JP2015191143A - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1.Cプレート
2.Cプレートの製造方法
3.Cプレートを適用した光学フィルム
図1は、本実施の形態に係る、Cプレートの構成の一例を示す断面図である。本実施の形態では、例えば画像表示装置において、このCプレート1を各種の光学フィルムと共に液晶表示パネルの視聴者側面に配置することによって、種々の光学特性を向上させることができる。なお、ここでの光学特性の向上とは、例えば視野角特性の向上、斜め方向に係る光漏れの低減に係る光学補償、色味の補正等である。
基材11としては、特に限定されないが、Cプレートとしての機能を損なわないようにする観点から、光学異方性の小さな材料を適用することが好ましい。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリカーボネート、COP(環状オレフィンポリマー)等の透明フィルムを適用することができる。
[垂直配向膜の構成について]
垂直配向膜12は、基材11上に塗膜として設けることで、光学機能層13に適用される液晶分子の分子軸をホメオトロピック配向させる機能を有する配向膜である。
バインダー樹脂は、上述したようにガラス転移温度(Tg)が80℃以上である樹脂であって、垂直配向膜12を構成するものである。このバインダー樹脂としては、Tgが80℃以上の樹脂により構成されるものであれば特に限定されず、例えば、スチレン系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、1,2−ポリブタジエン系、塩化ビニル系、及びポリアミド系等の各種の樹脂を用いることができる。その中でも、バインダー樹脂としては、スチレン系樹脂であることが好ましい。
アクリルモノマーは、上述したバインダー樹脂と共に含有させることによって、垂直配向性を示すものである。アクリルモノマーとしては、上述したバインダー樹脂と架橋可能なモノマーであって相溶性が良好なものであれば特に限定されず、単官能アクリルモノマーであっても、多官能アクリルモノマーであってもよい。
上述したバインダー樹脂やアクリルモノマー等の配向材料は、一般的に溶媒に溶かして用いられる。これにより、配向膜組成物の基材11に対する塗工性を向上させることができる。具体的に、溶媒としては、バインダー樹脂やアクリルモノマー等の配向材料を所望の濃度に溶解できるものであれば特に限定されるものでない。
また、垂直配向膜12を構成する配向膜組成物としては、上述した成分と共に、重合開始剤を含有させることが好ましい。
なお、この垂直配向膜12においては、その効果を損なわない範囲でその他の添加剤を含有させることができる。具体的には、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤等を含有させることができる。
垂直配向膜12は、上述した垂直配向膜材料(配向膜組成物)による塗工液を基材11上に塗布して乾燥させた後、紫外線等の照射あるいは加熱により硬化させることで形成することができる。
[光学機能層の構成について]
光学機能層(液晶層)13は、Cプレートとしての光学的機能を担う層であり、各種の光学フィルムの位相差層の作製に供する液晶材料であって、波長分散特性が例えば逆分散特性である液晶材料により形成される。
具体的に、液晶材料としては、重合性液晶組成物を含有する。この重合性液晶組成物は、液晶性を示し分子内に重合性官能基を有する液晶化合物(棒状化合物)を含有する。
上述した液晶化合物は、通常、溶媒に溶かされている。溶媒としては、液晶化合物等を均一に分散できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、シクロヘキサン等のアノン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒を例示することができるが、これらに限られない。また、溶媒は、1種類単独であってもよいし、2種類以上の混合溶媒であってもよい。
また、液晶組成物には、必要に応じて他の添加剤を含有させることができる。他の化合物としては、上述した液晶化合物の配列秩序を害するものでなければ特に限定されるものではなく、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、可塑剤、界面活性剤及びシランカップリング剤等を挙げることができる。例えば、重合開始剤として、ラジカル重合開始剤を含有させることができる。
光学機能層13は、垂直配向膜12上に光学機能層13を構成する液晶組成物からなる塗工液を塗布した後、乾燥させて紫外線や電子線等の照射を行うことで硬化させることによって作製することができる。
光学機能層13の厚さとしては、特に限定されないが、適切な配向性能を得るためには、例えば500nm〜2000nm程度であることが好ましい。
次に、上述した構成のCプレート1の製造方法について簡単に説明する。図2は、Cプレート1の製造工程を示すフローチャートである。
次に、上述したCプレートを適用した光学フィルムについて説明する。この光学フィルムにおいては、画像表示パネルに配置される各種の光学フィルムに一体にCプレートを作製するようにして、このCプレートとして上述したCプレート1の構成を適用する。
ここで、Cプレートとの一体化に係る構成の光学フィルムにおいては、正のCプレートを配置する箇所の部材表面に、上述したCプレート1の垂直配向膜12、光学機能層13を順次積層させるようにする。このような光学フィルムとしては、液晶表示パネルの出射面に配置される直線偏光板による光学フィルム、この直線偏光板とカラーフィルタを一体化した光学フィルム等、種々の構成を広く適用することができる。なお、液晶表示パネルの出射面に配置される直線偏光板による光学フィルムや、この直線偏光板とカラーフィルタを一体化した光学フィルムにあっては、Cプレートを使用した光学補償が種々に提案されており、上述したCプレート1を適用することができる。
次に、より具体的に、上述した液晶表示装置2における光学フィルム21について説明する。図4は、上述した光学フィルム21の構成例を示す断面図である。図4に示すように、光学フィルム21は、基材11と、垂直配向膜12と、光学機能層(液晶層)13とが順次積層されたCプレート26(上述した説明における「Cプレート1」を適用。したがって、以下では「Cプレート26(1)」と表記する。)上に、UV接着剤等からなる接着層30を介して偏光子27が積層されてなり、その偏光子27上に、TACフィルム等からなる基材(保護フィルム)28が貼合されている。
