦y≦0.50)などが挙げられる。なお、NiOは燃料雰囲気下で還元されてNiとなるため、前記混合物はそれぞれNi/ジルコニウム含有酸化物又はNi/セリウム含有酸化物となる。燃料極は、単層であっても、又は複層であっても良い。内側電極が複層の燃料極である場合の例としては、例えば支持体側にNi/YSZ(イットリア安定化ジルコニア)を用い、電解質側にNi/GDC(Gd23−CeO2)(=燃料極触媒層)を用いる。
空気極としては、La1-xSrxCoO3(但し、x=0.1〜0.3)及びLaCo1-xNix3(但し、x=0.1〜0.6)などのランタンコバルト系酸化物、(La、Sr)FeO3系と(La、Sr)CoO3系の固溶体であるランタンフェライト酸化物(La1-mSrmCo1-nFen3(但し、0.05<m<0.50、0<n<1))などが挙げられる。空気極は、単層であっても、又は複層であっても良い。外側電極が複層の空気極である場合の例としては、例えば電解質側にLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83(=空気極触媒層)を用い、最表層にLa0.6Sr0.4Co0.8Fe0.23(=空気極)を用いる。
本発明の燃料電池セルにおいて、固体電解質としては、ランタンガレート系酸化物、固溶種としてY、Ca、Scのいずれか1種又は2種以上を固溶した安定化ジルコニアなどが挙げられる。固体電解質は、好適にはSr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物であり、より好適には一般式La1-aSraGa1-b-cMgbCoc3(但し、0.05≦a≦0.3、0<b<0.3、0≦c≦0.15)で表されるランタンガレート系酸化物(LSGM)である。ここで、燃料極側には、反応抑制層として、Laを固溶させたセリア(Ce1-xLax2(但し、0.3<x<0.5))を設けてもよい。反応抑制層は、好適にはCe0.6La0.42である。固体電解質は、単層であっても、又は複層であっても良い。固体電解質が複層である場合の例としては、例えば燃料極とLSGMからなる電解質層の間にCe0.6La0.42などの反応抑制層を用いる。
図1は本発明の固体酸化物形燃料電池セルの断面の一態様を示す模式図であり、内側電極を燃料極としたタイプについて示した。固体酸化物形燃料電池セル210は、例えば多孔質支持体201と、(第一/第二)燃料極202、(第一/第二)固体電解質203と、(第一/第二)空気極204と、集電層205から構成される。本発明の固体酸化物形燃料電池セルにおいて、各層の好ましい厚さは、多孔質支持体が0.5〜2mm、燃料極が10〜200μm、燃料極触媒層が0〜30μm、反応抑制層が0〜20μm、固体電解質が5〜60μm、空気極触媒層が0〜30μm、空気極が10〜200μmである。ここで、(第一/第二)とは、「単層又は二層であって、二層の場合は第一層と第二層とを有する」ことを意味する。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、例えば以下のようにして製造できる。
フォルステライトを含有する原料粉体に、溶媒(水、アルコールなど)を添加して坏土を作製する。このとき、任意成分として、分散剤、バインダー、消泡剤、造孔剤等を添加してもよい。作製した坏土を成形し、乾燥し、次いで仮焼(800℃以上1100℃未満)して多孔質支持体を得る。坏土の成形には、シート成形法、プレス成形法、押出成形法などが用いられるが、内部にガス流路が形成される多孔質支持体の場合は、押出成形法が好ましい。次いで、高純度フォルステライト層をコーティングや印刷により前記多孔質支持体上に成形する。高純度フォルステライト層のコーティングは、原料スラリーをコーティングするスラリーコート法、テープキャスティング法、ドクターブレード法、転写法などが挙げられる。印刷は、スクリーン印刷法やインクジェット法などが挙げられる。また、多孔質支持体の作製には、少なくとも2つの層を一体的に押出成形する「多層押出成形」などの方法を用いてもよい。
内側電極、固体電解質、及び外側電極は、各原料粉末に、溶媒(水、アルコールなど)、分散剤、バインダー等の成形助剤を添加してスラリーを作製し、それをコーティングし、乾燥した後、焼成(1100℃以上1400℃未満)することによって得ることができる。コーティングは、複層の多孔質支持体の上層をコーティングする際に使用できる方法と同様に行うことができる。焼成は、各電極及び固体電解質の層を形成する都度行ってもよいが、複数の層(例えば、多孔質支持体の内側電極が積層される側の層と、内側電極と、固体電解質と)を一度に焼成する「共焼成」を行うことが好ましい。また、電解質がドーパントの拡散等により変性しないように、焼成は酸化雰囲気下で行なうことが好ましい。より好適には、空気+酸素の混合ガスを用い、酸素濃度は20質量%以上30質量%以下の雰囲気で焼成を行う。内側電極に燃料極を、外側電極に空気極を用いる場合、燃料極と電解質とを共焼成した後、空気極を成形し、共焼成よりも低い温度で焼成することが好ましい。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルを使用した固体電解質形燃料電池システムは、特定のものに限定されず、その製造や他の材料等は、公知のものが使用できる。図2は、固体電解質型燃料電池システムを示す全体構成図である。この図2に示すように、固体電解質型燃料電池システム1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して密封空間8が形成されている。なお、断熱材は設けないようにしても良い。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14(図4参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(図5参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤(空気)とが燃焼し、排気ガスを生成するようになっている。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、前記残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、改質器20の熱を受けて空気を加熱し、改質器20の温度低下を抑制するための空気用熱交換器22が配置されている。
