JP2015189636A - テルル化合物ナノ粒子及びその製法 - Google Patents

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【課題】低毒性で生体イメージングに適用可能なテルル化合物ナノ粒子を提供する。【解決手段】AgOAc、In(OAc)3を等モル試験管に量り取り、これに1−ドデカンチオールを加えた混合液を作製した。試験管内部を減圧後、窒素充填した。これにTe前駆体溶液を撹拌しながら加え、180℃で10分間加熱した後、室温まで放冷した。得られた生成物にエタノールを加えた後、遠心分離して沈澱を集め、その沈殿にトルエン若しくはオクタンを加えて沈澱を溶解させ、再び遠心分離することで粗大な粒子などを取り除き、AgInTe2量子ドットを含む溶液を得た。【選択図】なし

Description

本発明は、テルル化合物ナノ粒子及びその製法に関する。
波長700−2500nmの光を近赤外光と呼び、中でも700−1300nmの近赤外光は、水やヘモグロビンの吸収が弱いため、生体の透過性が高い。そのため、この波長領域の近赤外光を吸収して近赤外光を発光する標識剤(近赤外発光標識剤)は、生体イメージングに応用することができる。近年では、近赤外発光標識剤として量子ドットを用いた生体イメージングが注目されている。しかし、こうした量子ドットは、毒性が懸念される元素(CdやPb)を含んでいることが多い。こうした状況下、低毒性のAg2S量子ドットを生体イメージングに適用した例が報告されている(非特許文献1,2参照)。
Biomaterials 2012, vol.33, pp.5130-5135 Journal of Materials Chemistry 2012, vol.22, pp.14674-14681
しかしながら、非特許文献1,2及びそれ以外の文献に記載された値を総合すると、Ag2S量子ドットの発光量子収率は2−39%であり、安定した値が得られにくいという問題あった。また、Ag2Sは吸収係数が低く、強度の小さな励起光によって効率よく光励起ができない欠点があった。そのため、Ag2Sに代わる低毒性で生体イメージングに適用可能な化合物の開発が望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、低毒性で生体イメージングに適用可能なテルル化合物ナノ粒子を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、Ag塩とIn塩とを加えたチオール溶液にTe前駆体を加えて加熱することでテルル化合物ナノ粒子が得られること、また、そのテルル化合物ナノ粒子が優れた近赤外発光特性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のテルル化合物ナノ粒子は、M12Te2(M1は11族元素であり、M2は13族元素である)で表されるものである。
また、本発明のテルル化合物ナノ粒子の製法は、(a)トリアルキルホスフィンにTe粉末を加えた混合液を200−250℃で熱処理して透明な溶液を得る工程と、(b)この透明な溶液を、炭化水素系チオールにM1塩とM2 塩とを加えた溶液に加えたあと180−280℃に加熱する工程と、を含むものである。
本発明によれば、低毒性で生体イメージングに適用可能なテルル化合物ナノ粒子を提供することができる。具体的には、本発明のテルル化合物ナノ粒子は、CdやPbなどの高毒性重金属元素を含まないため毒性が低く、生体透過性が高い波長領域の近赤外光を吸収して近赤外光を発光するため生体イメージングに適用可能である。
TEM像の写真であり、(a)は実験例1、(b)は実験例3、(c)は実験例5、(d)は実験例6の写真である。 TEM像に基づいて算出した粒子の長さ及び標準偏差を示すグラフである。 各実験例のXRDパターンを示すグラフである。 実験例3−6の吸収及び発光スペクトルを示すグラフである。 発光量子収率と反応温度との関係を示すグラフである。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、M12Te2(M1は11族元素であり、M2は13族元素である)で表されるものである。
ここで、ナノ粒子とは、大きさが1−100nmの粒子をいう。例えば、ナノ粒子の形状が球状の場合には、平均粒径が1−100nmの粒子であり、ロッド状の場合には長軸の平均長さも短軸の平均長さも1−100nmの粒子である。
