JP2012099613A - 太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】耐候層と、発電部材と、ポリカーボネート基材とがこの順に積層された太陽電池モジュールにおいて、前記発電部材と前記ポリカーボネート基材との間に熱可塑性樹脂が積層されていることにより、課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
そのような太陽電池の具体例として、光透過部を有するシースルー型の太陽電池モジュールが知られている(特許文献1)。
そして特許文献1には、上記表面被覆材や裏面被覆材としてポリカーボネートを用い、上記充填材としてEVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)を用いる例が記載されている。
本発明は上記課題を解決するものであり、基材としてポリカーボネートを用いた太陽電池モジュールにおいて、該太陽電池モジュールの作製時と、高温高湿条件下における耐久時に、太陽電池モジュール内に気泡が溜まることを抑制することで、外観や太陽電池モジュール内の接着性が損なわれないようにする。
本発明は、耐候層と、発電部材と、ポリカーボネート基材とがこの順に積層された太陽電池モジュールであって、前記発電部材と前記ポリカーボネート基材との間に熱可塑性樹脂が積層されていることを特徴とする太陽電池モジュールである。
本発明の太陽電池モジュールを構成する基材として用いられるポリカーボネートについては、当技術分野において通常用いられているものを用いることができる。太陽電池モジュールの基材としてポリカーボネートを用いることで、太陽電池モジュールを衝撃に強く、軽量なものにすることができる。
本発明で用いるポリカーボネート基材の厚さは、太陽電池モジュール全体の厚さの30〜90%であることが好ましく、40〜80%であることがより好ましく、50〜75%であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、太陽電池モジュールの強度を適切に保つことができるほか、熱ラミネートによるポリカーボネート基材の反りを緩和するとともに使用環境におけるポリカーボネート基材の変形に伴う各層の剥離を抑制することが可能となる。
本発明の太陽電池モジュールでは、発電部材とポリカーボネート基材との間に、熱可塑性樹脂が積層されている。発電部材とポリカーボネート基材との間に熱可塑性樹脂が積層されていることで、ポリカーボネート基材の熱収縮によるひずみが吸収され、太陽電池モ
ジュール内に気泡が溜まることを抑制できる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が−120〜110℃であるものが好ましく、−100〜70℃がより好ましく、−80〜20℃が特に好ましい。
また熱可塑性樹脂の融点(Tm)が、45〜250℃であるものが好ましく、60〜200℃がより好ましく、100〜180℃が特に好ましい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂のガラス転移点及び融点が上記の範囲にあることで、ポリカーボネート基材の熱収縮によるひずみをよりよく防止できる。
なお、ガラス転移点(Tg)及び融点(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)により、JIS K 7121に準じて求めることができる。
また、熱可塑性樹脂のTgやTmは、後述する熱可塑性樹脂の種類等を適宜選択することで調整可能である。
なお、この線膨張係数は、MD、TDともに、例えばJIS K 7197に準じて測定することができる。
また、線膨張係数は、後述する熱可塑性樹脂の種類等を適宜選択することで調整可能である。
ポリウレタンの具体例としては、上記範囲のTg、Tm及び線膨張係数を有するものが好ましく例示できる。
ポリオレフィンの具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、芳香族ビニル化合物の共重合体(芳香族ビニル化合物を含む単量体を重合してなる共重合体からなる樹脂、例えばスチレン−エチレン共重合体など)、エチレン−α−オレフィン樹脂、これらの共重合体若しくは混合物で上記範囲のTg、Tm及び線膨張係数を有するものが好ましく例示できる。
ポリエステルの具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、これらの共重合体若しくは混合物で上記範囲のTg、Tm及び線膨張係数を有するものが好ましく例示できる。
なお、本発明でいう熱可塑性樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含まない。
