JP2015196710A - ポリエーテルアルコールの製造方法 - Google Patents

ポリエーテルアルコールの製造方法 Download PDF

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健太 口田
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Abstract

【課題】 ポリエーテルアルコールの製造において、末端不飽和基含有物重量の増加を抑える製造方法を提供すること。
【解決手段】 アルカリ金属水酸化物(C)の存在下、少なくとも1個の活性水素を有する化合物(A)にアルキレンオキシド(B)を付加重合させてポリエーテルアルコールを製造する方法において、温度90〜150℃でアルキレンオキシド(B)を反応槽中に導入し、アルキレンオキシド(B)の導入終了後、[導入終了時の温度+10]℃以下で、反応槽の内圧を導入終了時の圧力未満、−0.1MPa(ゲージ圧)以上の範囲の圧力で、未反応のアルキレンオキシド(B)を2時間以内に留去する工程を含むことを特徴とするポリエーテルアルコールの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエーテルアルコールの製造方法に関する。
ポリエーテルアルコールは、ポリウレタン及びポリウレタンフォームの製造のための重要な原材料である。
しかしながら、ポリエーテルアルコール、特にプロピレンオキシドの高分子量重合物を製造する場合、副生物の末端不飽和基含有物重量(以下、TU値と略記)の増大を伴うことが知られている。ポリウレタン又はポリウレタンフォームを製造する際に、このようなTU値が高いポリエーテルアルコールを用いると、ポリウレタン又はポリウレタンフォームの物性が低下することが問題となる。
この問題を解決する方法として、例えば複合金属シアノ錯体(特許文献1参照)又はアルミニウムポルフィリン(特許文献2参照)を触媒として用いる方法や低温で反応を行う方法(非特許文献1参照)が知られている。
特開平3−122119号公報 特公平5−14734号公報
得能祝、勝沼広男、二階堂賢一、「油化学」、12、159(1963)
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の方法では触媒の除去が困難なため、製品に残存する触媒がポリウレタン樹脂化の工程で悪影響を与えるなどの問題があり、工業化には不向きである。また非特許文献1のような低温で反応を行う方法では反応性が低下し、触媒を多量に添加する必要があるため、中和工程において多量の塩が発生し、製品中の不純物が増加し、経済的にもフォームの物性(特に機械強度)の面でも好ましくない。
本発明はポリエーテルアルコールの製造において、TU値の増加を抑える製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、アルカリ金属水酸化物(C)の存在下、少なくとも1個の活性水素を有する化合物(A)にアルキレンオキシド(B)を付加重合させてポリエーテルアルコールを製造する方法において、温度90〜150℃でアルキレンオキシド(B)を反応槽中に導入し、アルキレンオキシド(B)の導入終了後、[導入終了時の温度+10]℃以下で、反応槽の内圧が導入終了時の圧力未満、−0.1MPa(ゲージ圧)以上の範囲で、未反応のアルキレンオキシド(B)を2時間以内に留去する工程を含むことを特徴とするポリエーテルアルコールの製造方法;並びに上記の製造方法により得られたポリエーテルアルコールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるポリウレタンの製造方法;である。
本発明のポリエーテルアルコールの製造方法を用いると、TU値の低いポリエーテルアルコールを製造できる。したがって、本発明のポリエーテルアルコールを用いて得られたフォームは物性(特に硬さ及び機械強度)が良好である。
本発明の製造方法において使用する、少なくとも1個の活性水素を有する化合物(A)としては、分子内に活性水素を有する化合物であれば特に限定されず、2種以上を併用してもよい。活性水素の数は、1個でも2個以上でもよく、得られるポリエーテルアルコールの粘度が高くなりすぎず取り扱いが容易である観点から、2〜8個が好ましい。活性水素を含有する基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、メルカプト基、1級及び2級アミノ基等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンフォーム物性の観点からヒドロキシル基が好ましい。
