JP2015195313A - 電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カーボン層を有する電解コンデンサにおいて、ESRおよび漏れ電流を低減する。【解決手段】陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層に対向する陰極層と、を備え、前記陰極層が、固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層とを含み、前記カーボン層が、グラフェン片を含むグラフェン層を含む、電解コンデンサ。【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサおよびその製造方法に関し、詳細には、等価直列抵抗(ESR)が小さく、かつ、漏れ電流が少ない電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化および軽量化に伴って、小型かつ大容量の高周波用コンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている固体電解コンデンサの開発が進められている。固体電解コンデンサは、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属により形成された陽極と、陽極の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の表面に形成された固体電解質層とを具備する。
さらに、固体電解質層の表面を覆うように、陰極層が形成される。陰極層は、通常、固体電解質層の表面に形成されたグラファイトまたはカーボンブラック(以下、導電性炭素粒子と称す)を含むカーボン層と、カーボン層の表面に形成された銀ペースト層とを有している(特許文献1および2)。
特開2006−147900号公報 特開平8−78293号公報
しかしながら、カーボン層にグラファイトやカーボンブラックを用いた従来の固体電解コンデンサでは、ESRの低減効果が十分ではなく、さらに、漏れ電流が増大することも指摘されている。
本発明の目的は、カーボン層を有する電解コンデンサにおいて、ESRおよび漏れ電流を低減することにある。
すなわち、本発明の一局面は、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層に対向する陰極層と、を備え、前記陰極層が、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層とを含み、前記カーボン層が、グラフェン片を含むグラフェン層を含む、電解コンデンサに関する。
本発明の他の一局面は、陽極体上に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層に、カーボン層を形成する工程と、前記カーボン層上に金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層を形成する工程と、を含み、前記カーボン層を形成する工程が、前記固体電解質層に、グラフェン片が分散した分散液を付与し、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うグラフェン層を形成する工程を含む、電解コンデンサの製造方法に関する。
本発明によれば、カーボン層を有する陰極層を具備する電解コンデンサにおいて、ESRおよび漏れ電流を低減することができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの断面模式図である。 図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。 グラフェン片を形成する炭素シートを模式的に示す平面図である。
本発明の電解コンデンサは、陽極体と、前記陽極体上に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、前記固体電解質層に対向する陰極層と、を備え、前記陰極層が、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層とを含み、前記カーボン層が、グラフェン片を含むグラフェン層を含む。これにより、ESRおよび漏れ電流を低減することができる。
前記グラフェン層の厚さは、1〜10nmであることが好ましい。ESRの低減効果がより向上するためである。
前記グラフェン片を形成するsp2結合炭素原子からなる炭素シート(グラフェンの基本構造であり、炭素六角網面とも言われる。)の層数は、1〜15層であり、前記グラフェン片の前記炭素シートの面方向における最大径は、0.1〜100μmであることが好ましい。ESRおよび漏れ電流の低減効果がより向上するためである。
前記固体電解質層は、導電性高分子を含むことが好ましい。ESRの低減効果がより向上するためである。
また、本発明の電解コンデンサの製造方法は、陽極体上に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する工程と、前記固体電解質層に、カーボン層を形成する工程と、前記カーボン層上に金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層を形成する工程と、を含み、前記カーボン層を形成する工程が、前記固体電解質層に、グラフェン片が分散した分散液を付与し、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うグラフェン層を形成する工程を含む。これにより、ESRおよび漏れ電流を低減することができる。
