JP2014189684A - ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014189684A
JP2014189684A JP2013067595A JP2013067595A JP2014189684A JP 2014189684 A JP2014189684 A JP 2014189684A JP 2013067595 A JP2013067595 A JP 2013067595A JP 2013067595 A JP2013067595 A JP 2013067595A JP 2014189684 A JP2014189684 A JP 2014189684A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate copolymer
polycarbonate
dihydric phenol
bis
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013067595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6035182B2 (ja
Inventor
Koichi Suga
浩一 菅
Yumi Nakayama
ユミ 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2013067595A priority Critical patent/JP6035182B2/ja
Publication of JP2014189684A publication Critical patent/JP2014189684A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6035182B2 publication Critical patent/JP6035182B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】特定の二価フェノール化合物をポリカーボネートの共重合モノマーとして用いることにより、流動性の優れたポリカーボネート共重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、特定の二価フェノール化合物を用いたポリカーボネート共重合体及びその製造方法に関し、より詳細には流動性に優れたポリカーボネート共重合体及びその製造方法に関する。
ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、機械特性など優れた特徴を有し、OA・家電の筐体や電気・電子分野の部材、レンズなどの光学材料など、幅広い用途に使用されている。しかしながら、ポリカーボネートは前記の優れた特徴を有するものの、その流動性が他の熱可塑性樹脂に比較して高いとは言えず、例えば、特に、厚みの薄い成形体である液晶表示装置の導光板や光拡散板等の成形体、テレビの大型化などに伴う筐体を製造する際に、ポリカーボネートを用いた成形材料の流動性を改善することが求められている。
ポリカーボネートを用いた成形材料の流動性を改善する方法として、可塑剤を添加したり、ABSのような流動性に優れる樹脂を併用した組成物を用いることが行われている。
また、他の方法として、ポリカーボネートのモノマーを変更する方法も提案されている。例えば、優れるポリカーボネートを得るために、特許文献1では、末端停止剤として、カシューナッツ殻液由来の成分に含まれるカルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを使用することが知られているが、末端基に長鎖アルキル基を導入するために、その導入量が限られ、十分な流動性を得るためには分子量を比較的低くする必要があり、耐衝撃性等を低下させる恐れがある。また、特許文献2では、前記カルダノールから誘導されるビスフェノール化合物を用いることが知られているが、このビスフェノール化合物は、その原料成分としてカルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを酸化して置換シクロヘキサノンとし、この置換シクロヘキサノンをフェノールと反応して得るものであることから、原料とするビスフェノール化合物の製造工程が煩雑となる問題があった。
特表2006−502276号公報 特表2004−507585号公報
本発明は、特定のアルキル基を有するレゾルシノールをポリカーボネート共重合体を製造する際のモノマー成分として含有するポリカーボネート共重合体及びその製造方法に関し、より詳細には流動性に優れたポリカーボネート共重合体及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を進めた結果、カシューナッツ殻液由来の成分であるカルドールを水添して得られる5−ペンタデシルレゾルシノールをポリカーボネートの共重合モノマーとして用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記
即ち、本発明は、下記1〜8に関する。
1.1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体。
2.前記二価フェノール(A)が、前記1,3−ジヒドロキシベンゼンの5位に炭素数13〜30のアルキル基が置換した二価フェノール(A)である、上記1に記載のポリカーボネート共重合体。
3.前記二価フェノール(A)が、5−ペンタデシルレゾルシノールである、上記2に記載のポリカーボネート共重合体。
4.前記二価フェノール(A)及びビスフェノール化合物をモノマー成分として含有する、上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
5.前記化合物(A)と前記ビスフェノール化合物とのモル比が、1:99〜20:80である、上記4に記載のポリカーボネート共重合体。
6.上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体と該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートからなる、ポリカーボネート樹脂組成物。
7.前記二価フェノール化合物として、1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した化合物(A)をモノマー成分として含有するポリカーボネート共重合体の製造方法であって、界面重合方法を用いて製造する、上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体の製造方法。
8.上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体又は上記6に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、成形体。
本発明のポリカーボネート共重合体は、二価フェノール化合物として、1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した化合物(A)をモノマー成分として含有するため、流動性に優れている。そのため、成形性に優れ、特に、厚みの薄い成形体の製造に適する。
[ポリカーボネート共重合体]
本発明のポリカーボネート共重合体は、二価フェノール化合物として、1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した化合物(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体である。
本発明のポリカーボネート共重合体に使用される1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した化合物(A)について以下に説明する。
本発明のポリカーボネート共重合体に使用される1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル基を有する化合物(A)中のアルキル基としては、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ナノデシル基等のアルキル基を例示することができる。アルキル基のベンゼン核への置換位置は、2位、4位、5位、6位のいずれであってもよいが、5位に置換していることが好ましい。特に、アルキル基がn−ペンタデシル基であり、5位に置換している化合物は、5−ペンタデシルレゾルシノールである。 この5−ペンタデシルレゾルシノールは、アナカルド酸、カルダノールと共にカシューナッツ殻液に含まれるカルドールを水添・精製して得ることができるので、本発明に使用される二価フェノール(A)として、特に好ましく使用することができる。
前記カルドールは、カシューナッツ殻液成分として約18質量%程度含まれており、2重結合数が1〜3個を有する3種の混合物であり、主成分の構造は下記式で表される。
Figure 2014189684
上述したとおり、カルドールは、上記式で表されるとおり、主成分は3個の炭素−炭素二重結合を有しており、これらの炭素−炭素二重結合を水添することにより、下記式で表される5−ペンタデシルレゾルシノール(水添カルドールとも言う。)を得ることができる。
Figure 2014189684
