JP2015184066A - 断面加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】試料中の材質のスパッタリング速度の違いに起因する断面の凹凸の発生を適切に抑制する。【解決手段】断面加工方法の第1のステップ(S01)においては、試料に集束イオンビームを照射してスパッタリングによって、集束イオンビームの入射方向に平行な第1断面を形成する。第2のステップ(S02)においては、ガス供給部によって第1断面にデポジション用の原料ガスを供給しつつ第1断面に集束イオンビームを照射することによって、第1断面を被覆するデポジション膜を形成する。第3のステップ(S03)においては、デポジション膜が形成された試料に、少なくともデポジション膜が除去されるまで集束イオンビームを照射してスパッタリングによって第2断面を形成し、エンドに進む。【選択図】図2

Description

この発明は、断面加工方法に関する。
従来、試料に集束イオンビームを照射して断面観察用の断面を形成する断面加工を行なう際に、予め試料の表面にデポジション膜を形成することで表面を平坦化するとともに、集束イオンビームの入射方向に対して試料を傾斜させることによって、試料表面の凹凸部に起因して断面に凹凸が生じることを抑制する断面加工方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−166744号公報
ところで、上記従来技術に係る断面加工方法によれば、試料に対する集束イオンビームの入射方向を変化させつつスパッタリングを行なうことによって、試料表面の凹凸部に起因する断面の凹凸に加えて、試料中に含まれる材質のスパッタリング速度の違いに起因する断面の凹凸の発生を抑制することができる。しかしながら、試料が固定されるステージの姿勢制御に対する自由度が高くない場合、または試料の形状に起因して集束イオンビームの入射方向の変更に対する自由度が高くない場合などにおいて、断面の凹凸の発生を適切に抑制することができない場合がある。また、加工時において集束イオンビームの入射方向とステージの姿勢との相対関係を制御するための操作が煩雑になるという問題が生じる。さらに、集束イオンビームの入射方向に対して試料を傾斜させると、断面の所望の観察領域を確保するために、斜め入射分を考慮して観察領域よりも余分に大きな領域を加工対象として設定する必要が生じ、加工が煩雑になるという問題が生じる。
これらの問題が生じることに対して、試料中の材質のスパッタリング速度の違いに起因する断面の凹凸の発生を適切に抑制することが望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、試料中の材質のスパッタリング速度の違いに起因する断面の凹凸の発生を適切に抑制することが可能な断面加工方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る断面加工方法は、試料に荷電粒子ビームを照射してスパッタリングによって第1断面を形成する第1のステップと、前記第1断面にデポジション膜を形成する第2のステップと、前記デポジション膜が形成された前記試料に、少なくとも前記デポジション膜が除去されるまで前記荷電粒子ビームを照射してスパッタリングによって第2断面を形成する第3のステップと、を含む。
(2)上記(1)に記載の断面加工方法では、前記デポジション膜は、原料ガスを供給しつつ前記荷電粒子ビームを照射することによって、前記第1断面を被覆するデポジション膜である。
(3)上記(1)に記載の断面加工方法では、前記デポジション膜は、原料ガスを供給しつつ電子ビームを照射することによって、前記第1断面を被覆するデポジション膜である。
(4)上記(1)に記載の断面加工方法では、前記デポジション膜は、原子層堆積法によって前記第1断面を被覆するデポジション膜である。
(5)上記(1)に記載の断面加工方法では、前記第3のステップは、前記荷電粒子ビームの入射方向と前記第1断面とを相対的に交差させた状態で、前記荷電粒子ビームの入射に対する前記試料の深さ方向の所定位置よりも深い領域の前記デポジション膜が前記所定位置よりも浅い領域の前記デポジション膜よりも優先的に除去されるようにして、前記試料に前記荷電粒子ビームを照射する第4のステップと、前記第4のステップの実行後に、前記荷電粒子ビームの入射方向と前記第1断面とを平行にした状態で、前記試料に前記荷電粒子ビームを照射する第5のステップと、を含む。
