JP2015195287A - 放熱シートおよび放熱シート用塗布液、並びにパワーデバイス装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】放熱シートは、板状粒子が配向せず複雑に積層した構造であるカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子と、板状窒化ホウ素粒子の二種類の窒化ホウ素粒子を含み、板状窒化ホウ素粒子の長軸方向の長さが3μm以上であり、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0より小さく、窒化ホウ素二次粒子/(窒化ホウ素二次粒子+板状窒化ホウ素粒子)で表される窒化ホウ素二次粒子と板状窒化ホウ素粒子との含有割合が、0.1以上0.98以下である。
【選択図】図1
Description
パワー半導体デバイスは、一般的には、複数の半導体デバイスを共通のヒートシンク上に配してパッケージングしたパワー半導体モジュールとして利用される。
しかし、以下の通り、従来において、樹脂を用いた放熱シートでは、セラミックス基板に匹敵するような熱伝導性を有するものは未だに開発されていない。
れた放熱シートを形成し得ると考えられる。前述の特許文献1以外にも、従来から窒化ホウ素粉体を用いる技術が知られており、そのような窒化ホウ素として、例えば、特定の粒径、粒度分布を有する窒化ホウ素粉体が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、これとは別に表面積、粒度、タップ密度等の粒子特性の異なる二種の混合窒化ホウ素を用いる技術(例えば、特許文献3参照)が知られている。
さらに、板状の窒化ホウ素粒子が配向することを妨げるように、球状窒化ホウ素二次粒子と併せて混合することが提案されている(特許文献7、8)。
本発明は、シートの厚さ方向にも高い熱伝導性を有する放熱シートを提供することを課題とする。
[1]カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子と、板状窒化ホウ素粒子とを含む放熱シート。
[2]前記板状窒化ホウ素粒子の長軸方向の長さが3μm以上であることを特徴とする[1]に記載の放熱シート。
[3]前記板状窒化ホウ素粒子は、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0より小さい、[1]または[2]に記載の放熱シート。
[4]窒化ホウ素二次粒子/(窒化ホウ素二次粒子+板状窒化ホウ素粒子)で表される、前記窒化ホウ素二次粒子と前記板状窒化ホウ素粒子との含有割合が、0.1以上0.98以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の放熱シート。
[5]前記窒化ホウ素二次粒子は、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載の放熱シート。[6]前記窒化ホウ素二次粒子は、樹脂を内包する粒子である、[1]〜[5]のいずれかに記載の放熱シート。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の放熱シートが支持体に積層されてなる積層放熱シート。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の放熱シートを含むパワーデバイス装置。
また、廉価な板状窒化ホウ素を併用することにより、放熱シートの製造コストを下げることができる。
本発明の放熱シートは、カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子(以下、単に窒化ホウ素二次粒子ともいう。)と、板状窒化ホウ素粒子の、二種類の窒化ホウ素粒子を含
む。
カードハウス構造とは、例えばセラミックス 43 No.2(2008年 日本セラミックス協会発行)に記載されており、板状粒子が配向せず複雑に積層した構造である。より具体的には、カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子とは、窒化ホウ素一次粒子の集合体であって、一次粒子の平面部と端面部が接触している構造を有する窒化ホウ素二次粒子である(図1(a)(b)参照)。
カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子は、その構造上破壊強度が非常に高く、放熱シート成形時に行われる加圧工程においても圧壊しない。そのため、板状の窒化ホウ素粒子と併せて混合して用いることで、通常放熱シートの長手方向に配向する板状窒化ホウ素粒子を、ランダムな方向に存在させることが可能となった。結果として、放熱シートの長手方向のみならず、厚さ方向に対しても高い熱伝導性を達成できることを本発明者らは見出した。
本発明に用いる窒化ホウ素二次粒子は、カードハウス構造を有する。カードハウス構造は上記説明したとおりであるが、窒化ホウ素二次粒子は、好ましくは窒化ホウ素一次粒子が板状であって、平面部と端面部が接触しているカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子であり、より好ましくは窒化ホウ素一次粒子が多角形状であって、平面部と端面部が接触しているカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子である。
