JP2015185784A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】太陽電池モジュール20は、表面保護層24、封止材層22、一対の電極に挟まれた光電変換層及び素子基板を有する光電変換素子25、封止材層22、絶縁層23、封止材層22、樹脂層21bの両面に金属層21aを備える基材21をこの順に有し、基材21とジャンクションボックス28との間に絶縁層29を備える。
【選択図】図2
Description
太陽電池は地球温暖化の原因となる二酸化炭素や有害な排気ガスを出さないクリーンな発電装置である。そのため、太陽電池モジュールをさまざまな場所に取り付けることが行われている。
本発明者らが検討したところ、金属を含む基材にジャンクションボックスを取り付け、高温、高湿条件下で使用すると絶縁不良を生じ、太陽電池モジュールが使用できなくなるという問題があることを新たに見出した。これはジャンクションボックスへは大きな電流が流れるために、基材とジャンクションボックス間にも高い絶縁性を必要としていることがわかった。
本発明は、金属を含む基材を用いた太陽電池モジュールであって、高温、高湿条件下で使用した場合であっても、絶縁信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
表面保護層、封止材層、一対の電極に挟まれた光電変換層及び素子基板を有する光電変
換素子、封止材層、並びに金属を含む基材をこの順に有し、該金属を含む基材の非受光面側にジャンクションボックスが備えられた太陽電池モジュールであって、
前記基材とジャンクションボックスの間に絶縁層を有する、太陽電池モジュールである。
また、前記金属を含む基材は、その非受光面側最表層に金属を含むことが好ましく、また、前記絶縁層の厚さが50μm以上、1000μm以下であることが好ましく、また、前記絶縁層は、フッ素系樹脂層を含むことが好ましい。
また、前記光電変換素子の最大出力は、0.5KW以下であることが好ましい。
本発明の実施態様に係る太陽電池モジュールは、表面保護層、封止材層、一対の電極に挟まれた光電変換層及び素子基板を有する光電変換素子、並びに金属を含む基材をこの順に有し、該金属を含む基材の非受光面側にジャンクションボックスが備えられた太陽電池モジュールであって、前記基材とジャンクションボックスの間に絶縁層を有することを特徴とする。
金属を含む基材は、太陽電池モジュールの他の各構成要素の支持部材である。基材に含まれる金属としては、アルミニウム、ステンレス、銅、チタン、ニッケル、鉄、それらの合金が用いられる。基材は、これらの金属からなる板状部材であってもよく、樹脂層と金属層との積層体であってもよい。また、防食性の観点から、ガルバニウム鋼板のようにめっき処理が施されているものであってもよい。
本発明では、金属を含む基材が、鋼板などの金属の板状部材である場合や、金属を含む基材の非受光面側最表層が金属層である場合に、特に効果を発揮し得る。
太陽電池モジュールの電気取り出し部は、ジャンクションボックスにより覆われている。電気取り出し部は、太陽電池モジュールの光電変換層で変換された電気を集電線により太陽電池モジュール外へ取り出し、集電線はジャンクションボックスのコネクターに接続される。
ジャンクションボックスは、金属を含む基材に接着剤や固定治具などにより固定され、好ましくはシリコン樹脂などのポッティング剤により封止される。
このような問題を解決するために本実施態様では、後述する絶縁層を、金属を含む基板とジャンクションボックスとの間に存在させる。
ジャンクションボックスの材質や形は特段限定されず、また、集電線を固定するジャンクションボックス中のコネクターも、集電線と電気的に接続されれば、その方法や形状は特段限定されない。
本実施態様に係る太陽電池モジュールは、金属を含む基材とジャンクションボックスの間に絶縁層を備える。絶縁層に使用される材料としては、電気を通しにくい材質であれば特段限定されない。このような絶縁層を設けることで、金属を含む基材を用いた場合であっても、絶縁不良を生じない信頼性の高い太陽電池モジュールとすることができる。
絶縁層の材料としては、例えばETFE(テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体)などのフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、エチレン−ビニル共重合体(EVA)などを用いることができる。これらの材料からなる単層であってもよく、2層以上の積層体であってもよい。
なお、絶縁層は、少なくとも金属を含む基材とジャンクションボックスの間に配置されればよく、他の位置に更に絶縁層を設けてもよい。例えば、金属を含む基板と光電変換層との間の絶縁確保のため、金属を含む基板と光電変換素子との間に更に絶縁層を設けてもよい。
絶縁層の線膨張係数は、熱変形を抑制する観点からは小さいことが好ましいが、負の値が大きいと、太陽電池モジュール内部の熱歪みが増大するため好ましくない。具体的には、通常、−20〜200ppm/Kであり、−10〜100ppm/Kが好ましく、0〜40ppm/Kがより好ましく、5〜30ppmが更に好ましい。
また、モジュールの絶縁抵抗は良好な絶縁性の観点から15GΩ以上となることが好ましい。実使用の環境下では各材料に少なからず、吸湿による絶縁抵抗の低下が予想されるため、20GΩ以上がより好ましい。
表面保護層は、太陽電池モジュールに、機械的強度、耐侯性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。表面保護層は、光電変換素子の光吸収を妨げないもの、すなわち、光電変換層が効率良く電気エネルギーに変換できる波長の光を透過させるものであることが好ましく、例えば、日射透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
表面保護層の構成材料の融点は、320℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。
表面保護層は、2種以上の材料からなるものであっても良い。また、単層であっても、2層以上からなる積層体であっても良い。