(6)上記(1)から(5)の何れか1つに記載の断面加工方法では、前記第2のステップは、前記試料のスパッタリング速度よりも遅いスパッタリング速度の前記デポジション膜または前記試料のスパッタリング速度と同程度のスパッタリング速度の前記デポジション膜を形成する。
上記(1)に記載の態様に係る断面加工方法によれば、試料中に含まれる材質のスパッタリング速度の違いによって第1断面に凹凸が生じた場合であっても、第1断面の凸部を覆うとともに凹部を埋めるデポジション膜を形成した後にスパッタリングを行なう。この場合、試料と試料中に含まれる材質との間のスパッタリング速度の差に比べて、デポジション膜と凸部との間のスパッタリング速度の差または試料と凹部に埋められたデポジション膜との間のスパッタリング速度の差を、より小さくすることによって、第2断面に凹凸が生じることを抑制し、平滑な第2断面を適切に形成することができる。
さらに、上記(3)の場合、例えば集束イオンビームを用いる場合に比べて、試料へのビーム照射のダメージを軽減することができる。
さらに、上記(4)の場合、例えば荷電粒子ビームによるデポジションを用いる場合に比べて、膜厚が薄い緻密なデポジション膜を形成することができる。これにより膜厚が小さくても硬度が保てるため、膜厚の小さい膜をデポジションすればよく、第3のステップ以降において集束イオンビームでエッチング加工する場合でも膜厚が小さい膜をエッチングすればよいのでプロセス効率が良い。
さらに、上記(5)の場合、試料中に含まれる材質のスパッタリング速度の違いによって第1断面に生じる凹凸は、試料の浅い領域に比べて深い領域でより増大することから、先ず、深い領域で優先的にスパッタリングを行ない、次に、浅い領域および深い領域でスパッタリングを行なう。これによって、平滑な第2断面を効率良く形成することができる。
さらに、上記(6)の場合、試料のスパッタリング速度に比べて遅いスパッタリング速度を有する材質が試料中に含まれることに起因して第1断面に凸部が形成された場合には、試料に比べて遅いスパッタリング速度を有するデポジション膜によって凸部を覆った後にスパッタリングを行なう。この場合には、試料と凸部との間のスパッタリング速度の差に比べて、デポジション膜と凸部との間のスパッタリング速度の差を小さくすることができる。これによって、デポジション膜および凸部を同程度の速度でスパッタリングによって削ることができ、平滑な第2断面を形成することができる。
また、試料のスパッタリング速度に比べて速いスパッタリング速度を有する材質または空隙が試料中に含まれることに起因して第1断面に凹部が形成された場合には、試料のスパッタリング速度と同程度のスパッタリング速度を有するデポジション膜によって凹部を埋めた後にスパッタリングを行なう。これによって、デポジション膜および試料を同程度の速度でスパッタリングによって削ることができ、平滑な第2断面を形成することができる。
本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置の構成図である。 本発明の実施形態に係る断面加工方法を示すフローチャートである。 図3(A)は本発明の実施形態に係る断面加工方法において第1のステップの実行後に試料に形成された凸部を有する第1断面を示す平面図であり、図3(B)は図3(A)のA−A断面図であり、図3(C)は図3(B)に示す第1断面に対して第2のステップの実行後に形成されたデポジション膜および第3のステップでの集束イオンビームの入射方向を示す図であり、図3(D)は図3(C)に示す試料に対して第3のステップの実行後に形成された第2断面を示す図である。 図4(A)は本発明の実施形態に係る断面加工方法において第1のステップの実行後に試料に形成された凹部を有する第1断面を示す平面図であり、図4(B)は図4(A)のB−B断面図であり、図4(C)は図4(B)に示す第1断面に対して第2のステップの実行後に形成されたデポジション膜および第3のステップでの集束イオンビームの入射方向を示す図であり、図4(D)は図4(C)に示す試料に対して第3のステップの実行後に形成された第2断面を示す図である。 本発明の実施形態の変形例に係る断面加工方法を示すフローチャートである。 