JP2015191773A - 絶縁電線およびワイヤーハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】耐摩耗性と柔軟性との両方を有する絶縁電線、また、これを用いたワイヤーハーネスを提供する。【解決手段】絶縁電線1は、導体2と、導体2の外周に被覆された絶縁体3とを有している。絶縁電線1は、電線断面で見た場合に、絶縁体3が、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部31と、海状部31に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部32とを備える海−島構造30を有している。島状部31のドメインサイズは、10μm以下であることが好ましい。【選択図】図2
Description
本発明は、絶縁電線およびワイヤーハーネスに関する。
従来、自動車等の車両の分野において、導体の外周に絶縁体が被覆された絶縁電線、複数本の絶縁電線からなる電線束が保護材により被覆されたワイヤーハーネスが使用されている。
自動車等の振動する環境下において絶縁電線およびワイヤーハーネスが使用される場合、絶縁電線同士の接触、絶縁電線と保護材との接触、絶縁電線と車体との接触等により、導体を被覆している絶縁体が摩耗しやすい。近年、自動車等における限られたスペースを有効利用するため、絶縁体の薄肉化による絶縁電線の細径化に対する要望が高まってきている。そのため、耐摩耗性に優れたポリサルホンやポリエーテルサルホンを用いることにより絶縁体を薄肉化し、電線径の細径化を図ろうとする技術が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
しかしながら、ポリサルホンやポリエーテルサルホンを絶縁体に用いた絶縁電線は、絶縁体の耐摩耗性が良好であるものの、絶縁体の柔軟性に欠ける。そのため、この絶縁電線がワイヤーハーネスに用いられた場合には、ワイヤーハーネスの配策が困難となり、ワイヤーハーネスの適用範囲が限定される。このような問題を回避するため、絶縁体に柔軟な成分を配合することが考えられる。しかし、場合によっては絶縁体の耐摩耗性を低下させるおそれがある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、耐摩耗性と柔軟性との両方を有する絶縁電線、また、これを用いたワイヤーハーネスを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、導体と、該導体の外周に被覆された絶縁体とを有する絶縁電線であって、
電線断面で見た場合に、
上記絶縁体は、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部と、該海状部に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部とを備える海−島構造を有していることを特徴とする絶縁電線にある。
電線断面で見た場合に、
上記絶縁体は、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部と、該海状部に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部とを備える海−島構造を有していることを特徴とする絶縁電線にある。
本発明の他の態様は、上記絶縁電線を有することを特徴とするワイヤーハーネスにある。
上記絶縁電線は、電線断面で見た場合に、絶縁体が、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部と、海状部に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部とを備える海−島構造を有している。そのため、上記絶縁電線の絶縁体は、ポリサルホン系樹脂による耐摩耗性が維持されたまま、ポリエステル系エラストマーによる柔軟性が付与される。それ故、上記絶縁電線は、耐摩耗性と柔軟性との両方を兼ね備えることができる。また、上記絶縁電線は、絶縁体を薄肉化しやすく、電線径の細径化を図りやすい。
上記ワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を有している。そのため、上記ワイヤーハーネスは、絶縁電線同士の接触、絶縁電線と保護材との接触、絶縁電線と車体との接触等により、絶縁体が摩耗し難い。さらに、上記ワイヤーハーネスは、複雑な配策を行いやすい。
上記絶縁電線において、導体は、例えば、素線(単線)、複数の素線が撚り合された撚り線などから構成することができる。撚り線は、複数の素線が撚り合された後、導体断面が円形状となるように圧縮されていてもよい。この場合は、絶縁電線の細径化に有利である。また、撚り線は、同径または同等径を有する複数の素線が撚り合されていてもよいし、異なる径を有する複数の素線が撚り合されていてもよい。また、撚り線は、同一または同等あるいは相似形の断面形状を有する複数の素線が撚り合されていてもよいし、異なる断面形状を有する複数の素線が撚り合されていてもよい。
