(第一実施形態)
第一実施形態に係る圧電デバイスは、図1、図2および図3に示したように、素子搭載部材110、圧電素子120、蓋体130、スペーサー160および導電部材170を備えており、素子搭載部材110に実装された圧電素子120が、素子搭載部材110と蓋体130とで形成される空間内に気密封止された構造となっている。また、素子搭載部材110の下面には、スペーサー160が設けられている。
ここで、図面に合わせて、外部端子112が設けられている素子搭載部材110の面を素子搭載部材110の下面とし、この面と反対側を向く面を素子搭載部材110の上面とする。
素子搭載部材110は、圧電素子120を実装するためのものである。素子搭載部材110は、例えば、略矩形形状の平板状となっており、素子搭載部材110の下面に外部端子112が設けられ、素子搭載部材110の上面に搭載パッド111が設けられている。また、素子搭載部材110には、配線パターン(図示せず)または内部配線(図示せず)が設けられており、外部端子112と搭載パッド111とが配線パターンまたは内部配線により電気的に接続されている。素子搭載部材110は、例えば、アルミナセラミックス、または、ガラスセラミックス等のセラミック材料である絶縁層からなる。素子搭載部材110は、絶縁層を複数積層させたものであっても、一層で用いたものであってもよい。
搭載パッド111は、圧電素子120と電気的に接着、具体的には、圧電素子120の引出電極123とで電気的に接着されるものである。搭載パッド111は、素子搭載部材110の上面側に設けられている。搭載パッド111は、一対となっており、素子搭載部材110の上面を平面視したとき、素子搭載部材110の上面の短辺に沿って二つ並んで設けられている。
外部端子112は、スペーサー160に設けられている端子用パッド161と導電部材170を介して電気的に接続するためのものである。外部端子112は、例えば、一対となっており、素子搭載部材110の下面を平面視したとき、素子搭載部材110の下面の短辺に沿って、一つずつ設けられている。また、外部端子112は、素子搭載部材110の図示しない配線パターンまたは内部配線によって、搭載パッド111と電気的に接続されている。また、外部端子112は、導電部材170によって、スペーサー160の上面に設けられた端子用パッド161と電気的に接続されている。
また、ここで、素子搭載部材110は、略矩形形状の平板状となっており、素子搭載部材110の上面を平面視したときの長辺の寸法は、長辺が1.6mm〜8.0mmであり、短辺の寸法が1.2mm〜4.5mmである。外部端子112は、略矩形形状となっており、素子搭載部材110の上面を平面視して、素子搭載部材110の短辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜4.0mmとなっており、素子搭載部材110の長辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜2.0mmとなっている。
ここで、素子搭載部材110の作製方法について説明する。素子搭載部材110がアルミナセラミックスからなる場合、まず、所定のセラミック材料粉末に適当な有機溶剤等を添加し混合して得た複数のセラミックグリーンシートを準備する。また、セラミックグリーンシートの表面、または、セラミックスグリーンシートに打ち抜き等を施し予め設けておいた貫通している部分に、従来周知のスクリーン印刷等を用いて導体パターンとなる位置に所定の導電性ペーストを塗布する。次に、複数の絶縁層が積層されている場合にはセラミックグリーンシートを積層させプレス加工して高温で焼成する。なお、素子搭載部材110が単層の絶縁層からなる場合には、そのまま高温で焼成する。焼成後、導体パターンの所定の部位、具体的には、搭載パッド111、外部端子112および配線パターンとなる部分に、ニッケルメッキ、または、金メッキ等を施すことにより素子搭載部材110が作製される。また、導電性ペーストは、例えば、タングステン、モリブデン、銅、銀またはパラジウム等の金属粉末の焼結体等から構成されている。
圧電素子120は、安定した機械振動を得ることができ、電子機器等の基準信号を発信するためのものである。圧電素子120は、圧電片121と、圧電片121の上面および圧電片121の下面に設けられている一対の励振電極122と、一端が励振電極122に接続され他端が圧電片121の両面の縁部に位置している一対の引出電極123と、から構成されている。また、圧電素子120は、導電性接着剤140によって、引出電極123が素子搭載部材110の上面に設けられている搭載パッド111と電気的に接続されており、保持され、素子搭載部材110の上面に実装されている。
ここで、図面に合わせて、素子搭載部材110に実装されたとき、素子搭載部材110を向く圧電片121の面を圧電片121の下面とし、この圧電片121の下面と反対側を向く圧電片121の面を圧電片121の上面とする。また、圧電片121の上面および圧電片121の下面を、圧電片121の主面とする。
圧電片121は、安定した機械振動する圧電材料が用いられ、例えば、水晶が用いられる。ここで、圧電片121の作製方法について説明する。圧電片121は、人工水晶体から所定の大きさとなるように切断された後、圧電片121の外周の厚みが薄くされ、圧電片121の外周部と比べて圧電片121の中央部が厚くなるようにべベル加工がおこなわれて加工される。
励振電極122は、圧電片121に電圧を印加するためのものである。励振電極122は、一対となっており、圧電片121の上面および圧電片121の下面に互いが対向するように設けられている。励振電極122は、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術、または、スパッタリング技術によって金属層を圧電片121の所定の位置に被着させて形成している。
引出電極123は、圧電素子120の外部から励振電極122に電圧を印加するためのものである。引出電極123は、一端が励振電極122に接続され、他端が圧電片121の主面の縁部に位置するように、設けられている。また、引出電極123は、平面視して、他端が圧電片121の一方の短辺に沿って並んで配置されている。引出電極123は、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術、または、スパッタリング技術によって金属層を圧電片121の所定の位置に被着させて形成している。
ここで、圧電素子120の動作について説明する。圧電素子120は、外部から、引出電極123に電圧が印加されると、引出電極123が接続されている励振電極122に電圧が印加される。これにより、励振電極122には、異なる電荷が蓄積されることとなり、逆電圧効果によって励振電極122に挟まれている圧電片121の一部に歪みが生じ、変形する。その結果、圧電片121は、変形前の姿に戻ろうとするため、圧電効果により励振電極122に最初に蓄積された電荷と反対の電荷が蓄積されることとなる。つまり、励振電極122に電圧が印加されると、圧電素子120は、圧電効果および逆圧電効果により、励振電極122で挟まれた圧電片121の一部が振動する。従って、圧電素子120に交流電圧を印加すると、励振電極122に異なる電荷が交互に蓄積され変形することとなり、励振電極122に挟まれている圧電片121の一部を振動させることができる。
導電性接着剤140は、圧電素子120の引出電極123と素子搭載部材110の搭載パッド111とを電気的に接着、保持し、圧電素子120を素子搭載部材110に実装するためのものである。導電性接着剤140は、引出電極123と搭載パッド111との間に設けられている。導電性接着剤140は、シリコーン系の樹脂等のバインダーの中に導電フィラーとして導電性粉末が含有されているものであり、導電性粉末としては、アルミニウム、モリブデン、タングステン、白金、パラジウム、銀、チタン、ニッケルまたはニッケル鉄のいずれか、或いはこれら組み合わせたものを含むものが用いられる。また、バインダーとしては、例えば、シリコーン系の樹脂、エポキシ系の樹脂、ポリイミド系の樹脂、または、ビスマレイミド系の樹脂が用いられている。
導電性接着剤140を用いて、引出電極123と搭載パッド111とを電気的に接着する方法について説明する。まず、導電性接着剤140が、例えば、ディスペンサによって、搭載パッド111上に塗布される。その後、圧電素子120が導電性接着剤140上に搬送され、引出電極123と搭載パッド111とで導電性接着剤140を挟むように圧電素子120が載置され、その状態で加熱硬化される。これにより、引出電極123と搭載パッド111とが電気的に接着される。
蓋体130は、封止基部131、封止枠部132とから構成されている。また、蓋部材130は、素子搭載部材110の上面と接合部材150により接合されて、素子搭載部材110の上面に実装されている圧電素子120を気密封止するためのものである。
