JP2015193462A - クレーン - Google Patents

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Abstract

【課題】各ロープに掛かる引張力を同じにして、吊具のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができるクレーンを提供する。【解決手段】ドラム7aの第一ロープ群Waの繰出巻上位置Pa1〜Pa4と、ドラム7bの第二ロープ群Wbの繰出巻上位置Pb1〜Pb4とを、並びに、ドラム7aが繰り出す及び巻き上げる第一ロープ群Waで形成された第一ロープ掛け構造10aと、ドラム7bが繰り出す及び巻き上げる第二ロープ群Wbで形成される第二ロープ掛け構造10bとを、y−z平面の鉛直面VF1に対して面対称に配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、ドラムを有して、桁上を移動するトロリを備え、そのドラムから引き出されたロープが吊具とトロリとの間に巻き掛けられるロープ掛け構造によって、吊具を吊り下げるクレーンに関する。
港湾や内陸地等のコンテナターミナルでは、岸壁クレーンや門型クレーンによって、船舶、鉄道及びトレーラ間のコンテナ(運搬物)の荷役を行っている。岸壁クレーンや門型クレーンは、荷役する際に目的の位置にトロリを移動させ、吊具を昇降させている。
吊具を昇降させる際に、吊具及び吊具に把持された運搬物が、吊具の長手方向、横手方向、及び旋回方向(以下、スキューという)に振れることが問題となっている。
そこで、本発明者らの一人は、トロリに設けた一つのドラムが繰り出す及び巻き上げる複数のロープの全てが、トラス構造を成すように、吊具とトロリとの間に巻き掛けられたロープ掛け構造によって、吊具と吊具に把持される運搬物の揺動を抑制した装置(例えば、特許文献1参照)を提案した。
この装置は、吊具の周囲に想定した四つのロープ巻き掛け仮想面に含まれる八本(二本×四組)、あるいは四本のロープによって形成された八個の三角形がトラス構造を構成するため、吊具の揺動を抑制する揺動抑制力が極めて高い。特に、吊具の長手方向の端部中央では、2本のロープが同一軸のシーブを両側から挟むように掛けられているので、吊具の横行方向の揺れを抑制するより高い抑制力を発揮する。
しかし、一つのドラムで各ロープの全てを繰り出し及び巻き上げる装置においては、吊具の長手方向の一方側でロープ掛け構造の一部を形成する各ロープのドラム上に設けられた繰出巻上位置と、吊具の長手方向の他方側でロープ掛け構造の一部を形成する各ロープのドラム上に設けられた繰出巻上位置とが異なることにより、各繰出巻上位置のフリートアングルが異なる。
そのため、吊具の巻き上げ高さによっては、ドラムから直接引き出されたロープによって形成されたロープ掛け構造と、ドラムから引き出され、ドラムの反対側に設けられたシーブに巻き掛けられたロープによって形成されたロープ掛け構造が対象でなくなる。つまり特許文献1に記載の装置では、三角形が合同でなくなり、ドラム側と反ドラム側で各ロープの引張力が異なってしまうため、スキュー振れが発生する場合があった。
そこで、本発明者らは、ロープの繰出巻上位置が異なることを原因とする吊具のスキュー振れを防止することを新たな課題とした。
特開2010−126289号公報
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、吊具の長手方向の一方側のロープ掛け構造を形成する各ロープと、他方側のロープ掛け構造を形成する各ロー
プのフリートアングルを等しくして、各ロープの引張力を等しくすることにより、吊具のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができるクレーンを提供することである。
上記の目的を解決するための本発明のクレーンは、ロープの繰り出し及び巻き上げ用のドラム及び複数のシーブを有するトロリ、並びに、複数のシーブを有する吊具を備え、該ドラムから繰り出される及び巻き上げられる複数のロープが、該トロリと該吊具の間で各シーブに巻き掛けられてロープ掛け構造を形成し、該ロープ掛け構造により、該吊具を支持するクレーンにおいて、回転軸が同一方向で、且つ、回転軸方向からみて互いに逆方向に前記ロープを繰り出す及び巻き上げる対の前記ドラムを備え、一方のドラムの前記ロープの繰出巻上位置と、他方のドラムの前記ロープの繰出巻上位置とを、鉛直面に対して面対称に配置し、且つ、前記一方のドラムが繰り出す及び巻き上げる複数のロープで形成された一方のロープ掛け構造と、前記他方のドラムが繰り出す及び巻き上げる複数のロープで形成される他方のロープ掛け構造とを、前記鉛直面に対して面対称に配置することを特徴とする。
なお、ここでいうロープ掛け構造は、各ロープが吊具とトロリとの間に巻き掛けられた各ロープがトラス構造となるものが、吊具と吊具に把持された運搬物の揺動を抑制することができるため、好ましい。また、ここでいうクレーンは、運搬物をスプレッダなどの吊具により吊り下げた状態で移動するクレーンのことをいい、門型クレーンや天井クレーンなどである。
この構成によれば、吊具が略水平に保持されて昇降するときに、一方のドラムの繰出巻上位置と他方のドラムの繰出巻上位置とを、並びに、一方のロープ掛け構造と他方のロープ掛け構造とを、同一鉛直面に対して面対称となるように配置することで、各ドラムのそれぞれが複数のロープを繰り出す及び巻き上げたときに、各ロープに掛かる引張力が各ドラムで同じ状態となるため、吊具のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができる。これにより、スキュー振れが止まるまで待機する時間が無くなるため、荷役効率を向上することができる。
また、上記のクレーンにおいて、前記吊具が昇降するときに、前記鉛直面に対して面対称に配置された前記一方のドラムの繰出巻上位置と前記他方のドラムの繰出巻上位置の移動量と移動方向が同じになるように構成すると、吊具を昇降させても、一方のドラムの繰出巻上位置と、他方のドラムの繰出巻上位置が鉛直面に対して面対称になる状態を維持することができる。これにより、一方のドラムから引き出されるロープと他方のドラムから引き出されるロープのフリートアングルが等しくなり、それぞれのロープの引張力が等しくなるので、吊具のスキュー振れを防ぐことができる。
