JP2015184020A - 微生物の識別方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】代表的な腸管出血性大腸菌であるO157、O26、又はO111の識別を再現性よく行うことを可能とする。【解決手段】微生物を含む試料をMALDI−TOF MSで分析し、得られたマススペクトル上におけるマーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取り、前記質量電荷比に基づいて前記試料がO157、O26、又はO111を含むか否かを判定する方法であって、前記マーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15及びリボソームタンパク質L25の少なくともいずれか一つと、酸ストレスシャペロンHdeBと、DNA結合タンパク質H−NSとを用いる。【選択図】図1

Description

本発明は、質量分析を利用した微生物の識別方法に関する。
従来、微生物の種類を識別する手法の1つとしてDNA塩基配列に基づく相同性解析が知られており、微生物の分類・同定等に広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。この手法では、まず、被検微生物からDNAを抽出してrRNA遺伝子等の全生物に高い保存性で存在している領域のDNA塩基配列を決定する。次に、このDNA塩基配列を用いて、既知微生物のDNA塩基配列データを多数収録したデータベースを検索し、前記被検微生物のDNA塩基配列と高い類似性を示す塩基配列を選出する。そして、該塩基配列が由来する生物種を、前記被検微生物と同一種又は近縁種であると判定する。
しかしながら、こうしたDNA塩基配列を利用した手法では、被検微生物からのDNA抽出やDNA塩基配列の決定などに比較的長い時間を要するため、迅速な微生物同定を行うのが困難であるという問題があった。
そこで、近年では被検微生物を質量分析して得られたマススペクトルパターンに基づいて微生物同定を行う手法が用いられるようになりつつある。質量分析によれば、ごく微量の微生物試料を用いて短時間で分析結果を得ることができ、且つ多検体の連続分析も容易であるため、簡便且つ迅速な微生物同定が可能となる。この手法では、まず、被検微生物から抽出したタンパク質を含む溶液や被検微生物の懸濁液等をMALDI−MS(マトリックス支援レーザ脱離イオン化質量分析)等のソフトなイオン化法を用いた質量分析装置によって分析する。なお「ソフトな」イオン化法とは、高分子量化合物の分解を生じにくいイオン化法をいう。そして、得られたマススペクトルパターンを、予めデータベースに多数収録された既知微生物のマススペクトルパターンと照合することにより、被検微生物の同定を行う。こうした手法はマススペクトルパターンを各微生物に特異的な情報(すなわち指紋)として利用するため、フィンガープリント法と呼ばれている。
特開2006-191922号公報 特開2007-316063号公報
「アプライド・アンド・エンバイロメンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)」, 米国, 第78巻, pp.1004-1014
しかし、上述の質量分析を用いたフィンガープリント法による微生物同定では、種レベルでの同定は可能であっても、より下位の分類レベルである亜種、病原型、又は株等のレベルでの識別は一般に困難とされている。更に、フィンガープリント法では、マススペクトル上に現れる各ピークの一つ一つが何のタンパク質に由来するかが特定されておらず、同定の理論的根拠や信頼性の点に課題を有していた。そこで、この課題を解消するため、微生物菌体を質量分析して得られるピークの約半分がリボソームタンパク質由来であることを利用し、質量分析で得られるピークの質量電荷比を、リボソームタンパク質遺伝子の塩基配列情報を翻訳したアミノ酸配列から推測される計算質量と関連づけることで該ピークの由来となるタンパク質の種類を帰属する手法が開発されている(特許文献2参照)。この手法によれば、質量分析を用いて理論的根拠に基づいた信頼性の高い微生物同定を行うことが可能となる。
但し、微生物の分類レベル(科、属、種、亜種、病原型、血清型、株など)によって質量に違いが出るピークは異なるため、例えば、病原型や株レベルでの識別を再現性よく行うためには、同定対象とする病原型や株レベルでの識別に利用可能なマーカーピークを選択することが必要となる。例えば、特許文献2では、Pseudomonas putida及びその類縁細胞を同定・識別するためのバイオマーカータンパク質として23種類のリボソームサブユニットタンパク質(L5、L13、L14、L15、L18、L19、L20、L22、L23、L24、L28、L30、L35、L36、S7、S8、S10、S13、S14、S17、S19、S20、及びS21)が利用可能であることが開示されている。
ところで、ベロ毒素 (Verotoxin)又は志賀毒素 (Shigatoxin) と呼ばれる毒素を産生する腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)としてO157、O26、及びO111などと呼ばれる病原型の大腸菌が知られている。これらは激しい腹痛や下痢と共に重篤な合併症を起こし死に至る場合もあるため、食中毒等が発生した際には病原菌がこのEHECであるか否かを迅速に判別する必要がある。しかし、EHECとその他の大腸菌のように、互いにごく近縁の微生物を高い再現性で識別可能なマーカータンパク質を選定するのは一般に困難であり、EHECの識別に好適に利用可能なマーカータンパク質は未だ確立されていないのが現状である。
