JP2014224245A - ポリカーボネート樹脂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリカーボネート樹脂の製造方法において、重合後の洗浄工程における有機相と水相との分離性を改善し、ポリカーボネート樹脂を効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールであって、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法に関し、より詳細には重合後の洗浄工程におけるポリカーボネート樹脂の分離性が改善されたポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
ポリカーボネートは、透明性、耐熱性、機械特性など優れた特徴を有し、OA・家電の筐体や電気・電子分野の部材、レンズなどの光学材料など、幅広い用途に使用されている。近年、成形品の薄型化、大型化や成形サイクルの向上といった要望に対し、さらに流動性の向上が必要となっている。
ポリカーボネートを用いた成形材料の流動性を改善する方法として、可塑剤を使用したり、ABS、HIPS、AS等のスチレン系樹脂のような流動性に優れる樹脂を使用したりする方法が用いられている。しかし、これらの方法は、ポリカーボネート樹脂の流動性を向上できるが、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた耐衝撃性を低下させるという問題があった。
また、上記の問題点を回避するために、ポリカーボネート樹脂自体の構造を変えることにより流動性を向上させることが知られている。その方法の一つに、長鎖アルキルフェノールを末端停止剤として利用することが知られている。例えば、特許文献1では、炭素数8〜20のアルキル基を有するアルキルフェノール、カルボン酸又は酸ハロゲン化物を末端停止剤として使用することが記載されている。しかしながら、特許文献1の実施例には、炭素数9〜17のアルキル基を有する酸クロライドの記載しかない。
一方、3−ペンタデシルフェノールは、一般的にカシューナッツ殻油等の天然物由来の植物油から蒸留及び抽出を経て得られるカルダノールを主成分とする組成物を水素添加反応処理することにより得られ、潤滑油やフェノール樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの樹脂への適用が提案されている。
3−ペンタデシルフェノールは、上述の通りカシューナッツ殻油から蒸留及び抽出を経て得られるカルダノールを主成分とする組成物を水素添加反応処理することにより得られるが、通常、その市販品は、純度が90質量%程度と低い。特許文献2及び特許文献3には、ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として3−ペンタデシルフェノールを用いることが記載されているが、市販品を用いた天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールを用いても、ポリカーボネート樹脂を生産性よく製造することはできなかった。
特公昭52−50078号公報 特表2005−511811号公報 特表2003−505546号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、重合後の洗浄工程における有機相と水相との分離性を改善し、ポリカーボネート樹脂を効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記1〜4のポリカーボネート樹脂の製造方法に関する。
1.天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールであって、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法。
2.前記3−ペンタデシルフェノールが、下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体2.5質量%以下を含有し、かつ該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計量が2.5質量%以下である、前記1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
Figure 2014224245
[式中R1、R2は、水素原子、又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である。R3は、水素原子、又は飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である。R1、R2、R3は同一であっても異なっていても良い。但し、下記一般式(II)において、R1=H、R3=C1531で表される3−ペンタデシルフェノールは除く。]
3.前記3−ペンタデシルフェノールが、天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールを、蒸留及び/又は晶析することにより得られる、前記1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
4.界面重縮合法を用いて製造する、前記1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
本発明によれば、ポリカーボネート樹脂の製造方法において、重合後の洗浄工程における有機相と水相との分離性を改善し、ポリカーボネート樹脂を効率よく製造することができる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールであって、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を用いる。以下、本発明について説明する。なお、本明細書において、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを「高純度3−ペンタデシルフェノール」ということがある。
<高純度3−ペンタデシルフェノール>
