JP2015189155A - 機能性積層材料、機能性積層材料の製造方法、および機能性積層材料を含む有機電界発光装置、ならびに重合性組成物 - Google Patents

機能性積層材料、機能性積層材料の製造方法、および機能性積層材料を含む有機電界発光装置、ならびに重合性組成物 Download PDF

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健介 益居
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【課題】着色が生じにくい機能性積層材料およびその製造方法、光取り出し効率のよい有機電界発光装置、ならびに上記機能性積層材料等の作製に有用な重合性組成物を提供すること。【解決手段】基板と光拡散層を含む光取り出し層とを含み、上記光拡散層は、有機光拡散粒子とバインダーとを含む光拡散層形成材料から形成された層であり、上記バインダーは、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む機能性積層材料;SP値が8.5(cal/cm3)1/2以上13(cal/cm3)1/2以下である溶媒を含む材料を用いる上記機能性積層材料の製造方法;上記機能性積層材料を用いた有機電界発光装置;ならびに酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む重合性組成物であって、重合性化合物の総質量に対し、30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む重合性組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、機能性積層材料およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明は基板上に光取り出し層を有する機能性積層材料およびその製造方法に関する。また、本発明は機能性積層材料を含む有機電界発光装置に関する。さらに、本発明は上記の機能性積層材料等の作製に有用な組成物に関する。
有機電界発光装置においては、従来から、有機電界発光層とその基板との間に光取り出し層を設けることが提案されている。例えば、特許文献1においては、光取り出し層として、平均粒径がミクロンオーダーの光拡散粒子とバインダーとを含む光拡散層形成材料から形成される光拡散層を含む構成が開示されている。バインダー形成のための材料には、屈折率調整のために、ナノサイズの酸化チタン微粒子が添加されている。
特開2012−155177号公報
有機電界発光装置の作製の際には、光取り出し層の上に、有機電界発光素子を形成する方法をとることができる。本発明者らが、上記のように酸化チタン微粒子を含むバインダーを用いて形成された光拡散層を含む光取り出し層を用いて有機電界発光装置を作製していたところ、有機電界発光素子形成後、光拡散層が着色してしまう問題に直面した。このような着色は、特に、ITO電極などの素子中の電極を作製する際の焼成工程によって、生じていると考えられた。
上記を鑑み、本発明の課題は、光取り出し層を有する機能性積層材料として、有機電界発光装置用基板として用いても、着色が生じにくい機能性積層材料およびその製造方法を提供することである。本発明は、また、光取り出し効率のよい有機電界発光装置を提供することを課題とする。さらに本発明は上記機能性積層材料等の作製に有用な重合性組成物を提供することを課題とする。
本発明者らが上記課題の解決のため、鋭意検討を重ねたところ、光拡散層形成材料のバインダーに加えられる重合性化合物として、特定の(メタ)アクリレートを用いることにより、着色が生じにくい光拡散層が得られることを発見し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は
以下の[1]〜[17]を提供するものである。
[1]基板および上記基板表面に設けられた光取り出し層を含み、上記光取り出し層は光拡散層を含み、上記光拡散層は、光拡散粒子とバインダーとを含む光拡散層形成材料から形成された層であり、上記光拡散粒子が有機粒子であり、上記バインダーは、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む機能性積層材料。
[2]上記バインダーが、上記バインダー中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む[1]に記載の機能性積層材料。
[3]上記バインダーが、上記バインダー中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む[1]に記載の機能性積層材料。
[4]上記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである[1]〜[3]のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
[5]上記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である[1]〜[3]のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
[6]上記光取り出し層が平坦化層を含み、上記光拡散層が上記平坦化層に対して上記基板側にあり、上記平坦化層が平坦化層形成材料から形成された層であり、上記平坦化層形成材料が、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む[1]〜[5]のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
[7]上記平坦化層形成材料が、上記平坦化層形成材料中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む[6]に記載の機能性積層材料。
[8]上記平坦化層形成材料が、上記平坦化層形成材料中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む[6]に記載の機能性積層材料。
[9]上記平坦化層形成材料に含まれるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである[6]〜[8]のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
[10]上記平坦化層形成材料に含まれるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である[6]〜[8]のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の機能性積層材料の製造方法であって、
(1)上記基板表面に上記光拡散層形成材料を塗布すること;
(2)上記塗布後に得られる上記基板と光拡散層形成材料塗布膜との積層体に光照射すること
を含み、
上記光拡散層形成材料は塗布される時点でSP値が8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下である溶媒を含む製造方法。
[12](3)上記(2)の光照射後に得られる上記基板と光拡散層との積層体の上記光拡散層の表面に平坦化層形成材料を塗布すること;および
(4)上記塗布後に得られる上記基板と上記光拡散層と上記平坦化層形成材料塗布膜との積層体に光照射することを含み、
上記平坦化層形成材料は塗布される時点でSP値が8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下である溶媒を含む[11]に記載の製造方法。
[13][1]〜[10]のいずれか一項に記載の機能性積層材料上に、透明電極、有機電界発光層、および反射電極をこの順に含み、
上記光取り出し層と上記透明電極とが直接接している有機電界発光装置。
