JP2015200193A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒を有する排気浄化装置において、排気浄化触媒内で発生する温度勾配に起因した排気浄化触媒の破壊を可及的に回避する。【解決手段】内燃機関の排気通路に設けられ、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒を有する内燃機関の排気浄化装置であって、電力の供給により排気浄化触媒を加熱する加熱装置と、排気浄化触媒においてその部位間の温度差が所定の温度差以上となる温度勾配状態の発生を、該排気浄化触媒に含まれる所定の潜熱蓄熱材の相変化に基づいて検知する検知手段と、検知手段によって温度勾配状態の発生が検知された場合、排気浄化触媒での該温度勾配状態において相対的に温度が低い低温部位を、加熱装置により他の部位より優先的に加熱する加熱制御手段と、を備える。【選択図】図7
Description
本発明は、内燃機関の排気浄化装置に関する。
内燃機関の排気系に設けられる排気浄化触媒は、その排気浄化能が十分に発揮されるためには、排気浄化触媒の温度が活性温度に到達することが求められる。特に、冷間始動時は排気温度も低いため、排気浄化触媒の温度上昇が速やかに行われにくく、排気浄化が不十分な状態となりやすい。そこで、排気中の水分等との化学反応を介して蓄熱する蓄熱材を利用した排気浄化触媒が開示されている。例えば、特許文献1には、可逆的な酸化還元反応によって発熱と吸熱を選択可能な化学蓄熱材を利用して、触媒の早期活性化を可能とする排気浄化装置が開示されている。当該装置では、アルカリ土類金属酸化物からなる化学蓄熱材が触媒単体にウォッシュコート法により被覆され、そこに触媒金属が担持されて排気浄化触媒が形成されている。そして、排気中の水蒸気や二酸化炭素と化学蓄熱材との反応によって発生する熱によって、触媒金属の活性化が促進される。
また、排気浄化触媒の熱劣化を防止することを目的として、吸熱により排気浄化触媒の温度上昇を軽減するための材質を排気浄化触媒の各部位に配置する技術が、特許文献2に開示されている。当該技術では、例えば、触媒担体の材料自体を、800℃近傍での結晶相の変化により吸熱効果を奏する材料としたり、その複合材料の一成分として800℃近傍に融点を持ち800℃近傍の温度で触媒担体の温度上昇にともない融解熱として吸熱をする材料を用いたり、又は担体基材としてはコージェライトセラミックスを用い、コージェライト材料の表面や細孔内部に上述の吸熱材料を付着させたりすることができる。
物質の相変化(相転移)時の潜熱を利用する潜熱蓄熱材を排気浄化触媒に利用することが可能である。この場合、潜熱蓄熱材の融解点、すなわち潜熱蓄熱材が固体の状態から液体の状態に至る相変化の過程において、その相変化により排気浄化触媒の温度上昇を鈍化させることができる。しかし、排気浄化触媒に含まれる潜熱蓄熱材の融解が部分的に進むと、融解が進んでいない部位との間に比較的大きな温度差、すなわち温度勾配が発生することになる。これは、潜熱蓄熱材が完全に融解してしまうとその部位では吸熱作用が発揮されなくなるため、触媒温度の上昇が顕著になるからである。このように潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒において温度勾配が発生すると、排気浄化触媒の内部において局所的な熱応力が増大するため、排気浄化触媒の破壊が懸念される。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒を有する排気浄化装置において、排気浄化触媒内で発生する温度勾配に起因した排気浄化触媒の破壊を可及的に回避する内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
本発明において、上記課題を解決するために、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒に
おいて、その部位間の温度差が所定の温度差以上となる温度勾配状態が発生したと判断されるときに、その低温側の部位を優先的に加熱することで温度勾配状態での温度差を低減する構成を採用した。これにより、排気浄化触媒の内部で生じている温度分布における部位間の温度差を低減でき、以て、局所的な熱応力を低下させることが可能となる。