≪実施形態1≫
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサについて、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電解コンデンサ20の断面模式図である。
<電解コンデンサ>
電解コンデンサ20は、ほぼ直方体の外形を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する樹脂外装体11と、樹脂外装体11の外部にそれぞれ露出する陽極端子7および陰極端子9と、を備えている。電解コンデンサ20は、コンデンサ素子10と同じく、ほぼ直方体の外形を有する。
コンデンサ素子10は、ほぼ直方体の陽極体1と、第一端部2aが陽極体1に埋設され、第二端部2bが陽極体1から引き出された陽極リード2と、陽極体1の表面を覆う誘電体層3と、誘電体層3上の少なくとも一部を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4上の少なくとも一部を覆うカーボン層5aと、金属ペースト層5bとを有している。なお、図1および図2は、陽極体1として多孔質体を用いた場合を示している。また、図1は、陽極体1の外周部側に形成された誘電体層3、導電性高分子層4、カーボン層5aおよび金属ペースト層5bを模式的に示すものであり、陽極体1の内部の詳細については、省略している。
陽極リード2の第二端部2bは、陽極端子7の第一端部7aと、溶接等により電気的に接続されている。一方、カーボン層5aおよび金属ペースト層5bを含む陰極層5は、陰極端子9の第一端部9aと、導電性接着材8(例えば、熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子7の第二端部7bおよび陰極端子9の第二端部9bは、それぞれ樹脂外装体11の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、電解コンデンサ20を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続等に用いられる。
本実施形態に使用されるコンデンサ素子について、図1および図2を参照しながら詳細に説明する。
<陽極体>
本実施形態においては、陽極体1は弁作用金属の粒子の多孔質体である。陽極リード2は、例えば導電性を有するワイヤから構成されている。陽極体1は、例えば、陽極リード2の第一端部2aを弁作用金属または弁作用金属を含む合金の粒子に埋め込み、その状態で金属粒子を直方体に成形し、成形体を焼結させることにより作製される。すなわち、陽極体1は、弁作用金属または弁作用金属を含む合金の粒子の結合体(焼結体)である。これにより、陽極体1の外周面から、陽極リード2の第二端部2bが植立するように引き出される。
また、陽極体1は、弁作用金属または弁作用金属を含む合金の箔により形成されていてもよい。箔は、その表面積を大きくするためにエッチング処理などにより粗面化されている。
陽極体1および陽極リード2を構成する導電性材料には、同種または異種の材料が用いられる。導電性材料としては、弁作用金属であるチタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)などが用いられる。これらの金属の酸化物は、誘電率が高いため、陽極体1の構成材料として適している。なお、導電性材料は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素などとを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素などの典型元素とを含む化合物を用いてもよい。なお、本実施形態において、弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、弁作用金属を50原子%以上含むことが好ましい。また、陽極体1および陽極リード2は、互いに異なる導電性材料により構成してもよい。
<誘電体層>
誘電体層3は、陽極体1を構成する導電性材料の表面を酸化することにより、酸化被膜として形成することができる。したがって、誘電体層3は、陽極体1を構成する多孔質体または箔の表面(孔またはエッチングピットの内壁面を含む)に沿って形成されている。誘電体層3の厚さは、例えば、10nm〜200nmである。
<固体電解質層>
本実施形態において、固体電解質層4は、誘電体層3上の少なくとも一部を覆うように形成されている。固体電解質としては、例えば、二酸化マンガン、導電性高分子、TCNQ錯塩体などが挙げられる。なかでも、導電性高分子は、導電性が高く、ESRをより低減できる点で、好ましい。固体電解質層4の厚さは、例えば1μm〜50μmである。
導電性高分子を含む固体電解質層4は、例えば、原料モノマーを誘電体層3上で化学重合および/または電解重合することにより、形成することができる。あるいは、導電性高分子が溶解した溶液、または、導電性高分子が分散した分散液を誘電体層3に塗布することにより、形成することができる。溶媒または分散媒としては、水などを使用することができる。