導体を構成しうる金属(合金含む、以下省略)としては、具体的には、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、鉄、鉄合金などを例示することができる。導通性の観点から、上記金属として、銅、銅合金を好適に用いることができる。なお、銅合金に含有させることが可能な添加元素としては、具体的には、Fe、Ni、Mg、Siなどを例示することができる。また、導通性、軽量化の観点から、上記金属として、アルミニウム、アルミニウム合金を好適に用いることができる。導体が撚り線からなる場合、撚り線を構成する各素線は、同じ金属から構成されていてもよいし、異なる金属から構成されていてもよい。また、導体には、Niめっき、Ni合金めっき等が施されていてもよい。この場合には、導体に施されためっきが、絶縁体の押出被覆時に溶融し難いため、高温油に曝されても導体が腐食し難くなる。
上記絶縁電線において、絶縁体は、電線断面で見た場合に、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部と、海状部に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部とを備える海−島構造を有している。なお、上記電線断面とは、電線軸方向と垂直な面での切断面をいう。また、上記主成分とは、少なくとも50質量%以上を占める成分をいう。
海状部は、少なくとも50質量%以上がポリサルホン系樹脂であり、他にも、絶縁体に配合されうる添加剤等を含有することができる。同様に、島状部は、少なくとも50質量%以上がポリエステル系エラストマーであり、他にも、絶縁体に配合されうる添加剤、芳香族ポリエステル等の他のポリマー成分等を含有することができる。なお、上記海−島構造は、耐摩耗性および柔軟性を損なわない範囲内であれば、上述したポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部以外の他の島状部を備えていてもよい。他の島状部としては、例えば、芳香族ポリエステルを主成分とする島状部などを例示することができる。
島状部は、基本的に、その周りを海状部によって取り囲まれた状態で存在している。島状部のドメインサイズは、好ましくは、10μm以下とすることができる。この場合には、耐摩耗性の維持を確実なものとしやすくなる。なお、島状部のドメインサイズの求め方は、後述する。
島状部のドメインサイズは、耐摩耗性の維持をより確実なものとしやすくなる観点から、より好ましくは、8μm以下、さらに好ましくは5μm以下であるとよい。島状部のドメインサイズは、製造性、耐衝撃性などの観点から、好ましくは、1μm以上とすることができる。
なお、上記海−島構造の微構造は、例えば、ポリサルホン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの配合比率、絶縁体を形成するための樹脂組成物の調製温度、樹脂組成物の押出成形温度、押出時の導体線速などを適宜調節することにより得ることができる。
ポリサルホン系樹脂は、分子構造における繰り返し単位内にスルホニル基を有する樹脂である。ポリサルホン系樹脂は、具体的には、ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。とりわけ、ポリサルホン系樹脂が、ポリエーテルサルホンまたはポリフェニルサルホンのいずれか一方、あるいは、ポリエーテルサルホンおよびポリフェニルサルホンの双方である場合には、ポリサルホンに比べ、ポリステル系エラストマーとの相溶性が高く、上記海−島構造となりやすい。そのため、この場合には、絶縁体の耐摩耗性をより向上させることが可能となる。
ポリエステル系エラストマーとしては、具体的には、分子内にハードセグメントとソフトセグメントとを有するブロック重合体などを例示することができる。ハードセグメントとしては、具体的には、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレートなどの芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどを例示することができる。ソフトセグメントとしては、具体的には、脂肪族ポリエーテル、脂肪族ポリエステルなどを例示することができる。
ポリエステル系エラストマーは、メルトフローレートが3g/10分以下であるとよい。なお、上記メルトフローレートは、JIS K7210に準拠し、温度240℃、荷重2.16kgにて測定される値である。
この場合には、ポリサルホン系樹脂との相溶性が良好であるので、絶縁体の耐摩耗性の向上に有利である。上記メルトフローレートは、好ましくは、ポリサルホン系樹脂との相溶性向上による海−島構造の促進などの観点から、2g/10分以下、より好ましくは、1.5g/10分以下とすることができる。