表面保護層表面のろ波最大うねりWCMが上記下限以下であると、表面保護層表面において入射光から正反射する光量が増加するため、見る角度によってはまぶしく感じられる太陽モジュールが得られてしまうことがある。また、製造時の熱収縮等による応力を緩和することができず、シワが表面に多数してしまう場合がある。
封止材層は、光電変換素子を封止すること等を目的として、太陽電池モジュールに設けられる層である。
封止材層は、機械的強度、耐侯性、ガスバリア性などの向上にも寄与している。また、封止材層は受光面側に位置するので、可視光を透過させる、耐熱性の高いものであることが好ましい。この封止材層に他の光学的機能、若しくは機械的機能を付加することも可能である。封止材層に付加可能な光学的機能としては光閉じ込め機能や波長変換機能を例示でき、機械的機能としてはクッション機能を例示できる。
また、EVA樹脂組成物には、接着力向上の目的でシランカップリング剤を含有させたり、安定性を向上させる目的でハイドロキノン等を含有させたりしてもよい。
封止材層は、上記した材料を2種以上含むものであっても、2種以上の異種材料層の積層体であってもよい。
光電変換素子は、入射される太陽光に基づき発電を行う素子であり、光電変換層、一対の電極、素子基板を含む。光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換でき、変換によって得られた電気エネルギーを外部に取り出せるものでありさえすれば良い。
n(Se1−ySy)2;0≦y≦1〕やCIGS系半導体〔Cu(In1−xGax)(Se1−ySy)2;0<x<1、0≦y≦1〕〕とすることが、好ましい。
光電変換層として、酸化チタン及び電解質などからなる色素増感型の材料を採用しても、発電効率が高い光電変換層を実現することが出来る。
有機半導体を構成し得るp型の半導体としては、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポリフィリン等のプルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン;セキシチオフェン等のオリゴチオフェン及びこれら化合物を骨格として含む誘導体を例示できる。さらに、有機半導体を構成し得るp型の半導体として、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール等の高分子等も例示できる。
さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。補助電極の設置は、特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合に効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
本実施態様に係る太陽電池モジュールにおいては、金属を含む基材を用いるため、光電変換素子の最大出力が大きすぎると絶縁不良が生じやすくなる。そのため、光電変換素子の発電量は、0.5KW以下であることが好ましく、0.3KW以下であることがより好ましく、0.2KW以下であることが更に好ましく、0.1KW以下であることが最も好ましい。また、通常0.05KW以上である。初期の最大出力はJIS C 8935に準拠し、基準状態(25℃、AM1.5、1,000W/m2)で評価する。
そのため、素子基板としては、金属箔や、融点が85〜350℃の樹脂フィルム、幾つかの金属箔/樹脂フィルムの積層体を採用しておくことが好ましい。樹脂フィルムの融点は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、180℃以上であることが特に好ましい。また、当該樹脂フィルムの融点は、300℃以下であることが好ましく、280℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。
また、融点が85〜350℃の樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、これらの共重合体、PVDF、PVFなどのフッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース、ニトリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、アイオノマー、ポリブタジエン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルアルコール、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホンなどからなるフィルムを、例示できる。なお、素子基板として使用する樹脂フィルムは、上記のような樹脂中に、ガラス繊維、有機繊維、炭素繊維等を分散させたフィルムであってもよい。
厚みは、封止材層の厚さの0.67(=1/1.5)倍以下であることがより好ましく0.5倍以下であることがさらに好ましい
太陽電池モジュールには、必要に応じその他の層を備えることもできる。例としては、緩衝層、補強層、ガスバリア層、紫外線カット層、などが挙げられる。
太陽電池モジュールの製造方法は、公知の方法を用い得るが、例えば表面保護層、封止材層、光電変換素子、封止材層、金属を含む基材、絶縁層を含む多層シートを、真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却することにより、太陽電池モジュールを得ることができる。
また、表面保護層、封止材層、光電変換素子、封止材層、金属を含む基材を含む多層シートを真空ラミネーション装置内へ配置し、真空引きの後、加熱し、一定時間経過後に冷却した後に、金属を含む基材の非受光面側に、絶縁パッチを張り付けてもよい。
熱プレス時に凹凸を形成させる場合は、ここで表面保護層等の受光面の最も外側の層の上に、凹凸を転写させるための部材をのせる。