熱可塑性樹脂とシランカップリング剤の重量比は、熱可塑性樹脂の重量を100とした
とき、0.1〜2.0であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましく、0.5〜0.7であることが特に好ましい。このような範囲とすることで、接着性を好適なものとすることができる。
ここでいうシランカップリング剤を含むとは、熱可塑性樹脂にシランカップリング剤を添加ないしは混合することを意味し、シランカップリング剤は太陽電池モジュールの積層前に予め熱可塑性樹脂に添加ないし混合しておいてもよいし、積層時に熱可塑性樹脂に添加ないし混合してもよい。
複数層として存在する場合には、各層を構成する熱可塑性樹脂の種類が同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、該熱可塑性樹脂は発電部材と接して積層されていることが好ましい。発電部材に接して積層されている場合には、本発明の効果をより顕著に得られる。また、該熱可塑性樹脂が複数層として存在する場合には、少なくとも一層がポリカーボネート基材と発電部材との間に存在するのに加えて、他の層が耐候層と発電部材との間に存在してもよい。
また、中でも厚いポリカーボネート基材の変形を考慮すると熱可塑性樹脂層とポリカーボネート基材との厚さの比は、熱可塑性樹脂層を1とし場合、0.5〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、3〜6であることが特に好ましい。このような割合で存在することにより、本願発明の効果をより顕著に得られる。
本発明の太陽電池モジュールにおける発電部材は、太陽光を電気に変換する発電素子と、発電素子の形状変化を抑制するための発電素子基材から構成されている。その他、必要に応じて、ガスバリア層、波長変換層、UV吸収層を積層してもよい。
上記発電素子は、耐候層側から入射される太陽光に基づき発電を行う素子である。この発電素子は、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができ、変換によって得られた電気エネルギーを外部に取り出せるものであれば、特に限定されない。
発電層としては様々なものを採用することができるが、薄膜単結晶シリコン、薄膜多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、球状シリコン、無機半導体材料、有機色素材料、または有機半導体材料からなる層であることが好ましい。これらの材料を用いることで、発電効率が比較的高く、薄い(軽量な)発電素子を実現できる。さらに、効率を上げる観点から、これらを積層したHIT型、タンデム型でもよい。
の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。
さらに電極に接するように補助電極を設置してもよい。特に、ITOなど導電性のやや低い電極を用いる場合には効果的である。補助電極材料としては、導電性が良好ならば上記金属材料と同じ材料を用いることができるが、銀、アルミニウム、銅が例示される。
上記発電素子基材は、その一方の面上に、発電素子が形成される部材である。そのため発電素子基材は、機械的強度が比較的に高く、耐候性、耐熱性、耐薬品性等に優れ、且つ軽量なものであることが望まれる。また、発電素子基材は、変形に対して或る程度の耐性を有するものであることも望まれる。そのため、発電素子基材としては、金属箔や、融点が85〜350℃の樹脂フィルム、幾つかの金属箔/樹脂フィルムの積層体を採用することが好ましい。
280℃以下であることがさらに好ましく、250℃以下であることが特に好ましい。
耐候層は、太陽電池モジュールに、機械的強度、耐候性、耐スクラッチ性、耐薬品性、ガスバリア性などを付与するための層である。この耐候層は、発電素子の光吸収を妨げないもの、すなわち、発電層が効率良く電気エネルギーに変換できる波長の光を透過させるものであることが好ましく、例えば、日射透過率が80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
耐候層は、2種以上の材料からなるものであっても良い。また、耐候層は、単層であっても、2層以上からなる積層体であっても良い。更に、必要に応じて、積層面にコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、UV照射、電子線照射、火炎処理などの表面処理を施してもよい。
本発明の太陽電池モジュールにおいて、耐候層は発電部材の受光面側に積層されることに加え、発電部材を挟んで受光面側とは逆側(ポリカーボネート基材側)に積層されていてもよい。