上記で説明したとおり、カルドールは、カシューナッツ殻油(Cashew Nut shell Liquid、以後CNSLと記す場合もある。)の成分として含まれており(1)A. Srinivasa Rao J. Agric. Food Chem. 2001, 49, 2548-2551の文献に記載の方法で単離する事ができる。また、単離したカルドールは、(2)Morimoto,H. et al.; Chemical and Pharmaceutical Bulletin; vol. 16; (1968); p. 2282 − 2286、(3)Kawamura; Japan. J. Chem.; vol. 3; p. 91,103; Chem. Zentralbl.; vol. 99; nb. II; (1928); p. 2256、及び(4)Backer; Haack; Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas; vol. 60; (1941); p. 661,666、(5)Wasserman; Dawson; Journal of the American Chemical Society; vol. 70; (1948); p. 3675,3678の各文献に記載された方法で水添して、目的の5−ペンタデシルレゾルシノール(水添カルドール、PDRと記すこともある。)を得ることができる。なお、CNSLは食用カシューナッツを取り出した後のカシューナッツ殻を焙煎、圧縮搾油して得ることができる。
<ポリカーボネート共重合体の製造方法>
次に、本発明のポリカーボネート共重合体の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート共重合体を製造するためには、1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)のモノマー成分と前記二価フェノール(A)に含まれない二価フェノール(B)のモノマー成分を用いる必要がある。二価フェノール(A)に含まれない二価フェノール(B)としては、各種の公知の二価フェノールを用いることができるが、下記一般式(1)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
Figure 2014189684
ここで、一般式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−、a及びbは0〜4の整数を示す。
一般式(1)で表される二価フェノールとしては、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
さらに、二価フェノール(A)に含まれない二価フェノール(B)としては、下記式(2)で表される構成単位を含んでいてもよい。このような構成単位を有する共重合体とすることにより、樹脂の難燃性を向上させることができる。下記一般式(2)で表される構成単位は、下記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンを用いることにより形成することができる。
Figure 2014189684
上記一般式(2)又は一般式(2−1)中、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Zは、アリル基を有するフェノール化合物から誘導される、トリメチレン基を有するフェノール残基を示す。nは70〜1000を示す。
上記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンは、末端が水素のポリオルガノシロキサンの末端を、例えば、2−アリルフェノール及びオイゲノール等のアリル基を有するフェノール化合物で変性したものである。末端がアリル基を有するフェノール化合物で変性されたポリオルガノシロキサンは、特許第2662310号公報に記載の方法により合成することができる。
上記ポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサンが好適である。
本発明のポリカーボネート重合体は、通常のポリカーボネートの製造において慣用されている方法、例えば、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を使用する界面重縮合法およびエステル交換法(溶融法)などを用いて製造することができるが、これらの中で界面重縮合法が好ましい。ホスゲンまたはホスゲン誘導体を用いる界面重縮合法としては、例えば、予め前記二価フェノール(A)のポリカーボネートオリゴマーまたは前記二価フェノール(B)のポリカーボネートオリゴマーを二価フェノール(A)または二価フェノール(B)とホスゲンまたはホスゲン誘導体とから合成しておき、これらのオリゴマーの不活性有機溶剤溶液と、二価フェノール(A)及び/又はビスフェノール化合物(B)を含有するアルカリ水溶液とを反応させる方法、および前記二価フェノール(A)と前記二価フェノール(B)とを所定の割合で含有するアルカリ水溶液と不活性有機溶剤との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を加えて反応させる方法などが挙げられるが、これらの中で前者のオリゴマー法が好適である。前記ホスゲンまたはホスゲン誘導体としては、ホスゲンをはじめトリホスゲン,ブロモホスゲン,ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート,ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート,ビス(2−シアノフェニル)カーボネート,クロロギ酸トリクロロメチルなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、ポリカーボネート共重合体中の主鎖中にモノマー成分である前記二価フェノール(A)と前記二価フェノール(B)が、カーボネート結合を介して含有する状態で得られる。その二価フェノール(A)と二価フェノール(B)とのモル比が、(A):(B)=1:99〜20:80、より好ましくは、3:97〜15:85とすることが好ましい。この範囲内であると、得られるポリカーボネート共重合体の耐熱性を大きく低下させることなく、流動性を向上させることができる。
次に、オリゴマー法により本発明のポリカーボネート重合体を製造する方法について説明すると、先ず、アルカリ金属水酸化物の水溶液に前記二価フェノール(A)と前記二価フェノール(B)を溶解させ、二価フェノールのアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム等の水溶液)を調整する。次いで、このアルカリ水溶液と不活性有機溶剤(塩化メチレン等の有機溶剤)との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を導入して、前記二価フェノール(A)または前記二価フェノール(B)のポリカーボネートオリゴマーを合成する。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15重量%の範囲が好ましく、また有機相と水相との容積比は5:1〜1:7、好ましくは2:1〜1:4の範囲にあるのが望ましい。反応温度は水浴冷却し、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲で選ばれ、反応時間は15分ないし4時間、好ましくは30分ないし2時間程度である。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーの重合度は、通常20以下、好ましくは2〜10程度である。
次いで、このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、所望により不活性有機溶剤を加え、これと前記二価フェノール(A)及び/又は前記二価フェノール(B)とを所定の割合で含むアルカリ水溶液とを接触させて、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度において、10分ないし6時間程度界面重縮合させる。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15重量%が好ましく、また有機相と水相との容積比は7:1〜1:2、好ましくは4:1〜1:1の範囲にあるのが望ましい。そして、前記二価フェノール(A)及び/又は前記二価フェノール(B)の二価フェノールとしての合計量と該ポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(二価フェノールの合計量)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.4〜0.55、好ましくは0.45〜0.5になるように選ばれる。また、アルカリ金属水酸化物とポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(アルカリ金属水酸化物)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常1.0〜2.0、好ましくは1.2〜1.7になるように選ばれる。さらに、この反応において、所望に応じ末端停止剤や触媒を用いることができる。末端停止剤の使用量は、(末端停止剤)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.02〜0.20、好ましくは0.04〜0.17になるように選ばれる。一方、触媒の使用量は、触媒/オリゴマーのクロロホーメート基モル比が、通常1.0×10-3 〜10.0×10-3 、好ましくは1.0×10-3 〜5.0×10-3 になるように選ばれる。
本発明のポリカーボネート共重合体の製造において用いられるアルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,水酸化セシウムなどが挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好適である。また、不活性有機溶剤としては、各種のものがある。例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン);クロロホルム;1,1−ジクロロエタン;1,2−ジクロロエタン;1,1,1−トリクロロエタン;1,1,2−トリクロロエタン;1,1,1,2−テトラクロロエタン;1,1,2,2−テトラクロロエタン;ペンタクロロエタン,クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素や、アセトフェノンなどが挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、特に塩化メチレンが好適である。
