JP2015186230A - 偏波状態検出装置及び方法、並びに、光通信システム、光送信器及び光受信器 - Google Patents

偏波状態検出装置及び方法、並びに、光通信システム、光送信器及び光受信器 Download PDF

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Abstract

【課題】光信号の偏波依存損失に起因する信号品質劣化を抑制可能な偏波状態を検出できるようにする。【解決手段】光送信器から、第1の信号と、前記光送信器において前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を含む光信号を送信し、光受信器において、前記第2の信号の受信特性を解析し、前記解析の結果に基づいて、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態を検出する。【選択図】図4

Description

本発明は、偏波状態検出装置及び方法、並びに、光通信システム、光送信器及び光受信器に関する。
高速かつ大容量の光伝送を実現する技術の一例として、偏波多重技術や多値変調技術が知られている。偏波多重技術では、直交する2つの偏波に別々の信号を重畳して伝送する。多値変調技術では、QPSK等の位相偏移変調や、2−QAM(Mは、多値度を表し、2以上の整数である)の直角位相振幅変調等の、1シンボル時間で多ビットの情報を伝送可能な変調方式を用いて、光を変調して伝送する。
また、光信号の受信側には、デジタル信号処理を用いたデジタルコヒーレント受信技術が適用されることがある。デジタルコヒーレント受信技術では、局発光源と信号光とを90度光ハイブリッドで混合することで、局発光源を基準とした光信号の振幅と位相情報とを抽出し、抽出した信号をアナログ・デジタル変換器(ADC)によりデジタル化し、デジタル信号処理技術を用いて復調する。デジタル信号処理技術により、光伝送路の波長分散や偏波モード分散等に起因する受信信号光の波形歪み(別言すると、信号品質の劣化)を補償することができる。
これに対し、光伝送路や光中継器等において発生する、偏波依存損失(PDL)に起因する信号品質の劣化は、伝送される光信号の偏波状態が時間経過に伴って変動するため、受信側のデジタル信号処理によって補償することは困難である。そのため、PDLは、光信号の伝送性能を制限する主な要因となりつつある。
PDLに起因する信号品質の劣化を緩和するために、送信光信号の偏波状態を平均化する方式(あるいは、平均化処理に相当する方式)が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、伝送するデータを直交する2つの偏波間でインターリーブすることが記載されている。したがって、特許文献1によれば、光伝送路や光中継器等においてPDLが存在する場合でも、偏波間のビットエラーレート(BER)を平均化することができる。
また、特許文献2には、偏波スクランブル処理をデジタル信号処理によって実現することで、高速な偏波スクランブル処理を実施することが記載されている。したがって、特許文献2によれば、特許文献1と同様に、光伝送路や光中継器等においてPDLが存在する場合でも、偏波間のBERを平均化することができる。
なお、PDLをモニタする技術の一例として、特許文献3及び4に記載された技術が知られている。
特開2009−89194号公報 特開2010−109705号公報 特開2009−133840号公報 特開2010−226499号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載されているような、送信光信号の偏波状態をスクランブル処理して平均化する手法では、送信光信号のPDLに起因する最大ペナルティは緩和されるものの、あくまでも平均化であるためBERの改善量が小さい。また、特許文献2のような技術を適用した場合では、BERの改善量を大きくするために、送信側において偏波を変化させる速度を高速化すると、受信側において偏波の変化に追従できなくなるおそれがある。そのため、光信号の受信特性に対する影響が大きい。
なお、特許文献3及び4は、光伝送路のPDLを測定(モニタ)する技術に関して記載するに過ぎない。
本発明の目的の1つは、光信号の偏波依存損失に起因する信号品質劣化を抑制可能な偏波状態を検出できるようにすることにある。
偏波状態検出装置の一態様は、光送信器から、第1の信号と、前記光送信器において前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を含む光信号を受信し、前記第2の信号の受信特性を解析する解析部と、前記解析部による解析結果に基づいて、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態を検出する検出部と、を備える。
光信号の偏波依存損失に起因する信号品質劣化を抑制可能な偏波状態を検出できる。
一実施形態に係る光通信システムの構成例を示すブロック図である。 (A)〜(C)は、図1に例示する光通信システムにおいて伝送される偏波多重信号光が受けるPDLの影響について説明する図である。 PDL媒体への入力偏波状態(角度)に対するQペナルティの変化の一例を示す図である。 図1に例示する光通信システムで用いる送信信号フォーマット例を示す図である。 図1に例示する光送信器のデジタル信号処理部(送信信号処理部)構成例を示すブロック図である。 図5に例示する検出用信号挿入部の構成例を示すブロック図である。 図1に例示する光受信器のデジタル信号処理部(受信信号処理部)の構成例を示すブロック図である。 図1に例示する光送信器のデジタル信号処理部(送信信号処理部)構成例を示すブロック図である。 図5に例示する送信信号処理部の第1変形例を示すブロック図である。 図9に例示する送信信号処理部による検出用信号に対するストークスベクトル変調を説明するための図である。 図9に例示する送信信号処理部に対応する受信信号処理部の構成例を示すブロック図である。 図11に例示する受信信号処理部の変形例を示すブロック図である。 一実施形態の第2変形例に係る送信信号フォーマットの一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
