JP2011202775A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機と遊星歯車装置との間にトルクリミッタ装置が設けられる場合であっても、部品点数および部品の加工工数を増加させずに遊星歯車装置へ潤滑油を効率的に供給することができる車両用動力伝達装置を提供する。
【解決手段】トルクリミッタ装置26のカバー部材66およびプレート部材68は、軸心C1に平行な一直線方向にそれぞれ貫通し、それらカバー部材66およびプレート部材68を同心とするために用いられる位置決め穴76をそれぞれ有し、その位置決め穴76の内周側からカバー部材66とプレート部材68との間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出した潤滑油によってその遊星歯車装置24が潤滑されるようにした。
【選択図】図2
【解決手段】トルクリミッタ装置26のカバー部材66およびプレート部材68は、軸心C1に平行な一直線方向にそれぞれ貫通し、それらカバー部材66およびプレート部材68を同心とするために用いられる位置決め穴76をそれぞれ有し、その位置決め穴76の内周側からカバー部材66とプレート部材68との間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出した潤滑油によってその遊星歯車装置24が潤滑されるようにした。
【選択図】図2
Description
本発明は、電動機および遊星歯車装置を備える車両用動力伝達装置に関し、特に、遊星歯車装置への潤滑油の供給に関するものである。
電動機と、その電動機の出力を減速する遊星歯車装置とを備える車両用動力伝達装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたものがそれである。この特許文献1の車両用動力伝達装置では、遊星歯車装置は、減速機として用いられている。また、電動機と、駆動源の動力をその電動機および出力回転部材に分配する遊星歯車装置とを備える車両用動力伝達装置が知られている。例えば、特許文献2および3に記載されたものがそれである。これら特許文献2および3の車両用動力伝達装置では、遊星歯車装置は、動力分配機として用いられている。
ところで、前記車両用動力伝達装置において、遊星歯車装置のピニオンギヤを回転可能に支持するピニオンシャフトには、端面または外周面に開口して上記ピニオンギヤの内周面へと連通されたピニオン潤滑油路が形成されている。そして、前記特許文献1および2の車両用動力伝達装置では、遊星歯車装置の上部に設けられたオイルキャッチタンクから、電動機と遊星歯車装置との間の隔壁に形成された油路を通じて、上記ピニオン潤滑油路へ潤滑油が供給されるように構成されている。
ところが、電動機および隔壁と遊星歯車装置との間にトルクリミッタ装置が設けられるような構成が考えられ、このような構成においては、前述のように隔壁に形成された油路を通じてピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ潤滑油を供給することができないという問題があった。
これに対して、特許文献3の車両用動力伝達装置では、遊星歯車装置と隔壁との間に一方向クラッチが設けられているが、遊星歯車装置のピニオンシャフトを支持するキャリヤに連結された回転軸内の油路から、そのキャリヤ内に形成された油路を通じて、ピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ潤滑油が供給されるように構成されている。しかしながら、上記構成によれば、キャリヤに上記油路を形成するために、ピニオンシャフトの一端部を支持する円板状のキャリヤ部材に対して内周面から外周側へ向けて径方向の穴を形成するための加工が必要となる。そのため、キャリヤを製造するときの加工工数が増すという問題があった。
上記に対して、例えば、前記キャリヤを支持する回転軸内の油路から、キャリヤとそれを軸受を介して支持する支持部材との間を通じて、ピニオンシャフトの端面に形成されたピニオン潤滑油路へ潤滑油を供給することも考えられる。しかし、上記軸受を通過して外周側へ向かう潤滑油の流通抵抗が高いために、キャリヤとそれを支持する支持部材との間には潤滑油が供給され難く、上記回転軸内の油路から供給される潤滑油はより流通抵抗の低い他の潤滑部位へ流れてしまうという問題が生じる。上記構成においては、ピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ潤滑油を十分に供給するために、上記回転軸内の油路から供給される潤滑油の量を必要以上に増加させなければならないという欠点がある。
