JP6097113B2 - ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ビスフェノール化合物を用いたポリカーボネート共重合体及びその製造方法に関し、より詳細には流動性に優れたポリカーボネート共重合体及びその製造方法に関する。
ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、機械特性など優れた特徴を有し、OA・家電の筐体や電気・電子分野の部材、レンズなどの光学材料など、幅広い用途に使用されている。しかしながら、ポリカーボネートは前記の優れた特徴を有するものの、その流動性が他の熱可塑性樹脂に比較して高いとは言えず、例えば、特に、厚みの薄い成形体である液晶表示装置の導光板や光拡散板等の成形体、テレビの大型化などに伴う筐体を製造する際に、ポリカーボネートを用いた成形材料の流動性を改善することが求められている。
ポリカーボネートを用いた成形材料の流動性を改善する方法として、可塑剤を添加したり、ABSのような流動性に優れる樹脂を併用した組成物を用いることが行われている。
また、他の方法として、ポリカーボネートのモノマーを変更する方法も提案されている。例えば、特許文献1では、ビスフェノール誘導体として、長鎖アルキル基を有するケトン化合物とフェノールとを反応させて得られる長鎖アルキル鎖を有するビスフェノール化合物を用いてビスフェノールAとのポリカーボネート共重合体とすることが知られている。しかし、この方法では共重合モノマーとなる該長鎖アルキル鎖を有するビスフェノール化合物を比較的多く使用する必要があった。また、末端停止剤として、カシューナッツ殻液由来の成分に含まれるカルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを使用することが特許文献2で知られているが、末端基に長鎖アルキル基を導入するために、その導入量が限られ、十分な流動性を得るためには分子量を比較的低くする必要があり、耐衝撃性等を低下させる恐れがあった。また、特許文献3では、前記カルダノールから誘導されるビスフェノール化合物を用いることが知られているが、このビスフェノール化合物は、その原料成分としてカルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを酸化して置換シクロヘキサノンとし、この置換シクロヘキサノンをフェノールと反応して得るものであることから、原料とするビスフェノール化合物の製造工程が煩雑となる問題があった。
特開平6−128371号公報 特表2006−502276号公報 特表2004−507585号公報
本発明は、特定のビスフェノール化合物をポリカーボネートの共重合モノマーとして用いることにより、比較的少量の共重合モノマーの使用量でも流動性の優れた特徴を有するポリカーボネート共重合体及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を進めた結果、3位アルキル置換モノフェノールを原料とする新規なビスフェノール化合物をポリカーボネートの共重合モノマーとして用いることにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記1〜9に関する。
1.下記一般式(1)又は(2)で表わされるビスフェノール化合物(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体。
[上記一般式(1)及び(2)中、R1は、炭素数2〜30の脂肪族炭化水素基である。R2は、水素原子、水酸基、炭素数1〜30の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状もしくは環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(アルキレン基、アリーレン基、シリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基を示す。A及びBは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基を表す。nは1〜4の整数を表す。]
2.前記ビスフェノール化合物(A)が、下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表わされる、上記1に記載のポリカーボネート共重合体。

[上記一般式(3)〜(5)中、R1、R2、A及びBは、前記と同じである。]
3.前記R2が、置換もしくは無置換の炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基である、上記1又は2に記載のポリカーボネート共重合体。
4.前記R1及びR2が、それぞれ独立に炭素数8〜25の直鎖状アルキル基である、上記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
5.前記ビスフェノール化合物(A)が、下記一般式(6)で表わされる、上記1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
[上記一般式(6)中、A’は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基を表す。B’は水素原子もしくはメチル基を表す。]
6.前記ビスフェノール化合物(A)と前記ビスフェノール化合物(A)以外の二価フェノール(B)をモノマー成分として含有し、(A)成分と(B)成分とのモル比が(A):(B)=0.3:99.7〜20:80である、上記1〜5のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体。