(一実施形態)
図1は、一実施形態に係る光通信システム1の構成例を示すブロック図である。図1に示す光通信システム1は、デジタルコヒーレント伝送技術を採用した光通信システムの一例であり、例示的に、光信号を光伝送路50へ送信する光送信器10と、光伝送路50を伝送されてきた光信号を受信する光受信器30と、を、備える。光伝送路50には、光ファイバを用いてよい。また、光伝送路50には、光信号の伝送距離に応じて、1又は複数の光増幅器を有する光中継器が備えられてよい。
なお、図1には、一方向の光伝送に着目した光通信システム1の構成例を示しているが、光通信システム1は、双方向の光通信が可能な構成を有していてもよい。例えば、光送信器10が備えられる第1の光伝送装置と、光受信器30が備えられる対向の第2の光伝送装置と、が双方向の光伝送路50を介して接続されてよい。
その場合、第1の光伝送装置には、受信系の一例として、対向の第2の光伝送装置が備える光受信器30と同等の構成を有する光受信器を備えてよい。また、第2の光伝送装置は、送信系の一例として、対向の第1の光伝送装置が備える光送信器10と同等の構成を有する光送信器を備えてよい。
(光送信器)
光送信器10は、例示的に、デジタル信号処理部11と、光源12と、4つのデジタル−アナログ変換器(DAC)13と、4つのドライバ14と、2つのIQ変調器15X及び15Yと、偏波ビームコンバイナ(PBC)16と、を備える。
デジタル信号処理部11は、電気信号である送信データ信号に対してデジタル信号処理を施す。デジタル信号処理部11は、例示的に、DSP(Digital Signal Processor)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)、大規模集積回路(LSI)等を用いて実現可能である。
デジタル信号処理には、直交する2つの偏波X及びYについての偏波制御や、位相偏移変調(PSK)や直角位相振幅変調(QAM)等の変調方式に応じたデジタル変調処理が含まれてよい。
デジタル変調処理によって、例えば、直交する2つの偏波X及びYのそれぞれに同相成分(I成分)及び直交成分(Q)成分として重畳されるデータXI,XQ,YI,YQを生成することができる。
データXI及びXQは、それぞれ、一方の偏波Xに重畳されるI成分データ及びQ成分データを表し、データYI及びYQは、それぞれ、他方の偏波Yに重畳されるI成分データ及びQ成分データを表す。
光源12は、送信用の光(連続光)を生成し、各IQ変調器15X及び15Yへ入力する。
DAC13は、それぞれ、デジタル信号処理部11から入力されるデータXI,XQ,YI及びYQをデジタル信号からアナログ信号に変換して対応するドライバ14に入力する。4つのDAC13のうち、2つのDAC13はX偏波に対応し、残りの2つのDAC13は、Y偏波に対応する。
X偏波に対応する2つのDAC13の一方は、X偏波に重畳されるI成分データXIをアナログ信号に変換し、他方のDAC13は、X偏波に重畳されるQ成分データXQをアナログ信号に変換する。また、Y偏波に対応する2つのDAC13の一方は、Y偏波に重畳されるI成分データYIをアナログ信号に変換し、他方のDAC13は、Y偏波に重畳されるQ成分データYQをアナログ信号に変換する。
ドライバ14は、それぞれ、IQ変調器15X及び15Yの駆動信号を生成する。例示的に、4つのドライバ14のうち、2つのドライバ14がX偏波に対応し、残りの2つのドライバ14がY偏波に対応する。
X偏波に対応する2つのドライバ14の一方は、アナログ信号に変換されたI成分データXIに応じた、X偏波用のIQ変調器15Xの駆動信号を生成する。また、X偏波に対応する2つのドライバ14の他方は、アナログ信号に変換されたQ成分データXQに応じた、X偏波用のIQ変調器15Xの駆動信号を生成する。
Y偏波に対応する2つのドライバ14の一方は、アナログ信号に変換されたI成分データYIに応じた、Y偏波用のIQ変調器15Yの駆動信号を生成する。また、Y偏波に対応する2つのドライバ14の他方は、アナログ信号に変換されたQ成分データYQに応じた、Y偏波用のIQ変調器15Xの駆動信号を生成する。
なお、X偏波に対応するI成分データXIに応じて生成される駆動信号を、便宜的に「駆動信号XI」と表記し、X偏波に対応するQ成分データXQに応じて生成される駆動信号を、便宜的に、「駆動信号XQ」と表記することがある。同様に、Y偏波に対応するI成分データYI及びQ成分データYQのそれぞれに応じて生成される駆動信号を、便宜的に、それぞれ「駆動信号YI」及び「駆動信号YQ」と表記することがある。
IQ変調器15X及び15Yは、それぞれ、マッハツェンダ光変調器等の光変調器であり、光源12から入力される連続光を2つのドライバ14から入力される駆動信号によって変調し、X偏波の送信変調信号光及びY偏波の送信変調信号光を生成する。
例示的に、X偏波用のIQ変調器15Xは、光源12からの連続光を2つのドライバ14から入力される駆動信号XI及びXQによって変調することにより、X偏波の送信変調信号光を生成する。
Y偏波用のIQ変調器15Yは、光源12からの連続光を2つのドライバ14から入力される駆動信号YI及びYQによって変調することにより、X偏波の送信変調信号光を生成する。
PBC16は、一方のIQ変調器15Xで生成されたX偏波の送信変調信号光と、他方のIQ変調器15Yで生成されたY偏波の送信変調信号光を偏波合成する。偏波合成された送信変調信号光(「偏波多重信号光」と称してもよい。)は、光伝送路50へ送信される。
なお、上述した光源12、ドライバ14、IQ変調器15X及び15Y、並びに、PBC16は、後述する送信データと検出用信号とを用いて光源12からの送信光を変調する光変調部の一例に相当すると捉えてよい。
(光受信器)
