JP5146384B2 - 内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置および内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置および内燃機関の制御装置 Download PDF

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本発明は、内燃機関の排気管に取付けられたガスセンサのヒータへの通電を制御する装置と、これを有する内燃機関の制御装置に関するものである。
車両エンジンは、排気管に設置したガスセンサによって、エンジン本体から排出される排気ガス中のガス成分濃度を検出し、エンジン各部を制御している。例えば、空燃比センサを用いた空燃比フィードバック制御では、空燃比センサの検出値が目標値となるように燃料噴射量等を制御して、エンジンの燃焼状態を最適化し、また有害成分の排出を抑制している。空燃比センサ等のガスセンサは、一般に、酸素イオン導電性固体電解質体を基材とし、一対の電極を設けたガス検出部と、ガス検出部を活性状態とするためのヒータを備え、一対の電極を排気側空間および大気側空間にそれぞれ配置することで、排気ガス成分濃度に応じた出力が得られる構成となっている。
エンジン始動時には、速やかに空燃比フィードバック制御を開始するために、ヒータへの通電がなされガス検出部を活性化する。ところが、エンジン始動と同時にヒータ通電を開始すると、空燃比センサに付着していた排気ガス成分が気化してガス検出部近傍の雰囲気が変動する。この影響で、空燃比センサの出力が、エンジン始動時に実際の空燃比よりもリッチ側にずれた値となる問題が生じる。こうした問題は、エンジン停止と同時にヒータによる加熱が停止し、空燃比センサが冷却していく過程において、排気管内に残存する排気ガス成分が付着するために発生する。この出力ずれによって、空燃比センサを装着した車両のエミッションやドライバビリティ等が悪化する懸念がある。
出力ずれの問題を解決するために、従来のプレヒート技術を応用することが検討されている。プレヒート技術は、エンジン始動前にガスセンサを活性温度まで上昇させることを目的として実施されるもので、例えば特許文献1に記載がある。具体的にはエンジン始動が予測された時、例えば、ドアの開操作および施錠解除、運転者の着座、イグニッションキーのキーシリンダー差込を検知した時点で、ヒータ通電を開始する手段が設けられ、早期に昇温させることにより、センサ素子に付着した排気ガス成分を燃焼除去可能となる。
ただしプレヒート実施後、エンジンが始動されなかった場合、何度もプレヒートが実施されることになり、バッテリ上がりの問題を生じる。このため、特許文献1の装置では、ドア開放検出とイグニッションキーの挿入とエンジン始動を組み合わせ、検出された状態やバッテリ電圧に応じた通電を実施して、バッテリ上がりを回避している。
また、特許文献2、3には、排気ガス成分の付着による出力への影響を考慮した制御装置が開示されている。特許文献2は、低温始動時の出力ずれを回避する目的で、空燃比センサの本活性状態および半活性状態を判定する手段を設け、半活性状態にある時には、空燃比センサ出力を理論空燃比にマスクして対応している(オープン制御)。マスク実施時間は、エンジン停止後からの放置時間により設定する。特許文献3は、エンジン始動後の経過時間(リーン時間)または吸入空気量の積算値を計数し、所定の回復判定値に達するまでは、センサ素子の目標温度を通常より高温の回復目標温度としてヒータを制御し、早期回復を図っている。
特開2003−193897号公報 特開2008−138569号公報 特開2008−256707号公報
特許文献1の装置は、1回のサイクルにおいては、バッテリ上がりの問題が発生する可能性は低いものの、例えば、洗車等でドア開放が繰り返されるケースにおいては、ヒータ通電が何度も繰り返される。イグニッションキーの挿入でエンジン始動が無かった時にヒータ通電を止める場合も同様であり、バッテリ上がりを回避することは難しい。
また、ドア開放の時点ではヒータ通電を開始せず、イグニッションキーの挿入でヒータ通電してエンジン始動が無い場合にヒータ通電を止める制御においても、ラジオ、オーディオのみのON、OFF等で同様にバッテリ上がりが懸念される。さらに、バッテリ上がりの問題以外に、システムの複雑化によるコストアップ等の問題もある。
一方、特許文献2の装置は、排気ガス成分の影響がある間、空燃比センサ出力を理論空燃比とみなすもので、出力ずれが収束するまでは実際の空燃比を反映した出力が得られない。このため、低温始動になりやすい環境では、マスク中に車両が発進することで、エミッションが悪化しやすい。
特許文献3の装置は、排気ガス成分の脱離は促進されるものの、特性が回復したと判定されるまでは、排気ガス成分による出力ずれが解消しない。このため、エンジン停止期間が長い場合は、エミッションを改善できず、また、エンジン始動時にセンサ温度を必要以上に高温とすることで、センサ素子に対する被水割れ発生率が増加する。さらに排気ガス成分の影響があるか否か、特性が回復したか否かを、エンジン停止から始動までの時間や、素子温度、雰囲気温度等から判断しており、システムの複雑化によるコストアップが問題となる。
そこで、本願発明の目的は、排気管内に残存する排気ガス成分に起因する出力ずれを防止し、かつ頻繁な通電によるバッテリ上がりやシステムの複雑化によるコストアップといった問題を生じないヒータ制御装置を実現すること、そして、ガスセンサの出力に基づいて車両各部を制御することにより、排気エミッション悪化やドライバビリティ悪化を防止できる、簡易なシステムで信頼性の高い内燃機関の制御装置を提供することにある。
