JP2015191710A - リチウムイオン二次電池の製造方法およびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極1と負極2の間に介在するように配設されるセラミックセパレータ層11を、主成分であるフッ素系樹脂と、Nメチルピロリドン(NMP)の含有割合が75vol%以下である溶媒とを含むバインダと、絶縁性無機微粒子とを含むセラミックスラリーを、正極および負極の少なくとも一方の表面に塗布し、乾燥させることにより形成する。
塗布したセラミックスラリーを乾燥させることにより形成されるセラミックセパレータの厚みを20μm以下とする。
【選択図】図2
Description
(b)ポリオレフィン系セパレータは高抵抗でパワー特性の低下を招くため、その対策として、膜厚を薄くすることや、空隙率を高くすることが考えられるが、それらは容易ではなく、電池の高性能化を妨げる大きな要因となる。また、パワー特性を確保するために積層数を増加することが考えられるが、コストの増大を招く。
(c)ポリオレフィン系セパレータの膜厚は通常、20〜30μmと厚く、体積当たりのエネルギー密度が低くなるという問題点があり、また、セパレータの膜厚が薄くなるほど高エネルギー密度の電池を設計できるが、ポリオレフィン系セパレータの膜厚をハンドリング上の問題などから薄くすることは非常に困難である。
正極、負極、前記正極と前記負極の間に介在するように配設されたセラミックセパレータ層、およびリチウムイオン伝導性非水電解質を含む電池要素と、前記電池要素を収容する外装体と、を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
主成分であるフッ素系樹脂と、Nメチルピロリドン(NMP)の含有割合が75vol%以下である溶媒とを含むバインダと、絶縁性無機微粒子とを含むセラミックスラリーを、前記正極および前記負極の少なくとも一方の表面に塗布し、乾燥させることにより前記セラミックセパレータ層を形成する工程を備えていること
を特徴としている。
セラミックセパレータの厚みを20μm以下にすることにより、リチウムイオン二次電池の厚みを薄くして、高エネルギー密度、高パワー密度を実現することが可能になる。
その結果、低コストで高エネルギー密度、高パワー密度を実現することが可能で、安全性に優れたリチウムイオン二次電池を、より確実に製造することが可能になる。
なお、上記Xとしては、たとえば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)などが例示される。
正極、負極、前記正極と前記負極の間に介在するように配設されたセラミックセパレータ層、およびリチウムイオン伝導性非水電解質を含む電池要素と、前記電池要素を収容する外装体と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
上記本発明のリチウムイオン二次電池の製造方法により製造されたものであること
を特徴としている。
(b)高抵抗の多孔質のポリマーセパレータを用いる必要がないので、高パワー密度を実現することになる。そして、積層型電池の場合には、高抵抗の多孔質のポリマーセパレータを用いることが不要になり、所望のパワー特性を得るための積層数を低減して、コストの低減を図ることができる。
(c)多孔質ポリマーセパレータの膜厚は通常20μm以上(20〜30μmとすることが多い)であるが、このような膜厚の厚い多孔質ポリマーセパレータを使用しないことから、体積当たりのエネルギーを高くすることができる。すなわち、エネルギー(あるいは容量)の発現に寄与しないセパレータの中でも、特に体積の大きい多孔質ポリマーセパレータを不要にすることが可能になるため、エネルギー密度を向上させることができる。
この実施形態では、以下に説明する方法により、本発明の実施例にかかるリチウムイオン二次電池(試料)(実施例1〜4のリチウムイオン二次電池)を作製した。
工程1:正極活物質スラリーの作製
マンガン酸リチウム(戸田工業(株)製、HPM−7051、平均粒子径D50=6.1μm)88g、黒鉛(ティムカル社製、KS−6)2g、黒鉛(ティムカル社製、Super P Li)6gを秤量した。
グラファイト(三菱化学(株)製、GTR6、平均粒子径D50=11.0μm)85g、導電助剤(日立化成(株)製、SMSC10−4V3)15g、NMP100g、ポリフッ化ビニリデン((株)クレハ製、#7305)の10質量%NMP溶液53gを秤量し、プラネタリーミキサーで撹拌して負極活物質用スラリーを作製した。
上記工程1で作製した正極活物質スラリーをアルミ箔(東海東洋アルミ販売(株)製、厚さ20μm)からなる正極集電体箔上に塗工し、乾燥後プレスすることにより正極を作製した。さらに正極集電箔の露出した部分にニッケルタブを取り付け、引き出し電極を作製した。
上記工程2で作製した負極活物質スラリーを圧延銅箔(日本製箔(株)製、厚さ10μm)からなる負極集電体箔上に塗工し、乾燥後プレスすることにより負極を作製した。さらに負極集電箔の露出した部分にニッケルタブを取り付け、引き出し電極を作製した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径D50=0.3μm)80gと、溶剤としてNMP75gを投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
図1に示すように、上記工程3で作製した正極1と、上記工程5で作製した、セラミックセパレータ層11を備えた負極2とを対向させて接合することにより、図2に示すような1対の電極(正極と負極)からなる電池素子20を作製した。