本発明に使用される高純度3−ペンタデシルフェノールは、その純度が97.5質量%以上であることを要する。その純度が97.5質量%未満であると、ポリカーボネート樹脂等の高分子材料の原料として用いた際に、黄色度が高く、透明性や外観を悪化させる恐れがある。
このような高純度3−ペンタデシルフェノールを得るためには、カシューナッツの殻液等の天然物に由来する抽出物が用いられる。特に、カシューナッツの殻液に10質量%程度含まれるカルダノールを製造原料として用いることが効率的である。カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールは、主に、下記式(III)に記載した、3−ペンタデシルフェノール、3−ペンタデシルフェノールモノエン、3−ペンタデシルフェノールジエン、および3−ペンタデシルフェノールトリエンの混合物である。
Figure 2014224245
上記式(III)中、R4が−(CH214CH3である場合は、3−ペンタデシルフェノールであり、R4が−(CH27CH=CH(CH25CH3である場合は、3−ペンタデシルフェノールモノエンであり、R4が−(CH27CH=CHCH2CH=CH(CH2)CH3である場合は、3−ペンタデシルフェノールジエンであり、R4が−(CH27CH=CHCH2CH=CHCH2CH=CH2である場合は、3−ペンタデシルフェノールトリエンである。
上述したとおり、カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールの主成分は、飽和及び不飽和二重結合を1〜3個有する、炭素数が15の炭化水素基を3位(メタ位)に有するフェノール誘導体からなる。
本発明に使用する純度が97.5質量%以上の高純度3−ペンタデシルフェノールを効率的に得るためには、カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールを用いることが好ましく、このカルダノールを水素添加反応処理することにより得られる粗ペンタデシルフェノール(低純度ペンタデシルフェノール)を用いて高純度化する方法が望ましい。また、カシューナッツ殻液を直接、水素添加処理し、得られた水素添加処理液を蒸留することによって得られる粗ペンタデシルフェノールを用いて高純度化する方法を用いることもできる。なお、市販のペンタデシルフェノールは、カシューナッツ殻液に含まれるカルダノールを水素添加処理して得ているが、その純度は通常97.5質量%未満であるので、市販のペンタデシルフェノールを用いて、高純度化する方法も好ましい。
<水素添加処理方法>
3−ペンタデシルフェノールを得るためには、上述の通りカルダノールの直鎖状炭化水素部分の不飽和結合(二重結合)が水素添加され、飽和結合に変換されることが望ましい。直鎖状炭化水素部分に不飽和結合が多く含まれた状態で3−ペンタデシルフェノール純度を上げるためには、蒸留もしくは晶析を繰り返し行わなければならない場合があり、生産性が低下する。そのため水素添加による不飽和結合の変換率(水添率)は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。水素添加後のカルダノール中の不飽和結合の残存率(カルダノールの1分子当たりの不飽和結合の数)は、0.2個/分子以下が好ましく、0.1個/分子以下がより好ましい。
水素添加する方法としては、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。触媒としては、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属またはニッケル、或いはこれらから選ばれる金属を活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの担体上に担持したものが挙げられる。反応方式としては、粉末状の触媒を懸濁攪拌しながら反応を行うバッチ方式や、成形した触媒を充填した反応塔を用いた連続方式を採用することができる。水素添加の際の溶媒は、水素添加の方式によっては用いなくてもよいが、溶媒を使用する場合は、通常、アルコール類、エーテル類、エステル類、飽和炭化水素類が挙げられる。水素添加の際の反応温度は、特に限定されないが、通常20〜250℃、好ましくは50〜200℃に設定できる。反応温度が低すぎると水素化速度が遅くなり、逆に高すぎると分解生成物が多くなる傾向がある。水素添加の際の水素圧は、通常、常圧〜80kgf/cm2(常圧〜78.4×105Pa)、好ましくは3〜50kgf/cm2(2.9×105〜49.0×105Pa)に設定できる。
<高純度化方法>
上記の水素添加処理方法によって得られる粗ペンタデシルフェノール(低純度ペンタデシルフェノール)の純度は、通常90〜93質量%であり、不純物として種々のレゾルシノール誘導体や3−ペンタデシルフェノール以外のフェノール誘導体を含有している。
なお、本明細書において、レゾルシノール誘導体とは、OR基(R=水素原子、又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を示す。)をベンゼン環のメタ位に2個有する構造を持つ化合物であり、フェノール誘導体とは、該OR基をベンゼン環に1個有する構造を持つ化合物である。
本発明に使用される純度が97.5質量%以上の高純度3−ペンタデシルフェノールを得る方法としては、前述した水素添加処理方法によって得られる粗ペンタデシルフェノールを、蒸留によって高純度化する方法、晶析によって高純度化する方法、蒸留した後に晶析によって高純度化する方法等を挙げることができる。また、純度が97.5質量%以上に高純度化した3−ペンタデシルフェノールを使用して、更に蒸留や晶析を繰り返すことにより、より高純度の3−ペンタデシルフェノールを得ることができる。
蒸留によって高純度化する方法としては、例えば常圧蒸留や減圧蒸留によって高純度化することができ、減圧蒸留を用いることが好ましい。減圧蒸留で高純度化するに当たっては、主分画を200〜260℃の温度及び1〜10mmHgの圧力とし、減圧蒸留塔内に充填剤を用いて処理することが好ましく、このとき還流比(還流量/留出量)を0.5〜10とするのが好ましい。減圧蒸留塔内に用いられる充填剤としては、マクマホンパッキング、ディクソンパッキング、ラシヒリング、ボールリング、コイルパック、ヘリパック等の充填剤を用いることができるが、マクマホンパッキングを用いることが好ましい。
