JP2015194042A - 角形鋼管 - Google Patents
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Description
日本鉄鋼連盟のBCR295は冷間ロール成形角形鋼管についての規格(「BCR」は日本鉄鋼連盟の登録商標)であるが、JIS G 3466に準拠する角形鋼管としても冷間のロール成形角形鋼管が広く使用されている。
なお以下では、上記規格における縦辺の長さA及び横辺の長さBを辺長A及び辺長B(又は縦辺長A及び横辺長B)と呼び、角部の寸法Sをコーナー長Cと呼ぶ。なお、上記の各規格では各コーナー部における縦方向のコーナー長と横方向のコーナー長は等しい(両者のコーナー長を変えることを考慮していない)。
なお、STKR400は、コーナー部が部材外側に凸の円弧状をなす断面形状の角形鋼管となっている。
(a1)部材の塑性変形能力を表す指標としての幅厚比(A/t、B/t)は、正方形断面の場合に8.3〜43.5、矩形断面の場合に8.3〜78.1となっている。
幅厚比の上限が、正方形断面の場合に43.5と比較的小さい数値範囲となっているのは、主な用途が柱用(耐震性が必要)となっているためであり、部材断面を構成する板要素の幅と厚さの比が大きいと、圧縮力を受ける部分に局部座屈を生じ、部材断面の耐力が低下して、必要な塑性変形能力が得られなくなることに起因している。
一方、矩形断面の場合は、用途が柱用(耐震性が必要)から間柱(耐震性が不要)、一般構造用まで多岐にわたることから、幅厚比の上限が78.1と、正方形断面の場合よりかなり大きな数値範囲になっている。
(a2)コーナー長と辺長との比(C/A、C/B)は、正方形断面の場合に0.046〜0.240、矩形断面の場合に0.026〜0.240となっている。
なお、BCR295は、コーナー部が部材外側に凸の円弧状をなす断面形状の角形鋼管となっている。
(b1)部材の塑性変形能力を表す指標としての幅厚比(A/t、B/t)は、正方形断面の場合に15.6〜55.6、矩形断面の場合に11.1〜66.7となっている。
幅厚比の上限が、正方形断面の場合に55.6、矩形断面の場合に66.7と、STKR400に比べ小さい数値となっているのは、主な用途が柱用(耐震性が必要)となっているためであり、部材断面を構成する板要素の幅と厚さの比が大きいと、圧縮力を受ける部分に局部座屈を生じ、部材断面の耐力が低下して、必要な塑性変形能力が得られなくなることに起因している。なお、この場合の局部座屈は、主な用途として柱を想定していることから、管軸方向の圧縮力による局部座屈である。
(b2)コーナー長と辺長との比は、正方形断面の場合に0.045〜0.160、矩形断面の場合に0.043〜0.225となっている。
この特許文献2では、請求項1、2および表2〜4に、辺長が等しい同一コラム区分内の板厚が異なる角形鋼管において、コーナー部の形状を同一にするか、板厚に応じて複数の単位にグルーピングし、そのグループごとにコーナー部の形状を統一することを特徴とした角形鋼管が開示されている。特許文献2では、例えば薄肉の上柱の角型鋼管と肉厚の下柱の角型鋼管とを接合する際、従来の角形鋼管ではコーナー部の外形が肉厚によって異なるので、コーナー部で段差が生じて施工がし難いうえ、接合後の景観性もよくないなどの不都合を解消しようとするものであり、コーナー部の外形を板厚によらず共通にしようとするものである。すなわち、サイズ(「辺長A×B」)が同じで板厚が種々である角形鋼管群では、コーナー長Cを板厚tによらず一定にするというものである。
表3に特許文献2中に記載の「表2」〜「表4」を転記し、さらに表3中に幅厚比、コーナー長と辺長との比を示す。なお、特許文献2に記載の「表2」〜「表4」は、コーナー部の部材外側に円弧状の断面形状を有する冷間ロール成形角形鋼管となっている。特許文献2に記載の「表1」はBCR295の標準寸法と同一であり、省略した。
(a3)部材の塑性変形能力を表す指標としての幅厚比は、15.6〜50.0となっている。
BCR295の場合とほぼ同様の数値範囲となっているのは、特許文献2に記載の「表2」〜「表4」がBCR295を基にしているためである。
(b3) 特許文献2中の「表3」では、6種類の板厚のうちの最も厚い板厚16.0mmのコーナー長(16.0mm×2.5=40mm)に合わせているので、また、「表4」では、6種類の板厚のうちの最も厚い板厚19.0mmのコーナー長(19.0mm×2.5=47.5(≒40mm))に合わせているので、いずれもコーナー長Cと辺長との比が0.16と大きくなっている。このように最大板厚に合わせた特殊の場合として、コーナー長Cと辺長との比が0.16と大きくなっている。
b>740×t/√(F)
で設定している。このような薄板の箱形断面薄板部材では、圧縮あるいは曲げ応力下において局部座屈が発生しやすいことから、これを克服する箱形断面薄板部材の座屈補剛構造を見出した、という発明であり、隣り合う辺相互を接続するコーナー部(隅部補剛部)の幅寸法Dを、板厚の2倍を超え、外形幅寸法bの1/3以下の寸法とするというものであるが、明らかに、コーナー部の形状が四隅とも同じ、すなわち上下左右に対称である場合についての考察で得られたものである。
従来、建築構造物の柱・梁材等に使用される前記各規格STKR400、BCR295に対応する角形鋼管について、断面効率という観点から断面形状の各部寸法を見直すことはあまりされていないが、前記各規格STKR400、BCR295に対応する角形鋼管について、断面効率の改善という観点から、所望の耐力や断面性能を極力少ない材料で実現可能な断面形状が望まれる。
例えば、幅厚比(A/t、B/t)は、部材の塑性変形能力を表す指標であり、幅厚比が小さいほど局部座屈は発生しにくく(局部座屈応力度が高い)、塑性変形能力が高くなる。しかし、幅厚比が小さいことは、辺長が同じであれば板厚tが厚いことであるから、断面積が増し(単位重量が増し)、単位断面積当たり(単位重量当たり)の部材強度が低下、すなわち断面効率が低下し経済性が低下する方向にある。
コーナー長と辺長との比(C/A、C/B)は、局部座屈や断面性能に関係する。例えば、柱材として使用する場合には、コーナー長と辺長との比が1/3までの範囲内で大きいことは、辺長が同じであれば平板部の長さが短いことであるから、局部座屈は発生しにくく(局部座屈応力度が高い)、塑性変形能力が高くなる。また、辺長が同じであれば断面積は小さくなる。
なお、柱材として使用する場合には、四方の各辺(各面)についての局部座屈応力度が問題になるが、梁等の曲げ力を受ける部材として使用する場合は、曲げ力を受ける場合に圧縮側となる面(圧縮面部)の局部座屈応力度が問題となる。
この場合、基本的な考え方としては、曲げ力を受ける場合の圧縮側を上としその反対側を下として述べると、角形管の四隅のコーナー部の形状を曲げ力作用方向上下に非対称とすることで、曲げ力を受ける場合に圧縮側となる面(圧縮面部)の局部座屈応力度を極力高くしつつ曲げ力作用方向の断面係数及び断面二次モーメントも同等ないし極力高くすることが可能かどうかを、辺長A、Bと、板厚tと、上下のコーナー部のコーナー長C(CA1、CB2、CB1、CB2)とをパラメータとして有限要素法の固有値解析の手法を用いて考察した。
コーナー部に直線状または弧状の断面形状を有する左右対称断面の、曲げ力を受ける部材に用いる角形鋼管であって、
その断面の縦辺長A又は横辺長Bと板厚tとの比である幅厚比(A/t又はB/t)をxとした場合に式(1)を満たし、
かつ、コーナー部において接続する辺と平行な方向のコーナー長のうち、
横方向のコーナー長の一方をCB1、対向するもう一方をCB2、
前記CB1に隣り合う縦方向のコーナー長をCA1、前記CB2に隣り合う縦方向のコー ナー長をCA2とした場合に、
式(2)を満たし、
かつ、式(31)又は(32)のいずれか一方を満たすという条件(3)を満たし、
かつ、式(41)又は(42)のいずれか一方を満たすという条件(4)を満たすことを特徴とする角形鋼管。
15.6≦x≦200 ・・・・・・(1)
CB1>CB2 ・・・・・・・・・・(2)
条件(3)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・(31)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・(32)
条件(4)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CB1/B)≦0.300・・・(41)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CB1/B)≦0.300 ・・・(42)
なお、上記の式(31)、(32)の右側の不等式は、「CA1≦(A−2t)」である。
CB1=CB2 ・・・・・・・・(21)
CA1>CA2 ・・・・・・・・(22)
0.085≦(CA1/A)<0.500・・・・・・(5)
CA1+CA2=A・・・・・・・・・・・・・・・(6)
0.085≦(CA1/A)≦0.500 ・・・・・・(5)
(2t/A)×0.5≦(CA2/A)≦(2t/A)×1.5・・・(7)
(2t/A)×0.5≦(CB2/B)≦(2t/B)×1.5・・・(8)
なお、上記の式(7)は「2t×0.5≦CA2≦2t×1.5」と簡略でき、さらに「t≦CA2≦3t」と簡略化できる。
また 上記の式(8)は「2t×0.5≦CB2≦2t×1.5」と簡略でき、さらに「t≦CB2≦3t」と簡略化できる。
205≦F≦375・・・・・・・・・・・・・・(9)
15.6≦(A/t)≦1,100/√F・・・(10)