加えて、各前記ドラムに、ロープの乱巻き、及び歯抜けを防止する複数の溝を設け、前記一方のドラムに設けられた前記溝と、前記他方のドラムに設けられた前記溝とを、前記鉛直面に対して面対称に配置して構成すると、吊具とトロリとの間に同様に巻き掛けられたロープのフリートアングルが一方のドラムと他方のドラムで同じ角度となり、各ロープに掛かる引張力が各ドラムで同じ状態となるため、吊具のスキュー振れを防ぐことができる。これにより、荷役作業中に吊具のスキュー振れが止まるまで待機する時間を低減して、荷役効率を向上することができる。
さらに、上記のクレーンにおいて、前記一方のドラムと前記他方のドラムとをそれぞれ独立して駆動可能に構成すると共に、前記一方のロープ掛け構造と前記他方のロープ掛け構造のそれぞれを独立させて構成すると、各ドラムの回転を個別に制御することで、吊具を水平方向に対して傾けることができる。
例えば、荷台が傾いた運搬台車や、傾きのある地面に停車している運搬台車に対して、運搬物を荷台に下ろす際に、荷台の傾き、あるいは地面の傾きと同様に、吊具と吊具に把持した運搬物を傾け、運搬物の四隅を同時に運搬台車の荷台に着床させることができるので、荷役効率の向上と共に、安全性も向上することができる。
なお、このとき、ロープ掛け構造を、吊具の横手方向の両端部に想定したロープの巻き掛け面である横手方向仮想面と、吊具の長手方向の両端部に想定したロープの巻き掛け面である長手方向仮想面のそれぞれに形成されるように構成すると、吊具を水平方向に対して傾けても、吊具が振れないように支持できる。
その上、上記のクレーンにおいて、前記吊具の横手方向の両端部に想定したロープの巻き掛け面である横手方向仮想面のそれぞれの中央部に長手方向移動装置を備え、該長手方向移動装置が前記一方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に繰り出すと共に前記他方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に引っ張り、及び前記一方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に引っ張ると共に前記他方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に繰り出す構成であることが望ましい。この構成によれば、各長手方向移動装置を駆動して、ロープ掛け構造を形成する一方のロープを繰り出すと共に他方のロープを引っ張ることにより、吊具の位置合わせを行うために必要な移動変位量で吊具を長手方向に移動する、及び旋回方向に回転することができる。この吊具の位置合わせに必要ない移動変位量は、少なくとも±200mm以上、好ましくは±300mm以上となる。
例えば、各ドラムの駆動を停止した場合に、各長手方向移動装置を駆動すると、横手方向仮想面では、各ドラムの繰出巻上位置を固定点として、横手方向仮想面の中央部の各長手方向移動装置が、一方のロープを巻き上げた状態に、及び、他方のロープを繰り出した状態にするので、吊具を長手方向に移動することができる。
これにより、吊具を移動しても、余計な振れを発生させずに、吊具を支持しているロープ掛け構造のバランスを保ちながら、吊具の位置合わせに必要な移動変位量で、吊具を移動することができる。
また、上記の構成に加えて、前記吊具の長手方向の両端部に想定したロープの巻き掛け面である長手方向仮想面の中央部に横手方向移動装置を備え、前記一方のロープ掛け構造又は前記他方のロープ掛け構造のどちらか一方の一部を形成した2本のロープの一方を繰り出すと共に他方を引っ張り、一方を引っ張ると共に他方を繰り出すと、吊具の位置合わせを行うために必要な移動変位量で、吊具を横手方向に移動することが可能となる。
吊具を各移動装置で移動するので、クレーンで運搬物を運搬車などに荷役する際に、吊具の位置合わせを容易に行うことが可能となることに加えて、位置合わせのためにトロリや、運搬台車を動作させることが無くなるため、荷役作業の効率を向上することができる。
また、吊具に揺れが発生した場合でも、横手方向移動装置と長手方向移動装置とを駆動させて、吊具を横手方向、長手方向、及び旋回方向に動かすことが可能となるため、その揺れを抑制することができる。
なお、ここでいう移動装置とは、電動モータにより双方向シリンダを駆動する双方向アクチュエータなどのことをいい、この他、油圧で双方向シリンダを駆動するものや、対となるロープの端末を双方向から接続した部材を単頭シリンダで駆動するものでもよい。但
し、油圧式の場合は、メンテナンス性が悪く、また、重量も重くなることから電動モータ式の双方向アクチュエータが好ましい。
その上、上記に記載のクレーンが門型クレーンであることを特徴とすると、コンテナターミナルなどで荷役する際に、上記に記載の作用効果から、その門型クレーンが運搬物を吊った状態で走行し、且つ運搬物に直接荷役することが可能となるため、安全性を確保しながら、荷役効率を向上することができる。
本発明によれば、一方のドラムの繰出巻上位置と他方のドラムの繰出巻上位置とを、並びに、一方のロープ掛け構造と他方のロープ掛け構造とを、同一鉛直面に対して面対称となるように配置することで、各ドラムのそれぞれが複数のロープを繰り出す及び巻き上げたときに、一方のロープ掛け構造を形成する各ロープと、他方のロープ掛け構造を形成する各ロープのフリートアングルが等しくなり、各ロープに掛かる引張力が各ドラムで同じ状態になるので、吊具のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができる。これにより、吊具のスキュー振れが止まるまで待機するなどの時間を低減し、荷役効率を向上することができる。
また、一方のロープ掛け構造と他方のロープ掛け構造とが、それぞれ独立して吊具を支持しているので、各ドラムの回転を個別に制御することで、吊具を水平方向に対して傾けることができる。これにより、荷役次の安全性と荷役効率を向上することができる。
