JP2015196694A - ポリカーボネート樹脂組成物、及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献3には、m−ペンタデシルフェノキシ末端基を有するポリカーボネートを用いた光学記録媒体が記載されているが、色調が十分満足できるものではなかった。
1. 下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体2.5質量%以下を含有し、該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計含有量が2.5質量%以下であり、かつ純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を原料として用い、350℃で成形した3mm厚の成形体における380nm光線透過率が85.0%以上であるポリカーボネート樹脂(A−1)10〜100質量%、及び前記(A−1)以外のポリカーボネート樹脂(A−2)90〜0質量%からなるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、リン系酸化防止剤(B)0.005〜0.5質量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
2.前記(A)成分100質量部に対して、さらに脂肪族環状エポキシ化合物を(C)0.001〜0.5質量部含有する、前記1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
3.前記3−ペンタデシルフェノールの純度が99.0質量%以上である、前記1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
4.前記3−ペンタデシルフェノールが蒸留の後、晶析を行うことで得られる、前記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
5.前記(A)成分中の3−ペンタデシルフェノキシ基の含有量が0.1〜10質量%である、前記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
6.前記(B)成分がペンタエリスリトール構造を有する、前記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
7.前記(B)成分が下記一般式で表される、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトである、前記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
9.前記(A)成分100質量部に対して、さらに官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)0.02〜0.15質量部を含有する、前記1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
10.前記官能基が、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基の群から選ばれる少なくとも1種である、前記9に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
11.前記官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)の屈折率と前記ポリカーボネート樹脂(A)との屈折率との差が0.13以下である、前記9又は10に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
12.前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が8,000〜19,000である、前記1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
13.前記1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
14.成形体が導光部材である、前記13に記載の成形体。
15.導光部材が導光板である、前記14に記載の成形体。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A−1)10〜100質量%、及び前記(A−1)以外のポリカーボネート樹脂(A−2)90〜0質量%からなるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、リン系酸化防止剤(B)0.005〜0.5質量部を含有する。以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物について説明する。
ポリカーボネート樹脂(A−1)は、下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体2.5質量%以下を含有し、該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計含有量が2.5質量%以下であり、かつ純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を原料として用いて得られるものである。
ポリカーボネート樹脂(A−1)の末端停止剤として用いられる純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールは天然物から得られることが好ましい。
なお、本明細書において、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを「高純度3−ペンタデシルフェノール」ということがある。
本発明に使用される高純度3−ペンタデシルフェノールは、その純度が97.5質量%以上であることを要する。その純度が97.5質量%未満であると、ポリカーボネート樹脂等の高分子材料の原料として用いた際に、黄色度が高く、透明性や外観を悪化させる恐れがある。以上の観点から、高純度3−ペンタデシルフェノールの純度は、99.0質量%以上であることが好ましい。
このような高純度3−ペンタデシルフェノールを得るためには、カシューナッツの殻液の天然物に由来する抽出物が用いられる。特に、カシューナッツの殻液に10質量%程度含まれるカルダノールを製造原料として用いることが効率的である。カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールは、主に、下記一般式(III)で表される、3−ペンタデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノールモノエン、3−ペンタデシルフェノールジエン、および3−ペンタデシルフェノールトリエンの混合物である。