15.6≦(B/t)≦740/√F・・・(11)
幅厚比をこの式(10)、(11)に設定したことについて説明すると、建設省告示第1792号第3二によると、柱及び梁の種別は幅厚比によってFA〜FDの4つの構造ランクに区分される。このうちFCランクに規定された制限値以下の数値であれば、構造耐力上支障のある局部座屈を生じないとされている。FCランクに規定された幅厚比の制限値は、角形鋼管柱で48√(235/F)、H形鋼梁のウェブで71√(235/F)である。本発明の断面は告示には記載されていないが、建築構造上主要な部分に用いる場合、支持条件と作用応力の対応を勘案すると、圧縮を受ける上部フランジについては(B/t)≦48√(235/F)≒740/√F、曲げを受けるウェブについては(A/t)≦71√(235/F)≒1100/√Fの範囲で制限値を設ける事が適切であろう。したがって、上記式(10)、式(11)に設定した。
ここで、「角形鋼管」の「角形」とは、ベースとなる形状である正方形の角形鋼管又は矩形の角形鋼管の各辺の平板部の長さの長短を問わず、隣接する辺の平板部間を繋ぐ部分であるコーナー部が直線状または弧状をなす多角形を指す。平板部の長さの長短を問わないので、コーナー長の長短も問わないし、平板部の長さがゼロの場合を含む。
図3の角形鋼管の断面図において、縦辺の長さ(縦辺長)をA、横辺の長さ(横辺長)をB、板厚をt、
縦辺の上側のコーナー部のコーナー長(コーナー部の長さ)をCA1、
下側のコーナー部のコーナー長をCA2、
横辺の上側のコーナー部のコーナー長をCB1、
下側のコーナー部のコーナー長をCB2、
で示す。
縦辺及び横辺の平板部の長さをそれぞれMA、MB1、MB2で示す。
幅厚比は、縦辺側(A側)がA/t、横辺側(B側)がB/tである。
コーナー長と辺長との比は、縦辺の上側はCA1/A、下側はCA2/A、横辺の上側はCB1/B、下側はCB2/Bである。
すなわち、下記の式(1)を満たし、かつ、式(2)を満たし、 かつ、式(31)又は(32)のいずれか一方を満たすという条件(3)を満たし、かつ、式(41)又は(42)のいずれか一方を満たすという条件(4)を満たすものである。
15.6≦x≦200 ・・・・・・(1)
CB1>CB2 ・・・・・・・・・・(2)
条件(3)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・(31)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・・・・(32)
条件(4)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CB1/B)≦0.300 ・・・(41)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CB1/B)≦0.300 ・・・・・・(42)
図1の(イ)はSTKR400、(ロ)はBCR295についてのグラフである。(ハ)は特許文献2中の「表2」に記載の断面形状についてのグラフである。(ニ)は特許文献2中の「表3」、「表4」に記載の断面形状についてのグラフである。なお、STKR400とSTKR490の断面形状の標準寸法は同じなので、上記STKR400という記載にはSTKR490の場合も含めている。
図1中には、種々の条件についての固有値解析の結果得られた後述の実施例を記載した表4〜表16の数値による座標(x、y)がプロットされている。白抜きのマークは縦辺側(A側)のもの、塗り潰しのマークは横辺側(B側)のもので、いずれも上側コーナー部のものである。なお、図1の右側の凡例を示す欄で、例えば、「実施例A」とあるのは上部の縦辺側(A側)のものであることをし、「実施例A−CB1」とあるのは、実施例Aの上部の横辺側(B側)のものであることを示す。
前記式(31)又は式(41)の左辺の式は図1から得ている。
図1におけるPの座標(15.8、0.170)は後述する実施例C1の縦辺側のデータ(xとy)、Qの座標(31.4、0.085)は実施例I1の縦辺側ののデータ(xとy)である。詳細説明は省略するが、P、Qを通る直線の式は下記の通りとなる。
y=-0.0054x+0.2561 ・・・(31’)
この式(31’)から、式(31)又は式(41)の左辺の式を得ている。
なお、各比較例A0〜M0はいずれもSTKR400規格による形状寸法である。
なお、以下では、縦辺長がAmm、横辺長がBmm、板厚がtmmである角形鋼管を指して、□AxBxtで示す。
コーナー長と辺長との比を大きくすることにより、平板部Mの長さを短くして見かけ上の幅厚比を小さくできることから、コーナー長と辺長との比が1/3(0.333)を超えない範囲でコーナー長を大きくすると基本的には局部座屈応力度が高くなる。
本発明では、梁等の曲げ力を受ける部材として使用することを想定しており、曲げ力を受ける場合に圧縮側となる上面部(上側の横辺)について局部座屈応力度が問題となるので、上辺のコーナー長CB1と辺長Bとの比CB1/Bを0.300以下とした。
そこで、前記式(1)の範囲(幅厚比(A/t、B/t)が15.6〜200)について、前記条件(CB1/B≦0.300)のもとで、コーナー長と辺長との比y(CA1/A、CB1/B、CA2/A、CB2/B)を、基本としては、通常より大きい領域、すなわちJIS G 3466の一般構造用角形鋼管(STKR400、STKR490)や、日本鉄鋼連盟の規格の冷間ロール成形角形鋼管(BCR295)に規定されている数値範囲より大きい領域を目標にして固有値解析で調べて、基本的には、式(2)の「CB1>CB2」、及び、コーナー長と辺長との比yの上限及び下限を示す「式(31)又は式(32)のいずれか一方を満たすという条件(3)」、及び、「式(41)又は式(42)のいずれか一方を満たすという条件(4)」を得た。
但し、式(22)の「CA1>CA2」という条件のもとで、(21)の「CB1=CB2」であってもよいという条件(2’)を得た。
上記のような式、条件を満たす各実施例の角形鋼管の、幅厚比x(A/t、B/t)との関係におけるコーナー長と辺長との比y(CA1/A、CB1/B、CA2/A、CB2/B)は図1、及び補足説明の図である図2A、図2Bに示した通りである。
前記比較例A0〜M0はいずれも、各コーナー部のコーナー長CA1、CA2、CB1、CB2がいずれも板厚tの2倍すなわち2tであって、4箇所とも同一であり、従来のSTKR400のものである。
また、各実施例A〜M、及び比較例A0〜M0はいずれも、設計用降伏応力度(設計基準強度)F=235(N/mm2)の鋼材を使用している。
[比較例A0]
比較例A0は、サイズが□60x60x2.3である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=4.6mm(従来のSTKR400形状に対応しているコーナー部のコーナー長2t)、幅厚比A/t=B/t=26.1、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=CB1/B=CB2/B=0.077となっている。
この比較例A0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たさない)。
比較例A0の断面性能等は、断面積517mm2、断面二次モーメントIA=IB=282,318mm4、断面係数ZA=ZB=9,786mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,621N/mm2と計算される。
実施例A1は、サイズが□72x72x1.8である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが40.0、横側の幅厚比B/tも40.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.350、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が25.2mm、下側のコーナー長CA2も25.2mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が14.4mm、下側のコーナー長CB2が7.2mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
この実施例A1において、
(A-2t)/A =(72−2×1.8)/72=68.4/72=0.95、
であるから、明らかに、式(31)、(32)の右側の不等式「(CA1/A)≦(A-2t)/A」を満たす。
なお、以下の各実施例は、式(31)、(32)の右側の不等式を明らかに満たすので、以下では「CA1/A≦(A−2t)/A」であるか否かの言及を省く。
上記の通り実施例A1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例A1の断面性能等は、断面積447mm2、断面二次モーメントIA=330,739mm4、IB=305,865mm4、断面係数ZA=9,840mm3、ZB=8,714mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,759N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例A1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、上昇した断面二次モーメント及び局部座屈応力度を得つつ、14%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、局部座屈応力度、断面二次モーメントの向上を実現できる。