本発明に係る第一の実施の形態のクレーンを示す斜視図である。 図1のロープ掛け構造を示す斜視図である。 図2の矢印III方向のロープ掛け構造を示した正面図である。 図2の矢印IV方向のロープ掛け構造を示した側面図である。 図2の矢印V方向の上面図である。 図5の各ドラムと各ドラムに巻き上げられたロープの繰出巻上位置の移動量と移動方向を示す模式図である。 図1のクレーンの吊具を鉛直方向に傾ける動作を示した側面図である。 図1のクレーンの吊具を横手方向にスライドする動作を示した正面図である。 図1のクレーンの吊具を長手方向にスライドする動作を示した側面図である。 図1のクレーンの吊具を旋回方向に回す動作を示した上面図である。 本発明に係る第二の実施の形態のクレーンを示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施の形態のクレーンについて、図面を参照しながら説明する。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
また、図1における図中のx方向が吊具の長手方向であり、図中のy方向が吊具の横手方向であり、図中のz方向が鉛直方向である。加えて、図2において、図中のIIIで示す矢印方向から見た図を正面図とし、図中のIVで示す矢印方向から見た図を側面図とし、図中のVで示す矢印方向から見た図を上面図とする。加えて、吊具の長手方向(x方向)の長さを半分にする位置の鉛直面をVF1とし、吊具の横手方向(y方向)の長さを半分にする位置の鉛直面をVF2とする。
以下の実施の形態では、コンテナターミナルなどを走行し、スプレッダなどの吊具でコンテナCoを把持して、荷役する門型クレーンを例に説明するが、本発明はこれに限定さ
れずに、吊具で運搬物を吊り下げて荷役する天井クレーンなどにも適用することができる。
まず、図1〜図6を参照しながら、本発明に係る第一の実施の形態のクレーンの一例である門型クレーン(以下、クレーン1という)について説明する。図1に示すクレーン1は、クレーン本体2が門形に形成され、その脚部3に設けた走行装置4によってコンテナ蔵置ゾーンを走行する。また、クレーン1は、クレーン本体2の上部のガーダ5上をy方向に横行するトロリ6を備えると共に、トロリ6上のドラム7a及び7bから引き出した複数のロープWによってロープ掛け構造10を形成し、そのロープ掛け構造10により吊具8を吊るようにしている。なお、符号9は、クレーン1の動力装置が収納された動力室を、符号Cは運搬物であるコンテナを、及び、符号Sは滑車であるシーブを示している。
図2に示すように、トロリ6(図示しない)は、回転軸がy方向で、且つ、y方向から見て互いに逆方向にロープWを繰り出す及び巻き上げる対のドラム7a及び7bに加えて、ドラム7aが繰り出す及び巻き上げる第一ロープ群Wa(Wa1〜Wa4)、ドラム7bが繰り出す及び巻き上げる第二ロープ群Wb(Wb1〜Wb4)、回転軸がx方向で且つトロリ6の四隅に設けられた第一シーブ群S10(シーブS11〜S14;トロリ底辺シーブ)、回転軸がy方向で且つトロリ6の中央部に設けられた第二シーブ群S20(シーブS21〜S24;トロリ頂点シーブ)、回転軸がz方向で且つトロリ6の中央部に設けられた第三シーブ群S30(シーブS31〜S34)、及び、各ロープ群WaとWbの各ロープ端と接続される各双方向アクチュエータ(移動装置)11〜14を備えている。
また、吊具8は、回転軸がx方向で且つ吊具8の長手方向の両端部の中央部に設けられた第四シーブ群S40(シーブS41〜S44;吊具頂点シーブ)、及び、回転軸がy方向で且つ吊具8の四隅に設けられた第五シーブ群S50(シーブS51〜S54;吊具底辺シーブ)を備えている。
次に、ロープ掛け構造10について詳しく説明する。ここで、吊具8のx方向の両端部に想定されるロープの巻き掛け面を長手方向仮想面(図示しない)と、吊具8のy方向の両端部に想定されるロープの巻き掛け面を横手方向仮想面(図示しない)と定義する。
図2及び図3に示すように、ロープWa1は、シーブS41とシーブS11を経由して、第一双方向アクチュエータ(横手方向移動装置)11の一端部に接続され、吊具8とトロリ(図示せず)との間に三角形Aを形成する。同様に、ロープWa2は、シーブS42とシーブS12を経由して、第一双方向アクチュエータ11の他端部に接続され、吊具8とトロリとの間に三角形Bを形成する。
図2及び図4に示すように、ロープWa3は、シーブS51とシーブS21とシーブS31を経由して、第三双方向アクチュエータ(長手方向移動装置)13の一端部に接続され、吊具8とトロリの間に三角形Cを形成する。同様に、ロープWa4は、シーブS52とシーブS22とシーブS32を経由して、第四双方向アクチュエータ(長手方向移動装置)14の一端部に接続され、吊具8とトロリの間に三角形Dを形成する。
図2及び図3に示すように、ロープWb1は、シーブS43とシーブS13を経由して、第二双方向アクチュエータ(横手方向移動装置)12の一端部に接続され、吊具8とトロリとの間に三角形Eを形成する。同様に、ロープWb2は、シーブS44とシーブS14を経由して、第二双方向アクチュエータ12の他端部に接続され、吊具8とトロリとの間に三角形Fを形成する。
図2及び図3に示すように、ロープWb3は、シーブS53とシーブS23とシーブS
33を経由して、第三双方向アクチュエータ13の他端部に接続され、吊具8とトロリの間に三角形Gを形成する。同様に、ロープWb4は、シーブS54とシーブS24とシーブS34を経由して、第四双方向アクチュエータ14の他端部に接続され、吊具8とトロリの間に三角形Hを形成する。
ここで、三角形A〜三角形Hについて詳しく説明する。
図3は、吊具8のx方向の一端部に想定したロープの巻き掛け面である長手方向仮想面(図示しない)を示しており、その長手方向仮想面に形成される第一ロープ掛け構造10a(第二ロープ掛け構造10b)の一部である第一長手面ロープ掛け構造10c(第二長手面ロープ掛け構造10d)を示す。なお、ここで符号のカッコ内は、吊具8のx方向の他端部を示す。
図3に示すように、三角形A(三角形F)と三角形B(三角形E)は、それぞれの斜辺が互いに離反する方向を向くように形成される。そして、三角形A、三角形B、三角形F、及び三角形Eは全て合同に形成される。