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤である空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図3及び図6により、固体電解質型燃料電池システムの燃料電池モジュールの内部構造を説明する。図3は、固体電解質型燃料電池システムの燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図6は、図3のIII−III線に沿った断面図である。図3及び図6に示すように、燃料電池モジュール2のハウジング6内の密閉空間8には、上述したように、下方から順に、燃料電池セル集合体12、改質器20、空気用熱交換器22が配置されている。
改質器20は、その上流端側に純水を導入するための純水導入管60と改質される燃料ガスと改質用空気を導入するための被改質ガス導入管62が取り付けられ、また、改質器20の内部には、上流側から順に、蒸発部20aと改質部20bが形成され、改質部20bには改質触媒が充填されている。この改質器20に導入された水蒸気が混合された燃料ガス及び空気は、改質器20内に充填された改質触媒により改質される。
この改質器20の下流端側には、燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。
このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。
次に、改質器20の上方には、空気用熱交換器22が設けられている。この空気用熱交換器22は、上流側に空気集約室70、下流側に2つの空気分配室72を備え、これらの空気集約室70と空気分配室72は、6個の空気流路管74により接続されている。ここで、図6に示すように、3個の空気流路管74が一組(74a,74b,74c,74d,74e,74f)となっており、空気集約室70内の空気が各組の空気流路管74からそれぞれの空気分配室72へ流入する。
空気用熱交換器22の6個の空気流路管74内を流れる空気は、燃焼室18で燃焼して上昇する排気ガスにより予熱される。空気分配室72のそれぞれには、空気導入管76が接続され、この空気導入管76は、下方に延び、その下端側が、発電室10の下方空間に連通し、発電室10に余熱された空気を導入する。
次に、マニホールド66の下方には、排気ガス室78が形成されている。また、図6に示すように、ハウジング6の長手方向に沿った面である前面6aと後面6bの内側には、上下方向に延びる排気ガス通路80が形成され、この排気ガス室通路80の上端側は、空気用熱交換器22が配置された空間と連通し、下端側は、排気ガス室78と連通している。また、排気ガス室78の下面のほぼ中央には、排気ガス排出管82が接続され、この排気ガス排出管82の下流端は、図2に示す上述した温水製造装置50に接続されている。図3に示すように、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に図4により燃料電池セルスタック14について説明する。図4は、固体酸化物型燃料電池システムの燃料電池セルスタックを示す斜視図である。図4に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16の下端側及び上端側が、それぞれ、セラミック製の下支持板68及び上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴68a及び100aがそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面全体と電気的に接続される空気極用接続部102bとにより一体的に形成されている。空気極用接続部102bは、外側電極層92の表面を上下方向に延びる鉛直部102cと、この鉛直部102cから外側電極層92の表面に沿って水平方向に延びる多数の水平部102dとから形成されている。また、燃料極用接続部102aは、空気極用接続部102bの鉛直部102cから燃料電池セルユニット16の上下方向に位置する内側電極端子86に向って斜め上方又は斜め下方に向って直線的に延びている。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図4では左端の奥側及び手前側)に位置する2個の燃料電池セルユニット16の上側端及び下側端の内側電極端子86には、それぞれ外部端子104が接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の外部端子104(図示せず)に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に図5により燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、固体電解質型燃料電池システムの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の多孔質支持体91上に内側電極層90と、外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。燃料電池セル16として本発明の燃料電池セルを用いる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(参考例1)
(多孔質支持体用坏土Aの作製)
高純度フォルステライト(0.02質量%のCaOを含むMg2SiO4原料)粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース系水溶性高分子)8重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部を高速ミキサーで混合後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R 1629にて測定し、50%径にて示した値である(以下同様)。
(燃料極層用スラリーの作製)
NiO粉末と10YSZ(10mol%Y23−90mol%ZrO2)粉末とを重量比65:35で湿式混合し乾燥粉末を得た。平均粒子径は0.7μmとなるよう調節した。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Y23−90mol%ZrO2」は、Y原子およびZr原子の総量に対する、Y原子の濃度が10mol%、Zr原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(燃料極触媒層用スラリーの作製)