活性水素を1個含有する化合物の具体例としては、炭素数1〜20の1価アルコール(例えばメタノール、ブタノール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール及びアリルアルコール)、炭素数6〜18の1価フェノール類(例えば、エチルフェノール等のアルキルフェノール)、炭素数2〜18のモノカルボン酸(例えばプロピオン酸、アクリル酸、ステアリン酸及び安息香酸)、炭素数2〜20の2級アミン(例えばジブチルアミン)、及びこれらの活性水素含有化合物にアルキレンオキシドが付加重合された構造の化合物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
活性水素を2個以上有する化合物の具体例としては、多価アルコール、多価フェノール、アミン、ポリカルボン酸、及びこれらの活性水素含有化合物にアルキレンオキシドが付加重合された構造の化合物等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコールとしては、炭素数2〜20の2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール等のポリアルキレングリコール;及び脂環式ジオール、例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール)、炭素数3〜20の3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール)、炭素数5〜20の4〜8価又はそれ以上の多価アルコール(脂肪族ポリオール、例えば、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の、アルカンポリオール及びそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物;並びにショ糖、グルコース、マンノース、フルクトース、メチルグルコシド等の糖類及びその誘導体)、ひまし油等の天然油脂系ポリオール、及びこれらの2種以上の併用等が挙げられる。
多価(2〜8価又はそれ以上)フェノールとしては、ピロガロール、ハイドロキノン及びフロログルシン等の単環多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールスルホン等のビスフェノール類;フェノールとホルムアルデヒドの縮合物(ノボラック);例えば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール;及びこれらの2種以上の併用等が挙げられる。
アミンとしては、活性水素の数が2〜8個又はそれ以上のものが挙げられ、アンモニア;脂肪族アミンとして、炭素数2〜20のアルカノールアミン(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン及びアミノエチルエタノールアミン)、炭素数1〜20のアルキルアミン(例えば、n−ブチルアミン及びオクチルアミン)、炭素数2〜6のアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン)、炭素数4〜20のポリアルキレンポリアミン(アルキレン基の炭素数が2〜6のジアルキレントリアミン〜ヘキサアルキレンヘプタミン)が挙げられる。
また、炭素数6〜20の芳香族モノもしくはポリアミン(例えば、アニリン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、メチレンジアニリン及びジフェニルエーテルジアミン);炭素数4〜20の脂環式アミン(例えば、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン及びジシクロヘキシルメタンジアミン);炭素数4〜20の複素環式アミン(例えば、ピペラジン、アミノエチルピペラジン及び特公昭55−21044号公報記載のもの)及びこれらの2種以上の併用等が挙げられる。
ポリカルボン酸としては、炭素数4〜18の脂肪族ポリカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸等)、炭素数8〜18の芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等)、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
本発明で出発物質として用いる、アルキレンオキシド(以下、AOと略記)が付加重合された構造の化合物[(ポリ)エーテル]の場合、原料であるこれらの活性水素含有化合物は2種以上が併用されていてもよく、ポリウレタンフォーム物性の観点から好ましくは多価アルコールである。