本願請求項1の発明は、内燃機関の排気管に設けられたガスセンサのヒータに対し通電制御をする内燃機関のガスセンサのヒータ制御装置であり、前記内燃機関の停止中に、前記ヒータへの通電を行って、前記ガスセンサに付着した排気ガス成分を脱離させる出力ずれ防止手段を備える。
前記出力ずれ防止手段は、
前記内燃機関の停止後の放置時間と、前記排気管内に残存する排気ガス中の燃料成分による再始動時の前記ガスセンサの出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間の許容値に対応する前記停止後の放置時間をヒータ通電実施時間t1として、前記内燃機関の停止後の経過時間が前記ヒータ通電実施時間t1に達した時点で前記ヒータへの通電を実施することを特徴とする。
本願請求項2の発明では、前記出力ずれ防止手段は、
前記ヒータ通電実施時間t1における前記ヒータへの通電後の放置時間と前記出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間の許容値に対応する前記通電後の放置時間からヒータ通電実施時間t2を設定して、該ヒータ通電実施時間t2に達した時点において、前記ヒータへの通電を再実施する。
本願請求項3の発明では、前記出力ずれ防止手段は、
前記ヒータ通電実施時間t1における前記ヒータへの通電後の放置時間と前記出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間が安定し、前記排気管内の雰囲気がほぼ大気に置換されたとみなされる前記通電後の放置時間から設定されたヒータ通電実施時間t2において、前記ヒータへの通電を再実施する。
本願請求項4の発明では、前記ヒータへの通電は、前記ガスセンサがセンサ使用温度域で前記排気ガス中の燃料成分を除去可能な温度にて所定時間保持されるように実施する。

本願請求項5の発明では、前記ガスセンサの出力ずれ収束時間は、前記内燃機関の再始動時に前記ガスセンサの出力が安定するのに要する時間であり、前記出力ずれ収束時間の許容値は、前記ガスセンサの出力に基づくフィードバック制御開始時間に基づいて設定される。
本願請求項6の発明では、前記内燃機関の停止後の放置時間を計測するタイマ手段を備え、該タイマ手段の計測結果に基づいて、前記出力ずれ防止手段を作動させる。
本願請求項7の発明では、前記内燃機関の停止後の放置時間と前記ガスセンサの温度および前記ガスセンサの出力ずれ収束時間との関係を予め知り、前記ガスセンサの温度を直接または間接的に検出する温度検出手段を設けて、該温度検出手段の出力に基づいて、前記出力ずれ防止手段を作動させる。
本願請求項8の発明では、前記温度検出手段が、前記ガスセンサのインピーダンスまたはアドミタンス、前記ヒータの抵抗値、前記排気管内の排気温度、または前記内燃機関の冷却水温度に基づいて、前記ガスセンサの温度を検出する。
本願請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置を備え、前記ガスセンサにより検出される排気ガス成分濃度が所定範囲となるようにフィードバック制御を実施する内燃機関の制御装置である。
本願請求項1の発明によれば、出力ずれ防止手段が、内燃機関の停止中にヒータ通電を実施し、ガスセンサに付着した排気ガス成分を燃焼させるので、再始動時や始動直前に複雑な制御を行うことなく、ガスセンサの出力ずれを防止できる。特に、内燃機関の停止後の放置時間と、排気管内の燃料成分による再始動時の出力ずれの関係に着目し、出力ずれ収束時間の許容値からヒータ通電実施時間t1を設定したので、再始動までの放置時間が短ければ出力ずれ防止手段は作動させず、不必要なヒータ通電はなされない。また、ヒータ通電実施時間t1に達すると出力ずれ防止手段が作動し、付着した排気ガス成分を除去するので、次回始動時の出力異常が回避できる。
よって、最小限の通電でバッテリ上がりを防止し、簡易なシステムでコストアップを抑制しながら、出力ずれを防止することができる。したがって、始動直後からガスセンサの出力に基づく内燃機関の制御が可能であり、排気エミッションやドライバビリティを改善して、信頼性を大きく向上させることができる。
本願請求項2の発明によれば、ヒータ通電実施時間t1後の放置時間が長くなり、再び排気ガス成分の吸着量が増加しても、ヒータ通電実施時間t2において再通電することで、出力ずれを許容時間内に収束させることができる。内燃機関の仕様や排気管形状によっては、排気ガス成分が残存しやすい場合があるが、ヒータ通電実施時間t1に加えてヒータ通電実施時間t2にて通電を実施することによって、出力ずれを確実に回避し、信頼性をさらに高めることができる。
本願請求項3の発明によれば、ヒータ通電実施時間t1後の放置時間が長くなり、再び排気ガス成分が付着しても、ヒータ通電実施時間t2において再通電することで除去し、その影響をより小さくできる。この時、排気管内がほぼ大気に置換され、排気ガス成分が大幅に減少した時点にて通電を実施すると、出力ずれを効率よく回避することができる。
本願請求項4の発明によれば、ヒータ通電により、ガスセンサを使用温度域まで加熱し、適当な時間保持することで、付着していた排気ガス成分を燃焼させて除去することができる。
本願請求項5の発明によれば、ガスセンサの出力が安定するのに要する時間の許容値を、フィードバック制御開始時間に基づいて設定するので、次回始動時のフィードバック制御開始時間までに、出力ずれを収束させて制御性を高めることができる。
本願請求項6の発明によれば、タイマ手段を用いることによって放置時間を容易に計測し、ヒータ通電実施時間t1においてヒータ通電を実施することができる。
本願請求項7の発明によれば、内燃機関停止後の放置時間と相関のあるガスセンサの温度を用いることによって、出力ずれ防止手段を作動させることもできる。
本願請求項8の発明によれば、ガスセンサの温度を、ガスセンサのインピーダンスまたはアドミタンス、ヒータ抵抗値から検出し、または排気温センサ、冷却水温センサの検出値を用いることによって、既存部材を利用して出力ずれ防止手段を作動させることができる。