なお、横側の断面係数ZBは低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例A2は、サイズが□72x72x1.9である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが37.9、横側の幅厚比B/tも37.9である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.300、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が21.6mm、下側のコーナー長CA2が14.4mmである。すなわち、「CA1>CA2」である(式(22)を満たす)。
横側は上側のコーナー長CB1が14.4mm、下側のコーナー長CB2も14.4mmである。すなわち、「CB1=CB2」である(式(21)を満たす)。したがって、条件(2’)を満たす。
上記の通り実施例A2は、式(1)を満たし、条件(2’)(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項2の条件をすべて満たす。
この実施例A2の断面性能等は、断面積465mm2、断面二次モーメントIA=334,373mm4、IB=325,865mm4、断面係数ZA=9,679mm3、ZB=9,297mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,959N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例A2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した断面二次モーメント及び局部座屈応力度を得つつ、10%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、局部座屈応力度、断面二次モーメントの大幅な向上を実現できる。
なお、横側の断面係数ZBは若干減少するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例A3は、サイズが□−69x69x1.8である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが38.3、横側の幅厚比B/tも38.3である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.192、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.192である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が13.8mm、下側のコーナー長CA2は55.2mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が13.8mm、下側のコーナー長CB2が3.5mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例A3は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。実施例A3はまた、式(6)も満たしている。
この実施例A3の断面性能等は、断面積444mm2、断面二次モーメントIA=310,797mm4、IB=292,157mm4、断面係数ZA=9,670mm3、ZB=8,695mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,872N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例A3によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特に縦方向について大きく上昇をした断面二次モーメント、及び大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、14%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、局部座屈応力度の大幅な向上を実現でき、断面二次モーメントも特に縦方向について大きな向上を実現できる。
なお、横側の断面係数ZBは低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例A4は、サイズが□72x72x1.7である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが42.4、横側の幅厚比B/tも42.4である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.300、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bも0.300である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.300)は式(5)を満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が21.6mm、下側のコーナー長CA2が3.4mmである。CA2=3.4mmは式(7)を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が21.6mm、下側のコーナー長CB2は3.4mmである。CB2=3.4mmは式(8)を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例A4は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
前述したように、式(7)、(8)は、それぞれ「t≦CA2≦3t」、「t≦CB2≦3t」と簡略化できるので、式(7)、(8)はCA2、CB2の上限が3t(板厚tの3倍)、下限が0.5t(板厚tの半分)ということである。この実施例では、上限が3×1.7=5.1mm、下限が0.5×1.7=0.85mmである。したがって、この実施例のCA2、CB2=3.4mmは、前記の通り、式(7)、(8)を満たす。
この実施例では、下側のコーナー部の縦側及び横側のコーナー長(CA2、CB2)がいずれも3.4mm(板厚の2倍:2t)と小さいので、このコーナー部は一般的な角形鋼管のコーナー部と同様な直角形状となっており、したがって、この実施例では全体形状が六角形となっている。
なお、以下に述べる実施例B4、C1、C4、D1、H1、H2、I1も、この実施例A4と同様に式(5)を満たしかつ式(7)、(8)を満たして、全体形状が六角形となっている。
この実施例A4の断面性能等は、断面積431mm2、断面二次モーメントIA=311,325mm4、IB=317,244mm4、断面係数ZA=9,901mm3、ZB=9,025mm3、固有値解析による局部座屈応力度3,122N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例A4によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大きく上昇した断面二次モーメント、及び特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、しかも17%という大幅な軽量化が可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、断面二次モーメントの大きな向上、及び局部座屈応力度の特別に大幅な上昇を実現できる。
なお、横側の断面係数ZBは減少するが、用途工夫や設計上の配慮を講じることにより、対応可能な範囲での使用を考えていけばよい。
なお、横側の断面係数ZBは低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
[比較例B0]
比較例B0は、サイズが□150x105x1.2である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=2.4mm、幅厚比A/t=125.0、B/t=87.5、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.016、CB1/B=CB2/B=0.023となっている。
この比較例B0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たさない)。
比較例B0の断面性能等は、断面積602mm2、断面二次モーメントIA=2,016,345mm4、IB=1,175,117mm4、断面係数ZA=17,330mm3、ZB=14,479mm3、固有値解析による局部座屈応力度130N/mm2と計算される。