窒化ホウ素二次粒子の凝集形態は走査型電子顕微鏡(SEM)により確認することができる。
窒化ホウ素二次粒子は、XRD測定における100軸と004軸のピーク強度比I(100)/I(004)が、通常3.0以上、好ましくは3.1以上、より好ましくは、3.2以上、特に好ましくは、3.3以上である。通常、上限はないが、10以下である。
この範囲であることにより、窒化ホウ素二次粒子を構成している1次粒子がランダムに配向していることを示し、このような二次粒子は破壊強度が非常に高い。そのため、放熱シートを成形する際のシート内の空隙をなくすための加圧工程の際に加圧しても、窒化ホウ素二次粒子が圧壊することない。それにより、併せて混合している板状窒化ホウ素粒子がランダムに配向することができ、放熱シートの厚さ方向への熱伝導性を高めることができる。
なお、ピーク強度比は粉末X線回折測定により測定された該当するピーク強度の強度比から計算することができる。なお、測定に供する試料は、一次粒子が凝集した窒化ホウ素二次粒子であってもよく、後述する樹脂が内包された窒化ホウ素粒子でもよい。また、成形体(放熱シート)の状態でX線回折測定を行うこともできる。
窒化ホウ素二次粒子の破壊強度は、通常2.5MPa以上、好ましくは3.0MPa以上、より好ましくは3.5MPa以上、更に好ましくは4.0MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは15MPa以下、更に好ましくは10MPa以下である。上記上限より大きいと、粒子の強度が強すぎるため、成形体とした際に表面平滑性が失われ、熱伝導性が低下する傾向があり、上記下限未満だと、成形体を作製する際の圧力で粒子が変形しやすくなり、熱伝導性が向上しない傾向がある。
なお、破壊強度は、粒子1粒をJIS R 1639−5に従って圧縮試験し、下記式により算出できる。通常、粒子は5点以上測定し、その平均値を採用する。
式:Cs=2.48P/πd2
Cs:破壊強度(MPa)
P:破壊試験力(N)
d:粒子径(mm)
ただし、粒子が変形したりして破壊強度が算出できず、10%強度で表す場合があるが、この場合は破壊強度という概念を適用しない。
窒化ホウ素二次粒子の比表面積は通常1m2/g以上であるが、好ましくは3m2/g以上50m2/g以下、より好ましくは5m2/g以上40m2/g以下である。この下限以下だと毛管現象が働きにくく、この上限以上だと一次粒子が小さすぎ、後述する樹脂内包窒化ホウ素粒子とすることが難しい。
なお、比表面積は、BET1点法(吸着ガス:窒素)で測定することができる。
窒化ホウ素二次粒子の粉末X線回折(XRD)による(002)面ピークから求めた平均結晶子径は、通常375Å以上であり、好ましくは380Å以上、より好ましくは390Å以上、更に好ましくは400Å以上であり、通常5000Å以下、好ましくは2000Å以下、更に好ましくは1000Å以下である。上記上限より大きいと、二次粒子を構成する一次粒子が成長しすぎるため、二次粒子内の間隙が多くなり、毛管現象が生じにくくなるため、後述する樹脂内包窒化ホウ素粒子とすることが難しい。上記下限未満だと、二次粒子を構成する一次粒子内の粒界が増えるため、フォノン散乱が結晶粒界で発生し、低熱伝導になる傾向がある。
なお、ここで、「平均結晶子径」とは、粉末X線回折測定によって得られる(002)面ピークからScherrer式にて求められる結晶子径をさす。なお、測定に供する試料は、一次粒子が凝集した窒化ホウ素二次粒子であってもよく、後述する樹脂が内包された窒化ホウ素粒子でもよい。
本発明に用いる窒化ホウ素二次粒子の別の表現としては、窒化ホウ素一次粒子の長軸が通常0.5〜10μmに成長し、二次粒子の中心側から表面側へ向けて放射状に成長したウニ様の外観を形成しているともできる。窒化ホウ素二次粒子を構成する窒化ホウ素一次粒子の長軸は、好ましくは、0.6〜5μmであり、より好ましくは、0.8〜3μmであり、更に好ましくは、1.0〜3.0μmのh−BNが凝集した粒子である。
尚、長軸とは走査型電子顕微鏡(SEM)測定により得られた粒子1粒を拡大し、1粒の粒子を構成している一次粒子について、画像上で観察できる一次粒子の最大長を平均した値である。
窒化ホウ素二次粒子は、毛管現象による窒化ホウ素二次粒子中への樹脂の導入を容易にする観点から、細孔直径が10nm以上であることが好ましく、30nm以上がより好ましく、50nm以上が更に好ましい。一方細孔直径が10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。細孔直径は、水銀圧入法により測定することができる。
<細孔容積>
窒化ホウ素二次粒子は、好ましくは後述する樹脂が内包された窒化ホウ素二次粒子である。樹脂が内包された窒化ホウ素二次粒子は、毛管現象によって樹脂を空隙に導入しているので、樹脂が内包される前の窒化ホウ素二次粒子は、適度な細孔容積が必要となる。
窒化ホウ素二次粒子の全細孔容積は、通常0.05ml/g以上、好ましくは0.1ml/g以上、より好ましくは0.15ml/g以上、更に好ましくは0.2ml/g以上である。一方通常、5 ml/g以下、好ましくは3 ml/g以下、より好ましくは2 ml/g以下、さらに好ましくは1.5 ml/g以下である。
全細孔容積が小さいものは、窒化ホウ素二次粒子内が密になっているために、熱伝導を阻害する境界面を少なくすることが可能となるものの、窒化ホウ素二次粒子の空隙に樹脂