封止基部131は、矩形形状の平板状となっており、その主面の大きさが圧電素子120の圧電片121の主面より大きく、かつ、素子搭載部材110の上面の大きさより小さくなっている。封止基部131の下面には、封止枠部132により凹部空間が形成されている。
封止枠部132は、枠部132aおよび鍔部132bから構成されている。枠部132aは、蓋体130の下目に凹部空間を形成するためのものであり、封止基部131の下面の外縁に沿って設けられている。凹部空間内には、素子搭載部材110の上面に実装されている圧電素子120が収容される。鍔部132bは、蓋体130と素子搭載部材110とを接合する面積を確保し接合強度を上げるためのものである。鍔部132bは、枠部132aの外周面に沿って環状でかつ、枠部132aの外周側へ延設されている。
封止基部131および封止枠部132は、例えば、鉄、ニッケル、または、コバルトの少なくともいずれかを含む合金からなり、一体的に形成されている。このような蓋体130は、真空状態にある凹部空間、または、窒素ガスなどが充填された凹部空間を気密封止するためのものである。具体的には、蓋体130は、所定の雰囲気中で、封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面と素子搭載部材110の上面との間、および、鍔部132bの下面と素子搭載部材110の上面との間に設けられた接合部材150とに熱が印加されることで、接合部材150が溶融され、封止枠部132の下面と素子搭載部材110の上面とが溶融接合される。
ここで、蓋体130の作製方法について説明する。蓋体130の作製には、例えば、従来周知のプレス加工が用いられる。まず、矩形形状の平板を準備し、蓋体130の凹部空間と同形状となっている凸部と凹部を有した一対の金型で、平板を挟み加圧し、封止基部131および封止枠部132の枠部132aが設けられ凹部空間が形成される。このようにして、蓋体130は、プレス加工を用いて平板を塑性加工し、凹部空間を形成し、蓋体130を作製している。
接合部材150は、蓋体130の封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aと素子搭載部材110の上面との間、および、鍔部132bの下面と素子搭載部材110の上面との間に設けられており、蓋体130と素子搭載部材110とを接合するためのものである。接合部材150は、例えば、ガラスの場合には、300℃から400℃で溶融するガラスであり、例えば、バナジウムを含有した低融点ガラス、または、酸化鉛系ガラスから構成されている。酸化鉛系ガラスの組成は、酸化鉛、フッ化鉛、二酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化亜鉛、酸化第二鉄、酸化銅、および、酸化カルシウムとから構成されている。
次に、接合部材150を用いて蓋体130と素子搭載部材110と接合する接合方法について説明する。接合部材150の原料となるガラスは、バインダーと溶剤とが加えられたペースト状であり、溶融された後、固化されることで他の部材と接着する。接合部材150は、例えば、ガラスフリットペーストをスクリーン印刷法で封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面および鍔部132bの下面に塗布され乾燥することで設けられている。
また、接合部材150は、例えば、絶縁性樹脂の場合には、エポキシ樹脂、または、ポリイミド樹脂から構成されている。このとき、絶縁性樹脂は蓋体130の封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面および鍔部132bの下面に塗付される。絶縁性樹脂が塗付された蓋体130は、絶縁性樹脂を封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面と素子搭載部材110の上面、および、鍔部132bの下面と素子搭載部材110の上面とで挟むように載置される。その後、絶縁性樹脂を加熱硬化させて、蓋体130と素子搭載部材110とを接合している。
スペーサー160は、略矩形形状の平板状となっており、上面に端子用パッド161が設けられ、下面に実装端子162が設けられている。また、スペーサー160は、上面に設けられた端子用パッド161と素子搭載部材110の下面に設けられている外部端子112とが導電部材170によって接合されて、素子搭載部材110の下面に設けられている。従って、スペーサー160によって、第一実施形態に係る圧電デバイスは、電子機器等の実装基板に実装した際に、その実装基板から応力が加わったとしても、スペーサー160を介して素子搭載部材110に応力が加わることとなり、スペーサー160がない場合と比較して、素子搭載部材110に応力が加わり素子搭載部材110が歪む量を低減させることが可能となる。このため、スペーサー160がない場合と比較し、導電性接着剤140に加わる応力を抑え、搭載パッド111と引出電極123との導通不良を低減させることができる。
端子用パッド161は、素子搭載部材110の下面に設けられている外部端子112と導電部材170により接合されるためのものである。端子用パッド161は、外部端子112と向かい合う位置に設けられている。つまり、図面では、外部端子112の下面に導電部材170を挟んだ状態で配置されている。
実装端子162は、第一実施形態に係る圧電デバイスを電子機器に内蔵するとき、電子機器のマザーボードの所定の実装パッドに接合されるためのものである。実装端子162は、スペーサー160の配線パターン(図示せず)または内部配線(図示せず)によって、端子用パッド161と電気的に接続されている。
また、スペーサー160には、上面から下面にかけて貫通穴163が形成されている。従って、スペーサー160に応力が加わり、スペーサー160に歪みが生じ変形するとき、貫通穴163の開口部の縁部に向かって内部応力が加わることなる。このため、スペーサー160に応力が加わったとき、応力の一部が貫通穴163の開口部の縁部に向かう内部応力となるため、スペーサー160の端子用パッド161と素子搭載部材110の外部端子112とを電気的に接続している導電部材170に加わる応力を、貫通穴163がない場合と比較して、小さくすることが可能となる。つまり、貫通穴163をスペーサー160に設けることによって、端子用パッド161と外部端子112とを接合している導電部材170に加わる応力を、貫通穴163がない場合と比較して、低減させることができる。
貫通穴163の開口部は、スペーサー160の上面を平面視したとき、端子用パッド161と重ならない位置に配置されている。従って、スペーサー160の端子用パッド161と素子搭載部材110の外部端子112とを導電部材170で接合するとき、平面視して、導電部材170と貫通穴163の開口部とが重ならないようにすることができる。このため、スペーサー160に応力が加わった場合、貫通穴163の開口部の縁部に向かう向きの内部応力が導電部材170に加わることを低減させることができる。
貫通穴163の開口部は、スペーサー160の下面を平面視したとき、実装端子162と重ならない位置に配置されている。従って、第一実施形態に係る圧電デバイスを電子機器のマザーモードに実装部材(図示せず)により実装するとき、平面視して、実装部材と貫通穴163の開口部とが重ならないようにすることができる。このため、スペーサー160に応力が加わった場合、貫通穴163の開口部の縁部に向かう向きの内部応力が実装部材に加わることを低減させることができる。
また、貫通穴163は、スペーサー160の上面を平面視したとき、スペーサー160の上面の中心、または、中心付近に形成されている。例えば、貫通穴163の開口部が円形形状の場合、貫通穴163の開口部の中心がスペーサー160の上面の中心と重なっている、または、スペーサー160の上面の中心付近に位置するように、貫通穴163が形成されている。このため、スペーサー160に応力が加わったとき、貫通穴163の開口部の縁部に向かう向きに内部応力が生じるとき、スペーサー160の四隅から貫通穴163の縁部までの距離を同じくらいにすることが可能となるので、スペーサー160の四隅で生じる歪みの量をほぼ均一にすることができる。従って、素子搭載部材110の下面の短辺に沿ってそれぞれ一つずつ設けられている外部端子112と、端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる応力を同じくらいにすることが可能となる。
貫通穴163の開口部は、例えば、円形形状となっている。従って、スペーサー160に応力が加わったときに、開口部の縁部に向かう向きに生じた内部応力が開口部で分散されることとなり、開口部の縁部に応力が集中し、破損することを低減させることができる。