図6(A)は本発明の実施形態の変形例に係る断面加工方法において第1のステップの実行後に試料に形成された凸部を有する第1断面を示す平面図であり、図6(B)は図6(A)のC−C断面図であり、図6(C)は図6(B)に示す第1断面に対して第2のステップの実行後に形成されたデポジション膜および第4のステップでの集束イオンビームの入射方向を示す図であり、図6(D)は図6(C)に示す試料に対して第4のステップの実行後の第5のステップでの集束イオンビームの入射方向を示す図であり、図6(E)は図6(D)に示す試料に対して第5のステップの実行後に形成された第2断面を示す図である。 図7(A)は本発明の実施形態の他の変形例に係る断面加工方法において第1のステップの実行後に試料に形成された金属配線およびエアギャップを有する薄片試料の表面を示す平面図であり、図7(B)は図7(A)の断面図であり、図7(C)は図7(B)に示す断面に対して第2のステップの実行後に形成されたALD膜を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る断面加工方法を実現する荷電粒子ビーム装置について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る荷電粒子ビーム装置10は、図1に示すように、内部を真空状態に維持可能な試料室11と、試料室11の内部において試料Sを固定可能なステージ12と、ステージ12を駆動する駆動機構13と、を備えている。荷電粒子ビーム装置10は、ステージ12に固定された試料Sに集束イオンビーム(FIB)を照射する集束イオンビーム鏡筒14と、集束イオンビームの照射によって試料Sから発生する二次荷電粒子Rを検出する検出器15と、を備えている。荷電粒子ビーム装置10は、検出器15によって検出された二次荷電粒子Rに基づく画像データなどを表示する表示装置16と、試料Sの表面にガスGを供給するガス供給部17と、制御部18と、を備えている。
この実施形態に係る荷電粒子ビーム装置10は、半導体ウェハや半導体チップなどからなる試料Sの表面に集束イオンビームを走査しながら照射することによって、スパッタリングによる各種の加工(エッチング加工など)と、試料Sの表面の観察と、デポジション膜の形成と、を実行可能である。例えば、荷電粒子ビーム装置10は、試料Sに走査型電子顕微鏡などによる断面観察用の断面を形成する加工と、試料Sから透過型電子顕微鏡による透過観察用の試料(例えば、薄片試料、針状試料など)を形成する加工と、などを実行可能である。
駆動機構13は、ステージ12に接続された状態で試料室11の内部に収容されており、制御部18から出力される制御信号に応じてステージ12を所定軸に対して変位させる。駆動機構13は、水平面に平行かつ互いに直交するX軸およびY軸と、X軸およびY軸に直交するZ軸とに沿って平行にステージ12を移動させる移動機構13aを備えている。駆動機構13は、ステージ12をX軸またはY軸周りに回転させるチルト機構13bと、ステージ12をZ軸周りに回転させる回転機構13cと、を備えている。
集束イオンビーム鏡筒14は、試料室11の内部においてビーム出射部14Aをステージ12の鉛直方向上方の位置でステージ12に臨ませ、かつ光軸を鉛直方向に平行にして、試料室11に固定されている。これによって、ステージ12に固定された試料Sに鉛直方向上方から下方に向かい集束イオンビームを照射可能である。
集束イオンビーム鏡筒14は、イオンを発生させるイオン源14aと、イオン源14aから引き出されたイオンを集束および偏向させるイオン光学系14bと、を備えている。イオン源14aおよびイオン光学系14bは、制御部18から出力される制御信号に応じて制御され、集束イオンビームの照射位置および照射条件などが制御部18によって制御される。イオン源14aは、例えば、液体ガリウムなどを用いた液体金属イオン源、プラズマ型イオン源、ガス電界電離型イオン源などである。イオン光学系14bは、例えば、コンデンサレンズなどの第1静電レンズと、静電偏向器と、対物レンズなどの第2静電レンズと、などを備えている。
検出器15は、試料Sに集束イオンビームが照射されたときに試料Sから放射される二次荷電粒子(例えば、二次電子および二次イオンなど)Rの強度(二次荷電粒子の量)を検出し、検出した二次荷電粒子Rの強度の情報を出力する。検出器15は、試料室11の内部において二次荷電粒子Rの強度を検出可能な位置、例えば試料Sの斜め上方の位置などに配置され、試料室11に固定されている。