導電性高分子としては、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリピリジン、これらの高分子の誘導体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。これらのうちでは、導電性に優れる点で、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどが好ましい。
なお、本明細書では、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどは、それぞれ、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどを基本骨格とする高分子を意味する。したがって、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリンなどには、それぞれの誘導体も含まれ得る。例えば、ポリチオフェンには、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
導電性高分子を形成するための重合液、導電性高分子の溶液または分散液には、導電性高分子の導電性を向上させるために、様々なドーパントを添加してもよい。ドーパントは、特に限定されないが、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−メチル−5−イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、4−ニトロトルエン−2−スルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸、n−オクチルスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、o−ニトロベンゼンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ハイドロオキシベンゼンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸、および、これらの誘導体などが挙げられる。誘導体としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などの金属塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩、ピペリジウム塩、ピロリジウム塩、ピロリニウム塩などが挙げられる。
導電性高分子の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば10,000を超えることが好ましい。また、導電性高分子の重量平均分子量は、1,000,000以下であることが好ましい。このような導電性高分子は、均質な固体電解質層を形成しやすい。
導電性高分子が、粒子または粉末の状態で分散媒に分散している場合、その粒子または粉末の平均粒径D50は、例えば0.01μm〜0.5μmであることが好ましい。ここで、平均粒径D50は、レーザー回折式の粒度分布測定装置により求められる体積粒度分布におけるメディアン径である(以下、同じ)。
固体電解質層4は、誘電体層3の表面を処理した後、形成してもよい。例えば、誘電体層3の表面をシランカップリング剤により処理した後、固体電解質層4を形成することができる。シランカップリング剤としては、ESRの低減や高容量化に有利であることから、エポキシ基を有するシランカップリング剤、アクリル基を有するシランカップリング剤などが好ましい。
<陰極層>
陰極層5は、カーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された金属ペースト層5bと、を有している。カーボン層5aは、固体電解質層4上の少なくとも一部を覆うように形成されている。
カーボン層5aは、グラフェン片を含むグラフェン層5a1を含んでいる。すなわち、グラフェン層5a1は、固体電解質層4上の少なくとも一部を覆っている。グラフェン片は、図3に示すような、sp2結合炭素原子からなる炭素シート30、または、その積層体により形成されており、薄くて平らな形状を有している。なお、図2には、カーボン層5aが、グラフェン層5a1のみにより形成されている場合を示す。
従来、カーボン層に使用されているグラファイトやカーボンブラックといった炭素材料も、炭素シートを基本構造として形成されている。例えば、グラファイトは、20層を超える、特には100層を超える炭素シートが、ファンデアワールス力により積層している炭素材料である。言い換えれば、炭素シートが20層を超えて積層している炭素材料は、グラファイトであり、グラフェンとは区別される。なお、グラフェンとグラファイトとは、ラマン分光スペクトルが異なっている。グラフェンは、1,600cm-1付近にsp2結合に起因する非常にシャープなピークを有している。また、2,700cm-1付近にもsp3結合に起因するピークがみられ、この両者のピーク強度比(Isp2/Isp3)が、炭素シートの積層数に相関するといわれている。