真空条件で行うことが好ましく、通常真空度が30Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは80Pa以上である。一方上限は、通常150Pa以下、好ましくは120Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。上記範囲とすることで、モジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができ、生産性も向上するため好ましい。
図1は、従来技術に係る太陽電池モジュールの層構成を表す断面模式図である。
太陽電池モジュール10は、太陽光1の受光面側から、表面保護層14、封止材層12、光電変換素子15、封止材層12、絶縁層13、封止材層12、金属を含む基材11の順に積層されてなる。
絶縁層13は必須ではないが、金属を含む基材11と光電変換素子15との絶縁不良を防ぐために備えることが好ましい。
集電線16は、通常太陽電池モジュールからの電気取り出しに用いられているものを適宜使用することができる。具体的な材料としては、金属や合金などがよく用いられ、その中でも抵抗率の低い銅やアルミ、銀、金、ニッケルなどを用いることが好ましい。その中でも銅やアルミが安価であることから、特に好ましい。また、錆防止のため、リード線の周囲をスズや銀などでメッキしたり、表面を樹脂などでコートしてあったり、フィルムをラミネートしてあってもよい。
太陽電池モジュール10の外に取り出された集電線16は、ジャンクションボックス18内のコネクター18aに接続され、その後ジャンクションボックス18内はシリコン樹脂などの絶縁材料で封止される。
太陽電池モジュール20は、太陽光1の受光面側から、表面保護層24、封止材層22、光電変換素子25、封止材層22、絶縁層23、封止材層22、金属を含む基材21の順に積層されてなる。そして、金属を含む基材21の非受光面側にジャンクションボックス28が配置され、金属を含む基材21とジャンクションボックス28との間に絶縁層29を備える。
絶縁層29の存在により、太陽電池モジュール20は、高温、高湿環境下での使用によっても絶縁不良を生じない、信頼性の高い太陽電池モジュールとなる。
一方で図2に記載のように、絶縁層29をパッチ状とすることで、必要部分に適宜パッチを張り付ければよく、製造面でも特段の困難性はない。
絶縁層29がパッチである場合には、ジャンクションボックス28よりも小さいパッチとすることで、パッチの存在が外部からは視認されず、意匠性が向上する。
本発明の実施例における評価は、以下の方法を用いた。
[耐電圧/絶縁試験]
常温常湿、及び高温高湿試験後(85℃、85%、260時間)で、絶縁抵抗を測定した。
耐電圧試験: 6,000V、500V/sec、60秒
絶縁抵抗試験: 1,000V、500V/sec、120秒
表面保護層:厚さ50μmのエチレン−四フッ化エチレン共重合体(以下、ETFEと記載)フィルム(旭硝子株式会社製50MW−DCS)、
封止材層:厚さ400μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと記載)フィルム(シーアイ化成社製、EVA)、
光電変換素子:厚さ200μmの太陽電池(ポリイミドフィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層、最大出力92W)、
封止材層:厚さ400μmの同EVAフィルム、
絶縁層:厚さ50μmのエチレン−四フッ化エチレン共重合体(以下、ETFEと記載)フィルム(旭硝子株式会社製50MW−DCS)
封止材層:厚さ400μmの同EVAフィルム、
基材:厚さ4mmのアルポリック(アルミニウム層(厚さ0.5mm)、樹脂層、アルミニウム層(厚さ0.5mm)の積層体)の順で重ね合わせた積層体を、NPC社製真空ラミネータを使用し、125℃で熱プレス(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持25分)して太陽電池モジュールを作製した。
なお、光電変換素子には集電線(5mm幅の銅線)を貼りつけ、該集電線は基材に埋め込んだガラスエポキシ樹脂製ボタンからモジュール外部に取り出した。
上記太陽電池モジュールの非受光面側に絶縁層として厚さ500μmのパッチ(EVAとETFEの積層体、EVAの厚み400μm、ETFEの厚み100μm)を貼り付けた後、ジャンクションボックスを取りつけて集電線とコネクターを接続し、太陽電池モジュール1とした。
絶縁パッチを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、太陽電池モジュール2を製造した。
響すると考えられる。
10、20 太陽電池モジュール
11、21 金属を含む基材
11a、21a 金属層
11b、21b 樹脂層
12、22 封止材層
13、23 絶縁層
14、24 表面保護層
15、25 光電変換素子
16、26 集電線
17、27 ボタン
18、28 ジャンクションボックス
18a、28a コネクター
29 絶縁層
Claims (6)
- 表面保護層、封止材層、一対の電極に挟まれた光電変換層及び素子基板を有する光電変換素子、封止材層、並びに金属を含む基材をこの順に有し、該金属を含む基材の非受光面側にジャンクションボックスが備えられた太陽電池モジュールであって、
前記基材とジャンクションボックスの間に絶縁層を有する、太陽電池モジュール。 - 前記金属を含む基材の厚さが50μm以上、5mm以下である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記金属を含む基材は、その非受光面側最表層に金属を含む、請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記絶縁層の厚さが50μm以上、1000μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記絶縁層は、フッ素系樹脂層を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記光電変換素子の発電量は、0.5KW以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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