実施例B1は、サイズが□172.5x121x1.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが172.5、横側の幅厚比B/tが121.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.250、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が43.1mm、下側のコーナー長CA2も43.1mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が24.2mm、下側のコーナー長CB2が12.1mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例B1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例B1の断面性能等は、断面積527mm2、断面二次モーメントIA=2,140,438mm4、IB=1,214,962mm4、断面係数ZA=19,976mm3、ZB=15,680mm3、固有値解析による局部座屈応力度191N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例B1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側及び横側とも上昇した断面二次モーメント、及び特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得、さらに、縦側及び横側とも大きく上昇した断面係数も得つつ、13%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、断面二次モーメント、局部座屈応力度、断面係数のすべてについて向上させることを実現できる。
実施例B2は、サイズが□180x126x1.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが180.0、横側の幅厚比B/tが126.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.250、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が45.0mm、下側のコーナー長CA2が27.0mmである。すなわち、「CA1>CA2」である(式(22)を満たす)。
横側は上側のコーナー長CB1が25.2mm、下側のコーナー長CB2も25.2mmである。すなわち、「CB1=CB2」である(式(21)を満たす)。したがって、条件(2’)を満たす。
上記の通り実施例B2は、式(1)を満たし、条件(2’)(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項2の条件をすべて満たす。
この実施例B2の断面性能等は、断面積541mm2、断面二次モーメントIA=2,334,256mm4、IB=1,359,579mm4、断面係数ZA=19,649mm3、ZB=16,174mm3、固有値解析による局部座屈応力度176N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例B2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した断面二次モーメント及び特に大幅に上昇した局部座屈応力度を得、さらに、縦側及び横側とも大きく上昇した断面係数も得つつ、10%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、断面二次モーメント、局部座屈応力度、断面係数のすべてについて向上させることを実現できる。
実施例B3は、サイズが□180x126x1.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが180.0、横側の幅厚比B/tが126.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.300、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が54mm、下側のコーナー長CA2が126mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が25.2mm、下側のコーナー長CB2が12.6mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例B3は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。実施例B3はまた、式(6)も満たしている。
この実施例B3の断面性能等は、断面積545mm2、断面二次モーメントIA=2,401,044mm4、IB=1,220,270mm4、断面係数ZA=20,457mm3、ZB=14,410mm3、固有値解析による局部座屈応力度173N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例B3によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特に縦方向について大幅に上昇をした断面二次モーメント、及び特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得、さらに、縦側について大幅に上昇した断面係数も得つつ、9%程度軽量化させることが可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、局部座屈応力度の特別に大幅な上昇と、断面二次モーメント及び断面係数の特に縦側での大幅な上昇を実現できる。
実施例B4は、サイズが□180x126x1.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが200.0、横側の幅厚比B/tは140.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.300、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.300)は式(5)を満たす。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が54mm、下側のコーナー長CA2が1.8mmである。CA2=1.8mmは式(7)を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が25.2mm、下側のコーナー長CB2は1.8mmである。CB2=1.8mmは式(8)を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例B4は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
なお、この実施例では、下側のコーナー部の縦側及び横側のコーナー長(CA2、CB2)をいずれも1.8mm(板厚の約2倍)と小さいので、このコーナー部は一般的な角形鋼管のコーナー部と同様な直角形状となっており、したがって、この実施例では全体形状が六角形となっている。
この実施例B4の断面性能等は、断面積511mm2、断面二次モーメントIA=2,313,879mm4、IB=1,327,891mm4、断面係数ZA=18,458mm3、ZB=14,084mm3、固有値解析による局部座屈応力度140N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例B4によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側で大幅に横側でも大きく上昇した断面二次モーメント、及び大きく上昇した局部座屈応力度を得つつ、しかも15%という大幅な軽量化が可能となる。
このように、顕著な軽量化、すなわち鋼材使用量の顕著な削減が図られる上に、断面二次モーメントの特に縦側で大幅な向上、及び局部座屈応力度の大きな上昇を実現できる。
なお、横方向の断面係数ZBは若干低下するが、縦方向の断面係数ZAは十分高いので、それを考慮した用途や設計上の配慮により、対応可能な範囲は広いと言える。
[比較例C0]
比較例C0は、サイズが□230x280x18である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=36mm、幅厚比A/t=12.8、B/t=15.6、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.157、CB1/B=CB2/B=0.129となっている。
この比較例C0では、式(1)は縦の幅厚比A/tが満たさず、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たさない)。
比較例C0の断面性能等は、断面積16,195mm2、断面二次モーメントIA=124,113,532mm4、IB=169,051,617mm4、断面係数ZA=1,170,882mm3、ZB=11,290,470mm3、固有値解析による局部座屈応力度4,998N/mm2と計算される。
実施例C1は、サイズが□253x308x16である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが15.8、横側の幅厚比B/tは19.3である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.170、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.250である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.170)は式(5)を満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が43.0mm、下側のコーナー長CA2が40.5mmである。CA2=40.5mmは式(7)を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が77mm、下側のコーナー長CB2は40mmである。CB2=40mmは式(8)を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例C1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例C1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、断面係数を同等に維持した上、縦側でも横側でも大きく上昇した断面二次モーメント、及び大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、十分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
