JP2015201322A - 電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】導体の細径化、軽量化が図られるとともに、導体つぶれの抑制もされており、鉄道車両の動力用電線に好適な電線を提供する。【解決手段】電線は、導体と、導体を被覆する絶縁層とを有し、導体は、複数本の素線を撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有し、子撚り線において、素線の撚りピッチは、子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値であり、親撚り線において、子撚り線の撚りピッチは、親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値である。【選択図】図2
Description
本発明は、電線に関し、特に、鉄道車両の動力用電線に好適な電線に関する。
鉄道車両の動力用電線(例えばインバータに用いられる電力用電線)は、配線の省スペース化や車体の軽量化を図るため、細径化や軽量化が望まれる。鉄道車両の動力用電線の導体として、複数本の素線を撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造の導体を用いることができる。
なお、電線における複合撚り構造の導体について、例えば特許文献1、2等に開示されている。
本発明の一目的は、導体の細径化、軽量化が図られるとともに、導体つぶれの抑制もされており、鉄道車両の動力用電線に好適な電線を提供することである。
本発明の一観点によれば、
導体と、
前記導体を被覆する絶縁層と
を有し、
前記導体は、複数本の素線を撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有し、
前記子撚り線において、前記素線の撚りピッチは、前記子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値であり、
前記親撚り線において、前記子撚り線の撚りピッチは、前記親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値である電線
が提供される。
導体と、
前記導体を被覆する絶縁層と
を有し、
前記導体は、複数本の素線を撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有し、
前記子撚り線において、前記素線の撚りピッチは、前記子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値であり、
前記親撚り線において、前記子撚り線の撚りピッチは、前記親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値である電線
が提供される。
素線を複数本撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有する導体において、子撚り線における素線の撚りピッチを、子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値とし、親撚り線における子撚り線の撚りピッチを、親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値とすることにより、導体の細径化、軽量化を図るとともに、導体つぶれを抑制することもできる。
本発明の実施形態による電線について説明する。実施形態による電線は、鉄道車両の動力用電線(例えばインバータに用いられる電力用電線)としての用途が想定され、例えば600V以上3600V以下の電圧が印加されるものである。
図1A〜図1Cおよび図2Aを参照して、実施形態による電線について説明する。図1Aは、子撚り線2の概略構造を示す断面図であり、図1Bは親撚り線3の概略構造を示す断面図である。図1Cは、撚りピッチP1、P2について示す概略斜視図である。図2Aは、実施形態による電線6の全体的な概略構造を示す断面図である。
電線6は、導体3、セパレータ4、および絶縁層5により形成されている(図2A参照)。導体3は、複数本の素線1を撚り合わせて形成された子撚り線2を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有する(図1Aおよび図1B参照)。電線6の導体3として形成された親撚り線を、導体3と同一の参照符号を付与して、親撚り線3と呼ぶこととする。
素線1は、好ましくはスズめっき軟銅線で形成される。素線1の直径(素線径)D1は、0.40mm以上0.50mm以下の範囲の直径である。複数本、例えば図1Aに示す例では27本の素線1が撚り合わされて、1本分の子撚り線2が形成されている。子撚り線2は、直径(子撚り径)D2を有する。子撚り径D2は、子撚り線2の外径である。
複数本、例えば図1Bに示す例では7本の子撚り線2が撚り合わされて、親撚り線(導体)3が形成されている。親撚り線3は、層心径D3を有する。層心径D3は、親撚り線3の断面内で最外周に配置された複数本の子撚り線2の中心を通る円周の直径である。
図1Aに示すような子撚り線2を形成する素線1の本数や、図1Bに示すような親撚り線3を形成する子撚り線2の本数は、例示である。親撚り線3を何本の子撚り線2で形成するか、子撚り線2を何本の素線1で形成するか、等の条件は、必要に応じて適宜選択することができる。親撚り線3は、例示する7本撚りに限らず、例えば19本撚り、37本撚り等で形成することができる。1本当たりの子撚り線2は、例示する27本に限らず、例えば15本から40本程度の素線1で形成することができる。導体3の公称断面積は、25mm2以上150mm2以下の範囲の断面積であり、例えば50mm2や150mm2である。