図4は、吊具8のy方向の一端部に想定したロープの巻き掛け面である横手方向仮想面(図示しない)を示しており、その横手方向仮想面に形成される第一ロープ掛け構造10aと第二ロープ掛け構造10bの一部である第一横手面ロープ掛け構造10e(第二横手面ロープ掛け構造10f)を示す。なお、ここで符号のカッコ内は、吊具8のy方向の他端部を示す。
図4に示すように、三角形C(三角形D)と三角形G(三角形H)は、それぞれの斜辺が互いに向き合うように形成され、また、三角形C(三角形G)と三角形D(三角形H)は、面対称となるように形成される。そして、三角形C、三角形D、三角形G、及び三角形Hは全て合同に形成される。
さらに、三角形A〜三角形Hの全てを合同に形成すると、x方向及びy方向の吊具8の揺れを抑制する高い抑制力を発揮するため好ましい。
上記のロープ掛け構造10により、吊具8の周囲に想定した四つのロープの巻き掛け面である各長手方向仮想面及び各横手方向仮想面(図示せず)に含まれる八本(二本×四組)のロープWによって形成された八個の三角形A〜三角形Hがトラス構造を構成するため、吊具8の揺動を抑制する揺動抑制力が極めて高い。
特に、吊具8のy方向の端部の中央では、2本のロープWa1及びWa2(ロープWb1及びWb2)が、同一軸のシーブS41及びS42(シーブS43及びS44)を、両側から挟むように掛けられているので、吊具8のy方向の揺れを抑制するより高い抑制力を発揮する。
また、トロリ6と吊具8の間に掛け渡したロープWによって形成された全ての三角形A〜三角形Hの斜辺の両端に位置する第一シーブ群S10と第二シーブ群S20の直径をそれぞれ同一とし、及び第四シーブ群S40と第五シーブ群S50の直径をそれぞれ同一とし、且つ、第四シーブ群S40と第五シーブ群S50の直径が、第一シーブ群S10と第二シーブ群S20の直径よりも小さいか、または同一とすると、吊具8の繰り出し、及び巻き上げを行ってもロープWの長さにアンバランスが発生することがなく、高い振れ止め性能と軽量化を図ることができる。
上記の構成に加えて、さらなる吊具8のスキュー振れを抑制するために、図5の上面図
に示すように、本発明に係る第一の実施の形態のクレーン1は、ドラム7aの第一ロープ群Waの繰出巻上位置Pa1〜Pa4と、ドラム7bの第二ロープ群Wbの繰出巻上位置Pb1〜Pb4とをy−z平面となる鉛直面VF1に対して面対称に配置すると共に、ドラム7aが繰り出す及び巻き上げる第一ロープ群Waで形成された第一ロープ掛け構造10aと、ドラム7bが繰り出す及び巻き上げる第二ロープ群Wbで形成される第二ロープ掛け構造10bとを、y−z平面となる鉛直面VF1に対して面対称に配置して構成される。
また、このクレーン1は、図6に示すように、ドラム7aとドラム7bの両方を同じ回転速度で、且つ互いに逆方向の回転方向で駆動して吊具8を昇降するときに、鉛直面に対して面対称に配置されたドラム7aの繰出巻上位置Pa1とドラム7bの繰出巻上位置Pb(繰出巻上位置Pa2と繰出巻上位置Pb2、繰出巻上位置Pa3と繰出巻上位置Pb3、及び繰出巻上位置Pa4と繰出巻上位置Pb4)の移動量ΔLと移動方向Diが同じになるように構成される。
ドラム7aとドラム7bは、溝付ドラムであって、図示しない溝が設けられており、この溝に各ロープWが入り込むことによって、ロープWの乱巻き、及び歯抜けを防止することができる。この溝は、吊具8を昇降させたときに、繰出巻上位置Pa1〜Pa4と繰出巻上位置Pb1〜Pb4との移動量ΔLと移動方向Diが同じになるように形成されると、吊具8を昇降させても、繰出巻上位置Pa1〜Pa4と、繰出巻上位置が鉛直面に対して面対称になる状態を維持することができる。
なお、この第一の実施の形態では、フリートアングルが2度以上となっても、ロープWの乱巻きや歯抜けを防止するために、溝付ドラムを用いたが、フリートアングルを2度以内に収めることができれば、溝なしドラムを用いることもできる。
また、好ましくは、ドラム7aに設けられた溝と、ドラム7bに設けられた溝とを、鉛直面VF1に対して面対称に配置すると、各繰出巻上位置Pa1〜Pa4と各繰出巻上位置Pb1〜Pb4でのフリートアングルをより正確に同じ角度することができ、吊具8のスキュー振れを確実に防止することができる。
また、ドラム7aを吊具8のx方向の一端部上に、及びドラム7bを吊具8のx方向の他端部上に配置したが、どちらも吊具8の中央部側に配置してもよい。加えて、この実施の形態では、回転軸がy方向のドラム7a及び7bを用いたが、回転軸がx方向の二つのドラムを用いてもよい。さらに、この実施の形態では、ドラム7a及び7bをトロリ6上に配置したが、動力室9と同様に脚部3のシルビーム上に配置してもよい。
上記のように、第一ロープ掛け構造10aと第二ロープ掛け構造10bは、鉛直面VF1に対して、図2〜図5に示すように、面対称な構造となるように構成される。この実施の形態では、前述した通り、吊具8の周囲に想定した四つのロープの巻き掛け面である各長手方向仮想面及び各横手方向仮想面(図示せず)に含まれる八本(二本×四組)のロープWによって形成された八個の三角形A〜三角形Hがトラス構造を構成するように形成したが、鉛直面VF1に対して、第一ロープ掛け構造10aと第二ロープ掛け構造10bが面対称になるように構成されればよく、本発明は、上記の構成に限定されない。
この構成によれば、吊具8が略水平に支持されて昇降したときに、ドラム7aの繰出巻上位置Pa1〜Pa4と、ドラム7bの繰出巻上位置Pb1〜Pb4とを、並びに、第一ロープ掛け構造10aと、第二ロープ掛け構造10bとを、鉛直面VF1に対して、面対称となるように配置するため、繰出巻上位置Pa1でのロープWa1と繰出巻上位置Pb1でのロープWb1(ロープWa2とロープWb2、ロープWa3とロープWb3、及び
ロープWa4とロープWb4も同様)のフリートアングルを等しくする。よって、各ドラム7a及び7bがロープWを繰り出す及び巻き上げたときに、ロープWa1〜Wa4に掛かる引張力と、ロープWa1〜Wa4と対称となるロープWb1〜Wb4に掛かる引張力が、各ドラム7a及び7bで同じ状態にすることができるので、吊具8のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができる。これにより、吊具8のスキュー振れが止まることを待つなどの時間が低減し、荷役効率を向上することができる。