スペーサー160は、例えば、ガラスエポキシ樹脂からなる。電子機器のマザーボードは、一般的に、ガラスエポキシ樹脂が用いられているので、スペーサー160にガラスエポキシ樹脂を用いることで、マザーボードとスペーサー160との熱膨張係数をほぼ同じにすることが可能となる。従って、実装部材によりスペーサー160の下面に設けられている実装端子162とマザーボードの所定の実装パッドとを電気的に接合するとき、スペーサー160とマザーボードとの熱膨張係数がほぼ同じなので、熱膨張または収縮により、スペーサー160から実装部材に加わる力とマザーボードから実装部材に加わる力とをほぼ同じにすることができる。
また、ここで、スペーサー160は、スペーサー160の上面を平面視したとき、長辺の寸法が1.6mm〜8.0mmであり、短辺の寸法が1.2mm〜4.5mmである。また、端子用パッド161は、スペーサー160の上面を平面視したとき、スペーサー160の短辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜4.0mmとなっており、スペーサー160の長辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜2.0mmとなっている。また、実装端子162は、スペーサー160の下面を平面視したとき、スペーサー160の短辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜4.0mmとなっており、スペーサー160の長辺と平行となっている辺の寸法が、1.0mm〜2.0mmとなっている。また、貫通穴163は、スペーサー160の上面を平面視したとき、その開口部が円形形状となっており、円形の直径が0.5mm〜2.0mmとなっている。また、スペーサー160の上下方向の厚みは、例えば、0.2mm〜1.0mmとなっている。
ここで、スペーサー160の作製方法について説明する。ここでは、例えば、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術によって、ガラスエポキシ樹脂からなる平板状の基材に、所定の導体パターン、具体的には、端子用パッド161、実装端子162および配線パターンが形成されて、スペーサー160が作製される。
導電部材170は、素子搭載部材110の外部端子112とスペーサー160の端子用パッド161との間に設けられ、外部端子112と端子用パッド161とを接合するためのものである。導電部材170は、例えば、銀ペーストまたは鉛フリー半田により、構成される。
導電部材170が銀ペーストからなる場合、導電部材170は、スペーサー160の上面の端子用パッド161または素子搭載部材110の下面の外部端子112に塗布され、端子用パッド161と外部端子112とで導電部材170を挟んだ状態で硬化することで、端子用パッド161と外部端子112との間に設けられている。
導電部材170が鉛フリー半田からなる場合、導電部材170は、半田粉末にフラックスを加え適当な粘度にされた半田ペーストが端子用パッド161または外部端子112に印刷され、半田ペーストを端子用パッド161と外部端子112とで挟んだ状態で加熱することで、端子用パッド161と外部端子112との間に設けられている。なお、鉛フリー半田の成分比率は、錫が95〜97.5%、銀が2〜4%、銅が0.5〜1.0%のものが使用されている。
第一実施形態に係る圧電デバイスでは、外部端子112と端子用パッド161とが導電部材170によって接合されて素子搭載部材110の下面にスペーサー160が設けられており、このスペーサー160には、スペーサー160の上面からスペーサー160の下面にかけて貫通穴163が形成されている。また、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160の上面を平面視したとき、端子用パッド161と貫通穴163の開口部とが重ならない位置に配置されている。従って、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、外部の実装基板から応力を受け、スペーサー160に応力が加わったとき、この応力が貫通穴163の開口部に向かう向きに応力が集中させることができ、従来と比較して、外部端子112と端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる力を低減させることが可能となる。結果、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、外部の実装基板から応力が加わったとき、従来と比較して、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、外部端子112と端子用パッド161との導通不良を抑えることができる。また、第一実施形態に係る圧電デバイスは、外部の実装基板から応力が加えられたとき、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、外出力される信号が不安定となることを低減させることが可能となる。
また、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160の上面を平面視したとき、貫通穴163がスペーサー160の上面の中心、または、中心付近に形成されており、例えば、貫通穴163の開口部が円形形状の場合、貫通穴163の開口部の中心がスペーサー160の上面の中心と重なるように貫通穴163が形成されている。このため、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160の四隅から貫通穴163の開口部の中心までの距離を同じくらいにすることが可能となるので、スペーサー160に外部の実装基板から応力が加わったとき、スペーサー160の四隅で生じる歪みの量をほぼ均一にすることができる。従って、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、外部端子112と端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる応力を同じくらいにすることが可能となる。その結果、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、導電部材170の一部に応力が集中することを低減させることができるので、導電部材170の一部に応力が集中することによる導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれを低減させることが可能となり、外部端子112と端子用パッド161との導通不良を抑えることができる。
また、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160に形成されている貫通穴163の開口部が、円形形状となっている。従って、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160に応力が加わったときに、開口部の縁部に向かう向きに生じた応力が、開口部で分散されることとなり、貫通穴163の開口部の縁部に応力が集中し、破損することを低減させることができる。結果、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160が破損することを低減させつつ、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、出力される信号が不安定となることを低減させることが可能となる。
また、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160が、電子機器のマザーボードと同様に、ガラスエポキシ樹脂からなっているので、マザーボードとスペーサー160との熱膨張係数をほぼ同じにすることが可能となる。従って、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、実装部材によりスペーサー160の下面に設けられている実装端子162とマザーボードの所定の実装パッドとを電気的に接合するとき、熱により膨張または収縮する度合いが、スペーサー160とマザーボードとで同じになるので、スペーサー160から実装部材に加わる力とマザーボードから実装部材に加わる力とをほぼ同じにすることができる。結果、第一実施形態に係る圧電デバイスでは、導電部材170の一部に応力が集中することを低減させることができるので、導電部材170の一部に応力が集中することによる導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれを低減させることが可能となり、外部端子112と端子用パッド161との導通不良を抑えることができる
ここで、第一実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について説明する。第一実施形態に係る圧電デバイスの製造方法は、例えば、素子形成工程、素子実装工程、封止工程およびスペーサー接合工程、を備えている。
