JP2015199730A - 皮膚外用剤の使用性の評価法及び該評価法で使用性に優れると判別される皮膚外用剤 - Google Patents

皮膚外用剤の使用性の評価法及び該評価法で使用性に優れると判別される皮膚外用剤 Download PDF

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孝明 増田
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Abstract

【課題】皮膚外用剤の使用性、特に炎症の存する肌における使用性を的確に評価、判別する手段の提供。
【解決手段】クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有した、最外相に水相を有する乳化剤形の皮膚外用剤であって、該皮膚外用剤の粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤の、少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとった場合に、前記皮膚外用剤は使用性に優れると判別する皮膚外用剤の評価法。皮膚外用剤は炎症を有する皮膚、とりわけ、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚に適用されるべきものである皮膚外用剤の評価法。
【選択図】なし

Description

本発明は、クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有する皮膚外用剤の評価法及び該評価法により使用性に優れると判別される皮膚外用剤に関し、更に詳細には、スプレッドメーターを用いて測定した広がり直径の温度による分散の多少を指標とする皮膚外用剤の評価法に関する。
皮膚外用剤は、皮膚に塗布する形態で使用される医薬、化粧品の総称であり、その目的は皮膚を患部とする疾患の治療であったり、皮膚の機能を整えるものであったりする。皮膚の疾患としては、炎症、外傷、感染症などが存するが、炎症の占める割合は大きく、また、炎症の種類そのものも多様である。現状としては、炎症の種類に合わせて、有効成分をステロイド系抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、非ステロイド系抗炎症剤と使い分けているのが現状である。このような炎症の処置においては、使用する皮膚外用剤の物理的特性も考慮されなければならない。即ち、硬度の高いクリームなどを皮膚に塗布することは、この塗布という動作により刺激が惹起され、この刺激により炎症の昂進が誘起され症状の悪化を招くことがあるといわれている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4を参照)。特に、アトピー性皮膚炎においては、その患者の多くが、一過性の刺激を感じやすい敏感肌になっているといわれており、その人たちが治療に用いる、ステロイド剤、特に、クロベタゾン及び/又はそのエステルにおいては、その因子の意味合いは大きく、その意味で炎症を起こした皮膚に特化した製剤設計が望まれているが、まだこのような製剤設計は実質的になされていない。
一方、スプレッドメーターは塗布時の展延性を測定する機器であり、これにより、製剤の固さを測定することに用いられている(例えば、特許文献5、特許文献6を参照)。また、この測定値をのびの代替値とすることも行われている(例えば、特許文献7を参照)。しかしながら、この値の温度変化に対する分散値を用いて製剤の使用性の指標にする試みはなされていない。また、このような分散値が使用性、特に、炎症の存する肌での使用性と関係があることも全く知られていなかった。
特開2009−114081号公報 特開2003−342146号公報 特開2004−196717号公報 特開2004−210730号公報 特開2006−8710号公報 特開2006−8709号公報 特開2005−15407号公報
本発明は、このような状況下なされたものであり、クロベタゾン及び/又はそのエステル皮膚外用剤の使用性、特に炎症の存する肌における使用性を的確に評価、判別する手段を提供することを課題とする。
このような状況に鑑みて、本発明者らは、クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有する皮膚外用剤の使用性、特に炎症の存する肌における使用性を的確に評価、判別する手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、最外相に水相を有する乳化剤形の皮膚外用剤であって、該皮膚外用剤の粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤の評価方法において、該皮膚外用剤の少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとった場合に、前記皮膚外用剤は使用性に優れると判別することにより、的確な皮膚外用剤の使用性の評価、判別がなし得ることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