1は周期表第11族元素であり、Ag、Cu、Auなどが挙げられるが、このうちAg、Cuが好ましく、Agが特に好ましい。M2は周期表第13族元素であり、In、Ga、Al、Bなどが挙げられるが、このうち、In、Gaが好ましく、Inが特に好ましい。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、近赤外発光量子ドットとして用いることができる。この場合の近赤外光は、生体透過性の高い波長700−1300nmの光をいう。近赤外発光量子ドットとは、近赤外光又はそれよりも短い波長を吸収し、近赤外光を発光する量子ドットをいう。近赤外光は、水やヘモグロビンの吸収が弱いため、生体の透過性が高い。近赤外発光量子ドットは、細胞に取り込ませたあと近赤外光を吸収し発光することで、生体イメージングの標識剤として利用可能である。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、結晶構造が六方晶及び/又は正方晶であることが好ましい。近赤外発光量子収率の高いものから順に並べると、(1)六方晶、(2)六方晶及び正方晶の混合、(3)正方晶、となる。なお、六方晶はウルツ鉱型、正方晶はカルコパイライト型である。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、粒子の形状が球状又はロッド状であることが好ましい。球状粒子においては、平均粒径が1−12nmであることが好ましく、ロッド状粒子においては、短軸の平均長さが1−12nmで長軸の平均長さが10−20nmであることが好ましい。ロッド状としては、TEM像において長方形状、楕円形状、長円形状、多角形が長く延びた形状などが挙げられる。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、その表面が各種化合物で修飾されていてもよいが、炭化水素系チオールで修飾されていることが好ましい。炭化水素系チオールの炭化水素部位は、炭素数4−20であることが好ましく、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカンなどの分岐を有していてもよい飽和脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられ、このうち飽和脂肪族炭化水素が好ましい。炭化水素系チオールは、テルル化合物ナノ粒子の表面に硫黄が配位結合すると考えられる。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、Zn系化合物を含むシェルの中にコアとして存在していてもよい。このような構造をコアシェル構造と呼ぶ。コアシェル構造を持つ粒子が凝集したとしても、シェルが存在していることからコア同士が凝集することはない。このため、こうしたコアシェル構造を持つ粒子が凝集したとしても、コアをなすテルル化合物ナノ粒子は近赤外発光量子ドットとしての機能を十分発揮することができる。Zn系化合物としては、例えばZnTeやZnS,ZnSeなどが挙げられる。
本発明のテルル化合物ナノ粒子は、Znがドープされていてもよい。AgInS2量子ドットでは粒子内にZnをドープすることで発光が増強されることが知られている。本発明のテルル化合物ナノ粒子においても、粒子内にZnをドープすることで発光が増強されることが期待される。
本発明のテルル化合物ナノ粒子の製法は、(a)トリアルキルホスフィンにTe粉末を加えた混合液を200−250℃で熱処理して透明な溶液を得る工程と、(b)この透明な溶液を、炭化水素系チオールにM1塩とM2 塩とを加えた溶液に加えたあと180−280℃に加熱する工程と、を含むものである。
工程(a)において、トリアルキルホスフィンにTe粉末を加えた混合液を200−250℃で熱処理して透明な溶液を調製したのは、その後の反応をスムーズに進行させるためである。すなわち、工程(b)において、Te粉末をそのまま用いると、Te粉末が溶媒中に不均一に存在するためM1塩やM2 塩と反応しにくいが、工程(a)で調整した透明な溶液を用いると、透明な溶液中に均一に存在するTe−ホスフィン錯体がM1塩やM2 塩と反応しやすくなる。工程(a)で使用するトリアルキルホスフィンのアルキル基は、3つとも同じであってもよいし、2つが同じで1つが異なっていてもよいし、3つとも異なっていてもよいが、3つとも同じであることが好ましい。アルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば炭素数4−20の炭化水素基が好ましく、例えば、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。
