JP2015200396A - 車両用動力伝達機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊星歯車機構と一方向クラッチとを軸線方向で隣接させて配置する動力伝達機構の軸長を短縮する。【解決手段】遊星歯車機構1と、一方向クラッチ2とが軸線方向で互いに隣接して配置された車両用動力伝達機構において、ピニオンピン10の一端部に一方向クラッチ2側に開口する油孔12が形成され、一方向クラッチ2がケース18を有するとともにそのケース18がキャリヤ11の所定箇所に取り付けられてキャリヤ11と一方向クラッチ2とが連結され、ケース18の一部が油孔12の開口端から軸線方向に所定寸法離隔して半径方向で内周側に延びており、該ケース12の一部における開口端を向く面が該面の内周端から半径方向で外側に向けてピニオンピン10の端部に接近するように傾斜し、該傾斜している箇所に開口端に向けて潤滑油を導く油溝19が形成されている。【選択図】図1
Description
この発明は、車両の走行のための動力を伝達する機構に関し、特に遊星歯車機構を備えている動力伝達機構に関するものである。
特許文献1に記載されたハイブリット車用動力伝達装置は、エンジンが出力した動力を遊星歯車機構によって構成されている動力分割機構によって駆動輪側と第1モータ・ジェネレータ側とに分割するように構成されている。その遊星歯車機構におけるリングギヤは、出力ギヤと一体化された複合ギヤとして構成されている。すなわちダンパにおける従動側の部材に連結されている入力軸の外周側にサンギヤ軸が回転可能に嵌合させられており、そのサンギヤ軸の外周側に形成されているサンギヤにピニオンギヤが噛み合っている。さらに、ピニオンギヤの外周側には前記入力軸やサンギヤ軸と同一軸線上に円筒状の回転軸が配置され、その回転軸の内周部に前記ピニオンギヤに噛み合うリングギヤが形成されている。また、その回転軸の外周部に出力ギヤが形成されている。
この遊星歯車機構を挟んでダンパ側には一方向クラッチが同一軸線上に配置され、またこの一方向クラッチとは反対側にロータ軸が同一軸線上に配置されている。その一方向クラッチは、上記のピニオンギヤを保持しているキャリヤの負回転方向(エンジンの回転方向とは反対方向)の回転を止めるように構成され、アウターレースがキャリヤに連結されるとともに、インナーレースがダンパハウジングの一部として形成されている隔壁部に連結されている。ロータ軸は第1モータ・ジェネレータのロータと一体化されており、そのロータ軸と前記サンギヤ軸との間にトルクリミッタが設けられている。トルクリミッタはサンギヤと第1モータ・ジェネレータとの間で伝達されるトルクを制限し、ひいては上記の一方向クラッチやエンジンに作用する負回転方向のトルクを制限するためのものであって、多板式のクラッチと同様な構成を備えている。すなわち、互いに摩擦接触するプレートとディスクとが軸線方向に並んで交互に配置され、そのプレートがドラムの内周部にスプライン嵌合させられ、またディスクがハブの外周部にスプライン嵌合させられている。そして、そのドラムとハブとのいずれか一方がサンギヤ軸に連結され、また他方がロータ軸に連結されている。
上記の一方向クラッチと遊星歯車機構とトルクリミッタとは、エンジン側からここに挙げてある順序で、リングギヤが形成されている円筒状の回転軸の内周側に配置されている。その回転軸は、軸線方向での両端部の外周面に嵌合させた軸受を介して、前記ダンパハウジングおよびそのダンパハウジングが取り付けられているトランスアクスルハウジングによって回転可能に支持されている。
遊星歯車機構はその外周側を回転軸によって覆われ、また軸線方向での両側に一方向クラッチとトルクリミッタとが配置されているので、ピニオンギヤの潤滑、特にピニオンピンの外周側に嵌合させてある軸受に対する潤滑は、遊星歯車機構が嵌合させられている入力軸から半径方向で外側に飛散する潤滑油によって行うようになっている。すなわち、ピニオンピンにはその外周面に潤滑油を供給する油孔が形成されており、その油孔は、ピニオンピンにおける前記一方向クラッチ側の端部に開口している。そして、その開口端側にオイルガイドが設けられている。このオイルガイドは、環状をなす薄板状の部材であって、一方の側面の外周端部でキャリヤに接合されており、また半径方向での中央部および内周端部は上記のピニオンピンにおける油孔の開口端およびキャリヤの側面から離れている。すなわち、オイルガイドは半径方向での内周側に開いた形状に形成されている。したがって、遠心力によって半径方向で外側に飛散した潤滑油が、オイルガイドとキャリヤの側面との間に入り込み、ここから前記油孔に導かれるようになっている。
なお、特許文献2には、リングギヤが一体に形成されている回転軸の内周側に、動力分割機構として機能する遊星歯車機構とその回転軸の所定方向の回転を止める一方向クラッチとを軸線方向に並べて配置した構成の動力伝達装置が記載されている。その遊星歯車機構における一方向クラッチ側の側部には、ピニオンギヤに潤滑油を導く上記のオイルガイドと同様の構成のオイルガイドが設けられている。