晶析によって3−ペンタデシルフェノールを高純度化する方法としては、晶析槽中で粗ペンタデシルフェノールを晶析溶媒に溶解した溶液の温度を低下させ、高純度化を目的とする3−ペンタデシルフェノール溶液の過飽和状態と、該化合物の飽和濃度との差を利用して、3−ペンタデシルフェノールを析出させて3−ペンタデシルフェノールの結晶を生成させ、次いで結晶状態の3−ペンタデシルフェノールを溶液から固液分離することにより、高純度の3−ペンタデシルフェノールを得ることができる。晶析操作は、用いる晶析溶媒の沸点から融点までの幅広い温度域で行なうことができる。また、晶析溶媒は3−ペンタデシルフェノールを溶解することのできる溶媒であれば、特に限定されず、アセトン、酢酸エチル、炭化水素系溶媒、アセトニトリル、メタノール、エタノールなどを用いることができる。これらの中でも好ましい溶媒としては、炭化水素系溶媒、更に好ましくはヘキサン、へプタンを挙げることができる。晶析溶媒量は適宜設定することが出来るが、好ましくは3−ペンタデシルフェノール1質量部に対し2〜20質量部、さらに好ましくは4〜10質量部の溶媒を用いることで所望の純度を確保しつつ効率よく生産できる。また、種晶を添加しなくても晶析は可能であるが、種晶を投入することで効率よく晶析が可能となる。
また、晶析槽中で粗ペンタデシルフェノールを晶析溶媒に溶解した溶液の温度を低下させるに当たって、制御冷却法、直線冷却法、自然冷却法などが知られているが、冷却法は特に限定されず、また冷却速度は適宜設定することが出来る。その中でも、制御冷却法は結晶量が少ない初期には温度変化を小さく(冷却速度を遅く)し、結晶量が多くなる終期には温度変化を大きく(冷却速度を速く)することにより、飽和溶液の過飽和度が終始低く一定に保たれるので、二次核の発生が抑制されて、単分散粒子のみが得られるため好ましい。冷却速度として初期段階では好ましくは0℃(温度一定)〜−10℃/h、さらには0℃(温度一定)〜−5℃/hに設定することが好ましく、終期では好ましくは−5℃/h〜−30℃/h、さらには−10℃〜−20℃/hで降温させることが好ましい。
上記に記載した高純度化方法により、粗ペンタデシルフェノールから、天然物から得られる純度が97.5質量%以上である3−ペンタデシルフェノールを得ることができる。
本発明に使用される高純度3−ペンタデシルフェノール中には、下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体を1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体を2.5質量%以下含有することが望ましく、かつ該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計量が2.5質量%以下であることが望ましい。該レゾルシノール誘導体及び該フェノール誘導体の含有量が、上記範囲内であると、本発明で得られるポリカーボネート樹脂の透明性や外観を向上させることができる。
Figure 2014224245
[上記一般式(I)及び一般式(II)中、R1、R2、R3は前記と同じである。但し、下記一般式(II)において、R1=H、R3=C1531で表される3−ペンタデシルフェノールは除く。]
1、R2が、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基を例示することができる。R3が、飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、上記R1、R2で例示したアルキル基の他に、前記アルキル基中に炭素−炭素の不飽和二重結合を1個、もしくは複数個有するモノエン、ジエン、トリエンである不飽和脂肪族炭化水素基を例示することができる。
上記一般式(I)に含まれる化合物としては、R1、R2が共に水素原子である化合物としては、5−ペンタデシルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−ヘキシルレゾルシノール、5−オクチルレゾルシノール、5−デシルレゾルシノール、5−ドデシルレゾルシノール、5−テトラデシルレゾルシノール、5−オクタデシルレゾルシノール、5−ノニルデシルレゾルシノール等のR3が炭素数1〜20のアルキル基である化合物を例示することができ、また前記アルキル基中に、炭素−炭素の不飽和二重結合を1個、もしくは複数個有するモノエン、ジエン、トリエン等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
また、上記一般式(I)において、R1が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、R2が水素原子であり、R3が炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基である化合物として、例えば、3−メトキシ−5−ペンタデシルフェノール、3−エトキシ−5−ペンタデシルフェノール、3−プロポキシ−5−ペンタデシルフェノール、3−ブトキシ−5−ペンタデシルフェノール、3−メトキシ−5−ヘキシルフェノール、3−メトキシ−5−オクチルフェノール、3−メトキシ−5−デシルフェノール、3−メトキシ−5−ドデシルフェノール、3−メトキシ−5−テトラデシルフェノール、3−メトキシ−5−ヘプタデシルフェノール、3−メトキシ−5−オクタデシルフェノール、3−メトキシ−5−ノニルデシルフェノール、3−エトキシ−5−ヘキシルフェノール、3−エトキシ−5−オクチルフェノール、3−エトキシ−5−デシルフェノール、3−エトキシ−5−ドデシルフェノール、3−エトキシ−5−テトラデシルフェノール、3−エトキシ−5−ヘプタデシルフェノール、3−エトキシ−5−オクタデシルフェノール、3−エトキシ−5−ノニルデシルフェノール等の化合物を例示することができ、また前記5位のアルキル基中に、炭素−炭素の不飽和二重結合を1個、もしくは複数個有するモノエン、ジエン、トリエン等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