図5を参照すると、吊具8のx方向の左右で同様に巻き掛けられる、ロープWa1のドラム7aでの繰出巻上位置Pa1と、ロープWb1のドラム7bでの繰出巻上位置Pb1とが、鉛直面VF1に対して、面対称の位置にあることが分かる。また、同じく繰出巻上位置Pa2及び繰出巻上位置Pb2、繰出巻上位置Pa3及び繰出巻上位置Pb3、並びに、繰出巻上位置Pa4及び繰出巻上位置Pb4も鉛直面VF1に対して面対称の位置にある。
吊具8のx方向の左右で同様に巻き掛けられているロープWa1及びWb1(Wa2及びWb2、Wa3及びWb3、並びにWa4及びWb4;以下省略する)同士の繰出巻上位置Pa1及びPb1(Pa2及びPb2、Pa3及びPb3、並びにPa4及びPb4;以下省略する)が鉛直面VF1に対して、面対称の位置になると、ロープWa1及びWb1が繰り出される、及び巻き上げられる際のフリートアングルが略同様の角度となるため、ロープWa1がドラム7aの溝に沿えば、ロープWb1がドラム7bの溝から外れて位置がずれることがなく、同様にドラム7bの溝に沿う。
図6は、吊具8を上昇させたときの、ドラム7aでロープWa1〜Wa4を巻き上げる様子を、同様にドラム7bでロープWb1〜Wb4を巻き上げる様子を示している。なお、この図では、ある時点から各ドラム7a及び7bで巻き上げられた各ロープWの様子を点線で示す。
各ドラム7a及び7bを同じ回転速度で、且つ互いに逆向きの回転方向に駆動して、各ロープWを巻き上げると、各繰出巻上位置Pa1〜Pa4、及びPb1〜Pb4は、各繰出巻上位置Pa1’〜Pa4’、及びPb1’〜Pb4’へと移動する。このときの移動量をΔLで表す。図6に示したように、繰出巻上位置Pa1及びPa2、並びに繰出巻上位置Pb1及びPb2の移動量はΔL1となり、それぞれ等しくなる。また、繰出巻上位置Pa3及びPa4、並びに繰出巻上位置Pb3及びPb4の移動量はΔL2となり、それぞれ等しくなる。
また、このときの移動方向をDiで表す。繰出巻上位置Pa1及びPa4、並びに繰出巻上位置Pb1及びPb4の移動方向はDi1となり、同一方向となる。また、繰出巻上位置Pa2及びPa3、並びに繰出巻上位置Pb2及びPb3の移動方向はDi2となり、同一方向となる。なお、各ロープWを繰り出したときについても同様のため、その説明は省略する。
このように、本発明は、水平状態を保持したまま吊具8を昇降したときに、各ドラム7a及び7bで各ロープWを繰り出す、及び巻き上げたときの繰出巻上位置Pa1〜Pa4及びPb1〜Pb4の移動量ΔLと移動方向Diが同じになるので、各ドラム7a及び7bを駆動して各ロープWを繰り出したり、巻き上げたりしても、各ロープWの引張力の度合いが等しくなるため、吊具8のスキュー振れを防止することができる。
また、図6では、各ロープWがドラム7a及びドラム7bの中央部に向かって巻き上げられる状態を説明したが、本発明はこれに限定されずに、例えば、ドラムの外側に向かって巻き上げられるように構成されてもよい。
一方、このクレーン1は、ドラム7aとドラム7bとをそれぞれ独立して駆動可能に構成すると共に、第一ロープ掛け構造10aと第二ロープ掛け構造10bのそれぞれを独立させて構成し、ドラム7aとドラム7bのそれぞれを異なる回転速度又は同じ回転方向で駆動すると、吊具8を水平方向に対して傾けるように構成される。
次に、このクレーン1の動作について、図7を参照しながら説明する。なお、ここでは、荷台Taが傾くように構成された運搬台車Tに対してコンテナCoを荷役する動作を例に説明するが、この他、地面が傾いているところに停車し、荷台が傾いた運搬台車に対しても同様にコンテナを荷役することができる。
図7に示すように、クレーン1が荷台Taを傾けた運搬台車TにコンテナCoを荷役する際に、クレーン1は、予め定めた高さまでコンテナCoを下ろす。
次に、クレーン1は、ドラム7bのみを駆動して、第二ロープ群Wbのみを繰り出す。第二ロープ群Wbが繰り出され、且つ第一ロープ群Waの状態が変わらないため、吊具8の運搬台車Tの後部側が水平面に対して下がり、荷台Taの傾きと同様の傾きとなる。そして、吊具8に支持されたコンテナCoの四隅を同時に運搬台車Tの荷台Taに降ろすように、ドラム7a及びドラム7bを駆動して、その傾きを保持したままコンテナCoが運搬台車Tの荷台Taに降ろされる。
これにより、傾いた荷台Taに対して、コンテナCoを荷台に降ろす際に、荷台Taの傾きと同様に、吊具8と吊具8に把持したコンテナCoを傾け、コンテナCoの四隅を同時に運搬台車Tの荷台Taに着床させることができるので、荷役効率の向上と共に、安全性も向上することができる。この効果は傾いた地面に停車している運搬台車に対して荷役するときにも有効である。
なお、このとき、各長手方向仮想面と各横手方向仮想面のそれぞれにトラス構造を構成するようにロープ掛け構造10を形成すると、吊具8を水平方向に傾けたときに、吊具8の振れを抑制することができるため、好ましい。例えば、図7に示すように、吊具8を水平方向に対して傾けたときに、この第一の実施の形態では、横手方向仮想面(図示しない)のそれぞれに第一横手面ロープ掛け構造10eと第二横手面ロープ掛け構造10fが形成されているため、吊具8がx方向に振れることを抑制することができる。
上記の構成に加えて、吊具8を荷役するときに必要な移動変位量で、吊具8をy方向にシフトするために、本発明に係る第一の実施の形態のクレーン1は、図2〜図4に示すように、吊具8の長手方向の両端部に想定したロープWの巻き掛け面である長手方向仮想面(図示しない)に、対となる第一組のロープWa1及びWa2(ロープWb1及びWb2)の末端と接続され、ロープWa1(ロープWb1)をx方向に繰り出すと共にロープWa2(ロープWb2)をx方向に引っ張り、及びロープWa1(ロープWb1)をx方向に引っ張ると共にロープWa2(ロープWb2)をx方向に繰り出す第一双方向アクチュエータ11(第二双方向アクチュエータ12)を備える。また、長手方向仮想面に、トロリ6の四隅に設けられたシーブS11〜S14(トロリ底辺シーブ)のうちのシーブS11及びS12(シーブS13及びS12)二つと、吊具8の中央部に設けられ、回転軸が同一となる二つのシーブS41及びS42(シーブS43及びS44;吊具頂点シーブ)とがシーブS41及びS42(シーブS43及びS44)を頂点とした二等辺三角形に配置され、それらに巻き掛けられる第一双方向アクチュエータ11(第二双方向アクチュエータ12)で接続された対となる第一組のロープWa1及びWa2(ロープWb1及びWb2)が、二等辺三角形I(二等辺三角形J)を形成して構成される。