ガス供給部17は、試料室11の内部においてガス噴射部17Aをステージ12に臨ませて、試料室11に固定されている。ガス供給部17は、集束イオンビームによる試料Sのエッチングを試料Sの材質に応じて選択的に促進するためのエッチング用ガスと、試料Sの表面に金属または絶縁体などの堆積物によるデポジション膜を形成するためのデポジション用ガスと、などを試料Sに供給可能である。例えば、Si系の試料Sに対するフッ化キセノンと、有機系の試料Sに対する水と、などのエッチング用ガスを、集束イオンビームの照射と共に試料Sに供給することによって、エッチングを選択的に促進させる。また、例えば、フェナントレン、ナフタレン、プラチナ、カーボン、またはタングステンなどを含有した化合物ガスのデポジション用ガスを、集束イオンビームの照射と共に試料Sに供給することによって、デポジション用ガスから分解された固体成分を試料Sの表面に堆積させる。
制御部18は、試料室11の外部に配置され、操作者の入力操作に応じた信号を出力する入力部18aを備えている。
制御部18は、入力部18aから出力される信号、または、予め設定された自動運転制御処理によって生成された信号などによって、荷電粒子ビーム装置10の動作を統合的に制御する。
例えば、制御部18は、イオン光学系14bによって、イオン源14aからのイオンの引出電圧およびイオンの加速電圧と、集束イオンビームのビーム電流およびビーム径と、試料Sの表面上での集束イオンビームの走査(つまり照射位置の変更)と、などを制御する。これによって、例えば、試料Sに各種の加工を行なう際には、粗加工、中加工、および仕上加工というように集束イオンビームのビームコンディション(例えば、加速電圧およびビーム電流など)を適宜に変更可能である。
また、例えば、制御部18は、駆動機構13によって、ステージ12に配置された試料Sの集束イオンビームの照射軸に対する相対位置および相対姿勢などを制御する。
また、例えば、制御部18は、検出器15によって検出された二次荷電粒子Rの検出量を試料Sの表面上における集束イオンビームの照射位置に対応付けた輝度信号に変換することによって、二次荷電粒子Rの検出量の2次元分布を示す画像データを生成し、表示装置16での画像データの表示を制御する。
本発明の実施形態による荷電粒子ビーム装置10は上記構成を備えており、次に、荷電粒子ビーム装置10の動作、特に、試料Sに集束イオンビームを照射してスパッタリングによって断面を形成する断面加工方法について説明する。
先ず、図2に示す第1のステップ(S01)においては、試料Sに集束イオンビームを照射してスパッタリングによって、集束イオンビームの入射方向に平行な第1断面21を形成する。
これによって、例えば試料Sのスパッタリング速度に比べて遅いスパッタリング速度を有する材質が試料S中に含まれる場合には、図3(A),(B)に示すように、第1断面21に凸部22が形成される。この凸部22は、例えば、試料Sのスパッタリング速度に比べて遅いスパッタリング速度を有する材質からなる凸部本体22aと、この凸部本体22aに起因して集束イオンビームの入射方向の下流側に筋状に延びる下流側凸部22bと、を備えている。
また、例えば試料Sのスパッタリング速度に比べて速いスパッタリング速度を有する材質または空隙が試料S中に含まれる場合には、図4(A),(B)に示すように、第1断面21に凹部23が形成される。この凹部23は、例えば、試料Sのスパッタリング速度に比べて速いスパッタリング速度を有する材質または空隙が存在していた凹部本体23aと、この凹部本体23aに起因して集束イオンビームの入射方向の下流側に筋状に延びる下流側凹部23bと、を備えている。
次に、図2に示す第2のステップ(S02)においては、ガス供給部17によって第1断面21にデポジション用の原料ガス(デポジション用ガス)を供給しつつ第1断面21に集束イオンビームを照射することによって、第1断面21を被覆するデポジション膜24を形成する。このとき、駆動機構13のチルト機構13bなどによって、第1断面21に対する集束イオンビームの入射角は所定の鋭角に設定されている。
この第2のステップでは、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、フェナントレンなどのカーボンを含有する原料ガスによって、図3(C)に示すように、第1断面21および凸部22を覆うとともに平坦な表面を有するデポジション膜24が形成される。