7.上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体の製造方法であって、界面重合方法を用いて製造する、ポリカーボネート共重合体の製造方法。
8.上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体と該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートからなるポリカーボネート樹脂組成物。
9.上記1〜6のいずれかに記載のポリカーボネート共重合体又は請求項8に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
本発明のポリカーボネート共重合体は、流動性に優れている。そのため、成形性に優れ、特に、厚みの薄い成形体の製造に適する。また、本発明のポリカーボネート共重合体に用いられるビスフェノール化合物(A)は比較的簡便に製造することができるため、本発明の共重合体は低コストで生産性よく製造することができる。
製造例1で得られたビスフェノール化合物の1H−NMRスペクトル図を示す図である。
[ポリカーボネート共重合体]
本発明のポリカーボネート共重合体は、下記一般式(1)又は(2)で表わされるビスフェノール化合物(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体である。
上記一般式(1)及び(2)中、R1は、炭素数2〜30の脂肪族炭化水素基であり、炭素数2〜30の脂肪族炭化水素基の中でも、炭素数8〜25の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、飽和又は不飽和であってもよく、また直鎖状であっても分岐状であってもよい。R1は、特に、炭素数8〜25の直鎖状アルキル基が好ましい。
2は、水素原子、水酸基、炭素数1〜30の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状もしくは環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基、シリル基、又はこれらの基と二価の基(アルキレン基、アリーレン基、シリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基を示す。
炭素数1〜30の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、炭素数8〜25の直鎖状アルキル基が好ましく、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐状もしくは環状脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基等の炭素数3〜5の分岐状低級アルキル基や炭素数6以上の中鎖アルキル基、長鎖アルキル基等の分岐状アルキル基を挙げることができ、環状脂肪族炭化水素基としては、シクロプルピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
前記の脂肪族炭化水素基、芳香族基、又はシリル基と二価の基(アルキレン基、アリーレン基、シリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基、エーテル基が結合してなる基)とが結合した構造を有する基としては、トリメチルシリル基、アルコキシアルキル基(炭素数が2〜10)等を挙げることができる。
上記R1及びR2は、本発明のポリカーボネート共重合体の流動性を向上する視点からは、上記R1及びR2がそれぞれ独立に、炭素数が8〜25の直鎖アルキル基であることが好ましい。
A、Bは、それぞれ水素原子、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基を表す。
炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基や炭素数6以上の中鎖アルキル基、長鎖アルキル基等の直鎖状脂肪族炭化水素基を挙げることができる。
炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、イソヘキシル基等の炭素数3〜5の分岐状低級アルキル基や炭素数6以上の中鎖アルキル基、長鎖アルキル基等の分岐状アルキル基を挙げることができる。A’が炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基としては、シクロプルピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の単環状脂肪族炭化水素基等が挙げられ、多環状脂肪族炭化水素基としてはデカリル基、ビシクロウンデシル基等が挙げられる。
炭素数7〜20のアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等が挙げられる。A’が芳香族基、複素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル、ナフタセニル基等が挙げられる。
A、Bの中でも好ましいものとして、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ベンジル基が特に好ましい。また、nは1〜4の整数を表すが、nが1であることが好ましい。
上記のR1、R2、A、B及びA’の各基の中で、直鎖状、分岐状、環状の脂肪族炭化水素基、芳香族基、シリル基、複素環基、二価の基、多環状脂肪族炭化水素基、アラルキル基である場合には、その水素原子が更に下記の置換基、例えば、フッ素原子、エーテル基、エステル基、シリル基、水酸基で置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル基)、アルコキシ基で置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチル基)、フェニル基、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、ベンジル基)、アルキルで置換されたアリール基(例えば、p−トリル基)、アルキル基で置換されたアリールオキシ基(例えば、2−メチルフェノキシ基)等の置換基で置換されていてもよく、さらに、これら置換基内の一種以上の置換基が複数組み合わさっていてもよい。