以下に示すようにして、実施例、比較例において、正のCプレートを備えた光学フィルムを作製した。
<Cプレートの作製>
(垂直配向膜)
バインダー樹脂として、スチレンと、メタクリル酸メチルと、シクロへキシルマレイミドとを各100質量部ずつ混合し、液状重合させて得られた共重合体を用いた。なお、このバインダー樹脂の重合度は80,000g/molであり、ガラス転移温度(Tg)は130℃であった。
次に、このようにして形成した垂直配向膜上に、重合性液晶組成物(RMM28B、メルク社製)をダイヘッドコーティング方式で塗工した。その後、乾燥温度65℃で5分間乾燥させた後に、紫外線照射装置(Hバルブ、Fusion社製)を用いて照射量が380mJ/cm2となるように紫外線を照射して硬化させる光学機能層を形成した。
次に、偏光子として、親水性高分子フィルムであるポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素/ヨウ化カリウムの水溶液(濃度0.3%)に浸漬して一軸延伸させた後に乾燥させることで得られた偏光子を準備した。また、接着層を構成する材料として、カルボン酸含有ポリマーである無水マレイン酸−ビニルエチルエーテル共重合体を80℃の熱水中で撹拌して固形分濃度10重量%の光硬化接着剤溶液を調製した。
そのガラス転移温度(Tg)が120℃となるように、スチレンと、メタクリル酸メチルと、シクロへキシルマレイミドとの共重合体を共重合させてバインダー樹脂を調整した。このように調製したバインダー樹脂を50質量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を50質量部とを、エタノール/ブチルセロソルブ系の溶媒に10%の濃度となるように混合して配向膜組成物を調製した。
そのガラス転移温度(Tg)が110℃となるように、スチレンと、メタクリル酸メチルと、シクロへキシルマレイミドとの共重合体を共重合させてバインダー樹脂を調整した。このように調製したバインダー樹脂を50質量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を50質量部とを、エタノール/ブチルセロソルブ系の溶媒に10%の濃度となるように混合して配向膜組成物を調製した。
そのガラス転移温度(Tg)が80℃となるように、スチレンと、メタクリル酸メチルと、シクロへキシルマレイミドとの共重合体を共重合させてバインダー樹脂を調整した。このように調製したバインダー樹脂を50質量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を50質量部とを、エタノール/ブチルセロソルブ系の溶媒に10%の濃度となるように混合して配向膜組成物を調製した。
そのガラス転移温度(Tg)が0℃以下である、変性ポリオレフィン系のバインダー樹脂(ユニストールP901、三井化学(株)製)を用い、そのバインダー樹脂を50質量部と、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を50質量部とを、エタノール/ブチルセロソルブ系の溶媒に10%の濃度となるように混合して配向膜組成物を調製した。
上述のようにして各実施例及び比較例にて作製した、正のCプレートを備えた光学フィルムについて、偏光子の収縮によるCプレートでの基材と垂直配向膜との間における層間ズレの有無(及び大きさ)を測定した。具体的に、層間ズレの評価は、作製した光学フィルムを10cm×10cmの大きさにカットして試験サンプルとし、その試験サンプルに対して、85℃(dry)の温度条件下での耐久性試験を500時間行うことによって評価した。この耐久性試験により、偏光子に収縮を生じさせ、その偏光子の収縮応力によるCプレート中の基材と垂直配向膜との間の層間ズレの発生の有無を確認した。
『◎◎』:層間ズレが全く無かったもの
『◎』:層間ズレは確認されたもののズレの大きさが50μm未満であったもの
『○』:層間ズレの大きさが50μm以上100μm未満であったもの
『×』:層間ズレの大きさが100μm以上であったもの
2 液晶表示装置
11、25A、25C、28 基材
12 垂直配向膜
13 光学機能層
21 光学フィルム
22 バックライト
23 液晶表示パネル
24 液晶セル
25 直線偏光板
25B 偏光子
26 光学補償層(+Cプレート)
27 偏光子
30 接着層
Claims (7)
- 基材と、垂直配向膜と、該垂直配向膜の配向規制力により配向した状態で固化した液晶材料による光学機能層とがこの順に積層された積層体を備え、
前記垂直配向膜は、バインダー樹脂と、アクリルモノマーとを含み、該バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることを特徴とする光学フィルム。 - 前記バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記バインダー樹脂は、シクロへキシルマレイミドを共重合成分として含む共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム。
- 前記バインダー樹脂は、スチレンと、メタクリル酸メチルと、シクロへキシルマレイミドとの共重合体であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルム。
- 前記アクリルモノマーは、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の光学フィルム。
- 前記基材は、シクロオレフィン系ポリマーからなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光学フィルム。
- 基材上に垂直配向膜を形成する配向膜形成工程と、
前記垂直配向膜上に、液晶材料による塗工液を塗布して、該垂直配向膜の配向規制力により該液晶材料を配向させた状態で固化させることによりCプレートとして機能する光学機能層を形成する光学機能層形成工程とを備え、
前記配向膜作製工程では、バインダー樹脂と、垂直配向性を示すアクリルモノマーとを含み、該バインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)が80℃以上である配向膜組成物を前記基材上に塗布することによって垂直配向膜を形成することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
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