実施例C2は、サイズが□253x308x16.2である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが15.6、横側の幅厚比B/tが19.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.750、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が189.8mm、下側のコーナー長CA2が32.9mmである。すなわち、「CA1>CA2」である(式(22)を満たす)。 横側は上側のコーナー長CB1が61.6mm、下側のコーナー長CB2も61.6mmである。すなわち、「CB1=CB2」である(式(21)を満たす)。したがって、条件(2’)を満たす。
上記の通り実施例C2は、式(1)を満たし、条件(2’)(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項2の条件をすべて満たす。
この実施例C2の断面性能等は、断面積14,787mm2、断面二次モーメントIA=128,142,793mm4、IB=146,788,468mm4、断面係数ZA=1,160,754mm3、ZB=1,006,090mm3、固有値解析による局部座屈応力度7,964N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例C2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特別大幅に上昇した局部座屈応力度と若干上昇した縦側の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBは低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例C3は、サイズが□264.5x322x16.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが16.5、横側の幅厚比B/tが20.1である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.350、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.300である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が92.6mm、下側のコーナー長CA2が171.9mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が96.6mm、下側のコーナー長CB2が41.86mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例A1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。実施例C3はまた、式(6)も満たしている。
この実施例C3の断面性能等は、断面積14,964mm2、断面二次モーメントIA=136,360,844mm4、IB=162,694,279mm4、断面係数ZA=1,164,090mm3、ZB=1,063,361mm3、固有値解析による局部座屈応力度11,710N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例C3によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特別大幅に上昇した局部座屈応力度と大きく上昇した縦側の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例C4は、サイズが□253x308x16.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが15.8、横側の幅厚比B/tは19.3である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.350、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.300である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.350)は式(5)を満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が88.55mm、下側のコーナー長CA2が32mmである。CA2/=32mmは(7)式を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が92.4mm、下側のコーナー長CB2は32mmである。CB2=32mmは(8)式を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例C4は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
この実施例C4の断面性能等は、断面積14,809mm2、断面二次モーメントIA=124,883,883mm4、IB=170,616,357mm4、断面係数ZA=1,170,663mm3、ZB=1,168,605mm3、固有値解析による局部座屈応力度6,118N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例C4によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、縦側横側の断面二次モーメント及び縦側の断面係数を同等に維持しつつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面係数ZBは低下するが、梁などの曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
[比較例D0]
比較例D0は、サイズが□150x50x1.6である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=3.2mm、
幅厚比A/t=93.8、B/t=31.3、
コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.021、CB1/B=CB2/B=0.064となっている。
この比較例D0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(縦側は式(32)、(42)の幅厚比領域で、横側は式(31)、(41)の幅厚比領域でいずれも満たさない)
比較例D0の断面性能等は、断面積623mm2、断面二次モーメントIA=1,685,970mm4、IB=304,270mm4、断面係数ZA=22,722mm3、ZB=12,573mm3、固有値解析による局部座屈応力度620N/mm2と計算される。
実施例D1は、サイズが□170x70x1.3である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが130.8、横側の幅厚比B/tは53.8である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.100、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.250である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.100)は式(5)を満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が17mm、下側のコーナー長CA2が2.6mmである。CA2=2.6mmは(7)式を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が17.5mm、下側のコーナー長CB2は2.6mmである。CB2=2.6mmは(8)式を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例D1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
この実施例D1の断面性能等は、断面積588mm2、断面二次モーメントIA=2,072,207mm4、IB=544,778mm4、断面係数ZA=25,618mm3、ZB=15,860mm3、固有値解析による局部座屈応力度639N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例D1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側で大幅に横側では特に大幅に上昇した断面二次モーメント、及び縦側で大きく横側では大幅に上昇した断面係数、及び若干上昇した局部座屈応力度を得つつ、すなわちすべての断面性能を向上させつつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が向上する。