本発明は上記の点を鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、大腸菌O157、O26、又はO111を再現性よく、また迅速に識別することのできるマーカータンパク質を選定し、これを用いた微生物の識別方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、質量分析によって被検微生物がO157か否かを判定するためのマーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15、リボソームタンパク質L25、及び酸ストレスシャペロンHdeBが好適に利用できること、及び質量分析によって被検微生物がO26又はO111であるか否かを判定するためのマーカータンパク質としてDNA結合タンパク質H−NSが好適に利用できることを発見し、本発明に至った。
すなわち、上記課題を解決するために成された第1発明に係る微生物の識別方法は、
a)微生物を含む試料を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
b)前記質量電荷比に基づいて前記試料に大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれるか否かを判定するステップと、
を有し、前記マーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15又は、リボソームタンパク質L25の少なくともいずれか一つと、酸ストレスシャペロンHdeBと、DNA結合タンパク質H−NSとを用いることを特徴としている。
上記マーカータンパク質のうち、S15とL25の質量電荷比は、O157でそれぞれm/z 10166.6, 10676.4であり、その他の大腸菌でそれぞれm/z 10138.6, 10694.4である。一方、H−NSの質量電荷比は、O26及びO111ではm/z 15425.4であり、その他の大腸菌ではm/z 15409.4又はm/z 15882.0である。このように、上記各マーカータンパク質は、O157とその他の大腸菌、並びにO26及びO111とその他の大腸菌とでそれぞれ異なる質量電荷比を示す。また、HdeBは、O157以外の大腸菌では質量電荷比がm/z 9066.2であり、O157では同タンパク質に相当するピークが観測されない。このため、前記試料を質量分析して得られたマススペクトル上において、これらのマーカータンパク質に相当するピークの質量電荷比の値(又はピークの有無)を読み取ることにより、前記試料にO157、O26、又はO111が含まれるか否かを判定することができる。具体的には、前記マススペクトル上におけるマーカータンパク質S15及び/又はL25の質量電荷比がO157における同タンパク質の質量電荷比(m/z 10166.6, 10676.4)と一致していた場合(又は前記その他の大腸菌における同タンパク質の質量電荷比と一致しなかった場合)に前記試料にはO157が含まれると判定する。但し、O157に属する菌株の一部では、S15及びL25に変異を有しないものも存在するため、より確実な判定を行うため、更にマーカータンパク質としてHdeBを使用する。前記マススペクトル上におけるS15及び/又はL25の質量電荷比がO157における同タンパク質の質量電荷比と一致しなかった場合(又は前記その他の大腸菌における同タンパク質の質量電荷比と一致した場合)であっても、該マススペクトル上にHdeBに相当するピークが存在しなかった場合は、該試料にO157株が含まれると判定する。また、前記試料のマススペクトル上におけるマーカータンパク質H−NSの質量電荷比がO26及びO111における同タンパク質の質量電荷比と一致していた場合(又は前記その他の大腸菌における同タンパク質の質量電荷比と一致しなかった場合)には前記試料にO26又はO111の少なくとも一つが含まれると判定する。
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係る微生物の識別方法は、
a)被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
b)前記質量電荷比に基づいて前記被検微生物が大腸菌O157であるか否かを判定するステップと、
を有し、前記マーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15又はリボソームタンパク質L25の少なくともいずれか一つを用いることを特徴としている。
なお、前記第2発明に係る微生物の識別方法においては、前記マーカータンパク質として更に酸ストレスシャペロンHdeBを用いることが望ましい。
また、上記課題を解決するために成された第3発明に係る微生物の識別方法は、
a)被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
b) 前記質量電荷比に基づいて前記被検微生物が大腸菌O26又はO111であるか否かを判定するステップと、
を有し、前記マーカータンパク質としてDNA結合タンパク質H−NSを用いることを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された第4発明に係る微生物の識別方法は、