本発明に使用する純度が97.5質量%以上の高純度3−ペンタデシルフェノールを効率的に得るためには、カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールを用いることが好ましく、このカルダノールを水素添加反応処理することにより得られる粗ペンタデシルフェノール(低純度ペンタデシルフェノール)を用いて高純度化する方法が望ましい。また、カシューナッツ殻液を直接、水素添加処理し、得られた水素添加処理液を蒸留することによって得られる粗ペンタデシルフェノールを用いて高純度化する方法を用いることもできる。なお、市販のペンタデシルフェノールは、カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールを水素添加処理して得ているが、その純度は通常97.5質量%未満であるので、市販のペンタデシルフェノールを用いる場合は、高純度化することが必要である。
3−ペンタデシルフェノールを得るためには、上述の通りカルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合(二重結合)が水素添加され、飽和結合に変換されることが望ましい。直鎖状炭化水素部分に不飽和結合が多く含まれた状態で3−ペンタデシルフェノール純度を上げるためには、蒸留もしくは晶析を繰り返し行わなければならない場合があり、生産性が低下する。そのため水素添加による不飽和結合の変換率(水添率)は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。水素添加後のカルダノール中の不飽和結合の残存率(カルダノールの1分子当たりの不飽和結合の数)は、0.2個/分子以下が好ましく、0.1個/分子以下がより好ましい。
水素添加する方法としては、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。触媒としては、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属またはニッケル、或いはこれらから選ばれる金属を活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの担体上に担持したものが挙げられる。反応方式としては、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式や、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式を採用することができる。水素添加の際の溶媒は、水素添加の方式によっては用いなくてもよいが、溶媒を使用する場合は、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が挙げられる。水素添加の際の反応温度は、特に限定されないが、通常20〜250℃、好ましくは50〜200℃に設定できる。反応温度が低すぎると水素化速度が遅くなり、逆に高すぎると分解生成物が多くなる傾向がある。水素添加の際の水素圧は、通常、常圧〜80kgf/cm2(常圧〜78.4×105Pa)、好ましくは3〜50kgf/cm2(2.9×105〜49.0×105Pa)に設定できる。
上記の水素添加処理方法によって得られる粗ペンタデシルフェノール(低純度ペンタデシルフェノール)の純度は、通常、90〜93質量%であり、不純物として種々のレゾルシノール誘導体や3−ペンタデシルフェノール以外のフェノール誘導体を含有している。
なお、本明細書において、レゾルシノール誘導体とは、OR基(R=水素原子、又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。)をベンゼン環のメタ位に2個有する構造を持つ化合物であり、フェノール誘導体とは、該OR基をベンゼン環に1個有する構造を持つ化合物である。
蒸留によって高純度化する方法としては、例えば常圧蒸留や減圧蒸留によって高純度化することができ、中でも減圧蒸留によって高純度化することが好ましい。減圧蒸留で高純度化するに当たっては、主分画を200〜260℃の温度及び1〜10mmHgの圧力とし、減圧蒸留塔内に充填剤を用いて処理することが好ましく、このとき還流比(還流量/留出量)を0.5〜10とするのが好ましい。減圧蒸留塔内に用いられる充填剤としては、マクマホンパッキング、ディクソンパッキング、ラシヒリング、ボールリング、コイルパック、ヘリパック等の充填剤を用いることができるが、マクマホンパッキングを用いることが好ましい。
また、晶析槽中で粗ペンタデシルフェノールを晶析溶媒に溶解した溶液の温度を低下させるに当たって、制御冷却法、直線冷却法、自然冷却法などが知られているが、冷却法は特に限定されず、また冷却速度は適宜設定することが出来る。その中でも、制御冷却法は結晶量が少ない初期には温度変化を小さく(冷却速度を遅く)し、結晶量が多くなる終期には温度変化を大きく(冷却速度を速く)することにより、飽和溶液の過飽和度が終始低く一定に保たれるので、二次核の発生が抑制されて、単分散粒子のみが得られるため好ましい。冷却速度として初期段階では好ましくは0℃(温度一定)〜−10℃/h、より好ましくは0℃(温度一定)〜−5℃/hに設定することが好ましく、終期ではによって高純度化する−5℃/h〜−30℃/h、より好ましくは−10℃〜−20℃/hで降温させることが好ましい。
本発明に使用される高純度3−ペンタデシルフェノール中には、下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体を1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体を2.5質量%以下含有し、かつ該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計量が2.5質量%以下であることを要する。該レゾルシノール誘導体及び該フェノール誘導体の含有量が、上記範囲内であると、ポリカーボネート樹脂(A−1)の透明性や外観を向上させることができる。また、高純度3−ペンタデシルフェノールの純度が99.0質量%以上の場合、該レゾルシノール誘導体の含有量が0.8質量%以下及び/又は該フェノール誘導体の含有量が0.8質量%以下であり、かつ該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計量が0.8質量%以下であることが望ましい。