が入りにくくなり、十分に窒化ホウ素二次粒子の空隙を樹脂で埋めることができなくなる。一方、全細孔容積が大きくなりすぎた場合も、通常は空隙の間隔が大きくなりすぎ、毛管現象が起こりにくくなり、樹脂が窒化ホウ素二次粒子内部に取り込まれにくくなる。
なお、窒化ホウ素二次粒子の全細孔容積は、水銀圧入法で測定することができる。
窒化ホウ素二次粒子は、体積基準の最大粒子径Dmax(本明細書では、単に「最大粒子径」と記載する場合がある。)が、通常2μm以上であり、好ましくは3μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、特に好ましくは10μm以上である。また、通常300μm以下であり、好ましくは200μm以下であり、より好ましくは100μm以下であり、特に好ましくは80μm以下である。
子を分散させた試料に対して、堀場製作所社製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920にて粒度分布を測定し、得られた粒度分布から窒化ホウ素二次粒子の最大粒子径及び平均粒径を求めることができる。
後述する、樹脂内包窒化ホウ素二次粒子の平均粒径及び最大粒子径についても同様に、これを適当な溶剤に分散させ、上記と同様の装置で測定することが可能である。
窒化ホウ素二次粒子を製造する方法としては、制限はないが、特にカードハウス構造とするためには、原料となる窒化ホウ素(以下、これを粉砕したものとともに原料BN粉末と記することがある。)を粉砕工程で粉砕した後、造粒工程で凝集させることにより造粒し、更に加熱処理する加熱工程を経ることが好ましい。より具体的には、原料BN粉末を一旦媒体中に分散させて原料BN粉末のスラリー(以下、「BNスラリー」と記することがある。)とした後、粉砕処理を施し、その後得られたスラリーを用いて球形の粒子に造粒し、造粒した凝集BN造粒粒子の結晶化を行うために加熱処理を施すことが好ましい。
窒化ホウ素二次粒子(以下、凝集BN粒子ともいう。)を製造する場合には、以下に説明する窒化ホウ素の粒子を原料として用いることが可能である。ただし、本発明の凝集BN粒子の原料としては以下のものに特に限定されない。
より具体的には、市販のh−BN、市販のαおよびβ−BN、ホウ素化合物とアンモニアの還元窒化法により作製されたBN、ホウ素化合物とメラミンなどの含窒素化合物から合成されたBN、ホウ水素ナトリウムと塩化アンモニウムから作製されるBNなど何れも制限なく使用できるが、特にh−BNが好ましく用いられる。
凝集BN粒子が、一次粒子を表面で放射状に、かつ、BN一次粒子の平面部と端面部が接触するように配置することにより、毛管現象により、樹脂が窒化ホウ素二次粒子内の中心部まで導入されやすくなるという利点もある。
原料BN粉末の全酸素含有量を上記範囲に調整する方法としては、BN加熱時の加熱温
度を2500℃以下の低温で行う方法などが挙げられる。
なお、原料BN粉末の酸素含有量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法によりHORIBA製酸素・窒素分析計を用いて測定することができる。
また、原料BN粉末の比表面積は通常20m2/g以上であるが、好ましくは20m2/g以上500m2/g以下、より好ましくは50m2/g以上200m2/g以下である。
全細孔容積が1.0cm3/g以下であることにより、原料BN粉末が密になっているために凝集BN粒子を構成する一次粒子として用いた場合に、球形度の高い造粒が可能となる。また、比表面積が20m2/g以上であることにより、造粒による球形化の際に用いるBNスラリー中の分散粒子径を小さくすることができるため好ましい。
BNスラリーの調製に用いる媒体としては特に制限はなく、水及び/又は各種の有機溶剤を用いることができるが、噴霧乾燥の容易さ、装置の簡素化などの観点から、水(純水)を用いることが好ましい。
水の使用量は、多過ぎると噴霧乾燥時の負荷が増大し、少な過ぎると均一分散が困難であることから、原料BN粉末に対して通常0.5〜20質量倍、特に0.5〜10質量倍とすることが好ましい。
BNスラリーには、後述の粉砕処理時のスラリーの粘度上昇を抑制すると共に、BN粒子の分散安定性(凝集抑制)の観点から、種々の界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、界面活性剤は、以下の粉砕処理の前に添加してもよく、粉砕処理後に添加してもよい。
BNスラリーは、原料BN粉末を効果的に凝集粒子に造粒するために、バインダーを含むことが好ましい。バインダーは、元来、粒子同士が接着性のない原料BN粉末を強固に結びつけ、造粒粒子の形状を安定化するために作用する。
これらのバインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
BNスラリーは、そのまま噴霧乾燥による造粒工程に供してもよいが、造粒に先立ち、スラリー中の原料BN粉末を粉砕処理して微細化することが好ましく、微細化することにより、凝集化を円滑に行うことができるようになる。
即ち、原料BN粉末の粒子径にもよるが、原料BN粉末をそのまま媒体中に分散させた場合、BN粉末は平板状粒子であるために、凝集化の工程で造粒されない粒子が多くなる傾向にあるが、微細化で、効率的な凝集化を行える。