一方、図1に示す光受信器30は、例示的に、デジタルコヒーレント受信を行なう光受信器である。そのため、光受信器30は、例示的に、コヒーレント光検波部の一例を成す、局発光源31と、偏波ビームスプリッタ(PBS)32及び33と、2つの90度ハイブリッド34と、を備える。また、光受信器30は、4つの光電変換器(OE)35、4つのアナログ−デジタル変換器(ADC)36、及び、デジタル信号処理部37を備える。
局発光源31は、各90度ハイブリッド34での光検波に用いられる局部発振光を出力する光源の一例であり、DFB(Distributed Feedback)レーザ等のレーザ光源を適用してよい。
PBS32は、局発光源31からの局部発振光を2つの直交する偏波成分に分離して、一方の偏波成分を一方の90度ハイブリッド34に入力し、他方の偏波成分を他方の90度ハイブリッド34に入力する。
PBS33は、光伝送路50を通じて受信される、光送信器10が送信した偏波多重信号光を直交する2つの偏波成分に分離し、同じ偏波成分の局部発振光が入力される90度ハイブリッド34に入力する。
90度ハイブリッド34は、それぞれ、PBS33から入力される偏波成分をPBS32から入力される局部発振光により検波することにより、検波結果としてI成分及びQ成分の検波光を出力する。
例えば、一方の90度ハイブリッド34は、光伝送路50から受信した信号光を、直交する一方の偏波Xの成分(以下「X偏波成分」とも称する。)の局部発振光で検波することにより、I成分及びQ成分の検波光を出力する。
同様に、他方の90度ハイブリッド34は、光伝送路50から受信した信号光を、他方の偏波Yの成分(以下「Y偏波成分」とも称する。)で検波することにより、I成分及びQ成分の検波光を出力する。
4つの光電変換器35は、それぞれ、90度ハイブリッド34から入力される検波光を電気信号に変換する。例示的に、4つの光電変換器35のうち、2つの光電変換器35がX偏波成分に対応し、残りの2つの光電変換器35がY偏波成分に対応する。
X偏波成分に対応する2つの光電変換器35は、それぞれ、X偏波成分に対応する検波光のI成分及びQ成分を電気信号に変換する。Y偏波成分に対応する2つの光電変換器35は、それぞれ、Y偏波成分に対応する検波光のI成分及びQ成分を電気信号に変換する。
ADC36は、それぞれ、対応する光電変換器35から入力されるアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。なお、光電変換器35とADC36との間には、コンデンサ等のAC結合素子が備えられてもよい。
デジタル信号処理部37は、各ADC36から入力される、X偏波成分及びY偏波成分のそれぞれについての検波結果であるI成分及びQ成分のデジタル信号に対してデジタル信号処理を施す。
例えば、デジタル信号処理部37は、入力されるデジタル信号を用いて、光送信器10のIQ変調器15X及び15Yにて偏波X及びY毎に変調された送信データを分離し、光送信器10から送信されたデータを受信データとして再生する。デジタル信号処理部37は、例示的に、DSPや、FPGA、LSI等を用いて実現可能である。
(PDL損失)
次に、図2及び図3を参照して、図1により上述したような光通信システム1において伝送される偏波多重信号光が受ける偏波依存損失(PDL)の影響について説明する。
光伝送路50や光増幅器等のPDLが存在する媒体(以下「PDL媒体」と称することがある。)を偏波多重信号光が伝送した場合、PDL媒体に信号光が入力されるときの偏波の状態によって、信号光の偏波成分間にパワー差が生じることがある。
例えば図2(A)に模式的に示すように、偏波多重信号光が、光送信器10と光受信器30との間において、光伝送路50や光増幅器70等のPDL媒体を複数ステージ(あるいはスパン)にわたって伝送される場合を想定する。
この場合、例えば図2(B)に模式的に示すように、PDL媒体がもつ直交する2つの偏波主軸に偏波多重信号光の各偏波成分の軸が一致する状態でPDL媒体に偏波多重信号光が入力されると、偏波成分間で信号光にパワー差が生じる。図2(B)には、例示的に、X偏波成分に対してY偏波成分の信号光パワーが劣化する様子を示している。ただし、両者の関係が逆転する場合もある。なお、PDL媒体の偏波主軸とは、PDL媒体の偏波間の損失差が最大になる軸と捉えてよい。
一方、例えば図2(C)に模式的に示すように、偏波多重信号光の各偏波成分の軸がPDL媒体の偏波主軸に対して45度ずれた状態でPDL媒体に偏波多重信号光が入力された場合には、偏波成分間のパワー差は最小になる。
図3に、PDL媒体への入力偏波状態(角度)に対するQペナルティの変化の一例を示す。図3には、偏波多重信号光が伝送される過程で経由する複数のPDL媒体の合計PDLが6dBであると仮定した場合の、信号品質(Q値)の劣化(Qペナルティ)の変化を例示している。
図3に例示するように、PDL媒体の主軸と偏波多重信号光の各偏波成分の軸とが一致する状態(図2(B)に例示した主軸に対する入力偏波のずれ角度が0度の場合)では、Qペナルティは約2.7dBだけ劣化する。なお、PDL媒体の主軸に対する入力偏波のずれ角度を「入力偏波角度」と称することがある。入力偏波角度0度から大きくなるほど、Qペナルティが劣化し、ずれ角度が45度でQペナルティは最小(例示的に、1.2dBの劣化)となる。別言すると、偏波多重信号光の偏波状態を制御して、入力偏波角度を0度から45度に変更(制御)すると、Qペナルティを約1.5dB改善することができる。
このように偏波多重信号光のPDL媒体への入力偏波状態(別言すると、送信信号光の偏波状態)に依存して、偏波成分(以下「偏波チャネル」とも称する。)間に信号光の伝送特性(例えば、ペナルティ)に差が生じ得る。このことは、例えば、下記の参考文献1にも記載されている。
参考文献1:O. Vassilieva et. al,“Impact of Polarization Dependent Loss and Cross-Phase Modulation on Polarization Multiplexed DQPSK Signals”,OFC/NFOEC 2008, paper OThU6, 2008