おいて、その部位間の温度差が所定の温度差以上となる温度勾配状態が発生したと判断されるときに、その低温側の部位を優先的に加熱することで温度勾配状態での温度差を低減する構成を採用した。これにより、排気浄化触媒の内部で生じている温度分布における部位間の温度差を低減でき、以て、局所的な熱応力を低下させることが可能となる。
詳細には、本発明は、内燃機関の排気浄化装置であって、内燃機関の排気通路に設けられ、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒と、電力の供給により前記排気浄化触媒を加熱する加熱装置と、前記排気浄化触媒においてその部位間の温度差が所定の温度差以上となる温度勾配状態の発生を、該排気浄化触媒に含まれる前記所定の潜熱蓄熱材の相変化に基づいて検知する検知手段と、前記検知手段によって前記温度勾配状態の発生が検知された場合、前記排気浄化触媒での該温度勾配状態において相対的に温度が低い低温部位を、前記加熱装置により他の部位より優先的に加熱する加熱制御手段と、を備える。
本発明に係る内燃機関の排気浄化装置は、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒を備える。所定の潜熱蓄熱材は、当該材質の相変化、特に、固相から液相への相変化時の潜熱を利用した蓄熱材である。排気浄化触媒が所定の潜熱蓄熱材を含むことで、排気浄化触媒に対して外部から供給された熱エネルギー(例えば、排気からの熱エネルギー)を、排気浄化触媒の温度を大きく上昇させることなく所定の潜熱蓄熱材で吸熱でき、以て、排気浄化触媒の過度な温度上昇を抑制することが可能となる。なお、排気浄化触媒における所定の潜熱蓄熱材の配置は、当該触媒担体の内部やその表面等、排気浄化触媒の排気浄化能が損なわれない範囲で適宜選択することができる。
ここで、上記排気浄化装置において、検知手段によって、温度勾配状態の発生が所定の潜熱蓄熱材の相変化に基づいて検知される。当該温度勾配状態は、排気浄化触媒での温度分布により、所定の潜熱蓄熱材の相変化が触媒部位で異なることで生じる触媒部位間の温度差に関する状態である。排気浄化触媒のある部位の温度が他の部位より上昇した結果、当該部位に含まれる所定の潜熱蓄熱材は、他の部位に含まれる所定の潜熱蓄熱材よりも早期に融解され液相状態を迎えることになる。そのため、多くの潜熱蓄熱材が融解してしまった部位においては、外部からの熱エネルギーをそれ以上所定の潜熱蓄熱材で吸熱することが困難となり、以て、当該部位の温度上昇が顕著となる。一方で、他の部位においては所定の潜熱蓄熱材がまだ固相状態である場合には、吸熱の余地が残されていることになる。この結果、排気浄化触媒の部位間の温度差が拡大し、それが所定の温度差以上となることで温度勾配状態が発生することになる。なお、当該所定の温度差は、排気浄化触媒において部位間の温度差が当該排気浄化触媒の破壊が懸念される程度にまで拡大したときの温度差であり、排気浄化触媒の強度等を踏まえて適宜設定することができる。
このように排気浄化触媒における温度勾配状態は、そこに含まれる所定の潜熱蓄熱材の相変化に従ったものである。そこで、検知手段は、当該所定の潜熱蓄熱材の相変化に基づいて排気浄化触媒における温度勾配状態の検知を行う。例えば、所定の潜熱蓄熱材が固相から液相に相変化した場合、当該所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒の所定部位の電気抵抗は増加することを考慮して、温度勾配状態の検知を行ってもよい。これは、所定の潜熱蓄熱材が液相の場合の電気抵抗が、固相の場合の電気抵抗よりも高くなる物理的性質を有することによる。その他、所定の潜熱蓄熱材の相変化と温度勾配状態との相関に関する他のパラメータを利用して、検知手段による検知が行われてもよい。
そして、温度勾配状態の発生が検知された場合、その温度勾配状態において温度が低い排気浄化触媒の部位である低温部位が、加熱制御手段によって、加熱装置を介して優先的に加熱される。このように低温部位が優先的に加熱されることで、温度勾配状態における触媒部位間の温度差が低減することになる。換言すると、加熱制御手段は、排気浄化触媒での温度勾配状態を解消するために、加熱装置を介して排気浄化触媒の一部である低温部