また、炭素シートの積層数により、電気的特性、熱的特性および機械的特性が大きく変化することが知られている。炭素シートの積層数が少ない方が、電子移動度が高くなり、熱伝導度および機械的強度が向上する。
グラフェン片は、炭素シート1層で形成されていてもよいし、2層以上、20層以下の炭素シートの積層体で形成されていてもよい。なかでも、グラフェン片は、電子移動度が特に高い点で、1〜15層の炭素シートの積層体であることが好ましい。なお、グラフェン片を構成する炭素シートの層数は、グラフェン片10個当たりの平均値である。炭素シートの層数は、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)またはラマン分光分析などにより同定することが可能である。また、酸化膜付シリコン基板上にグラフェン片を載置し、光学顕微鏡観察することによっても、同定が可能である。この方法では、グラフェン片の層数により、シリコン基板のコントラストが異なることを利用して、炭素シートの層数を同定する。
また、グラフェン片は、その名前の通り、薄くて平らな形状を有しており、粒子とは区別される。グラフェン片の、炭素シートの面方向における最大径は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜10μmであることがより好ましい。グラフェン片の厚さは、1nm〜5nmであることが好ましく、1nm〜3nmであることがより好ましい。グラフェン片の厚さおよび最大径は、グラフェン片10個当たりの平均値である。
なお、グラフェン片の厚さおよび最大径は、例えば、陰極層を含むコンデンサ素子を切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察して、測定することができる。また、陰極層を含むコンデンサ素子を水等の溶媒に浸漬して、溶媒中にグラフェン片を分散させ、グラフェン片の厚さおよび最大径を測定することもできる。
グラフェン片を含むグラフェン層5a1の厚さは、1nm〜10nmであることが好ましく、1nm〜5nmであることがより好ましい。得られる電解コンデンサのESRを低減する効果が、より向上するためである。なお、グラフェン層5a1の厚さは、SEMにより、任意の10か所の厚さを測定して、これらの平均値として求めることができる。
ここで、カーボン層は、一般的に、導電性炭素粒子を含むペーストを固体電解質層に塗布したり、導電性炭素粒子を分散させた懸濁液に、固体電解質層を有するコンデンサ素子を浸漬したりすることにより形成される。このとき、小さな粒状である導電性炭素粒子は、固体電解質層の内部に入り込みやすく、さらには誘電体層にまで達する場合がある。導電性炭素粒子が誘電体層に達し、誘電体層の薄い部分に付着すると、漏れ電流が増大しやすい。
一方、グラフェン片は、薄くて平らな薄膜状の形状を有している。例えば、厚さと、面方向における最大径との比(厚さ/最大径)が、1/100,000〜1/1,000であり、特には1/10,000〜1/3,300である。このように、薄くて平らなグラフェン片は、グラフェン層5a1から脱落しにくい。また、グラフェン片がグラフェン層5a1から脱落し、固体電解質層4内に混入した場合であっても、固体電解質層4内を移動し難く、誘電体層3にまで到達することは困難である。そのため、誘電体層が破壊されることに起因する漏れ電流を低減することができる。なお、グラフェン片の面方向の形状は、特に限定されず、不定形であってもよい。
グラフェン層5a1は、少なくともグラフェン片を含んでいればよく、さらに他の導電性炭素材料(例えば、グラファイト)を含むことを妨げない。この場合も、薄膜状のグラフェン片により、グラファイトがグラフェン層から脱落することが抑制される。
従来、カーボン層に用いられているグラファイトの一般的な粒径は、数μm〜数十μmであり、カーボン層の厚さはそれ以上になる。一方、炭素シートの厚さは1nm未満であるため、炭素シートからなるグラフェン片を含むグラフェン層5a1を、ナノメートルオーダーにすることができる。さらに、グラフェン片は、それ自体の電気抵抗値が非常に低いため、得られる電解コンデンサのESRを、極めて低くすることができる。なお、カーボンブラックは、一般的にグラファイトよりも粒径が小さいが、粒径の小さなカーボンブラックを用いる場合には、前記のとおり、漏れ電流を増大させることが懸念される。
金属ペースト層5bは、金属粒子と樹脂とを含む組成物により構成される。金属粒子としては、銀粒子、銅粒子、アルミニウム粒子などが挙げられる。なかでも、電気抵抗値が低い点で、銀粒子が好ましい。樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂などが挙げられる。なお、金属ペースト層5bの組成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
金属粒子は、固体電解質層に対する濡れ性が低いため、固体電解質層4に直接、金属ペースト層5bを設けるとESRが大きくなる。そこで、従来、固体電解質層4と金属ペースト層5bとの間にカーボン層5aを設けることにより、固体電解質層4と金属ペースト層5bとの間の界面抵抗を小さくし、得られる電解コンデンサのESRを低減することが行われている。カーボン層5aとして、より電気抵抗値の低いグラフェン片を含むグラフェン層5a1を設けることにより、得られる電解コンデンサのESRをさらに低減することができる。