また、例えば第1断面21に凹部23が存在する場合、ヘキサカルボニルタングステンなどのタングステンを含有する原料ガスによって、図4(C)に示すように、凹部23を埋めて第1断面21を覆うとともに平坦な表面を有するデポジション膜24が形成される。
ここで、荷電粒子ビーム装置10に電子ビームを照射する電子ビーム鏡筒を備える場合、集束イオンビームの代わりに、電子ビームを照射することによりデポジション膜を形成することも可能である。この場合、試料Sへのビーム照射のダメージを軽減することができる。
次に、図2に示す第3のステップ(S03)においては、デポジション膜24が形成された試料Sに、少なくともデポジション膜24が除去されるまで集束イオンビームを照射してスパッタリングによって第2断面25を形成し、エンドに進む。このとき、図3(C)および図4(C)に示すように、集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とは平行(つまり第1断面21に対する集束イオンビームの入射角は90°)に設定されている。
この第3のステップでは、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、試料Sと凸部22との間のスパッタリング速度の差に比べて、デポジション膜24と凸部22との間のスパッタリング速度の差が小さくなり、デポジション膜24および凸部22が同程度の速度でスパッタリングによって削られ、図3(D)に示すように、平滑な第2断面25が形成される。
また、例えば第1断面21に凹部23が存在する場合、試料Sと凹部23に存在していた材質との間のスパッタリング速度の差に比べて、試料Sと凹部23に埋められたデポジション膜24との間のスパッタリング速度の差が小さくなり、デポジション膜24および試料Sが同程度の速度でスパッタリングによって削られ、図4(D)に示すように、平滑な第2断面25が形成される。
上述したように、本発明の実施形態による断面加工方法によれば、試料S中に含まれる材質のスパッタリング速度の違いによって凹凸が生じた第1断面21にデポジション膜24を形成した後にスパッタリングを行なうことによって、平滑な第2断面25を適切に形成することができる。
より詳細には、試料Sのスパッタリング速度に比べて遅いスパッタリング速度を有する材質が試料S中に含まれることに起因して第1断面21に凸部22が形成された場合には、試料Sに比べて遅いスパッタリング速度を有するデポジション膜24によって凸部22を覆った後にスパッタリングを行なう。この場合には、試料Sと凸部22との間のスパッタリング速度の差に比べて、デポジション膜24と凸部22との間のスパッタリング速度の差を小さくすることができる。これによって、デポジション膜24および凸部22を同程度の速度でスパッタリングによって削ることができ、平滑な第2断面25を形成することができる。
また、試料Sのスパッタリング速度に比べて速いスパッタリング速度を有する材質または空隙が試料S中に含まれることに起因して第1断面21に凹部23が形成された場合には、試料Sのスパッタリング速度と同程度のスパッタリング速度を有するデポジション膜24によって凹部23を埋めた後にスパッタリングを行なう。これによって、デポジション膜24および試料Sを同程度の速度でスパッタリングによって削ることができ、平滑な第2断面25を形成することができる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、上述した実施形態の構成はほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、上述した実施形態においては、第3のステップにおいて集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とは平行に設定されているとしたが、これに限定されず、図5に示す変形例のように、集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とを交差させる第4のステップと、集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とを平行にする第5のステップと、を含んでもよい。以下に、この変形例に係る断面加工方法について説明する。