上述した一方向クラッチは、遊星歯車機構におけるキャリヤもしくはリングギヤの所定方向の回転を止めるためのものであるから、キャリヤもしくはリングギヤと一方向クラッチのインナーレースもしくはアウターレースを連結する部材は必須である。上述した各特許文献1,2に記載された構成では、その連結部材に加えてオイルガイドを、遊星歯車機構と一方向クラッチとの間に設けている。そのため、軸線方向に並べて配置する部材もしくは部品の数が多くなって、動力伝達装置の全体としての軸長が長くなり、車載性が劣る可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、遊星歯車機構と一方向クラッチとを軸線方向で隣接させて配置する動力伝達機構の軸長を短縮することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、サンギヤとリングギヤとの間に配置されたピニオンギヤを保持するキャリヤを備えた遊星歯車機構と、そのキャリヤの所定の方向の回転を止める一方向クラッチとが軸線方向で互いに隣接して配置された車両用動力伝達機構において、前記キャリヤを回転可能に保持しているピニオンピンの一端部が、前記キャリヤを貫通して前記一方向クラッチ側に露出しており、その一端部に前記一方向クラッチ側に開口する油孔が形成され、前記一方向クラッチがケースを有するとともにそのケースが前記キャリヤのうち前記ピニオンピンの一端部が露出している箇所より外周側の所定箇所に取り付けられて前記キャリヤと一方向クラッチとが連結され、前記ケースの一部が前記油孔の開口端から軸線方向に所定寸法離隔して半径方向で内周側に延びており、該ケースの一部における前記開口端を向く面が該面の内周端から半径方向で外側に向けて前記ピニオンピンの端部に接近するように傾斜し、該傾斜している箇所に前記開口端に向けて潤滑油を導く油溝が形成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、一方向クラッチにおけるケースがキャリヤと一方向クラッチを連結するための連結部材を兼ねるとともに、遊星歯車機構におけるキャリヤもしくはピニオンギヤに潤滑油を導くオイルガイドとなっている。したがって、この発明によれば、軸線方向に並べて配置する部品の数を少なくすることができるだけでなく、遊星歯車機構と一方向クラッチとの間隔を狭くすることができるので、動力伝達機構の全体としての軸長の短縮化を図ることができる。
この発明に係る車両用動力伝達機構は、軸線方向に並べて配置され、かつ互いに隣接する遊星歯車機構1と一方向クラッチ2とを備えている。その一例が、前述した特許文献1に記載されているようなハイブリッド駆動装置における動力伝達機構である。図1に示すこの発明に係る動力伝達機構の一例は、特許文献1に記載されている構成の一部を変更したものである。その構成を説明すると、入力軸3は図示しないダンパを介してエンジンに連結されている。この入力軸3は、ダンパハウジング4の一部である隔壁部5に形成されているボス部6を貫通している。そのボス部6の内周側に軸受7が嵌め込まれ、入力軸3はこの軸受7によって回転可能に支持されている。
入力軸3の前記隔壁部5を貫通してダンパとは反対側に延びている先端側の外周側には、動力分割機構として機能する遊星歯車機構1が同一軸線上に配置されている。この遊星歯車機構1は従来知られているシングルピニオン型の遊星歯車機構であって、サンギヤ8が入力軸3に回転可能に嵌合させられている。このサンギヤ8に噛み合っている複数のピニオンギヤ9が入力軸3の中心軸線を中心にした円周上に一定の間隔をあけて配置されている。各ピニオンギヤ9はピニオンピン10の外周側に回転可能に嵌合させられており、各ピニオンピン10はその両端部をキャリヤ11を貫通し、かつ各端部をかしめることによりキャリヤ11に固定されている。また、各ピニオンピン10の内部には、軸線方向の中央部で外周面に開口する油孔12が形成され、その油孔12はピニオンピン10の中心軸線に沿って延び、かつ前記ダンパ側の端部に開口している。
前記サンギヤ8と同心円状に配置されたリングギヤ13を備え、リングギヤ13はピニオンギヤ9に噛み合っている。このリングギヤ13は、前述した特許文献1に記載されたリングギヤと同様に、円筒状をなす回転軸14の内周面に一体に形成されて、その回転軸14の外周軸には、出力ギヤ15が一体に形成されている。この回転軸14の一端部は、前述した隔壁部におけるボス部6に嵌合させた第1軸受16によって、回転自在に支持されている。他方の端部は、トランスアクスルハウジングに一体に設けれている隔壁部17に軸受18を介して回転自在に支持されている。
前記遊星歯車機構1に隣接して、一方向クラッチ2が配置されている。この一方向クラッチ2は、キャリア11を所定方向の回転を止めるためのものであって、インナーレースが前記ボス部6にスプライン嵌合されている。この一方向クラッチ2はアウターレースと一体のケース19を備えていて、そのケース19の外周端はキャリア11側に延びていて、キャリア11の外周部にスプライン嵌合されている。
さらに、そのケース19の一部はキャリア11との間を内周側に延びる部分を備えていて、その側面すなわちキャリア11を覆う側面は、外周側でキャリア11に次第に近づく傾斜面とされており、その傾斜面に油溝20が形成されている。図2は、その油溝20の形状をの一例を示しており、前記傾斜面の内周端に両端を開口させたほぼ三角形状に形成されている。なお、前記キャリア11は、入力軸1に形成されているフランジ部に連結されている。したがって、遊星歯車機構1のキャリア11が入力要素となっている。