さらに、固体電解質層4とグラフェン層5a1との間、あるいは、グラフェン層5a1と金属ペースト層5bとの間に、導電性炭素粒子を含む他のカーボン層(図示せず)を設けてもよい。この場合、他のカーボン層は、固体電解質層4あるいはグラフェン層5a1の少なくとも一部を覆うように形成されていればよい。
このようにして、陽極体1および陽極リード2により、コンデンサ素子10の陽極部材が構成され、固体電解質層4および陰極層(グラフェン層5a1を含むカーボン層5aおよび金属ペースト層5b)により、コンデンサ素子10の陰極部材が構成され、誘電体層3により、コンデンサ素子10の誘電体部材が構成される。
次に、本実施形態に係る電解コンデンサの製造方法の一例を、図1および図2を参照しながら説明する。
≪電解コンデンサの製造方法≫
(i)陽極体上に誘電体層を形成する工程
陽極体1上に誘電体層3を形成する。具体的には、電解水溶液(例えば、リン酸水溶液)が満たされた化成槽に、陽極体1を浸漬し、陽極リード2の第二端部2bを化成槽の陽極体に接続して、陽極酸化を行うことにより、陽極体1の表面に弁作用金属の酸化被膜からなる誘電体層3を形成することができる。電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
(ii)固体電解質層の形成工程
本実施形態では、導電性高分子を含む固体電解質層4の形成工程を説明する。
例えば、誘電体層3が形成されたコンデンサ素子の前駆体に、モノマーやオリゴマーを含浸させ、その後、化学重合や電解重合によりモノマーやオリゴマーを重合させる方法により、誘電体層3上の少なくとも一部に導電性高分子を含む固体電解質層4を形成することができる。
さらに、重ねて第2の導電性高分子層を含む固体電解質層(第2固体電解質層)を形成してもよい。第2固体電解質層は、例えば、電解重合により電気化学的に形成することができる。電解重合は薄膜状の高分子を合成するのに適している。あるいは、第1の固体電解質層に、導電性高分子の溶液または分散液を塗布し、乾燥させることにより、第1の固体電解質層上の少なくとも一部に、第2固体電解質層を形成することができる。
(iii)陰極層の形成工程
固体電解質層4上の少なくとも一部に、グラフェン片が分散した分散液を付与し、乾燥させることにより、カーボン層5aとしてグラフェン片を含むグラフェン層5a1を形成することができる。
グラフェン片を分散させる分散媒は、特に限定されず、水でもよく、水と非水溶媒との混合物でもよく、非水溶媒でもよい。非水溶媒とは、水および水を含む液体を除く液体の総称であり、有機溶媒やイオン性液体が含まれる。非水溶媒は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、ホルムアルデヒド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類や、酢酸メチルなどのエステル類、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、メチルエチルケトンなどのケトン類などを用いることができる。分散液中のグラフェン片の濃度は、例えば、0.01〜10mg/mLである。グラフェン片は凝集し易いため、グラフェン片の濃度がこの範囲であれば、炭素シートの積層数が、例えば20層以下となり、グラフェン片の特性を発現しやすい。分散液には、界面活性剤、バインダーなどを混合してもよい。
分散液の付与の方法としては、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法などが挙げられる。なかでも、グラフェン片を含む均一な層を形成し易い点で、スプレーコート法が好ましい。
ついで、グラフェン層5a1上に金属ペーストを塗布し、グラフェン層5a1と金属ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成する。陰極層5の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。例えば、固体電解質層4とグラフェン層5a1との間、あるいは、グラフェン層5a1と銀ペースト層5bとの間に、導電性炭素粒子を含む他のカーボン層を設けてもよい。
以上、チップ型の電解コンデンサの製造方法について説明したが、この方法は、そのまま、または適宜、変更を加えることにより、他の電解コンデンサ、例えば、陽極体として、表面が凹凸を有するように粗面化された金属箔を用いる巻回型の電解コンデンサや、金属板を陽極部材として用いる積層型の電解コンデンサにも適用することができる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
下記の要領で電解コンデンサを作製し、その特性を評価した。
<工程1:陽極体1の形成>
弁作用金属として、一次粒子径が約0.5μm、二次粒子径が約100μmであるタンタル金属粒子を用いた。タンタルからなる陽極リード2の第一端部2aがタンタル金属粒子に埋め込まれるように、タンタル金属粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、タンタルの多孔質焼結体からなる陽極体1を得た。陽極体1は、長さ4.4mm、幅3.3mm、厚さ0.9mmの直方体である。陽極体1の一側面(3.3mm×0.9mm)からは、陽極リード2の第二端部2bが突出した状態で固定されている。