[14]酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む重合性組成物であって、上記重合性組成物中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む重合性組成物。
[15]上記重合性組成物中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む[14]に記載の重合性組成物。
[16]上記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである[14]または[15]に記載の重合性組成物。
[17]上記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である[14]または[15]に記載の重合性組成物。
本発明により、光取り出し層を有する機能性積層材料として、有機電界発光装置用基板として用いても、着色が生じにくい機能性積層材料、およびその製造方法が提供される。また、上記機能性積層材料を用いて、光取り出し効率のよい有機電界発光装置を提供することができる。さらに本発明によっては、上記機能性積層材料等の作製に有用な重合性組成物が提供される。
本発明の機能性積層材料の一例の概略断面図である。 本発明の機能性積層材料の一例の概略断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレートおよびメタクリレートのいずれか一方または双方」の意味を表す。「(メタ)アクリロイル基」等も同様である。
<機能性積層材料>
本発明の機能性積層材料は、光取り出し機能を有する。光取り出し機能は、例えば、機能性積層材料の一方の面側に設けられる発光素子などからの発光を他方の面方向に効率良く取り出すことができる機能、またはフィルムの一方の面側に設けられる発光素子などからの発光を他方の面方向に拡散(散乱)させる機能である。機能性積層材料は有機電界発光装置用基板として用いることができる。
機能性積層材料は、基板および光取り出し層を含み、基板および光取り出し層の積層構造を有する。基板および光取り出し層は直接接していても、間に他の層が存在していてもよいが、直接接していることが好ましい。機能性積層材料において基板と光取り出し層との積層体の両外側には他の層が含まれていても含まれていなくてもよいが、含まれていないことが好ましい。
図1に機能性積層材料の一例の概略断面図を示す。図1に示す例では、基板としてガラス基板が用いられている。
図2に示す例では、ガスバリアフィルムが基板として用いられている、基材フィルム側から有機層、無機層、有機層、無機層がこの順に積層された構成を有しており、基材フィルム側から遠い方の無機層が光取り出し層における光拡散層と直接接している。
機能性積層材料はフィルム、シート、または板状のものなどであればよい。
機能性積層材料の膜厚は20μm〜200μmであることが好ましく、30μm〜150μmであることがより好ましい。
以下、機能性積層材料に含まれる各層について説明する。
<光取り出し層>
光取り出し層は、層の一方の面側に設けられる発光素子などからの発光を他方の面方向に効率良く取り出しかつ拡散させる機能を有していればよい。例えば、機能性積層材料が有機電界発光装置用基板として用いられる場合、光取り出し層の一方の面側に有機電界発光層を形成した構成で、有機電界発光層からの発光を他方の面側にある基板方向に、効率よく取り出して拡散させることができればよい。
光取り出し層の膜厚は1μm〜20μmであることが好ましく、3μm〜15μmであることがより好ましい。
光取り出し層は、光拡散層を含む。光取り出し層は、平坦化層を含んでいてもよい。光取り出し層は、光拡散層および平坦化層以外の他の層を含んでいてもよいが、光拡散層および平坦化層からなることが好ましい。機能性積層材料においては、光拡散層が基板側にあればよい。
<光拡散層>
光拡散層は層の一方の面側に設けられる発光素子などからの発光を他方の面方向に効率良く取り出しかつ拡散させる機能を有する。具体的には、屈折率がガラス基板(n(屈折率)=1.5程度))または(メタ)アクリレートの重合により形成されるポリマー層(n=1.6程度)よりも高くなるように調整されていればよい。
光拡散層を付与した発光素子は、角度によらず一定の輝度を得ることができる、すなわちランバーシアンを特徴とする。
光拡散層は光拡散粒子とバインダーとを含む光拡散層形成材料から形成される。光拡散層形成材料は下記バインダーに光拡散粒子を分散させた分散液として形成されていればよい。光拡散層形成材料はバインダーと光拡散粒子とを攪拌などにより混合すること、下記バインダー各成分と光拡散粒子とを溶媒に添加し混合することなどにより形成することができる。
<バインダー>
バインダーは、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含有する組成物であり、重合性組成物である。バインダーは必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。
<酸化チタン微粒子>
酸化チタン微粒子の添加により、光拡散層の屈折率を上げることができる。酸化チタン微粒子としては、特に限定されないが、光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子を用いることが好ましい。光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子を用いることにより、より着色の生じにくい、光拡散層を得ることができる。光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子としては、(1)酸化チタン微粒子表面をアルミナ、シリカ、およびジルコニアの少なくとも1種で被覆した酸化チタン微粒子、(2)上記(1)の被覆した酸化チタン微粒子の被覆表面に樹脂を被覆してなる酸化チタン微粒子などが挙げられる。上記樹脂としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などが挙げられる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子が、光触媒活性を有さないことの確認は、例えばメチレンブルー法により行うことができる。
光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子における酸化チタン微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼが主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。
酸化チタン微粒子は、酸化チタン以外の金属酸化物を添加して複合化されたものであってもよい。
酸化チタン微粒子に複合化させることができる金属酸化物の例としては、Sn、Zr、Si、Zn、およびAlから選択される少なくとも1種の金属酸化物が好ましい。金属酸化物のチタンに対する添加量は、1モル%〜40モル%が好ましく、2モル%〜35モル%がより好ましく、3モル%〜30モル%が更に好ましい。
酸化チタン微粒子の一次平均粒径は、1nm〜30nmが好ましく、1nm〜25nmがより好ましく、1nm〜20nmが更に好ましい。一次平均粒径が、30nmを超えると、分散液が白濁し、沈降が起きることがあり、1nm未満であると、結晶構造がはっきりせずアモルファスに近いものとなり、経時でゲル化などの変化が起こるようになる。
一次平均粒径は、例えば、X線回折装置で測定された回折パターンの半値幅からの計算や電子顕微鏡(TEM)撮影像の直径からの統計計算などにより測定することができるが、本明細書においては、電子顕微鏡(TEM)撮影像の直径からの統計計算に基づき測定された値を基準とするものとする。
酸化チタン微粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、または不定形状が好ましい。酸化チタン微粒子は、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上を併用して用いることもできる。