位を積極的に加熱する。これにより、排気浄化触媒内での温度勾配状態が解消され、熱応力による排気浄化触媒の破壊を回避することが可能となる。
位を積極的に加熱する。これにより、排気浄化触媒内での温度勾配状態が解消され、熱応力による排気浄化触媒の破壊を回避することが可能となる。
所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒を有する排気浄化装置において、排気浄化触媒内で発生する温度勾配に起因した排気浄化触媒の破壊を可及的に回避することが可能となる。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1に示す内燃機関1は、燃焼室内に燃料噴射を行う燃料噴射弁(不図示)と点火プラグ(不図示)を有する火花点火式内燃機関である。内燃機関1の吸気通路12には、その吸気流量を調整するスロットル弁13が設けられている。また、内燃機関1の排気通路2には、排気浄化を行うためのEHC(電気加熱式触媒)1が設けられている。EHC1は、その担体に敷設された電極への通電により担体に担持されている触媒の昇温を図る装置であるが、その具体的な構成については後述する。なお、EHC1への電力は、図示しないオルタネータ等で発電された電力を蓄電するバッテリ30から供給される。
そして、内燃機関10には、そこでの燃料噴射やスロットル弁13等の制御のための電子制御ユニットであるECU20が設けられている。具体的には、ECU20には、クランクポジションセンサ11やアクセル開度センサ14が電気的に接続されており、それぞれの検出値が渡されることで、内燃機関10の運転状態が把握され、燃料噴射量やスロットル開度が制御される。また、ECU20は、バッテリ30での蓄電量の監視やバッテリ30からの放電等の制御も行う。
ここで、EHC1の具体的な構成について図2および図3に基づいて説明する。図2は、排気の流れ方向に沿ったEHC1の断面図であり、図2における白抜き矢印は、排気通路2における排気の流れ方向を示している。また、図3は、図2に示すB−B断面図である。EHC1は、触媒担体3、ケース4、マット5、及び電極7を備えている。触媒担体3はケース4に収容されている。触媒担体3は、円柱状に形成されており、その中心軸が排気通路2の中心軸Aと同軸となるように設置されている。中心軸Aは、排気通路2、触媒担体3、及びケース4で共通の中心軸である。触媒担体3は、通電されると電気抵抗と
なって発熱する材料によって形成されている。触媒担体3の材料としては、SiCを例示することができる。触媒担体3は、排気の流れる方向(すなわち、中心軸Aの方向)に伸び且つ排気の流れる方向と垂直な断面がハニカム状をなす複数の通路を有している。この通路を排気が流通する。なお、中心軸Aと直交する方向の触媒担体3の断面形状は楕円形等であっても良い。
なって発熱する材料によって形成されている。触媒担体3の材料としては、SiCを例示することができる。触媒担体3は、排気の流れる方向(すなわち、中心軸Aの方向)に伸び且つ排気の流れる方向と垂直な断面がハニカム状をなす複数の通路を有している。この通路を排気が流通する。なお、中心軸Aと直交する方向の触媒担体3の断面形状は楕円形等であっても良い。
そして、この触媒担体3には三元触媒13が担持されるとともに、潜熱蓄熱材が含まれる。潜熱蓄熱材は、固相から液相への相変化時の潜熱を利用した蓄熱材であり、換言すれば、触媒の熱劣化抑制のために設定される所定温度近傍で結晶相の変化に起因した吸熱作用により、EHC1の過度な温度上昇を抑制し得るものである。潜熱蓄熱材としては、例えば、ジルコニウムを主成分とする合金、若しくは鉄、アルミ、クロムを主成分とする合金を利用でき、当該潜熱蓄熱材を触媒担体3の表面や細孔内部に付着させたり、または、当該潜熱蓄熱材を主成分とする合金自体を担体の基材材料として用いたりし、これらの成分率を適宜調整することで、EHC1の過度な温度上昇に起因する触媒の熱劣化を抑制することが可能となる。なお、EHC1を構成する触媒担体3に担持される触媒は、三元触媒に限られるものではなく、酸化触媒、吸蔵還元型NOx触媒、又は選択還元型NOx触媒であってもよく、排気浄化に適した触媒を適宜選択できる。