なお、前記R1、R2、A、B及びA’の各基が更に置換されている場合、上述した炭素数には、更なる置換基の炭素数は含まれないものとする。例えば、ベンジル基は、フェニル基で置換された炭素数1のアルキル基と見なし、フェニル基で置換された炭素数7のアルキル基とは見なさない。以降の炭素数に記載についても、特に断りが無い限り、同様に解するものとする。
本発明の上記一般式(1)又は(2)で表わされるビスフェノール化合物の中でも、特に好ましいビスフェノール化合物(A)として、下記一般式(3)〜(5)のいずれかで表わされる化合物を挙げることができる。

[上記一般式(3)〜(5)中、R1、R2、A及びBは、前記と同じである。]
上記一般式(3)〜(5)のいずれかで表わされるビスフェノール化合物において、前記R2が、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基であるビスフェノール化合物が特に好ましく、その中でも炭素数8〜25の脂肪族炭化水素基であるビスフェノール化合物が特に好ましい。この炭素数8〜25の脂肪族炭化水素基であるビスフェノール化合物として、より具体的な化合物を例示すれば、以下の一般式(6)で表わされる化合物を挙げることができる。
[上記一般式(6)中、A’は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基を表す。B’は水素原子もしくはメチル基を表す。]
A’が炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基である場合は、前記一般式(1)又は一般式(2)で説明した置換基Aと同じである。上記一般式(6)の化合物の中でも、A’及びB’が共にメチル基である化合物は、アセトンを原料とするものであり、安価で入手することができる。また、A’がエチル基であり、B’が水素原子であるプロパナールも好適に用いることができる。
<ビスフェノール化合物(A)の製造方法>
本発明のポリカーボネート共重合体のモノマー成分として使用される上記ビスフェノール化合物(A)の製造方法について説明する。
本発明のポリカーボネート共重合体を製造するために使用される前記ビスフェノール化合物(A)は、その構成原料として、下記一般式(7)、一般式(8)及び一般式(9)で表わされる化合物が使用される。
[上記一般式(7)中、R1は、前記と同じである。]
一般式(7)に含まれる化合物として、3−オクチルフェノール、3−ノニルフェノール、3−デシルフェノール、3−ドデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、3−ヘキサデシルフェノール、3−オクタデシルフェノール、3−ノナデシルフェノール等のアルキルフェノールを挙げることができる。特に、前記3−ペンタデシルフェノールは、カシューナッツ殻液由来の成分に含まれるカルダノールから誘導されるアルキル置換モノフェノールを水添することにより容易に得ることができ、従来、廃棄物として扱われていたカシューナッツ殻を有効利用することができる。
[上記一般式(8)中、R2及びnは、前記と同じである。]
一般式(8)に含まれる化合物として、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、メトキシヒドロキノン、グアイアコール、3−オクチルフェノール、3−ノニルフェノール、3−デシルフェノール、3−ドデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、3−ヘキサデシルフェノール、3−オクタデシルフェノール、3−ノナデシルフェノール等のモノアルキルフェノールの他、前記各アルキル基を複数有するジアルキルフェノール、トリアルキルフェノール、テトラアルキルフェノールを挙げることができる。
[上記一般式(9)中、A及びBは、前記と同じである。]
上記一般式(9)に含まれる化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジエチルケトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール(プロピオンアルデヒド)、ブタナール、ペンタナール(バレルアルデヒド)、ヘキサナール、ヘプタナール、ベンズアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド等の化合物を挙げることができる。
上記一般式(7)及び(8)で表わされる化合物は、モノフェノール化合物であり、一般式(9)で表わされる化合物は、ケトン化合物もしくはアルデヒド化合物である。モノフェノール化合物とケトン化合物もしくはアルデヒド化合物とを酸性触媒の存在下で反応させてビスフェノール化合物とする反応は、ビスフェノールAの製法に代表されるように、公知の反応であり、酸性触媒の存在下に反応させて得ることができる。
使用される酸性触媒としては、例えば、塩化水素、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、五塩化リン、ポリリン酸等が用いられる。中でも塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸が好ましく、塩化水素、塩酸、硫酸、トルエンスルホン酸がさらに好ましい。これらの触媒の使用量については、使用する触媒の種類によって異なるので一概に限定することはできないが、使用される一般式(9)で表わされる化合物に対し、0.1〜30質量%の範囲で選ばれる。例えば塩酸を用いる場合、一般式(9)で表わされる化合物に対し、0.5〜20質量%の範囲で選ばれる。さらに好ましくは1〜10質量%の範囲である。