<1>クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有する、最外相に水相を有する乳化剤形の皮膚外用剤であって、該皮膚外用剤の粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤の評価方法において、該皮膚外用剤の少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとった場合に、前記皮膚外用剤は使用性に優れると判別する、皮膚外用剤の評価法。
<2>少なくとも2種の温度は、室温付近の温度、室温より高い温度及び室温より低い温度であることを特徴とする、<1>に記載の評価法。
<3>室温付近の温度は25℃、室温より高い温度は32℃、室温より低い温度は5℃であることを特徴とする、<2>に記載の評価法。
<4>前記皮膚外用剤は、炎症を有する皮膚に適用されるべきものであることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の皮膚外用剤の評価法。
<5>前記炎症を有する皮膚は、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚であることを特徴とする、<4>に記載の評価法。
<6><1>〜<5>何れか1項に記載の評価法において、使用性に優れると判別された皮膚外用剤。
<7>クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有し、最外相に水相を有する乳化剤形を有し、粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤であって、
スプレッドメーターを用いて測定した広がり直径の測定値の温度変化による分散が1〜4の値であることを特徴とする、皮膚外用剤。
<8>1)カルボキシビニルポリマー及び/またはその塩及びノニオン性界面活性剤を含有する、水中油乳化剤形の外用組成物であって、界面活性剤としてノニオン性界面活性剤のみを含有する形態であることを特徴とする、<6>または<7>に記載の皮膚外用剤。
<9>界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤のみを含有することを特徴とする、<6>〜<8>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
<10>実質的に脂肪酸を配合しない形態であることを特徴とする、<6>〜<9>何れか1項に記載の皮膚外用剤。
本発明によれば、皮膚外用剤の使用性、特に炎症の存する肌における使用性を的確に評価、判別する手段を提供することができる。また、使用性、特に炎症の存する肌における使用性の良い皮膚外用剤を提供できる。
本発明に関わる、クロベタゾンは、IUPAC名では21−クロロ−9−フルオロ−17−ヒドロキシ−16β−メチル−1,4−プレグナジエン−3,11,20−トリオン(21−Chloro−9−fluoro−17−hydroxy−16β−methyl−1,4−pregnadiene−3,11,20−trione)であり、そのエステルとしては炭素数1〜6のアルキルエステルが好ましく例示でき、中でも、炭素数4の酪酸エステル(酪酸クロベタゾン)が特に好適に例示できる。
酪酸クロベタゾンは、クロベタゾン酪酸エステルとも称し、IUPAC名は、21−クロロ−9−フルオロ−17−ヒドロキシ−16β−メチル−1,4−プレグナジエン−3,11,20−トリオン−17−ブチレート(21−Chloro−9−fluoro−17−hydroxy−16β−methyl−1,4−pregnadiene−3,11,20−trione 17−butyrate)であり、適度な局所抗炎症作用を持ちながら全身的作用の少ない、いわゆる安全域の広い外用副腎皮質ホルモン剤として開発されたステロイド骨格を有する薬物であり、その構造式は式(1)に示す通りである。
式(1)