ここで、図2、図3に戻り、EHC1の詳細な構造について説明する。触媒担体3の外周面には一対の電極7が接続されている。電極7は、表面電極7a及び軸電極7bによって形成されている。表面電極7aは、触媒担体3の外周面に沿って周方向及び軸方向に、すなわち触媒担体3の外周面を覆うように延びている。また、表面電極7aは、触媒担体3の外周面に該触媒担体3を挟んで互いに対向するように設けられている。軸電極7bの一端は表面電極7aに接続されている。そして、ケース4内に形成された電極室9を通って軸電極7bの他端がケース4の外側に突出している。このように構成される電極7に対して、バッテリ30から電力が供給され、触媒担体3への通電が行われる。この通電によって触媒担体3が発熱すると、触媒担体3に担持された三元触媒13が加熱され、その活性化が促進される。このような電極7を介したEHC1内の触媒の活性化のための電力供給は、ECU20により制御される。
ここで、ケース4は、金属によって形成されている。ケース4を形成する材料としては、ステンレス鋼材を例示することができる。ケース4の内壁面と触媒担体3の外周面との間にはマット5が挟み込まれている。つまり、ケース4内において、触媒担体3がマット5によって支持されている。このマット5は、電気絶縁材によって形成されている。マット5を形成する材料としては、アルミナを主成分とするセラミックファイバーを例示することができる。このように、マット5が触媒担体3とケース4との間に挟み込まれていることで、触媒担体3に通電したときに、ケース4へ電気が漏れ出ることが抑制される。またマット5は、上流側部分5aと下流側部分5bとに分割されており、該上流側部分5aと下流側部分5bとの間には空間が形成されており、当該空間は、電極7の軸電極7bを通すための電極室9を画定する。なお、マット5を上流側部分5aと下流側部分5bとに分割することなく、マット5の電極7が通る部分にのみ貫通孔を空けることで、電極室となる空間を画定してもよい。
また、軸電極7bを通すためにケース4に開けられている貫通孔には、軸電極7bを支持する電極支持部材8が設けられている。この電極支持部材8は電気絶縁材によって形成されており、ケース4と軸電極7bとの間の絶縁性が保たれている。
このように、バッテリ30から電力供給される電極7を有するEHC1は、例えば、冷間始動時でも、電極7を介して供給された電力が触媒担体3に通電され、三元触媒13を速やかに活性化させることが可能となる。一方で、触媒担体3には、上述した潜熱蓄熱材
が含まれていることから、その吸熱作用により三元触媒13の過度な温度上昇を抑制することができる。例えば、内燃機関10で高負荷運転が行われた後にアイドリングが行われる等、内燃機関10からの排気中に含まれる未燃燃料成分や粒子状物質がEHC1上に堆積し、その後、その堆積物が短時間で酸化、燃焼してしまう状況等においては、多量の酸化エネルギーが発生するが、それを潜熱蓄熱材が吸熱することで、EHC1に担持された三元触媒13の温度上昇を抑制することができる。
が含まれていることから、その吸熱作用により三元触媒13の過度な温度上昇を抑制することができる。例えば、内燃機関10で高負荷運転が行われた後にアイドリングが行われる等、内燃機関10からの排気中に含まれる未燃燃料成分や粒子状物質がEHC1上に堆積し、その後、その堆積物が短時間で酸化、燃焼してしまう状況等においては、多量の酸化エネルギーが発生するが、それを潜熱蓄熱材が吸熱することで、EHC1に担持された三元触媒13の温度上昇を抑制することができる。
ここで、潜熱蓄熱材の吸熱の容量に余裕がある場合、すなわち、潜熱蓄熱材が固相状態から液相状態に完全に相変化していない場合は、上記の通り、EHC1に担持された三元触媒13の温度上昇を抑制できるが、液相状態への相変化が完了した状態では、潜熱蓄熱材による吸熱作用がなくなるため、EHC1の触媒担体3の温度が上昇しやすくなる。例えば、図4の上段(a)に示すように、触媒担体3を排気の流れに沿って上流側から部位31〜34の4部位に区分すると、上流側の部位31、32における反応熱や排気からの受熱分が、排気の流れに従って下流側の部位33、34に流れ込む。特に、最下流に位置する部位34では、排気の流れに従った熱の移動先がないため、部位の温度が上昇しやすい。