上記一般式(II)に含まれる化合物としては、R1が水素であり、R3が飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である化合物としては、3−ヘキシルフェノール、3−オクチルフェノール、3−デシルフェノール、3−ドデシルフェノール、3−トリデシルフェノール、3−テトラデシルフェノール、3−ヘキサデシルフェノール、3−オクタデシルフェノール、3−ノニルデシルフェノール等のアルキル基を3位に有する化合物や前記アルキル基中に炭素−炭素の不飽和二重結合を1個、もしくは複数個有するモノエン、ジエン、トリエン等の不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
また、R1が炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である化合物としては、例えば、3位がヘキシル基である場合、1−メトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−エトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−プロポキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ブトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ペントキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ヘキトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−オクトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−デトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ドデトキシ−3−ヘキシルベンゼン、1−ブチロデトキシ−3−ヘキシルベンゼン等の化合物を挙げることができる。3位がペンタデシル基である場合、1−メトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−エトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−プロポキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ブトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ペントキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ヘキトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−オクトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−デトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ドデトキシ−3−ペンタデシルベンゼン、1−ブチロデトキシ−3−ペンタデシルベンゼン等の化合物を挙げることができる。
なお、前記一般式(I)及び一般式(II)中において、例示したアルキル基は、直鎖状アルキル基であってもよいし、分岐状アルキル基であってもよい。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
次に、本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法では、末端基となる前記高純度3−ペンタデシルフェノールを末端停止剤として用いることが必要である。
末端停止剤としては、高純度3−ペンタデシルフェノール以外の末端停止剤(他の末端停止剤)を高純度3−ペンタデシルフェノールと併用して用いてもよい。他の末端停止剤としては、従来から使用されているポリカーボネート樹脂を製造するための末端停止剤を用いることができ、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,トリブロモフェノール,ノニルフェノール,p−t−オクチルフェノールなどが挙げられる。これらの中では、p−t−ブチルフェノールとp−クミルフェノールが特に好ましい。高純度3−ペンタデシルフェノールと他の末端停止剤とを併用して用いる場合、その使用比率は、(3−ペンタデシルフェノール):(他の末端停止剤)のモル比は、好ましくは99:1〜20:80、より好ましくは90:10〜30:70である。
本発明においてポリカーボネート樹脂を製造するためには、主鎖を構成するための二価フェノールを用いる必要がある。二価フェノールとしては、各種の公知の二価フェノールを用いることができるが、下記一般式(1)で表される二価フェノールを用いることが好ましい。
Figure 2014224245
ここで、一般式(1)中、R5及びR6は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基又はアルコキシ基、Xは単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、−S−、−SO−、−SO2−、−O−又は−CO−、a及びbは0〜4の整数を示す。
一般式(1)で表される二価フェノールとしては、特に限定されないが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。
ビスフェノールA以外の二価フェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のジヒドロキシジアリールフルオレン類、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等のジヒドロキシジアリールアダマンタン類、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノール、10,10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−9−アントロン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−2,3−ジオキサペンタン等が挙げられる。
これらの二価フェノールは、単独で又は二種以上を混合して用いてもよい。