また、酸化チタン微粒子は、平均二次粒子径が100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることがさらに好ましい。
二次粒子径は、微粒子が理想的に分散した状態の粒子径と定義される一次粒径に対し、その一次粒子がある状態(環境中)で凝集した際の凝集体の大きさとして定義されるものである。一般的な微粒子が含有されている分散体中では、ある程度の大きさを持って凝集している場合が多い。また、平均二次粒子径の測定方法としては、動的光散乱法、レーザー回折法、画像イメージング法が挙げられるが、本明細書において定義される、平均二次粒子径の値は、動的光散乱法に基づくものとする。
平均二次粒子径を制御する方法として、分散剤の添加が挙げられる。分散剤の種類・添加量にて、分散状態を制御し、平均二次粒子径を調整する。
分散剤としては アミン系、ポリカルボン酸アルキルエステル系、ポリエーテル系の分散剤が挙げられ、特に限定されない。所望の平均二次粒子径に分散した市販品を用いてもよい。
酸化チタン微粒子は、屈折率が2.2以上3.0以下であり、2.2以上2.8以下がより好ましく、2.2以上2.6以下が更に好ましい。屈折率が、2.2以上であれば、光拡散層の屈折率を効果的に高めることができ、屈折率が、3.0以下であれば、酸化チタン微粒子が着色するなどの不都合がないので好ましい。
ここで、酸化チタン微粒子のように屈折率が高く(1.8以上)、平均一次粒径が1〜100nm程度の微粒子の屈折率を測定することは困難であるが、次のようにして屈折率を測定することができる。屈折率既知の樹脂材料に酸化チタン微粒子をドープし、酸化チタン微粒子が分散された樹脂材料をSi基板、または石英基板上に塗布膜を形成する。塗布膜の屈折率をエリプソメーターで測定し、塗布膜を構成する樹脂材料と酸化チタン微粒子の体積分率から、酸化チタン微粒子の屈折率が判る。
以下の式から算出される酸化チタン微粒子の含有率は、バインダーに対し、5体積%以上50体積%以下であり、10体積%以上45体積%以下がより好ましく、15体積%以上40体積%以下が更に好ましい。
式:酸化チタン微粒子の含有率(体積%)=(酸化チタン微粒子の質量/4(比重))/{(酸化チタン微粒子の質量/4(比重))+(バインダー中の重合性化合物の総質量/バインダー中の重合性化合物の比重)}
<イソシアヌル酸(メタ)アクリレート>
バインダーがイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含むことにより、光拡散層の着色を生じにくくすることができる。すなわち、例えば酸化チタン微粒子として光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子を用いた場合であっても、本発明者らの知見によれば、着色が生じる場合があった。しかし、イソシアヌル酸(メタ)アクリレートを用いることにより、このような着色が生じにくい。
イソシアヌル酸(メタ)アクリレートとしては、例えば以下の一般式〔1〕で表される化合物が挙げられる。
Figure 2015189155
一般式(I)中、3つのQは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基またはヒドロキシル基を示し、ただし少なくとも1つのQは(メタ)アクリロイルオキシ基を示し、3つのLは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、炭素数1〜4の2価の炭化水素基を示す。炭素数1〜4の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基などが挙げられ、アルキレン基であることが好ましい。炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,4−ブチレン基などが挙げられる。一般式(I)において、2つ以上のQが(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましく、全てのQが(メタ)アクリロイルオキシ基であることも好ましい。すなわち、イソシアヌル酸(メタ)アクリレートは、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートまたはイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートであることが好ましい。
イソシアヌル酸(メタ)アクリレートとして、具体的にはイソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ/ジ(メタ)アクリレート混合物(すなわち、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートの混合物)、イソシアヌル酸プロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸プロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ブチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレートおよびイソシアヌル酸ブチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、耐熱性の観点から、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ/ジ(メタ)アクリレート混合物が好ましい。トリ/ジ(メタ)アクリレート混合物においては、ジ(メタ)アクリレートのモル量がトリ(メタ)アクリレートのモル量に対し50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、1%以上であればよく、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。トリ(メタ)アクリレートのみを用いることも好ましいため、下限値は0%であってもよい。イソシアヌル酸(メタ)アクリレートは、例えば、東亞合成社製「M−313」(イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ/ジアクリレート(トリ/ジアクリレートはトリアクリレートとジアクリレートの混合物)、東亞合成社製「M−215」(イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート)、東亞合成社製「M−315」(イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート)、新中村化学A−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)として入手可能である。
イソシアヌル酸(メタ)アクリレートはバインダーの総質量に対して30質量%〜100質量%含まれていることが好ましく、80質量%〜100質量%含まれていることがより好ましい。
<他の重合性化合物>
バインダーはイソシアヌル酸(メタ)アクリレート以外に、他の重合性化合物を含んでいてもよい。他の重合性化合物としては、特開2013−43382号公報の段落0024〜0036または特開2013−43384号公報の段落0036〜0048に記載の多官能アクリルモノマー、WO2013047524に記載の式(2)で表されるフルオレン骨格を有する多官能アクリルモノマー、特開2012−155177号公報の段落[0020]〜[0045]に記載の熱可塑性樹脂、反応性硬化性樹脂と硬化剤との組み合わせ、他の多官能モノマーや多官能オリゴマーなどが挙げられる。