上記一般式(I)に含まれる化合物としては、R1、R2が共に水素原子である化合物としては、5−ペンタデシルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−ヘキシルレゾルシノール、5−オクチルレゾルシノール、5−デシルレゾルシノール、5−ドデシルレゾルシノール、5−テトラデシルレゾルシノール、5−オクタデシルレゾルシノール、5−ノニルデシルレゾルシノール等のR3が炭素数1〜20のアルキル基である化合物を例示することができ、また前記アルキル基中に、炭素−炭素の不飽和二重結合を1個、もしくは複数個有するモノエン、ジエン、トリエン等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
また、R1が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である化合物としては、例えば、3位がヘキシル基である場合、1−メトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−エトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−プロポキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ブトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ペントキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ヘキトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−オクトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−デトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ドデトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ブチロデトキシ−3−ヘキシルベンゼン等の化合物を挙げることができる。3位がペンタデシル基である場合、1−メトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−エトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−プロポキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ブトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ペントキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ヘキトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−オクトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−デトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ドデトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ブチロデトキシ−3−ペンタデシルベンゼン等の化合物を挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A−1)は、好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂であり、主鎖が下記一般式(IV)で表される繰り返し単位を含む。
ポリカーボネート樹脂(A−1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
R5及びR6がそれぞれ独立して示すアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基(「各種」とは、直鎖状及びあらゆる分岐鎖状のものを含むことを示し、以下、同様である。)、各種ペンチル基、各種ヘキシル基が挙げられる。R5及びR6がそれぞれ独立して示すアルコキシ基としては、アルキル基部位が前記アルキル基である場合が挙げられる。
R5及びR6としては、いずれも、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。
Xが表すアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましい。Xが表すアルキリデン基としては、エチリデン基、イソプロピリデン基等が挙げられる。Xが表すシクロアルキレン基としては、シクロペンタンジイル基やシクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキレン基が好ましい。Xが表すシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、3,5,5−トリメチルシクロヘキシリデン基、2−アダマンチリデン基等が挙げられ、炭素数5〜10のシクロアルキリデン基が好ましく、炭素数5〜8のシクロアルキリデン基がより好ましい。
Xが表すアリールアルキレン基のアリール部位、及びXが表すアリールアルキリデン基のアリール部位としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントリル基などの環形成炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
a及びbは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
次に、ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造方法について説明する。ポリカーボネート樹脂(A−1)を製造するためには、末端基となる前記高純度3−ペンタデシルフェノールを末端停止剤として用いることが必要である。
末端停止剤としては、高純度3−ペンタデシルフェノール以外の末端停止剤(他の末端停止剤)を高純度3−ペンタデシルフェノールと併用して用いてもよい。他の末端停止剤としては、従来から使用されているポリカーボネート樹脂を製造するための末端停止剤を用いることができ、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノール,p−t−オクチルフェノールなどが挙げられる。これらの中では、p−t−ブチルフェノールとp−クミルフェノールが好ましい。高純度3−ペンタデシルフェノールと他の末端停止剤とを併用して用いる場合、その使用比率は、(3−ペンタデシルフェノール):(他の末端停止剤)のモル比は、好ましくは99:1〜20:80、より好ましくは90:10〜30:70である。
上記一般式(1)で表される二価フェノールとしては、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