さらに、上記一般式(1)で表される二価フェノールに含まれない二価フェノールとして、下記式(2)で表される構成単位を含む二価フェノールを一般式(1)で表される二価フェノールと併用して用いることができる。このような構成単位を有する共重合体とすることにより、ポリカーボネート樹脂の難燃性を向上させることができる。下記一般式(2)で表される構成単位を含む二価フェノールは、下記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンで表わされる。
Figure 2014224245
上記一般式(2)又は一般式(2−1)中、R7、R8、R9及びR10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数6〜12のアリール基を示す。Zは、アリル基を有するフェノール化合物から誘導される、トリメチレン基を有するフェノール残基を示す。nは70〜1000を示す。
上記一般式(2−1)で表されるポリオルガノシロキサンは、末端が水素のポリオルガノシロキサンの末端を、例えば、2−アリルフェノール及びオイゲノール等のアリル基を有するフェノール化合物で変性したものである。末端がアリル基を有するフェノール化合物で変性されたポリオルガノシロキサンは、特許第2662310号公報に記載の方法により合成することができる。
上記ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサンが好適である。
更に、上記の二価フェノールに対して、分岐化剤を用いて、該ポリカーボネート樹脂の主鎖中に分岐構造を有することもできる。この分岐化剤の添加量は、上記の二価フェノールに対して、好ましくは0.01〜3モル%、より好ましくは0.1〜1.0モル%である。
分岐化剤としては、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フロログリシン、トリメリト酸、イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物が挙げられる。
本発明で製造されるポリカーボネート樹脂は、カーボネート原料と二価フェノールとを反応させることによって得られる。カーボネート原料とは、重合体生成反応によってポリカーボネート主鎖中にカーボネート結合を生成し得る化合物のことである。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネートの製造において慣用されている方法を用いて製造することができるが、界面重縮合法を用いて製造することが好ましい。
界面重縮合法によるポリカーボネートにおいては、カーボネート原料としてはホスゲンまたはホスゲン誘導体が使用され、具体的には、ホスゲンをはじめ、トリホスゲン、ブロモホスゲン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)カーボネート、ビス(2,4−ジクロロフェニル)カーボネート、ビス(2−シアノフェニル)カーボネート、クロロギ酸トリクロロメチルなどが挙げられる。
ホスゲンまたはホスゲン誘導体を用いる界面重縮合法としては、例えば、予め前記二価フェノールのポリカーボネートオリゴマーを前記二価フェノールとホスゲンまたはホスゲン誘導体とから合成しておき、このオリゴマーの不活性有機溶剤溶液に、前記二価フェノールを含有するアルカリ水溶液及び前記高純度3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を加えて反応させる方法、または、前記二価フェノールのアルカリ水溶液、前記高純度3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤及び不活性有機溶剤との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を加えて反応させる方法などが挙げられるが、これらの中で前者のオリゴマー法が好適である。
次に、オリゴマー法による本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法について説明すると、先ず、アルカリ金属水酸化物の水溶液に前記二価フェノールを溶解させ、二価フェノールのアルカリ水溶液(水酸化ナトリウム等の水溶液)を調整する。次いで、このアルカリ水溶液と不活性有機溶剤(塩化メチレン等の有機溶剤)との混合液にホスゲンまたはホスゲン誘導体を導入して、前記二価フェノールのポリカーボネートオリゴマーを合成する。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15質量%の範囲が好ましく、また有機相と水相との容積比は5:1〜1:7、好ましくは2:1〜1:4の範囲にあるのが望ましい。反応温度は水浴冷却し、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲で選ばれ、反応時間は通常15分〜4時間、好ましくは30分〜2時間程度である。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーの重合度は、通常20以下、好ましくは2〜10程度である。
次いで、このようにして得られたポリカーボネートオリゴマーを含む有機相に、前記二価フェノールのアルカリ水溶液、前記高純度3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤、所望により不活性有機溶剤を加えて攪拌等を行うことにより接触させて、通常0〜50℃、好ましくは5〜40℃の範囲の温度において、10分〜6時間程度界面重縮合させる。この際、該アルカリ水溶液のアルカリ濃度は1〜15質量%が好ましく、また有機相と水相との容積比は7:1〜1:2、好ましくは4:1〜1:1の範囲にあるのが望ましい。そして、前記二価フェノールとポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(二価フェノール)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.4〜0.55、好ましくは0.45〜0.5になるように選ばれる。また、アルカリ金属水酸化物とポリカーボネートオリゴマーとの割合は、(アルカリ金属水酸化物)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常1.0〜2.0、好ましくは1.2〜1.7になるように選ばれる。