BNスラリーから凝集BN粒子である造粒粒子を得るには、特に制限はないがスプレードライ法が好適に用いられる。スプレードライ法では、原料となるスラリーの濃度、装置に導入する単位時間当たりの送液量と送液したスラリーを噴霧する際の圧空圧力及び圧空量により、所望の大きさの造粒粒子を製造することが可能であって、球状の造粒粒子を得ることも可能である。球状化に際して使用するスプレードライ装置に制限はないが、より大きな球状BN造粒粒子とするためには、回転式ディスクによるものが最適である。この
ような装置としては、大川原化工機社製スプレードライヤーFシリーズ、藤崎電機社製スプレードライヤー「MDL−050M」などが挙げられる。
上記の造粒により得られた窒化ホウ素の造粒粒子は、更に非酸化性ガス雰囲気下に加熱処理されるのが好ましい。
ここで、非酸化性ガス雰囲気とは、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、アンモニアガス、水素ガス、メタンガス、プロパンガス、一酸化炭素ガスなどの雰囲気のことである。ここで用いる雰囲気ガスの種類により凝集BN粒子の結晶化速度が異なるものとなり、例えばアルゴンガスでは、結晶化の速度が遅くなり、加熱処理時間が長時間に及ぶ。結晶化を短時間で行うためには特に窒素ガス、もしくは窒素ガスと他のガスを併用した混合ガスが好適に用いられる。この加熱処理の条件を適切に選択することも、凝集BN粒子の比表面積や全細孔容積を特定の範囲としながら、表面に窒化ホウ素一次粒子を放射状に配置させる上で、重要である。
射状に成長させることができる。
加熱処理を施す焼成炉は、マッフル炉、管状炉、雰囲気炉などのバッチ式炉やロータリーキルン、スクリューコンベヤ炉、トンネル炉、ベルト炉、プッシャー炉、竪型連続炉などの連続炉が挙げられ、目的に応じて使い分けられる。
凝集BN粒子の粉砕の方法は特に限定されず、ジルコニアビーズ等の粉砕用メディアと共に攪拌混合する方法や、ジェット噴射等の従来公知の粉砕方法を適用できる。
上記加熱処理後の凝集BN粒子は、平均粒子径を大きくし、しかも組成物に配合したときの粘度上昇を抑制するために、好ましくは分級処理する。この分級は、通常、造粒粒子の加熱処理後に行われるが、加熱処理前の造粒粒子について行い、その後加熱処理に供してもよい。
乾式の分級には、篩による分級のほか、遠心力と流体抗力の差によって分級する風力分級などがあるが、分級精度の観点からは、風力分級が好ましく、旋回気流式分級機、強制渦遠心式分級機、半自由渦遠心式分級機などの分級機を用いて行うことができる。これらの中で、サブミクロンからシングルミクロン領域の小さな微粒子を分級するには旋回気流式分級機を、それ以上の比較的大きな粒子を分級するには半自由渦遠心式分級機など、分級する粒子の粒子径に応じて適宜使い分ければよい。
上述のようにして、原料BN粉末を造粒し、加熱処理をすることによって、その形状を保持したままh−BNの結晶を成長させることで、上述した物性の別の態様として、表面に通常0.05μm以上5μm以下の窒化ホウ素一次粒子(以下、「BN一次粒子」と記載する場合がある。)を配置することが可能となり、カードハウス構造を有する凝集粒子とすることができる。好ましくは板状のBN一次粒子の平面部と端面部が接触しているカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子とすることができ、より好ましくは多角形状の窒化ホウ素一次粒子の平面部と端面部が接触しているカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子とすることができる。。更に好ましくは、凝集BN粒子が球状であるという上記物性の別の形態として表すことができる。尚、「球状」とは、アスペクト比(長径と短径の比)が1以上2以下、好ましくは1以上1.5以下であることをさす。凝集BN粒子は、後述の原料BN粉末を凝集させて造粒された粒子であり、この造粒粒子が「球状」であることが好ましく、「球状であることが好ましい」とは、一次粒子の形状が球状であることが好ましいというものではない。凝集BN粒子のアスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された画像から200個以上の粒子を任意に選択し、それぞれの長径と短径の比を求めて平均値を算出することにより決定する。
該BN一次粒子の粒子径に相当する長さを指す。このBN一次粒子の結晶の大きさは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2万倍程度の倍率で観察して、表面に観察される任意の100個の粒子の最大粒子サイズを計測して、平均値を求めることで測定することができる。
本発明では、このような特異的な結晶成長によりカードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子が得られることで、熱伝導性の等方性、マトリクス樹脂との混練性、耐崩壊性に優れるという効果を奏する。
本発明の放熱シートは、板状窒化ホウ素粒子を含有する。板状窒化ホウ素粒子は、特段限定されないが、XRD測定における100軸と004軸のピーク強度比I(100)/I(004)が、通常3.0以下、好ましくは、2.95以下、特に好ましくは2.9以下、より好ましくは2.85以下である。通常下限値は限定されないが、1.0以上である。