本発明は以上の事情を背景としてなされたものであり、その目的とするところは、電動機と遊星歯車装置との間にトルクリミッタ装置が設けられる場合であっても、部品点数および部品の加工工数を増加させずに遊星歯車装置へ潤滑油を効率的に供給することができる車両用動力伝達装置を提供することにある。
かかる目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a) 電動機と、(b) 駆動源の動力を前記電動機および出力回転部材に分配する遊星歯車装置と、(c) 軸心方向において前記電動機と前記遊星歯車装置との間に配設され、前記電動機に連結された第1回転部材と、前記遊星歯車装置に連結されて前記第1回転部材と摩擦係合された第2回転部材とを有し、前記第1および第2回転部材間の摩擦によって前記電動機と前記遊星歯車装置との間でトルクを伝達しつつも、前記第1および第2回転部材間のトルク差が予め定められた所定トルクを超えると前記第1および第2回転部材が互いにスリップして前記電動機と前記遊星歯車装置との間のトルクの伝達を抑制するトルクリミッタ装置とを、備える車両用動力伝達装置であって、(d) 前記第1および第2回転部材のうち前記遊星歯車装置側の部材は、前記軸心方向に貫通する貫通穴を有し、その貫通穴の内周側から前記第1および第2回転部材の間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ前記貫通穴を通じて前記遊星歯車装置側へ流出した潤滑油によってその遊星歯車装置が潤滑されるようにしたことにある。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1にかかる発明において、前記貫通穴は、前記第1および第2回転部材に前記軸心方向にそれぞれ貫通して設けられて前記第1および第2回転部材を同心とするために用いられる一対の位置決め穴の一方であることにある。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項2にかかる発明において、(a) 前記遊星歯車装置は、前記トルクリミッタ装置を介して前記電動機と共に回転可能に設けられたサンギヤと、そのサンギヤに噛み合うピニオンギヤを自転可能に支持するピニオンシャフトと、そのピニオンシャフトの両端部を支持するとともにそのピニオンシャフトを介して前記ピニオンギヤを前記サンギヤまわりの公転可能に支持し、前記駆動源と共に回転するキャリヤと、前記ピニオンギヤに噛み合わされて前記出力回転部材と共に回転するリングギヤとを備え、(b) 前記キャリヤには、前記内周側から供給された潤滑油のうち、前記位置決め穴を通じて前記遊星歯車装置側へ流出した一部の潤滑油を受けて前記ピニオンシャフトの端面に開口するピニオン潤滑油路へ導くオイル案内部材が設けられていることにある。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項2または3にかかる発明において、前記位置決め穴は、前記軸心から前記位置決め穴の外周側縁までの径方向距離が、前記軸心から前記オイル案内部材の内周端までの径方向距離よりも、小さくなるように形成されていることにある。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項4にかかる発明において、前記オイル案内部材は、前記軸心上に配設されて前記キャリヤに固定された円環状部材であり、前記位置決め穴は、前記軸心と平行な中心線を有する円筒面状に形成されるとともに、前記軸心を中心とする前記位置決め穴の中心線までの直径と該位置決め穴の半径との和が、前記オイル案内部材の内径よりも小さくなるように形成されていることにある。
請求項1にかかる発明の車両用動力伝達装置によれば、トルクリミッタ装置の第1および第2回転部材のうち遊星歯車装置側の部材は、軸心方向に貫通する貫通穴を有し、その貫通穴の内周側から第1および第2回転部材の間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ上記貫通穴を通じて遊星歯車装置側へ流出した潤滑油によってその遊星歯車装置が潤滑されるようにしたことから、貫通穴の内周側から第1および第2回転部材の間および貫通穴を経て遊星歯車装置側へ潤滑油が流出するまでの流通経路に、その潤滑油の流通抵抗を高めるような例えば軸受等が存在しないので、電動機と遊星歯車装置との間にトルクリミッタ装置が設けられる場合であっても、部品点数および部品の加工工数を増加させずに遊星歯車装置へ潤滑油を効率的に供給することができる。