上記絶縁電線において、絶縁体中に含まれるポリマー成分100質量部中におけるポリサルホン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの質量比は、99:1〜60:40の範囲内とされているとよい。
この場合には、耐摩耗性と柔軟性とのバランスに優れた絶縁電線を得やすくなる。耐摩耗性と柔軟性とのバランスなどの観点から、上記質量比は、好ましくは、95:5〜65:35、より好ましくは、95:5〜70:30、さらに好ましくは、90:10〜75:25、さらにより好ましくは、90:10〜80:20とすることができる。なお、上記質量比において、ポリエステル系エラストマーの割合が少なくなると、柔軟性の改善効果が小さくなり、ポリエステル系エラストマーの割合が多くなると、耐摩耗性が低下する傾向がある。したがって、これらの点に留意して、ポリサルホン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの質量比を決定するとよい。
上記絶縁電線において、絶縁体は、上記樹脂成分以外にも、必要に応じて、一般的に電線に利用される各種の添加剤を1種または2種以上含有することができる。上記添加剤としては、具体的には、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、滑剤、銅害防止剤、鎖延長剤、造核剤、顔料などを例示することができる。
上記絶縁電線において、絶縁体の厚みは、耐摩耗性の確保などの観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.18mm以上とすることができる。また、絶縁体の厚みは、電線径の細径化、絶縁電線の軽量化などの観点から、好ましくは0.3mm以下、より好ましくは0.25mm以下、さらに好ましくは0.22mm以下とすることができる。
上記絶縁電線において、絶縁体は、単層より構成されていてもよいし、複数層から構成されていてもよい。絶縁体が複数層から構成される場合、複数層のうちの少なくとも1層、好ましくは、最も外側に配置される最外層が上記海−島構造を有しておればよい。また、上記絶縁電線は、導体と絶縁体との間に、必要に応じて、介在物層やシールド層などが存在していてもよい。
上記絶縁電線は、耐摩耗性および柔軟性を兼ね備えているので、自動車内等、振動する環境下であって、比較的狭いスペースに好適に用いることができる。
上記絶縁電線は、例えば、押出機(単軸、二軸)、バンバリミキサー、加圧ニーダー、ロールなどの通常用いられる混練機を用いて絶縁体を構成する樹脂組成物を混練し、押出成形機などを用いて導体の外周に絶縁体を押出被覆することにより製造することが可能である。
上記ワイヤーハーネスは、上記絶縁電線を有している。上記ワイヤーハーネスは、具体的には、上記絶縁電線を含む電線束と、この電線束を被覆する保護材とを有する構成とすることができる。
電線束は、複数本の上記絶縁電線から構成されていてもよいし、上記絶縁電線と、上記絶縁電線とは異なる他の絶縁電線とが混合されて構成されていてもよい。また、上記保護材としては、具体的には、例えば、テープ状、シート状、チューブ状などの形態を有する保護材を用いることができる。
なお、上述した各構成は、上述した各作用効果等を得るなどのために必要に応じて任意に組み合わせることができる。
以下、実施例の絶縁電線、ワイヤーハーネスについて、図面を用いて説明する。
(実施例1)
実施例1の絶縁電線について、図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の絶縁電線1は、導体2と、導体2の外周に被覆された絶縁体3とを有している。
実施例1の絶縁電線について、図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、本例の絶縁電線1は、導体2と、導体2の外周に被覆された絶縁体3とを有している。
本例では、具体的には、導体2は、複数の素線20が撚り合された撚り線から構成されている。素線20は、軟銅線である。なお、撚り線は、複数の素線20が撚り合された後、導体断面が円形状となるように圧縮されたものを示している。また、電気絶縁性の絶縁体3は、導体の外周に押出被覆されたものである。
絶縁電線1において、絶縁体3は、図1の電線断面で見た場合に、図2に示されるように、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部31と、この海状部31に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部32とを備える海−島構造30を有している。
本例では、具体的には、海状部31は、ポリサルホン系樹脂からなり、島状部32は、ポリエステル系エラストマーからなる。また、島状部31のドメインサイズは、10μm以下である。
(実施例2)
実施例2のワイヤーハーネスは、実施例1の絶縁電線を有している。
実施例2のワイヤーハーネスは、実施例1の絶縁電線を有している。