a)微生物を含む試料を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取る読取ステップと、
b)前記質量電荷比に基づいて前記試料に、大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれるか否かを判定する判定ステップと、
を有し、
前記判定ステップが、前記マススペクトル上にリボソームタンパク質S15、リボソームタンパク質L25、又はDNA結合タンパク質H−NSがそれぞれ大腸菌O157、O26、又はO111に特有の変異を有する場合の質量電荷比のピークの少なくとも一つが存在するか、前記マススペクトル上に酸ストレスシャペロンHdeBの質量電荷比のピークが存在しない場合に、前記試料に大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれると判定することを特徴としている。
上記第1発明又は第4発明に係る微生物の識別方法によれば、前記試料が代表的な腸管出血性大腸菌であるO157、O26、又はO111を含むか否かを再現性よく且つ迅速に判別することが可能となる。また、上記第2発明に係る微生物の識別方法によれば、被検微生物がO157であるか否かを再現性よく且つ迅速に判別することが可能となる。また、上記第3発明に係る微生物の識別方法によれば、被検微生物がO26又はO111であるか否かを再現性よく且つ迅速に判別することが可能となる。
本発明に係る微生物の識別方法に用いられる微生物識別システムの要部を示す構成図。 本発明に係る微生物の識別方法の手順の一例を示すフローチャート。 実施例で使用した菌株名の一覧を示す図の前半部分。 実施例で使用した菌株名の一覧を示す図の後半部分。 実施例で使用したプライマーの一覧を示す図の前半部分。 実施例で使用したプライマーの一覧を示す図の後半部分。 実施例で使用した菌株における各タンパク質の計算質量の一覧を示す図の前半部分。 実施例で使用した菌株における各タンパク質の計算質量の一覧を示す図の後半部分。 O157とその他の大腸菌におけるタンパク質HdeB及びS15、L25のマススペクトル。 O26、O111、及びO157におけるタンパク質H−NSのマススペクトル。 実施例における各タンパク質の計算質量のプロファイルを示す図。 実施例で得られた系統樹を示す図。 O157、O26、及びO111とその他の大腸菌におけるタンパク質S15、L25、HdeB、及びH−NSのDNA塩基配列及びアミノ酸配列の相違を示す図。
図1は本発明に係る微生物の識別方法に用いられる微生物識別システムの全体図である。
この微生物識別システムは、大別して質量分析部10と微生物判別部20とから成る。質量分析部10は、マトリックス支援レーザ脱離イオン化法(MALDI)によって試料中の分子や原子をイオン化するイオン化部11と、イオン化部11から出射された各種イオンを質量電荷比に応じて分離する飛行時間型質量分離器(TOF)12を備える。
TOF12は、イオン化部11からイオンを引き出してTOF12内のイオン飛行空間に導くための引き出し電極13と、イオン飛行空間で質量分離されたイオンを検出する検出器14とを備える。
微生物判別部20の実体は、ワークステーションやパーソナルコンピュータ等のコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)21にメモリ22、LCD(Liquid Crystal Display)等から成る表示部23、キーボードやマウス等から成る入力部24、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置から成る記憶部30が互いに接続されている。記憶部30には、OS(Operating System)31、スペクトル作成プログラム32、種決定プログラム33、及び下位分類決定プログラム35(本発明に係るプログラム)が記憶されると共に、第1データベース34及び第2データベース36が格納されている。微生物判別部20は、更に、外部装置との直接的な接続や、外部装置等とのLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した接続を司るためのインターフェース(I/F)25を備えており、該インターフェース25よりネットワークケーブルNW(又は無線LAN)を介して質量分析部10に接続されている。
図1においては、亜種・株決定プログラム35に係るように、スペクトル取得部37、m/z読み取り部38、及び下位分類判定部39が示されている。これはいずれも基本的にはCPU21が下位分類決定プログラム35を実行することによりソフトウェア的に実現される機能手段である。なお、下位分類決定プログラム35は必ずしも単体のプログラムである必要はなく、例えば種決定プログラム33や、質量分析部10を制御するためのプログラムの一部に組み込まれた機能であってもよく、その形態は特に問わない。なお、種決定プログラム33としては、例えば、従来のフィンガープリント法による微生物識別を行うプログラム等を利用することができる。
また、図1では、ユーザが操作する端末にスペクトル作成プログラム32、種決定プログラム33、及び下位分類決定プログラム35、第1データベース34、及び第2データベース36を搭載する構成としたが、これらの少なくとも一部又は全部を前記端末とコンピュータネットワークで接続された別の装置内に設け、前記端末からの指示に従って前記別の装置内に設けられたプログラムによる処理及び/又はデータベースへのアクセスが実行される構成としてもよい。