一般式(7)、一般式(8)及び一般式(9)で表わされる化合物を上記酸性触媒の存在下で反応させるに当って、助触媒としてメルカプト基を含有する化合物を用いることもできる。メルカプト基を含有する化合物としては、例えばメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、チオフェノールやチオクレゾール等の芳香族メルカプタン類、メルカプト酢酸やメルカプトプロピオン酸等のメルカプト有機酸類等が挙げられる。これらの助触媒を用いる場合は、通常、一般式(9)で表わされる化合物に対して0.01〜10質量%の範囲で用いられる。さらに好ましくは0.01〜5質量%の範囲である。
一般式(9)で表わされる化合物と一般式(7)で表わされる化合物及び一般式(8)で表わされる化合物との使用比率については、一般式(9)で表わされる化合物に対して、一般式(7)で表わされる化合物及び一般式(8)で表わされる化合物の総量が理論量より過剰になるように用いることが好ましく、通常一般式(9)で表わされる化合物1モルに対して、一般式(7)で表わされる化合物及び一般式(8)で表わされる化合物の総量を2〜10モルの割合で用いることができ、さらに好ましくは3〜6モルとなるような割合で用いられる。なお、一般式(7)で表わされる化合物と一般式(8)で表わされる化合物との使用比率は、一般式(7)で表わされる化合物と一般式(8)で表わされる化合物が異なる場合は、通常1:1の比率で用いられる。
反応温度は一般的には20〜100℃の範囲で選ばれる。反応圧力については特に制限は無く、加圧、常圧、減圧のいずれでもよいが、通常、常圧下で反応が行われる。反応時間は原料の種類、触媒および助触媒の種類や量、反応温度等によって左右されるが通常0.5〜100時間程度である。反応の終点は、原料の一般式(9)で表わされる化合物がなくなった時点を反応の終点とすることが望ましく、反応生成液をガスクロマトグラフィーにより分析することで確認することができる。
目的とするビスフェノール化合物の分離・精製は、例えば、以下の手順で行う。まず反応生成液を室温まで冷却した後、反応生成液に酢酸エチル、トルエン等の有機溶媒と水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液を加え、振とうして、次いで静置させ、水相を除去して有機相を得る。得られた有機相を水で洗浄し、洗浄後に得られた有機相を加熱や減圧蒸留することにより、有機溶媒を除去して、乾燥させ、目的とする本発明のビスフェノール化合物を得ることができる。必要に応じて、適当な溶媒を用いて再結晶してさらに精製してもよい。
<ポリカーボネート共重合体の製造方法>
次に、本発明のポリカーボネート共重合体の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート共重合体を製造するためには、上記ビスフェノール化合物(A)と該ビスフェノール化合物(A)に含まれない二価フェノール(B)を用いる必要がある。二価フェノール(A)に含まれない二価フェノール(B)としては、各種の公知の二価フェノールを用いることができるが、下記一般式(10)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
ここで、一般式(10)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−、a及びbは0〜4の整数を示す。
一般式(10)で表される二価フェノールとしては、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタエン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
さらに、二価フェノール(A)に含まれない二価フェノール(B)としては、下記式(11)で表される構成単位を含んでいてもよい。このような構成単位を有する共重合体とすることにより、樹脂の難燃性を向上させることができる。下記一般式(11)で表される構成単位は、下記一般式(11−1)で表されるポリオルガノシロキサンを用いることにより形成することができる。
上記一般式(11)又は一般式(11−1)中、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Zは、アリル基を有するフェノール化合物から誘導される、トリメチレン基を有するフェノール残基を示す。nは70〜1000を示す。
上記一般式(11−1)で表されるポリオルガノシロキサンは、末端が水素のポリオルガノシロキサンの末端を、例えば、2−アリルフェノール及びオイゲノール等のアリル基を有するフェノール化合物で変性したものである。末端がアリル基を有するフェノール化合物で変性されたポリオルガノシロキサンは、特許第2662310号公報に記載の方法により合成することができる。
上記ポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサンが好適である。