本例では、ワイヤーハーネス(不図示)は、具体的には、複数本の絶縁電線1からなる電線束(不図示)と、この電線束の外周を被覆する保護材(不図示)とを有している。絶縁電線1の電線端末部には、絶縁体3の一部が剥ぎ取られて露出した導体2に端子(不図示)が電気的に接続されている。
以下、構成の異なる絶縁電線の試料を複数作製し、各種評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<材料準備>
絶縁体を構成する樹脂組成物の材料として、以下のものを準備した。
−ポリサルホン系樹脂−
・ポリサルホン(PSU)(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製、「ユーデルP−1700NT」)
・ポリエーテルサルホン(PES)(住友化学社製、「スミカエクセル4100G」)
・ポリフェニルサルホン(PPSU)(BASF社製、「ウルトラゾーンP3010」)
−ポリエステル系エラストマー−
・ポリエステル系エラストマー(1)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル7247」、メルトフローレート:14g/10分)
・ポリエステル系エラストマー(2)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル7277」、メルトフローレート:1.5g/10分)
・ポリエステル系エラストマー(3)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル4275」、メルトフローレート:1.0g/10分)
<材料準備>
絶縁体を構成する樹脂組成物の材料として、以下のものを準備した。
−ポリサルホン系樹脂−
・ポリサルホン(PSU)(ソルベイスペシャルティポリマーズジャパン社製、「ユーデルP−1700NT」)
・ポリエーテルサルホン(PES)(住友化学社製、「スミカエクセル4100G」)
・ポリフェニルサルホン(PPSU)(BASF社製、「ウルトラゾーンP3010」)
−ポリエステル系エラストマー−
・ポリエステル系エラストマー(1)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル7247」、メルトフローレート:14g/10分)
・ポリエステル系エラストマー(2)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル7277」、メルトフローレート:1.5g/10分)
・ポリエステル系エラストマー(3)(東レ・デュポン社製、「ハイトレル4275」、メルトフローレート:1.0g/10分)
<絶縁電線の作製>
後述の表1に示される所定の配合割合にて、上記準備した各材料を二軸混練機により混練し、各樹脂組成物を調製した。この際、ヘッド付近の樹脂組成物の温度が、押出成形に最適な温度となるように混練を行った。なお、本例では、樹脂組成物の混練温度は、約270℃〜330℃程度とした。次いで、混練した各樹脂組成物を、押出成形機を用いて導体の外周に押出被覆し、各絶縁体(厚み0.2mm)を形成した。押出成形では、直径がそれぞれ0.85mmのダイスと0.45mmのニップルとを使用した。また、押出成形は、ダイ付近の樹脂組成物の温度が押出温度に最適な温度となるような温度設定で実施し、押出成形時の線速は50m/分とした。なお、本例では、樹脂組成物の押出温度は、約270℃〜330℃程度とした。導体には、7本の軟銅線が撚り合されるとともに円形圧縮されてなる撚り線を用いた。導体断面積は0.13mm2である。これにより、試料1〜10の絶縁電線を作製した。なお、作製した絶縁電線は、いずれも自動車用電線である。
後述の表1に示される所定の配合割合にて、上記準備した各材料を二軸混練機により混練し、各樹脂組成物を調製した。この際、ヘッド付近の樹脂組成物の温度が、押出成形に最適な温度となるように混練を行った。なお、本例では、樹脂組成物の混練温度は、約270℃〜330℃程度とした。次いで、混練した各樹脂組成物を、押出成形機を用いて導体の外周に押出被覆し、各絶縁体(厚み0.2mm)を形成した。押出成形では、直径がそれぞれ0.85mmのダイスと0.45mmのニップルとを使用した。また、押出成形は、ダイ付近の樹脂組成物の温度が押出温度に最適な温度となるような温度設定で実施し、押出成形時の線速は50m/分とした。なお、本例では、樹脂組成物の押出温度は、約270℃〜330℃程度とした。導体には、7本の軟銅線が撚り合されるとともに円形圧縮されてなる撚り線を用いた。導体断面積は0.13mm2である。これにより、試料1〜10の絶縁電線を作製した。なお、作製した絶縁電線は、いずれも自動車用電線である。
また、試料11、試料12については、後述の表2に示されるように、絶縁体の形成に用いる樹脂組成物を、ポリサルホン系樹脂またはポリエステル系エラストマーのいずれか一方のみとした。また、試料13については、樹脂組成物の混練温度を290℃、樹脂組成物の押出温度を260℃とした。その他は、試料1〜10の絶縁電線と同様にして、試料11〜試料13の絶縁電線を作製した。