また、請求項2にかかる発明の車両用動力伝達装置によれば、前記貫通穴は、第1および第2回転部材に前記軸心方向にそれぞれ貫通して設けられてそれら第1および第2回転部材を同心とするために用いられる一対の位置決め穴の一方であることから、第1および第2回転部材にそれぞれ元々形成される位置決め穴によって潤滑油が遊星歯車装置に供給され、且つ位置決め穴の内周側から第1および第2回転部材の間および位置決め穴を経て遊星歯車装置側へ潤滑油が流出するまでの流通経路に、その潤滑油の流通抵抗を高めるような例えば軸受等が存在しないので、電動機と遊星歯車装置との間にトルクリミッタ装置が設けられる場合であっても、部品点数および部品の加工工数を増加させずに遊星歯車装置へ潤滑油を効率的に供給することができる。
また、請求項3にかかる発明の車両用動力伝達装置によれば、遊星歯車装置は、トルクリミッタ装置を介して電動機と共に回転可能に設けられたサンギヤと、そのサンギヤに噛み合うピニオンギヤを自転可能に支持するピニオンシャフトと、そのピニオンシャフトの両端部を支持するとともにそのピニオンシャフトを介してピニオンギヤをサンギヤまわりの公転可能に支持し、駆動源と共に回転するキャリヤと、ピニオンギヤに噛み合わされて出力回転部材と共に回転するリングギヤとを備え、キャリヤには、前記内周側から供給された潤滑油のうち前記位置決め穴を通じて遊星歯車装置側へ流出した一部の潤滑油を受けてピニオンシャフトの端面に開口するピニオン潤滑油路へ導くオイル案内部材が設けられていることから、キャリヤとそれを例えば軸受等を介して回転可能に支持する支持部材との間を通じてピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ潤滑油が供給される場合と比べて、潤滑油の流通経路に流通抵抗を高めるような例えば軸受等が存在しないので、潤滑油の供給量が少なくても効率的にピニオンギヤに潤滑油を供給することができる。
また、請求項4にかかる発明の車両用動力伝達装置によれば、第1および第2回転部材の位置決め穴は、トルクリミッタ装置の軸心から位置決め穴の外周側縁までの径方向距離が、上記軸心からオイル案内部材の内周端までの径方向距離よりも、小さくなるように形成されていることから、位置決め穴から遊星歯車装置側へ流出された潤滑油は、遠心力によって遊星歯車装置の外周側へ飛ばされるまでに好適にオイル案内部材に受けられて、ピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ供給されるので、潤滑油の供給量が少なくても効率的にピニオンギヤに潤滑油を供給することができる。
また、請求項5にかかる発明の車両用動力伝達装置によれば、オイル案内部材は、トルクリミッタ装置の軸心上に配設されて前記キャリヤに固定された円環状部材であり、位置決め穴は、上記軸心と平行な中心線を有する円筒面状に形成されるとともに、上記軸心を中心とする位置決め穴の中心線までの直径と位置決め穴の半径との和が、オイル案内部材の内径よりも小さくなるように形成されていることから、位置決め穴から遊星歯車装置側へ流出された潤滑油は、遠心力によって遊星歯車装置の外周側へ飛ばされるまでに好適にオイル案内部材に受けられて、ピニオンシャフトのピニオン潤滑油路へ供給されるので、潤滑油の供給量が少なくても効率的にピニオンギヤに潤滑油を供給することができる。
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両用動力伝達装置10の要部を示す断面図である。図1において、車両用動力伝達装置10は、駆動源としての図示しないエンジンに固定された例えばアルミダイカスト製のトランスアクスルケース12内において、上記エンジンの出力部材と共に回転する入力軸14と、その入力軸14の外周側においてトランスアクスルケース12によってボールベアリング(ラジアル軸受)16を介して支持された円筒状の出力回転部材22と、入力軸14の軸心C1上に設けられた電動機20と、その電動機20と同心に設けられ、前記エンジンの動力を電動機20と入力軸14の外周側に設けられた出力回転部材22とに分配する遊星歯車装置24と、軸心C1方向において電動機20と遊星歯車装置24との間に配設され、それらの間でトルクの伝達を可能にするトルクリミッタ装置26とを備えている。なお、上記入力軸14は、出力回転部材18によってニードルローラベアリング(ラジアル軸受)28を介して軸心C1まわりの回転可能に支持されている。
上記電動機20は、トランスアクスルケース12の内周面に固定されたステータ30と、そのステータ30の内周側に設けられ、トランスアクスルケース12の内周面から内周側に突設された円板状の隔壁32によってボールベアリング(ラジアル軸受)34を介して軸心C1まわりの回転可能に支持された出力軸36と、ステータ30の内周側に設けられて出力軸30の外周面に固定されたローター38とを、備えている。この電動機20は、発電機および電動モータとして機能する。