バインダー中の重合性化合物の総質量に対し、イソシアヌル酸(メタ)アクリレートは、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、または90質量%以上であればよく、91質量%以上、92質量%以上、93質量%以上、94質量%以上、95質量%以上、96質量%以上、97質量%以上、98質量%以上、または99質量%以上であることが好ましく、100質量%であることも好ましい。
<重合開始剤>
バインダーは、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤の例としては、特開2012−155177号公報の段落[0046]〜[0058]に記載の光重合開始剤などが挙げられる。具体的な例としてはチバ・スペシャルティー・ケミカルズ社から市販されているイルガキュア(Irgacure)シリーズ(例えば、イルガキュア651、イルガキュア754、イルガキュア184、イルガキュア2959、イルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア379、イルガキュア819など)、ダロキュア(Darocure)シリーズ(例えば、ダロキュアTPO、ダロキュア1173など)、クオンタキュア(Quantacure)PDO、ランベルティ(Lamberti)社から市販されているエザキュア(Ezacure)シリーズ(例えば、エザキュアTZM、エザキュアTZT、エザキュアKTO46など)等が挙げられる。重合開始剤を用いる場合、その含量は、重合に関与する化合物の合計量の0.1モル%以上であることが好ましく、0.5〜5モル%であることがより好ましい。このような組成とすることにより、活性成分生成反応を経由する重合反応を適切に制御することができる。
<フッ素系界面活性剤>
バインダーは、フッ素系界面活性剤を含有していてもよい。
フッ素系界面活性剤の例としては、特開2002−255921号、特開2003−114504、 特開2003−140288号、特開2003−149759号、特開2003−195454号、特開2004−240187号の各公報に記載のフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性(ベタイン性)のいずれであってもよく、特に限定されない。 具体的な化合物としては、特開2002−255921号公報記載のFS−1〜FS−29のアニオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−114504号公報に記載のFS−1〜FS−71のカチオン性および両性フッ素系界面活性剤、特開2003−140288号公報に記載のFS−1〜FS−38のアニオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−149759号公報に記載のFS−1〜FS−39のカチオン性フッ素系界面活性剤、特開2003−195454号公報のFS−1〜FS−32のアニオン性、カチオン性およびノニオン性フッ素系界面活性剤を挙げることができる。
フッ素系界面活性剤は光拡散層形成材料の固形分全質量(溶媒を除いた後の質量)に対し、0.01質量%以上含まれていればよい。
<溶媒>
バインダーは上記各成分を溶媒に溶解し、形成したものであればよい。上記各成分と光拡散粒子とを溶媒に混合してバインダー中に光拡散粒子が分散した分散液として光拡散層形成材料を調製してもよい。溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、SP値(Solubility Parameter(溶解度パラメータまたは溶解性パラメータ)が14(cal/cm31/2以下の有機溶媒が好ましい。
ここで、溶解性パラメータ(SP値)は、沖津法によって求めることができる。沖津法については、日本接着学会誌Vol.29、No.6(1993年)249〜259頁に詳述されている。
光拡散層形成材料および平坦化層形成材料に用いられる溶媒は、いずれもSP値が8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下であることがより好ましい。また、光拡散層形成材料中、特にバインダー中の溶媒とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとのSP値の差は2(cal/cm31/2以内であることが好ましい。なお、1(cal/cm31/2は約2.05(MPa)1/2に相当する。
溶媒の例としては、アルコール類、ケトン類、エステル類、アミド類、エーテル類、エーテルエステル類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。具体的には、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノアセテート等)、ケトン(例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等)、エステル(例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、乳酸エチル等)、脂肪族炭化水素(例えばヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例えばメチルクロロホルム等)、芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、アミド(例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等)、エーテル(例えばジオキサン、テトラハイドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等)、エーテルアルコール(例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エチルセルソルブ、メチルカルビノール等)が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、芳香族炭化水素、ケトン類が好ましく、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンがより好ましく、トルエン、キシレンが特に好ましい。
SP値8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下の溶剤の例としては、エタノール、イソプロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド、ジオキサン、テトラハイドロフランなどのエーテル、セロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルアルコールが挙げられる。
さらに、溶媒は多官能モノマーとのSP値の差が、±2(cal/cm31/2以下であることが好ましい。例えば、多官能モノマーがトリメチロールプロハントリアクリレート(SP値:9.58(cal/cm31/2)であった場合、SP値の近いメチルエチルケトン(SP値:9.19(cal/cm31/2)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(SP値:9.21(cal/cm31/2)、アセトン(SP値:9.46(cal/cm31/2)と組み合わせることが好ましい。
<光拡散粒子>
光拡散粒子としては、光を拡散可能なものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機粒子であればよい。2種以上の光拡散粒子を用いてもよい。
有機粒子としては、例えばポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリメチルメタクリレート粒子、アクリル−スチレン共重合体粒子、メラミン粒子、ポリカーボネート粒子、ポリスチレン粒子、架橋ポリスチレン粒子、ポリ塩化ビニル粒子、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子、などが挙げられる。