記憶部30の第1データベース34には、既知微生物に関する質量リストが多数登録されている。この質量リストは、ある微生物細胞を質量分析した際に検出されるイオンの質量電荷比を列挙したものであり、該質量電荷比の情報に加えて、少なくとも、前記微生物細胞が属する分類群(科、属、種など)の情報(分類情報)を含んでいる。こうした質量リストは、予め各種の微生物細胞を前記質量分析部10によるものと同様のイオン化法及び質量分離法によって実際に質量分析して得られたデータ(実測データ)に基づいて作成することが望ましい。
前記実測データから質量リストを作成する際には、まず、前記実測データとして取得されたマススペクトルから所定の質量電荷比範囲に現れるピークを抽出する。このとき、前記質量電荷比範囲を4,000〜15,000程度とすることにより、主にタンパク質由来のピークを抽出することができる。また、ピークの高さ(相対強度)が所定の閾値以上のものだけを抽出することにより、不所望のピーク(ノイズ)を除外することができる。なお、リボソームタンパク質群は細胞内で大量に発現しているため、前記閾値を適切に設定することにより、質量リストに記載される質量電荷比の大部分をリボソームタンパク質由来のものとすることができる。そして、以上により抽出されたピークの質量電荷比(m/z)を細胞毎にリスト化し、前記分類情報等を付加した上で第1データベース34に登録する。なお、培養条件による遺伝子発現のばらつきを抑えるため、実測データの採取に用いる各微生物細胞は、予め培養環境を規格化しておくことが望ましい。
記憶部30の第2データベース36には、既知微生物を種よりも下位の分類(亜種、病原型、血清型、株など)で識別するためのマーカータンパク質に関する情報が登録されている。該マーカータンパク質に関する情報としては、少なくとも既知微生物における該マーカータンパク質の質量電荷比(m/z)の情報が含まれる。本実施形態における第2データベース36には、被検微生物が大腸菌O157か否かを判定するためのマーカータンパク質に関する情報として、少なくともリボソームタンパク質S15、L25にそれぞれ対応した質量電荷比範囲、及びO157におけるS15、L25の質量電荷比の値(それぞれm/z 10166.6, 10676.4)と、酸ストレスシャペロンHdeBに対応した質量電荷比範囲が記憶されている。更に、第2データベース36には、被検微生物が大腸菌O26又はO111であるか否かを判定するためのマーカータンパク質に関する情報として、DNA結合タンパク質H−NSに対応した質量電荷比範囲、及びO26及びO111におけるH−NSの質量電荷比の値(m/z 15425.4)が記憶されている。
第2データベース36に記憶するマーカータンパク質の質量電荷比の値としては、各マーカータンパク質の塩基配列をアミノ酸配列に翻訳することにより求められた計算質量と、実測により検出される質量電荷比を比較して選別することが望ましい。なお、マーカータンパク質の塩基配列は、シークエンスによって決定するほか、公共のデータベース、例えばNCBI(国立生物工学情報センター:National Center for Biotechnology Information)のデータベース等から取得したものを用いることもできる。前記アミノ酸配列から計算質量を求める際には、翻訳後修飾としてN−末端メチオニン残基の切断を考慮することが望ましい。具体的には、最後から2番目のアミノ酸残基がGly, Ala, Ser, Pro, Val, Thr, 又はCysである場合に、N−末端メチオニンが切断されるものとして前記理論値を算出する。また、MALDI−TOF MSで実際に観測されるのはプロトンが付加した分子であるため、そのプロトンの分も加味して前記計算質量(すなわち各タンパク質をMALDI−TOF MSで分析した場合に得られるイオンの質量電荷比の理論値)を求めることが望ましい。
本実施形態に係る微生物識別システムを用いたO157、O26、及びO111の識別手順についてフローチャートを参照しつつ説明を行う。
まず、ユーザは被検微生物の構成成分を含む試料を調製し、質量分析部10にセットして質量分析を実行させる。このとき、前記試料としては、細胞抽出物、又は細胞抽出物からリボソームタンパク質等の細胞構成成分を精製したものの他、菌体や細胞懸濁液をそのまま使用することもできる。
スペクトル作成プログラム32は、質量分析部10の検出器14から得られる検出信号をインターフェース25を介して取得し、該検出信号に基づいて被検微生物のマススペクトルを作成する(ステップS101)。
次に、種決定プログラム33が、前記被検微生物のマススペクトルを第1データベース34に収録されている既知微生物の質量リストと照合し、被検微生物のマススペクトルに類似した質量電荷比パターンを有する既知微生物の質量リスト、例えば被検微生物のマススペクトル中の各ピークと所定の誤差範囲で一致するピークが多く含まれている質量リストを抽出する(ステップS102)。種決定プログラム33は、続いてステップS102で抽出した質量リストと対応付けて第1データベース34に記憶された分類情報を参照することで、該質量リストに対応した既知微生物が属する生物種を特定する(ステップS103)。そして、この生物種が大腸菌でなかった場合(ステップS104でNoの場合)は、該生物種を被検微生物の生物種として表示部23に出力し(ステップS116)、識別処理を終了する。一方、前記生物種が大腸菌であった場合(ステップS104でYesの場合)は、続いて下位分類決定プログラム35による識別処理に進む。なお、あらかじめ他の方法で、試料中に大腸菌を含むことが判定されている場合は、マススペクトルを用いた種決定プログラムを利用せずに、下位分類決定プログラム35に進めばよい。