本発明の太陽電池モジュールは、封止層を有してもよい。封止層を設けることで、上述した発電素子を封止するとともに、耐衝撃性等を太陽電池モジュールに付与することができる。
この封止層として積層される材料には、日射透過率が比較的高い樹脂材料で、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−
アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、合成ゴム等を使用することができ、これらの1種以上の混合体、若しくは共重合体を使用できる。
また、封止層が上記の熱可塑性樹脂の層とポリカーボネート基材の間に積層される態様も好ましい。
本発明の太陽電池モジュールは、耐候層、発電部材(発電素子、発電素子基材)、熱可塑性樹脂及びポリカーボネート基材の順に積層し、好ましくは、耐候層と発電部材の間及び/または熱可塑性樹脂とポリカーボネート基材の間に封止層を有する。各層を積層する方法としては通常用いられている方法によることができるが、生産性や長期耐久性の観点から、各構成層を熱ラミネート(真空ラミネート)によって積層することが好ましい。
熱ラミネートは真空条件下で行うことが好ましく、通常真空度が30Pa以上、好ましくは50Pa以上、より好ましくは80Pa以上である。一方上限は、通常150Pa以下、好ましくは120Pa以下、より好ましくは100Pa以下である。上記範囲とすることで、モジュール内の各層において気泡の発生を抑制することができ、生産性も向上するため好ましい。
真空時間としては、通常1分以上、好ましくは2分以上、より好ましくは3分以上である。一方上限は、通常8分以下、好ましくは6分以下、より好ましくは5分以下である。真空時間を上記範囲とすることで、熱ラミネート後の太陽電池モジュールの外観が良好となり、またモジュール内の各層において熱ラミネート条件による気泡の発生を抑制することができるため好ましい。
上記圧力の保持時間は、通常1分以上、好ましくは3分以上、より好ましくは5分以上である。一方上限は、通常30分以下、好ましくは20分以下、より好ましくは15分以下である。上記保持時間とすることで、封止材のゲル化率を適正とすることができるため、封止材の発電素子を十分に発揮することができ、また十分な接着強度を得ることができる。
また、上記温度の保持時間は、通常10分以上、好ましくは12分以上、より好ましくは15分以上である。一方上限は30分以下、好ましくは25分以下、より好ましくは20分以下である。上記保持時間とすることで、封止材の架橋が適度に行われるため耐久性能が向上し、適度な柔軟性を有することができるため、好ましい。
図1は、本発明の太陽電池モジュールの一実施態様に係る概略図である。該太陽電池モジュールは、ポリカーボネート基材6上に、熱可塑性樹脂層5、発電部材4、封止層3及び耐候層2がこの順に積層されたものである。このように、ポリカーボネート基材と発電部材との間に熱可塑性樹脂層5を設けることで、太陽電池モジュールの作製時や高温高湿条件下の耐久時の熱収縮によるポリカーボネート基材のひずみがこの層で吸収され、太陽電池モジュール内部に気泡が溜まることを防ぐことができる。
厚さ50μmのETFEフィルム(旭硝子株式会社製50HK−DCS)、厚さ300μmのEVAフィルム(FIRST社製F806)、発電部材(ポリエチレンナフタレート(以下、PENと記載する))フィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層)、熱可塑性樹脂として厚さ460μmのポリウレタンフィルム(以下、TPUと記載する)(Tg=−57℃、Tm=132℃、線膨張係数:MD=230ppm/K、TD=250ppm/K)、厚さ2mmのポリカーボネート基材(三菱樹脂製)を重ね合わせ、NPC社製真空ラミネータを使用し、135℃で熱ラミネート(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)して高温高湿試験用の太陽電池モジュールを作製した。外観は良好であった。また、作製した太陽電池モジュールを高温高湿試験(85℃、85%RH、600時間)にかけた後も、外観の変化は無かった。
なお、上記TPUフィルムには、シランカップリング剤がTPUフィルム全量に対して0.6重量%添加されている。
厚さ50μmのETFEフィルム(旭硝子株式会社製50HK−DCS)、厚さ300μmのEVAフィルム(FIRST社製F806)、発電部材(PENフィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層)、熱可塑性樹脂として厚さ460μmのTPUフィル