これらの中でも、光拡散粒子としては、耐溶剤性とバインダー中の分散性の点で架橋状態の樹脂粒子が好ましく、架橋ポリメチルメタクリレート粒子が特に好ましい。
光拡散粒子が、架橋状態の樹脂粒子であることは、溶剤、例えばトルエン中に分散させ、樹脂粒子の溶け難さを見ることで確認することができる。
光拡散粒子の屈折率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0〜3.0が好ましく、1.2〜1.6がより好ましく、1.3〜1.5が更に好ましい。屈折率が、1.0未満および3.0を超えると、光拡散(散乱)が強くなりすぎるため、後方散乱が強くなり、光取り出し効率が低下することがある。
光拡散粒子の屈折率は、例えば自動屈折率測定器(KPR−2000、株式会社島津製作所製)を用い、屈折液の屈折率を測定してから、精密分光計(GMR−1DA、株式会社島津製作所製)で、シュリブスキー法により測定することができる。
バインダーの屈折率Aと光拡散粒子の屈折率Bとの屈折率差|A−B|(絶対値)は、0.2以上1.0以下であればよく、0.2以上0.5以下が好ましく、0.2以上0.4以下が更に好ましい。
光拡散粒子の平均粒径は、0.5μm〜10μmが好ましく、0.5μm〜6μmがより好ましく、1〜3μmが更に好ましい。光拡散粒子の平均粒径が、10μmを超えると、光の殆どが前方散乱になり、光拡散粒子による光の角度を変換する能力が低下してしまうことがある。一方、光拡散粒子の平均粒径が、0.5μm未満であると、可視光の波長より小さくなり、ミー散乱がレイリー散乱の領域に変化し、光拡散粒子の散乱効率の波長依存性が大きくなり、有機電界発光素子の色度が大きく変わったり、後方散乱が強くなったりして、光取り出し効率が低下することがあると予想される。
光拡散粒子の平均粒径は、例えば日機装株式会社製ナノトラックUPA−EX150等の動的光散乱法を利用した装置や、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができるが、本明細書において記載される、光拡散粒子の平均粒径の値はSEM写真の画像処理にて測定した値に基づくものとする。
光拡散粒子の、バインダーの固形分(揮発分が揮発した後の残分)中に占める割合は、20〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。
<光拡散層(平坦化層)の形成方法>
光拡散層は、光拡散層形成材料を、基板表面に塗布し、さらに塗布膜を硬化することにより形成することができる。必要に応じて、塗布後の乾燥や、硬化前、硬化時もしくは硬化後の加熱を行ってもよい。なお、後述のように、基板表面ではなく、光拡散層表面に形成されるという点を除き、平坦化層を設ける場合は、平坦化層も同様に形成すればよい。
塗布は、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等の公知の薄膜形成方法で行うことができる。このうち、下地無機層に接触しないような、非接触搬送と、ダイコーターもしくはスリットコーターを用いたエクストルージョンコート法による塗布が好ましい。
また、光拡散層形成材料および平坦化層形成材料はいずれも塗布される時点で、粘度が1Pa・s以上20Pa・s以下に調製されていることが好ましく、2Pa・s以上10Pa・s以下に調製されていることがより好ましい。さらに、光拡散層形成材料および平坦化層形成材料はいずれも塗布される時点で表面張力が21×10-5N以上27×10-5N 以下に調製されていることが好ましく、24×10-5N 以上27×10-5N 以下に調製されていることがより好ましい。上記の粘度の調整は添加する溶媒量を調整することにより行うことができる。また表面張力の調整は界面活性剤の添加量を調整することにより行うことができる。上記の範囲に粘度および表面張力を調製することにより、外乱の影響による塗布膜の表面張力ムラを抑制することができる。
塗布液は、光(例えば、紫外線)、電子線、または熱線にて、硬化させればよく、光によって硬化させることが好ましい。特に、塗布液を25℃以上の温度(例えば、30〜130℃)をかけて加熱しながら、硬化させることが好ましい。加熱により、イソシアヌル酸(メタ)アクリレートの自由運動を促進させることで効果的に硬化させ、かつ、基板にダメージを与えずに成膜することができる。
光照射の光源は、光重合開始剤の反応する波長(吸収波長)付近であればいずれでもよく、吸収波長が紫外領域の場合、光源として、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、メタルハライド灯、キセノン灯、太陽光等が挙げられる。波長350nm〜420nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。また、吸収波長が赤外領域の場合、光源としてはハロゲンランプ、キセノンランプ、高圧ナトリウムランプが挙げられ、波長750nm〜1,400nmの入手可能な各種レーザー光源をマルチビーム化して照射してもよい。
光照射による光ラジカル重合の場合は、空気または不活性気体中で行うことができるが、ラジカル重合性モノマーの重合の誘導期を短くするか、または重合率を十分に高める等のために、できるだけ酸素濃度を少なくした雰囲気とすることが好ましい。酸素濃度範囲は0〜1,000ppmが好ましく、0〜800ppmがより好ましく、0〜600ppmが更に好ましい。照射する紫外線の照射強度は、0.1mW/cm2〜100mW/cm2が好ましく、塗布膜表面上での光照射量は、100mJ/cm2〜10,000mJ/cm2が好ましく、100mJ/cm2〜5,000mJ/cm2がより好ましく、100mJ/cm2〜1,000mJ/cm2が特に好ましい。
光照射量が、100mJ/cm2未満であると、光拡散層が十分に硬化せず、光拡散層上に平坦化層を塗布する際に溶解、また、基板洗浄時に崩壊することがある。一方、光照射量が、10,000mJ/cm2を超えると、光拡散層の重合が進み過ぎ表面が黄変し、透過率が低下し、光取り出し効率が低下することがある。
<光拡散層>
光拡散層における光拡散粒子の含有量は、30体積%以上66体積%以下が好ましく、40体積%以上60体積%以下がより好ましく、45体積%以上55体積%以下が特に好ましい。含有量が、30体積%未満であると、光拡散層に入射してきた光が光拡散粒子に散乱される確率が小さく、光拡散層の光角度を変換する能力が小さいので、光拡散層の厚みを充分に厚くしないと光取り出し効率が低下することがある。また、光拡散層の厚みを厚くすることはコストの増加に繋がり、光拡散層の厚みのバラツキが大きくなり、発光面内の散乱効果にバラツキが生じるおそれがある。一方、含有量が、66体積%を超えると、光拡散層の表面が大きく荒れ、内部にも空洞が生じることで、光拡散層の物理的強度が低下することがある。
光拡散層の平均厚みは、0.5μm〜15μmが好ましく、1μm〜7μmがより好ましく、1.5μm〜5μmが特に好ましい。
光拡散層の平均厚みは、例えば光拡散層の一部を切り取り、走査型電子顕微鏡(S−3400N、日立ハイテク株式会社製)で測定して求めることができる。
また、平坦化層が設けられる場合、光拡散層と平坦化層との膜厚の総計は1μm〜30μmであることが好ましい。
光拡散層中のバインダーの屈折率は、1.7〜2.2が好ましく、1.7〜2.1がより好ましく、1.7〜2.0が更に好ましい。バインダーの屈折率が、1.7未満であると、光取り出し効率が低下することがあり、2.2を超えると、光拡散層中のバインダー内の光触媒不活性処理した酸化チタン微粒子量が増えているため、散乱が強くなりすぎ、光取り出し効率が低下することがある。
また、光拡散層中のバインダーの屈折率は、有機電界発光層中の発光層の屈折率と同等乃至高いことが好ましい。さらに、光拡散層の屈折率は具体的には1.5〜2.5程度であればよく、1.6〜2.2であることが好ましい。また、光拡散層は平坦化層との屈折率差(Δn)が0.05以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましい。