本発明のポリカーボネート重合体は、通常のポリカーボネートの製造において慣用されている方法、例えば、ホスゲンまたはホスゲン誘導体を使用する界面重縮合法およびエステル交換法(溶融法)などを用いて製造することができるが、これらの中で界面重縮合法が好ましい。ホスゲンまたはホスゲン誘導体を用いる界面重縮合法としては、例えば、予め前記二価フェノール(A)のポリカーボネートオリゴマーまたは前記二価フェノール(B)のポリカーボネートオリゴマーを二価フェノール(A)または二価フェノール(B)とホスゲンまたはホスゲン誘導体とから合成しておき、これらのオリゴマーの不活性有機溶剤溶液と、二価フェノール(A)及び/又はビスフェノール化合物(B)を含有するアルカリ水溶液とを反応させる方法、および前記二価フェノール(A)と前記二価フェノール(B)を所定の割合で含有するアルカリ水溶液と不活性有機溶剤との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を加えて反応させる方法などが挙げられるが、これらの中で前者のオリゴマー法が好適である。前記ホスゲンまたはホスゲン誘導体としては、ホスゲンをはじめトリホスゲン,ブロモホスゲン,ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート,ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート,ビス(2−シアノフェニル)カーボネート,クロロギ酸トリクロロメチルなどが挙げられる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、ポリカーボネート共重合体中の主鎖中にモノマー成分である前記ビスフェノール化合物(A)と前記二価フェノール(B)が、カーボネート結合を介して含有する状態で得られるが、そのビスフェノール化合物(A)と二価フェノール(B)とのモル比が、(A):(B)=0.3:99.7〜20:80、より好ましくは、0.5:99.5〜10:90とすることが好ましい。この範囲内であると、ビスフェノール化合物(A)を多量に使用する必要がなく、流動性を向上させることができる。
次に、オリゴマー法により本発明のポリカーボネート重合体を製造する方法について説明すると、先ず、アルカリ金属水酸化物の水溶液にビスフェノール化合物(A)及び/又は二価フェノール(B)を溶解させ、二価フェノールのアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム等の水溶液)を調整する。次いで、このアルカリ水溶液と不活性有機溶剤(塩化メチレン等の有機溶剤)との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を導入して、ビスフェノール化合物(A)及び/又は二価フェノール(B)のポリカーボネートオリゴマーを合成する。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15重量%の範囲が好ましく、また有機相と水相との容積比は5:1〜1:7、好ましくは2:1〜1:4の範囲にあるのが望ましい。反応温度は水浴冷却し、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲で選ばれ、反応時間は15分ないし4時間、好ましくは30分ないし2時間程度である。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーの重合度は、通常20以下、好ましくは2〜10程度である。
次いで、このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、所望により不活性有機溶剤を加え、これとビスフェノール化合物(A)及び/又は二価フェノール(B)とを所定の割合で含むアルカリ水溶液とを接触させて、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度において、10分ないし6時間程度界面重縮合させる。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15重量%が好ましく、また有機相と水相との容積比は7:1〜1:2、好ましくは4:1〜1:1の範囲にあるのが望ましい。そして、ビスフェノール化合物(A)及び/又は二価フェノール(B)の二価フェノール化合物としての合計量と該ポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(二価フェノール化合物の合計量)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.4〜0.55、好ましくは0.45〜0.5になるように選ばれる。また、アルカリ金属水酸化物とポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(アルカリ金属水酸化物)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常1.0〜2.0、好ましくは1.2〜1.7になるように選ばれる。さらに、この反応において、所望に応じ末端停止剤や触媒を用いることができる。末端停止剤の使用量は、(末端停止剤)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.02〜0.20、好ましくは0.04〜0.17になるように選ばれる。一方、触媒の使用量は、触媒/オリゴマーのクロロホーメート基モル比が、通常1.0×10-3 〜10.0×10-3 、好ましくは1.0×10-3 〜5.0×10-3 になるように選ばれる。
本発明のポリカーボネート共重合体の製造において用いられるアルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,水酸化セシウムなどが挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好適である。また、不活性有機溶剤としては、各種のものがある。例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン);クロロホルム;1,1−ジクロロエタン;1,2−ジクロロエタン;1,1,1−トリクロロエタン;1,1,2−トリクロロエタン;1,1,1,2−テトラクロロエタン;1,1,2,2−テトラクロロエタン;ペンタクロロエタン,クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素や、アセトフェノンなどが挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、特に塩化メチレンが好適である。