工程(b)で使用する炭化水素系チオール、M1、M2 については、既に述べたとおりであるため、ここではその説明を省略する。M1塩やM2 塩は、特にどのような塩でもよいが、例えば酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩などが挙げられる。炭化水素系チオールは、M1塩やM2 塩と反応してチオレート錯体になると思われる。そして、このチオレート錯体とTeのホスフィン錯体とが反応して目的とするテルル化合物M12Te2になると思われる。一方、炭化水素系チオールの代わりに炭化水素系アミンを用いた場合には、目的物が得られない。この場合、炭化水素系アミンがM1塩やM2塩と反応してアミン錯体となり、そのアミン錯体の反応性が高すぎてM1 2Teなどとして沈下してしまうからだと思われる。反応温度については、150℃以下では、目的とするテルル化合物M12Te2が生成しにくいため好ましくない。また、280℃より高くても、得られるテルル化合物M12Te2の光学特性(特に発光量子収率)が向上しないため好ましくない。反応温度とテルル化合物M12Te2の結晶構造との間には相関関係があり、結晶構造は180−280℃のうちの低温領域(180−220℃)では六方晶になりやすく、中温領域(220−250℃)では正方晶と六方晶との混合物になりやすく、高温領域(250−280℃)では正方晶になりやすい。近赤外発光量子収率は正方晶に比べて六方晶の方が高くなる傾向にあるため、工程(b)では低温領域(180−220℃)で加熱するのが好ましい。
工程(b)の後、例えば以下のようにして目的とするテルル化合物を反応混合液から回収することができる。すなわち、工程(b)で加熱した混合液を放冷し、その混合液にアルコールを加えて沈澱を生成させ、その沈澱を混合液から分離し、分離した沈澱に炭化水素系溶媒を加えたあと粗大粒子を除去することにより、テルル化合物ナノ粒子を含む溶液を得ることができる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノールなどの低級アルコールを用いるのが好ましい。炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶媒を用いてもよいし、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの脂肪族炭化水素溶媒を用いてもよい。
本発明のテルル化合物ナノ粒子の製法によれば、上述したテルル化合物ナノ粒子を比較的容易に製造することができる。
なお、本発明は上述した例示に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
1.AgInTe2量子ドットについて
(1)Te前駆体の合成
10.7mmolのTe粉末をフラスコに加え、内部を窒素雰囲気に置換した後、同じく窒素雰囲気下で保管しておいたn−トリオクチルホスフィン30cm3を加えた。一度フラスコ内を減圧し、撹拌しながらマントルヒーターで加熱した。混合液の温度が80℃となったところで、フラスコ内に再び窒素を充填し、毎時100℃の速度で220℃になるまで昇温させた。加熱開始から3時間経過したところで、溶液がオレンジ色の透明な溶液となった。その後室温まで放冷すると、溶液は黄色に変化した。得られた前駆体溶液は実験に使用するまで窒素雰囲気下で保管した。
(2)AgInTe2量子ドットの作製(実験例1−6)
酢酸銀(AgOAc)、酢酸インジウム(In(OAc)3)を0.074mmolずつ試験管に量り取り、これに1−ドデカンチオール3.0cm3を加えた混合液を作製した。試験管内部を減圧後、窒素充填した。先に作製したTe前駆体溶液0.42cm3を撹拌しながら加え、表1に示した各実験例の実験条件(反応温度120−280℃)で10分間加熱した後、室温まで放冷した。得られた生成物にエタノールを加えた後、遠心分離して沈澱を集め、その沈殿にトルエン若しくはオクタンを加えて沈澱を溶解させ、再び遠心分離することで粗大な粒子などを取り除き、半導体量子ドットを含む溶液を得た。
(3)AgInTe2量子ドットの特性
(a)形状