偏波チャネル間のパワー差が生じると、偏波チャネル間の信号品質(例えば、信号対雑音比(SNR))にも差が生じるため、一方の偏波成分の信号品質が所定の品質を満たさないために、光受信器30での受信信号品質が大きく劣化するおそれがある。
そこで、本実施形態では、PDLに起因する信号品質劣化が相対的に小さい、光送信器10の送信偏波状態を例えば光受信器30において検出(あるいはモニタ)し、検出した送信偏波状態で偏波多重信号が送信されるように光送信器10を制御する。これにより、PDLに起因する偏波多重信号の信号品質劣化を抑制することが可能となる。
(送信信号フォーマット例)
光送信器10の送信偏波状態を検出するために、光送信器10のデジタル信号処理部11(以下「送信信号処理部11」と称することもある。)は、例えば図4に示すように、送信データに対して検出用信号を挿入する。検出用信号は、送信データに対して周期的に挿入してよい。検出用信号を周期的に挿入することで、送信偏波状態の検出の確実性を向上できる。
なお、送信データは、主信号データと称してもよいし、ペイロードデータと称してもよい。また、検出用信号は、モニタ信号あるいはモニタデータと称してもよい。送信データは、第1の信号の一例であり、検出用信号は、第2の信号の一例である。
検出用信号は、光送信器10と光受信器30との間において既知の信号としてよい。既知の信号とすることで、光受信器30において光送信器10の送信偏波状態を検出する精度を向上できる。
検出用信号の一例は、送信データの偏波状態に対して時間的に偏波状態を変化させた信号である。非限定的な一例として、検出用信号は、送信データと同じ偏波多重信号とし、送信データの2つの直交する偏波成分の軸の交点を中心に、図4において枠100に例示するように、送信データに対して、検出用信号の直交する2つの偏波成分を異なる時間に異なる回転角度で回転させた信号とすることができる。
光受信器30では、上述のごとく時間的に偏波状態を変化させた検出用信号の各偏波状態での受信特性(信号品質と称してもよい)をデジタル信号処理部37にて解析する。そして、光受信器30は、当該解析結果に基づいて、送信データの信号品質が相対的に高くなる光送信器10の送信偏波状態を検出する。送信データの信号品質が相対的に高くなる偏波状態は、別言すると、送信データのPDLに起因する信号品質劣化が相対的に小さくなる偏波状態である。
例示的に、デジタル信号処理部37は、各偏波状態での検出用信号の受信特性のうち最良となる偏波状態を光送信器10の最適な送信偏波状態として検出する。光受信器30は、デジタル信号処理部37(以下「受信信号処理部37」と称することもある。)で検出した最適な送信偏波状態を示す情報を光送信器10に送信(フィードバック)する。
光送信器10の送信信号処理部11は、光受信器30からフィードバックされた情報に基づいて、送信データの偏波状態を光受信器30で検出された最適な送信偏波状態に制御する。これにより、PDLに起因する偏波多重信号の信号品質劣化を抑制することが可能となる。
なお、検出用信号及び送信データの変調方式は、特に限定されない。非限定的な一例として、検出用信号の変調方式には、BPSKやQPSK等の位相偏移変調方式や、2−QAM(Mは多値度を表し、M=3,4,5,6等である)と称される直角位相振幅変調方式等を適用してよい。送信データの変調方式には、図4において枠200に例示するように、デュアル偏波(DP)−QPSKや、DP−8QAM、DP−16QAM等の偏波多重変調方式を適用してよい。検出用信号は、偏波多重変調方式で変調してもよいし、単一偏波(Single polarization;SP)であってもよい。
検出用信号は、送信データが、コンスタレーションとも称される複素平面(IQ平面)のシンボル(電界情報)にマッピングされた後の信号に対してアナログデータとして挿入してよい。その一例を図5及び図6に示す。
図5は、送信信号処理部11の構成例を示すブロック図であり、図6は、図5に例示する検出用信号挿入部112の構成例を示すブロック図である。
図5に示す送信信号処理部11は、例示的に、コンスタレーションマッパ(以下「マッパ」と略称することがある。)111と、検出用信号挿入部112と、送信波形信号処理部113と、を備える。
図5に例示する構成において、コンスタレーションマッパ111は、送信データをIQ平面における変調方式に応じたシンボルにマッピングする。
検出用信号挿入部112は、IQ平面におけるシンボルにマッピングされた送信データに対してアナログデータである検出用信号を挿入する。
送信波形信号処理部113は、検出用信号挿入部112にて検出用信号が挿入された送信データに対して、例示的に、ナイキスト波形整形等のスペクトル整形処理や、スキュー補償処理、帯域補償処理等を施す。
検出用信号挿入部112は、図6に示すように、例示的に、検出用信号生成・挿入部112aと、検出用信号偏波制御部112bと、を備える。
検出用信号生成・挿入部112aは、検出用信号を生成してマッパ111の出力に対して検出用信号を挿入する。
検出用信号偏波制御部112bは、検出用信号生成・挿入部112aにて挿入された検出用信号について偏波成分毎に偏波状態を制御することにより、検出用信号の偏波状態を時間的に変化させる。非限定的な一例として、検出用信号偏波制御部112bは、下記の式(1)及び式(2)に例示する演算式によって表される係数Wxx,Wxy,Wxy及びWyyを制御することにより、検出用信号の偏波状態を制御する。
上記の式(1)及び式(2)で表される演算式は、図6において枠300で例示するように、4つの乗算器と2つの加算器とを用いて実現できる。なお、上記の数式1において、Ex’及びEy’は、それぞれ、検出用信号生成・挿入部112aの出力信号におけるX偏波成分及びY偏波成分の電場を表すデータ(電界情報)を表し、例えば基準となる送信データと同じ偏波軸をもつ検出用信号の電界情報を表す。また、式(2)において、θ及びφは、検出用信号の偏波状態を制御するパラメータを表す。したがって、係数Wxx,Wxy,Wxy及びWyyは、θ及びφを制御することで制御可能である。