<海−島構造の観察>
得られた絶縁電線を、電線軸方向と垂直な面にて切断し、切断面における絶縁体を透過型電子顕微鏡にて観察し、海−島構造の有無を確認した。また、海−島構造が確認された場合は、島状部のドメインサイズを測定した。
得られた絶縁電線を、電線軸方向と垂直な面にて切断し、切断面における絶縁体を透過型電子顕微鏡にて観察し、海−島構造の有無を確認した。また、海−島構造が確認された場合は、島状部のドメインサイズを測定した。
島状部のドメインサイズは、次のようにして求めることができる。すなわち、透過型電子顕微鏡を用いて、絶縁体の厚み方向における中央部、導体近傍、外表面近傍の3点を、視野15μm×15μmにてそれぞれ観察する。そして、図3に示されるように、各視野Vにおいて、島状部32の四方を包囲し、かつ島状部32がちょうど入る大きさの四角形状のドメインDを設定し、ドメインDの長辺を、各島状部32についてそれぞれ求める。そして、求められた各ドメインDの長辺のうち、最大の値を、海−島構造30における島状部32のドメインサイズとする。なお、図3では、視野V内に存在する一部の島状部が省略されている。
<耐摩耗性>
ISO6722に準拠し、ブレード往復法により、得られた絶縁電線の耐摩耗性を評価した。すなわち、各試料の絶縁電線から長さ600mmの試験片を採取した。次いで、23℃の環境下、軸方向に15mm以上の長さ、毎分60回の速さにて、試験片の絶縁体表面上でブレードを往復させた。この際、ブレードにかかる荷重は7Nとした。そして、ブレードが導体に接するまでの往復回数を測定した。各試験片あたりの試験回数は4回である。試験回数4回で測定されたブレードの往復回数の最小値が150回以上300回未満であった場合を合格として「B」とした。上記最小値が300回以上であった場合を合格として「A」とした。上記最小値が150回未満であった場合を不合格として「C」とした。
ISO6722に準拠し、ブレード往復法により、得られた絶縁電線の耐摩耗性を評価した。すなわち、各試料の絶縁電線から長さ600mmの試験片を採取した。次いで、23℃の環境下、軸方向に15mm以上の長さ、毎分60回の速さにて、試験片の絶縁体表面上でブレードを往復させた。この際、ブレードにかかる荷重は7Nとした。そして、ブレードが導体に接するまでの往復回数を測定した。各試験片あたりの試験回数は4回である。試験回数4回で測定されたブレードの往復回数の最小値が150回以上300回未満であった場合を合格として「B」とした。上記最小値が300回以上であった場合を合格として「A」とした。上記最小値が150回未満であった場合を不合格として「C」とした。
<柔軟性>
得られた絶縁電線の柔軟性を次のように評価した。図4(a)に示されるように、絶縁電線1の一端部を固定治具5にセットするとともに、絶縁電線1の他端部に5gの荷重6を針金7によりぶら下げる。この際、絶縁電線1の全長は80mmである。また、絶縁電線1の一端面から中央部に向かって20mmまでが固定治具5により固定されている。また、絶縁電線1の他端面から中央部に向かって10mmの位置に荷重6がぶら下げられている。針金7の長さは20mmである。
得られた絶縁電線の柔軟性を次のように評価した。図4(a)に示されるように、絶縁電線1の一端部を固定治具5にセットするとともに、絶縁電線1の他端部に5gの荷重6を針金7によりぶら下げる。この際、絶縁電線1の全長は80mmである。また、絶縁電線1の一端面から中央部に向かって20mmまでが固定治具5により固定されている。また、絶縁電線1の他端面から中央部に向かって10mmの位置に荷重6がぶら下げられている。針金7の長さは20mmである。
そして、図4(b)に示されるように、荷重6をぶら下げたことによって絶縁電線1の他端部が下方にたわむ。このときのたわみ量t(mm)を測定し、柔軟性の指標とした。たわみ量tは、絶縁電線1の柔軟性が高くなるにつれて増大する。
表1、表2に、各絶縁電線の絶縁体に用いた樹脂組成物の配合(質量部)、絶縁体における海−島構造の詳細、各評価結果などをまとめて示す。
表1、表2によれば、次のことがわかる。すなわち、試料11の絶縁電線は、絶縁体がポリサルホン系樹脂のみから構成されており、ポリエステル系エラストマーを含有しておらず、上記特定の海−島構造を有していなかった。そのため、試料11の絶縁電線は、耐摩耗性は良好であるものの、柔軟性に欠ける。
試料12の絶縁電線は、絶縁体がポリエステル系エラストマーのみから構成されており、ポリサルホン系樹脂を含有しておらず、上記特定の海−島構造を有していなかった。そのため、試料12の絶縁電線は、柔軟性は良好であるものの、耐摩耗性に欠ける。
試料13の絶縁電線は、絶縁体が、ポリエステル系エラストマーからなる海状部と、海状部に浮かぶように存在する巨大なポリサルホン系樹脂からなる島状部とからなる海−島構造を有していた。海状部は、絶縁体の機械的特性、特に、耐摩耗性と深くかかわる部分である。試料13の絶縁電線は、この海状部が柔軟なポリエステル系エラストマーから構成されているため、耐摩耗性に欠ける。