そして、末端停止剤としては、各種のものを用いることができる。具体的には一価フェノールとして、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノール,p−t−オクチルフェノールなどが挙げられる。触媒も、各種のものを用いることができる。具体的には四級アンモニウム塩,四級ホスホニウム塩あるいは三級アミンなどで、例えば、四級アンモニウム塩としては、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド,トリエチルベンジルアンモニウムクロライド,トリブチルベンジルアンモニウムクロライド,トリオクチルメチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。また、四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムブロマイドなどが、そして、三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン,ピリジン,ジメチルアニリンなどが挙げられる。
このようにして生成した本発明のポリカーボネート共重合体を含む有機溶媒溶液から、通常の方法に従って回収操作を行うことにより、本発明のポリカーボネート共重合体を得ることができる。本発明のポリカーボネート共重合体は、前記一般式(1)又は一般式(2)で表わされる構造を有するビスフェノール化合物(A)をモノマー成分として含む新規なポリカーボネート共重合体である。本発明のポリカーボネート共重合体は、その粘度平均分子量が10,000〜50,000であれば、機械的強度を損なわずに、流動性に優れる。
本発明のポリカーボネート共重合体は、該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートと任意の割合で混合してポリカーボネート樹脂として用いることができる。上記のポリカーボネート共重合体又は該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートと任意の割合で混合してポリカーボネート樹脂は、各種成形方法により成形体とすることができる。特に、厚みの薄い成形体を製造する場合は、射出成形により成形することが望ましく、液晶表示装置の導光板や光拡散板用の樹脂として好適に用いることができる。
以下に実施例をあげて本発明の方法を更に詳しく説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。分析条件は下記に示す通りである。
<薄層クロマトグラフィー(LC−MS)分析条件>
(株)島津製作所製「GC14A」、キャピラリーカラム(信和化工(株)製「HP−1」 30m×内径0.32mm)、注入口温度300℃、検出器温度300℃、昇温条件100〜300℃(10℃/分)、20分保持して測定した。
<NMRの測定>
日本電子株式会社製;「JNM−AL400」を用い、1H−NMRを測定した。
<共重合量の測定>
日本電子株式会社製「JNM−LA500」を用い、1H−NMRを測定して、ポリカーボネート共重合体の主鎖を構成するモノマー成分であるビスフェノール化合物の共重合量を算出した。
<粘度平均分子量の測定>
粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
<ガラス転移温度Tgの測定>
ISO 11357に準拠して測定した。
<溶融流動性(MVR)の測定>
ISO 1133に準拠して、300℃、荷重1.4kgで測定した単位時間当たりの溶融流動体積(cm3/10分)である。
製造例1
<2,2−(プロピリデン)ビス(3−ペンタデシルフェノール)の製造>
温度計、冷却器及び撹拌子を備えた300mlの三つ口フラスコに3−ペンタデシルフェノール51.0g及びアセトニトリル10.1gを仕込み50℃に加温し溶解させた後、35.5%塩酸8.7gを加え、続いてプロパナール3.2gを1時間掛けて滴下し、45℃で11時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル50mlと水50mlを加えた後、有機層を50mlの水で5回洗浄し、得られた有機層をエバポレータにより濃縮した。得られた濃縮物をアセトンにて2回再結晶を行うことにより、ビスフェノール化合物(A1)を6.1g(収率16.9%)得た。このビスフェノール化合物(A1)をNMR、LC−MSよりその構造を分析したところ、2,2−(プロピリデン)ビス(3−ペンタデシルフェノール)であることを同定した。その1H−NMRスペクトル図を図1に示す。
実施例1
上記製造例1で得られた2,2−(プロピリデン)ビス(3−ペンタデシルフェノール)をポリカーボネートの共重合用のモノマー成分として用いて以下の方法でポリカーボネート共重合体を製造した。
(1)ポリカーボネートオリゴマーの製造
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度315g/L、クロロホーメート基濃度0.75mol/Lであった。
(2)ポリカーボネート共重体の製造