素子形成工程は、圧電片121に励振電極122および引出電極123を設け圧電素子120を形成する工程である。圧電片121は、人工水晶体から所定の大きさとなるように切断された後、圧電片121の外周の厚みが薄くされ、圧電片121の外周部と比べて圧電片121の中央部が厚くなるようにべベル加工がおこなわれて加工され形成されている。素子形成工程では、このような圧電片121の所定の位置に、フォトリソグラフィー技術、蒸着技術、または、スパッタリング技術によって、金属膜を被着させて励振電極122および引出電極123を形成している。
素子実装工程は、導電性接着剤140によって素子搭載部材110に圧電素子120を実装する工程である。素子実装工程では、まず、導電性接着剤140が、例えば、ディスペンサによって素子搭載部材110の搭載パッド111上に塗布される。次に、圧電素子120が導電性接着剤140上に搬送され、引出電極123と搭載パッド111とで導電性接着剤140を挟むように圧電素子120が載置され、その状態で加熱硬化される。これにより、引出電極123と搭載パッド111とが電気的に接着される。素子実装工程では、このように、導電性接着剤140により、圧電素子120の引出電極123と素子搭載部材110の搭載パッド111とが電気的に接着され、固着されることで、圧電素子120を素子搭載部材110の上面側に実装している。
封止工程は、素子搭載部材110の上面と蓋体130の下面とを接合部材150により接合し、素子搭載部材110の上面側に実装されている。圧電素子120を気密封止する工程である。ここでは、接合部材150の原料がガラスからなる場合について説明する。封止工程では、まず、バインダーと溶剤とが加えられたペースト状のガラスフリットペーストが、スクリーン印刷法で蓋体130の封止枠部132の下面、具体的には、枠部132aの下面および鍔部132bの下面に塗布され乾燥されることで設けられる。次に、このガラスフリットペーストが、素子搭載部材110の上面と蓋体130の下面との間に位置するように設けられ、この状態で、加熱されガラスフリットペーストを溶融し、固化する。封止工程では、接合部材150を、素子搭載部材110の上面と蓋体130の下面との間に設け、
加熱し溶融させて、再び固化させることで、素子搭載部材110と蓋体130とを接合している。
スペーサー接合工程は、導電部材170により素子搭載部材110の外部端子112とスペーサー160の端子用パッド161とを接合する工程である。導電部材170には、銀ペーストまたは鉛フリー半田が用いられる。導電部材170が銀ペーストからなる場合、導電部材接合工程では、まず、ディスペンサ等によってスペーサー160の上面の端子用パッド161または素子搭載部材110の下面の外部端子112に塗布される。その後、この塗布された銀ペーストを端子用パッド161と外部端子112とで挟んだ状態で硬化することで、端子用パッド161と外部端子112とを導電部材170により接合している。導電部材170が鉛フリー半田からなる場合、導電部材接合工程では、まず、半田粉末にフラックスを加え適当な粘度にされた半田ペーストが用意される。次に、この半田ペーストを端子用パッド161または外部端子112に印刷し、半田ペーストを端子用パッド161と外部端子112とで挟んだ状態で加熱することで、半田粉末が溶融され、固化することで、端子用パッド161と外部端子112とが接合される。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態における圧電デバイスについて説明する。なお、第二実施形態における圧電デバイスのうち上述した圧電デバイスと同様の部分について、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第二実施形態における圧電デバイスは、図4および図5に示されているように、絶縁部材180が素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に設けられている点で、第一実施形態と異なる。
絶縁部材180は、樹脂接着剤が用いられ、特に、硬化するときに体積収縮の少ない樹脂接着剤が用いられる。絶縁部材180は、例えば、例えば、エポキシ系の樹脂接着剤またはシリコーン系の樹脂接着剤が用いられる。これにより、絶縁部材180が硬化するときに、絶縁部材180からスペーサー160、素子搭載部材110および導電部材170に加わる応力を抑えることができる。
絶縁部材180は、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に設けられ、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面とを接着している。従って、素子搭載部材110とスペーサー160とは、導電部材170および絶縁部材180により、接着されていることとなり、従来と比較して、素子搭載部材110とスペーサー160との接着強度を高めることができる。また、絶縁部材180により、素子搭載部材110とスペーサー160とを接着することで、スペーサー160に応力が加えられたとき、絶縁部材180にも応力が加わることとなり、従来と比較して、導電部材170に加わる応力を低減させることが可能となる。
また、絶縁部材180は、貫通穴163の内部に設けられている。このとき、絶縁部材180は、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間にも設けられている。絶縁部材180が貫通穴163の内部に設けられていることによって、仮に貫通穴163の外周縁に応力が加わったとしても、貫通穴163の外周縁が絶縁部材180によって保護されているので、貫通穴163の外周縁に沿って欠けや割れを低減させることができる。また、絶縁部材180が、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上目との間に設けられつつ貫通穴160の内部に設けられることによよって、スペーサー160自体の上下方向の厚みを大きくすることができるので、スペーサー160の剛性を高くすることができる。このため、貫通穴163に絶縁部材180が設けられていない場合と比較し、スペーサー160の剛性を高くすることができるので、スペーサー160に応力が加わったとき、スペーサー160で生じる歪みの量を低減させることが可能となる。結果、従来と比較して、外部端子112と端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる応力を低減させることができる。
また、絶縁部材180が貫通穴163の内部に設けられていることで、貫通穴163から塵等の異物が混入することを低減させることができる。貫通穴163から塵等の異物が混入し導電部材170に付着した場合、外部端子112と端子用パッド161とで入出力される信号にノイズが重畳され、第二実施形態の実装端子162から出力される信号にもノイズが重畳され、結果、出力される信号が不安定となってしまう虞がある。従って、絶縁部材180が貫通穴163の内部に設けることで、塵等の異物が導電部材170に付着することを低減させることができ、外部端子112と端子用パッド161とで入出力される信号にノイズが重畳されることを抑え、実装端子162から出力される信号にもノイズが重畳されることを低減させることができる。よって、出力される信号が不安定となることを低減させることが可能となる。
また、絶縁部材180は、素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面を覆っている。ここで、素子搭載部材110の中心側を向く導電部材の面とは、平面視して、貫通穴163の開口部側を向く導電部材170の面のことである。つまり、絶縁部材180は、平面視して、貫通穴163の開口部側を向く導電部材170の面に設けられた状態となっており、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面と素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面とで形成される空間に設けられた状態となっている。言い換えると、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に絶縁部材180が充填された状態となっている。従って、絶縁部材180によって素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に絶縁性部材180が充填され、素子搭載部材110とスペーサー160とを一体としてみなすことができ、第二実施形態に係る圧電デバイスの剛性を高くすることが可能となる。