上記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンは、末端が水素のポリオルガノシロキサンの末端を、例えば、2−アリルフェノール及びオイゲノール等の末端にアリル基を有するフェノール化合物で変性したものである。末端にアリル基を有するフェノール化合物で変性されたポリオルガノシロキサンは、特許第2662310号公報に記載の方法により合成することができる。
上記ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサンが好適である。
分岐化剤としては、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物が挙げられる。
また、エステル交換反応法(溶融法)によるポリカーボネートの製造においては、カーボネート原料としては炭酸ジエステルが使用され、炭酸ジエステルとしては、炭酸ジアリール化合物、炭素ジアルキル化合物、炭酸アルキルアリール化合物等が挙げられる。
ここで、炭酸ジアリール化合物の具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ビスフェノールAビスフェニルカーボネート等が挙げられる。炭酸ジアルキル化合物の具体例としては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ビスフェノールAビスメチルカーボネート等が挙げられる。炭酸アルキルアリール化合物の具体例としては、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、シクロヘキシルフェニルカーボネート、ビスフェノールAメチルフェニルカーボネート等が挙げられる。
ホスゲンまたはホスゲン誘導体を用いる界面重縮合法としては、例えば、予め前記二価フェノールのポリカーボネートオリゴマーを前記二価フェノールとホスゲンまたはホスゲン誘導体とから合成しておき、このオリゴマーの不活性有機溶剤溶液に、前記二価フェノールを含有するアルカリ水溶液及び前記高純度3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を加えて反応させる方法、または、前記二価フェノールのアルカリ水溶液、前記高純度3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤及び不活性有機溶剤との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を加えて反応させる方法などが挙げられるが、これらの中で前者のオリゴマー法が好適である。
前記触媒の中では、三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。このようにして得られたポリカーボネート樹脂を含む有機溶媒溶液から、通常の方法に従って回収操作を行うことにより、ポリカーボネート樹脂(A−1)を得ることができる。
ポリカーボネート樹脂(A−1)は、350℃で成形した3mm厚の成形体における380nm光線透過率が85.0%以上である。前記380nm光線透過率が85.0%以上であると、透明性が要求される液晶用導光部材、更には薄肉かつ大画面の液晶用導光部材に好適に使用することができる。以上の観点から、前記380nm光線透過率は、86%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A−1)の粘度平均分子量は、特に限定されるものではないが、薄肉の成形品を成形する際の流動性と強度を保つ観点から、好ましくは8,000〜19,000、より好ましくは9,000〜17,000、更に好ましくは10,000〜15,000とすることが望ましい。
ポリカーボネート樹脂(A−1)のイエローインデックス(YI)は、好ましくは1.5以下である。ポリカーボネート樹脂(A−1)のYIが1.5以下であると色調に優れ、透明性が要求される液晶用部材に好適に使用することができる。以上の観点から、ポリカーボネート樹脂(A−1)のYIは、1.3以下であることがより好ましく、1.1以下であることが更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A−1)以外のポリカーボネート樹脂(A−2)を含有していてもよい。
前記ポリカーボネート樹脂(A−2)としては、特に制限はなく種々の公知のポリカーボネート樹脂を使用できるが、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
該(A−2)成分のポリカーボネート系樹脂の粘度平均分子量は、物性面の観点から、好ましくは10,000〜40,000、より好ましくは11,000〜17,000である。
R9及びR10の具体例としては、前記R5及びR6と同じものが挙げられる。R9及びR10としては、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基である。X’の具体例としては、前記Xと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。d及びeは、それぞれ独立に、好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
上記の反応に際し、必要に応じて、分子量調節剤(末端停止剤)、分岐化剤等が使用される。
なお、上記芳香族二価フェノール系化合物としては、下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
該芳香族二価フェノール系化合物の具体例としては、上記一般式(1)で表される二価フェノールと同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。また、上記一般式(3)で表される二価フェノールに含まれない二価フェノールとして、上記一般式(2)で表される構成単位を含む二価フェノールである、上記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンを一般式(3)で表される二価フェノールと併用して用いることができる。
上記二価フェノールは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
末端停止剤としては、従来から使用されているポリカーボネート樹脂を製造するための末端停止剤を用いることができ、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノール,p−t−オクチルフェノールなどが挙げられる。これらの中では、p−t−ブチルフェノールとp−クミルフェノールが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(A)は、前記ポリカーボネート樹脂(A−1)10〜100質量%、及び前記ポリカーボネート樹脂(A−2)90〜0質量%からなる。