AO付加重合物におけるAOとしては、ポリウレタンフォーム物性の観点から炭素数2〜8のものが好ましく、プロピレンオキシド(以下、POと略記)、エチレンオキシド(以下、EOと略記)、1,2−、1,3−、1,4−、又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びこれらの2種以上の併用(併用の場合は、ランダム付加、ブロック付加、これらの組合せのいずれでもよい。)等が挙げられる。これらのうち、反応性及びTU値の増加の抑制効果が大きいことから、好ましくはPO及び/又はEO、特にPOである。AOが付加された条件は、特に限定されず、通常用いられるアルカリ触媒(後述のアルカリ金属水酸化物等)の存在下、70〜150℃でAOが付加された化合物等が挙げられる。また、市販のAO付加物を用いてもよい。
これらの活性水素化合物のうち、入手しやすさ及びフォーム物性の観点から好ましいのは、多価アルコール及びそのAO付加重合物であり、さらに好ましくは、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びこれらの化合物のAO付加重合物である。
本発明の製造方法において、少なくとも1個の活性水素を有する化合物(A)へ付加させるアルキレンオキシド(B)としては、ポリウレタンフォーム物性の観点から炭素数2〜8のものが好ましく、PO、EO、1,2−、1,3−、1,4−、又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、及びこれらの2種以上の併用(併用する場合には、ランダム付加、ブロック付加、これらの組合せのいずれでもよい。)等が挙げられる。好ましくはPO、及びPOとEOの混合AO(さらに好ましくはPO/EOの重量比が100/0〜50/50)である。POを含むAOの付加重合時に本発明を適用すると、末端不飽和基を含有する副生物は、主としてPOから生成するため効果的である。
触媒として用いられるアルカリ金属水酸化物(C)は、活性水素化合物(A)に添加され、通常脱水処理の後(好ましくは活性水素化合物中の水分が0.1%以下)、AOを付加重合させる。なお、上記及び以下において、%は特に記載の無い限り、重量%を意味する。
アルカリ金属水酸化物(C)としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムの水酸化物が挙げられる。
これらのうちTU値低減の観点から、好ましくは水酸化ナトリウム以外の化合物であり、さらに好ましくは純度が95%以上(特に好ましくは96%以上)の水酸化カリウム、水酸化セシウム、及びこれらの併用である。
また、TU値低減の観点からアルカリ金属水酸化物中(C)のナトリウム含量は、1%以下が好ましく、さらに好ましくは0.2%以下、特に好ましくは、0.04%以下である。ナトリウム含量の分析法は、イオンクロマトグラフ法、原子吸光分析、IPC法等、公知の方法でよい。
アルカリ金属水酸化物(C)の使用量は、重合終了時の該ポリエーテルの重量に対して、好ましくは0.005〜1.5%であり、さらに好ましくは0.05〜1%、特に好ましくは0.1〜0.7%である。0.005%以上であると反応時間が長くならず、1.5%以下であると反応の制御が容易である。
本発明の製造方法において、必要により溶媒を使用することができる。溶媒としては、C6〜10の芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等);C5〜15の飽和脂肪族炭化水素(ヘキサン、へプタン及びノルマルデカン等);C5〜30の不飽和脂肪族炭化水素(オクテン、ノネン及びデセン等);及びその他公知の溶剤(例えば特開2005−162791号公報に記載のもの)が挙げられる。これらのうちTU値低減の観点から、芳香族炭化水素が好ましい。
本発明の製造方法において、アルキレンオキシド(B)を反応槽に導入する温度は90〜150℃であり、好ましくは90〜110℃である。導入時の温度が90℃よりも低いとTU値の低いポリエーテルアルコールは得られるが、反応時間が長くなる。150℃を超えるとTU値が増大する。
本発明の製造方法においては、アルキレンオキシド(B)の導入終了後、未反応のアルキレンオキシド(B)を留去する。
未反応のアルキレンオキシド(B)を留去する温度は、TU値低減の観点から、[導入終了時の温度+10]℃以下であり、好ましくは[導入終了時の温度+5]℃以下、[導入終了時の温度−20]℃以上である。
留去を行う時間は、TU値低減の観点から、2時間以内であり、好ましくは1時間以内である。
留去する工程における反応槽の内圧は、TU値低減の観点から、導入終了時の圧力未満、−0.1MPa以上であり、好ましくは0.0MPa以下−0.1MPa以上である。
留去したアルキレンオキシドは回収して再利用しても廃棄してもよい。
本発明の製造方法で得られたポリエーテルアルコールに、さらに通常の反応方法で前記AO(好ましくはEO)を付加し、末端にさらにAO(特にEO)が付加されたポリエーテルアルコールとしてもよい。例えば、本発明の製造方法で得られたアルカリ金属水酸化物を含むポリエーテルアルコールに、90〜150℃でEOを付加する方法が挙げられる。