先ず、図5に示す第1のステップ(S01)においては、試料Sに集束イオンビームを照射してスパッタリングによって、集束イオンビームの入射方向に平行な第1断面21を形成する。
これによって、例えば試料Sのスパッタリング速度に比べて遅いスパッタリング速度を有する材質が試料S中に含まれる場合には、図6(A),(B)に示すように、第1断面21に凸部本体22aおよび下流側凸部22bからなる凸部22が形成される。
次に、図5に示す第2のステップ(S02)においては、ガス供給部17によって第1断面21にデポジション用の原料ガス(デポジション用ガス)を供給しつつ第1断面21に集束イオンビームを照射することによって、第1断面21を被覆するデポジション膜24を形成する。このとき、駆動機構13のチルト機構13bなどによって、第1断面21に対する集束イオンビームの入射角は所定の鋭角に設定されている。
この第2のステップでは、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、フェナントレンなどのカーボンを含有する原料ガスによって、第1断面21および凸部22を覆うとともに平坦な表面を有するデポジション膜24が形成される。
次に、図5に示す第4のステップ(S11)においては、駆動機構13のチルト機構13bなどによって、図6(C)に示すように、集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とを相対的に交差させ、第1断面21に対する集束イオンビームの入射角を鋭角にする。そして、集束イオンビームの入射に対する試料Sの深さ方向における所定位置よりも浅い領域(例えば、数ミクロン程度の深さの領域)QAと深い領域(例えば、数百ミクロン程度の深さの領域)QBとのうち、深い領域QBにより優先的に集束イオンビームを照射する。
これによって、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、デポジション膜24および凸部22が同程度の速度でスパッタリングによって削られる際に、浅い領域QAのデポジション膜24および凸部22よりも深い領域QBのデポジション膜24および凸部22が優先的に除去される。
次に、図5に示す第5のステップ(S12)においては、駆動機構13のチルト機構13bなどによって、図6(D)に示すように、集束イオンビームの入射方向Pと第1断面21とを平行(つまり第1断面21に対する集束イオンビームの入射角を90°)にする。そして、デポジション膜24が形成された試料Sに、少なくともデポジション膜24が除去されるまで集束イオンビームを照射してスパッタリングによって第2断面25を形成し、エンドに進む。
この第5のステップでは、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、デポジション膜24および凸部22が同程度の速度でスパッタリングによって削られる際に、浅い領域QAおよび深い領域QBにおいてデポジション膜24および凸部22が除去される。これによって、集束イオンビームの入射方向Pおよび第1断面21に平行な第2断面25が形成される。
この変形例によれば、例えば第1断面21に凸部22が存在する場合、凸部22は試料Sの浅い領域QAに比べて深い領域QBでより増大することから、先ず、深い領域QBで優先的にスパッタリングを行ない、次に、浅い領域QAおよび深い領域QBでスパッタリングを行なうことによって、平滑な第2断面25を効率良く形成することができる。
なお、上述した実施形態の変形例においては、第5のステップを省略して、第4のステップにおいて、深い領域QBのみで少なくともデポジション膜24が除去されるまで集束イオンビームを照射することによって平滑な第2断面25を形成してもよい。
なお、上述した実施形態の第3のステップおよび変形例の第5のステップにおいては、少なくともデポジション膜24が除去されるまで集束イオンビームを照射するとしたので、例えばデポジション膜24が除去された後に、さらに試料Sを削って第2断面25を形成してもよい。より好ましくは、デポジション膜24が除去された時点で集束イオンビームの照射およびスパッタリングを停止することによって、試料S中に含まれる材質のスパッタリング速度の違いによって第2断面25に生じる凹凸を最小限にすることができる。