実験例1−6で得られた半導体量子ドットについて、透過型電子顕微鏡(TEM、日立ハイテクノロジーズ、H−7650)を用いた観察を行った。TEMグリッドとして、市販のエラスティックカーボン支持膜付き銅グリッド(応研商事)を用いた。代表例として、実験例1,3,5,6で得られたTEM像を図1(a)−(d)に示す。また、各実験例のTEM像に基づいて算出した粒子の長さ及び標準偏差を図2に示す。反応温度120℃では球状の粒子が主に生成したが、180℃以上の反応温度では球状粒子とロッド状粒子の生成が見られ、ロッド状の粒子が主生成物であった。また、180℃以上の反応温度において、反応温度の増大に伴いロッド状の粒子のサイズが増大する傾向がみられた。
(b)結晶構造
実験例1−6で得られた量子ドットについて、XRDパターンを測定し、InTe,In2Te3,カルコパイライト型AgInTe2,ウルツ鉱型AgInTe2と比較した。カルコパイライト型AgInTe2は正方晶系、ウルツ鉱型AgInTe2は六方晶系である。ウルツ鉱型AgInTe2の回折パターンは報告されていないため、粉末X線結晶構造解析ソフト(RIETAN−FP)及び結晶構造描画ソフト(VESTA)を用いて、表2の結晶構造パラメータからシミュレーションを行った。図3のXRDパターンから明らかなように、反応温度が150℃以下ではAgInTe2の結晶構造とは一致せず、InTeのパターンなどと良く一致した。また、180℃ではウルツ鉱型AgInTe2、280℃ではカルコパイライト型AgInTe2が生成していることがわかった。これらの間の反応温度では、温度の上昇に伴って、ウルツ鉱型のみに見られるピーク(例えば43°付近)の強度がウルツ鉱型、カルコパイライト型いずれにも観察されるピーク(例えば40°付近)の強度と比較して、徐々に減少している。このことから、反応温度が高くなるにつれてウルツ鉱型AgInTe2が減少し、カルコパイライト型AgInTe2が増加していることが示唆される。また、EDX(堀場製作所製、EMAX Energy EX−250)の測定結果から、すべての条件で合成した量子ドットの組成を分析したところ、150℃以上の反応温度において、AgInTe2の化学量論組成であるAg:In:Te=1:1:2とほぼ一致した。
(c)吸収と発光
実験例3−6で得られた量子ドット溶液について、吸収及び発光スペクトルを測定した。その結果を図4に示す。吸収スペクトルより、180℃以上で反応させたサンプルでは、いずれの場合にも近赤外域である1100nm(1.1eV)以下に吸収が観察された。この値はバルクのAgInTe2報告値(0.96eV)よりも小さく、量子サイズ効果が発現しているものと考えられる。蛍光X線分析により実験例3のAgInTe2量子ドットのモル吸光係数を求めたところ、波長700nmにおいて1.4×106dm3mol(particle)-1cm-1であった。この値を低毒性近赤外発光量子ドットであるAg2Sと比較するため、ジエチルジチオカルバミン酸銀をオレイルアミン中100℃で5分間反応させて、平均粒径12.4nmのAg2S量子ドットを合成した。このAg2S量子ドットのモル吸光係数を算出したところ、同じく波長700nmで5.9×105dm3mol(particle)-1cm-1であり、AgInTe2の吸光係数のおよそ2/5であった。このことから、実験例3のAgInTe2量子ドットはAg2S量子ドットに比べて近赤外付近の光を効率よく吸収することがわかった。
実験例3−6で得られた量子ドット溶液を、700nmで吸光度0.1(光路長:1cm)となるように溶媒で希釈し、同じ波長で励起した際の発光スペクトル測定を行った(図4)。発光波長は温度によらずおよそ900−1300nmであり、反応温度によってその強度が大きく異なった。代表的な近赤外発光有機蛍光色素であるインドシアニングリーン(量子収率13.2%)を標準サンプルとして算出した、相対発光量子収率と、反応温度との関係を図5に示す。この図より、反応温度が低いサンプルほど発光量子収率が向上する傾向が見られ、180℃で発光量子収率は最大値である14%となった。このことから、AgInTe2は正方晶系よりも六方晶系の方が発光量子収率が高いことがわかった。
(4)AgInTe2量子ドットの作製(実験例7−13)
実験例7−10では、実験例3−6の条件で、溶媒にオレイルアミンを50vol%添加した。このようにしても、AgInTe2量子ドットが得られた。実験例11−13では、反応溶媒にオレイルアミンのみを用いた。これらの場合には、反応後に粒子は凝集体となり沈殿した。沈殿物のXRD測定結果からは、シャープなピークを持つAg2Teに帰属されるパターンが得られた。つまり、反応溶媒としてオレイルアミンを単独で用いた場合には、AgInTe2量子ドットが得られず、Ag2Teが得られることがわかった。その理由は明らかではないが、オレイルアミンがAgOAcと反応してAgアミン錯体となり、そのAgアミン錯体の反応性が高すぎてTeと反応してAg2Teが沈下してしまったからだと思われる。