また、吊具8を荷役するときに必要な移動変位量で、吊具8をx方向にシフトするために、このクレーン1は、吊具8の横手方向の両端部に想定したロープWの巻き掛け面である横手方向仮想面に、対となる第二組のロープWa3及びロープWb3(ロープWa4及びロープWb4)の末端と接続され、ロープWa3(ロープWa4)をy方向に繰り出すと共にロープWb3(ロープWb4)をy方向に引っ張り、及びロープWa3(ロープWa4)をy方向に引っ張ると共にロープWb3(ロープWb4)をy方向に繰り出す第三双方向アクチュエータ13(第四双方向アクチュエータ14)を備える。また、横手方向仮想面に、トロリ6の中央部に設けられ、回転軸が同一となる二つのシーブS21及びS23(シーブS22及びS24;トロリ頂点シーブ)と、吊具8の四隅に設けられたシーブS51〜S54(吊具底辺シーブ)のうちのシーブS51及びS53(シーブS52及びS54)とがシーブS21及びS23(シーブS22及びS24)を頂点とした二等辺三角形に配置され、それらに巻き掛けられる第三双方向アクチュエータ13(第四双方向アクチュエータ14)で接続された対となる第二組のロープWa3及びロープWb3(ロープWa4及びロープWb4)が、二等辺三角形K(二等辺三角形L)を形成して構成される。
加えて、このクレーン1は、図4に示すように、横手方向仮想面の中央部に、対となる第二組のロープWa3及びロープWb3(ロープWa4及びロープWb4)の末端を配置すると共に、横手方向仮想面に設けられた第三双方向アクチュエータ13(第四双方向アクチュエータ14)の配置位置(鉛直面VF1)を基準として、第一横手面ロープ掛け構造10e(第二横手面ロープ掛け構造10f)の一方側と他方側とを、吊具のy方向からの側面視で、左右対称に構成される。
さらに、このクレーン1は、図2〜図4に示すように、第一組のロープWa1及びWa2(ロープWb1及びWb2)が、第一ロープ掛け構造10aの一部を形成するように構成されると共に、第二組のロープWa3とロープWb3が、第一ロープ掛け構造10aの一部を形成したロープWa3と第二ロープ掛け構造10bの一部を形成したロープWb3とから構成される。
図3に示すように、第一双方向アクチュエータ11は、長手方向仮想面で対となる第一組のロープWa1及びWa2の末端を長手方向仮想面の中央部で接続し、電動モータ(図示しない)により双方向シリンダを前後にスライドさせて、ロープWa1の末端とロープWa2の末端を、y方向で、且つ同一方向にスライドさせる装置である。なお、この実施の形態では、電動モータによって駆動するものを用いたが、本発明はこれに限定されずに、例えば、油圧式のアクチュエータを用いてもよい。なお、第二双方向アクチュエータ12については、同様の構成のため、その説明は省略する。
図4に示すように、第三双方向アクチュエータ13は、横手方向仮想面で対となる第二組のロープWa3及びロープWb3の末端を横手方向仮想面の中央部で接続し、電動モータ(図示しない)により双方向シリンダを前後にスライドさせて、ロープWa3の末端とロープWb3の末端を、x方向で、且つ同一方向にスライドさせる装置である。なお、第四双方向アクチュエータ14については、同様の構成のため、その説明は省略する。
この各双方向アクチュエータ11〜14により、吊具8をx方向、y方向、及び旋回方向に動かすときに、各シーブSの位置が移動せずに固定されるため、ロープ掛け構造10のバランスが崩れることを防ぐことができる。また、各シーブSを移動しない構成のため、シーブSを移動させて吊具8を動かす構成と比べて、ロープ掛け構造10を単純化することができる。
これらの各双方向アクチュエータ11〜14のそれぞれは、図3及び図4に示すように
、鉛直面VF2及び長手方向仮想面の交差する部分、並びに、鉛直面VF1及び横手方向仮想面の交差する部分に配置されると、長手方向仮想面の中央部、及び横手方向仮想面の中央部に配置することができる。双方向アクチュエータ11〜14のそれぞれを中央部に配置すると、各ロープWの末端のそれぞれも各仮想面の中央部に配置されることになり、第一長手面ロープ掛け構造10cと第二長手面ロープ掛け構造10dの一方側と他方側が、鉛直面VF2に対して左右対称になり、並びに、第一横手面ロープ掛け構造10eと第二横手面ロープ掛け構造10fの一方側と他方側が、鉛直面VF1に対して左右対称となる。
また、図3に示すように、長手方向仮想面では、第一双方向アクチュエータ11(第二双方向アクチュエータ12)に接続された対となる第一組のロープWa1及びロープWa2(ロープWb1及びロープWb2)とが、吊具8の中央部に設けられ、同一回転軸で固定されているシーブS41及びS42(シーブS43及びS44)と、トロリ6の四隅に設けられたシーブS11及びS12(シーブS13及びS14)とに、巻き掛けられて、シーブS41及びS42(シーブS43及びS44)を頂点とする二等辺三角形I(二等辺三角形J)を形成する。
一方、図4に示すように、横手方向仮想面では、第三双方向アクチュエータ13(第四双方向アクチュエータ14)に接続された対となる第二組のロープWa3及びロープWb3(ロープWa4及びロープWb4)とが、トロリ6の中央部に設けられ、同一回転軸で固定されているシーブS21及びS22(シーブS23及びS24)と、吊具8の四隅に設けられたシーブS51及びS53(シーブS52及びS54)に巻き掛けられて、シーブS21及びS22(シーブS23及びS24)を頂点とする二等辺三角形K(二等辺三角形L)を形成する。
これにより、例えば、図9に示すように、ドラム7aとドラム7bを駆動しないときに、第三双方向アクチュエータ13と第四双方向アクチュエータ14を駆動すると、各横手方向仮想面では、同一回転軸で固定されているシーブS21〜S24を頂点とした二等辺三角形K及びLの底辺が移動する。トロリ6はクレーン1に対して位置が移動しないため、よって、ロープWで吊り下げられた吊具8が移動する。