NiOとGDC10(10mol%Gd23−90mol%CeO2)の混合物を共沈法で作製後、熱処理を行い燃料極触媒層粉末を得た。NiOとGDC10の混合比は重量比で50/50とした。平均粒子径は0.5μmとなるよう調節した。該粉末20重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤 (ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Gd23−90mol%CeO2」は、Gd原子およびCe原子の総量に対する、Gd原子の濃度が10mol%、Ce原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(反応抑制層用スラリーの作製)
反応抑制層の材料として、前記したセリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLa23−60mol%のCeO2)の粉末10重量部を用いた。焼結助剤としてGa23粉末を0.04重量部混合し、さらに溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤 (ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「40mol%のLa23−60mol%のCeO2」は、La原子およびCe原子の総量に対する、La原子の濃度が40mol%、Ce原子の濃度が60mol%であることを意味する。
(固体電解質層用スラリーAの作製)
固体電解質層の材料として、La0.9Sr0.1Ga0.8Mg0.23の組成のLSGM粉末を用いた。LSGM粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
(空気極用スラリーの作製)
空気極の材料として、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.83の組成の粉末を用いた。該粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
上記のようにして得られた坏土並びに各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Aを押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により燃料極層、燃料極触媒層、反応抑制層、固体電解質層の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、空気極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質層の表面に空気極層を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、燃料極層の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、反応抑制層層の厚みが10μmであり、固体電解質層の厚みが30μmであり、空気極の厚みが20μmである。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。
(発電試験)
得られた固体酸化物形燃料電池セルを用いて、発電試験を行った。燃料極側の集電は、燃料極の露出部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。空気極側の集電は、空気極表面に銀ペーストを塗布した後、空気極の端部に集電金属を銀ペーストで張り合わせて焼き付けた。
発電条件は以下である。
燃料ガス :(H2+3%H2O)とN2の混合ガス(混合比はH2:N2=7:4(vol:vol))
燃料利用率:75%
酸化ガス :空気
運転温度 :700℃
電流密度 :0.2A/cm2
この条件で発電試験を行い、運転0時間後の起電力;OCV(V)と初期電位(V0)と連続運転5000時間後の電位(V5000)とを測定した。耐久性能は、5000時間連続運転後の電位を初期電位で割り100を乗じた値(V5000*100/V0)とした。結果を表1に示す。
(比較例1)
CaO含有量を0.26質量%とした以外は参考例1と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表1に示す。
固体電解質層の状態:
固体酸化物形燃料電池セルの破断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率100〜10000倍で観察し、固体電解質層の組織の形状を評価した。
また、固体酸化物形燃料電池セルの切断面を研磨した面をEPMA(島津製作所製島津電子線マイクロアナライザーEPMA−8705)にて元素分析し、固体電解質層の構成元素が均等に分布しているかどうかを観察した。
「◎」は、固体電解質がLSGM結晶からなる緻密体で構成されている場合、
「○」は、固体電解質がLSGM結晶からなるが、Srの拡散が観察される場合、
「×」は、Srが拡散してしまい、LSGM結晶ではなくなっている場合、
を、それぞれ示す。多孔質支持体におけるCaOの含有量が0.2質量%以下の参考例1は、十分な初期電位と耐久性能を示した。
(固体酸化物形燃料電池セルの断面観察)
参考例1及び比較例1で得られた固体酸化物形燃料電池セルの断面をSEMで観察した(それぞれ図7及び図8)。図7から、本発明の固体酸化物形燃料電池セルでは、燃料極層、燃料極触媒層、反応抑制層、及び固体電解質層の各層が形成されていることが分かる。一方、図8では、多孔質支持体と燃料極層との間にCaを含む拡散層が形成され、燃料極層、燃料極触媒層、反応抑制層、及び固体電解質層の各層も、図7の本発明の固体酸化物形燃料電池セルと比較して乱れていることが分かる。また、固体電解質層は、粗なLaGaO層となり、LSGM層ではなくなっているため固体電解質として機能しないことが分かった。なお、元素分析(EDX分析)の結果から、拡散層には、Ca、Sr、La、Ga、Zr、Si、Mg及びGdが含まれていることが分かった。
(実施例1)
(多孔質支持体用坏土Bの作製)