そして、末端停止剤としては、各種のものを用いることができる。具体的には一価フェノールとして、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノール,p−t−オクチルフェノールなどが挙げられる。触媒も、各種のものを用いることができる。具体的には四級アンモニウム塩,四級ホスホニウム塩あるいは三級アミンなどで、例えば、四級アンモニウム塩としては、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド,トリエチルベンジルアンモニウムクロライド,トリブチルベンジルアンモニウムクロライド,トリオクチルメチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。また、四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムブロマイドなどが、そして、三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン,ピリジン,ジメチルアニリンなどが挙げられる。
このようにして生成した本発明のポリカーボネート共重合体を含む有機溶媒溶液から、通常の方法に従って回収操作を行うことにより、本発明のポリカーボネート共重合体を得ることができる。本発明のポリカーボネート共重合体は、1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体であり、その粘度平均分子量が10,000〜50,000であれば、耐衝撃性等の機械的強度に優れる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートと任意の割合で混合してポリカーボネート樹脂として用いることができる。上記のポリカーボネート共重合体又は該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートと任意の割合で混合してポリカーボネート樹脂は、各種成形方法により成形体とすることができる。特に、厚みの薄い成形体を製造する場合は、射出成形により成形することが望ましく、液晶表示装置の導光板や光拡散板用の樹脂として好適に用いることができる。
以下に実施例をあげて本発明の方法を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。分析条件は下記に示す通りである。
<共重合量の測定>
日本電子株式会社製;「JNM−LA500」を用い、1H−NMRを測定して、ポリカーボネート共重合体の主鎖を構成するモノマー成分であるビスフェノール化合物の共重合量を算出した。
<粘度平均分子量の測定>
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
<ガラス転移温度Tgの測定>
ISO 11357に準拠して測定した。
<溶融流動性(MVR)の測定>
ISO 1133に準拠して、300℃、荷重1.4kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(cm3/10分)である。
製造例1
<CNSLからカルドールの単離>
5質量%の水分を含むメタノール6Lと1kgのカルドールを混合し、混合液を得た。この混合溶液を撹拌しながら500gの消石灰を少しづつ添加した。すべての消石灰を添加した後、更に3時間撹拌を続けた。時間の経過とともに、混合液中から、CNSLに含まれていたアナカルド酸がCa塩として析出してくるので、この析出物をろ過して除去し、ろ過母液を全体量が2Lになるまで濃縮した。得られた濃縮液に25質量%濃度のアンモニア水2Lを加え15分以上撹拌させた。得られた混合液をヘキサン:酢酸エチル(98:2)の混合液1Lで3回抽出した。得られた抽出液にはCNSL中に含まれていたカルダノールが含まれており、次にヘキサン:酢酸エチル(80:20)の混合液2Lで1回抽出した。この抽出液を5質量%の塩酸1Lで洗浄し、更に蒸留水1Lで洗浄した。芒硝で脱水後、溶媒を除去することによりカルドール200gを得た。
<カルドールの水添による5−ペンタデシルレゾルシノールの製造>
100gのカルドールを500mlのテトラヒドロフラン(以降THFと記す)に溶解し、水素供給管、加熱装置、撹拌翼を備えた1Lのオートクレーブに入れた。ここにパラジウムカーボン(活性炭に10質量%のパラジウムを担持させたもの、市販品)1gを入れ、100rpmで撹拌しつつオートクレーブ内を窒素置換し、加熱装置で40℃まで昇温した。0.4MPaの水素で加圧しながら4時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、脱圧、窒素置換を行い、反応液から触媒をろ過により除去した。ろ液から加熱により溶媒を除去して、目的の5−ペンタデシルレゾルシノールを白色固体(融点95〜96℃、90.5g、収率90%)として得た。
実施例1
上記製造例1で得られた5−ペンタデシルレゾルシノールをモノマー成分として用い、以下の方法でポリカーボネート共重合体を製造した。
<ポリカーボネートオリゴマーの製造>
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度315g/L、クロロホーメート基濃度0.75mol/Lであった。
<ポリカーボネート共重合体の製造>
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に上記で得られたポリカーボネートオリゴマー溶液135mL、塩化メチレン90mL、トリエチルアミン28μLを仕込み、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液26gに上記製造例1で得られた5‐ペンタデシルレソルシノール3.22gを溶解した溶液を攪拌下で添加し、10分間反応を行った。次いで、PTBPの塩化メチレン溶液(PTBP0.63gを塩化メチレン10mLに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH4.83gと亜二チオン酸ナトリウム16mgを水71mLに溶解した水溶液に、BPA8.03gを溶解したもの)を添加し、50分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン100mLを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及びNaOHを含む水相とに分離し、有機相を単離した。得られた有機相を、その溶液に対し順次15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/リットル塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、ポリカーボネート共重合体を得た。1H−NMRにより求めた5‐ペンタデシルレソルシノールに由来する繰返し単位とBPAに由来する繰返し単位のモル比は9:91であった。得られたポリカーボネート共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、17700であり、ガラス転移温度Tgは、129℃で、溶融流動性(MFR)は、39cm3/10分であった。
比較例1
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に実施例1で使用したポリカーボネートオリゴマー溶液135mL、塩化メチレン90mL、PTBP0.68gを加えて撹拌溶解した。ここにトリエチルアミン14μLを仕込み、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH6.04gと亜二チオン酸ナトリウム20mgを水88mLに溶解した水溶液に、BPA10.33gを溶解したもの)を添加し、60分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン100mLを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対し順次15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/リットル塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネートの塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、BPA骨格からなるホモポリカーボネートを得た。得られたホモポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、17300であり、ガラス転移温度Tgは、145℃で、溶融流動性(MFR)は、22cm3/10分であった。
上記実施例1と比較例1との対比から、実施例1のポリカーボネート共重合体と比較例1のホモポリカーボネートとは粘度平均分子量がほぼ同じであるが、実施例1で得られたポリカーボネート共重合体は、モノマー成分として1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)を主鎖中に含むために、その流動性が大きく向上していることがわかる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、流動性に優れるために、成形性に優れ、特に、厚みの薄い成形体、液晶表示装置の導光板、光拡散板やその他OA機器材料部材の製造に適する。また、二価フェノール(A)として、カシューナッツ殻液由来のカルドールを水添して得られる5−ペンタデシルレゾルシノールを用いれば、従来、廃棄等されていたカシューナッツ殻を有効に利用することができる。