本願請求項9の発明によれば、ガスセンサのヒータ制御装置を内燃機関の停止中に効果的に作動させることで、再始動時のガスセンサの信頼性を高め、その検出結果に基づくフィードバック制御を、制御性よく実施することができる。
(a)は本発明を適用した自動車用内燃機関の制御装置の構成を示す全体概略図であり、(b)は空燃比センサのセンサ素子の主要部断面図である。 (a)は本発明の第1実施形態におけるエンジン停止中のヒータ通電実施時間の設定方法を説明するためのタイムチャートであり、(b)はヒータ通電を実施しない場合のエンジン停止時間と出力ずれ収束時間の関係を示す図である。 (a)は仕様の異なる複数の車両についてエンジン再始動時の出力ずれ収束時間を比較して示す図であり、(b)は同車両についてソーク時間が異なる場合のエンジン再始動時の出力ずれ収束時間を比較して示す図である。 内燃機関のECUで実行される制御内容を示す第1のフローチャートである。 内燃機関のECUで実行される制御内容を示す第2のフローチャートである。 (a)はヒータ通電保持時間と出力回復率の関係を示す図であり、(b)は第1実施形態のヒータ通電制御による出力ずれ抑制効果を説明するための図である。 本発明の第2実施形態におけるエンジン停止中のヒータ通電実施時間の設定方法を説明するためのタイムチャートである。 内燃機関のECUで実行される制御内容を示す第3のフローチャートである。 本発明の第3実施形態におけるエンジン停止中のセンサ温度および排気管温度変化と、出力ずれ収束時間の関係を比較して示す図である。 内燃機関のECUで実行される制御内容を示す第4のフローチャートである。
(第1実施形態)
図1に本発明を自動車用内燃機関に適用した第1実施形態を示す。図1(a)は、ガスセンサのヒータ制御装置を付設した内燃機関の制御装置構成を示す概略図である。内燃機関の本体であるエンジン本体11は一般的な構成のもので、燃料の燃焼により動力を発生するとともに排気ガスを排気管12に排出する。排気管12には、排気中の特定ガス成分濃度を検出するためのガスセンサとして、空燃比センサ2が設置されており、図の下半部が管壁を貫通して排気管12内に突出位置している。空燃比センサ2は、そのヒータ制御を含む各種制御を実施する電子制御ユニット(ECU)13に接続されている。排気管12には、通常図示を略す排気浄化装置が配設されており、ECU13にて制御される所定の空燃比において、排気ガス中の有害成分を触媒作用等により除去する。
空燃比センサ2の排気管12内に位置する下半部は、有底筒状のカバー部材2bにセンサ素子2aが包囲された状態で排気ガスに晒される。排気ガスは、カバー部材2bの側面および底面に設けられた複数の通気孔を通過して、センサ素子2aの表面に到達する。空燃比センサ2のセンサ素子2aは、排気ガス中の酸素濃度に基づいてエンジン本体11内の燃焼室における空燃比を検出する。
センサ素子2aは、例えば限界電流式の一般的なもので、図1(b)に示すように、細長形状のセラミック基板37上に、略同一形状に成形したセラミックシート層を重ねて一体化した層状構造をなしている。この層状構造は、図中、上から、異物を排除するトラップ層31、所定の拡散抵抗でガスが流通可能な拡散層32、スペーサ33、固体電解質層34、スペーサ35が積層して、ガス検出部21を形成する。固体電解質層34は、例えばジルコニア系の固体電解質材を基材とし、トラップ層31および拡散層32は、例えば多孔質アルミナ等からなり、気孔径や気孔率を調整することで所望の特性を得ている。
上側のスペーサ33には板厚方向に貫通する切り欠きが形成されて、拡散層32と固体電解質層34との間に空洞201を形成する。空洞201位置には、固体電解質層34の上面に排気側電極38、下面に大気側電極39が形成されて、固体電解質層34および電極38、39でポンプセルを構成している。下側のスペーサ35には、電極38、39位置まで長さ方向に伸びる大きさで板厚方向に貫通する切り欠きが形成されている。この切り欠きにより、固体電解質層34と対向する絶縁層36との間に、大気通路202が形成され、排気管12の外部にて大気に開放されている。
ガス検出部の下側には、基板37の表面に導電性の薄膜をパターン形成したヒータ22が形成されており、ECU13の駆動回路132による通電制御で、センサ素子2a全体を加熱するようになっている。駆動回路132は、例えばオンデューティの調整で駆動電流を増減する。ポンプセルの電極38、39間にECU13の検出回路133から、所定の電圧を印加すると、電極38、39間に酸素濃度に応じた限界電流が流れ、これを検出回路133で測定することで、酸素濃度すなわち空燃比が知られるようになっている。
ECU13には、空燃比センサ2の他、エンジン冷却水温度を検出する水温センサ14、排気管12内の温度を検出する排気温センサ15の他、スロットル開度センサ、回転数センサといった各種センサからの検出信号やイグニッションスイッチ16からのオンオフ信号が入力されており、これら検出信号に基づいてエンジン本体11が所望の運転条件となるように、各部に制御信号を出力する。
ECU13はマイクロコンピュータ131を中心に構成された一般的な構成のもので、マイクロコンピュータ131と一方向若しくは双方向に通信可能な各種の駆動回路や入出力回路等の周辺回路を備えている。該周辺回路である前記検出回路133は、センサ素子2aのガス検出部21と接続され、駆動回路132は、センサ素子2aのヒータ22と接続される。マイクロコンピュータ131は演算を実行するCPU、作業領域としてのRAM、制御プログラムや種々のデータを格納したROM、バックアップRAM等からなる。