実施例D2は、サイズが□175x65x1.3である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが134.6、横側の幅厚比B/tが50.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.150、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.250である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が26.3mm、下側のコーナー長CA2は8.8mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が16.25mm、下側のコーナー長CB2が6.5mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例D2は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例D2の断面性能等は、断面積577mm2、断面二次モーメントIA=2,046,730mm4、IB=455,357mm4、断面係数ZA=24,432mm3、ZB=14,297mm3、固有値解析による局部座屈応力度871N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例D2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側、横側とも大幅に上昇した断面二次モーメント、及び特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得、さらに、縦側、横側とも大きく上昇した断面係数も得つつ、すなわち、すべての断面性能を向上させつつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が向上する。
[比較例E0]
比較例E0は、サイズが□150x200x2.3である。コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=4.6mm、幅厚比A/t=65.2、B/t=87.0、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.031、CB1/B=CB2/B=0.023となっている。
この比較例E0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たさない)。
比較例E0の断面性能等は、断面積1,575mm2、断面二次モーメントIA=6,116,570mm4、IB=9,460,675mm4、断面係数ZA=54,537mm3、ZB=63,020mm3、固有値解析による局部座屈応力度138N/mm2と計算される。
実施例E1は、サイズが□195x180x1.8である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが108.3、横側の幅厚比B/tが100.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.218、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.100である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が42.5mm、下側のコーナー長CA2が34.0mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が18mm、下側のコーナー長CB2が10.5mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例E1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例E1の断面性能等は、断面積1,255mm2、断面二次モーメントIA=7,319,531mm4、IB=6,342,932mm4、断面係数ZA=56,067mm3、ZB=51,784mm3、固有値解析による局部座屈応力度168N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例E1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側について大幅上昇した断面二次モーメント、若干上昇した断面係数を得、かつ大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、20%という大幅な軽量化が可能となり、断面効率の向上が特に大である。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例E2は、サイズが□180x210x1.9である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが94.7、横側の幅厚比B/tが110.5である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.600、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.200である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が108.0mm、下側のコーナー長CA2が36.0mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が42mm、下側のコーナー長CB2が10.5mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例E1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例E2の断面性能等は、断面積1,306mm2、断面二次モーメントIA=6,518,554mm4、IB=7,328,351mm4、断面係数ZA=67,465mm3、ZB=59,376mm3、固有値解析による局部座屈応力度226N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例E2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側について若干上昇した断面二次モーメント、大幅に上昇した断面係数を得、かつ特に大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、17%という大幅な軽量化が可能となり、断面効率の向上が特に大である。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
[比較例F0]
比較例F0は、サイズが□450x500x7.5である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=15mm、幅厚比A/t=60.0、B/t=66.7、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.033、CB1/B=CB2/B=0.030となっている。
この比較例F0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たさない)。
比較例F0の断面性能等は、断面積13,874mm2、断面二次モーメントIA=462,438,014mm4、IB=542,534,909mm4、断面係数ZA=2,090,115mm3、ZB=2,203,187mm3、固有値解析による局部座屈応力度234N/mm2と計算される。
実施例F1は、サイズが□550x550x6.6である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが83.3、横側の幅厚比B/tも83.3である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.450、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.270である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が247.5mm、下側のコーナー長CA2が55.0mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が148.5mm、下側のコーナー長CB2が82.5mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例F1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例F1の断面性能等は、断面積12,450mm2、断面二次モーメントIA=526,209,188mm4、IB=501,904,027mm4、断面係数ZA=2,124,115mm3、ZB=1,847,273mm3、固有値解析による局部座屈応力度622N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例F1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側について大きく上昇した断面二次モーメント、同程度の断面係数を得、かつ特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、10%の軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