酪酸クロベタゾンの外用医薬組成物における好ましい含有量は、現在市場で使用されている製剤に準じていれば良く、具体的には、0.01〜1.0質量%が好ましく、0.01質量%〜0.1質量%が好ましく、より好ましくは、0.02〜0.08質量%である。この量比の範囲であれば、免疫抑制による、感染症の拡大を伴うことなく、抗炎症作用を発現することができる。かかる酪酸クロベタゾンの有効性が発揮できる疾患としては、例えば、アトピー性皮膚炎、顔面、頸部、腋窩、陰部における湿疹、皮膚炎等が好適に例示できる。特に、皮膚バリア機能が低下し一過性の刺激感を感じやすい人、言い換えれば、粘着テープで採取した角層細胞の面積を計測した場合(特開2000−116623号公報、特開2003−344390号公報を参照)、平均値として、600〜800μm、より的確には650〜700μmの大きさの人に適用する場合、一過性の刺激感の発現が抑制されるので好ましい。このような人の代表例の一つとして、乳幼児が好適に例示できる。
本発明の前記クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有し、最外相に水相を有し、粘度が25℃で1000〜3000mPa・s、より好ましくは、1500〜2500mPa・sの乳化剤形の皮膚外用剤である。本発明の評価法は、該皮膚外用剤の少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し(以下、測定値を「スプレッドメーター直径」という場合がある。)、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとった場合に、前記皮膚外用剤は使用性に優れると判別することを特徴とする。通常乳化剤形の皮膚外用剤の場合、安定性を持たせるためには、乳化粒子が容易に合一しないように粘度を25℃で3000mPa・s程度に保っておく必要が存する。25℃で3000mPa・s程度の粘度を呈する乳化物は、5℃では5000mPa・s程度、40℃では1000mPa・s程度の粘度を示すのが通常である。これは、粘性構造が、分子間親和力や、ワックス類の乳化構造に起因するためであると思われる。このため、32℃程度で適切な展延性を示すものであっても、5℃、あるいは40℃では全く異なった展延性を示し、使用感が著しく異なってくる。本発明の評価法では、この使用感の温度依存性を鑑別し、温度により使用性の変化が少ないものを良い製剤と評価することを特徴とする。このような評価を行うことにより、温度に関係なく一定の使用性を呈する皮膚外用剤を選択することができ、低温下で塗布による刺激感を発現する製剤を避けることができる。このことは、抗炎症のための皮膚外用剤においては、皮膚外用剤の投与が症状改善に直結するので有利である。言い換えれば、使用条件を考慮せずに、抗炎症用の皮膚外用剤を投与することができる。なお、最外相に水相を配する乳化剤形とは、水相中に油滴乃至は油中水乳化滴が分散した状態の乳化物を意味する。
従って、本発明の評価法では、少なくとも2種の温度としては、最低通常の使用温度である25℃付近と、低温で展延性が阻害される5℃付近の温度を用いることが好ましく、加えて室温の上限値である40℃付近の温度も用いることが好ましい。これらの温度におけるスプレッドメーター直径を計測し、各温度の平均スプレッドメーター直径を算出し、各温度の平均スプレッドメーター直径間の分散値を求め、この分散値を用いて皮膚外用剤の評価・判別を行うことが好ましい。分散値に代えて、分散値の平方根である標準偏差を用いることもできる。これらの値が、分散値に換算して、1〜4である場合に、更に好ましくは1.2〜3.6ある場合に、当該皮膚外用剤の使用性は良いと判別、評価する。
本発明の評価法は、クロベタゾン及び/又はそのエステルに加え、1)アルキル変性されていても良いカルボキシビニルポリマー及び/またはその塩、2)ノニオン性界面活性剤、3)該カルボキシビニルポリマーを中和すべきアルカリ剤を必須成分として含有する皮膚外用剤の評価に好適である。
本発明の皮膚外用剤は、前記クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有し、最外相に水相を配する乳化物であって、上記物理的特性、即ち、該皮膚外用剤の粘度が25℃で1000〜3000mPa・s、より好ましくは、1500〜2500mPa・sの皮膚外用剤の評価方法において、該皮膚外用剤の少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとるものであることを特徴とする。前記粘度は、例えば、コーンプレート型粘度計(装置機種名:RE−80R、製造会社名:東機産業、条件:ローター:3°×R14、測定温度:25℃、回転数:50rpm、測定時間:3分)で測定したものが好ましく例示できる。
本発明の皮膚外用剤は、最外相に水相を有する乳化剤形を有し、粘度が25℃で1000〜3000mPa・s、好ましくは、1500〜2500mPa・sの皮膚外用剤であって、スプレッドメーターを用いて測定した広がり直径の測定値の温度変化による分散が1〜4、好ましくは1.2〜3.6の値である。該分散は、上述した方法により求めることができる。