本発明の方法で得られたポリエーテルアルコールは、反応終了後、精製により触媒として用いたアルカリ金属水酸化物を除去してから、各種原料として用いるのが好ましい。
ポリエーテルアルコールの精製方法としては通常用いられる方法でよく、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸等の酸で触媒を中和し、生じた塩を濾過除去する方法;アルカリ吸着剤〔合成ケイ酸マグネシウム(例えば、キョーワード600:協和化学工業社製)、合成ケイ酸アルミニウムなど〕を用いる方法;溶媒(メタノール等)に溶かして水洗する方法;イオン交換樹脂を用いる方法;炭酸ガスで中和して、生じた炭酸塩を濾過する方法;等があるが、そのいずれを用いても差し支えない。
なお、水や有機溶媒を用いて精製した場合は、通常、精製後に脱水及び/又は脱溶媒を行う。脱水及び/又は脱溶媒は、必要により、加熱下(例えば100〜150℃)及び/又は減圧下(例えば−0.09〜−0.1MPa)で行う。脱水後の水分は0.1%以下が好ましい。
本発明の方法で得られるポリエーテルアルコールの総不飽和度(JISK−1557による)は、0.08meq/g以下が好ましく、さらに好ましくは0.078meq/g以下である。0.08meq/g以下であると、ポリエーテルアルコールを使用した樹脂の樹脂物性、熱安定性が良好となる。
本発明の製造方法で得られたポリエーテルアルコールは、ポリウレタンフォームの製造に使用するポリオール成分として好適に使用できる。すなわち、本発明のポリエーテルアルコールを含むポリオール成分(以下、(Po)と略記)とイソシアネート及び/又はポリイソシアネートを含むイソシアネート成分(以下、(Is)と略記)とを、公知の方法{特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載の方法}等で反応させてポリウレタンフォームを得ることができる。
本発明のポリウレタンを製造するのに用いられる(Po)としては、本発明の製造方法で得られたポリエーテルアルコール以外に、必要により、特開2012−077100号公報等記載のポリオール、特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)及び特開2008−274245号公報等に記載のポリマーポリオールが使用できる。
ポリオール成分(Po)中の本発明のポリエーテルアルコールの使用量は、得られるポリウレタンフォームの機械強度及びポリオール成分の粘度の観点から、(Po)の合計重量に基づいて、10〜100%が好ましく、さらに好ましくは15〜90%、特に好ましくは20〜80%、最も好ましくは25〜70%である。
イソシアネート成分(Is)としては、従来からポリウレタンフォームの製造に使用されている公知のポリイソシアネート{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)に記載のもの}が使用できる。
これらのうちでポリウレタンの機械強度の観点から、2,4−及び2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI(TDIを精製した際の残留物);4,4'−及び2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI(MDIを精製した際の残留物)が好ましい。
本発明のポリウレタンの製造におけるNCO指数[NCO基と活性水素原子との当量比(NCO基/活性水素原子)×100]は、ポリウレタンフォームの機械強度の観点から80〜140が好ましく、さらに好ましくは85〜120、特に好ましくは95〜115である。
本発明のポリウレタンの製造に際しては反応を促進させるため、ウレタン化反応に使用される種々の触媒{特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)に記載のもの}を使用することができる。触媒の使用量は、反応性の観点からポリオール成分(Po)の合計重量に基づいて10%以下が好ましく、さらに好ましくは0.001〜5%である。
本発明のポリウレタンの製造に際し、ポリウレタンフォーム形成のために発泡剤を使用することができる。発泡剤としては例えば、水、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、メチレンクロライド及び特開2006−152188号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)に記載のものが挙げられる。
発泡剤の使用量はポリウレタンフォームの所望の密度により変えることができ、特に限定はされないが、ポリオール成分(Po)の合計重量に基づいて、20%以下が好ましい。