[比較例G0]
比較例G0は、サイズが□400x350x12である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=24mm、幅厚比A/t=33.3、B/t=29.2、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.060、CB1/B=CB2/B=0.069となっている。
この比較例G0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(縦側は式(32)、(42)の幅厚比領域で、横側は式(31)、(41)の幅厚比領域で、いずれも満たさない)。
比較例G0の断面性能等は、断面積17,038mm2、断面二次モーメントIA=407,165,648mm4、IB=331,816,800mm4、断面係数ZA=2,098,792mm3、ZB=1,963,413mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,265N/mm2と計算される。
実施例G1は、サイズが□480x380x10である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが48.0、横側の幅厚比B/tは38.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.450、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.270である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が216.0mm、下側のコーナー長CA2が48mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が102.6mm、下側のコーナー長CB2が57mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例G1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例G1の断面性能等は、断面積14,663mm2、断面二次モーメントIA=438,024,643mm4、IB=289,197,024mm4、断面係数ZA=2,021,358mm3、ZB=1,563,227mm3、固有値解析による局部座屈応力度2,539N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例G1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、横側の断面二次モーメント及び断面係数が低下し、また縦側の断面係数も若干低下しているが、縦側について大きく上昇した断面二次モーメントを得、特別大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、14%という大幅な軽量化が可能となり、断面効率の向上が特に大である。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例G2は、サイズが□520x400x9である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが57.8、横側の幅厚比B/tは44.4ある。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.550、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bが0.290である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が286.0mm、下側のコーナー長CA2が78mmである。
横側は上側のコーナー長CB1が116mm、下側のコーナー長CB2が60mmである。すなわち、「CB1>CB2」であり、式(2)を満たす。
上記の通り実施例G2は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす。
すなわち、請求項1の条件をすべて満たす。
この実施例G2の断面性能等は、断面積13,891mm2、断面二次モーメントIA=475,961,004mm4、IB=283,199,145mm4、断面係数ZA=2,030,078mm3、ZB=1,448,589mm3、固有値解析による局部座屈応力度1,579N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例G2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、縦側について大幅に上昇した断面二次モーメントを得、大幅に上昇した局部座屈応力度を得つつ、18%という大幅な軽量化が可能となり、断面効率の向上が大である。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBが低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
[比較例H0]
比較例H0は、サイズが□120x90x2.3である。
コーナー長CA1=CA2=CB1=CB2=4.6mm、幅厚比A/t=52.2、B/t=39.1、コーナー長と辺長との比CA1/A=CA2/A=0.038、CB1/B=CB2/B=0.051となっている。
この比較例H0では、式(1)は満たすが、式(2)は満たさず、条件(3)、(4)を満たさない(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たさない)。
この比較例H0の断面性能等は、断面積931mm2、断面二次モーメントIA=1,972,129mm4、IB=1,271,748mm4、断面係数ZA=33,511mm3、ZB=29,002mm3、固有値解析による局部座屈応力度679N/mm2と計算される。
実施例H1は、サイズが□130x100x2.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが65.0、横側の幅厚比B/tは50.0である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.190、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.130である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.190)は式(5)を満たす)。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が24.7mm、下側のコーナー長CA2が4.0mmである。CA2=4.0mmは(7)式を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が13mm、下側のコーナー長CB2は4.0mmである。CB2=4mmは(8)式を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例H1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
なお、この実施例では、下側のコーナー部の縦側及び横側のコーナー長(CA2、CB2)が小さく、通常の角形鋼管のコーナー部と同様な直角コーナー部となっている。
この実施例H1の断面性能等は、断面積858mm2、断面二次モーメントIA=2,093,705mm4、IB=1,399,286mm4、断面係数ZA=33,987mm3、ZB=28,557mm3、固有値解析による局部座屈応力度771N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例H1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大きく上昇した局部座屈応力度、横側の断面二次モーメントを得つつ、他の断面性能を殆んど損なわずに、8%の軽量化が可能となり、断面効率が向上する。
実施例H2は、サイズが□130x95x2.0である。
幅厚比は、縦側の幅厚比A/tが65.0、横側の幅厚比B/tは47.5である。したがって、式(1)を満たす。
コーナー長と辺長との比は、上側のコーナー部の縦側のコーナー長と辺長との比CA1/Aが0.150、横側のコーナー長と辺長との比CB1/Bは0.090である。したがって、条件(3)、(4)を満たす(式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。
また、前記CA1/A(=0.150)は式(5)を満たす。
コーナー長は、縦側は上側のコーナー長CA1が19.5mm、下側のコーナー長CA2が4.0mmである。CA2=4.0mmは(7)式を満たす。
横側は上側のコーナー長CB1が8.55mm、下側のコーナー長CB2は4.0mmである。CB2=4.0mmは(8)式を満たす。また、式(2)を満たす。