また、末端停止剤の使用量は、(末端停止剤)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常0.02〜0.20、好ましくは0.04〜0.17になるように選ばれる。さらに、この反応において、所望に応じて触媒を用いることができる。触媒の使用量は、(触媒)/(ポリカーボネートオリゴマーのクロロホーメート基)のモル比が、通常1.0×10-3〜10.0×10-3、好ましくは1.0×10-3〜5.0×10-3になるように選ばれる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法において用いられるアルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、及び水酸化セシウムなどが挙げられる。これらの中では、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムが好適である。
不活性有機溶剤としては、各種のものがある。例えば、ジクロロメタン(塩化メチレン);クロロホルム;1,1−ジクロロエタン;1,2−ジクロロエタン;1,1,1−トリクロロエタン;1,1,2−トリクロロエタン;1,1,1,2−テトラクロロエタン;1,1,2,2−テトラクロロエタン;ペンタクロロエタン,クロロベンゼンなどの塩素化炭化水素や、アセトフェノンなどが挙げられる。これらの有機溶剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、クロロホルムや塩化メチレンが好ましく、特に塩化メチレンが好適である。
前記触媒としては、各種のものを用いることができる。具体的には四級アンモニウム塩,四級ホスホニウム塩あるいは三級アミンなどが挙げられる。四級アンモニウム塩としては、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロライド,トリエチルベンジルアンモニウムクロライド,トリブチルベンジルアンモニウムクロライド,トリオクチルメチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムクロライド,テトラブチルアンモニウムブロマイドなどが挙げられる。また、四級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロライド,テトラブチルホスホニウムブロマイドなどが、そして、三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン,トリブチルアミン,N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン,ピリジン,ジメチルアニリンなどが挙げられる。
前記触媒の中では、三級アミンが好ましく、特にトリエチルアミンが好適である。
このようにして得られたポリカーボネート樹脂を含む有機溶媒溶液は、水相と有機相とに分離する。分離する方法に特に制限は無いが、静置分離や遠心分離などの手段を用いて分離させることが好ましい。
分離後に得られた有機相は、第一にアルカリ水溶液で洗浄する、アルカリ洗浄を行うことが好ましい。該アルカリ洗浄によって、有機相に含まれている微量の二価フェノール性化合物を除去することができる。アルカリ水溶液に用いるアルカリ性化合物は、前記のポリカーボネートの製造にて例示したアルカリ金属の水酸化物が挙げられ、前記のポリカーボネートの製造で使用したものと同じものを使用することが好ましい。アルカリ洗浄後、水相と有機相とに分離する。分離する方法に特に制限は無いが、静置分離や遠心分離などの手段を用いて分離させることが好ましい。
アルカリ洗浄後、分離された有機相を酸性水溶液で洗浄する、酸洗浄を行うことが好ましい。該酸洗浄によって、有機相に含まれることのある重合触媒や微量のアルカリ性化合物を除去することができる。酸性水溶液の調製に用いる酸としては、例えば塩酸、リン酸等が挙げられ、塩酸が好ましいが、特にこれらに制限されるものではない。酸洗浄後、水相と有機相とに分離する。なお、分離する方法に特に制限は無いが、静置分離や遠心分離などの手段を用いて分離させることが好ましい。
上記分離によって得られる有機相には、洗浄で用いた酸や無機物が含まれる傾向にあるため、1回以上水によって洗浄(以下、水洗と称することがある。)することが好ましい。ここで、有機相の清浄度は、洗浄後の水相の電気伝導度により評価できる。目標とする電気伝導度は、好ましくは1mS/m以下、より好ましくは0.5mS/m以下である。水で洗浄した後、水相と有機相とに分離する。この際、分離する方法に特に制限は無く、静置分離でよい。
上記で述べた洗浄工程を経た有機相を濃縮し、粉砕し、乾燥することによって、又はさらに造粒することによって、ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
重合後の洗浄工程において水相と有機相の分離性が悪く明瞭な界面が形成されない場合、生産効率が著しく低下するが、本発明の製造方法では、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を用いることによって、重合後のアルカリ洗浄、酸洗浄、及び水洗の各洗浄工程における水相と有機相の分離性が良好で明瞭な界面を形成することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、高純度3−ペンタデシルフェノールを末端停止剤として用いるものであり、得られるポリカーボネート樹脂は3−ペンタデシルフェノールに由来する末端基を有する。
本発明の製造方法により得られるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、特に限定されるものではないが、薄肉の成形品を成形する際の流動性と強度を保つ観点から、好ましくは8,000〜30,000、より好ましくは8,000〜22,000、更に好ましくは8,000〜19,000、特に好ましくは8,000〜14,000とすることが望ましい。