前記遊星歯車装置24は、トルクリミッタ装置26を介して電動機20と共に回転可能に設けられたサンギヤ40と、そのサンギヤ40に噛み合うピニオンギヤ42を自転可能に支持するピニオンシャフト44と、そのピニオンシャフト44の両端部を支持するとともにピニオンシャフト44を介してピニオンギヤ42をサンギヤ40まわりの公転可能に支持し、入力軸14の一端部に外周側に突設されたフランジ部45に固定されて前記エンジンと共に回転するキャリヤ46と、ピニオンギヤ42に噛み合わされ、出力回転部材18の一端部の外周面に嵌め着けられた円板状の伝達部材48の外周部に連結されて出力回転部材18と共に回転するリングギヤ50とを備えている。上記キャリヤ46および入力軸14は、伝達部材48によってローラーベアリング(スラスト軸受)52を介して軸心C1方向の伝達部材48側への移動不能且つ軸心C1まわりの回転可能に支持されている。そして、サンギヤ40は、遊星歯車装置24側へ延設された電動機20の出力軸36の一端部の外周側に設けられ、その一端部によって円筒状のブッシュ(すべり軸受)54を介して軸心C1まわりの回転可能に支持され、また、入力軸14のフランジ部45によってローラーベアリング(スラスト軸受)56を介して軸心C1方向の入力軸14側への移動不能且つ軸心C1まわりの回転可能に支持されている。
上記ピニオンシャフト44には、トルクリミッタ装置26側の端面に開口する有底穴58と、その有底穴58からピニオンシャフト44の外周面まで貫通する貫通孔60とを有し、上記有底穴58の開口から流入した潤滑油をピニオンギヤ42に供給するピニオン潤滑油路62が形成されている。そして、キャリヤ46には、軸心C1上に配設され、キャリヤ46のトルクリミッタ装置26側の側面のうちピニオンシャフト44の外周側の位置に、外周部の円周方向の全てが密着状態で固定され、内周端がピニオン潤滑油路62の有底穴58よりも内周側に位置するように設けられた円環板状のオイルレシーバー(オイル案内部材)64が設けられている。このオイルレシーバー64は、トルクリミッタ装置26を構成する後述のカバー部材66に形成された位置決め穴76から流出した潤滑油を受けて、その潤滑油を上記ピニオン潤滑油路62へ導くものである。
図2は、図1のII矢視部を拡大して示す拡大断面図である。図2において、前記トルクリミッタ装置26は、内周部がサンギヤ40の隔壁32側の一端部の外周面に軸心C1まわりの回転不能に例えばスプライン嵌合された円環板状の壁部66aと、その壁部66aの外周部から隔壁32側に向けて突設された円筒部66bと、その円筒部66bの隔壁32側の一端部から周方向に連続して径方向の内側に突設された円環板状の外周壁部66cとを有するカバー部材(第2回転部材)66を備えている。また、トルクリミッタ装置26は、軸心C1方向のボールベアリング34とサンギヤ40との間において、内周部が前記電動機20の出力軸36の外周面に軸心C1まわりの回転不能に例えばスプライン嵌合された円環板状部材であって、外周部が軸心C1方向においてカバー部材66の壁部66aと外周壁部66cとの間に配設されたプレート部材68と、そのプレート部材68の両側面の外周部に固定された一対の摩擦材70と、プレート部材68に対してカバー部材66の壁部66aとは反対側に設けられ、円環板状の押圧部材72を介してプレート部材68をカバー部材66の壁部66aに向けて付勢する皿ばね74とを有している。
上記カバー部材66およびプレート部材68は、軸心C1に平行な一直線方向にそれぞれ貫通し、それらカバー部材66およびプレート部材68を互いに組み付ける際に相互に同心とするために用いられる一対の位置決め穴76をそれぞれ有している。この位置決め穴76は、軸心C1に平行な中心線C2を有する直径φBの円筒面状に形成されている。そして、位置決め穴76は、軸心C1から位置決め穴76の外周側縁までの径方向距離が、軸心C1からオイルレシーバー64の内周端までの径方向距離よりも小さくなるように形成されている。さらに言えば、本実施例の位置決め穴76は、軸心C1を中心とする位置決め穴76の中心線C2までの直径Cと位置決め穴76の半径B/2との和が、オイルレシーバー64の直径Dよりも小さくなるように形成されている。また、オイルレシーバー64は、オイルレシーバー64とカバー部材66との軸心C1方向の間隔Eが、カバー部材66に対して相対回転時においても干渉しない範囲で可及的に小さく設定されている。なお、上記一対の位置決め穴76のうち遊星歯車装置24側の一方、すなわちカバー部材66に形成された位置決め穴76は、本発明における貫通穴に相当するものである。