光拡散層は表面に光拡散粒子が均一に分散していることが好ましく、高低差が0.3μm〜2μmであることが好ましい。
<平坦化層>
本発明の機能性積層材料は、平坦化層を含んでいてもよい。平坦化層は光拡散層に光拡散層表面の凸凹形状を平坦化するための層である。光拡散層表面の凸凹形状は主に光拡散粒子が分散されていることに起因して生じやすい。光拡散層表面に形成された平坦化層の表面では、表面粗さ(Ra)が10μm角(1辺が10μmの正方形)中で3nm以下となることが好ましい。なお、本明細書において、表面粗さの値は分子間力顕微鏡にて10μm角の大きさで測定したものとする。
<平坦化層形成材料>
平坦化層としては、光拡散層形成材料において光拡散粒子を含まない組成(バインダーの組成)の材料から形成されたものであればよく、光拡散層と同様にして形成することができる。すなわち、平坦化層形成材料は酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含んでいればよい。1つの光取り出し層における光拡散層の形成に用いられるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートと平坦化層の形成に用いられるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートは同一であっても異なっていてよい。1つの光取り出し層における光拡散層と平坦化層との形成材料の間では、酸化チタン微粒子、重合開始剤、界面活性剤、その他の添加剤等も同一であってもよく、異なっていてもよい。
平坦化層形成材料は光拡散層表面に塗布すればよい。この塗布の際、平坦化層形成材料は固形分濃度50%以下で溶媒を含む状態で、塗布量3mL/m2以上で塗布されることが好ましく、減率乾燥の時間が1秒以上となるように行うことが好ましい。
平坦化層の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5〜5μmが好ましく、1〜3μmがより好ましく、1.5〜2.5μmが特に好ましい。
光拡散層と平坦化層の合計平均厚みは、2μm〜15μmが好ましく、3μm〜14μmがより好ましく、5μm〜12μmが特に好ましい。
平坦化層の屈折率は、1.7〜2.2が好ましく、1.7〜2.1がより好ましく、1.7〜2.0が更に好ましい。
平坦化層の屈折率は、光拡散層の屈折率と同じであるか、または光拡散層の屈折率よりも高いことが好ましい。平坦化層の屈折率と光拡散層の屈折率との差(Δn)は上述のように0.05以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましい。
光拡散層と平坦化層の間には5nm以上の混合層が形成されていることが好ましい。
混合層の確認は、断面TEMにより行うことができる。また、混合層の膜厚の調整は平坦化層の形成の際の乾燥速度、拡散層形成材料の固形分濃度により行うことができる。溶剤量を増やし、乾燥時間を長くすることによっては混合層の膜厚を厚くでき、拡散層形成材料の固形分濃度を減らすことによっては混合層の膜厚を薄くできる。
<基板>
基板としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、形状としては、例えば平板状などが挙げられ、構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、機能性積層材料の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂が好ましく、ロールでの塗布適性の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)が特に好ましい。
基板としては、後述のガスバリアフィルムを用いてもよい。
基板の表面は、その上に設ける光拡散層との密着性を向上させるため、表面活性化処理を行うことが好ましい。表面活性化処理としては、例えばグロー放電処理、コロナ放電処理などが挙げられる。
基板は、適宜合成したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
基板の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましい。
基板の屈折率は、1.3〜1.8が好ましく、1.4〜1.7がより好ましく、1.4〜1.6が更に好ましい。基板の屈折率が、1.3未満であると、基板と光拡散層の屈折率差が大きくなり、光拡散層からの光が入射する際、フレネル反射が強くなり、光取り出し効率が低下することがあり、1.8を超えると、基板と空気(光出射側)の屈折率差が大きくなり、フレネル反射が強くなり、光取り出し効率が低下することがある。
以下、基板の好ましい一例であるガスバリアフィルムにつき説明する。
<ガスバリアフィルム>
機能性積層材料において、ガスバリアフィルムはバリア性およびフレキシビリティを有する基板として機能できる。ガスバリアフィルムとしては、従来公知のいずれのガスバリアフィルムを用いてもよい。ガスバリアフィルムは、一般的に基材フィルムと、該基材フィルム上に形成されたバリア層とを有する。ガスバリアフィルムにおいて、バリア層は、基材フィルムの片面にのみ設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよいが、片面のみに設けられていることが好ましい。
ガスバリアフィルムはいずれの面で光取り出し層と対面していてもよいが、バリア層を有する面側で光取り出し層と対面していることが好ましく、接していることがより好ましく、特に無機層で光取り出し層に接していることが好ましい。特に無機層と光拡散層が直接接していることが好ましい。
バリア層は少なくとも1層の無機層を含む。バリア層は少なくとも1層の無機層および少なくとも1層の有機層を含むバリア積層体であってもよい。
ガスバリアフィルムはバリア層および基材フィルム以外の構成成分(例えば、易接着層、または易滑性層等の機能性層)を有していてもよい。機能性層はバリア性積層体の上、バリア層と基材との間、基材上のバリア層が設置されていない側(裏面)のいずれに設置してもよい。
(基材フィルム )
ガスバリアフィルムは、通常、基材フィルムとして、プラスチックフィルムを用いる。用いられるプラスチックフィルムは、バリア性積層体を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。プラスチックフィルムとしては、具体的には、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
基材フィルムの膜厚は10μm〜250μmであることが好ましく、20μm〜130μmであることがより好ましい。
(バリア層)
バリア層は一層の無機層からなるものであってもよく、少なくとも1層の無機層および少なくとも1層の有機層を含むバリア積層体であってもよい。
(無機層)
バリア層を構成する無機層、およびバリア性積層体中の無機層は、通常、金属化合物からなる薄膜の層である。無機層の形成方法は、目的の薄膜を形成できる方法であればいかなる方法でもよい。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。無機層に含まれる成分は、上記性能を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物または金属酸化炭化物であり、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、またはTaから選ばれる1種以上の金属を含む酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物などを好ましく用いることができる。これらの中でも、Si、Al、In、Sn、Zn、Tiから選ばれる金属の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましく、特にSi(ケイ素)またはAl(アルミニウム)の金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物が好ましい。これらは、副次的な成分として他の元素を含有していてもよい。例えば、水酸基を有する窒化物等となっていてもよい。