ここで、空燃比センサ2の出力に基づくフィードバック制御について説明する。自動車用内燃機関では、燃費の向上と有害ガス排出量の低減とを両立させるために、エンジン本体11の燃焼室における混合気の空燃比(A/F)を広範囲に制御する必要がある。排気管12に配設されて排気ガス中の有害成分を除去する排気浄化装置、例えば三元触媒は理論空燃比において浄化性能を効果的に発揮することから、ECU13は空燃比センサ2の検出値が理論空燃比となるように、燃料噴射量その他の制御値をフィードバック制御する。また、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンに使用されるNOx触媒等では、通常燃焼時のリーン雰囲気から一時的にリッチ雰囲気とすることにより有害成分を浄化しており、運転状態に応じた高度なフィードバック制御が要求される。
このような空燃比フィードバック制御を可能とするために、上記構成のセンサ素子2aは、電圧印加に伴い排気ガス中の酸素濃度に応じた限界電流が生ずる広域空燃比センサ(リニア空燃比センサ)として構成されている。空燃比センサ2による空燃比検出を良好に実施するには、センサ素子2aのガス検出部21を加熱して、活性状態に維持することが不可欠である。このため、センサ素子2aは、ガス検出部21にヒータ22を積層させた構造を有し、本発明のガスセンサのヒータ制御装置を構成するECU13により、ヒータ22の活性化通電制御を行っている。
ECU13による活性化通電制御では、エンジン本体11の始動後、センサ素子2aを活性温度まで昇温可能な電力を供給すべくオンデューティ100%にて通電がなされ、速やかな昇温がなされる。その後は、センサ素子2aが活性状態を維持するようにオンデューティがフィードバック制御され、センサ素子2aの温度を一定の値に保つようになっている。この時、センサ素子2aの温度と素子インピーダンスが相関関係を有することから、例えば、素子インピーダンスを検出して素子温度を推定することができる。センサ素子2aは、通常500℃以上を使用温度域とし、例えば700℃を目標温度として制御される。
ただし、空燃比センサ2には、エンジン本体11の停止中に、排気管12内に滞留する排気ガス成分が付着しており、これが始動後の昇温過程で放出されると、空燃比センサ2の出力が安定しなくなる。そこで本発明では、ヒータ制御装置に出力ずれ防止手段を設け、エンジン本体11の停止後に付着した排気ガス成分を脱離させる通電制御を実施する。出力ずれ防止手段は、エンジン本体11停止後の放置時間と、排気管12内に残存する排気ガス成分による再始動時の空燃比センサ2の出力ずれが収束するまでの時間(出力ずれ収束時間)とが一定の関係にあることを利用し、通電を実施する最適時期を設定する。具体的には、エンジン本体11停止後、徐々に増加する空燃比センサ2の出力ずれ収束時間が、予め設定した出力ずれ収束時間の許容値に達したら、ヒータ22への通電を行う。これにより、停止中の最適な時点にて最小限の通電を実施し、無駄な通電によるバッテリの消耗を防止しながら、空燃比センサ2の出力ずれを回避できる。
次に、図2〜図4により本実施形態における出力ずれ防止手段の詳細を説明する。図2(a)は、エンジン本体11の仕様の異なる複数の車両A、Bについて、出力ずれ防止手段によるヒータ通電制御を実施するタイミングを示すタイムチャートで、ヒータ通電制御を実施しない場合と比較して示している。横軸は、エンジン本体エンジン本体11の運転を停止した後、再始動するまでの時間(デッドソーク時間)、縦軸は、出力ずれ収束時間Δtである。複数の車両A、Bは、エンジン本体11の排気容量や排気管12に排気が滞留しやすい形状である等の違いにより、出力ずれの程度に違いがあり、ここでは、車両Aに対して車両Bの排気管12に残存する排気ガス成分濃度が濃く、出力ずれも生じやすいとして説明する。
まず、図2(b)により、ヒータ通電制御を実施しない場合の出力ずれについて説明する。図2(b)は、図2(a)の複数の車両A、Bについて、ヒータ通電制御を実施しない場合のみを取り出したものである。いずれもエンジン本体11停止後の時間経過とともに、出力ずれ収束時間ΔtA、ΔtBが増加していき、徐々に増加速度が緩やかになって、一定値に収束する。これは、エンジン停止直後は排気ガス成分が高濃度であるために、センサ素子2aの温度が急降下する過程で排気ガス成分が付着しやすく、その後は、排気ガス成分が拡散するとともに、センサ素子2aの温度低下も緩やかになるためであり、ほぼ外気温まで低下すると出力ずれも安定する。この時、排気管12内の排気ガス成分量が多い車両Bでは、センサ素子2aへの排気ガス成分の付着量も多くなることから、その影響による出力ずれがより大きくなり、出力ずれ収束時間ΔtB>ΔtAとなる。この関係を図3(a)に示す。
図3(a)は、エンジン本体11停止時の条件(デッドソーク時間)が同じ複数の車両A、Bについて、エンジン始動時からのセンサ出力信号(A/F値)の変化を示したものである。エンジン本体11の始動後、通常のエンジン活性化通電制御を行うことにより、センサ素子2aの温度が上昇する。これに伴い、センサ素子2aに付着していた排気ガス成分が脱離し始めるために、センサ素子2a周辺のA/F値が燃料リッチ側(図の下側)にシフトする。この出力ずれは排気ガス成分が脱離した後、周辺の雰囲気への影響がなくなるまで続くため、複数の車両A、Bにおいて出力ずれが収束する時間tA、tBは、出力ずれがない場合に正確なA/F値を出力し始める時間に対して、それぞれΔtA、ΔtB(出力ずれ収束時間)だけ遅れることになる。また、付着した排気ガス成分量が多い車両Bでより遅れが大きくなり、出力ずれ収束時間ΔtB>ΔtAとなる。
一方、この関係を同一車種について示すと、図3(b)のようになる。排気ガス成分の付着量は、エンジン停止から再始動するまでの時間(デッドソーク時間)に依存して増加することから、ソーク時間が短い場合の出力ずれに対し、ソーク時間が長い場合の出力ずれが大きくなる。すなわち、ソーク時間が短い場合の出力ずれ波形とソーク時間が長い場合の出力ずれ波形は、図3(a)の車両Aの波形と車両Bの波形の関係と同様になり、ソーク時間が短い場合の出力ずれ収束時間ΔtS<ソーク時間が長い場合の出力ずれ収束時間ΔtLである。