ム(Tg=−57℃、Tm=132℃、線膨張係数:MD=230ppm/K、TD=250ppm/K)、同ETFEフィルムの順に重ね合わせ、NPC社製真空ラミネータを使用し、135℃で熱ラミネート(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)して上部モジュールを作製した。さらに、該上部モジュール、同EVAフィルム、厚さ2mmのポリカーボネート基材(三菱樹脂製)を重ね合わせ、NPC社製真空ラミネータを使用し、135℃で熱ラミネート(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)して太陽電池モジュールを作製した。外観は良好であった。また、作製した太陽電池モジュールを高温高湿試験(85℃、85%RH、200時間)にかけた後も、外観の変化は無かった。
なお、上記TPUフィルムには、シランカップリング剤がTPUフィルム全量に対して0.6重量%添加されている。
厚さ50μmのETFEフィルム(旭硝子株式会社製50HK−DCS)、厚さ300μmのEVAフィルム(FIRST社製F806)、発電部材(PENフィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層)、熱可塑性樹脂として厚さ400μmのスチレン−エチレン共重合体フィルム(線膨張係数:TDまたはMDが520ppm/K)、厚さ2mmのポリカーボネート基材(三菱樹脂製)を重ね合わせ、NPC社製真空ラミネータを使用し、135℃で熱ラミネート(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)して高温高湿試験用の太陽電池モジュールを作製した。外観は良好であった。また、作製した太陽電池モジュールを高温高湿試験(85℃、85%RH、100時間)にかけた後も、外観の変化は無かった。
厚さ50μmのETFEフィルム(旭硝子株式会社製50HK−DCS)、厚さ300μmのEVAフィルム(FIRST社製F806)、発電部材(PENフィルム上にアモルファスシリコン系発電層を積層)、同EVAフィルム(Tg=−39℃、Tm=44℃、線膨張係数470ppm/K(−20℃〜130℃)、なお1000ppm/K(52〜75℃))、厚さ2mmのポリカーボネート基材(三菱樹脂製)を重ね合わせ、NPC社製真空ラミネータを使用し、135℃で熱ラミネート(真空度80Pa、真空時間5分、加圧時間5分、保持20分)して外観評価用太陽電池モジュールを作製した。ラミネート後、EVAの層とポリカーボネート基材の間に直径5mm以上の気泡の発生が確認された。
又、作製した太陽電池モジュールを高温高湿試験(85℃、85%RH、100時間)にかけたところEVAの層とポリカーボネート基材の間に直径5mm以上の気泡の増加がみられた。
上記の実施例及び比較例で得られた太陽電池モジュールについて、高温高湿試験(85℃、85%RH、100時間)にかけた後、25mm幅に切断し、引張試験機(ORIENTEC製STA−1225)を用いてT形剥離試験を行い、セルとその裏側に接する層(セルの下層)の界面、ポリカーボネート基材とそれに接する層(ポリカーボネート基材の上層)の界面の接着強度をそれぞれ測定した。(JIS K 6854−3)。剥離速度は100mm/分とした。
2 耐候層
3 封止層
4 発電部材(発電素子、及び発電素子基材)
5 熱可塑性樹脂層
6 ポリカーボネート基材
Claims (6)
- 耐候層と、発電部材と、ポリカーボネート基材とがこの順に積層された太陽電池モジュールであって、前記発電部材と前記ポリカーボネート基材との間に熱可塑性樹脂が積層されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
- 前記熱可塑性樹脂のTgが−120〜110℃であり、かつ、Tmが45〜250℃であることを特徴する請求項1に記載の太陽電池モジュール。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリウレタン、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。
- 前記熱可塑性樹脂がシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
- 前記太陽電池モジュールが、前記耐候層と前記発電部材との間、及び/または前記ポリカーボネート基材と前記熱可塑性樹脂の間にさらに封止層を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に太陽電池モジュール。
- 前記熱可塑性樹脂が、前記発電部材と接して積層されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に太陽電池モジュール。
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