また、絶縁部材180が素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面を覆った状態となっている。従って、絶縁部材180は、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面と素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面とを接着している。このため、絶縁部材180は、従来と比較して、接着する面積を増やすことができるので、素子搭載部材110とスペーサー160との接着強度を高くすることができる。
また、絶縁部材180は、素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っている。つまり、絶縁部材180は、第一実施形態に係る圧電デバイスにおいて露出していた導電部材170の面を覆うように設けられている。このとき、絶縁部材180は、導電部材170に塵等の異物が付着することを低減させている。導電部材170に塵等の異物が付着すると、外部端子112と端子用パッド161とで入出力される信号にノイズが重畳され、実装端子162から出力される信号にもノイズが重畳されることとなり、結果、出力される信号が不安定となってしまう虞がある。つまり、絶縁部材180で素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆うことで、塵等の異物が導電部材170に付着する量を低減させ、外部端子112と端子用パッド161とで入出力される信号にノイズが重畳させることを低減させ、結果、出力される信号が不安定となることを低減させている。
また、絶縁部材180は、素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っているので、従来と比較して、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との接着面積を大きくすることができ、接着強度を高くすることが可能となる。
また、絶縁部材180は、素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っているので、平面視して、導電部材170より素子搭載部材110の外周縁側において絶縁部材180により接着することができる。このため、導電部材170より素子搭載部材110の外周縁側においても絶縁部材180により素子搭載部材110とスペーサー160とを一体と見なすことができるため、剛性を高くすることが可能となる。
第二実施形態に係る圧電デバイスでは、絶縁部材180が素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に設けられているので、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面とを接着している。従って、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、従来と比較して、素子搭載部材110とスペーサー160との接着強度を高めることができる。このため、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160に応力が加わったとき、絶縁部材180にも応力が加わることとなり、外部端子112と端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる応力を低減させることが可能となる。結果、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれに起因した外部端子112と端子用パッド161との導通不良を低減させることが可能となる。
また、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、絶縁部材180が、スペーサー160に形成されている貫通穴163の内部にも設けられている。従って、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、貫通穴163の内部に絶縁部材180が設けられていない場合と比較して、スペーサー160の剛性を高くすることができる。このため、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160に応力が加わったとき、貫通穴163の内部に絶縁部材180が設けられていない場合と比較して、スペーサー160に生じる歪みの量を低減させることが可能となる。結果、第二実施形態に係る圧電デバイスでは、スペーサー160に生じる歪みの量が低減されるため、外部端子112と端子用パッド161とを接合している導電部材170に加わる応力を低減させることができ、導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれに起因した外部端子112と端子用パッド161との導通不良を低減させることが可能となる。
また、第二実施形態の圧電デバイスは、絶縁部材180が素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面を覆った状態となっているので、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面と素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面とを接着している構造となっている。このため、第二実施形態の圧電デバイスは、絶縁部材180により接着する面積を増やすことができるので、素子搭載部材110とスペーサー160との接着強度を高くすることができる。結果、第二実施形態の圧電デバイスでは、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれに起因した外部端子112と端子用パッド161との導通不良を低減させることが可能となる。
また。第二実施形態の圧電デバイスは、絶縁部材180により、素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っている。従って、第二実施形態の圧電デバイスは、塵等の異物が導電部材170に付着する量を低減させ、外部端子112と端子用パッド161とで入出力される信号にノイズが重畳させることを低減させ、結果、出力される信号が不安定となることを低減させている。
また、第二実施形態の圧電デバイスは、絶縁部材180により素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っているので、従来と比較して、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との接着面積を大きくすることができ、接着強度を高くすることが可能となる。結果、第二実施形態の圧電デバイスでは、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれに起因した外部端子112と端子用パッド161との導通不良を低減させることが可能となる。
また、第二実施形態の圧電デバイスは、絶縁部材180により素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面を覆っているので、平面視して、導電部材170より素子搭載部材110の外周縁側において絶縁部材180により接着することができる。このため、第二実施形態の圧電デバイスは、導電部材170より素子搭載部材110の外周縁側においても絶縁部材180により素子搭載部材110とスペーサー160とを一体と見なすことができるため、剛性を高くすることが可能となる。結果、第二実施形態の圧電デバイスでは、導電部材170に加わる応力を低減させることができるので、導電部材170の亀裂や導電部材170の剥がれに起因した外部端子112と端子用パッド161との導通不良を低減させることが可能となる。
ここで、第二実施形態に係る圧電デバイスの製造方法について説明する。なお、第二実施形態における圧電デバイスの製造方法のうち第一実施形態における圧電デバイスの製造方法と同様の部分について、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第二実施形態における圧電デバイスの製造方法では、絶縁部材180を素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に設ける絶縁部材形成工程を備えている点で、第一実施形態と異なる。
絶縁部材形成工程は、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に絶縁部材180を設ける工程である。絶縁部材形成工程では、導電接合工程後に、素子搭載部材110の下面とスペーサー160の上面との間に設けられつつ、スペーサー160の貫通穴163内に位置するように絶縁部材180が設けられる。また、このとき、絶縁部材180により、素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面および素子搭載部材110の外周縁を向く導電部材170の面が覆われた状態となる。