Claims (8)

  1. 1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル基が置換した二価フェノール(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体。
  2. 前記二価フェノール(A)が、前記1,3−ジヒドロキシベンゼンの5位に炭素数13〜30のアルキル基が置換した二価フェノール(A)である、請求項1に記載のポリカーボネート共重合体。
  3. 前記二価フェノール(A)が、5−ペンタデシルレゾルシノールである、請求項2に記載のポリカーボネート共重合体。
  4. 前記二価フェノール(A)及びビスフェノール化合物(B)をモノマー成分として含有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
  5. 前記二価フェノール(A)と前記ビスフェノール化合物(B)とのモル比が、1:99〜20:80である、請求項4に記載のポリカーボネート共重合体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体と該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートからなる、ポリカーボネート樹脂組成物。
  7. 1,3−ジヒドロキシベンゼンに炭素数13〜30のアルキル鎖が置換した二価フェノール(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体の製造方法であって、界面重合方法を用いて製造する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体の製造方法。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体又は請求項6に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる、成形体。
JP2013067595A 2013-03-27 2013-03-27 ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 Active JP6035182B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013067595A JP6035182B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 ポリカーボネート共重合体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013067595A JP6035182B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 ポリカーボネート共重合体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014189684A true JP2014189684A (ja) 2014-10-06
JP6035182B2 JP6035182B2 (ja) 2016-11-30