このような皮膚外用剤は、使用性に優れる。
本発明の皮膚外用剤は、例えば、1)カルボキシビニルポリマー及び/またはその塩、2)ノニオン性界面活性剤、3)該カルボキシビニルポリマーを中和すべきアルカリ剤を含有することが好ましい。
また、本発明の皮膚外用剤は、例えば、次の工程で調製することができる。
即ち、ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度で、水中油乳化物を調製し、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度まで冷却した後、カルボキシビニルポリマーを加え、しかる後に該カルボキシビニルポリマーをアルカリ剤で中和することを特徴とする。ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度としては、複数のノニオン性界面活性剤が存在する場合は、もっとも高い方の曇点温度を採用することが好ましく、大凡75〜90℃の温度が適用される。また、ノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度としては、複数のノニオン性界面活性剤が存在する場合は、もっとも低い方の曇点温度を採用することが好ましく、大凡20〜65℃が好ましく、より好ましくは25〜50℃であり、更に好ましくは、25〜35℃である。カルボキシビニルポリマーは流動性を示す、最低限度に近い水分添加量で溶解し加えることが好ましく、具体的には5〜65質量%の水に溶解せしめて加えるのが好ましい。かかる水の量は、皮膚外用剤全体に対しては、35〜60質量%であることが望ましい。又、その後加えるアルカリ剤も分散を阻害しない程度に水で希釈して加えるのが好ましく、具体的には、1〜5質量%の水で希釈して加えることが好ましい。残余の水は、水中油乳化物を調製する水相として加えることが好ましい。以下、調製の手順を工程に分けて説明する。
<工程1>
あらかじめ、カルボキシビニルポリマーを少量の水で溶解させ、カルボキシビニルポリマー液を調製する。同様にアルカリ剤水溶液を調製する。この2種の液をそれぞれ添加すべきノニオン性界面活性剤の曇点以下の温度に温度調整しておく。
<工程2>
残余の水と、水性成分、例えば、多価アルコールや水溶性の添加物を合わせ、乳化温度である曇点より高い温度に調整しておく。同時に、ノニオン性界面活性剤を含む油性成分を合わせ、乳化温度である曇点より高い温度に調整しておく。
<工程3>
ノニオン性界面活性剤の曇点より高い温度に調整した水相に、同様に曇点より高い温度に調整した油相を攪拌下徐々に加え、水中油乳化物を調製し、これを攪拌、冷却し、曇点以下まで冷却する。曇点以下の温度になったら、攪拌下徐々にカルボキシビニルポリマー液を添加する。添加後、一様になるまで攪拌し、しかる後に、アルカリ剤水溶液を徐々に加え、本発明の皮膚外用剤を得る。
ここで、アルカリ剤水溶液の添加は、本発明の組成物のpHが、好ましくは4〜8となるように行うことができる。また、本発明の組成物のpHの下限値は、好ましくは4、さらに好ましくは、4.5である。また、本発明の組成物のpHの上限値は、好ましくは、6、さらに好ましくは5.5である。
前記カルボキシビニルポリマーは、後記アルカリ剤によって、中和されて増粘剤として働き、乳化系を安定化するとともに、皮膚外用剤が塗布された後に形成する皮膜を強化する作用を有する。このような効果を奏するためには、該カルボキシビニルポリマーは好ましくは0.3〜1.2質量%、更に好ましくは0.5〜1.0質量%含有される。これは、この量範囲において、好ましい安定性を呈するためである。
前記カルボキシビニルポリマーを増粘させるために、前記皮膚外用剤においては、カルボキシビニルポリマーを中和すべきアルカリ剤が含有される。前記アルカリ剤としては有機アミンが好ましく、例えば、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンなどが好適に例示できる。中でも、ジイソプロパノールアミンが特に好ましい。かかる有機アミンは、前記組成物中に0.01〜1.0質量%、好ましくは、0.03〜0.8質量%、更に好ましくは、0.04〜0.5質量%、特に好ましくは、0.08〜0.5質量%含有されることが好ましい。この量範囲において、好ましい粘度を呈するためである。
ここで、アルカリ剤水溶液の添加は、本発明の組成物のpHが、好ましくは4〜8となるように行うことができる。また、本発明の組成物のpHの下限値は、好ましくは4、さらに好ましくは、4.5である。また、本発明の組成物のpHの上限値は、好ましくは、6、さらに好ましくは5.5である。