ここで、出力ずれが収束する前に、空燃比センサ2出力に基づくフィードバック制御が開始されると、正確なA/F値を出力することができずに燃焼や排ガス浄化性能が悪化してしまう。そこで、車種毎に異なる図2(b)の関係を予め試験等によって知り、図3(b)にて、出力ずれがない場合に正確なA/F値を出力し始める時間Xと、フィードバック(F/B)開始時間Yから、出力ずれ許容時間Δtmax(=Y−X)を設定して、この範囲内で出力ずれが収束するように、エンジン停止中のヒータ通電を実施する。
具体的には、図2(a)に示すように、出力ずれ収束時間ΔtA、ΔtBが、出力ずれ許容時間Δtmaxに達する時点t1A、t1Bを、ヒータ通電実施時間t1とする。ヒータ22への通電によりセンサ素子2aに付着していた排気ガス成分が脱離すると、出力ずれが小さくなる方向へ、出力ずれ収束時間ΔtA、ΔtBの特性線がシフトする。出力ずれが大きい車両Bでは、通電処理後に再び排気ガス成分が付着することにより、出力ずれが再び大きくなるため、シフト後の出力ずれ収束時間ΔtBが、出力ずれ許容時間Δtmaxに達する時点t2にて、再度、ヒータ通電を実施する(ヒータ通電実施時間t2)。これにより、出力ずれ収束時間ΔtBの特性線が、出力ずれが小さくなる方向へ再びシフトするが、その後の排気ガス成分による影響は小さく、出力ずれ許容時間Δtmaxを超えることはない。
このように、通常の車両では、エンジン停止中に少なくとも1回、多くても2回の通電実施により、排気ガス成分の付着による出力ずれを許容範囲内に抑え、所定のF/B開始時間に、フィードバック制御を遅滞なく開始することができる。ヒータ通電実施時間は、車種によって異なるが、ヒータ通電実施時間t1が例えば1時間程度、ヒータ通電実施時間t2が例えば5時間程度の放置時間に対応する。したがって、頻繁な通電によるバッテリ上がりを生じるおそれが小さく、制御も簡易である。基準となる出力ずれ許容時間Δtmaxは、車種による違いは小さいことから、図2(a)では、複数の車両A、Bで共通としたが、車両毎に設定することもできる。また、F/B開始時間までに出力ずれが収束すればよいので、出力ずれ許容時間Δtmax≦Y−Xとなるように設定されていてもよい。
図4、5は、出力ずれ防止手段として、ECU13のマイクロコンピュータ131で実行されるヒータ22への通電制御の内容を示すフローチャートである。図4は、出力ずれの大きい車両Bの場合であり、まずステップS1で、エンジン本体11が停止中か否かを、例えばイグニッションスイッチ16のオフにより判定する。エンジン停止中でなければその後の処理を実行することなく終了し、エンジン停止中と確認されると、ステップS2へ進む。ステップS2では、通電フラグがセットされているか否かを判定する。通電フラグは、ヒータ通電実施時間t1における第1回目の通電が終了していることを示すもので、後述するステップS6にてセットされる。
ステップS2が否定判定されると、ステップS3へ進み、ステップS2が肯定判定されると、ステップS7へ進む。ステップS3では、エンジン停止からの経過時間を読み込み、続くステップS4では、エンジン停止後の経過時間が、ヒータ通電実施時間t1に達したか否かを判定する。ECU13は、この通電制御に関連して、停止後の経過時間をカウントするタイマ手段を備え、タイマ手段から出力される経過時間を、ヒータ通電実施時間t1と比較する。経過時間がヒータ通電実施時間t1に達していなければ(経過時間<ヒータ通電実施時間t1)、ステップS1へ戻る。
ステップS4が肯定判定され、エンジン停止後の経過時間がヒータ通電実施時間t1に達した(経過時間≧ヒータ通電実施時間t1)場合は、ステップS5へ進んで、ヒータ通電を実行する。ヒータ通電は、空燃比センサ2の使用温度域で付着物質を除去可能な温度(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。通電時間Taは、エンジン停止後、ヒータ通電実施時間t1までに付着した排気ガス成分を脱離させるのに必要な保持時間である。車種や出力ずれ許容時間Δtmaxの設定値、必要な回復率によっても異なるが、通常2〜10秒間程度の範囲で適宜設定され、例えば4〜6秒間程度の通電で十分な効果が得られる。
図6(a)は、ヒータ通電保持時間と出力ずれ回復率の関係を一例として示すもので、空燃比センサ2の使用温度(700℃)に到達してからの保持時間を示している。使用温度に到達するまでの時間は、センサ仕様によって異なるが、例えば5〜10秒程度である。図示されるように、ヒータ通電保持時間が長くなるほど回復率が上昇し、約3秒で80%、約4秒でほぼ100%に到達する。通常は、回復率が100%となる通電時間Taを設定し、上記図2(a)に示したような出力ずれ特性が得られる。また、例えば出力ずれが比較的小さい車両において、通電時間Taを、例えば回復率が80%程度となるように設定することも可能である。これによって電力消費が抑制され、バッテリ上がりを防止する効果が高まる。
ステップS4が否定判定された場合は、ステップS1に戻ってステップS2以降をヒータ通電実施時間t1に達するまで繰り返す。ステップS5でヒータ通電がなされると、ステップS6へ進んで通電フラグをセットし、ステップS1へ戻る。ここで、一旦通電フラグがセットされると、ステップS2が否定判定されるので、経過時間がt1時間を超えてもステップS5のヒータ通電が繰り返しなされることはない。