上述した例では、式(1)及び式(2)によって表される演算式によって検出用信号の偏波状態を制御するが、演算式によらない偏波状態の制御も可能である。例えば、検出用信号として、偏波状態の異なる複数のパターンを送信信号処理部11に備えられたメモリ等の記憶部(図示省略)に予め記憶しておき、いずれかのパターンを時間に応じて選択する(切り替える)ようにしてもよい。
(受信信号処理部)
次に、図7に、図1に例示した光受信器30の受信信号処理部(デジタル信号処理部)37に着目した構成例を示す。図7に示す受信信号処理部37は、偏波分離・波形歪み補償部371と、搬送波周波数・位相同期部372と、検出用信号除去部373と、を備える。これらの各部371〜373は、受信データを再生する受信データ再生部の一例を成す。
また、受信信号処理部37は、検出用信号抽出部374と、偏波分離・波形歪み補償部375と、搬送波周波数・位相同期部376と、検出用信号品質解析部377と、最適偏波状態検出部378と、を備える。これらの各部374〜378は、光送信器10において既述のように送信データに挿入された検出用信号の受信特性に基づいて、光送信器10の最適な送信偏波状態を検出(モニタ)する偏波状態モニタの一例を成す。偏波状態モニタは、偏波状態検出装置と称してもよい。
偏波分離・波形歪み補償部371は、ADC36から入力される受信デジタル信号を偏波成分毎に分離し、例えば、各偏波成分の波形歪みを補償する。当該補償は、例示的に、偏波モード分散(PMD)に起因する波形歪みの補償(適応等化)である。適応等化は、例示的に、複数の線形フィルタを用い、各線形フィルタのパラメータを光ファイバ中の信号光の偏光変動よりも十分高速かつ適応的に更新することで、高速な時間変化を伴う偏波変動やPMD波形歪みを補償することができる。
搬送波周波数・位相同期部372は、偏波分離・波形歪み補償部371にて偏波成分毎に波形歪みを補償された受信デジタル信号から雑音成分を除去し、正しい搬送波(キャリア)位相を推定し、受信デジタル信号の位相を推定したキャリア位相に同期させる。雑音成分には、例示的に、自然放出光(ASE)雑音や光送信器10に用いられる光源12のレーザ位相雑音等が含まれる。キャリア位相の推定には、例示的に、デジタルループフィルタを用いて雑音の影響を除去するフィードバック法や、位相検出器で検出した推定位相差を平均化することで雑音の影響を除去するフィードフォワード法等を適用してよい。
偏波分離・波形歪み補償部371と搬送波周波数・位相同期部372との間には、1又は複数の他の処理部が備えられてもよい。他の処理部の一例としては、周波数オフセット補償部が挙げられる。
周波数オフセット補償部は、光伝送路50から受信した信号光と、局発光源31(図1参照)が出力する局発光との周波数オフセットを補償(補正)する。周波数オフセットの推定には、例示的に、累乗法と呼ばれる推定方式や、累乗法よりも周波数オフセットの推定可能範囲を拡大化できるPADE(Pre-decision based Angle Differential frequency offset Estimator)法と呼ばれる推定方式等を適用してよい。
検出用信号除去部373は、キャリア位相に同期した各偏波成分から検出用信号に相当する信号成分を除去し、受信データを出力する。
検出用信号除去部373の前段あるいは後段には、受信デジタル信号の非線形歪みを補償する非線形歪み補償部を設けてもよい。
検出用信号抽出部374は、ADC36から入力される受信デジタル信号に含まれる検出用信号を抽出する。
偏波分離・波形歪み補償部375は、検出用信号抽出部374にて抽出された検出用信号に対して、偏波分離・波形歪み補償部371と同様に、偏波成分の分離と各偏波成分の波形歪み補償とを施す。なお、以下において、偏波分離・波形歪み補償部371及び375は、それぞれ、単に「補償部371及び375」と略記することがある。
搬送波周波数・位相同期部376は、偏波分離・波形歪み補償部375にて偏波成分毎の波形歪み補償が施された検出用信号に対して、搬送波周波数・位相同期部372と同様に、雑音成分の除去、キャリア位相推定、キャリア位相同期等の処理を施す。
検出用信号品質解析部377は、キャリア位相に同期した検出用信号の品質を解析する。当該解析は、例示的に、時間的に変化する偏波状態毎(例えばシンボル毎)に実施される。偏波状態毎の解析結果は、例示的に、検出用信号品質解析部377に備えられたメモリ等の記憶部(図示省略)に記憶される。ただし、当該記憶部は、検出用信号品質解析部377の外部に備えられても構わない。
検出用信号の信号品質解析は、例示的に、エラーベクトルやビットエラーレート(BER)等を求めることで実施してよい。エラーベクトルは、例示的に、シンボル番号をk(kは1以上の整数)と表した場合に、「受信検出用信号R(k)−送信検出用信号T(k)」によって求めることができる。例示的に、エラーベクトル振幅の標準偏差を、受信信号特性として用いることができる。
送信検出用信号T(k)は、既述のように光送信器10が送信する既知の信号の一例である検出用信号であり、例示的に、上述した偏波状態の解析結果を記憶する記憶部に予め記憶しておいてよい。送信検出用信号T(k)を記憶する記憶部は、偏波状態の解析結果を記憶する記憶部とは別の記憶部であってもよい。
また、送信検出用信号T(k)は、例示的に、光送信器10から光受信器30に対して予め通知するようにしてもよい。当該通知には、例示的に、SV(Supervisory)光あるいはOSC(Optical Supervisory Channel)光とも称される監視制御信号光を用いてよい。すなわち、送信検出用信号T(k)は、光送信器10が備えられた光伝送装置から光受信器10が備えられた対向の光伝送装置へ送信される監視制御光に重畳してよい。