前記ポリカーボネート樹脂(A−1)の含有量は、(A)成分中、10〜100質量%、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは50〜100質量%、更に好ましくは70〜100質量%である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に上記(A−1)成分以外のポリカーボネート系樹脂(A−2)を含有させる場合、その含有量は、(A)成分中、90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
前記(A)成分中の3−ペンタデシルフェノキシ基の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、更に好ましくは0.8〜7質量%である。(A)成分中の3−ペンタデシルフェノキシの含有量が前記の範囲であれば、流動性が向上し、色調が改善するとともに、耐久性が向上する。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に限定されるものではないが、薄肉の成形品を成形する際の流動性と強度を保つ観点から、好ましくは8,000〜19,000、より好ましくは9,000〜17,000、更に好ましくは10,000〜15,000とすることが望ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、リン系酸化防止剤(B)を含む。リン系酸化防止剤(B)を含むことで、ポリカーボネート樹脂組成物のYI値の上昇を抑え、さらに成形加工時に樹脂組成物を高温で滞留しても、良好な色調を保持することができ、優れた加工安定性をポリカーボネート樹脂組成物に付与することができる。
R7及びR8がアリール基である場合、R7及びR8は下記一般式(a)、(b)または(c)で表されるアリール基が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて脂肪族環状エポキシ化合物(C)を含有することができる。
脂肪族環状エポキシ樹脂(C)としては、構造の一部がエポキシ化された化合物が挙げられる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物に脂肪族環状エポキシ化合物(C)を含有させることにより、成形体の耐久性を向上させることができる。
そのような脂肪族環状エポキシ化合物(C)の中でも、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製の商品名「セロキサイド2021P」等)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル化学工業社製の商品名「EHPE3150」等)、これら2種の混合物(ダイセル化学工業社製の商品名EHPE3150CE)が好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)を含有することができる。
上記官能基を有するポリオルガノシロキサンは、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基の群から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上述の(A)成分、及び(B)成分、及び必要に応じて添加される上述の(C)成分、及び(D)成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、従来、ポリカーボネート樹脂組成物に添加される公知の種々の添加剤の配合が可能である。
これらの添加剤としては、リン系酸化防止剤以外の酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、無機充填材(ガラス繊維、タルク、酸化チタン、マイカ等)、着色剤、光拡散剤等が挙げられる。
混練方法としては、特に制限されず、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法が挙げられる。また、混練の際の加熱温度は、通常240〜330℃、好ましくは250〜320℃の範囲で選択される。
成形方法としては、従来公知の各種成形方法を用いることができ、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、ブロー成形法、プレス成形法、真空成形法及び発泡成形法等が挙げられる。
また、ペレット化させ、射出成形することが好ましく、一般的な射出成形法又は射出圧縮成形法、そしてガスアシスト成形法等の特殊成形法を用いることができ、各種成形品を製造することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体は、導光部材や光拡散板用の樹脂として好適に用いることができる。導光部材としては、携帯電話、液晶テレビ、パソコン、電子辞書、電子書籍、スマートフォンやタブレットPC等に用いられる液晶表示装置の導光板等の液晶機器用導光部材、ヘッドランプに付随するデイタイムランニングライトやLED照明等に用いられる導光部材が挙げられる。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、流動性に優れるため、特に、厚みの薄い成形体を製造する場合は、射出成形により成形することが望ましく、液晶表示装置の導光板や光拡散板用の樹脂として好適に用いることができる。
3−ペンタデシルフェノール、及びレゾルシノール誘導体は、アジレント・テクノロジー製;「AGILENT1200」にて、カラムに「L−column ODS」(4.6mmID×150mm,粒径3μm)、移動相にアセトニトリル/ギ酸バッファー=95/5(vol/vol)を用いて測定した。
フェノール誘導体は、日本電子株式会社製;「JMS−Q1000GC」にて、長さ30m×内径250μm×膜厚0.25μmのカラム「VF-1」を用いて測定した。
ポリカーボネート樹脂の粘度数(VN)は、ISO1628−4(1999)に準拠して測定した。
<粘度平均分子量(Mv)の測定>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
得られたポリカーボネート樹脂100質量部に、アデカスタブPEP36〔株式会社ADEKA製、ビス(2,6−ジーt−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト〕を500質量ppm添加し、ベント付き40mmφの単軸押出機によって樹脂温280℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練押出し、ペレットを得、得られたペレットを用い、シリンダー温度350℃で射出成形した3mm厚の成形体の380nm光線透過率を日立ハイテクノロジーズ社製のU−4100分光光度計で測定した。合格基準は、380nmの透過率が85%以上である。