ステップS2が肯定判定されてステップS7へ進んだ場合は、タイマ手段から出力される経過時間を読み込み、続くステップS8において、ヒータ通電実施時間t2と比較する。経過時間がヒータ通電実施時間t2に達していなければ(経過時間<ヒータ通電実施時間t2)、ステップS1へ戻る。ステップS8が肯定判定され、エンジン停止後の経過時間がヒータ通電実施時間t2に達した(経過時間≧ヒータ通電実施時間t2)場合は、ステップS9へ進んで、ヒータ通電を実行し、ステップS10で通電フラグをリセットして本ルーチンを終了する。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。
図5は、出力ずれの小さい車両Aの場合であり、まずステップS21で、エンジン本体11が停止中か否かを、例えばイグニッションスイッチ16のオフにより判定する。エンジン停止中でなければその後の処理を実行することなく終了し、エンジン停止中と確認されると、ステップS22へ進む。ステップS22では、経過時間を読み込み、続くステップS23において、エンジン停止後の経過時間が、ヒータ通電実施時間t1に達したか否かを判定する。タイマ手段から出力される経過時間を、ヒータ通電実施時間t1と比較して、経過時間がヒータ通電実施時間t1に達していなければ(経過時間<ヒータ通電実施時間t1)、ステップS21へ戻る。
ステップS23が肯定判定され、エンジン停止後の経過時間がヒータ通電実施時間t1と一致した場合は、ステップS24へ進んで、ヒータ通電を実行し、本ルーチンを終了する。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。
このように、出力ずれが小さい車両Aでは、エンジン本体11の停止後、適切なヒータ通電実施時間t1Aにおいて、1度のヒータ通電を実施することにより、再始動時の出力ずれ収束時間Δtが許容値を超えないようにすることができる。出力ずれが大きい車両Bにおいても、ヒータ通電実施時間t1Bにt2を加えた2度のヒータ通電によって、出力ずれを抑制する同様の効果が得られる。また、エンジン本体11の停止時間がヒータ通電実施時間t1Aより短ければ、ヒータ通電は不要であり、ヒータ通電実施時間t2より長くてもそれ以上のヒータ通電は不要であるので、極めて効率よく出力ずれが防止できる。
図6(b)は、車両Bについて、上記図4のフローチャートに基づくヒータ通電制御を実施した後の、エンジン始動時からのセンサ出力信号(A/F値)の変化を示したものである。図中には、ヒータ通電制御を実施しない場合の車両A、Bのセンサ出力信号(A/F値)を併せて示している。図示されるように、本発明のヒータ通電制御を行うことにより、出力ずれがほぼ解消され、フィードバック制御開始と同時に、正確なA/F値を出力することができる。
(第2実施形態)
図7、8に本発明の第2実施形態を示す。図7は、エンジン本体11の仕様の異なる複数の車両A、Bについて、本実施形態の出力ずれ防止手段によるヒータ通電制御のタイミングを示すタイムチャートである。本実施形態では、車種によらず、ヒータ通電時間t1、ヒータ通電時間t2において、ヒータ通電制御を行うものとする。図中、ヒータ通電時間t1の設定および制御方法は、上記第1実施形態と同様であり、説明を省略する。ヒータ通電時間t2の設定は、いずれの車両においても、出力ずれ収束時間Δtが出力ずれ許容時間Δtmaxを超えないようにし、例えば図示するように、出力ずれの大きい車両Bの出力ずれ収束時間ΔtBが、出力ずれ許容時間Δtmaxに達する時点t2にて、2度目のヒータ通電を実施するものとする。
図8は、本実施形態の出力ずれ防止手段として、ECU13で実行されるヒータ22への通電制御の内容を示すフローチャートであり、車両A、Bの両方に適用される。まずステップS31で、エンジン本体11が停止中か否かを、例えばイグニッションスイッチ16のオフにより判定する。エンジン停止中でなければその後の処理を実行することなく終了し、エンジン停止中と確認されると、ステップ32へ進む。ステップS32では、通電フラグがセットされているか否かを判定する。通電フラグは、ヒータ通電実施時間t1における第1回目の通電が終了していることを示すもので、後述するステップS36にてセットされる。
ステップS32が否定判定されると、ステップS33へ進み、ステップS32が肯定判定されると、ステップS37へ進む。ステップS33では、エンジン停止からの経過時間を読み込み、続くステップS34では、エンジン停止後の経過時間が、ヒータ通電実施時間t1に達したか否かを判定する。この時、ヒータ通電実施時間t1は、車両毎に適合されたヒータ通電実施時間t1A(車両A)、ヒータ通電実施時間t1B(車両B)を用いる。ECU13のタイマ手段から出力される経過時間を、ヒータ通電実施時間t1と比較し、経過時間がヒータ通電実施時間t1に達していなければ(経過時間<ヒータ通電実施時間t1)、ステップS31へ戻る。
ステップS34が肯定判定され、エンジン停止後の経過時間がヒータ通電実施時間t1に達した(経過時間≧ヒータ通電実施時間t1)場合は、ステップS35へ進んで、ヒータ通電を実行する。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。通電時間Taの設定方法については、上記第1実施形態と同様とする。
ステップS34が否定判定された場合は、ステップS31に戻ってステップS32以降をヒータ通電実施時間t1に達するまで繰り返す。ステップS35でヒータ通電がなされると、ステップS36へ進んで通電フラグをセットし、ステップS31へ戻る。ここで、一旦通電フラグがセットされると、ステップS32が肯定判定されるので、経過時間がt1時間を超えてもステップS35のヒータ通電が繰り返しなされることはない。