2.AgInTe2量子ドットのコアシェル化
AgInTe2量子ドットは既報の文献(Chem. Commun. 2010, vol.46, pp.2082-2084)を参考にすることで、別の物質で表面を被覆したコア−シェル構造を形成することが可能である。具体的には、上記1.(2)で10分間加熱した後、エタノールを加えて沈殿させた量子ドットを、再び1−ドデカンチオールに分散させ、亜鉛源として酢酸亜鉛80.15mmol)を加えた後、ZnSでシェルを形成する場合には0.15mmolのチオアセトアミドを、ZnTeでシェルを形成する場合には上記1.(1)で作製したTe前駆体溶液(0.4cm3)を加え、窒素雰囲気下180℃で30分間加熱した。反応後の生成物を室温まで冷却した後、エタノールを加え遠心分離し、沈殿にトルエン若しくはオクタンを加えて溶解させ、再び遠心分離することで粗大な粒子を取り除き、コアがAgInTe2量子ドットでシェルがZnS又はZnTeであるコアシェル構造体を含む溶液を得た。得られた粒子は、700nmの光照射によって近赤外光領域で発光し、そのピークは約1100nmであることを確認した。
3.CuInTe2量子ドットについて
実験例3と同様の合成条件で、前駆体に用いる酢酸銀を酢酸銅(II)に変更して量子ドットの合成を行った。得られた量子ドットはサイズが約20nmであり、XRDよりカルコパイライト型CuInTe2であることが確認された。吸収スペクトルから、粒子は800nm以下の波長で光吸収することがわかり、また吸収スペクトルはエキシトンピークを示さないブロードなものであった。
なお、実験例3−10及び上記2,3が本発明の実施例に相当し、その他の実験例が比較例に相当する。本発明は、上述した実施例に何ら限定されるものではない。
本発明は、発光材料、特に生体イメージングの標識剤として利用可能である。

Claims (10)

  1. 12Te2(M1は11族元素であり、M2は13族元素である)で表されるテルル化合物ナノ粒子。
  2. 1はAg又はCuであり、 2はIn又はGaである、請求項1に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  3. 近赤外発光量子ドットである、請求項1又は2に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  4. 結晶構造が六方晶及び/又は正方晶である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  5. 粒子の形状が球状又はロッド状であり、球状粒子においては平均粒径が1−12nmであり、ロッド状粒子においては短軸の平均長さが1−12nmで長軸の平均長さが10−20nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  6. 前記テルル化合物ナノ粒子の表面は炭化水素系チオールで修飾されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  7. Zn系化合物を含むシェルの中にコアとして存在している、請求項1〜6のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  8. Znがドープされている、請求項1〜6のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子。
  9. (a)トリアルキルホスフィンにTe粉末を加えた混合液を200−250℃で熱処理して透明な溶液を得る工程と、
    (b)この透明な溶液を、炭化水素系チオールにM1塩(M1は11族元素)とM2 塩(M2は13族元素)とを加えた溶液に加えたあと180−280℃に加熱する工程と、
    を含むテルル化合物ナノ粒子の製法。
  10. 前記テルル化合物ナノ粒子は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のテルル化合物ナノ粒子である、請求項9に記載のテルル化合物ナノ粒子の製法。
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