本発明で得られるポリカーボネート樹脂のイエローインデックス(YI)は、好ましくは1.5以下である。ポリカーボネート樹脂のYIが1.5以下であると色調に優れ、透明性が要求される液晶用部材に好適に使用することができる。以上の観点から、本発明で得られるポリカーボネート樹脂のYIは、1.3以下であることがより好ましく、1.1以下であることが更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂組成物/成形体>
本発明で得られるポリカーボネート樹脂は、該ポリカーボネート樹脂以外の芳香族ポリカーボネート樹脂と任意の割合で混合して、ポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々の公知の芳香族ポリカーボネート樹脂を使用できる。
前記ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、無機充填材(ガラス繊維、タルク、酸化チタン、マイカ等)、着色剤、光拡散剤等の添加剤を目的とする用途に必要とされる特性に応じて用いることができる。前記のポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、押出成形、ブロー成形等の各種成形方法により、成形体とすることができる。
前記ポリカーボネート樹脂又はポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形体は、好ましくは、携帯電話、液晶テレビ、パソコン、電子辞書、電子書籍等に用いられる液晶表示装置の液晶機器用部材とすることができる。本発明で得られるポリカーボネート樹脂は、流動性に優れるため、特に、厚みの薄い成形体を製造する場合は、射出成形により成形することが望ましく、液晶表示装置の導光板や光拡散板用の樹脂として好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中の測定評価は以下に示す方法でおこなった。
<3−ペンタデシルフェノールの純度及び不純物量の測定方法>
3−ペンタデシルフェノール、及びレゾルシノール誘導体は、液体クロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー社製、製品名:「AGILENT 1200」)を用い、カラムとして「L−column ODS」(一般財団法人化学物質評価研究機構製、4.6mmID×150mm,粒径3μm)、移動相としてアセトニトリル/ギ酸バッファー=95/5(vol/vol)を用いて測定した。
フェノール誘導体は、ガスクロマトグラフ質量分析計(日本電子株式会社製、製品名:「JMS−Q1000GC」)にて、長さ30m×内径250μm×膜厚0.25μmのカラム「VF-1」を用いて測定した。
<塩化メチレン相−水相分離性評価>
50mLのメスシリンダーにポリカーボネートの塩化メチレン溶液と各水相の混合液を50mL移し、静置した。1時間後、分離した水相の量を記録した。水相量が多いほど塩化メチレン相と水相の分離が速く、ポリカーボネート樹脂の製造効率が良いことを示す。
<粘度平均分子量(Mv)の測定>
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、次式にて算出するものである。
[η]=1.23×10-5Mv0.83
<末端基組成量の測定>
NMR装置(日本電子株式会社製、製品名:「JNM−LA500」)を用い、1H−NMRを測定して、ポリカーボネート樹脂の末端基組成量を算出した。
製造例1
内径30mm、容量500mLのカラムにマクマホンパッキング(Mc.MAHON Packing、規格サイズ:6mm)を充填して精留塔とし、内温測定装置の付いた2Lフラスコに取り付け、充填塔頂には還流比(還流量/留出量)を調整する器具と塔頂温度を測定する装置、更には減圧度調整装置を取り付けた。3−ペンタデシルフェノール(東京化成工業株式会社製、純度92.10質量%、レゾルシノール誘導体:2.15質量%、フェノール誘導体5.11質量%)1006.96gをフラスコに供給し、窒素置換後、加熱減圧を開始した。減圧度2mmHg、還流量/留出量=1に設定し、塔頂温度205〜210℃の留分を分取した。この時、フラスコ温度は230〜245℃であった。分取量は825.71g(仕込みの82%)、3−ペンタデシルフェノールの純度は93.61質量%であった。
次に、得られた粗3−ペンタデシルフェノールを60℃の湯浴にて融解させ規格瓶に70g秤量した後、420gのn−ヘキサンを加え溶解させた。室温にて12時間静置し、析出した固体を減圧濾過した後、室温にて8時間減圧乾燥することにより対応する3−ペンタデシルフェノール48gを得た。この化合物中の純度は97.75質量%であり、不純物量は、レゾルシノール誘導体が0.03質量%、及びフェノール誘導体が2.04質量%であった。
実施例1
(1)ポリカーボネートオリゴマーの製造
濃度5.6質量%水酸化ナトリウム水溶液に、後に溶解するビスフェノールA(BPA)に対して0.2質量%の亜二チオン酸ナトリウムを加え、ここにBPA濃度が13.5質量%になるようにBPAを溶解し、BPAの水酸化ナトリウム水溶液を調製した。内径6mm、管長30mの管型反応器に、上記BPAの水酸化ナトリウム水溶液を40L/hr及び塩化メチレンを15L/hrの流量で連続的に通すと共に、ホスゲンを4.0kg/hrの流量で連続的に通した。管型反応器はジャケット部分を有しており、ジャケットに冷却水を通して反応液の温度を40℃以下に保った。
管型反応器から送出された反応液は、後退翼を備えた内容積40Lのバッフル付き槽型反応器へ連続的に導入され、ここにさらにBPAの水酸化ナトリウム水溶液を2.8L/hr、25質量%水酸化ナトリウム水溶液を0.07L/hr、水を17L/hr、1質量%トリエチルアミン水溶液を0.64L/hr、20質量%p−t−ブチルフェノール(PTBP)の塩化メチレン溶液を149.2kg/hrの流量で供給し、29〜32℃で反応を行った。槽型反応器から反応液を連続的に抜き出し、静置することで水相を分離除去し、塩化メチレン相を採取した。このようにして得られたポリカーボネートオリゴマー溶液は、オリゴマー濃度318g/L、クロロホーメート基濃度0.71mol/Lであった。
(2)ポリカーボネート樹脂(PC)の製造