最後にラミネートパッケージの開口部分を真空シールすることによりリチウムイオン二次電池(電池セル)を作製した。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更して、実施例2のリチウムイオン二次電池(電池セル)を作製した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径D50=0.3μm)80gと、溶剤として、NMP75gと、MEK25gとを投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更して、リチウムイオン二次電池(実施例3の電池セル)を作製した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径D50=0.3μm)80gと、溶剤として、NMP56gと、MEK44gとを投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更して、リチウムイオン二次電池(実施例4の電池セル)を作製した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径D50=0.3μm)80gと、溶剤として、NMP56gと、MEK44gとを投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
上述のようにして作製した実施例1〜4のリチウムイオン二次電池の特性を評価するため、10個のリチウムイオン二次電池について、ショート不良の発生の有無を確認した。
なお、表1には、セラミックセパレータの形成に用いたセラミックスラリーを構成する成分、形成したセラミックセパレータの膜厚などを併せて示す。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更した、比較例1にかかる方法でセラミックセパレータ層を形成した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径(D50)0.3μm)を80gと、溶剤としてNMPを100g、投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更した、比較例2にかかる方法でセラミックセパレータ層を形成した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径(D50)0.3μm)を80gと、溶剤としてNMPを75g、MEKを25g投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
上記実施例1の工程5における、セラミックセパレータ層の形成方法を以下のように変更した、比較例3にかかる方法でセラミックセパレータ層を形成した。
500mLのポットに、球状アルミナ粉末(電気化学工業(株)製、平均粒子径(D50)0.3μm)を80gと、溶剤としてNMPを75g、MEKを25g投入した。さらに直径5mmのPSZ製粉砕メディアを入れ、転動ボールミルを用いて150rpmで16時間混合し、分散を行った。
2 負極
11 セラミックセパレータ層
20 電池素子
Claims (6)
- 正極、負極、前記正極と前記負極の間に介在するように配設されたセラミックセパレータ層、およびリチウムイオン伝導性非水電解質を含む電池要素と、前記電池要素を収容する外装体と、を備えたリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
主成分であるフッ素系樹脂と、Nメチルピロリドン(NMP)の含有割合が75vol%以下である溶媒とを含むバインダと、絶縁性無機微粒子とを含むセラミックスラリーを、前記正極および前記負極の少なくとも一方の表面に塗布し、乾燥させることにより前記セラミックセパレータ層を形成する工程を備えていること
を特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 塗布したセラミックスラリーを乾燥させることにより形成される前記セラミックセパレータの厚みを20μm以下とすることを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 前記バインダを構成する前記フッ素系樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と有機物質(X)の共重合体(PVDF−X)が用いられており、
前記Xは、前記溶媒中の前記NMPの含有割合を75vol%以下とした場合にも、前記PVDF−Xを溶解させることができるようなモノマーであり、
前記Xによる前記PVDFの置換量が3mol%以上であること
を特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記バインダを構成する前記フッ素系樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体(PVDF−HFP)が用いられており、
前記HFPによる前記PVDFの置換量が3mol%以上であること
を特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。 - 前記バインダとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とアクリル樹脂とを含むバインダが用いられており、前記PVDFと前記アクリル樹脂の合計量に対する前記PVDFの割合が80〜30質量%であることを特徴とする請求項1または2記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
- 正極、負極、前記正極と前記負極の間に介在するように配設されたセラミックセパレータ層、およびリチウムイオン伝導性非水電解質を含む電池要素と、前記電池要素を収容する外装体と、を備えたリチウムイオン二次電池であって、
請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法により製造されたものであること
を特徴とするリチウムイオン二次電池。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180206 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20180807 |