前記皮膚外用剤は、ノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする。該ノニオン性界面活性剤としては、ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリドなどのモノグリセリド類、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル類、POEステアリン酸エステル、POEオレイン酸エステル等のエステル系ノニオン性界面活性剤類、POE硬化されていても良いヒマシ油類、POEソルビタンオレイン酸エステル、POEソルビタンステアリン酸エステルなどのPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEオレイルエーテル、POEセチルエーテルなどのエーテル系ノニオン性界面活性剤類等が好適に例示でき、親水性ノニオン性界面活性剤としては、POE硬化ヒマシ油類及び/又はエーテル系ノニオン性界面活性剤類が好ましく例示でき、これらを両方含有する形態が特に好ましい。また、親油性界面活性剤としては、脂肪酸モノグリセリドが好ましく例示できる。前記皮膚外用剤においては、界面活性剤は実質的にノニオン性界面活性剤のみを用いることが好ましい。これは、曇点が明確に推定できるためである。前記界面活性剤の含有量は、好ましくは総量で3〜7質量%、さらに好ましくは3〜5質量%である。
前記成分以外に、前記皮膚外用剤では、通常皮膚外用剤、化粧料に用いられる任意の成分を含有することが出来る。かかる任意の成分としては、例えば、スクワラン、ワセリンなどの炭化水素類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチル酸イソプロピルなどのようなエステル油剤、オリーブ油、中鎖脂肪酸トリグリセリドの様なトリグリセリド、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールの様な多価アルコール、アルキル変性されていても良い、キサンタンガムなどの増粘剤、ステアリン酸、ミリスチル酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸乃至はそれらの塩、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール等が好適に例示できる。これらの内、脂肪酸はカルボキシビニルの架橋構造を損なう場合があるので、実質的に含有しない形態が好ましい。又、剤形としては、外相が水相である乳化形態が好ましく、かかる剤形を総称して水中油乳化剤形という。分散滴は油滴であっても、乳化物であってもかまわない。
本発明の皮膚外用剤においては、前記成分以外に、前記皮膚外用剤では、通常外用剤組成物に用いられる任意の成分を含有することが出来る。かかる任意の成分としては、例えば、スクワラン、ワセリンなどの炭化水素類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチル酸イソプロピルなどのようなエステル油剤、オリーブ油、中鎖脂肪酸トリグリセリドの様なトリグリセリド、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールの様な多価アルコール、アルキル変性されていても良い、キサンタンガムなどの増粘剤、ステアリン酸、ミリスチル酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸乃至はそれらの塩、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール等が好適に例示できる。これらの内、脂肪酸はカルボキシビニルポリマーの架橋構造を損なう場合があるので、実質的に含有しない形態が好ましい。
また、本発明の組成物のpHの下限値は、好ましくは4、さらに好ましくは、4.5である。また、本発明の組成物のpHの上限値は、好ましくは、6、さらに好ましくは5.5である。
以下に、実施例を示して本発明について更に詳細に説明を加える。
以下に示す処方に従って、皮膚外用剤1を作成した。即ち、(イ)、(ロ)、(ハ)及び(ニ)の成分を秤量し、これらの内、(ハ)と(ニ)は室温で撹拌混合溶解し、(イ)と(ロ)は75℃で撹拌混合溶解し、各々の溶解温度で保持した。攪拌下(ロ)に(イ)を徐々に加え乳化し、攪拌冷却し、30℃まで冷却したところで、攪拌下(ハ)を徐々に加えて、一様に混合したところで、更に、(ニ)を徐々に加えて中和し、本発明の皮膚外用剤1を得た。皮膚外用剤1のpHは、4.5であった。
皮膚外用剤1について、コーンプレート型粘度計(装置機種名:RE−80R、製造会社名:東機産業、条件:ローター:3°×R14、測定温度:25℃、回転数:50rpm、測定時間:3分)で測定した。結果は、1733mPa・sであった。