図1Cは、子撚り線2における素線1の撚りピッチP1、または、親撚り線3における子撚り線2の撚りピッチP2を示している。以下、子撚り線2における素線1の撚りピッチP1を、単に、素線1の撚りピッチP1と呼ぶこともある。また、親撚り線3における子撚り線2の撚りピッチP2を、単に、子撚り線2の撚りピッチP2と呼ぶこともある。素線1の撚りピッチP1は、子撚り径D2に対する倍率で表され、子撚り線2の撚りピッチP2は、層心径D3に対する倍率で表される。
実施形態による電線6が有する子撚り線2において、素線1の撚りピッチP1は、子撚り径D2に対し35倍以上40倍以下の範囲の値とすること、すなわち、35≦P1/D2≦40という条件を満たすように選択されていることが好ましい。
さらに、実施形態による電線6が有する親撚り線3において、子撚り線2の撚りピッチP2は、層心径D3に対し20倍以上25倍以下の範囲の値とすること、すなわち、20≦P2/D3≦25という条件を満たすように選択されていることが好ましい。
導体3の外側に、導体3と絶縁層5とを分離するセパレータ4が形成されている。セパレータ4は、例えば、厚さが約0.1mmのナイロンテープにより形成されている。セパレータ4の外側に、導体3を被覆する絶縁層5が形成されている。絶縁層5は、好ましくはハロゲンフリーポリオレフィンエラストマーにより、押出成形で形成されており、厚さが0.8mm以上1.2mm以下の範囲の厚さである。このようにして、実施形態による電線6が形成されている。
図2Bを参照して、実施形態の電線のより具体的な例である実施例による電線について、比較例による電線と比較しながら説明する。図2Bは、比較例1、2および実施例による電線の特徴をまとめた表である。比較例1、2および実施例として、19本撚りで公称断面積が50mm2の導体を有する電線を形成した。
比較例1、2および実施例の電線について、素線径D1、子撚り径D2をそれぞれmm単位で示し、素線1の撚りピッチP1を子撚り径D2に対する倍率で示し、層心径D3をmm単位で示し、子撚り線2の撚りピッチP2を層心径D3に対する倍率で示し、導体径、絶縁層厚さ、および電線外径をそれぞれmm単位で示し、重量をkg/km単位で示す。
比較例1、2による電線は、実施例による電線と、子撚り線における素線の撚りピッチP1、および、親撚り線における子撚り線の撚りピッチP2(の少なくとも一方)が異なっている。比較例1では、さらに、実施例と比べて絶縁層が厚くなっている。他の構造は実施例の電線と同様である。
比較例1の電線が、従来の構成による電線に対応する。本願発明者は、電線の細径化および軽量化を図るため、子撚り線における素線の撚りピッチP1、親撚り線における子撚り線の撚りピッチP2、および絶縁層の厚さを、比較例1における値から変化させることを試みた。
まず、素線の撚りピッチP1を比較例1における約30倍から35倍〜40倍に長くするとともに、子撚り線の撚りピッチP2を比較例1における20倍〜25倍から約30倍に長くし、さらに、絶縁層の厚さを比較例1での1.2mm〜2.0mmから0.8mm〜1.2mmに薄くして、比較例2の電線を作製した。これにより、比較例2の電線では、比較例1の電線と比べて、子撚り径D2および層心径D3が減少し、重量が減少した。
しかし、比較例2の電線において、新たな課題が生じることがわかった。比較例2の電線は、撚りピッチ(特に、親撚り線における子撚り線の撚りピッチP2)を長くしすぎたため、導体が偏平しやすく、導体つぶれによる撚りの乱れが生じやすいことがわかった。
子撚り線の撚り合わせにより親撚り線(導体)が形成される工程で、出来上がった導体がドラムに巻き付けられる。この巻き付けの際に、導体を押しつぶすような力が加わる。導体が偏平しやすいと、つぶれて撚りが乱れた状態で、導体が完成されてしまう。
その後、導体の周りに絶縁層を形成する押出成形工程において、撚り目を反映した導体表面の凹部とセパレータとの間に形成された空隙(図2Aに示す空隙VO参照)へ、(セパレータを介して)絶縁層のめり込みが発生する可能性がある。つぶれて撚りが乱れた状態の導体では、絶縁層のめり込みが発生しやすくなる。そして、絶縁層が薄くなるほど、絶縁層が導体の表面形状を反映した形状で形成されやすくなり、絶縁層の表面(電線の表面)に撚り目が現れやすくなる。このため、比較例2の条件では、偏平につぶれ、表面に撚り目が現れた電線が形成されやすくなってしまう。
絶縁層の厚さを比較例2のように0.8mm〜1.2mmと薄くすることは、細径化等の観点で好ましい。そこで、本願発明者は、このような絶縁層厚さに対し好適な素線の撚りピッチP1および子撚り線の撚りピッチP2を見出して、実施例による電線を作製した。
実施例においては、子撚り線における素線の撚りピッチP1を、比較例2と同等の(比較例1よりも長い)値、すなわち、子撚り径D2に対し35倍〜40倍とした。一方、親撚り線における子撚り線の撚りピッチP2を、比較例2よりも短い(比較例1と同等の)値である層心径D3に対し20倍〜25倍とした。
これにより、実施例の電線では、比較例1の電線と比べて、子撚り径D2および層心径D3が減少し、導体径、電線外径、および重量が減少した。つまり、電線の細径化と軽量化とを図ることができた。
実施例では、撚りピッチ、特に、子撚り線における素線の撚りピッチP1を、比較例1よりも長くしたことにより、公称断面積は一定としたまま、導体径の細径化を行うことができた。また、導体径を細径化するとともに、絶縁層の厚さを比較例1よりも薄くしたことにより、電線外径を細径化することができた。導体径の細径化等により、公称断面積は一定としたまま、電線を軽量化することができた。