ステップS32が肯定判定されて、ステップS37へ進んだ場合は、タイマ手段から出力される経過時間を読み込み、続くステップS38において、ヒータ通電実施時間t2と比較する。経過時間がヒータ通電実施時間t2に達していなければ(経過時間<ヒータ通電実施時間t2)、ステップS31へ戻る。ステップS38が肯定判定され、エンジン停止後の経過時間がヒータ通電実施時間t2に達した(経過時間≧ヒータ通電実施時間t1)場合は、ステップS39へ進んで、ヒータ通電を実行し、ステップS40で通電フラグをリセットして本ルーチンを終了する。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Tb保持することにより行われる。
ここで、図示するように、ヒータ通電実施時間t2の時点では、出力ずれの大きい車両Bは、出力ずれ収束時間ΔtBが、出力ずれ許容時間Δtmaxに達しているが、出力ずれの小さい車両Aの出力ずれ収束時間ΔtAは、出力ずれ許容時間Δtmaxに達していない。これは、一定のヒータ通電実施時間t2では、空燃比センサ2のセンサ素子2aに付着している排気ガス成分量が、車両毎に異なるためであり、排気ガス成分を脱離させるための通電時間Tbも、車両毎に適宜設定する。車両Bは、出力ずれ収束時間ΔtBが、出力ずれ許容時間Δtmaxに達しているため、通電時間Tb=通電時間Taとすることで、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
出力ずれの小さい車両Aは、排気ガス成分を脱離させるために必要な通電時間Tb(<通電時間Ta)を適宜設定する。これにより、図示するように出力ずれ収束時間ΔtAの特性線がシフトし、出力ずれを防止する効果を大きく向上させる。また、ヒータ通電後の必要な回復率によっては、通電時間Tbをさらに短縮して最小限のヒータ通電にて出力ずれを抑制することもできる。
(第3実施形態)
図9、10に本発明の第3実施形態を示す。上記第1、2実施形態では、ヒータ通電時間t1、t2に到達したか否かを判定するために、ECU13にタイマ手段を設けてエンジン本体11停止後の経過時間をカウントするようにしたが、本実施形態では、経過時間と同様に出力ずれ収束時間Δtと相関のあるセンサ素子2aの温度等を用いて判定を行う。センサ素子2aの温度は、センサ素子2aのインピーダンスもしくはアドミタンスの他、ヒータ抵抗により検出することができる。あるいは、センサ素子2aの温度と相関のある排気管12内の温度やエンジン冷却水の温度等を用い、ヒータ通電時間t1、t2を設定するようにしてもよい。
図9は、エンジン停止後の空燃比センサ2の温度および排気管12の温度の変化を示したもので、出力ずれ収束時間Δtの変化を併せて示している。空燃比センサ2の温度は、センサ素子2aのインピーダンスから、排気管12の温度は排気温センサ15を用いてモニタした。図に明らかなように、空燃比センサ2の温度は、エンジン停止により700℃から300℃付近まで急激に降下し、その後は緩やかに降下する。この傾向は、排気管12の温度変化と同様であり、排気管温度の方がやや遅れて全体的に緩やかに降下する。
出力ずれの発生原因となる排気中の排気ガス成分は、エンジン本体11の停止直後に空燃比センサ2が冷えていく過程で最も多くセンサ素子2aに付着する。図より、出力ずれ収束時間の変化が、空燃比センサ2の温度変化に追従しており、素子温度の低下に伴って出力ずれ収束時間が急上昇し、温度低下が緩やかになると、出力ずれも収束に向かうことが分かる。そこで、図示の温度特性より、例えば吸着律速となる温度(約300℃ないしその前後)をヒータ通電実施温度T1、対応する時間をヒータ通電実施時間t1として、上記実施形態と同様に、付着物質を除去できる500℃以上で数秒間程度、ヒータ通電を実施することで同様の効果が得られる。この時、ヒータ通電実施温度T1における出力ずれ収束時間Δtが、前述した出力ずれ許容時間Δmax以下となるように設定することが好ましい。
この場合も、ヒータ通電実施温度T1でのヒータ通電後において、排気管12内に残存している排気ガス成分が、再度センサ素子2aに付着する。このため、センサ素子2aの温度が十分低下した時点(例えば約100℃ないしその前後)を、ヒータ通電実施温度T2(対応する時間をヒータ通電実施時間t2)として、再度ヒータ通電する。ただし、再度吸着する量はエンジン始動直後に対して排気ガス成分濃度が低減されているため、大幅に減少しており、ヒータ通電温度、時間等はこれに応じて適宜設定すればよい。
その後、センサ素子2aの温度、排気管内温度が大気とほぼ同じになると、排気ガス成分はそれ以上付着しない。そこで、車両が長期放置される場合等は、必要により、さらにヒータ通電実施温度T3(対応する時間をヒータ通電実施時間t3)を設定として、再度ヒータ通電することもできる。また、再度付着する量はエンジン始動直後に対して排気ガス成分濃度が低減されているため、大幅に減少しており、ヒータ通電温度、時間等はこれに応じて適宜設定すればよい。
図10は、本実施形態の出力ずれ防止手段として、ECU13で実行されるヒータ22への通電制御の内容を示すフローチャートであり、車両A、Bの両方に適用される。まずステップS41で、エンジン本体11が停止中か否かを、例えばイグニッションスイッチ16のオフにより判定する。エンジン停止中でなければその後の処理を実行することなく終了し、エンジン停止中と確認されると、ステップS42へ進み、通電フラグがセットされているか否かを判定する。通電フラグは、ヒータ通電実施時間t1における第1回目の通電が終了していることを示すもので、後述するステップS46にてセットされる。
ステップS42が否定判定されると、ステップS43へ進み、ステップS42が肯定判定されると、ステップS47へ進む。ステップS43では、センサ素子2aの温度を読み込む。センサ素子2aの温度は、例えばセンサ素子2aのインピーダンスもしくはアドミタンス、ヒータ抵抗により検出する。