下位分類決定プログラム35では、まず下位分類判定部39がマーカータンパク質であるリボソームタンパク質S15及びL25の質量電荷比の値をそれぞれ第2データベース36から読み出す(ステップS105)。続いてスペクトル取得部37が、ステップS101で作成された被検微生物のマススペクトルを取得する。そして、m/z読み取り部38が、該マススペクトル上において、前記の各マーカータンパク質に関連付けて第2データベース36に記憶された質量電荷比範囲に現れるピークを各マーカータンパク質に対応するピークとして選出し、その質量電荷比を読み取る(ステップS106)。その後、下位分類判定部39が、この質量電荷比と前記第2データベース36から読み出した各マーカータンパク質の質量電荷比の値を比較して両者が所定の許容誤差範囲内で一致するか否かを判断する(ステップS107)。その結果、両者が一致した場合には、被検微生物はO157であると判定し(ステップS109)、その旨を被検微生物の識別結果として表示部23に出力する(ステップS116)。
なお、O157の殆どの菌株ではマーカータンパク質S15及びL25の質量シフトが観測されるが、一部のO157株(GTC 14550とGTC 14553の2株)については、これらのマーカータンパク質の質量シフトが観測されない(詳細は後述する)。そのため、上記ステップS107において質量電荷比が一致しなかった場合には、更にマーカータンパク質として酸ストレスシャペロンHdeBを用いた判定を行う。HdeBは多くの大腸菌でm/z 9066.2にピークを生じるが、O157ではこのピークが観測されない。そこで、上記HdeBを用いた判定では、下位分類判定部39が、HdeBに関連付けて第2データベース36に記憶された質量電荷比範囲の情報を読み出し、前記被検微生物のマススペクトル上で該質量電荷比範囲にピーク(すなわちHdeBのピーク)が存在するか否かを判断する(ステップS108)。その結果、該質量電荷比範囲にピークが存在しなかった場合は、該被検微生物はO157であると判定し(ステップS109)、その旨を被検微生物の識別結果として表示部23に出力する(ステップS116)。
一方、前記質量電荷比範囲にピークが存在した場合には、被検微生物はO157でないと判定し(ステップS110)、続いて、該被検微生物がO26又はO111であるか否かの判定を行う。具体的には、下位分類判定部39がマーカータンパク質であるDNA結合タンパク質H−NSの質量電荷比の値を第2データベース36から読み出す(ステップS111)。続いてm/z読み取り部38が、ステップS101で作成された被検微生物のマススペクトル上において、前記マーカータンパク質に関連付けて第2データベース36に記憶された質量電荷比範囲に現れるピークを該マーカータンパク質に対応するピークとして選出し、その質量電荷比を読み取る(ステップS112)。その後、下位分類判定部39が、この質量電荷比と前記第2データベース36から読み出したマーカータンパク質の質量電荷比の値を比較して両者が所定の許容誤差内で一致するか否かを判断する(ステップS113)。その結果、両者が一致した場合には、被検微生物はO26かO111であると判定し(ステップS115)、その旨を被検微生物の識別結果として表示部23に出力する(ステップS116)。一方、両者が一致しなかった場合には、被検微生物はO26及びO111のいずれでもないと判定し(ステップS114)、以上の識別結果、すなわち被検微生物はO157、O26、及びO111以外の大腸菌である旨を表示部23に出力する(ステップS116)。
なお、ここではマーカータンパク質の質量電荷比としてO157(又はO26及びO111)における質量電荷比、すなわち該マーカータンパク質がO157(又はO26及びO111)に特有の変異を有する場合の質量電荷比を第2データベース36に記憶させておき、被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における該マーカータンパク質に対応するピークの質量電荷比が、前記変異を有する場合の質量電荷比と一致した場合に被検微生物はO157(又はO26かO111)であると判断するものとした。しかしながら、これとは逆に、前記変異がない場合のマーカータンパク質の質量電荷比を第2データベース36に記憶させておき、被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における該マーカータンパク質に対応するピークの質量電荷比が、前記変異がない場合のマーカータンパク質の質量電荷比と一致しなかった場合に被検微生物はO157(又はO26かO111)であると判断するようにしてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明を行ったが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。
例えば、上記実施形態では説明の都合上、被検微生物がO157であるか否かの判定を行った後に、被検微生物がO26又はO111であるか否かの判定を行うものとしたが、これらの判定を逆の順序で行ったり、同時に行ったりするようにしてもよい。また、上記判定のいずれか一方のみを行うものとしてもよい。