絶縁部材形成工程では、例えば、導電部材接合工程後に、スペーサー160の貫通穴163から絶縁部材180を注入される。これにより、絶縁部材180が素子搭載部材110の中心側を向く導電部材170の面を覆うように設けることを容易にすることができる。また、このように、貫通穴163から絶縁部材180を注入することで、貫通穴163内に絶縁部材180に容易に設けることができる。
外部端子が一対となっている場合について説明しているが、例えば、四つ設けられており、素子搭載部材110の下面の四隅に一つずつ設けもよい。このとき、外部端子の所定の二つが搭載パッド111と電気的に接続された状態となっている。
素子搭載部材110が平板状の場合について説明しているが、素子搭載部材110と蓋体とで形成される空間内に圧電素子を気密封止することができれば、例えば、凹部が形成されている素子搭載部材と平板状の蓋体を用いてもよい。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態における圧電デバイスについて説明する。なお、第三実施形態における圧電デバイスのうち上述した圧電デバイスと同様の部分について、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第三実施形態における圧電デバイスは、図6に示したように、圧電素子320を実装している素子搭載部材310が基部313、固定部311および脚部312(312a,312b,312c)から構成されている点で第二実施形態と異なる。
素子搭載部材310は、平板状の基部313と、基部313の所定の一面から延設されている脚部312と、基部313の所定の他の一面から延設されている固定部311と、から構成されており、基部313から延設されている脚部312の先端が外部端子となっている。
基部313は、素子搭載部材310に実装される圧電素子320を、蓋体330と共に気密封止するための空間を形成するためのものである。また、基部312は、鉄、コバルト、ニッケル、銅のいずれかを含んだ合金、または、ステンレスが用いられ、例えば、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金が用いられる。基部313は、平板状となっており、例えば、略直方体形状となっており、一方の主面を平面視すると、短辺部が半円形状となっている。
脚部312は、素子搭載部材310に実装される圧電素子320に電圧を印加するためのものであり、基部313と絶縁した状態で、基部313の所定の一面から延設されている。このとき、脚部312は、例えば、一対となっており、基部313の所定の一面であって長辺に平行となるように並んで配置されている。脚部312は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金のいずれか一つ、またはいずれか一つを含んだ合金が用いられ、例えば、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金が用いられる。
また、脚部312に、鉄、コバルト、ニッケルからなる合金が用いることで、脚部312の熱膨張係数が48〜62×10^−7Kとすることができ、他の金属材料を用いた場合と比較して、スペーサー360との熱膨張係数の差を小さくすることが可能となる。このため、導電部材370により、スペーサー360の端子パッド361と脚部312とを電気的に接続させるために接合するとき、脚部312から導電部材370に加わる応力と、スペーサー360から導電部材370に加わる応力との差を小さくすることができるようになる。
また、脚部312は、複数回折り曲げられており、第一脚部312a、第二脚部312bおよび第三脚部312cから構成されている。第一脚部312aは、一端が基部313と絶縁した状態で基部313の所定の一面に接続され、他端が第二脚部312bの一端と接続されている。このとき、第一脚部312aは、例えば、スペーサー360の上面とほぼ平行となっている。第二脚部312bは、一端が第一脚部312aの他端と接続され、他端が第三脚部312cの一端と接続されている。このとき、第二脚部312bは、例えば、スペーサー360の上面と垂直となっている。第三脚部312cは、一端が第二脚部312bに接続され、他端がスペーサー360の上面に設けられている端子用パッド361と導電部材370によって電気的に接続されている。従って、第三脚部312cは、素子搭載部材310の外部端子に相当する。
固定部311は、素子搭載部材310に圧電素子320を実装するためのものであり、基部313と絶縁した状態で、基部313の所定の他の一面、例えば、基部313の所定の一面と反対側を向く基部313の面から延設されている。このとき、固定部311は、例えば、一対となっており、基部313の所定の他の一面であって長辺と平行となるように並んで配置されている。固定部311は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金のいずれか一つ、または、いずれか一つを含む合金が用いられ、例えば、鉄、コバルト、ニッケルからなる合金が用いられており、脚部312と一体的に形成されている。固定部311における基部313と反対側の固定部311の端部には、導電性接着剤(図示せず)によって、圧電素子320が接着、固着されて、圧電素子320が基部313と接触しない状態で保持されている。このとき、導電性接着剤によって、固定部311と圧電素子320の引出電極とが電気的に接続された状態となっている。
ここで、固定部311が延設されている基部313の所定の他の一面を基部313の第一面M1とし、脚部312が延設されている基部313の所定の一面を基部313の第二面M2とする。また、基部313の第一面M1および基部313の第二面M2を基部313の主面とする。また、実際の図面上での上下方向とは異なるが、第三実施形態でのみ、基部313の第一面M1を素子搭載部材310の上面とし、基部313の第二面M2を素子搭載部材310の下面とする。
素子搭載部材310には、特に図示していないが、基部313の第一面M1から基部313の第二面M2にかけて貫通している微細な孔(図示せず)が形成されている。この孔には、一体となっている脚部312および固定部311が挿入された後、絶縁性接合部材(図示せず)が挿入される。このようにすることで、基部313と脚部312とが絶縁した状態で基部313から脚部312を延設させることができ、基部313と固定部311とが絶縁した状態で基部313から固定部311を延設させることが可能となっている。
蓋体330は、基部313と接合されて基部313に実装されている圧電素子320を気密封止するためのものであり、封止基部331、封止枠部332および蓋端子333(333a,333b,333c)から構成されている。蓋体330は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金のいずれか一つ、または、いずれか一つを含んだ合金が用いられ、例えば、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金が用いられる。また、蓋体330は、封止基部331、封止枠部332、および蓋端子333から構成されている。
封止基部331は、平板状に形成されており、例えば、略直方体形状となっており、平面視して短辺側が半円形状となっている。このとき、封止基部331の主面、具体的には、基部313側を向く封止基部331の面は、基部313の主面と同形状となっている。
封止枠部332は、平板状の枠形状となっており、封止基部332の基部313側を向く面の縁部に沿って設けられ、蓋体330の基部313側を向く面に圧電素子320を収容するための空間を形成している。封止枠部332は、基部313と冷間圧接接合により接合されており、封止枠部332と封止基部331とで形成される凹部内に圧電素子320が気密封止されている。