このとき、第一横手面ロープ掛け構造10e(第二横手面ロープ掛け構造10f)では、ドラム7aの繰出巻上位置Pa3及び繰出巻上位置Pb3(繰出巻上位置Pa4及び繰出巻上位置Pb4)を固定点として、ロープWa3(ロープWa4)が巻き上げられた状態に、並びに、ロープWb3(ロープWb4)を繰り出した状態になるので、吊具8をx方向に吊具8の位置合わせに必要な移動変位量で移動することができる。なお、図8に示すように、第一双方向アクチュエータ11(第二双方向アクチュエータ12)を駆動する動作も同様であるため、説明は省略する。
一方、図10に示すように、このクレーン1は、第一双方向アクチュエータ11と第二双方向アクチュエータ12により、第一組のロープWa1及びWa2の末端のそれぞれをy方向の下側に、並びに、ロープWb1及びWb2の末端のそれぞれをy方向の上側に水平移動させると、吊具8を旋回方向に回すことができる。
なお、この実施の形態では、第一双方向アクチュエータ11と第二双方向アクチュエータ12を互いに逆方向になるように動かした動作を例に説明したが、第三双方向アクチュエータ13と第四双方向アクチュエータ14を互いに逆方向になるように動かして、吊具8を旋回させてもよい。また、第一双方向アクチュエータ11〜第四双方向アクチュエータ14を向かい合うアクチュエータとは逆方向になるように動かして、吊具8を旋回させることもできる。
これにより、吊具8をx方向、y方向、及び旋回方向に動かしても、余計な振れを発生させずに、吊具を支持しているロープ掛け構造のバランスを保ちながら、吊具の位置合わせに必要な少なくとも±200mm以上、好ましくは±300mm以上の移動変位量で、吊具8を移動することができる。よって、従来では吊具8に別途位置合わせ用の装置が無ければ不可能であったクレーン1での運搬物の位置合わせを実現することができる。
次に、双方向アクチュエータ11〜14を用いたクレーン1の動作を図8及び図9を参照しながら説明する。クレーン1が運搬台車TにコンテナCoを荷役する際に、クレーン1は、予め定めた高さまでコンテナCoを下ろす。
次に、図8に示すように、クレーン1は、第一双方向アクチュエータ11と第二双方向アクチュエータ12により、第一組のロープWa1及びWa2、並びに、ロープWb1及びWb2の末端のそれぞれを、y方向の左側に水平移動させる。このとき、ロープWa2とロープWb2とが長手方向仮想面の中央部で巻き上げられた状態となり、且つ、ロープWa1とロープWb1とが長手方向仮想面の中央部で繰り出された状態となるため、吊具8が右側に移動する。これにより、吊具8と吊具8に把持されたコンテナCoと運搬台車Tとのy方向の位置合わせを行う。
次に、図9に示すように、クレーン1は、第三双方向アクチュエータ13と第四双方向アクチュエータ14により、第二組のロープWa3及びWa4、並びに、ロープWb3及びWb4の末端のそれぞれを、x方向の左側に水平移動させる。このとき、ロープWa3とロープWa4とが横手方向仮想面の中央部で巻き上げられた状態となり、且つ、ロープWb3とロープWb4とが横手方向仮想面の中央部で繰り出された状態となるため、吊具8が左側に移動する。これにより、吊具8と吊具8に把持されたコンテナCoと運搬台車Tとのx方向の位置合わせを行う。
そして、コンテナCoと運搬台車Tとの位置合わせが完了したら、コンテナCoを運搬台車Tに降ろす。なお、上記の位置合わせの動作は、y方向とx方向の位置合わせ動作の順番を逆に行ってもよい。
これにより、クレーン1でコンテナCoを運搬台車Tなどに荷役する際に、吊具8の位置合わせを容易に行うことが可能となることに加えて、位置合わせのためにトロリ6や、運搬台車Tを動作させることが無くなるため、荷役作業の効率を向上することができる。
また、吊具8に揺れが発生した場合でも、各双方向アクチュエータ11〜14を駆動させて、吊具8をx方向、y方向、及び旋回方向に動かすことが可能となるため、その揺れを抑制することができる。
加えて、従来では、吊具8に別途、位置合わせのための油圧装置などを設けていたが、本発明のクレーン1では、ロープ掛け構造10の工夫と、各双方向アクチュエータ11〜14を設けたことで、位置合わせのための装置を不要とすることができ、吊具8の重量を軽量化することができる。また、油圧装置などの位置合わせのための装置が不要となることにより、そのメンテナンス作業も無くなる。
なお、この第一の実施の形態では、各双方向アクチュエータ11〜14を設けた構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されずに、例えば、第三双方向アクチュエータ13と第四双方向アクチュエータ14のみを備えた構成としてもよく、その場合は、吊具8のy方向の位置合わせには、トロリ6の横行を用いる。
次に、本発明に係る第二の実施の形態のクレーン20について、図11を参照しながら説明する。このクレーン20は、第一の実施の形態の八本(二本×四組)の各ロープWと、各ロープWの末端を接続する第一双方向アクチュエータ11〜第四双方向アクチュエータ14に代えて、四本のロープW1〜W4を用いて、ロープ掛け構造21を形成して構成される。
各ロープW1〜W4の巻き掛け方については、第一の実施の形態と同様とし、第一長手面ロープ掛け構造21cをロープW1が形成し、第二長手面ロープ掛け構造21dをロープW2が形成し、第一横手面ロープ掛け構造21eをロープW3が形成し、及び第二横手面ロープ掛け構造21fをロープW4が形成し、鉛直面F1に対して面対称な第一ロープ掛け構造21aと第二ロープ掛け構造21bが形成される。
よって、第一の実施の形態と同様に、ドラム7aの繰出巻上位置Pa1〜Pa4と、ドラム7bの繰出巻上位置Pb1〜Pb4とを、並びに、第一ロープ掛け構造21aと、第二ロープ掛け構造21bとを、鉛直面VF1に対して、面対称となるように配置するため、繰出巻上位置Pa1と繰出巻上位置Pb1(繰出巻上位置Pa2と繰出巻上位置Pb2、繰出巻上位置Pa3と繰出巻上位置Pb3、及び繰出巻上位置Pa4と繰出巻上位置Pb4)のフリートアングルを等しくする。よって、各ドラム7a及び7bが各ロープW1〜W4を繰り出す及び巻き上げたときに、各ロープW1〜W4の状態が、各ドラム7a及び7bで同じ状態になるので、吊具8のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができる。これにより、荷役効率を向上することができる。