そこで、図4の下段(b)に、内燃機関10の冷間始動時の、触媒担体3の最上流側の部位31の温度推移と最下流側の部位34の温度推移を、それぞれ線L1、L2で示す。部位31は、内燃機関10からの排気が流入する部位であるため、当初は、部位34よりも温度は高くなるが、上記の通り、触媒担体3内での熱の移動により、部位34の温度の方が時間経過とともに高くなる。その後、タイミングt1において、部位34の温度が、そこに含まれる潜熱蓄熱材の固相から液相への相変化が起こる相変化温度に到達する。このとき、当該潜熱蓄熱材の吸熱作用により、部位34の温度上昇は一旦、鈍化するが、潜熱蓄熱材の相変化が完了したタイミングt2において、部位34の温度が再び上昇し始める。これは、部位34の潜熱蓄熱材が液相に相変化し終わり、吸熱作用を発揮することができなくなることによる。更に、潜熱蓄熱材の相変化が完了してしまうと、一般には液相状態にある場合の熱伝達率は固相状態にある場合の熱伝達率よりも低下するため、タイミングt2以降の部位34の温度上昇は、比較的顕著なものとなる。
一方で、部位31は、タイミングt2近傍の時期に相変化温度に到達するが、部位31への熱の流入と部位31からその他の部位への流出とが均衡状態となることで、部位31の温度は概ね一定となる。したがって、触媒担体3において部位31と部位34が、図4(b)に示すような温度推移を辿ると、例えば、タイミングt2以降のタイミングt3において、部位間の温度差がΔTにまで拡大し、その温度勾配に起因した熱応力により触媒担体3が破壊してしまうおそれがある。このような触媒担体3の熱破壊が生じ得る温度勾配が触媒担体3内に形成された状態を、温度勾配状態という。
このように、潜熱蓄熱材を含む触媒担体3を有するEHC1では、その部位間での潜熱蓄熱材の相変化の違いに起因して、触媒担体3に温度勾配状態が形成される可能性があり、当該温度勾配状態は、触媒担体3の保護の観点から好ましくない。そこで、本発明に係る内燃機関10の排気浄化装置では、触媒担体3において温度勾配状態の発生を検知した場合には、当該温度勾配状態の速やかな解消が、図7に示す熱破壊抑制制御によって図られる。以下に、熱破壊抑制制御の詳細について説明する。
先ず、図5及び図6に基づいて、触媒担体3における温度勾配状態の発生の検知について説明する。上記の通り、温度勾配状態は、触媒担体3に含まれる潜熱蓄熱材の相変化に起因して生じるものである。そこで、本実施例では、触媒担体3に含まれる潜熱蓄熱材の相変化を、触媒担体の電気抵抗の変化に基づいて検知する。具体的には、図5に示すように、触媒担体3の両側部に、各部位31〜34の電気抵抗を検出するための検出電極31
a〜34aを設ける。この検出電極31a〜34aは、触媒担体3上に設置されている表面電極7aと干渉しないように設置される。各検出電極31a〜34aによって検出された電気抵抗はECU20に渡され、ECU20内で各部位31〜34に含まれる潜熱蓄熱材の相変化の状態が検知されることになる。なお、触媒担体3の内部における温度分布が一様である場合には、各検出電極31a〜34aによって検出される各部位の電気抵抗は概ね同一であるとする。
a〜34aを設ける。この検出電極31a〜34aは、触媒担体3上に設置されている表面電極7aと干渉しないように設置される。各検出電極31a〜34aによって検出された電気抵抗はECU20に渡され、ECU20内で各部位31〜34に含まれる潜熱蓄熱材の相変化の状態が検知されることになる。なお、触媒担体3の内部における温度分布が一様である場合には、各検出電極31a〜34aによって検出される各部位の電気抵抗は概ね同一であるとする。
図6(a)に、図4(b)に示すタイミングt1、t2、t3に対応させた、検出電極34aによって検出された部位34の電気抵抗の推移が示されており、また、図6(b)に、同じようにタイミングt1、t2、t3に対応させた、触媒担体3において発生する熱応力の推移が示されている。なお、タイミングt3において、触媒担体3内の熱応力が、触媒担体3が熱破壊すると考えられる閾値の破壊限界応力を越えているものとする。タイミングt1に至るまでの時間では、部位34の温度は相変化温度に到達していないため、そこに含まれる潜熱蓄熱材は固相状態にある。そのため、部位34の電気抵抗は比較的低い値のR1を示している。そして、タイミングt1を経過すると、潜熱蓄熱材が固相状態から液相状態に変化していくため、タイミングt1からタイミングt2の間では部位34の電気抵抗は徐々に上昇し、潜熱蓄熱材の液相状態への変化が完了したタイミングt2以降では、部位34の電気抵抗は比較的高い値のR2を示している。