板状窒化ホウ素粒子の長軸方向のサイズ平均長さは、通常3μm以上300μm以下、好ましくは6μm以上200μm以下、より好ましくは7μm以上150μm以下、特に好ましくは8μm以上100μm以下である。I(100)/I(004)及び長軸方向のサイズがこの範囲にあることにより、上述の窒化ホウ素二次粒子との混合により、シート厚さ方向への熱伝導性を高めることができ、好ましい。この範囲を外れると、空隙が多くなり、熱伝導性が高められない恐れがあり、耐電圧性も上げられない恐れがある。
上記範囲を満たす板状窒化ホウ素としては市販品も存在し、市販品としては、デンカ社製 デンカボロンナイトライド SGP、MGP、GP、HGP、SP−2 などやモメンティブ社製 PT−110、PT−120、PT−140、PT−180、PT−160、PT−180などがある。I(100)/I(004)については、市販品の板状窒化ホウ素であればその範囲を充足するものが市販品として存在し、適宜選択すればよい。一方、長軸方向のサイズは、大きい場合には分級等によりサイズダウンすることで、上記範囲とすることができる。
なお、板状窒化ホウ素粒子の長軸方向のサイズ平均長さは、電子顕微鏡で20粒子以上観察した平均値である。
上記範囲とすることで、窒化ホウ素二次粒子と板状窒化ホウ素粒子とが適当な比率で放熱シート中に含有され、板状窒化ホウ素粒子がランダムな方向に配置されることで、高い熱伝導率を達成できる。
放熱シートにおいて通常、熱伝導性の担い手は、上述のフィラーである窒化ホウ素二次粒子および板状窒化ホウ素粒子であるが、パワー半導体デバイス用の放熱シートは、10W/mK以上の高い熱伝導性を必要とされるため、放熱シートに用いられるマトリクス樹脂の熱伝導性も高いことが望ましい。
フィラーとの複合化で高い熱伝導性を得るために、マトリクス樹脂の熱伝導率は0.2W/mK以上であることが好ましく、特に0.22W/mK以上であることが好ましい。
マトリクス樹脂の硬化膜について、以下の装置を用いて、熱拡散率、比重、及び比熱を測定し、この3つの測定値を乗じることで熱伝導率を求める。
(1)熱拡散率:アイフェイズ社製 「アイフェイズ・モバイル 1u」
(2)比重:メトラー・トレド社製 「天秤 XS−204」
(固体比重測定キット使用)
(3)比熱:セイコーインスツル社製 「DSC320/6200」
エポキシ樹脂としては、ナフタレン骨格、フルオレン骨格、ビフェニル骨格、アントラセン骨格、ピレン骨格、キサンテン骨格、アダマンタン骨格及びジシクロペンタジエン骨格からなる群から選択された少なくとも1つの骨格を有するフェノキシ樹脂が好ましい。中でも、耐熱性がより一層高められることから、フルオレン骨格及び/又はビフェニル骨格を有するフェノキシ樹脂が特に好ましく、とりわけビルフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格及びビフェニル骨格のうちの少なくとも1つ以上の骨格を有するフェノキシ樹脂であることが好ましい。
また、放熱シート中の窒化ホウ素(窒化ホウ素二次粒子および板状窒化ホウ素粒子)の含有量は、通常30wt%以上、好ましくは40wt%以上、より好ましくは50wt%以上であり、通常99wt%以下、好ましくは98wt%以下、より好ましくは95wt%以下である。
また、放熱シート中の窒化ホウ素二次粒子の含有量は、通常3wt%以上、好ましくは10wt%以上、より好ましくは15wt%以上であり、通常97wt%以下、好ましく
は95wt%以下、より好ましくは90wt%以下である。
また、放熱シート中の板状窒化ホウ素粒子の含有量は、通常3wt%以上、好ましくは10wt%以上、より好ましくは15wt%以上であり、通常97wt%以下、好ましくは95wt%以下、より好ましくは90wt%以下である。
放熱シート中に上記範囲でマトリクス樹脂、及び窒化ホウ素を含有させることで、高い熱伝導性を発揮することができる。
放熱シートに含有される窒化ホウ素二次粒子は、樹脂を内包する窒化ホウ素二次粒子であってもよい。
窒化ホウ素二次粒子は、カードハウス構造を有することから適度な細孔容積を有し、毛管現象により、窒化ホウ素二次粒子内に樹脂を導入することができる。
樹脂内包窒化ホウ素二次粒子を用いることで、窒化ホウ素二次粒子内への溶剤の吸収や、窒化ホウ素二次粒子内の空隙をなくすことができ、高い熱伝導性、高い耐電圧性を達成することができる。
また、内包樹脂には、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の添加量としては、内包樹脂全量に対して通常0.001〜5質量%であり、0.005〜3質量%が好ましい。界面活性剤の添加量が上記下限未満では、内包樹脂が窒化ホウ素二次粒子内に十分に浸透できない場合があり、また上記上限を超えると窒化ホウ素と内包樹脂との密着性が劣り、好ましくない。
また、後述する硬化剤、その他の添加剤を、内包樹脂に含有させてもよい。含有量等は、後述する説明を参照できる。
また、内包樹脂と、マトリクス樹脂とを別の樹脂とすることで、異なる機能を放熱シートに付与することができ、好ましい。
脂を導入する場合は、溶剤を用いることが好ましい。用いる溶剤は特に制限はないが、窒化ホウ素のベーサル面は、疎水的な表面を有しているために、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤の具体例としては、WO2013/081061に例示されたものを用いることができる。
有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せ及び比率で併用してもよい。