さらにポリウレタンフォームの製造に際し、必要に応じ整泡剤を使用することができる。整泡剤としては特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)等に記載のものが挙げられ、ポリウレタンフォーム中のセル径の均一性の観点から、シリコーン界面活性剤(例えばポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)が好ましい。
整泡剤の使用量は、ポリオール成分(Po)の合計重量に基づいて、5%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜2%である。
さらに本発明のポリウレタンの製造に際し、必要により架橋剤(ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、難燃剤、反応遅延剤、着色剤、内部離型剤、酸化防止剤、可塑剤、殺菌剤及び充填剤(カーボンブラックを含む)からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤を使用できる。添加剤の使用量は、ポリオール成分(Po)の合計重量に基づいて、30%以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜10%である。
本発明のポリウレタンのうちポリウレタンフォームの製造は、例えば、特開2005−162791号公報、特開2004−263192号公報(対応米国特許出願:US2003/4217 A1)に記載の方法で行うことができ、ワンショット法、セミプレポリマー法及びプレポリマー法等が挙げられる。
ポリウレタンフォームの製造には従来から用いられている製造装置(低圧あるいは高圧の機械装置等)を使用できる。無溶媒の場合は、ニーダーやエクストルーダー等の装置を使用でき、また、ポリウレタンフォームを製造する際には、閉鎖モールド又は開放モールドを使用できる。
本発明のポリウレタンフォームの製造方法の具体例の一例を示せば、下記の通りである。まず、ポリオール成分(Po)、触媒、発泡剤、整泡剤並びに必要によりその他の添加剤を所定量混合する。次いでポリウレタンフォーム発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物(ポリオール成分含有組成物)とイソシアネート成分(Is)とを急速混合する。得られた混合液(発泡原液)を連続発泡してポリウレタンフォームを得ることができる。また、密閉型又は開放型のモールド(金属製又は樹脂製)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間硬化後、脱型してポリウレタンフォームを得ることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。以下、特に規定しない限り、部は重量部を意味する。
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<ポリエーテルアルコールの測定方法>
(1)水酸基価(mgKOH/g):JIS K1557に準拠
(2)総不飽和度(meq/g):JIS K1557に準拠
<実施例1>
オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価56.1)100部と高純度KOH(純度96%、ナトリウム含量200ppm、以下同じ)0.89部を仕込んだ後、120℃にて減圧下撹拌して均一に溶解、脱水した(水分が0.1%以下となるまで、以下の各例も同様)。次いで、PO170部を反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら投入した。投入終了時の温度は105℃、圧力は0.28MPaであった。投入後、105℃のまま徐々に減圧を行い、5分間で−0.1MPaに到達し、−0.1MPaで1時間攪拌させてPOの留去を行った。次いで、反応温度130℃でEOを42部付加重合し、粗製ポリエーテルアルコールを得た。粗製ポリエーテルアルコール1kgに水21g及び合成硅酸マグネシウム5gを加え、80℃で30分攪拌後、東洋濾紙No.2を備えた直径10cmの加圧濾過器(山下製作所製)に、0.1μmのミクロフィルターを付けた濾過器(アドバンティク東洋製)を直列につなぎ、粗製ポリエーテルアルコール500gを0.2MPaで濾過した。濾過液をフラスコに移し、「IRGANOX1010」(テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン[BASF社製])0.005gを加え、110℃、窒素気流中にて1時間撹拌を行いながら、減圧脱水を行った。得られたポリエーテルアルコールの水酸基価は24.4、総不飽和度は0.078であった。