このように部位34の電気抵抗が推移するとき、部位31の温度は、図4(b)に示すように相変化温度から大きく上昇していないため、部位31においては固相状態と液相状態が混在した状態と考えられる。したがって、検出電極31aによって検出される部位31の電気抵抗は、上記抵抗値R1とR2の間の値となる。このように部位31の電気抵抗の値と部位34の電気抵抗の値の差分に基づいて、各部位に含まれる潜熱蓄熱材の相変化の状態を把握することができ、特に、潜熱蓄熱材が液相状態に変化完了してからの経過時間等に基づいて、各部位の温度を推測することが可能となる。この結果、触媒担体3における、上記の温度勾配状態の発生を検知することが可能となる。
以上を踏まえ、本発明に係る熱破壊抑制制御の制御フローについて、図7に基づいて説明する。図7は、ECU20によって行われる熱破壊抑制制御のフローチャートであり、当該制御は、ECU20によって所定の時間毎に繰り返し実行される。このECU20は、実質的にはCPU、メモリ等を含むコンピュータに相当し、そこで制御プログラムが実行されることで図7に示すフローチャートに係る制御や後述の各種の制御が実行される。
先ず、S101では、各検出電極31a〜34aを介して、触媒担体3の各部位31〜34の電気抵抗が検出される。図6(a)に示したように、各部位に含まれる潜熱蓄熱材の相変化状態に応じて、各部位の電気抵抗の値はR1からR2の間の値をとることになる。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
S102では、S101で検出された各部位の電気抵抗に基づいて、触媒担体3内に温度勾配状態が発生しているか否かが判定される。当該温度勾配状態は、上記の通り、触媒担体3が熱応力により破壊し得る温度差が部位間に生じた状態である。ここで、部位間に温度差が生じた場合でも、その部位間の距離が比較的長い場合には、部位間の温度勾配は小さくなる。逆に、部位間の距離が比較的短い場合には、部位間の温度勾配は大きくなる。したがって、S102での温度勾配状態の発生の判定処理においては、検出された各部位の電気抵抗とともに、部位間の距離を考慮するのが好ましい。例えば、各部位の電気抵抗値から推測される部位間の温度差を、その部位間の距離で除した値を、温度勾配を表すパラメータとし、その温度勾配パラメータを、基準となる値と比較することで、温度勾配状態の発生の判定を行うことができる。S102で肯定判定されるとS103へ進み、否定判定されると本制御を終了する。
S103では、電極7を介してEHC1に通電する。ここで、触媒担体3で温度勾配状態が発生していると、上述したように、触媒担体3の部位間に電気抵抗の違いが生まれていることになる。電極7は、表面電極7aが触媒担体3の全部位に接触するように配置されているため、電極7を介して通電すると、電気抵抗が低い部位、すなわち、温度が相対的に低い部位に優先的に電流が流れ、当該部位を優先的に温度上昇させることができる。例えば、図4(b)に示す例では、タイミングt3では部位34の電気抵抗はR2に至っているが、部位31の電気抵抗はそれよりも低い。そのため、EHC1に通電することで、部位34よりも、相対的に温度が低い部位31に優先的に電流を流し、部位31の温度を優先的に上昇させることができる。この結果、部位31に含まれる潜熱蓄熱材の相変化が進み、部位34と同じように液相状態への変化が完了すると、部位31と部位34との間に形成されていた温度勾配状態が解消することになり、触媒担体3の熱破壊を回避することができる。
なお、S103におけるEHC1への通電は、温度勾配状態を速やかに解消するために、バッテリ30からEHC1に供給し得る最大電力を供給するのが好ましい。このときの電力供給時間は、優先的に温度上昇される部位の温度が、温度勾配状態における高温側の部位(上記の実施例では部位34)の温度に近づいたと判断できる時間であり、バッテリ30からの供給電力に応じて可変的に調整してもよい。
このように本熱破壊抑制制御によれば、触媒担体3に含まれる潜熱蓄熱材の相変化の状態に基づいて、触媒担体3での温度勾配状態が検知されるとともに、当該温度勾配状態を形成する部位のうち低温側の部位の温度上昇が優先的に行われる。この結果、効果的に、熱応力による触媒担体の熱破壊を回避することが可能となる。なお、上記の実施例では、部位31と部位34との間に温度勾配状態が形成されたと想定して熱破壊抑制制御を説明したが、温度勾配状態が形成されるのはこれらの部位間に限られるものではない。上述したように、S102の判定処理において、検出された部位の電気抵抗と各部位の距離に基づいて、温度勾配状態が発生している部位間が特定されることになる。