蓋端子333は、蓋体330をグランドと同電位にするためのものであり、蓋体330から延設されている。また、蓋端子333は、複数回折り曲げられており、第一蓋端子333a、第二蓋端子333bおよび第三蓋端子333cから構成されている。第一蓋端子333aは、一端が、基部313側を向く封止基部331と反対側を向く封止基部331の面に電気的に接続された状態で接続されており、他端が、第二蓋端子333bと接続されている。このとき、第一蓋端子333aは、例えば、スペーサー360の上面と平行となっている。第二蓋端子333bは、一端が第一蓋端子333aの他端に接続されており、他端が第三蓋端子333cの一端に接続されている。このとき、第二蓋端子333bは、例えば、スペーサー360の上面と垂直となっている。第三蓋端子333cは、一端が第二蓋端子333bに接続されており。他端がスペーサー360に設けられている端子用パッドに361、導電部材370によって接続されている。なお、第三蓋端子333cが接続される端子用パッド361は、素子搭載部材310の脚部312が接続される端子用パッド361とは異なっている。従って、蓋体330の蓋端子333、具体的には、第三蓋端子333cも、外部端子の機能を果たしている。この蓋端子333が接続される端子用パッド361をグランドと同電位にすることで、素子搭載部材310に実装されている圧電素子320を疑似的に蓋体330でシールドすることが可能となる。このため、圧電素子320の励振電極と圧電デバイスの外部とで生じる浮遊容量を小さくすることができ、圧電デバイスの信号を安定させることが可能となる。
蓋端子333に、鉄、コバルト、ニッケルからなる合金が用いることで、蓋端子333の熱膨張係数が48〜62×10^−7Kとすることができ、他の金属材料を用いた場合と比較して、スペーサー360との熱膨張係数の差を小さくすることが可能となる。このため、導電部材370により、スペーサー360の端子パッド361と脚部312とを電気的に接続させるために接合するとき、蓋端子333から導電部材370に加わる応力と、スペーサー360から導電部材370に加わる応力との差を小さくすることができるようになる。
スペーサー360は、例えば、図7に示すように、略矩形形状の平板状となっており、その上面に、例えば、三つの端子用パッド361が設けられている。端子用パッド361のうち二つは、スペーサー360の上面の一方の長辺に沿って二つ並びつつ第三脚部312cと向かいあう位置に配置されている。端子用パッド361のうち残りの一つは、スペーサー360の上面の他方の長辺の縁部で、かつ、第三蓋端子333cと向かい合う位置に配置されている。スペーサー360の下面には、図示しないスペーサー360の内部配線または配線部によって端子用パッド361と電気的に接続されている実装端子362が設けられている。これら実装端子362は、スペーサー360の上面から下面を平面視したとき、実装端子362が端子用パッド361と重なる位置に配置されている。
スペーサー360は、上面を平面視して、長辺の寸法が5〜15mmとなっており、短辺の寸法が4.5〜14.5mmとなっている。また、端子用パッド361は、スペーサー360の上面を平面視したとき、三つある端子用パッド361のうち第三脚部312cと電気的に接続されるうちの二つ(の端子用パッド361)の大きさが、スペーサー360の長辺と平行となっている辺の寸法が1.0〜3.0mmとなっており、スペーサー360の短辺と平行となっている辺の寸法が1.0〜3.0mmとなっており、三つある端子用パッド361のうち第三蓋端子333cと電気的に接続される残りの一つ(の端子用パッド361)の大きさが、スペーサー360の長辺と平行となっている辺の寸法が1.0〜3.0mmとなっており、スペーサー360の短辺と平行となっている辺の寸法が1.0〜3.0mmとなっている。また、スペーサー360の上面から下面にかけて形成されている貫通穴363は、スペーサー360の上面を平面視したとき、その開口部が円形形状となっており、円型の直径が0.5〜4.0mmとなっている。また、スペーサー360の上下方向の厚みは、例えば、0.2〜1.0mmとなっている。
本実施形態では、図6および図7で特に図示していないが、絶縁部材が第二実施形態の場合と同様に設けられているが、絶縁部材が蓋体330とスペーサー360の上面との間にも設けられている点で第二実施形態と異なっている。絶縁部材は、スペーサー360に形成されている貫通穴363の内部に充填されているともに、素子搭載部材310の基部313とスペーサー360の上面との間、および、蓋体330とスペーサー360の上面との間にも設けられている。このようにすることで、スペーサー360と素子搭載部材310およびスペーサー360と蓋体330の接合強度を高めつつ、スペーサー360に応力が加わったときに導電部材370に加わる応力をより低減させることができる。
また、絶縁部材は、スペーサー360の中心側を向く導電部材370の面を覆いつつ、スペーサー360の外周縁を向く導電部材370の面を覆っている。ここで、スペーサー360の中心側を向く導電部材370の面とは、平面視して、スペーサー360に形成されている貫通穴363の開口部を向く導電部材370の面であり、スペーサー360の外周縁を向く導電部材370の面とは、平面視して、スペーサー360の外周側を向く導電部材370の面である。このように、スペーサー360の中心側を向く導電部材370の面およびスペーサー360の外周縁側を向く導電部材370の面を覆うように絶縁部材を設けることで、絶縁部材が導電部材370を覆うように設けられつつ、蓋体330、素子搭載部材310、スペーサー360および導電部材370で形成される空間内に充填されている状態となっている。従って、絶縁部材によって、スペーサー360、蓋体330および素子搭載部材310を一体と見なすことができ、圧電デバイスの剛性をより高くすることが可能となる。
また、絶縁部材は、脚部312を覆うように設けられている。これにより、脚部312に塵等の異物が付着し脚部312を伝送されている信号にノイズが重畳されることを低減させることが可能となり、結果、出力される信号が不安定となることを低減させている。また、絶縁部材は、蓋端子333を覆うように設けられている。これにより、絶縁部材による接着面積を大きくすることができ、より接着強度を高くすることが可能となっている。
第三実施形態に係る圧電デバイスは、基部313、基部313の所定の一面から延設されている脚部312、および、基部313の所定の他の一面から延設されている固定部311とからなる素子搭載部材310が用いられており、素子搭載部材310の固定部311に、導電性接着剤340によって圧電素子320が接着、固着されることで、素子搭載部材310の上面に圧電素子320が実装されている。また、第三実施形態に係る圧電デバイスは、封止基部331、封止枠部332および蓋端子333とからなる蓋体330が用いられており、蓋体330の封止枠部332と素子搭載部材310の基部311とが接合されて、素子搭載部材310に実装されている圧電素子320が気密封止されている。また、第三実施形態に係る圧電デバイスは、上面から下面にかけて貫通している貫通穴363が形成されているスペーサー360が用いられており、このスペーサー360の上面には、複数の端子用パッド361が設けられており、この端子用パッド361と外部端子、具体的には、脚部312および蓋端子333が導電部材370により電気的に接続するように接合されている。このとき、外部端子は、導電部材370および端子用パッド361を介してスペーサー360の下面に設けられている実装端子362と、電気的に接続されている。また、第三実施形態に係る圧電デバイスは、素子搭載部材310の基部313、蓋体330、導電部材370、スペーサー360とで囲まれている空間内に絶縁部材が設けられている。このとき、絶縁部材は、スペーサー360の中心側を向く導電部材370の面およびスペーサー360の外周縁を向く面だけでなく、脚部312および蓋端子333を覆うように設けられている。
第三実施形態では、上述したような構成にすることで、第一実施形態および第二実施形態の場合と同様に、外部端子に相当する脚部312とスペーサー360の端子用パッド361との導通不良を抑えることが可能となる。また、第三実施形態では、端子用パッド361および導電部材370を介して蓋端子333と電気的に接続されている実装端子362を、実装基板(図示せず)の基準電位となるグランドと接続させることで、蓋体330をグランドと同電位にすることができる。従って、第三実施形態では、素子搭載部材310に実装されている圧電素子320を蓋体330で疑似的にシールドすることが可能となる。このため、第三実施形態では、圧電素子320の励振電極と圧電デバイスの外部との間で生じる浮遊容量を小さくすることができ、圧電デバイスの信号を安定させることができる。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態における圧電デバイスについて説明する。なお、第四実施形態における圧電デバイスのうち上述した圧電デバイスと同様の部分について、同一の符号を付して適宜説明を省略する。第四実施形態に係る圧電デバイスは、図8に示しているように、素子搭載部材410が、基部413、脚部412、固定部411および平板部414から構成されている点で第三実施形態と異なる。
素子搭載部材410は、平板状の基部413と、基部413の所定の一面から延設されている脚部412と、基部413の所定の他の一面から延設されている固定411部と、平板部414と、から構成されている。