フォルステライト(0.5質量%のCaOを含むMg2SiO4原料)粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)8重量部、潤滑剤0.5重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)15重量部を高速ミキサーで混合した後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気して、押し出し成形用の坏土を調製した。
(多孔質支持体用スラリーの作製)
高純度フォルステライト(0.02質量%のCaOを含むMg2SiO4原料)粉末を平均粒子径が0.7μmとなるよう調節した。該粉末20重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、及び分散剤1重量部をボールミルで十分に攪拌してスラリーを調製した。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
上記のようにして得られた多孔質支持体用坏土B、多孔質支持体用スラリー、及び参考例1で得られた各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Bを押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理した。次に、スラリーコート法により高純度フォルステライト層を形成し、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。さらに、スラリーコート法により燃料極層、燃料極触媒層、反応抑制層、固体電解質層の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、空気極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、固体電解質層の表面に空気極層を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとし、高純度フォルステライト層の厚さが50μmであった。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、燃料極層の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、反応抑制層の厚みが10μmであり、固体電解質層の厚みが30μmであり、空気極の厚みが20μmであった。
得られた固体酸化物形燃料電池セルについて、参考例1と同様にして発電試験を行った。結果を表2に示す。
(実施例2)
高純度フォルステライト層用スラリーに造孔剤(平均粒径5μmのアクリル樹脂粒子)15重量部を添加したこと以外は実施例1と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
高純度フォルステライト層の厚さを130μmとしたこと以外は実施例2と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
燃料極層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例3と同様にして固体酸化物形燃料電池セルを作製し、発電試験を行った。結果を表2に示す。
固体電解質層の状態:参考例1と同様に評価した。
Caが少ない層を備えた多孔質支持体は、十分に発電することが分かった。
(実施例5)
(固体電解質層用スラリーBの作製)
固体電解質層の材料として、10YSZ(10mol%Y23−90mol%ZrO2)粉末を用いた。10YSZ粉末40重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Y23−90mol%ZrO2」は、Y原子およびZr原子の総量に対する、Y原子の濃度が10mol%、Zr原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(第2固体電解質層用スラリーの作製)
第2固体電解質層の材料として、前記したGDC10(10mol%Gd23−90mol%CeO2)粉末を用いた。GDC10粉末10重量部を溶媒(エタノール)100重量部、バインダー(エチルセルロース)2重量部、分散剤(ノニオン性界面活性剤)1重量部と混合した後、十分攪拌してスラリーを調製した。なお、「10mol%Gd23−90mol%CeO2」は、Gd原子およびCe原子の総量に対する、Gd原子の濃度が10mol%、Ce原子の濃度が90mol%であることを意味する。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
前記多孔質支持体用坏土B、前記多孔質支持体用スラリー、前記燃料極層用スラリー、前記燃料極触媒層用スラリー、前記固体電解質層用スラリーB、前記第2固体電解質層用スラリー、及び、前記空気極用スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Bから押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1050℃で2時間熱処理した。次に、前記多孔質支持体用スラリーを用いてスラリーコート法により高純度フォルステライト層を形成し、1050℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。さらに、スラリーコート法により燃料極層、燃料極触媒層、固体電解質層、第2固体電解質層の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、空気極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、第2固体電解質層の表面に空気極層を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとし、高純度フォルステライト層の厚さが50μmであった。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、燃料極層の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、固体電解質層の厚みが30μmであり、第2固体電解質層の厚みが5μmであり、空気極の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。得られた固体酸化物形燃料電池セルについて、実施例1と同様にして発電試験を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