このようなトルクリミッタ装置26は、摩擦材70を介したカバー部材66とプレート部材68との摩擦によって遊星歯車装置24のサンギヤ40と前記電動機20の出力軸36との間でトルクを伝達しつつも、カバー部材66とプレート部材68との間のトルク差が予め定められたトルク差を超えると、カバー部材66およびプレート部材68が互いにスリップして遊星歯車装置24のサンギヤ40と前記電動機20の出力軸36との間のトルクの伝達を抑制する。
図1に戻って、電動機20の出力軸36の内周側には、一端部が入力軸14に連結された円管状のオイルパイプ78が設けられている。そして、オイルパイプ78の他端部には、電動機20のトルクリミッタ装置26とは反対側に配設された図示しないオイルポンプのローターが固定されている。上記オイルポンプのローターは、入力軸14によってオイルパイプ78を介して回転駆動されるようになっており、上記オイルポンプから吐出された潤滑油は、オイルパイプ78を通じて各潤滑部位へ供給されるようになっている。
上記オイルパイプ78内に供給された潤滑油のうち、オイルパイプ78および出力軸36を径方向に貫通して設けられた貫通孔80および82を通じて外周側へ向かう潤滑油は、カバー部材66とプレート部材68との間に供給されてそれらの摩擦部位を潤滑する。すなわち、カバー部材66およびプレート部材68は、位置決め穴76の内周側からカバー部材66とプレート部材68との間に供給された潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑される。そして、カバー部材66とプレート部材68との間に供給された潤滑油のうち、カバー部材66の位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出した一部の潤滑油は、図1において矢印aで示すように、オイルレシーバー64に受けられてピニオンシャフト44のピニオン潤滑油路62へ供給される。ピニオンギヤ42は、ピニオン潤滑油路62を通じて供給された潤滑油によって潤滑される。
また、オイルパイプ78内に供給された潤滑油のうち、入力軸14内に形成された油路84、および入力軸14に径方向に貫設された貫通孔86をそれぞれ通じて外周側へ向かう潤滑油は、入力軸14と出力回転部材18との間のニードルローラベアリング28、および入力軸14と伝達部材48との間のローラーベアリング52等を潤滑する。
因みに、図3に示す車両用動力伝達装置100では、ピニオン潤滑油路62を構成する有底穴58がピニオンシャフト44の伝達部材48側に開口し、そして、図3に矢印bで示すように、オイルパイプ78から入力軸14内の油路84および貫通孔86をそれぞれ通じてローラーベアリング52に潤滑油が供給され、そこから外周側のキャリヤ46と伝達部材48との間に流出した一部の潤滑油がピニオン潤滑油路62へ供給されるようになっている。このような構成の場合には、ローラーベアリング52を通過して外周側へ向かう潤滑油の流通抵抗が高いために、そのローラーベアリング52の外周側のキャリヤ46と伝達部材48との間には潤滑油が供給され難いという問題があった。
本実施例の車両用動力伝達装置10によれば、トルクリミッタ装置26を構成するカバー部材66およびプレート部材68は、軸心C1に平行な一直線方向にそれぞれ貫通し、それらカバー部材66およびプレート部材68を同心とするために用いられる位置決め穴76をそれぞれ有し、その位置決め穴76の内周側からカバー部材66とプレート部材68との間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出した潤滑油によってその遊星歯車装置24が潤滑されるようにしたことから、カバー部材66およびプレート部材68にそれぞれ元々形成されている位置決め穴76によって潤滑油が遊星歯車装置24に供給され、且つ位置決め穴76の内周側からカバー部材66とプレート部材68との間および位置決め穴76を経て遊星歯車装置24側へ潤滑油が流出するまでの流通経路に、潤滑油の流通抵抗を高めるような例えば軸受等が存在しないので、電動機20と遊星歯車装置24との間にトルクリミッタ装置26が設けられる場合であっても、部品点数および部品の加工工数を増加させずに、遊星歯車装置24のピニオンギヤ42へ潤滑油を効率的に供給することができる。