無機層としては、特に、Siを含む無機層が好ましい。より透明性が高く、かつ、より優れたガスバリア性を有しているからである。その中でも特に、窒化ケイ素からなる無機層が好ましい。
無機層は、例えば、金属の酸化物、窒化物もしくは酸窒化物が水素を含むことにより、適水素を含んでいてもよいが、前方ラザフォード散乱における水素濃度が30%以下であることが好ましい。
本発明により形成される無機層の平滑性は、1μm角の平均粗さ(Ra値)として3nm未満であることが好ましく、1nm以下がより好ましい。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nm、さらに好ましくは15〜50nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。
(バリア性積層体)
バリア性積層体は、少なくとも1層の有機層と少なくとも1層の無機層を含むものであり、2層以上の有機層と2層以上の無機層とが交互に積層しているものであってもよい。 バリア性積層体を構成する層数に関しては特に制限はないが、典型的には2層〜30層が好ましく、3層〜20層がさらに好ましい。また、有機層および無機層以外の他の構成層を含んでいてもよい。バリア性積層体の膜厚は0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましい。
バリア性積層体については、例えば、特開2010−200780号公報特開2010−200780号公報、特開2010−6064号公報、特開2008−221830号公報のバリア性積層体に関する記載、特開2009−81122号公報のガスバリア層に関する記載を参照することができる。
<機能性積層材料の用途>
機能性積層材料は、フィルムに、バリア性とともに、光拡散機能等が必要とされる用途のいずれに用いることもできる。機能性積層材料は特に有機電界発光装置用基板として用いられることが好ましい
(有機電界発光装置用基板)
本発明の機能性積層材料を含む有機電界発光装置は、例えば機能性積層材料上に、透明電極と反射電極とを含み、さらに透明電極と反射電極の間に有機電界発光層とを含む構成を有する。有機電界発光装置は、機能性積層材料、透明電極、有機電界発光層、および反射電極をこの順に含む構成であることが好ましく、すなわちボトムエミッション型であることが好ましい。機能性積層材料と透明電極とは直接接していることが好ましく、光取り出し層と透明電極とが直接接していることが好ましい。光取り出し層が平坦化層を含む場合は、平坦化層側で透明電極と直接接していることが好ましい。
有機電界発光層は、少なくとも発光層を有し、さらに発光層以外の機能層として、正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層を含んでいてもよい層を意味する。
有機電界発光装置はさらに、透明電極、反射電極、有機電界発光層を封止するための封止缶などの構成を含んでいてもよい。機能性積層材料中のガスバリアフィルムと追加の封止構造により、透明電極、反射電極、有機電界発光層、平坦化層、および光拡散層が封入されていてもよい。光取り出し層の表面に透明電極が設けられる場合は、透明電極と光取り出し層との屈折率差(Δn)を小さくすることが好ましい。Δnは好ましくは0.2以下、0.15以下であることがより好ましい。なお、透明電極として一般的なITOは屈折率nが1.8〜2程度である。
有機電界発光層、有機電界発光層中各層、透明電極と反射陰極の作製材料や構成、積層順、および有機電界発光装置の構成については、特開2012−155177号公報の段落0081〜0122の記載を参照することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[実施例1]
−平坦化層用塗布材料1の調製−
表面をアルミナおよびジルコニアで被覆した酸化チタンの分散液(平均一次粒径15nmの酸化チタン微粒子が分散、屈折率2.45)(材料名:酸化チタン分散プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、商品名:高透明性酸化チタンスラリーHTD−1061T、テイカ社製)30質量部と、樹脂材料(材料名:イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、商品名:M−315、東亜合成社製)10質量部と、PGME10質量部とを混合した。混合物をローラー、スターラーにより攪拌して、樹脂材料を溶解させ、酸化チタン微粒子を十分に分散させた。酸化チタン粒子と樹脂材料の含有体積比率は25:75とした。得られた分散液を、酸化チタン分散バインダー塗布液1とした。
酸化チタン分散バインダー塗布液1に重合開始剤(IRGACURE819、BASF社製)を添加して、平坦化層用塗布材料1を得た。
−光拡散層用塗布材料の調製−
酸化チタン分散バインダー塗布液1、50質量部、光拡散粒子(平均直径1.5μmの架橋アクリル系粒子、屈折率1.49)(材料名:EX−150、綜研化学社製)14質量部を混合し、混合物をスターラーにて攪拌した。次に、混合液を、オムニミキサー(GHL-115:OMNI International社製)にて5分間攪拌し、酸化チタン分散バインダー塗布液1中に光拡散粒子を十分に分散させた。酸化チタン分散バインダー塗布液1の固形分と光拡散粒子の含有体積比率は50:50とした。
得られた分散液に拡散層の塗布材料に重合開始剤(IRGACURE819、BASF社製)を添加して、光拡散層用塗布材料1を得た。
−光拡散層の成膜−
洗浄し、表面にシランカップリング処理した5cm角のガラス基板(コーニング イーグルXG)にワイヤーバーを用いて光拡散層用塗布材料1を塗布し、その後、UV照射(365nm)を10分間行い硬化させ、光拡散層を形成した(膜厚5μm、屈折率1.76)。
−平坦化層の成膜−
光拡散層の上にワイヤーバーを用いて平坦化層用塗布材料1を塗布し、UV照射を行い硬化させ、平坦化層を形成して(膜厚6μm、屈折率1.76)、機能性積層材料1を得た。
−透明電極の形成−
機能性積層材料1の平坦化層表面に、ITOを真空蒸着装置によってスパッタ蒸着して透明電極を成膜した。透明電極の膜厚は100nmとした。ITO成膜後、大気雰囲気下において、240℃で1時間焼成した。焼成後、基板を純水で超音波洗浄し、その後、120℃で2時間乾燥した。
−有機発光層を含む有機層、および陰極の形成−
上記透明電極上に、HATCN(ヘキサアザトリフェニレン ヘキサカルボニトリル)を厚み10nmとなるように真空蒸着して正孔注入層を形成した。
正孔注入層上に、α−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine)を厚み500nmとなるように真空蒸着して、第一の正孔輸送層を形成した。
第一の正孔輸送層上に、下記構造式で表される有機材料Aを厚み5nmとなるように真空蒸着して、第二の正孔輸送層を形成した。
Figure 2015189155
次に、第二の正孔輸送層上に、MCP(メタ−ジカルバゾ−9−リ ルベンゼン)をホスト材料として、このホスト材料に対して40質量%の燐光発光材料である下記構造式で表される発光材料Aをドープした材料を厚み30nmとなるように真空蒸着して、有機発光層を形成した。
Figure 2015189155
有機発光層上に、下記構造式で表されるBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium(III))を厚み39nmとなるように真空蒸着して、第一の電子輸送層を形成した。
Figure 2015189155