樹脂内包窒化ホウ素二次粒子は、必要に応じて窒化ホウ素以外の無機物質を含有してもよく、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、および酸化マグネシウムの中から選ばれる1種以上の無機フィラーを含有してもよい。
これらの無機フィラーの含有量は、通常50wt%以下、好ましくは40wt%以下、より好ましくは30wt%以下である。また、通常0.5wt%以上である。
<硬化剤>
放熱シートに含まれるマトリクス樹脂は、必要に応じて硬化剤を含有していてもよい。
本発明で用いる硬化剤とは、エポキシ樹脂のエポキシ基等などの、マトリクス樹脂の架橋基間の架橋反応に寄与する物質を示す。
エポキシ樹脂においては、必要に応じて、エポキシ樹脂用の硬化剤、硬化促進剤が共に用いられる。
硬化剤の具体例としては、WO2013/081061に例示されたものを用いることができる。
これらの硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
硬化剤の中でも、イミダゾール又はその誘導体やジシアンジアミン化合物が好適に用いられる。
硬化剤の含有量は、マトリクス樹脂100質量部に対して、通常0.1〜60質量部であり、0.5〜40質量部が好ましい。
また、ジシアンジアミン化合物の場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いることが好ましく、通常0.5〜6質量部がより好ましい。
放熱シートには、機能性の更なる向上を目的として、本発明の効果を損なわない範囲において、各種の添加剤(その他の添加剤)を含んでいてもよい。その他の添加剤としては、例えば、液晶性エポキシ樹脂等の、前記のマトリクス樹脂に機能性を付与した機能性樹脂、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、繊維状窒化ホウ素等の窒化物粒子、アルミナ、繊維状アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の絶縁性金属酸化物、ダイヤモンド、フラーレン等の絶縁性炭素成分、樹脂硬化剤、樹脂硬化促進剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
また、放熱シートには、成形時の流動性改良及び基材との密着性向上の観点より、熱可塑性のオリゴマー類を含有させることもできる。
これらは、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いてもよい。
添加剤の具体例については、WO2013/081061に例示されたものを用いることができ、添加量についてもWO2013/081061に記載の範囲とすることができる。
本発明の別の実施態様は、放熱シート用塗布液であり、カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子と、板状窒化ホウ素粒子の、二種類の窒化ホウ素粒子を含む。また、放熱シート用塗布液は、マトリクス樹脂、溶剤およびその他の添加剤を含有してもよい。これらの構成材料を分散・混合することを目的として、ペイントシェーカーやビーズミル、プラネタリミキサ、攪拌型分散機、自公転攪拌混合機、三本ロール、ニーダー、単軸又は二軸混練機等の一般的な混練装置などを用いて混合することが好ましい。
放熱シート用塗布液の固形分濃度がこの上限以上の場合、スラリーが増粘しすぎて、レベリング性が悪くなり、均一な塗布膜を形成することができない。一方、この下限以下の場合、放熱シートに所望のドライ膜厚を得るためには、ウェット膜厚を厚くすることが必要となる。ウェット膜厚を厚くすると、それを乾燥するための製造コストが高くなるだけでなく、タクトタイムも長くなってしまう。さらに、乾燥におけるムラの発生が起こる恐れがある。
放熱シート用塗布液の各配合成分の混合順序も、反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、組成物及び組成物塗布液の構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め混合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
上記放熱シート用塗布液を用いて、各種の成形体を製造することができる。
この成形体を成形する方法は、樹脂組成物の成形に一般に用いられる方法を用いることができる。
例えば、放熱シート用塗布液を所望の形状で、例えば、型へ充てんした状態で硬化させることによって成形することができる。このような成形体の製造法としては、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、及び圧縮成形法を用いることができる。
また、放熱シート用塗布液がエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂組成物を含む場合、成形体の成形、すなわち硬化は、それぞれの組成に応じた硬化温度条件で行うことができる。
以下、本発明の放熱シートを製造する方法を具体的に説明する。
まず基板の表面に、放熱シート用塗布液で塗膜を形成する。
即ち、放熱シート用塗布液を用いて、ディップ法、スピンコート法、スプレーコート法、ブレード法、その他の任意の方法で塗膜を形成する。組成物塗布液の塗布には、スピンコーター、スリットコーター、ダイコーター、ブレードコーターなどの塗布装置を用いることにより、基板上に所定の膜厚の塗膜を均一に形成することが可能であり、好ましい。