本実施例の車両用動力伝達装置10によれば、遊星歯車装置24は、トルクリミッタ装置26を介して電動機20と共に回転可能に設けられたサンギヤ40と、そのサンギヤ40に噛み合うピニオンギヤ42を自転可能に支持するピニオンシャフト44と、そのピニオンシャフト44の両端部を支持するとともにそのピニオンシャフト44を介してピニオンギヤ42をサンギヤ40まわりの公転可能に支持し、駆動源と共に回転するキャリヤ46とを備え、キャリヤ46には、前記内周側から供給された潤滑油のうち、位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出した一部の潤滑油を受けてピニオンシャフト44の端面に開口するピニオン潤滑油路62へ導くオイルレシーバー(オイル案内部材)64が設けられていることから、オイルパイプ78からピニオン潤滑油路62までの潤滑油の流通経路にその潤滑油の流通抵抗を高めるような例えば軸受等が存在しないので、例えば図3に示すように流通経路に配置されたローラーベアリング52を通じてピニオン潤滑油路62へ潤滑油が供給される場合と比べて、潤滑油の供給量が少なくても効率的にピニオンギヤ42に潤滑油を供給することができる。
本実施例の車両用動力伝達装置10によれば、位置決め穴76は、軸心C1を中心とする位置決め穴76の中心線C2までの直径Cと位置決め穴76の半径B/2との和が、オイルレシーバー64の直径Dよりも小さくなるように形成されていることから、位置決め穴76から遊星歯車装置24側へ流出された潤滑油は、遠心力によって遊星歯車装置24の外周側へ飛ばされるまでに好適にオイルレシーバー64に受けられて、ピニオンシャフト44のピニオン潤滑油路62へ供給されるので、潤滑油の供給量が少なくても効率的にピニオンギヤ42に潤滑油を供給することができる。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
たとえば、位置決め穴76は、軸心C1と平行な中心線C2を有する直径φBの円筒面状に形成されていたが、これに限らない。例えば、軸心C1に対して平行でなく斜行する軸心を有するものであってもよい。また、例えば、軸心に直交する断面が楕円、半円、又は多角形等であってもよく、その形状は軸心方向において変化するものであってもよい。例えば、ネジ穴、長穴、斜め穴などであってもよい。要するに、カバー部材66とプレート部材68とを同心にするために位置決めを行うものとして機能し、軸心方向に貫設された穴であればよい。
また、カバー部材66とプレート部材68との間に供給された潤滑油の一部は、位置決め穴76を通じて遊星歯車装置24側へ流出するようになっていたが、これに限らず、例えば、位置決め穴76とは別にカバー部材66に貫設された貫通穴を通じて、潤滑油が遊星歯車装置24側へ流出するように構成されてもよい。その場合において、上記貫通穴は、位置決め穴76を形成するときに同時に例えば型成形または機械加工によって形成される。これにより、上記貫通穴を形成するためのコスト増加を抑制することができる。
また、オイルレシーバー64は、キャリヤ46とは別部材から成る円環板状部材がキャリヤ46に固定されたものであったが、これに限らず、例えば、キャリヤ46またはピニオンシャフト44と一体に形成されるものであってもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用動力伝達装置
20:電動機
22:出力回転部材
24:遊星歯車装置
26:トルクリミッタ装置
40:サンギヤ
42:ピニオンギヤ
44:ピニオンシャフト
46:キャリヤ
50:リングギヤ
62:ピニオン潤滑油路
64:オイルレシーバー(オイル案内部材)
66:カバー部材(第1回転部材)
68:プレート部材(第2回転部材)
76:位置決め穴(貫通穴)
B:直径(位置決め穴の半径)
C:径方向距離(トルクリミッタ装置の軸心から位置決め穴の軸心までの径方向距離)
C1:軸心
C2:中心線
D:径方向距離(トルクリミッタ装置の軸心からオイル案内部材の内周端までの径方向距離)
20:電動機
22:出力回転部材
24:遊星歯車装置
26:トルクリミッタ装置
40:サンギヤ
42:ピニオンギヤ
44:ピニオンシャフト
46:キャリヤ
50:リングギヤ
62:ピニオン潤滑油路
64:オイルレシーバー(オイル案内部材)
66:カバー部材(第1回転部材)
68:プレート部材(第2回転部材)
76:位置決め穴(貫通穴)
B:直径(位置決め穴の半径)
C:径方向距離(トルクリミッタ装置の軸心から位置決め穴の軸心までの径方向距離)
C1:軸心
C2:中心線
D:径方向距離(トルクリミッタ装置の軸心からオイル案内部材の内周端までの径方向距離)
Claims (5)
- 電動機と、
駆動源の動力を該電動機および出力回転部材に分配する遊星歯車装置と、