これらに対し、試料1の絶縁電線は、電線断面で見た場合に、絶縁体3が、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部31と、この海状部31に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部32とを備える海−島構造30を有していた。また、試料2〜試料10の絶縁電線も、同様に、絶縁体が上記と同様の海−島構造を有していた。そのため、これら絶縁電線の絶縁体によれば、ポリサルホン系樹脂による耐摩耗性が維持されたまま、ポリエステル系エラストマーによる柔軟性が付与されることがわかる。それ故、これら絶縁電線は、耐摩耗性と柔軟性との両方を兼ね備えることが可能なことが確認された。
また、試料1〜試料10の絶縁電線を比較すると、次のことがわかる。すなわち、試料3の絶縁電線は、ポリエステル系エラストマーのメルトフローレートが3g/10分を上回っている。そのため、試料3の絶縁電線は、ポリエステル系エラストマーのメルトフローレートが3g/10分以下である試料1、試料2、試料4の絶縁電線に比べ、耐摩耗性が若干低かった。この結果から、ポリエステル系エラストマーのメルトフローレートを3g/10分以下とすることにより、絶縁体の耐摩耗性を向上させることができるといえる。これは、ポリサルホン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの相溶性が向上し、上記海−島構造をとりやすくなるためである。
また、試料5の絶縁電線は、ポリサルホン系樹脂としてポリサルホンを用いている。そのため、試料5の絶縁電線は、ポリサルホン系樹脂としてポリエーテルサルホンやポリフェニルサルホンを用いている試料1、試料2、試料4の絶縁電線に比べ、耐摩耗性が若干低かった。この結果から、ポリサルホン系樹脂として、ポリエーテルサルホンおよび/またはポリフェニルサルホンを用いた場合には、絶縁体の耐摩耗性をより向上させることができるといえる。これは、ポリエーテルサルホンおよび/またはポリフェニルサルホンは、ポリサルホンに比べ、ポリエステル系エラストマーとの相溶性が高く、上記海−島構造となりやすいためである。
また、試料8の絶縁電線は、島状部のドメインサイズが10μmを上回っている。そのため、試料8の絶縁電線は、島状部のドメインサイズが10μm以下である試料1、試料2、試料4の絶縁電線に比べ、耐摩耗性が若干低かった。この結果から、島状部のドメインサイズが10μmである場合には、耐摩耗性の維持をより確実なものとしやすくなるといえる。
また、試料9、試料10の絶縁電線は、絶縁体中に含まれるポリマー成分100質量部中におけるポリサルホン系樹脂とポリエステル系エラストマーとの質量比が99:1〜60:40の範囲内にない。そのため、試料9の絶縁電線は、上記質量比の範囲内にある試料1、試料2、試料4、試料6および試料7の絶縁電線に比べ、柔軟性が若干低かった。また、試料10の絶縁電線は、上記質量比の範囲内にある試料1、試料2、試料4、試料6および試料7の絶縁電線に比べ、耐摩耗性が若干低かった。この結果から、上記質量比を採用することにより、耐摩耗性と柔軟性とのバランスに優れた絶縁電線を得やすくなることが確認された。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
1 絶縁電線
2 導体
3 絶縁体
30 海−島構造
31 海状部
32 島状部
2 導体
3 絶縁体
30 海−島構造
31 海状部
32 島状部
Claims (6)
- 導体と、該導体の外周に被覆された絶縁体とを有する絶縁電線であって、
電線断面で見た場合に、
上記絶縁体は、ポリサルホン系樹脂を主成分とする海状部と、該海状部に分散されておりポリエステル系エラストマーを主成分とする島状部とを備える海−島構造を有していることを特徴とする絶縁電線。 - 上記島状部のドメインサイズは、10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁電線。
- 上記絶縁体中に含まれるポリマー成分100質量部中における上記ポリサルホン系樹脂と上記ポリエステル系エラストマーとの質量比は、99:1〜60:40の範囲内とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁電線。
- 上記ポリエステル系エラストマーは、メルトフローレートが3g/10分以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 上記ポリサルホン系樹脂は、ポリエーテルサルホン、および/または、ポリフェニルサルホンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁電線を有することを特徴とするワイヤーハーネス。
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