最適偏波状態検出部378は、補償部371及び375で得られる送信データ及び検出用信号の各偏波状態と、検出用品質解析部377で得られる時間毎(例えば、シンボル毎)の解析結果(検出用信号の受信品質)とに基づいて、最適な偏波状態を検出する。例えば、時間毎の複数の送信データの偏波状態と検出用信号の偏波状態との関係のうち、検出用信号の受信信号品質が最良となる偏波状態の関係を検出する。
検出結果は、例示的に、最適偏波状態情報として光送信器10に送信(フィードバック)される。最適偏波状態情報のフィードバック(通知)には、例示的に、OSC光等の監視制御信号光を用いてよい。すなわち、最適偏波状態情報は、光受信器30が備えられた光伝送装置から光送信器10が備えられた対向の光伝送装置へ送信される監視制御光に重畳してよい。
なお、検出用信号品質解析部377及び最適偏波状態検出部378は、検出用信号の受信特性に基づいて、送信データの信号品質が相対的に高くなる光送信器10の送信偏波状態を検出する偏波状態検出装置に相当すると捉えてよい。
次に、図8に、上述のごとく光受信器30で検出され光受信器30から通知される最適偏波状態情報に基づいて、送信光信号の偏波状態を制御する光送信器10(送信信号処理部11)の構成例を示す。図8に示す送信信号処理部11は、例示的に、図5に例示した構成における送信波形信号処理部113に、偏波制御部113aを備える。
偏波制御部113aは、光受信器30から通知(フィードバック)された最適偏波状態情報に基づいて、送信データの偏波状態を最適化制御する。例示的に、偏波制御部113aは、図6に例示した検出用信号挿入部112による検出用信号の偏波制御と同様に、既述の数式2に例示した演算式によって表される係数Wxx,Wxy,Wxy及びWyyを制御することにより、送信データの偏波状態を光受信器30から通知された最適な送信偏波状態に制御する。
別言すると、光受信器30のデジタル信号処理部37は、既述のように検出用信号の受信特性を基に検出した最適な送信偏波状態となるように、光送信器30の送信偏波状態を制御する制御装置に相当すると捉えてよい。この点は、後述する第1及び第2変形例においても同様である。
以上のように、上述した実施形態によれば、光送信器10において、送信データの偏波状態に対して検出用信号の偏波状態を相対的に(時間的に)変化させて光信号を送信する。光受信器30は、検出用信号の受信特性を解析し、その解析結果に基づいて、送信データの最適な偏波状態を検出し、検出した情報を光送信器10に通知する。光送信器10は、通知された情報に基づいて送信データの偏波状態を最適化制御する。したがって、光送信器10から送信された偏波多重信号光が光伝送路50や光増幅器70等のPDL媒体を伝送されても、PDLに起因する光信号品質の劣化を抑制し、最小化することが可能になる。
(第1変形例)
図5に例示した送信信号処理部11では、検出用信号挿入部112がマッパ111の後段に備えられているが、図9に例示するように、検出用信号挿入部112は、マッパ111の前段に備えられてもよい。別言すると、検出用信号は、IQ平面にマッピングされる前の送信データに対して、時間的に(非限定的な一例として、シンボル毎に)、偏波状態が変化するデータパターンとして挿入してもよい。
図9に例示する構成において、検出用信号挿入部112は、IQ平面におけるシンボルにマッピングされる前の送信データに対して、例えばシンボル毎に偏波状態が変化するデータパターンを挿入する。
時間的に偏波状態が変化するデータパターンは、例示的に、ストークスベクトル変調等を適用することで生成可能である。したがって、本例の検出用信号挿入部112は、ストークスベクトル変調部112と称してもよい。
コンスタレーションマッパ111は、シンボル毎に偏波状態が変化するデータパターンが挿入された送信データをIQ平面におけるシンボルにマッピングする。
送信波形信号処理部113は、マッパ111にてIQ平面のシンボルにマッピングされた、検出用信号が挿入された送信データに対して、例示的に、ナイキスト波形整形等のスペクトル整形処理や、スキュー補償処理、帯域補償処理等を施す。
図10に、検出用信号に対してストークスベクトル変調を適用する例を模式的に示す。図10には、枠400内に例示するように、ストークスベクトルS1,S2及びS3によって規定される3つの直交軸をもつ3次元空間(ポアンカレ球あるいはストークス空間と称される。)において信号が電界情報にマッピングされる様子を模式的に例示している。ポアンカレ球の3つの軸は、それぞれ、S1軸,S2軸及びS3軸と称してよい。
S1軸とポアンカレ球面との2つ交点は、互いに直交する偏波を表す。例示的に、S1軸の正方向の交点はX偏波を表し、S1軸の負方向の交点はX偏波に直交するY偏波を表す。
S2軸とポアンカレ球面との2つ交点は、互いに符号が反対の45度直線偏波を表す。例えば、S2軸の正方向の交点は45度直線偏波を表し、S2軸の負方向の交点は−45度直線偏波を表す。
S3軸とポアンカレ球面との2つ交点は、互いに回転方向が逆の円偏波を表す。例えば、S3軸の正方向の交点は右回り円偏波を表し、S3軸の負方向の交点は左回り円偏波を表す。
送信データは、例示的に、S1軸を偏波の主軸としてS1軸とポアンカレ球の球面との2つ交点に相当する電界情報(シンボル)にマッピングしてよい。これに対し、検出用信号は、ポアンカレ球において表象される任意の偏波に相当する電界情報にマッピングしてよい。マッピングパターンは、ポアンカレ球において均等となるパターンでもよいし、非均等のパターンでもよい。
図10の枠400内に(A)で示す例では、検出用信号は、S1軸とポアンカレ球面との2つ交点、S2軸とポアンカレ球面との2つ交点、及び、S3軸とポアンカレ球面との2つ交点のいずれかに、時間的に異なるマッピングパターンとなるようにマッピングしてよい。
図10の枠400内に(B)で示す例では、検出用信号は、ポアンカレ球の赤道に相当する円上の、円の中心に対して対象な位置関係にある2つの点に相当する電界情報に、時間的に異なるマッピングパターンとなるようにマッピングしてよい。このとき、検出用信号がマッピングされる各シンボルは、ポアンカレ球の赤道に相当する円上で均等に配置されてよい。