<実施例2>
オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価56.1)100部とCsOH(50%水酸化セシウム水溶液、試薬特級、ナトリウム含量200ppm)2.67部を仕込んだ後、120℃にて減圧下撹拌して均一に溶解、脱水した。次いで、PO165部を反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら投入した。投入終了時の温度は105℃、圧力は0.26MPaであった。投入後、105℃のまま徐々に減圧を行い、5分間で−0.1MPaに到達し、−0.1MPaで1時間攪拌させてPOの留去を行った。次いで、反応温度130℃でEOを42部付加重合し、粗製ポリエーテルアルコールを得た。粗製ポリエーテルアルコール1kgに水21g及び合成硅酸マグネシウム5gを加え、80℃で30分攪拌後、東洋濾紙No.2を備えた直径10cmの加圧濾過器(山下製作所製)に、0.1μmのミクロフィルターを付けた濾過器(アドバンティク東洋製)を直列につなぎ、粗製ポリエーテルアルコール500gを0.2MPaで濾過した。濾過液をフラスコに移し、「IRGANOX1010」(テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン[BASF社製])0.005gを加え、110℃、窒素気流中にて1時間撹拌を行いながら、減圧脱水を行った。得られたポリエーテルアルコールの水酸基価は23.8、総不飽和度は0.043であった。
<比較例1>
オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価56.1)100部と高純度KOH0.89部を仕込んだ後、120℃にて減圧下撹拌して均一に溶解、脱水した。次いで、PO154部を反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら投入した。投入後、130℃で3時間熟成した。次いで、反応温度130℃でEOを42部付加重合し、粗製ポリエーテルアルコールを得た。粗製ポリエーテルアルコール1kgに水21g及び合成硅酸マグネシウム5gを加え、80℃で30分攪拌後、東洋濾紙No.2を備えた直径10cmの加圧濾過器(山下製作所製)に、0.1μmのミクロフィルターを付けた濾過器(アドバンティク東洋製)を直列につなぎ、粗製ポリエーテルアルコール500gを0.2MPaで濾過した。濾過液をフラスコに移し、「IRGANOX1010」(テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン[BASF社製])0.005gを加え、110℃、窒素気流中にて1時間撹拌を行いながら、減圧脱水を行った。得られたポリエーテルアルコールの水酸基価は24.0、総不飽和度は0.095であった。
<比較例2>
オートクレーブに、グリセリンのPO付加物(水酸基価56.1)100部と高純度KOH0.89部を仕込んだ後、120℃にて減圧下撹拌して均一に溶解、脱水した。次いで、PO162部を反応温度が100〜110℃を保つように制御しながら投入した。投入終了時の温度は105℃、圧力は0.26MPaであった。投入後、130℃に昇温を行ってから徐々に減圧を行い、5分間で−0.1MPaに到達し、−0.1MPaで1時間攪拌させてPOの留去を行った。次いで、反応温度130℃でEOを42部付加重合し、粗製ポリエーテルアルコールを得た。粗製ポリエーテルアルコール1kgに水21g及び合成硅酸マグネシウム5gを加え、80℃で30分攪拌後、東洋濾紙No.2を備えた直径10cmの加圧濾過器(山下製作所製)に、0.1μmのミクロフィルターを付けた濾過器(アドバンティク東洋製)を直列につなぎ、粗製ポリエーテルアルコール500gを0.2MPaで濾過した。濾過液をフラスコに移し、「IRGANOX1010」(テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン[BASF社製])0.005gを加え、110℃、窒素気流中にて1時間撹拌を行いながら、減圧脱水を行った。得られたポリエーテルアルコールの水酸基価は24.2、総不飽和度は0.087であった。
実施例3〜4、比較例3〜4
表1に示した発泡処方に従って、下記の発泡条件により軟質ポリウレタンフォームを金型内で発泡してフォームを形成後、金型から取り出し一昼夜放置後の軟質ポリウレタンフォームの諸物性を測定した。物性の測定値も表1にそれぞれ記載した。
(発泡条件)
金型SIZE:40cm×40cm×10cm(高さ)
金型温度:65℃
金型材質:アルミ
ミキシング方法:高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)を用いてポリオール成分含有組成物とポリイソシアネート成分とを15MPaで混合。