また、上記実施形態では、被検微生物がO157であるか否かを判定するためのマーカータンパク質として、リボソームタンパク質S15及びL25、並びに酸ストレスシャペロンHdeBの3種類を用いるものとした。しかしながら、ほとんどのO157では前記リボソームタンパク質の両方に質量電荷比のシフト(質量シフト)が見られ、且つHdeBの質量ピークが観測されない。一方、他の大腸菌では前記リボソームタンパク質のいずれも質量シフトが見られず、且つHdeBの質量ピークが観測される。従って、これらのマーカータンパク質のうち、いずれか一つ又は二つだけを用いて被検微生物がO157か否かの判定を行うことも可能である。
また、O157の中でも一部の菌株ではタンパク質YdaQに相当するm/z 8325.6のピークが観測され、O157の他の菌株では同タンパク質に相当するピークが観測されない。そのため、上記のマーカータンパク質S15、L25、HdeBに加えて該YdaQを補助的なマーカータンパク質として使用することにより、O157に属する菌株のより詳細な識別を行うことも可能である。
上述した通り、O157とその他の大腸菌、並びにO26及びO111とその他の大腸菌との間における前記各マーカータンパク質の質量シフト(又はO157におけるマーカータンパク質HdeBの質量ピークの消失)は、これらのマーカータンパク質のDNA塩基配列に生じた点変異、及びそれによるアミノ酸残基の変化に起因している。そこで、被検微生物について前記マーカータンパク質のDNA塩基配列又はアミノ酸配列を解読し、前記の点変異又はアミノ酸残基の変化が生じている箇所の塩基又はアミノ酸残基の種類から該被検微生物がO157、O26、又はO111であるか否かを識別することも可能である。O157とその他の大腸菌との間、並びにO26及びO111とその他の大腸菌との間における前記各マーカータンパク質のDNA塩基配列又はアミノ酸配列の相違箇所を図13に示す。なお、同図のH−NSの表において「その他の大腸菌」とは、非O26・O111菌株のうちNBRC 13893以外のものを意味する。NBRC 13893については同図に示していないが、アミノ酸コード領域中に12塩基の挿入が見られた。
以下、本発明におけるマーカータンパク質の選定手順及び本発明の効果を実証するために行った実験について説明を行う。
(1)菌株及び培養条件
タンパク質質量データベースを構築するために、O157、O26、及びO111菌株を27株と、その他の大腸菌23株の合わせて50菌株を使用した(図3、4)。これらの株は、ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP, 病原菌部門, 岐阜大学, 岐阜市, 日本)、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection, ATCC, ロックビル, メリーランド州, 米国)、ジャパン・コレクション・オブ・マイクロオルガニズムズ(Japan Collection of Microorganisms, JCM, 独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター, つくば市, 日本)、及び独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源センター(NBRC, 木更津市, 日本)から購入した。また、一部の菌株(WT-141, WT-351, 及びWT-352)は野外より単離した。培養には、ニュートリエントブロス(Becton Dickinson, Franklin Lakes, ニュージャージー州, 米国)又はLBブロス(ナカライ, 京都市, 日本)を使用した。また、本発明に係る微生物識別方法の効果を実証するための盲検試験(blind test)に大腸菌13株を使用した。これらは、1996年〜2010年に食品試料から単離され、従来の技術によりO157であると識別された菌株であり、それぞれjfrc 01-13と命名した(図4参照)。
(2)タンパク質質量データベースの構築
リボソームサブユニットタンパク質及びバイオマーカー候補のタンパク質のアミノ酸配列を、米国の国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information、NCBI)のデータベースより入手した。各タンパク質の計算質量の算出には、スイス生物情報科学機構により提供されるExPASyプロテオミクスサーバーのCompute pI/Mw tool を使用した。このとき、最後から2番目のアミノ酸残基がGly, Ala, Ser, Pro, Val, Thr, 又はCysである場合には、N−末端メチオニンが切断されるものとして前記計算質量を算出した。なお、ゲノム未解読の株については、S10-spc-alphaオペロンにコードされるリボソームタンパク質、及びバイオマーカー候補のタンパク質のDNA塩基配列をDNAシークエンシングにより決定した。具体的には、リボソームタンパク質遺伝子の領域(〜5kbp)及びバイオマーカータンパク質の領域を、それぞれNCBIのデータベースより入手した大腸菌ゲノム解読株の対象領域の上流及び下流のコンセンサス配列に基づいて設計したプライマーを使用し、高正確性(high fidelity)DNAポリメラーゼであるKOD plus(東洋紡,大阪, 日本)を用いたPCR(Polymerase Chain Reaction)によって増幅した。DNAシークエンシングは、Big Dye ver. 3.1 Cycle Sequencing Kit(アプライド・バイオシステムズ, Foster City, カリフォルニア州)を用いて行った。PCR及びDNAシークエンシングに使用したプライマーを図5及び図6に示す。