さらに、実施例では、比較例2と比べて、親撚り線における子撚り線の撚りピッチP2が長くなりすぎることを抑制したことにより、導体つぶれを抑制でき、絶縁層の厚さを0.8mm〜1.2mmと薄くしても、絶縁層表面に撚り目が現れることを抑制できることがわかった。
以上説明したように、素線を複数本撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有する導体において、子撚り線における素線の撚りピッチを、子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値とし、親撚り線における子撚り線の撚りピッチを、親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値とすることにより、導体の細径化、軽量化を図るとともに、導体つぶれを抑制することもできる。素線の直径は、0.40mm〜0.50mmの範囲の直径とすることが好ましい。
このような導体は、25mm2〜150mm2の範囲の公称断面積を有する導体として好ましく用いられ、その上に厚さ0.8mm〜1.2mmの薄い絶縁層を形成しても、表面に撚り目の現れることが抑制された電線を形成できる。このような電線は、厚さ0.8mm〜1.2mmの絶縁層に対応するよう印加電圧を600V以上3600V以下として、鉄道車両の動力用電線として好ましく用いられる。
以上、実施形態に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1 素線
2 子撚り線
3 親撚り線、導体
4 セパレータ
5 絶縁層
6 電線
D1 素線径
D2 子撚り径
D3 層心径
P1 子撚り線における素線の撚りピッチ
P2 親撚り線における子撚り線の撚りピッチ
VO 空隙
2 子撚り線
3 親撚り線、導体
4 セパレータ
5 絶縁層
6 電線
D1 素線径
D2 子撚り径
D3 層心径
P1 子撚り線における素線の撚りピッチ
P2 親撚り線における子撚り線の撚りピッチ
VO 空隙
Claims (6)
- 導体と、
前記導体を被覆する絶縁層と
を有し、
前記導体は、複数本の素線を撚り合わせて形成された子撚り線を、複数本撚り合わせて親撚り線とした複合撚り構造を有し、
前記子撚り線において、前記素線の撚りピッチは、前記子撚り線の直径に対し35倍〜40倍の範囲の値であり、
前記親撚り線において、前記子撚り線の撚りピッチは、前記親撚り線の層心径に対し20倍〜25倍の範囲の値である電線。 - 前記素線の直径は、0.40mm〜0.50mmの範囲の直径である請求項1に記載の電線。
- 前記導体の公称断面積は、25mm2〜150mm2の範囲の断面積である請求項1または2に記載の電線。
- 前記絶縁層の厚さは、0.8mm〜1.2mmの範囲の厚さである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電線。
- 鉄道車両の動力用電線として用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の電線。
- 前記絶縁層は、ハロゲンフリーポリオレフィンエラストマーで形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014079157A JP2015201322A (ja) | 2014-04-08 | 2014-04-08 | 電線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014079157A JP2015201322A (ja) | 2014-04-08 | 2014-04-08 | 電線 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015201322A true JP2015201322A (ja) | 2015-11-12 |
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ID=54552407
Family Applications (1)
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JP2014079157A Pending JP2015201322A (ja) | 2014-04-08 | 2014-04-08 | 電線 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2015201322A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016197569A (ja) * | 2015-04-06 | 2016-11-24 | 矢崎総業株式会社 | 耐屈曲電線及びワイヤハーネス |
WO2023228468A1 (ja) * | 2022-05-26 | 2023-11-30 | 住友電気工業株式会社 | 撚り線、絶縁電線およびケーブル |
-
2014
- 2014-04-08 JP JP2014079157A patent/JP2015201322A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016197569A (ja) * | 2015-04-06 | 2016-11-24 | 矢崎総業株式会社 | 耐屈曲電線及びワイヤハーネス |
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