以下に、他の変形例について説明する。
上述した実施形態において、TEM試料などの膜厚の薄い薄片試料を作製する場合において、材質が硬いためエッチングレートの低い金属配線や局所的に柔らかい材質やエアギャップがある試料Sでは、カーテン効果や薄膜化が周辺物質よりも早く進むため十分に薄片化できないという課題がある。
そこで、上述した第2のステップにおいて、荷電粒子ビーム装置10での荷電粒子ビームによるデポジションの代わりにAlやTiOなどのALD(原子層堆積法)膜をデポジションすることにより緻密なデポジション膜を形成できる。また、上述した第3のステップ以降で集束イオンビームによりエッチング加工することもできるので、100nm以下の薄片試料であっても薄片化加工することができる。
図7(A)〜(C)は説明図であり、第1のステップにより試料Sの表面に断面を形成した薄片試料31には、エッチングレートの違いにより金属配線32aが出っ張っている。また、エアギャップ33も空孔として存在する。第2のステップにおいて、集束イオンビームでデポジションすると薄片試料31の膜厚が薄いため所望の観察領域までダメージ層が形成されてしまう。そこで、ダメージを抑えるために電子ビームによるデポジションが有効であるが、別の方法として、ALD膜34を薄片試料31の表面と裏面の両断面に形成する。
ALD膜34は緻密な膜であり、膜厚が小さくても硬度が保てるため、膜厚の小さい膜をデポジションすればよい。第3のステップ以降において集束イオンビームでエッチング加工する場合でも膜厚が小さい膜をエッチングすればよいのでプロセス効率が良い。なお、ALD膜34は荷電粒子ビーム装置10とは別の成膜装置で成膜する。
10…荷電粒子ビーム装置、11…試料室、12…ステージ、13…駆動機構、14…集束イオンビーム鏡筒、15…検出器、16…表示装置、17…ガス供給部、18…制御部

Claims (6)

  1. 試料に荷電粒子ビームを照射してスパッタリングによって第1断面を形成する第1のステップと、
    前記第1断面にデポジション膜を形成する第2のステップと、
    前記デポジション膜が形成された前記試料に、少なくとも前記デポジション膜が除去されるまで前記荷電粒子ビームを照射してスパッタリングによって第2断面を形成する第3のステップと、
    を含むことを特徴とする断面加工方法。
  2. 前記デポジション膜は、原料ガスを供給しつつ前記荷電粒子ビームを照射することによって、前記第1断面を被覆するデポジション膜である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の断面加工方法。
  3. 前記デポジション膜は、原料ガスを供給しつつ電子ビームを照射することによって、前記第1断面を被覆するデポジション膜である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の断面加工方法。
  4. 前記デポジション膜は、原子層堆積法によって前記第1断面を被覆するデポジション膜である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の断面加工方法。
  5. 前記第3のステップは、
    前記荷電粒子ビームの入射方向と前記第1断面とを相対的に交差させた状態で、前記荷電粒子ビームの入射に対する前記試料の深さ方向の所定位置よりも深い領域の前記デポジション膜が前記所定位置よりも浅い領域の前記デポジション膜よりも優先的に除去されるようにして、前記試料に前記荷電粒子ビームを照射する第4のステップと、
    前記第4のステップの実行後に、前記荷電粒子ビームの入射方向と前記第1断面とを平行にした状態で、前記試料に前記荷電粒子ビームを照射する第5のステップと、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の断面加工方法。
  6. 前記第2のステップは、前記試料のスパッタリング速度よりも遅いスパッタリング速度の前記デポジション膜または前記試料のスパッタリング速度と同程度のスパッタリング速度の前記デポジション膜を形成する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1つに記載の断面加工方法。
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