また、この第二の実施の形態のクレーン20でも、第一の実施の形態のクレーン1と同様に、吊具8を水平方向に対して傾けることができるので、コンテナCoの四隅を同時に運搬台車Tの荷台Taに着床させることができるので、荷役効率の向上と共に、安全性も向上することができる。
上記の門型クレーンであるクレーン1及びクレーン20を備えたコンテナターミナルでは、クレーン1及び20による荷役効率が向上することにより、コンテナターミナル全体での荷役効率を30%程度向上することができる。
また、従来では門型クレーンがコンテナCoを吊った状態で走行することは、吊具8の振れなどにより安全上難しかったが、本発明のクレーン1及びクレーン20であれば、吊具8の振れの発生を抑制することができ、且つ、吊具8の振れが発生した場合でも、容易にその揺れを止めることが可能となる。そこで、コンテナCoを蔵置した蔵置レーン上を、クレーン1及びクレーン20がコンテナCoを吊り下げたまま走行し、運搬台車Tに確実に荷役することで、よりコンテナターミナル全体での荷役効率を向上することができる。
加えて、クレーン1及びクレーン20が吊具8の振れの発生を抑制すること、且つ吊具8の位置合わせを行うことにより、クレーン1及びクレーン20をターミナルシステムからの指示で自動運転可能に構成することが可能となり、これにより、コンテナターミナルでの荷役作業を自動化することができ、さらなる荷役効率を向上することができる。
本発明のクレーンは、一方のドラムの繰出巻上位置と他方のドラムの繰出巻上位置とを、並びに、一方のロープ掛け構造と他方のロープ掛け構造とを、同一鉛直面で面対称となるように配置することで、各ドラムのそれぞれが複数のロープを繰り出す及び巻き上げたときに、各ロープの引張力が各ドラムで同じ状態になるので、吊具のスキュー振れ(旋回方向の振れ)を防ぐことができる。これにより、荷役効率を向上することができるので、
吊具で運搬物を吊り下げて移動するクレーンに利用することができる。
1、20 クレーン
6 トロリ
7a、7b ドラム
8 吊具
10、21 ロープ掛け構造
10a、21a 第一ロープ掛け構造
10b、21b 第二ロープ掛け構造
10c、10Di21c、21d 長手面ロープ掛け構造
10e、10f、21e、21f 横手面ロープ掛け構造
11〜14 双方向アクチュエータ(移動装置)
W ロープ(二本×四組のロープ)
Wa 第一ロープ群
Wb 第二ロープ群
W1〜W4 ロープ(四本のロープ)
S10 第一シーブ群(トロリ底辺シーブ)
S20 第二シーブ群(トロリ頂点シーブ)
S30 第三シーブ群
S40 第四シーブ群(吊具頂点シーブ)
S50 第五シーブ群(吊具底辺シーブ)
Pa1〜Pa4、Pb1〜Pb4 繰出巻上位置
A〜H 三角形
I〜L 二等辺三角形
VF1、VF2 鉛直面

Claims (6)

  1. ロープの繰り出し及び巻き上げ用のドラム及び複数のシーブを有するトロリ、並びに、複数のシーブを有する吊具を備え、該ドラムから繰り出される及び巻き上げられる複数のロープが、該トロリと該吊具の間で各シーブに巻き掛けられてロープ掛け構造を形成し、該ロープ掛け構造により、該吊具を支持するクレーンにおいて、
    回転軸が同一方向で、且つ、回転軸方向からみて互いに逆方向に前記ロープを繰り出す及び巻き上げる対の前記ドラムを備え、
    一方のドラムの前記ロープの繰出巻上位置と、他方のドラムの前記ロープの繰出巻上位置とを、鉛直面に対して面対称に配置し、且つ、前記一方のドラムが繰り出す及び巻き上げる複数のロープで形成された一方のロープ掛け構造と、前記他方のドラムが繰り出す及び巻き上げる複数のロープで形成される他方のロープ掛け構造とを、前記鉛直面に対して面対称に配置することを特徴とするクレーン。
  2. 前記吊具が昇降するときに、前記鉛直面に対して面対称に配置された前記一方のドラムの繰出巻上位置と前記他方のドラムの繰出巻上位置の移動量と移動方向が同じになることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
  3. 各前記ドラムに、ロープの乱巻き、及び歯抜けを防止する複数の溝を設け、
    前記一方のドラムに設けられた前記溝と、前記他方のドラムに設けられた前記溝とを、前記鉛直面に対して面対称に配置することを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
  4. 前記一方のドラムと前記他方のドラムとをそれぞれ独立して駆動可能に構成すると共に、前記一方のロープ掛け構造と前記他方のロープ掛け構造のそれぞれを独立させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクレーン。
  5. 前記吊具の横手方向の両端部に想定したロープの巻き掛け面である横手方向仮想面のそれぞれの中央部に長手方向移動装置を備え、該長手方向移動装置が前記一方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に繰り出すと共に前記他方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に引っ張り、及び前記一方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に繰り出す共に前記他方のロープ掛け構造の一部を形成したロープを長手方向に引っ張る構成であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクレーン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のクレーンが門型クレーンであることを特徴とするクレーン。
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