JP6077350B2 - 酪酸クロベタゾンを含有するアトピー性皮膚炎用の外用医薬組成物 - Google Patents
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Description
(1)アトピー性皮膚炎を処置するべきローション性の皮膚外用医薬組成物であって、
1)有効成分としての酪酸クロベタゾンと、2)アジピン酸ジエステルとを含有し、3)界面活性剤としてノニオン界面活性剤のみを用いて乳化されていることを特徴とする、水中油乳化剤形の医薬組成物。
(2)更に、水を70〜80質量%含有することを特徴とする、(1)に記載の水中油乳化剤形の医薬組成物。
(3)前記ノニオン界面活性剤は、不飽和結合を実質的に有しないもののみで構成されていることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の水中油乳化剤形の医薬組成物。
(4)前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタンステアリン酸エステル及びグリセリンステアリン酸エステルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、(1)〜(3)何れかに記載の医薬組成物。
本発明の外用医薬組成物は、酪酸クロベタゾンを有効成分として含有することを特徴とする。酪酸クロベタゾンは、クロベタゾン酪酸エステルとも称し、IUPAC名は21−Chloro−9−fluoro−17−hydroxy−16β−methyl−1,4−pregnadiene−3,11,20−trione 17−butyrateであり、適度な局所抗炎症作用を持ちながら全身的作用の少ない、いわゆる安全域の広い外用副腎皮質ホルモン剤として開発されたステロイド骨格を有する薬物でありその構造式は式(1)に示すとおりである。
本発明の外用医薬組成物は、必須成分としてアジピン酸ジエステルを含有することを特徴とする。アジピン酸ジエステルは前記酪酸クロベタゾンを可溶化し、水中油乳化剤形の油滴中に溶液として包含せしめることが出来る。この様な作用を発現するためには、油相中におけるアジピン酸ジエステルの量を、油相に対して3〜8質量%とすることが好ましい。加えて、同じく可溶化しうる観点では、酪酸クロベタゾンに対して50〜150質量倍であることが好ましい。また、のびなどの塗工時の塗布作業を刺激感無く行うためには、外用医薬組成物全量に対して、アジピン酸ジエステルが3〜8質量%、更に好ましくは4〜7質量%となるように含有させることが好ましい。
本発明の外用医薬組成物は、酪酸クロベタゾン及びアジピン酸ジエステルを含有し、ノニオン界面活性剤のみを用いて乳化されていることを特徴とする。ノニオン界面活注剤としては、例えば、親油性界面活性剤としては、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、平均のフリー水酸基が3以下であり、重合度4以下であるポリグリセリンの脂肪酸エステル等が好適に例示でき、親水性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタンポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、フリーの水酸基が4以上で重合度5以上のポリグリセリン脂肪酸エステルなどが例示でき、これらの内では、分子内に不飽和結合を有しないものが好ましい。更に好ましいものは、飽和脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン飽和脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンアルキルエーテルから選択される1種乃至は2種以上であり、親油性界面活性剤と親水性界面活性剤とを1種以上ずつ含有する形態がより好ましい。脂肪酸モノグリセリドとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ラウリン酸モノグリセリド、パルミチン酸モノグリセリド、イソステアリン酸モノグリセリドなどが好適に例示でき、ソルビタン飽和脂肪酸エステルとしては、例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンセスキラウレート、ソルビタントリラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタントリステアレートなどが好適に例示でき、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレンの付加モル数が30〜90のものが好適に例示でき、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルが好適に例示でき、その好ましいポリオキシエチレンの平均付加モル数は10〜30である。かかるノニオン界面活性剤の好ましい含有量は、外用医薬組成物全量に対して、総量で2〜5質量%であり、より好ましくは2.5〜4.5質量%である。そのうち、1.5〜3.5質量%が親水性ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
本発明の外用医薬組成物は、前記必須成分を含有し、水中油乳化剤形であることを特徴とする。ここにおいて、水中油乳化剤形とは、最外相に水相を配する形の乳化系を意味し、分散相は油滴であっても、乳化物であっても許容される。本発明の外用医薬組成物においては、必須の成分以外に、通常外用剤で使用される任意の成分を含有することが出来る。任意の成分としては、例えば、炭化水素類、ホホバ油、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピルなどのようなエステル油剤、中鎖脂肪酸トリグリセリドの様なトリグリセリド、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールのような多価アルコール、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガムなどの増粘剤、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の脂肪酸、セトステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール、EDTAのようなキレート剤、BHT、BHA等のような抗酸化剤等が好適に例示できる。特に好ましい形態は、不飽和結合を有する成分を含有しない形態であり、脂肪酸、高級アルコールを実質的に含有しない、言い換えれば、高級アルコールを配合しない形態が特に好ましい。この様な形態を採用することにより、剤形の持っている一過性の刺激感発現可能性を著しく低減することが出来る。本発明の外用医薬組成物は、前記の必須成分、及び、任意成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。かかる外用医薬組成物は、アトピー性皮膚炎、顔面、頸部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎等の治療及び症状の悪化の抑制や発症の抑制(予防)に好適に用いられる。適用部位は粘膜を除く皮膚全般であり、適量を1日1回乃至数回症状に合わせて塗布する形態で用いられる。以下、実施例を挙げて更に詳細に本発明について説明を加える。
比較例1として、親水性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウムを用いたものを調製した。
一過性の刺激を感じやすいパネラー5名を用いて、外用医薬組成物1〜3及び比較例1を比較した。即ち、検体100mgをチャージした綿棒を37℃に保温し、上腕内側部にそっと置いた場合に刺激を感じるか否かを、明確に感じる、感じる、わずかに感じる、感じないの4つのグレードに分けて評価してもらった。表2に出現例数を示す。これより、ノニオン乳化であることが一過性の刺激発現を抑制していることが判る。
Claims (4)
- アトピー性皮膚炎を処置するべきローション性の皮膚外用医薬組成物であって、
1)有効成分としての酪酸クロベタゾンと、2)アジピン酸ジエステルとを含有し、3)界面活性剤として不飽和結合を実質的に有しないノニオン界面活性剤のみを用いて乳化されていることを特徴とする、水中油乳化剤形の医薬組成物。 - 更に、水を70〜80質量%含有することを特徴とする、請求項1に記載の水中油乳化剤形の医薬組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタンステアリン酸エステル及びグリセリンステアリン酸エステルから選択される1種乃至は2種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤として、親油性界面活性剤と親水性界面活性剤とをそれぞれ1種以上ずつ含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の医薬組成物。
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