皮膚外用剤1について、スプレッドメーター(装置機種名:IMC−15E2型、製造会社名:井元製作所、条件:試料穴内径:10mm、試料穴深さ:6.37mm、荷重板質量:115g、測定時間:60秒)を用いて、5℃、25℃及び32℃のスプレッドメーター直径を計測した。計測は3回行い、その平均と標準偏差を求めたところ、5℃が35.59±0.38mm、25℃が36.60±0.36mm、32℃が38.32±0.44mmであり、この3つの平均の標準偏差は1.38であり、分散は1.9であった。
皮膚外用剤1について、使用性を確認したところ、きわめて良好であり、敏感肌でも一過性の刺激を感じないものであった。
表2、3の処方に基づいて、実施例及び比較例の皮膚外用剤を製造した。実施例の皮膚外用剤については、皮膚外用剤1と同様の方法で調製した。一方、比較例1〜3については、以下の方法で調製した。
即ち、(イ)、(ロ)、(ハ)を秤量し、これらの内、(イ)と(ロ)は75℃で撹拌混合溶解し、(ハ)は室温で撹拌混合溶解し、各々の溶解温度で保持した。攪拌下(ロ)に(イ)を徐々に加え乳化し、一様になったところで、撹拌冷却し、30℃まで冷却したところで、更に、(ハ)を徐々に加えて中和し、比較例1〜3の皮膚外用剤を得た。いずれの皮膚外用剤も25℃における粘度は1000〜3000mPa・sであった。
上述した方法により5℃、25℃及び32℃におけるスプレッドメーター直径を3回計測し、その平均と標準偏差を求めた。結果を表4に示す。
表4に示されるとおり、実施例の皮膚外用剤は、何れも分散が1〜4の範囲であったのに対し、比較例の皮膚外用剤は、何れも分散が4より大きかった。
得られた実施例及び比較例の皮膚外用剤について、敏感肌のパネラーにより使用性を評価したところ、実施例の皮膚外用剤については、一過性の刺激を感じることなく塗布することができ、使用感に優れるものであった。一方、比較例の皮膚外用剤については、一過性の刺激を生ずるものであった。
さらに、皮膚外用剤3と比較例2の皮膚外用剤について、敏感肌のパネラー3名により、使用感について評価した。表5に結果を示す。
本発明は医薬に応用できる。

Claims (10)

  1. クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有した、最外相に水相を有する乳化剤形の皮膚外用剤であって、該皮膚外用剤の粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤の評価方法において、該皮膚外用剤の少なくとも2種の温度における広がり面積を、スプレッドメーターを用いて広がり直径として測定し、該測定値の温度変化による分散を求め、前記分散が1〜4の値をとった場合に、前記皮膚外用剤は使用性に優れると判別する、皮膚外用剤の評価法。
  2. 少なくとも2種の温度は、室温付近の温度、室温より高い温度及び室温より低い温度であることを特徴とする、請求項1に記載の評価法。
  3. 室温付近の温度は25℃、室温より高い温度は32℃、室温より低い温度は5℃であることを特徴とする、請求項2に記載の評価法。
  4. 前記皮膚外用剤は、炎症を有する皮膚に適用されるべきものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚外用剤の評価法。
  5. 前記炎症を有する皮膚は、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚であることを特徴とする、請求項4に記載の評価法。
  6. 請求項1〜5何れか1項に記載の評価法において、使用性に優れると判別された皮膚外用剤。
  7. クロベタゾン及び/又はそのエステルを含有し、最外相に水相を有する乳化剤形を有し、粘度が25℃で1000〜3000mPa・sの皮膚外用剤であって、
    スプレッドメーターを用いて測定した広がり直径の測定値の温度変化による分散が1〜4の値であることを特徴とする、皮膚外用剤。
  8. 1)カルボキシビニルポリマー及び/またはその塩及びノニオン性界面活性剤を含有する、水中油乳化剤形の外用組成物であって、界面活性剤としてノニオン性界面活性剤のみを含有する形態であることを特徴とする、請求項6または7に記載の皮膚外用剤。
  9. 界面活性剤として、ノニオン性界面活性剤のみを含有することを特徴とする、請求項6〜8何れか1項に記載の皮膚外用剤。
  10. 実質的に脂肪酸を含有しない形態であることを特徴とする、請求項6〜9何れか1項に記載の皮膚外用剤。

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