基部413は、素子搭載部材410に実装される圧電素子420を、蓋体430と共に気密封止するための空間を形成するためのものである。また、基部413は、鉄、コバルト、ニッケル、銅のいずれかを含んだ合金、または、ステンレスが用いられ、例えば、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金が用いられる。る。基部413は、平板状となっており、例えば、略直方体形状となっており、一方の主面を平面視すると、短辺部が半円形状となっている。
脚部412は、素子搭載部材410に実装される圧電素子420に電圧を印加するためのものであり、基部413と絶縁した状態で、基部413の所定の一面から延設されている。このとき、脚部412は、例えば、一対となっており、基部413の所定の一面であって長辺に平行となるように並んで配置されている。脚部412は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金のいずれか一つ、またはいずれか一つを含んだ合金が用いられ、例えば、鉄、ニッケル、コバルトからなる合金が用いられる。
脚部412は、図9に示したようなスペーサー460に設けられている端子用パッド461と導電部材470によって電気的に接続されている。また、脚部412は、折り曲げられて、第一脚部412aおよび第二脚部412bから構成されている。第一脚部412aは、一端が基部413と絶縁した状態で基部413の所定の一面に接続され、他端が第二脚部412bの一端と接続された状態となっている。このとき第一脚部412aは、後述する平板部414に形成されている脚部用貫通穴(図示せず)内に収容された状態となっている。第二脚部412bは、一端が第一脚部412aに接続され、他端がスペーサー460の上面に設けられている端子用パッド461と導電部材470によって電気的に接続されている。つまり、第二脚部412bは、素子搭載部材410の外部端子に相当しており、素子搭載部材410の平板部414の下面とスペーサー460の上面との間に挟まれるように位置している。平板部414に形成されている脚部用貫通穴を利用し脚部414を一回折り曲げ、基部413の下面とスペーサー460の上面と間に平板部414を有した状態で、基部414の平板部414側を向く面から延設されている脚部412とスペーサー460の上面に設けられている端子用パッド461とを電気的に接続している場合について説明しているが、基部413の下面とスペーサー460の上面と間に平板部414を有した状態で、基部413の平板部414側を向く面から延設されている脚部412とスペーサー460の上面に設けられている端子用パッド461とを電気的に接続することができれば、脚部412を平板部414の面に沿って複数回折り曲げてもよい。
固定部411は、素子搭載部材410に圧電素子420を実装するためのものであり、基部413と絶縁した状態で、基部413の所定の他の一面、例えば、基部413の所定の一面と反対側を向く基部413の面から延設され折り曲げられた状態となっている。このとき、固定部411は、例えば、一対となっており、基部413の所定の他の一面であって長辺と平行となるように並んで配置されている。固定部411は、鉄、コバルト、ニッケル、銅、銀、金のいずれか一つ、または、いずれか一つを含む合金が用いられ、例えば、鉄、コバルト、ニッケルからなる合金が用いられており、脚部412と一体的に形成されている。基部413と反対側の固定部411の端部には、導電性接着剤440によって、圧電素子420が接着、固着されて、圧電素子420が基部413と接触しない状態で保持されている。このとき、導電性接着剤440によって、固定部411と圧電素子420の引出電極とが電気的に接続された状態となっている。
ここで、脚部412が延設されている基部413の所定の一面を基部413の下面とし、基部411の所定の一面と反対側を向く基部413の面を基部413の上面とする。従って、固定部411は、基部413の上面から延設されていることとなる。また、基部411の上面および基部411の下面を基部413の主面とする。また、図面に合わせて、基部411の下面を素子搭載部材410の下面とし、基413部の上面を素子搭載部材410の上面とする。
素子搭載部材410には、特に図示していないが、基部413の上面から基部413の下面にかけて貫通している微細な孔(図示せず)が形成されている。この孔には、一体となっている脚部412および固定部411が挿入された後、絶縁性接合部材(図示せず)が挿入される。このようにすることで、基部413と脚部412とが絶縁した状態で基部413から脚部412を延設させることができ、基部413と固定部411とが絶縁した状態で基部413から固定部411を延設させることが可能となっている。
平板部414は、例えば、略矩形形状の平板状となっており、上面から下面にかけて脚部用貫通穴(図示せず)が形成されている。また、平板部414は、例えば、樹脂からなる絶縁材料が用いられている。平板部414に形成されている脚部用貫通穴には、平板部414の上面側から脚部412が挿入されており、この脚部用貫通穴の内部に収容されている脚部412の一部が、第一脚部412aに相当する。ここで、平板部414に脚部用貫通穴が形成されている場合について説明しているが、基部413の下面とスペーサー460の上面との間に平板部414を載置した状態で基部413の所定の一面から延設されている脚部412と、平板部414の下面であってスペーサー460の上面に設けられている端子用パッド461と、を対向する位置に設けることができれば、例えば、平板部414に脚部用貫通穴を形成せず、脚部412を平板部414の面に沿って複数回折り曲げてもよい。
ここで、基部413と向かい合う平板部414の面を平板部414の上面とし、この平板部414の上面と反対側を向く平板部414の面を平板部414の下面とする。また、平板部414の上面および平板部414の下面を主面とし、平板部414の上面および平板部414の下面と接している平板部414の面を平板部414の側面とする。
蓋体430は、封止基部431と、封止枠部432とから構成されている。封止基部431は、平板状に形成されており、例えば、略直方体形状となっており、平面視して短辺側が半円形状となっている。このとき、封止基部431の主面、具体的には、基部431側を向く封止基部431の面は、基部413の主面と同形状となっている。封止枠部432は、平板状の枠形状となっており、封止基部431の基部413側を向く面の縁部に沿って設けられ、蓋体430の基部413側を向く面に圧電素子420を収容するための空間を形成している。封止枠部432は、基部413と冷間圧接接合により接合されており、封止枠部432と封止基部431とで形成される凹部内に圧電素子420が気密封止されている。
第四実施形態に係る圧電デバイスは、基部413、脚部412、固定部411および平板部414からなり、素子搭載部材410を有しており、基部413の下面から延設されている固定部411に、導電性接着剤440によって圧電素子420が接着、固着されていることで、素子搭載部材410の上面に圧電素子420が実装されている。この圧電素子420は、蓋体430と素子搭載部材410の基部413とが接合されることで基部413と蓋体430とで形成される空間内に気密封止される。また、第四実施形態に係る圧電デバイスは、基部413の下面とスペーサー460の上面との間に平板部414が載置されており、平板部414に形成されている脚部用貫通穴に脚部412が挿入され、脚部412とスペーサー460の上面に設けられている端子用パッド461とが向かい合う位置に設けられている。また、第四実施形態に係る圧電デバイスは、脚部412と端子用パッド461とが導電部材470によって電気的に接合されており、これにより、圧電素子420の励振電極がスペーサー460の下面に形成されている実装端子462と電気的に接続される状態となる。また、第四実施形態に係る圧電デバイスは、絶縁部材を有しており、この絶縁部材がスペーサー460の貫通穴463の内部に充填されると共に、素子搭載部材410の平板部414の下面とスペーサー460の上面との間、スペーサー460の中心側を向く導電部材470の面、および、スペーサー460の外縁側を向く導電部材470の面、に設けられている。
第四実施形態では、上述した構成にすることで、第三実施形態と同様に、外部端子に相当する脚部412とスペーサー460の端子用パッド461との導通不良を抑えることができる。また、第四実施形態では、基部413とスペーサー460との間に平板部414を載置しているので、端子用パッド461と脚部412とを電気的に接続している導電部材470が基部413に接触し、導電部材470と基部413とが電気的に接続されることを低減させることができる。従って、第四実施形態では、基部413に導電部材470が接触することで、圧電デバイスの信号が不安定となることを低減させることができる。
なお、第三実施形態および第四実施形態において、絶縁部材が設けられている場合について説明しているが、絶縁部材を設けていなくともよい。