邪魔板、パドル型攪拌翼を備えた内容積50Lの槽型反応器に上記オリゴマー溶液19L、塩化メチレン10.7Lを仕込み、製造例1で得られた純度97.75質量%の3−ペンタデシルフェノール(m−PDP)401.8gを溶解後、トリエチルアミン5.3mLを加え、ここに6.4質量%水酸化ナトリウム水溶液1607gを攪拌下で添加し、10分間反応を行った。BPAの水酸化ナトリウム水溶液(NaOH 701gと亜二チオン酸ナトリウム2.8gを水10.3Lに溶解した水溶液に、BPA 1384gを溶解したもの)を添加し、50分間重合反応を行った。
希釈のため塩化メチレン1.9Lを加え10分間攪拌した後、ポリカーボネートを含む有機相と過剰のビスフェノールA及び水酸化ナトリウムを含む水相に分離し、有機相を単離した。
得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液の一部を内容積1Lの槽型反応器に仕込み溶液に対し15容量%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え撹拌洗浄した。この際、攪拌中に50mLメスシリンダーに溶液50mLを量り取り静置した。静置直後から時間を計測し、30分後に溶液から分離した水相量を測定した。
またポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液の残りをその15容量%の0.03mol/L水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、ポリカーボネートを含む有機相と水相を分離した。
次に得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液の一部を内容積1Lの槽型反応器に仕込み溶液に対し15容量%の0.2mol/L塩酸で洗浄を加え撹拌洗浄し、ポリカーボネートを含む有機相と水相を分離した。
次に得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液の一部を内容積1Lの槽型反応器に仕込み溶液に対し15容量%の純水を加え撹拌洗浄した。この際、攪拌中に50mLメスシリンダーに溶液50mLを量り取り静置した。静置直後から時間を計測し、60分後に溶液から分離した水相量を測定した。
その後得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液をその15容量%の純水で洗浄し、洗浄後の水相中の電気伝導度が0.05μS/m以下になるまで純水で洗浄を繰り返した。洗浄により得られたポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液を濃縮・粉砕し、得られたフレークを減圧下、100℃で乾燥し、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比は4.53mol%であり、PTBPの組成比は2.92mol%であった。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の(2)において、製造例1で得られた純度97.75質量%の3−ペンタデシルフェノールに代えて、純度92.10質量%の3−ペンタデシルフェノール(東京化成工業株式会社製、レゾルシノール誘導体2.15質量%、フェノール誘導体5.11質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、塩化メチレン相−水相分離性評価を行い、ポリカーボネート樹脂を得た。1H−NMRにより求めたm−PDPの組成比(mol%)は4.55mol%であり、PTBPの組成比は2.90mol%であった。ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014224245
上記実施例1と比較例1との対比から、本発明に属する、純度が97.5質量%以上である3−ペンタデシルフェノールを用いて製造された実施例1のポリカーボネート樹脂は、純度が97.5質量%未満の3−ペンタデシルフェノールを用いて製造された比較例1のポリカーボネート樹脂と比較して、洗浄工程における有機相と水相との分離性が優れていることがわかる。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造方法は、重合後の洗浄工程におけるポリカーボネート樹脂を含む有機相と水相との分離性が改善されているため、生産性よく流動性及び透明性に優れたポリカーボネート樹脂を製造することができる。

Claims (4)

  1. 天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールであって、純度が97.5質量%以上の3−ペンタデシルフェノールを含む末端停止剤を用いる、ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  2. 前記3−ペンタデシルフェノールが、下記一般式(I)で表わされるレゾルシノール誘導体1質量%以下及び/又は下記一般式(II)で表わされるフェノール誘導体2.5質量%以下を含有し、かつ該レゾルシノール誘導体と該フェノール誘導体との合計量が2.5質量%以下である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
    Figure 2014224245
    [式中R1、R2は、水素原子、又は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である。R3は、水素原子、又は飽和もしくは不飽和の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基である。R1、R2、R3は同一であっても異なっていても良い。但し、下記一般式(II)において、R1=H、R3=C1531で表される3−ペンタデシルフェノールは除く。]
  3. 前記3−ペンタデシルフェノールが、天然物から得られる3−ペンタデシルフェノールを、蒸留及び/又は晶析することにより得られる、請求項1又は2に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
  4. 界面重縮合法を用いて製造する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
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