<工程2:誘電体層3の形成>
電解水溶液であるリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極体1と陽極リード2の一部を浸漬し、陽極リード2の第二端部2bを化成槽の陽極体に接続した。そして、陽極酸化を行うことにより、図1に示すように、陽極体1の表面(孔の内壁面を含む多孔質体の表面)および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の均一な誘電体層3を形成した。
<工程3:固体電解質層4の形成>
ピロールモノマーを含む溶液に、誘電体層3が形成されたコンデンサ素子の前駆体を浸漬し、化学重合することにより、誘電体層3を覆う固体電解質層4を形成した。
<工程4:陰極層5の形成>
固体電解質層4の表面に、水にグラフェン片を分散させた分散液(グラフェン片の濃度:5mg/mL)を塗布し、乾燥することにより、カーボン層5aとして、厚さ1nm〜10nmのグラフェン層5a1を形成した。グラフェン層5a1に含まれるグラフェン片は、炭素シートの面方向の最大径が1μm〜10μmの範囲に含まれており、厚さは1nm〜3nmであった。また、ラマン分光分析によるピーク強度比から、グラフェン片に含まれる炭素シートの層数は、1〜5層であるとみられた。
次に、グラフェン層5a1の表面に、銀ペーストを塗布することにより、銀ペースト層5bを形成した。こうして、グラフェン片を含むグラフェン層5a1(カーボン層5a)と銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成し、コンデンサ素子を得た。
<工程5:電解コンデンサの作製>
得られたコンデンサ素子を封止して、図1に示す電解コンデンサを完成させた。
《比較例1》
グラフェン片に替えて、グラファイト(平均粒径D50:2〜10μm)を含むペーストによりカーボン層5aを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを得た。
《比較例2》
グラフェン片に替えて、カーボンブラック(平均一次粒子径:0.5〜1μm)を含むペーストによりカーボン層5aを形成したこと以外は、実施例1と同様にして、電解コンデンサを得た。
[評価]
《ESR》
LCRメータを用いて、120Hzで測定した。
《漏れ電流》
陽極体と陰極との間に6.3Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流(LC40)を測定した。
表1に、評価結果を示す。なお、実施例1および比較例2については、比較例1の数値を1.000とした場合の値を示している。
Figure 2015195313
カーボン層としてグラフェン層を形成した実施例1は、比較例1および2よりも、ESRおよび漏れ電流が減少していた。
1:陽極体、2:陽極リード、3:誘電体層、4:固体電解質層、5:陰極層、5a:カーボン層、5a1:グラフェン層、5b:銀ペースト層、7:陽極端子、8:導電性接着材、9:陰極端子、10:コンデンサ素子、11:樹脂外装体、20:電解コンデンサ、30:炭素シート

Claims (6)

  1. 陽極体と、
    前記陽極体上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、
    前記固体電解質層に対向する陰極層と、を備え、
    前記陰極層が、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うカーボン層と、金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層とを含み、
    前記カーボン層が、グラフェン片を含むグラフェン層を含む、電解コンデンサ。
  2. 前記グラフェン層の厚さが、1〜10nmである、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記グラフェン片を形成するsp2結合炭素原子からなる炭素シートの層数が、1〜15層であり、
    前記グラフェン片の前記炭素シートの面方向における最大径が、0.1〜100μmである、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記固体電解質層が、導電性高分子を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解コンデンサ。
  5. 陽極体上に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層を形成する工程と、
    前記固体電解質層に、カーボン層を形成する工程と、
    前記カーボン層上に金属粒子と樹脂とを含む金属ペースト層を形成する工程と、を含み、
    前記カーボン層を形成する工程が、前記固体電解質層に、グラフェン片が分散した分散液を付与し、前記固体電解質層の少なくとも一部を覆うグラフェン層を形成する工程を含む、電解コンデンサの製造方法。
  6. 前記固体電解質層が、導電性高分子を含む、請求項5に記載の電解コンデンサの製造方法。
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