以上で得られた上記50菌株の塩基配列及びアミノ酸配列を配列表の配列番号1〜26に示す。各配列番号に対応する配列の概要は以下の通りである。
配列番号1:O157におけるS15のDNA塩基配列。
配列番号2:その他の大腸菌1(NBRC13893以外の非O157菌株)におけるS15のDNA塩基配列。
配列番号3:その他の大腸菌2(NBRC13893)におけるS15のDNA塩基配列。
配列番号4:O157におけるS15のアミノ酸配列。
配列番号5:前記その他の大腸菌1におけるS15のアミノ酸配列。
配列番号6:前記その他の大腸菌2におけるS15のアミノ酸配列。
配列番号7:O157におけるL25のDNA塩基配列。
配列番号8:その他の大腸菌3(NBRC 15034, NBRC 14237,ATCC BAA-1743, JCM16575以外の非O157菌株)におけるL25のDNA塩基配列。
配列番号9:その他の大腸菌4(NBRC 15034, NBRC 14237,ATCC BAA-1743, JCM16575)におけるL25のDNA塩基配列。
配列番号10:O157におけるL25のアミノ酸配列。
配列番号11:前記その他の大腸菌3におけるL25のアミノ酸配列。
配列番号12:前記その他の大腸菌4におけるL25のアミノ酸配列。
配列番号13:O157におけるHdeBのDNA塩基配列。
配列番号14:その他の大腸菌5(上記50菌株の内の非O157菌株全て)におけるHdeBのDNA塩基配列。
配列番号15:O157におけるHdeBのアミノ酸配列。
配列番号16:前記その他の大腸菌5におけるHdeBのアミノ酸配列。
配列番号17:O26及びO111におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号18:その他の大腸菌6(NBRC 3301, NBRC 3972, NBRC 13891, GTC 14518, GTC 14529, GTC 14603)におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号19:その他の大腸菌7(NBRC 3548, NBRC 12734, GTC 14602, NBRC 13168, GTC 14530, GTC 14601)におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号20:その他の大腸菌8(NBRC 14237, NBRC 15034)におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号21:その他の大腸菌9(NBRC 13893)におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号22:その他の大腸菌10(上記その他の大腸菌6〜9以外の非O26・O111菌株)におけるH−NSのDNA塩基配列。
配列番号23:O26及びO111におけるH−NSのアミノ酸配列。
配列番号24:前記その他の大腸菌6におけるH−NSのアミノ酸配列。
配列番号25:前記その他の大腸菌7におけるH−NSのアミノ酸配列。
配列番号26:前記その他の大腸菌8におけるH−NSのアミノ酸配列。
配列番号27:前記その他の大腸菌9におけるH−NSのアミノ酸配列。
配列番号28:前記その他の大腸菌10におけるH−NSのアミノ酸配列。
(3)MALDI−TOF MSによる測定
寒天培地上のコロニーの菌体、又は液体培地から遠心分離により回収した菌体を使用した。コロニーは鋼製プレートに直接載置し、液体培地から回収した菌体はTMA-Iバッファ(10 mM Tris-HCl ph 7.8, 30 mM NH4Cl, 10 mM MgCl2, 6mM 2-メルカプトエタノール)で洗浄し、同バッファに懸濁した状態で鋼製プレートに載置した。鋼製プレート上にて約107 cfuの菌体を、50 v/v%アセトニトリル、1 v/v%トリフルオロ酢酸溶液中に20 mg/mLのシナピン酸(和光純薬工業製)又はα-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸(CHCA)を含んで成る1 μlのマトリックス溶液と十分に混合した。混合液はサンプルプレートに滴下し、自然乾燥させた。MALDI−TOF MS測定にはAXIMA微生物同定システム(島津製作所, 京都市, 日本)を使用し、ポジティブリニアモード、スペクトルレンジ2000m/z〜200000m/zにて試料の測定を行った。上述の計算質量を測定された質量電荷比と許容誤差500 ppmでマッチングし、適宜修正を施した。