遊星歯車機構1を挟んで、前記一方向クラッチ2とは反対側に、トルクリミッター21が設けられている。トルクリミッター21は、摩擦クラッチ式のものであって、サンギヤ8に連結されているハブにディスク22がスプライン嵌合させられ、また、ハブと同心円状に設けられたドラム23の内周部に、プレート24がスプライン嵌合させられており、これらディスク22とプレート24とが交互に配置されている。ドラム23の一端に取り付けられたスナップリング25によって、軸線方向の溝が規制され、これと反対側には、ダイヤフラムスプリング26が設けられ、このダイヤフラムスプリング26の弾性力によって、ディスク22とプレート24とが摩擦接触されている。ドラム23はサンギヤ8と同一線上に設けられたロータ軸にスプライン嵌合させられており、このロータ軸は、図示しない第一のモータジェネレータのロータに一体化させられている。このロータ軸と前記入力軸1との先端部との間に軸受が配置されている。また、ロータ軸は軸受によってトランスアクスルハウジングの隔壁部17に回転自在に支持されている。
図示しないオイルポンプにより入力軸3に供給された潤滑油は、入力軸3の回転による遠心力により、半径方向で外側に飛散される。入力軸3から飛散された潤滑油は、一方向クラッチ2のアウターレースと一体化されていて、キャリア11の外周部に嵌合しているケース19の内周端に導入される。ケース19は、内周端において両端を開口させたほぼ三角形状に形成されているため、内周端においてより多くの潤滑油を導入しやすく、外周端部に向けて傾斜しているため、外周端側に潤滑油を送りやすい。ケース19の外周端部に送られた潤滑油は、ピニオンピン10の油孔12に供給される。油孔12に供給された潤滑油は、ピニオンギア9に導かれる。ケース19の油溝により、遊星歯車機構1と一方向クラッチ2との間にオイルガイドのような部品が必要ないため、オイルガイドのような部品がある場合と比べて、遊星歯車機構1と一方向クラッチ2との間隔は狭くなる。
この発明によれば、一方向クラッチ2におけるケース19がキャリヤ11と一方向クラッチ2を連結するための連結部材を兼ねるとともに、遊星歯車機構1におけるキャリヤ11もしくはピニオンギヤ9に潤滑油を導くオイルガイドとなっている。
したがって、この発明によれば、軸線方向に並べて配置する部品の数を少なくすることができるだけでなく、遊星歯車機構1と一方向クラッチ2との間隔を狭くすることができるので、動力伝達機構の全体としての軸長の短縮化を図ることができる。
1…遊星歯車機構、 2…一方向クラッチ、 3…入力軸、 4…ダンパハウジング、 5…隔壁部、 6…ボス部、 7…軸受、 8…サンギヤ、 9…ピニオンギヤ、 10…ピニオンピン、 11…キャリヤ、 12…油孔、 13…リングギヤ、 14…回転体、 15…出力ギヤ、 16…軸受、 17…隔壁部、 18…軸受、 19…ケース、 20…油溝。
Claims (1)
- サンギヤとリングギヤとの間に配置されたピニオンギヤを保持するキャリヤを備えた遊星歯車機構と、そのキャリヤの所定の方向の回転を止める一方向クラッチとが軸線方向で互いに隣接して配置された車両用動力伝達機構において、
前記キャリヤを回転可能に保持しているピニオンピンの一端部が、前記キャリヤを貫通して前記一方向クラッチ側に露出しており、その一端部に前記一方向クラッチ側に開口する油孔が形成され、
前記一方向クラッチがケースを有するとともにそのケースが前記キャリヤのうち前記ピニオンピンの一端部が露出している箇所より外周側の所定箇所に取り付けられて前記キャリヤと一方向クラッチとが連結され、
前記ケースの一部が前記油孔の開口端から軸線方向に所定寸法離隔して半径方向で内周側に延びており、
該ケースの一部における前記開口端を向く面が該面の内周端から半径方向で外側に向けて前記ピニオンピンの端部に接近するように傾斜し、
該傾斜している箇所に前記開口端に向けて潤滑油を導く油溝が形成されている
ことを特徴とする車両用動力伝達機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014081028A JP2015200396A (ja) | 2014-04-10 | 2014-04-10 | 車両用動力伝達機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015200396A true JP2015200396A (ja) | 2015-11-12 |
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ID=54551828
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JP (1) | JP2015200396A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018048679A (ja) * | 2016-09-20 | 2018-03-29 | トヨタ自動車株式会社 | 歯車装置 |
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2014
- 2014-04-10 JP JP2014081028A patent/JP2015200396A/ja active Pending
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