<変形例>
上記実施例では、EHC1の構成として含まれている電極7を利用して、温度勾配状態の発生時の、所定部位の昇温制御を行った。この態様に代えて、当該昇温制御には、EHCとしての電極ではなく、触媒担体3の各部位ごとに設置された昇温装置を介して、温度勾配状態が発生している部位のうち低温側の部位を昇温させてもよい。
上記実施例では、EHC1の構成として含まれている電極7を利用して、温度勾配状態の発生時の、所定部位の昇温制御を行った。この態様に代えて、当該昇温制御には、EHCとしての電極ではなく、触媒担体3の各部位ごとに設置された昇温装置を介して、温度勾配状態が発生している部位のうち低温側の部位を昇温させてもよい。
1・・・・EHC(電気加熱式触媒)
2・・・・排気通路
3・・・・触媒担体
4・・・・ケース
5・・・・マット
7・・・・電極
10・・・・内燃機関
12・・・・吸気通路
13・・・・スロットル弁
20・・・・ECU
30・・・・バッテリ
31〜34・・・・部位
31a〜34a・・・・検出電極
2・・・・排気通路
3・・・・触媒担体
4・・・・ケース
5・・・・マット
7・・・・電極
10・・・・内燃機関
12・・・・吸気通路
13・・・・スロットル弁
20・・・・ECU
30・・・・バッテリ
31〜34・・・・部位
31a〜34a・・・・検出電極
Claims (1)
- 内燃機関の排気通路に設けられ、所定の潜熱蓄熱材を含む排気浄化触媒と、
電力の供給により前記排気浄化触媒を加熱する加熱装置と、
前記排気浄化触媒においてその部位間の温度差が所定の温度差以上となる温度勾配状態の発生を、該排気浄化触媒に含まれる前記所定の潜熱蓄熱材の相変化に基づいて検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記温度勾配状態の発生が検知された場合、前記排気浄化触媒での該温度勾配状態において相対的に温度が低い低温部位を、前記加熱装置により他の部位より優先的に加熱する加熱制御手段と、
を備える、内燃機関の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014078145A JP2015200193A (ja) | 2014-04-04 | 2014-04-04 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014078145A JP2015200193A (ja) | 2014-04-04 | 2014-04-04 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015200193A true JP2015200193A (ja) | 2015-11-12 |
Family
ID=54551701
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014078145A Pending JP2015200193A (ja) | 2014-04-04 | 2014-04-04 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015200193A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7381423B2 (ja) | 2020-09-03 | 2023-11-15 | 日野自動車株式会社 | 排気浄化装置 |
-
2014
- 2014-04-04 JP JP2014078145A patent/JP2015200193A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7381423B2 (ja) | 2020-09-03 | 2023-11-15 | 日野自動車株式会社 | 排気浄化装置 |
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