(多孔質支持体用坏土Cの作製)
フォルステライト(2.6質量%のCaOを含むMg2SiO4原料)粉末を平均粒子径が1.3μmとなるよう調節した。該粉末100重量部を溶媒(水)20重量部、バインダー(メチルセルロース)7重量部、潤滑剤(脂肪酸エステル)0.4重量部、及び造孔剤(平均粒子径5μmのアクリル系樹脂粒子)10重量部を高速ミキサーで混合後、混練器(ニーダー)で混練し、真空土練装置で脱気し、押し出し成形用の坏土を調製した。ここで、平均粒子径はJIS R 1629にて測定し、50%径にて示した値である。
(固体酸化物形燃料電池セルの作製)
上記のようにして得られた多孔質支持体用坏土C、前記燃料極層用スラリー、前記燃料極触媒層用スラリー、前記固体電解質層用スラリーB、前記第2固体電解質層用スラリー、及び前記空気極用スラリーの各スラリーを用いて、以下の方法で固体酸化物形燃料電池セルを作製した。
前記多孔質支持体用坏土Cから押出し成形法によって円筒状成形体を作製した。室温で乾燥した後、1100℃で2時間熱処理して多孔質支持体を作製した。この多孔質支持体上に、スラリーコート法により燃料極層、燃料極触媒層、固体電解質層、第2固体電解質層の順番で成形した。これら積層成形体を1300℃で2時間共焼成した。次に、空気極の面積が17.3cm2になるようにセルへマスキングをし、第2固体電解質層の表面に空気極層を成形し、1100℃で2時間焼成した。なお、多孔質支持体は、共焼成後の寸法で、外径10mm、肉厚1mmとした。作製した固体酸化物形燃料電池セルは、燃料極層の厚さが100μmであり、燃料極触媒層の厚さが10μmであり、固体電解質層の厚みが30μmであり、第2固体電解質層の厚みが5μmであり、空気極の厚みが20μmであった。なお、多孔質支持体の外径は成膜していない個所をマイクロメータで測定した。膜厚はシステムの発電試験後にセルを切断して、断面をSEMで30〜2000倍の任意の倍率にて観察し、膜厚の最大値と最小値を足して2で割ったものである。切断箇所は空気極の成膜してある部分の中央部とした。得られた固体酸化物形燃料電池セルについて、実施例1と同様にして発電試験を行った。結果を表4に示す。
固体電解質層の状態:
固体酸化物形燃料電池セルの破断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−4100)により、加速電圧15kV、2次電子画像、倍率100〜10000倍で観察し、固体電解質層の組織の形状を評価した。
また、固体酸化物形燃料電池セルの切断面を研磨した面をEPMA(島津製作所製島津電子線マイクロアナライザーEPMA−8705)にて元素分析し、固体電解質層の構成元素が均等に分布しているかどうかを観察した。
「◎」は、固体電解質が10YSZ結晶からなる緻密体で、支持体と燃料極の間に瞭な中間層の形成が見つからない場合、
「○」は、固体電解質が10YSZM結晶からなるが、中間層が観察される場合、
「×」は、Caが拡散してしまい、10YSZ結晶相が緻密にならない場合、
を、それぞれ示す。多孔質支持体におけるCaOの含有量が2質量%以下の実施例8は、十分な初期電位と耐久性能を示した。
(固体酸化物形燃料電池セルの断面観察)
実施例8で得られた固体酸化物形燃料電池セルの断面をSEMで観察した。図9では、多孔質支持体、燃料極層、燃料極触媒層、固体電解質層、第2固体電解質層、空気極層が分かる。

Claims (10)

  1. 多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルの製造方法であって、
    前記多孔質支持体は、フォルステライトを含む成形体であって、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものであり、
    前記成形体の内側電極が積層される側の層は、前記成形体の他の層よりもCa元素含有量が少ないか、又はCaを含有しない
    固体酸化物形燃料電池セルの製造方法。
  2. 前記固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記成形体の内側電極が積層される側の層は、Ca元素含有量がCaO換算で0.2質量%以下であり、さらにフォルステライトを含有してなる、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記成形体の内側電極が積層される側の層は、前記成形体の他の層よりも薄い、請求項に記載の製造方法。
  5. 前記焼成は、少なくとも、前記成形体の内側電極が積層される側の層と、内側電極と、固体電解質とを、1100℃以上1400℃未満で共焼成することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 多孔質支持体の表面に、内側電極、固体電解質、及び外側電極が順次積層されてなる固体酸化物形燃料電池セルであって、
    前記多孔質支持体は、フォルステライトを含む成形体であって、少なくとも2つの層を備えた成形体を作製した後に前記成形体を焼成してなるものであり、
    前記成形体の内側電極が積層される側の層は、前記成形体の他の層よりもCa元素含有量が少ないか、又はCaを含有しない
    固体酸化物形燃料電池セル。
  7. 前記固体電解質は、Sr及びMgがドープされたランタンガレート系酸化物を含んでなる、請求項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  8. 前記成形体の内側電極が積層される側の層は、Ca元素含有量がCaO換算で0.2質量%以下であり、さらにフォルステライトを含有してなる、請求項6又は7に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  9. 前記成形体の内側電極が積層される側の層は、前記成形体の他の層よりも薄い、請求項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  10. 前記焼成は、少なくとも、前記成形体の内側電極が積層される側の層と、内側電極と、固体電解質とを、1100℃以上1400℃未満で共焼成することを含む、請求項6〜9のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
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