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に上記ポリカーボネートオリゴマー溶液143mL、塩化メチレン82mLを仕込み、製造例1で得られた2,2−(プロピリデン)ビス(3−ペンタデシルフェノール)4.9gを溶解後、トリエチルアミン45μLを加え、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液23gを攪拌下で添加し、10分間反応を行った。次いで、末端停止剤としてp−tert-ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液(PTBP0.98gを塩化メチレン10mLに溶解したもの)、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH5.0gと亜二チオン酸ナトリウム20mgを水73mLに溶解した水溶液に、BPA10.5gを溶解したもの)を添加し、50分間重合反応を行った。希釈のため塩化メチレン100mLを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対し順次15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/リットル塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、ポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体中の1H−NMRにより求めた2,2−(プロピリデン)ビス(3−ペンタデシルフェノール)に由来する繰返し単位とBPAに由来する繰返し単位のモル比は1.6:98.4であった。また、その粘度平均分子量(Mv)は、14700であり、ガラス転移温度Tgは、119℃であり、溶融流動性(MVR)は、76cm3/10分であった。
比較例1
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積1Lの槽型反応器に実施例1のオリゴマー溶液143mL、塩化メチレン82mL、PTBP1.06gを加えて撹拌溶解した。ここにトリエチルアミン15μLを仕込み、BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH5.98gと亜二チオン酸ナトリウム20mgを水87mLに溶解した水溶液に、BPA10.99gを溶解したもの)を添加し、60分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン100mLを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及びNaOHを含む水相に分離し、有機相を単離した。得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を、その溶液に対し順次15容量%の0.03mol/L・NaOH水溶液と0.2mol/リットル塩酸で洗浄し、次いで洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート共重合体の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、BPAからなるホモポリカーボネートを得た。得られたホモポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、14500であり、ガラス転移温度Tgは、145℃であり、溶融流動性(MVR)は、48cm3/10分であった。
上記実施例1と比較例1との対比から、実施例1のポリカーボネート共重合体と比較例1のホモポリカーボネートとは粘度平均分子量がほぼ同じであるが、実施例1で得られたポリカーボネート共重合体は、共重合体成分として本発明のビスフェノール化合物(A)をモノマー成分として主鎖中に含むために、その流動性が大きく向上していることがわかる。また、ビスフェノール化合物(A)の含有量も1.6モル%と低含有量である。
本発明のポリカーボネート共重合体は、流動性に優れるために、成形性に優れ、特に、厚みの薄い成形体、液晶表示装置の導光板、光拡散板やその他OA機器材料部材の製造に適する。また、本発明のポリカーボネート共重合体は、製造原料等となるビスフェノール化合物(A)を比較的容易に製造することができるため、生産性よく流動性に優れたポリカーボネート共重合体を製造することができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(6)で表わされるビスフェノール化合物(A)をモノマー成分として含有する、ポリカーボネート共重合体。

    [上記一般式(6)中、A’は、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の単環又は多環状脂肪族炭化水素基、炭素数7〜20のアラルキル基、芳香族基、複素環基を表す。B’は水素原子もしくはメチル基を表す。]
  2. 前記ビスフェノール化合物(A)と前記ビスフェノール化合物(A)以外の二価フェノール化合物(B)をモノマー成分として含有し、(A)成分と(B)成分とのモル比が(A):(B)=0.3:99.7〜20:80である、請求項に記載のポリカーボネート共重合体。
  3. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート共重合体の製造方法であって、界面重合方法を用いて製造する、ポリカーボネート共重合体の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート共重合体と該ポリカーボネート共重合体以外のポリカーボネートからなるポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1又は2に記載のポリカーボネート共重合体又は請求項に記載のポリカーボネート樹脂組成物からなる成形体。
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