第一の電子輸送層上に、下記構造式で表されるBCP(2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)を厚み1nmとなるように真空蒸着して、第二の電子輸送層を形成した。
Figure 2015189155
第二の電子輸送層上にLiFを厚み1nmとなるように蒸着して電子注入層を形成した。
(反射電極形成工程)
電子注入層の上にアルミニウムを厚み200nmとなるように蒸着して、反射電極を形成した。
(封止工程)
窒素ガス雰囲気中にて乾燥剤を貼り付け、透光性基板との設置面に封止材を塗った封止ガラス缶にて、透光性基板以外の構成要素を封止し、実施例1の有機電界発光装置を得た。
この有機電界発光装置の発光領域の大きさは、30mm×30mmとした。
[実施例2〜6、比較例1〜3]
重合性化合物、酸化チタン粒子の添加の有無または粒径、または溶媒の1つ以上を表1に示すように変化させた以外は、実施例1の有機電界発光装置の作製と同様の手順で、実施例2〜6、比較例1〜3の有機電界発光装置を作製した。
[評価]
作製した実施例1〜6、および比較例1〜3の有機電界発光装置について、以下のようにして、光取り出し効率、および外観を評価した。結果を表1に示す。
(光取り出し効率:倍率)
東陽テクニカ株式会社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流定電圧を各有機電界発光装置に2mA/cm2の電流値になるよう電圧を印加して発光させた。有機EL素子は積分球に配置し光量を測定した。同様に測定した比較例0の有機EL素子との光量比率(下式)にて光取出し効率を求めた。
各実施例および比較例の光量/比較例0の光量=光取り出し効率(倍率)
なお、比較例0は機能性積層材料の代わりにガラス基板を用いた以外は実施例1の有機電界発光装置の作製と同様の手順で作製した有機電界発光装置である。評価は以下の基準で行った。

D:1.5倍以下
C:1.5倍より大きく1.8倍以下
B:1.8倍より大きく2.0倍以下
A:2.0倍より大きい。
(平坦化層表面粗さの評価:平滑性)
作製した実施例1〜6、および比較例1〜3の有機電界発光装置作製の過程で得られる各機能性積層材料(透明電極を形成する直前の材料)の表面を、電子間力顕微鏡(AFM:SPI3800N、セイコーインスツル社製)により観測して10μm角の表面粗さを測定した。評価は以下の基準で行った。

C:4nmより大きい
B:3nmより大きく、4nm以下
A:3nm以下
(酸化チタン微粒子径の測定)
ZETA SIZER NANO−ZS(Malvern Instruments社製)を用い、動的散乱法にて上記平坦化層形成材料の粒径分布を測定し、その平均値を平均二次粒径とした。
Figure 2015189155
1 光取り出し層
2 ガスバリアフィルム
3 ガラス基板
11 光拡散層
12 平坦化層
21 無機層
22 有機層
23 基材フィルム

Claims (17)

  1. 基板および前記基板表面に設けられた光取り出し層を含み、
    前記光取り出し層は光拡散層を含み、
    前記光拡散層は、光拡散粒子とバインダーとを含む光拡散層形成材料から形成された層であり、
    前記光拡散粒子が有機粒子であり、
    前記バインダーは、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む機能性積層材料。
  2. 前記バインダーが、前記バインダー中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む請求項1に記載の機能性積層材料。
  3. 前記バインダーが、前記バインダー中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む請求項1に記載の機能性積層材料。
  4. 前記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
  5. 前記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
  6. 前記光取り出し層が平坦化層を含み、
    前記光拡散層が前記平坦化層に対して前記基板側にあり、
    前記平坦化層が平坦化層形成材料から形成された層であり、
    前記平坦化層形成材料が、酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
  7. 前記平坦化層形成材料が、前記平坦化層形成材料中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む請求項6に記載の機能性積層材料。
  8. 前記平坦化層形成材料が、前記平坦化層形成材料中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む請求項6に記載の機能性積層材料。
  9. 前記平坦化層形成材料に含まれるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである請求項6〜8のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
  10. 前記平坦化層形成材料に含まれるイソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である請求項6〜8のいずれか一項に記載の機能性積層材料。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の機能性積層材料の製造方法であって、
    (1)前記基板表面に前記光拡散層形成材料を塗布すること;
    (2)前記塗布後に得られる前記基板と光拡散層形成材料塗布膜との積層体に光照射すること
    を含み、
    前記光拡散層形成材料は塗布される時点でSP値が8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下である溶媒を含む製造方法。
  12. (3)前記(2)の光照射後に得られる前記基板と光拡散層との積層体の前記光拡散層の表面に平坦化層形成材料を塗布すること;および
    (4)前記塗布後に得られる前記基板と前記光拡散層と前記平坦化層形成材料塗布膜との積層体に光照射することを含み、
    前記平坦化層形成材料は塗布される時点でSP値が8.5(cal/cm31/2以上13(cal/cm31/2以下である溶媒を含む請求項11に記載の製造方法。
  13. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の機能性積層材料上に、透明電極、有機電界発光層、及び反射電極をこの順に含み、
    前記光取り出し層と前記透明電極とが直接接している有機電界発光装置。
  14. 酸化チタン微粒子とイソシアヌル酸(メタ)アクリレートとを含む重合性組成物であって、前記重合性組成物中の重合性化合物の総質量に対し30質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む重合性組成物。
  15. 前記重合性組成物中の重合性化合物の総質量に対し90質量%以上のイソシアヌル酸(メタ)アクリレートを含む請求項14に記載の重合性組成物。
  16. 前記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートである請求項14または15に記載の重合性組成物。
  17. 前記イソシアヌル酸(メタ)アクリレートがイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートとイソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレートとの混合物である請求項14または15に記載の重合性組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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