図10の枠400内に(C)で示す例では、検出用信号は、ポアンカレ球において点線で例示する直方体の各頂点に相当する電界情報のいずれかに、時間的に異なるマッピングパターンとなるようにマッピングしてよい。
なお、検出用信号は、送信データの最適な偏波状態を検出するために用いられる信号であるから、必ずしもデータレートを最適化するフォーマットでなくてもよい。
上述のようなストークスベクトル変調を用いることで、検出用信号の偏波状態を送信データとは独立して時間的に(例えば、シンボル毎に)異ならせることができ、送信データの受信品質特性に対する影響を低減できる。また、光信号のストークスベクトルは、直交する2つの偏波間の位相差と振幅比とで決定されるから、光の絶対位相に依存しない。
別言すると、ストークスベクトル変調は、搬送波の絶対位相を用いない。したがって、光受信器30での処理を簡易化して受信信号処理の負荷を軽減することが可能である。例えば、光受信器30では、図11に例示するように、検出用信号についての既述の搬送波周波数・位相同期部376(図7参照)を不要にできる。
図11は、ストークスベクトル変調を行なう光送信器10に対応する光受信器30に用いられる受信信号処理部37の構成例を示すブロック図である。
図11に示す受信信号処理部37は、図7に例示した構成に比して、検出用信号について、ストークスベクトル計算部376A、シンボル単位特性解析部377A、及び、最適偏波状態検出部378Aを備える点が異なる。これらの各部376A〜378Aは、既述の偏波状態検出装置に相当すると捉えてよい。
ストークスベクトル計算部376Aは、補償部375によって波形歪みを補償されたX偏波及びY偏波の各成分に相当する電界情報をそれぞれEx及びEyで表した場合に、以下の式(3)〜式(5)で表されるストークスベクトルS1〜S3を計算する。なお、式(4)及び式(5)におけるδは式(6)で表される。
S1=|Ex|−|Ey| …(3)
S2=2|Ex||Ey|cosδ …(4)
S3=2|Ex||Ey|sinδ …(5)
δ=arg(Ey/Ex) …(6)
シンボル単位特性解析部377Aは、ストークスベクトル計算部376Aで算出されたストークスベクトルS1〜S3に基づいて、検出用信号のシンボル毎の信号品質(受信特性)を解析する。
検出用信号の信号品質解析は、例示的に、エラーベクトルやBER等を求めることで実施してよい。エラーベクトルは、例示的に、シンボル番号をk(kは1以上の整数)と表した場合に、「受信検出用信号R(k)−送信検出用信号T(k)」によって求めることができる。例示的に、エラーベクトル振幅の標準偏差を、受信信号特性として用いることができる。
最適偏波状態検出部378Aは、シンボル単位特性解析部377Aで得られるシンボル毎の解析結果(検出用信号の受信品質)に基づいて、例えば、検出用信号のシンボル毎の受信特性が最良となる偏波状態を検出する。検出した偏波状態を示す情報は、既述の実施形態と同様に、最適偏波状態情報として光送信器10にフィードバック(通知)される。
なお、図11の枠500には、図10(枠400)に例示したパターン(A)のストークスベクトル変調を検出用信号に適用した場合に、S2軸とポアンカレ球面との2つの交点に相当する電界情報に送信データをマッピングするのが最適な例を示している。
また、上述した実施形態及び第1変形例では、検出用信号のパターンをシンボル毎に変更する例について説明したが、検出用信号のパターンはフレーム単位等の他の単位で変更しても構わない。その場合、光受信器30では、当該変更の単位で検出用信号の受信特性を検出して光送信器10にとって最適な送信偏波状態を検出すればよい。
なお、図11に例示した構成では、送信データ及び検出用信号のそれぞれについて偏波分離・波形歪み補償部371及び375を備えている。すなわち、送信データ及び検出用信号のそれぞれについて偏波分離と波形歪み補償とを行なっている。
しかし、ストークスベクトル変調を用いる場合には、受信側での偏波分離により例えば送信データの偏波の主軸(例えばS1軸)をロックすることが可能になるため、図11の枠500に例示したようなマッピングパターンの識別が容易になる。
したがって、図11に例示した偏波分離・波形歪み補償部371及び375は、例えば図12に示すように、送信データと検出用信号とに共通の偏波分離・波形歪み補償部371aに置き換えてよい。「偏波分離・波形歪み補償部」の回路規模は、他のブロックに比して大きくなり易いため、このような共通化によって受信信号処理部37の更なる簡素化や低コスト化を図ることができる。
(第2変形例)
図13に例示するように、検出用信号及び送信データには、異なる変調方式を適用してもよい。非限定的な一例として、検出用信号にはストークスベクトル変調を適用し、送信データにはDP−QPSK変調を適用してよい。
この場合、検出用信号が送信データに対して波形歪み等の影響を与えないようにガード区間を設けてよい。ガード区間には、例示的に、送信データの変調方式と同じ変調方式(図13の例では、DP−QPSK)で変調したダミー信号を挿入する。ダミー信号の挿入は、例示的に、既述の検出用信号挿入部112において実施してよい。
これにより、検出用信号と送信データとで異なる変調方式を適用した場合の、送信データの信号品質劣化を抑制することが可能となる。
(その他)
上述した実施形態及び各変形例において、検出用信号の送信周期は、例示的に、光伝送路50の特性等の伝送パラメータに応じて可変にしてよい。また、図4や図10、図13に例示した送信信号フォーマットにおいて、送信データに対して検出用信号が占める割合は、特に限定されない。ただし、検出用信号の占める割合を増やすほど光送信器10の最適偏波状態の検出精度は向上するが、送信データの伝送容量は減少する。したがって、両者はトレードオフの関係にあり、必要に応じて最適化してよい。
1 光通信システム
10 光送信器
11 デジタル信号処理部(送信信号処理部)
111 コンスタレーションマッパ
112 検出用信号挿入部
112a 検出用信号生成・挿入部
112b 検出用信号偏波制御部
113 挿入波形信号処理部