なお、基板としては、後述の厚さの銅箔が一般的に用いられるが、何ら銅基板に限定されるものではない。
放熱シート用塗布液を塗布することにより形成された塗膜を、溶剤や低分子成分の除去のために、通常10〜150℃、好ましくは25〜100℃、より好ましくは、30〜90℃、特に好ましくは、40〜80℃の任意の温度で乾燥することができる。ただし、溶剤の沸点を越えないことが望ましい。この温度範囲の上限以上の場合、溶剤除去時に、溶剤の対流のために、塗布膜表面が荒れてしまうことがある。加えて、放熱シート塗布液が熱硬化性樹脂を含む場合、塗布液が硬化してしまい、その後のプレスプロセスで樹脂が流れなくなり、ボイドを除去することができない恐れがある。なお、この温度範囲の下限以下であると、効果的に溶剤を取り除くことができず、溶剤除去に時間がかかってしまう恐れがある。乾燥時間は、通常5分〜10日間、好ましくは、10分〜3日間、より好まし
くは20分〜1日間、特に好ましくは、30分から4時間の加熱処理を行って乾燥膜を形成する。
乾燥時間が短すぎると、十分に溶剤が除去できず、残留溶剤が放熱シート内のボイドになってしまう恐れがある。乾燥時間が長すぎると、生産性があげられず、製造プロセスコストが高くなる恐れがある。
乾燥工程の後には、加圧工程を行ってもよい。シート化工程は、窒化ホウ素同士を接合させヒートパスを形成する目的、シート内のボイドや空隙をなくす目的、基材との密着をさせる目的、窒化ホウ素粒子に含まれる内包樹脂を押し出しシート内の結合を行う目的から加圧することが望ましい。加圧工程は、銅基板上の乾燥膜に通常10kgf/cm2〜2000kgf/cm2、好ましくは50kgf/cm2〜1000kgf/cm2、より好ましくは80kgf/cm2〜800kgf/cm2、特に好ましくは100kgf/cm2〜500kgf/cm2の加重をかけて実施することが望ましい。この加圧時の加重を上記上限以下とすることにより、窒化ホウ素二次粒子が破壊することなく、シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。また、加重を上記下限以上とすることにより、凝集BN粒子間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成しやすくなるため、高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。
加圧工程では、銅基板に塗布、乾燥した組成物膜を通常25〜300℃、好ましくは40〜250℃、より好ましくは50〜200℃、特に好ましくは60〜160℃で加熱することが望ましい。この温度範囲でシート化工程を行うことにより、加熱は乾燥膜中の樹脂の溶融粘度を低下させることができ、シート内のボイドや空隙をなくすことができる。この温度範囲以上で行うと、有機成分が分解する恐れや残留溶剤が蒸気となり、ボイドを形成する恐れがある。
加圧工程は、通常30秒〜4時間、好ましくは1分〜2時間、より好ましくは3分〜1時間、特に好ましくは5分〜45分である。この上限時間以上では、放熱シートの製造プロセス時間が長すぎ、生産コストが高くなる恐れがある。この下限時間以下では、シート内の空隙やボイドを十分に取り除けないため、熱伝達性能や耐電圧特性に影響を与える恐れがある。
特に加圧工程と硬化工程を経るシート化工程においては、上記の範囲の加重をかけて、後述の圧縮率の範囲となるように加圧、硬化を行うことが好ましい。
XRD測定でカードハウス構造を有さない窒化ホウ素二次粒子を用いて、放熱シートを製造した場合、窒化ホウ素二次粒子は、加圧工程により圧壊され、シート面内方向に低熱伝導面が配向してしまい、また、板状窒化ホウ素粒子がシートの長さ方向に配向することから、シート厚み方向では低熱伝導性しか得られない。これに対して、破壊強度が高い、特定の窒化ホウ素二次粒子と特定の板状窒化ホウ素粒子を放熱シートに含有させることで、加圧工程において窒化ホウ素二次粒子の構造が圧壊されにくく、板状窒化ホウ素粒子がシート中にランダムに存在し、シートの厚さ方向であっても熱伝導性を有するシートとすることができる。
ト厚み)/(硬化前シート厚み))が0.2以上0.8以下の圧縮率の時に、厚み方向に10W/mK以上50W/mK以下の高熱伝導性が発現する。この圧縮率は、より好ましくは0.3以上0.7以下、更に好ましくは0.4以上0.7以下、特に好ましくは0.5以上0.7以下である。圧縮率を上記上限以下とすることにより、窒化ホウ素二次粒子を破壊することなく、シート中に空隙などがない高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。また、圧縮率を上記下限以上とすることにより、窒化ホウ素二次粒子間の接触が良好となり、熱伝導パスを形成しやすくなるため、高い熱伝導性を有するシートを得ることが出来る。
また、このような圧縮率で硬化させて得られる本発明の放熱シートの厚み方向の熱伝導率は、より好ましくは15〜40W/mK、特に好ましくは20〜40W/mKである。
また、上記放熱シートは、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0以上であることが好ましい。上記範囲であることで、加圧工程においても窒化ホウ素二次粒子が圧壊せず、板状窒化ホウ素粒子がランダムに配向されており、放熱シートの厚み方向において高い熱伝導率を達成できる。