Family

ID=51836285

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013067595A Active JP6035182B2 (ja) 2013-03-27 2013-03-27 ポリカーボネート共重合体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6035182B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0616802A (ja) * 1992-04-06 1994-01-25 General Electric Co <Ge> 組成物
US6451957B1 (en) * 1999-12-23 2002-09-17 General Electric Company (Hydroxyalkyl)phenols, method for their preparation, and uses thereof

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0616802A (ja) * 1992-04-06 1994-01-25 General Electric Co <Ge> 組成物
US6451957B1 (en) * 1999-12-23 2002-09-17 General Electric Company (Hydroxyalkyl)phenols, method for their preparation, and uses thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP6035182B2 (ja) 2016-11-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI547509B (zh) Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer and method for producing the same
JP6007058B2 (ja) ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の連続的な製造方法
WO2015186773A1 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP6397645B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物、及び成形体
WO2016088814A1 (ja) ポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法
JP6035182B2 (ja) ポリカーボネート共重合体及びその製造方法
JPWO2014171509A1 (ja) 液晶部材用ポリカーボネート樹脂、それを含む液晶部材用ポリカーボネート樹脂組成物及び液晶部材
JP6097113B2 (ja) ポリカーボネート共重合体及びその製造方法
DE112018003860T5 (de) Carbonat-Olefin-Copolymer
JP2014224244A (ja) ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂組成物、及び成形体
JP6357408B2 (ja) 分岐ポリカーボネートの製造方法
WO2016104532A1 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4071145B2 (ja) ポリカーボネート共重合体及びその製造方法
WO2015159958A1 (ja) ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2015189900A (ja) 3−ペンタデシルフェノールの塩化メチレン溶液、その製造方法、及び該溶液を用いるポリカーボネート樹脂の製造方法
WO2016068154A1 (ja) 分岐ポリカーボネート樹脂及びその製造方法
JP2014224245A (ja) ポリカーボネート樹脂の製造方法
WO2016080382A1 (ja) ポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法
JP2016088974A (ja) ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161011

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161031

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6035182

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150