続くステップS44では、ステップS43で検出したセンサ温度が、ヒータ通電実施時間t1に相当するヒータ通電実施温度T1以下となったか否かを判定する。否定判定された場合は、ステップS41へ戻る。ステップS44が肯定判定された場合は、ステップS45へ進んで、ヒータ通電を実行し、ステップS46へ進んで通電フラグをセットし、ステップS41へ戻る。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域で付着成分が脱離可能な温度(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。通電時間Taの設定方法については、上記第1実施形態と同様とする。
ステップS42が肯定判定され、ステップS47へ進んだ場合は、センサ温度を検出し、続くステップS48で検出したセンサ温度が、ヒータ通電実施時間t2に相当するヒータ通電実施温度T2以下となったか否かを判定する。否定判定された場合はS41へ戻る。ステップS48が肯定判定された場合は、ステップS49へ進んで、ヒータ通電を実行し、ステップS50で通電フラグをリセットして本ルーチンを終了する。ヒータ通電は、上記ステップS5と同様に、空燃比センサ2の使用温度域(例えば500℃以上)において、所定の通電時間Ta保持することにより行われる。
上記実施形態では、空燃比センサ2のヒータ制御装置について説明したが、本発明は、内燃機関の排気管に装着される酸素センサ、NOxセンサ、その他、排気ガス中のガス成分濃度を検出するガスセンサのヒータ制御にも適用することができる。また、例えば自動車以外の内燃機関にも好適に使用されて、始動時の出力ずれを防止し、フィードバック制御を良好に行うことができる。
11 エンジン本体
12 排気管
13 ECU(出力ずれ防止手段)
14 冷却水温センサ
15 排気温センサ
16 イグニッションスイッチ
2 空燃比センサ(ガスセンサ)
21 検出部
22 ヒータ
2a センサ素子
2b カバー

Claims (9)

  1. 内燃機関の排気管に設けられたガスセンサのヒータに対し通電制御をするガスセンサのヒータ制御装置において、
    前記内燃機関の停止中に、前記ヒータへの通電を行って、前記ガスセンサに付着した排気ガス成分を脱離させる出力ずれ防止手段を設け、
    前記出力ずれ防止手段は、
    前記内燃機関の停止後の放置時間と、前記排気管内に残存する排気ガス中の燃料成分による再始動時の前記ガスセンサの出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間の許容値に対応する前記停止後の放置時間をヒータ通電実施時間t1として、前記内燃機関の停止後の経過時間が前記ヒータ通電実施時間t1に達した時点で前記ヒータへの通電を実施することを特徴とする内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  2. 前記出力ずれ防止手段は、
    前記ヒータ通電実施時間t1における前記ヒータへの通電後の放置時間と前記出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間の許容値に対応する前記通電後の放置時間からヒータ通電実施時間t2を設定して、該ヒータ通電実施時間t2に達した時点において、前記ヒータへの通電を再実施する請求項1記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  3. 前記出力ずれ防止手段は、
    前記ヒータ通電実施時間t1における前記ヒータへの通電後の放置時間と前記出力ずれ収束時間との関係を予め知り、該関係に基づいて、前記出力ずれ収束時間が安定し、前記排気管内の雰囲気がほぼ大気に置換されたとみなされる前記通電後の放置時間から設定されたヒータ通電実施時間t2において、前記ヒータへの通電を再実施する請求項1記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  4. 前記ヒータへの通電は、前記ガスセンサがセンサ使用温度域で前記排気ガス中の燃料成分を除去可能な温度にて所定時間保持されるように実施する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  5. 前記ガスセンサの出力ずれ収束時間は、前記内燃機関の再始動時に前記ガスセンサの出力が安定するのに要する時間であり、前記出力ずれ収束時間の許容値は、前記ガスセンサの出力に基づくフィードバック制御開始時間に基づいて設定される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  6. 前記内燃機関の停止後の放置時間を計測するタイマ手段を備え、該タイマ手段の出力に基づいて、前記出力ずれ防止手段を作動させる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  7. 前記内燃機関の停止後の放置時間と前記ガスセンサの温度および前記ガスセンサの出力ずれ収束時間との関係を予め知り、前記ガスセンサの温度を直接または間接的に検出する温度検出手段を設けて、該温度検出手段の出力に基づいて、前記出力ずれ防止手段を作動させる請求項1ないし5のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  8. 前記温度検出手段が、前記ガスセンサのインピーダンスまたはアドミタンス、前記ヒータの抵抗値、前記排気管内の排気温度、または前記内燃機関の冷却水温度に基づいて、前記ガスセンサの温度を検出する請求項7記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の内燃機関用ガスセンサのヒータ制御装置を備え、前記ガスセンサにより検出される排気ガス成分濃度が所定範囲となるようにフィードバック制御を実施する内燃機関の制御装置。
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