本発明の別の実施態様は、放熱シートを支持体に積層させてなる積層放熱シートである。支持体は特段限定されないが、熱伝導性を高くするために、特に銅箔を用いることが好まれ、例えば、上述の放熱シートの製造方法により製造され、銅箔が積層一体化されたものが好ましい。
また、銅箔の厚さは通常、十分な放熱性を確保するという理由から、30〜200μm、特に30〜150μmであることが好ましい。
上記放熱シート又は積層放熱シートは、放熱基板としてパワーデバイス装置に実装することができる。上記放熱シート及び積層放熱シートを備えたパワーデバイス装置は、高い熱伝導性による放熱効果で、高い信頼性のもとに、高出力、高密度化が可能である。パワー半導体デバイス装置において、放熱シート又は積層放熱シート以外のアルミ配線、封止材、パッケージ材、ヒートシンク、サーマルペースト、はんだというような部材は従来公知の部材を適宜採用できる。
<窒化ホウ素二次粒子の製造例1>
以下に記載する方法で、BN−A凝集粒子を調製した。
BN−A凝集粒子を作製するためには、原料として、粉末X線回折測定によりえられる(002)面ピークの半値幅が2θ=0.67°、酸素濃度が7.5質量%であるh−BN(以下原料h−BN粉末と記載)を用いた。
・BNスラリーからの凝集粒子の作製
[スラリーA]
以下の配合で粘度が810mPa・sのスラリーAを調製した。
スラリーA配合
原料h−BN粉末:10000g
純水:0g
バインダー(多木化学(株)製「タキセラムM160L」、固形分濃度21質量%):1
1496g
界面活性剤(花王(株)製界面活性剤「アンモニウムラウリルサルフェート」:固形分濃度14質量%):250g
[スラリーの調製]
原料h−BN粉末を樹脂製のボトルに所定量計量し、次いで純水、バインダーの順に所定量添加した。さらに、界面活性剤を所定量添加した後、ジルコニア性のセラミックボールを添加して、ポットミル回転台で撹拌した。撹拌は、1〜5時間所望の粘度になるまで実施した。
[造粒]
BNスラリーからの造粒は、大河原化工機株式会社製FOC−20を用いて造粒した。
ディスク回転数20000〜23000rpm、乾燥温度80℃で実施した。
上記BN造粒粒子を、2000℃で5時間、窒素ガス流通下に加熱処理した。
加熱処理時の昇温および降温は、以下のように行った。
室温で真空引きをした後、窒素ガスを導入して復圧し、そのまま窒素ガスを導入しながら2000℃まで83℃/時で温度を上げ、2000℃到達後、5時間保持した。その後、室温まで冷却し、BN−A凝集粒子を得た。
[分級]
更に、上記加熱処理後のBN凝集粒子を、乳鉢および乳棒を用いて軽粉砕した後、目開き90μmの篩を用いて分級した。分級後、BN−A凝集粒子の平均結晶子径、D50、XRD測定による(100)面と(004)面のピーク強度比を測定した。測定結果は表1に示す。また、BN−AのSEM写真を図2に示す。図2より、製造したBN二次粒子は、カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子であることがわかる。
上記製造したBN二次粒子と板状窒化ホウ素とエポキシ樹脂とを、水に添加して混合し、放熱シート用スラリーを調製する。調製後のスラリーを銅板上にシート状に塗布し、乾燥させて水を除去することで、放熱用シートを得る。
また、カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子は、加圧工程においても圧壊しないことで、放熱シートに含有させた際に高熱伝導性、高耐電圧性を有する放熱シートとすることが可能である。当該放熱シートは、パワーデバイスに適用した際に、高い信頼性を付与することができる。
Claims (8)
- カードハウス構造を有する窒化ホウ素二次粒子と、板状窒化ホウ素粒子とを含む放熱シート。
- 前記板状窒化ホウ素粒子の長軸方向の長さが3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の放熱シート。
- 前記板状窒化ホウ素粒子は、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0より小さい、請求項1または2に記載の放熱シート。
- 窒化ホウ素二次粒子/(窒化ホウ素二次粒子+板状窒化ホウ素粒子)で表される、前記窒化ホウ素二次粒子と前記板状窒化ホウ素粒子との含有割合が、0.1以上0.98以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の放熱シート。
- 前記窒化ホウ素二次粒子は、XRD測定で100軸と004軸の強度比I(100)/I(004)が3.0以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の放熱シート。
- 前記窒化ホウ素二次粒子は、樹脂を内包する粒子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の放熱シート。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の放熱シートが支持体に積層されてなる積層放熱シート。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の放熱シートを含むパワーデバイス装置。
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