113a 偏波制御部
12 光源
13 デジタル−アナログ変換器(ADC)
14 ドライバ
15X,15Y IQ変調器
16 偏波ビームコンバイナ(PBC)
30 光受信器
31 局発光源
32,33 偏波ビームスプリッタ(PBS)
34 90度ハイブリッド
35 光電変換器(OE)
36 アナログ−デジタル変換器(ADC)
37 デジタル信号処理部(受信信号処理部)
371,371a 偏波分離・波形歪み補償部
372 搬送波周波数・位相同期部
373 検出用信号除去部
374 検出用信号抽出部
375 偏波分離・波形歪み補償部
376 搬送波周波数・位相同期部
376A ストークスベクトル計算部
377 検出用信号品質解析部
377A シンボル単位特性解析部
378,378A 最適偏波状態検出部
50 光伝送路

Claims (19)

  1. 光送信器から、第1の信号と、前記光送信器において前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を含む光信号を受信し、前記第2の信号の受信特性を解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果に基づいて、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態を検出する検出部と、を備えた、偏波状態検出装置。
  2. 前記第2の信号は、前記光送信器との間で既知の信号である、請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記第2の信号は、前記第1の信号に対して周期的に挿入される、請求項1又は2に記載の偏波状態検出装置。
  4. 前記第2の信号は、ストークスベクトル変調された信号である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏波状態検出装置。
  5. 前記第1及び第2の信号は、異なる変調方式で変調された信号であり、
    前記第1の信号と前記第2の信号との間に、前記第1の信号の変調方式と同じ変調方式で変調されたダミー信号が挿入される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏波状態検出装置。
  6. 光送信器から、第1の信号と、前記光送信器において前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を含む光信号を送信し、
    光受信器において、前記第2の信号の受信特性を解析し、前記解析の結果に基づいて、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態を検出する、偏波状態検出方法。
  7. 第1の信号と、前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を含む光信号を送信する光送信器と、
    請求項1に記載の偏波状態検出装置と、を備え、
    前記光送信器は、
    前記偏波状態検出装置で検出された偏波状態に前記第1の信号の偏波状態を制御する偏波制御部を備えた、光通信システム。
  8. 前記偏波状態検出装置で検出された偏波状態は、前記光送信器へ送信される監視制御光を用いて前記光送信器に通知される、請求項7に記載の光通信システム。
  9. 前記第2の信号は、前記光送信器と前記偏波状態検出装置との間で既知の信号である、請求項8に記載の光通信システム。
  10. 前記光送信器は、
    前記第2の信号を、前記第1の信号に対して周期的に挿入する、請求項8又は9に記載の光通信システム。
  11. 前記光送信器は、
    前記第2の信号をストークスベクトル変調するストークスベクトル変調部を備えた、請求項8〜10のいずれか1項に記載の光通信システム。
  12. 第1の信号と、前記第1の信号の偏波状態に対して偏波状態を変化させた第2の信号と、を生成する信号処理部と、
    前記信号処理部で生成された前記第1及び第2の信号を用いて送信光を変調することにより送信光信号を生成する光変調部と、を備えた、光送信器。
  13. 前記信号処理部が生成する前記第2の信号は、前記送信光信号を受信する光受信器との間で既知の信号である、請求項12に記載の光送信器。
  14. 前記信号処理部は、
    前記第2の信号を、前記第1の信号に対して周期的に挿入する、請求項12又は13に記載の光送信器。
  15. 前記信号処理部は、
    前記第2の信号をストークスベクトル変調によって生成するストークスベクトル変調部を備えた、請求項12〜14のいずれか1項に記載の光送信器。
  16. 前記信号処理部は、
    前記第1及び第2の信号を、異なる変調方式で変調し、かつ、前記第1の信号と前記第2の信号との間に、前記第1の信号の変調方式と同じ変調方式で変調されたダミー信号を挿入する、請求項12〜15のいずれか1項に記載の光送信器。
  17. 前記信号処理部は、
    前記送信光信号を受信する光受信器において検出され前記光受信器から通知される、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態に、前記第1の信号の偏波状態を制御する偏波制御部を備えた、請求項12〜16のいずれか1項に記載の光送信器。
  18. 請求項12〜17のいずれか1項に記載の光送信器から送信された前記送信光信号を受信し、前記第2の信号の受信特性を解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果に基づいて、前記第1の信号の信号品質が相対的に高くなる前記第1の信号の偏波状態を検出する検出部と、を備えた、光受信器。
  19. 前記検出部で検出された偏波状態は、前記光送信器へ送信される監視制御光を用いて前記光送信器に通知される、請求項18に記載の光受信器。
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