軸心方向において該電動機と該遊星歯車装置との間に配設され、該電動機に連結された第1回転部材と、該遊星歯車装置に連結されて該第1回転部材と摩擦係合された第2回転部材とを有し、該第1および第2回転部材間の摩擦によって該電動機と該遊星歯車装置との間でトルクを伝達しつつも、該第1および第2回転部材間のトルク差が予め定められた所定トルクを超えると該第1および第2回転部材が互いにスリップして該電動機と該遊星歯車装置との間のトルクの伝達を抑制するトルクリミッタ装置と
を、備える車両用動力伝達装置であって、
前記第1および第2回転部材のうち前記遊星歯車装置側の部材は、前記軸心方向に貫通する貫通穴を有し、該貫通穴の内周側から該第1および第2回転部材の間に供給される潤滑油によって相互間の摩擦部位が潤滑され、且つ該貫通穴を通じて前記遊星歯車装置側へ流出した潤滑油によって該遊星歯車装置が潤滑されるようにしたことを特徴とする車両用動力伝達装置。 - 前記貫通穴は、前記第1および第2回転部材に前記軸心方向にそれぞれ貫通して設けられて該第1および第2回転部材を同心とするために用いられる一対の位置決め穴の一方であることを特徴とする請求項1の車両用動力伝達装置。
- 前記遊星歯車装置は、前記トルクリミッタ装置を介して前記電動機と共に回転可能に設けられたサンギヤと、該サンギヤに噛み合うピニオンギヤを自転可能に支持するピニオンシャフトと、該ピニオンシャフトの両端部を支持するとともに該ピニオンシャフトを介して該ピニオンギヤを該サンギヤまわりの公転可能に支持し、前記駆動源と共に回転するキャリヤと、該ピニオンギヤに噛み合わされて前記出力回転部材と共に回転するリングギヤとを備え、
前記キャリヤには、前記内周側から供給された潤滑油のうち、前記位置決め穴を通じて前記遊星歯車装置側へ流出した一部の潤滑油を受けて前記ピニオンシャフトの端面に開口するピニオン潤滑油路へ導くオイル案内部材が設けられていることを特徴とする請求項2の車両用動力伝達装置。 - 前記位置決め穴は、前記軸心から該位置決め穴の外周側縁までの径方向距離が、該軸心から前記オイル案内部材の内周端までの径方向距離よりも、小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項2または3の車両用動力伝達装置。
- 前記オイル案内部材は、前記軸心上に配設されて前記キャリヤに固定された円環状部材であり、
前記位置決め穴は、前記軸心と平行な中心線を有する円筒面状に形成されるとともに、前記軸心を中心とする前記位置決め穴の中心線までの直径と該位置決め穴の半径との和が、前記オイル案内部材の内径よりも小さくなるように形成されていることを特徴とする請求項4の車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010072742A JP2011202775A (ja) | 2010-03-26 | 2010-03-26 | 車両用動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010072742A JP2011202775A (ja) | 2010-03-26 | 2010-03-26 | 車両用動力伝達装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2011202775A true JP2011202775A (ja) | 2011-10-13 |
Family
ID=44879624
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2010072742A Pending JP2011202775A (ja) | 2010-03-26 | 2010-03-26 | 車両用動力伝達装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011202775A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9096218B2 (en) | 2010-05-21 | 2015-08-04 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Control device of vehicle power transmission device |
CN110671487A (zh) * | 2019-09-30 | 2020-01-10 | 重庆长安汽车股份有限公司 | 一种混动变速器的中连板及汽车 |
-
2010
- 2010-03-26 JP JP2010072742A patent/JP2011202775A/ja active Pending
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