日本電子株式会社製;「JNM−LA500」を用い、1H−NMRを測定して、ポリカーボネート樹脂の末端基組成量を算出した。また、末端基組成量からポリカーボネート樹脂中の3−ペンタデシルフェノキシ基の含有量(質量%)を算出した。
内径30mm、容量500mLのカラムにマクマホンパッキング(Mc.MAHON Packing、規格サイズ:6mm)を充填して精留塔とし、内温測定装置の付いた2Lフラスコに取り付け、充填塔頂には還流比(還流量/留出量)を調整する器具と塔頂温度を測定する装置、更には減圧度調整装置を取り付けた。3−ペンタデシルフェノール(東京化成工業株式会社製、純度92.10質量%、レゾルシノール誘導体:2.15質量%、フェノール誘導体5.11質量%)1006.96gをフラスコに供給し、窒素置換後、加熱減圧を開始した。減圧度2mmHg、還流量/留出量=1に設定し、塔頂温度205〜210℃の留分を分取した。この時、フラスコ温度は230〜245℃であった。分取量は825.71g(仕込みの82質量%)、3−ペンタデシルフェノールの純度は93.61質量%であった。
次に、得られた粗3−ペンタデシルフェノールを60℃の湯浴にて融解させ規格瓶に70g秤量した後、420gのn−ヘキサンを加え溶解させた。室温にて12時間静置し、析出した固体を減圧濾過した後、室温にて8時間減圧乾燥することにより対応する3−ペンタデシルフェノール48gを得た。得られた3−ペンタデシルフェノール中の3−ペンタデシルフェノール含有率は97.75質量%であった。得られた純度97.75質量%の3−ペンタデシルフェノール70gを60℃の湯浴にて融解させ、規格瓶に70g秤量した後、420gのn−ヘキサンを加え溶解させた。室温にて12時間静置し、析出した固体を減圧濾過した後、室温にて8時間減圧乾燥することにより、純度99.33質量%の3−ペンタデシルフェノール54gを得た。得られた3−ペンタデシルフェノール中のレゾルシノー誘導体含有率は0.23質量%、フェノール誘導体は0.02質量%であった。
〔ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造〕
(1)ポリカーボネートオリゴマーの製造
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hr、20質量%p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液を149.2kg/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度321g/L、クロロホーメート基濃度0.75mol/Lであった。
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積50Lの槽型反応器に上記オリゴマー溶液19L、塩化メチレン11Lを仕込み、調製例1で得られた純度99.33質量%の3−ペンタデシルフェノール(m−PDP)361g、及びPTBP64gを溶解後、トリエチルアミン5.6mLを加え、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1814gを攪拌下で添加し、10分間反応を行った。BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH701gと亜二チオン酸ナトリウム2.9gを水10.8Lに溶解した水溶液に、BPA1462gを溶解したもの)を添加し、50分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン4Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対し順次15容量%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液と0.2mol/L塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は4.07mol%であり、PTBPの組成比は4.24mol%であった。ポリカーボネート樹脂の380nm光線透過率は87.95%であった。
〔ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造〕
製造例1の(2)ポリカーボネート樹脂の製造において、PTBP64gを使用しなかったこと以外は、製造例1と同様の方法により、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は4.08mol%であり、PTBPの組成比は2.89mol%であった。ポリカーボネート樹脂の380nm光線透過率は87.90%であった。
〔ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造〕
製造例1の(2)ポリカーボネート樹脂の製造において、m−PDPの使用量を361gから72gに変更し、かつPTBPの使用量を64gから171gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は0.80mol%であり、PTBPの組成比は6.74mol%であった。ポリカーボネート樹脂の380nm光線透過率は86.92%であった。
〔ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造〕
製造例1の(2)ポリカーボネート樹脂の製造において、m−PDPの使用量を361gから217gに変更し、かつPTBPの使用量を64gから100gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は2.41mol%であり、PTBPの組成比は5.14mol%であった。ポリカーボネート樹脂の380nm光線透過率は87.60%であった。
〔ポリカーボネート樹脂(A−1)の製造〕
製造例1の(2)ポリカーボネート樹脂の製造において、PTBPの使用量を64gから29gに変更したこと以外は、製造例1と同様の方法により、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は4.06mol%であり、PTBPの組成比は3.27mol%あった。ポリカーボネート樹脂の380nm光線透過率は87.86%であった。
〔ポリカーボネート樹脂組成物の製造〕
表1に記載のポリカーボネート樹脂(A)100質量部に、表1に記載のリン系酸化防止剤(B)0.05質量部を配合し、さらに表1に記載の脂肪族環状エポキシ化合物(C)及び官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)を表1に記載の割合で配合し、ベント付き40mmφの単軸押出機を用いて樹脂温度280℃、スクリュー回転数1000ppmで溶融混練押出し、造粒し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