上記の通り実施例H2は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
なお、この実施例では、下側のコーナー部の縦側及び横側のコーナー長(CA2、CB2)が小さく、通常の角形鋼管のコーナー部と同様な直角コーナー部となっている。
この実施例H2の断面性能等は、断面積850mm2、断面二次モーメントIA=2,073,528mm4、IB=1,283,547mm4、断面係数ZA=33,131mm3、ZB=27,603mm3、固有値解析による局部座屈応力度697N/mm2と計算される。
上記の通りであり、実施例H2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、若干低下する横側の断面係数以外の他の断面性能を同等以上に確保しながら、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
実施例I1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たし((式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)、式(5)、(7)、(8)を満たす。すなわち、請求項5の条件をすべて満たす。
なお、この実施例では、下側のコーナー部の縦側及び横側のコーナー長(CA2、CB2)が小さく、通常の角形鋼管のコーナー部と同様な直角コーナー部となっている。
上記の通りであり、実施例I1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、僅かに低下する横側の断面係数以外の他の断面性能を同等以上に確保しながら、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
実施例J1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例J1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、断面性能の低下を伴うことなしに、特別大幅に上昇した局部座屈応力度と、大きく上昇した断面二次モーメントを得つつ、若干の軽量化が可能となり、断面効率が向上する。
実施例K1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例K1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した局部座屈応力度と、若干上昇した縦側の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBは低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例K2は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例K2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した局部座屈応力度と、若干上昇した縦側の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面係数ZBは若干低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例K3は、表式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例K3によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特別大幅に上昇した局部座屈応力度と、若干上昇した縦側の断面二次モーメントを得、充分な軽量化を実現でき、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面二次モーメント及び断面係数ZBは若干低下するが、梁などの上側からの荷重に起因する曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例L1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例L1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特に大幅上昇した局部座屈応力度と、若干上昇した縦側の縦側の断面二次モーメント及び断面係数を得つつ、大幅な軽量化が可能となり、断面効率が特別大幅に向上する。
なお、横側についての断面二次モーメント、及び断面係数が低下するが、梁などの曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例L2は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例L2によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、特に大幅上昇した局部座屈応力度と、大きく上昇した縦横の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面係数が低下するが、梁などの曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例L3は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(32)、(42)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例L3によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、大幅に上昇した局部座屈応力度と、大きく上昇した縦側の断面二次モーメントを得つつ、充分な軽量化が可能となり、断面効率が顕著に向上する。
なお、横側の断面係数が低下するが、梁などの曲げ力を受ける部材の用途であれば、悪影響のない使用が可能である。
実施例M1は、式(1)、(2)を満たし、条件(3)、(4)を満たす((式(31)、(41)の幅厚比領域で満たす)。すなわち、請求項1の各式、条件をすべて満たす。
上記の通りであり、実施例M1によれば、STKR400などの通常断面の角形鋼管と比較して、横側の断面係数に極めて僅かな低下はあるが、若干上昇した局部座屈応力度と、大幅に上昇した縦側・横側の断面二次モーメントを得つつ、他は同等以上を確保して、大幅な軽量化が可能となり、断面効率が特に大幅に向上する。
Claims (7)
- コーナー部に直線状または弧状の断面形状を有する左右対称断面の、曲げ力を受ける部材に用いる角形鋼管であって、
その断面の縦辺長A又は横辺長Bと板厚tとの比である幅厚比(A/t又はB/t)をxとした場合に式(1)を満たし、
かつ、コーナー部において接続する辺と平行な方向のコーナー長のうち、
横方向のコーナー長の一方をCB1、対向するもう一方をCB2、
前記CB1に隣り合う縦方向のコーナー長をCA1、前記CB2に隣り合う縦方向のコー ナー長をCA2とした場合に、
式(2)を満たし、
かつ、式(31)又は(32)のいずれか一方を満たすという条件(3)を満たし、
かつ、式(41)又は(42)のいずれか一方を満たすという条件(4)を満たすことを特徴とする角形鋼管。
15.6≦x≦200 ・・・・・・(1)
CB1>CB2 ・・・・・・・・・・(2)
条件(3)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・(31)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CA1/A)≦(A-2t)/A ・・・(32)
条件(4)15.6≦x<31.7 において、
-0.0054x+0.2561 ≦(CB1/B)≦0.300 ・・・(41)
31.7≦x≦200 において、
0.085≦(CB1/B)≦0.300 ・・・(42) - 式(2)に代えて、式(21)を満たしかつ式(22)を満たすという条件(2’)を満たすことを特徴とする請求項1記載の角形鋼管。
CB1=CB2 ・・・・・・・・(21)
CA1>CA2 ・・・・・・・・(22) - 式(5)を満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の角形鋼管。
0.085≦(CA1/A)<0.50 ・・・・・(5) - 式(6)を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項の角形鋼管。
CA1+CA2=A ・・・・・・・・・・・・・・・(6) - 式(5)を満たし、
かつ、式(7)、(8)を満たすことを特徴とする請求項1記載の角形鋼管。
0.085≦(CA1/A)≦0.50 ・・・・・・(5)
(2t/A)×0.5≦(CA2/A)≦(2t/A)×1.5・・・(7)
(2t/A)×0.5≦(CB2/B)≦(2t/B)×1.5・・・(8) - 使用する鋼材の設計用降伏応力度をF(N/mm2)とした場合に、式(9)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の角形鋼管。
205≦F≦375・・・・・・・・・・・・・・(9) - 式(10)、(11)を満たすことを特徴とする請求項6に記載の角形鋼管。
15.6≦(A/t)≦1,100/√F ・・・(10)
15.6≦(B/t)≦740/√F ・・・・(11)
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