Figure 2015196710
〔使用原料の記号の説明〕
(1)ポリエーテルアルコール
(P−1):実施例1で得られたポリエーテルアルコール
(P−2):実施例2で得られたポリエーテルアルコール
(P−3):比較例1で得られたポリエーテルアルコール
(P−4):比較例2で得られたポリエーテルアルコール
(P−5):グリセリンPO、末端EO付加物(水酸基価37.5、EO単位含量14.0%)/ペンタエリスリトールPO、末端EO付加物(水酸基価37.0、EO単位含量17.5%)=80/20(重量比)中でスチレンとアクリロニトリルを、スチレン/アクリロニトリル=30/70(重量比)で共重合させた重合体ポリオール。(水酸基価=24.9、重合体粒子の体積平均粒子径(R)が0.4μm)
(P−6):グリセリンのPO、EOランダム重合物。(水酸基価=24.0、EO単位含量70%)
(P−7):ソルビトールのPO付加物。水酸基価=490。
(P−8):トリエタノールアミン。水酸基価=1130。
(2)触媒
(L−1):日本エアプロダクツジャパン(株)製DABCO−33LV(トリエチレンジアミンの33%ジプロピレングリコール溶液)
(L−2):東ソー(株)社製「TOYOCAT ET」(ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70%ジプロピレングリコール溶液)
(3)発泡剤
(D−1):水
(4)整泡剤
(M−1):ゴールドシュミット製「TEGOSTAB B8738LF2」
(5)イソシアネート
(Is−1):TDI−80/粗製MDI=80/20(重量比)、NCO%=44.6
フォーム物性の測定方法及び単位を以下に示す。
コア密度:JIS K6400に準拠、単位はkg/m3
硬さ(25%ILD):JIS K6400に準拠、単位はN/314cm2
引張強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm2
引裂強度:JIS K6400に準拠、単位はkgf/cm
本発明の製造方法を用いて製造したポリエーテルアルコール(実施例1〜2)は、比較例1〜2に比べて、TU値が抑制されている。また、表1の結果から、実施例3〜4の軟質ポリウレタンフォームは、比較例3〜4の軟質ポリウレタンフォームよりも、硬さ、引張強度及び引裂強度の全ての項目において、優れた結果となっている。
本発明の製造方法により得られたポリエーテルアルコールは、これらを用いたポリウレタンの機械強度を向上させることから、軟質、硬質及び半硬質ポリウレタンフォームに幅広く好適に使用できる。特に自動車内装部品や家具の室内調度品等の用途に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. アルカリ金属水酸化物(C)の存在下、少なくとも1個の活性水素を有する化合物(A)にアルキレンオキシド(B)を付加重合させてポリエーテルアルコールを製造する方法において、温度90〜150℃でアルキレンオキシド(B)を反応槽中に導入し、アルキレンオキシド(B)の導入終了後、[導入終了時の温度+10]℃以下で、反応槽の内圧が導入終了時の圧力未満、−0.1MPa(ゲージ圧)以上の範囲で、未反応のアルキレンオキシド(B)を2時間以内に留去する工程を含むことを特徴とするポリエーテルアルコールの製造方法。
  2. アルカリ金属水酸化物(C)が、純度95重量%以上の水酸化カリウム及び/又は水酸化セシウムである請求項1に記載のポリエーテルアルコールの製造方法。
  3. アルキレンオキシド(B)がプロピレンオキシド、またはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合アルキレンオキシドである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. アルカリ金属水酸化物(C)中のナトリウム含量が1重量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. アルカリ金属水酸化物(C)の使用量が、得られるポリエーテルアルコールに対して0.005〜1.5重量%である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 得られるポリエーテルアルコールの総不飽和度が0.08meq/g以下である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか記載の製造方法により得られたポリエーテルアルコールを含むポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させるポリウレタンの製造方法。
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