用いた成形材料及び成形体の性能評価方法を次に示す。結果を表1に示す。
「PDP1100−5」製造例1で得られたポリカーボネート樹脂
「PDP1300−5」製造例2で得られたポリカーボネート樹脂
「PDP1200−1」製造例3で得られたポリカーボネート樹脂
「PDP1200−3」製造例4で得られたポリカーボネート樹脂
「PDP1200−5」製造例5で得られたポリカーボネート樹脂
(A−2)成分
「タフロン FN1200」(出光興産(株)製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=11500)
「タフロン FN1500」(出光興産(株)製、ビスフェノールAポリカーボネート樹脂、粘度平均分子量(Mv)=14500)
(B)成分
「アデカスタブPEP−36」((株)ADEKA製、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
「Doverphos S−9228PC」(Dover Chemical社製、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(C)成分
「セロキサイド2021P」(ダイセル化学工業(株)製、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート)
(D)成分
「KR511」(信越シリコーン(株)製、メトキシ基、フェニル基及びビニル基を有するオルガノポリシロキサン、屈折率=1.518)
(1)MVR
上記方法で得られたペレットを、安田精機株式会社製、機器名MFR計 E号機を用い、300℃、荷重1.2kgで、溶融流動性MVR(cm3/10分)を測定した。
上記で得られたペレットを用い、320℃のシリンダー温度設定で、金型温度80℃、サイクル時間50秒にて50mm×90mm×厚さ5mmの平板状成形体を成形した。得られた成形体について、分光光度計を用い、C光源、2度視野の条件でYI値を測定した。
上記方法で得られたペレットについて、射出成形により以下のように滞留熱安定性試験を行い、滞留時間3分及び10分の成形品のYI値を測定した。
〈射出成形〉
射出成形機:東芝機械(株)製 EC40N(商品名)
成形品形状:80mm×40mm×3.2mm
成形機シリンダー温度:350℃
シリンダー内滞留時間:3分又は10分
金型温度:80℃
(4)曲げ強度
350℃のシリンダー温度設定で、金型温度110℃、サイクル時間50秒にて50mm×90mm×厚さ0.5mmの平板状成形体を成形した。得られた成形体を支点間30mmに設定した50mm幅の治具の上に、上記サンプルを載せて、試験速度0.5mm/mで試験を実施し、成形体の曲げ強度を測定した。
Claims (15)
- 下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体2.5質量%以下を含有し、該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計含有量が2.5質量%以下であり、かつ純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を原料として用い、350℃で成形した3mm厚の成形体における380nm光線透過率が85.0%以上であるポリカーボネート樹脂(A−1)10〜100質量%、及び前記(A−1)以外のポリカーボネート樹脂(A−2)90〜0質量%からなるポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、リン系酸化防止剤(B)0.005〜0.5質量部を含有するポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(A)成分100質量部に対して、さらに脂肪族環状エポキシ化合物を(C)0.001〜0.5質量部含有する、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記3−ペンタデシルフェノールの純度が99.0質量%以上である、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記3−ペンタデシルフェノールが蒸留の後、晶析を行うことで得られる、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(A)成分中の3−ペンタデシルフェノキシ基の含有量が0.1〜10質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(B)成分がペンタエリスリトール構造を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(C)成分が、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物、及びこれらの混合物である、請求項2〜7のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記(A)成分100質量部に対して、さらに官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)0.02〜0.15質量部を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記官能基が、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、シラノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基及びビニル基の群から選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記官能基を有するポリオルガノシロキサン(D)の屈折率と前記ポリカーボネート樹脂(A)との屈折率との差が0.13以下である、請求項9又は10に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量が8,000〜19,000である、請求項1〜11のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜12のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 成形体が導光部材である、請求項13に記載の成形体。
- 導光部材が導光板である、請求項14に記載の成形体。
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