以上の結果、S10-spc-alphaオペロンにコードされるリボソームタンパク質のうち、図7及び図8に示されていないもの、すなわちS10、L3、L4、L23、S19、L22、S3、L16、L29、S17、L14、L5、S8、L6、L18、L30、L36、S11、S4、及びL17については計算質量がいずれの菌株でも同一であった。また、L24、S5、及びS13は、その計算質量からバイオマーカーの候補と考えられたが、質量差が小さかったり、分子量が大きすぎたりしたためにピーク形状が不明瞭であり、安定的なバイオマーカーとしては不適当であった。一方、リボソームタンパク質S15とL25については、GTC 14550とGTC14553を除く全てのO157の菌株において、他の大腸菌(例えばK−12グループ)と比べて特有且つ明確な質量シフトが観測された(図9参照)。また、同図に示すように、これらのタンパク質のピークの強度及び鮮鋭度はO157と他の大腸菌とを区別するのに十分なものであった。このことは、マトリックス溶液にシナピン酸を用いた場合でもCHCAを用いた場合でも同様であり、更にコロニーから直接採取した菌体を用いた場合でも液体培地から抽出してギ酸に懸濁した菌体を用いた場合でも同様であった。これらタンパク質のDNA塩基配列によると、O157に特異的な、リボソームタンパク質S15におけるA239Gの点変位がQ80Rのアミノ酸残基の変化を生じており、その結果、該タンパク質のm/zが10138.6から10166.6に変化していた。同様に、O157に特異的な、リボソームタンパク質L25におけるG150Aの点変位がM50Iのアミノ酸残基の変化を生じており、その結果、該タンパク質のm/zが10694.4から10676.4に変化していた。なお、これら2つのリボソームタンパク質は、NBRC 13893, NBRC 15034, NBRC 14237, ATCC BAA-1743,及びJCM16575の計算質量においても質量シフトが見られた(図7及び図8参照)が、シフト量が非常に小さいため実際のMALDI−TOF MS分析ではこれらは他の大腸菌と区別できなかった。
なお、非EHEC株では酸ストレスシャペロンHdeBに対応するm/z 9066.2のピークが観測されるのに対し、本実験に使用した全てのO157菌株においてこのピークは観測されなかった。このことは非特許文献1の記載と一致している。HdeB遺伝子のDNA塩基配列によると、開始コドンと考えられるATGの領域が、全てのO157菌株で点変異によりATAとなっているのに対し、大腸菌の他の菌株ではATGのままであることが確認された。このことはHdeBのピークがO157だけで欠落していることとよく一致している。
また、O26及びO111についてはDNA結合タンパク質H−NSに対応するピークにおいて他の大腸菌と比べて特有且つ明確な質量シフトが観測された(図7、図8及び図10参照)。配列解析によると、O26及びO111のH−NSタンパク質においてA81Sのアミノ酸置換が観察された。なお、非EHEC株であるNBRC 13893においてもH−NSタンパク質の質量シフトが観測され(図8参照)、配列解析によると、同菌株ではH−NS遺伝子のコード領域中に12塩基の挿入がみられた。但し、同菌株におけるH−NSの質量電荷比は15882.0であり、O26及びO111の質量電荷比(m/z 15425.4)と大きく異なるため、両者は容易に区別可能である。
更に、タンパク質YdaQに相当するm/z 8325.6のピークについても菌株によって観測されないものがあった(図7及び図8参照)。このことから、同タンパク質もそれに相当するピークの有無に基づいて大腸菌を分類するための補助的なバイオマーカーとして利用できると考えられる。
(4)クラスター解析
まず、タンパク質の質量パターンを、SARAMIS(登録商標、Spectral Archive and Microbial Identification System)を用いて解析し、全ての菌株が大腸菌であることを確認した。続いて、各菌株のマススペクトル上のピークの質量電荷比が変異のないバイオマーカータンパク質の質量電荷比と一致したものを「1」、一致しなかったものを「2」又は「3」(2と3は互いに異なる質量電荷比であることを示す)、バイオマーカータンパク質に相当するピークが存在しなかったものを「0」として図11に示すようなプロファイルデータを作成した。このデータをPASTソフトウェア(自然史博物館, オスロ大学, ノルウェー)にインポートし、キムラアルゴリズムを用いて近接結合法によってクラスター解析を行った。更に、FigTree ver. 1.4.0ソフトウェアを用いて系統樹(図12)を作成した。その結果、図12から明らかなように、O157の菌株はいずれもAグループ又はBグループ、すなわち「O157グループ」に正しく分類された。更に、O26の菌株及びO111の菌株は、該菌株で検出されたm/z 15425.4のピークと他の大腸菌株で検出されたm/z 15409.4のピークとの明らかな質量電荷比の違いにより、Dグループ又はEグループに分類された(図10)。また、タンパク質YdaQに相当するm/z 8325.6のピークの有無によっても更に詳細なグループ分けが可能である。
(5)天然単離大腸菌の識別
以上で選出されたバイオマーカーを用いた微生物識別の効果を実証するため、牛肉、豚肉、ネギ等の食料品から単離され、選択培地によりO157であると識別された大腸菌13株についてMALDI−TOF MSによる分析を行った。その結果、これらの株はいずれもリボソームタンパク質S15とL25において典型的な質量シフトを示し、且つ酸ストレスシャペロンHdeBに相当するピークが欠失していたことから、いずれもO157グループに正しく分類された。具体的には、11株がAグループに分類され、jfrc 06とjfrc 08の2株はタンパク質YdaQに相当するピークの欠失によりBグループに分類された。この結果から、本発明に係るバイオマーカータンパク質により天然のO157株をその生成日(generated date)および生成場所に関わらず識別できることが示唆された。O157のゲノム解読株であるFRIK2000, EC4206, EC4045, EC4196, EC4076, EC4113, EC4486, EC869, EC4501, EC508, EC4024, FRIK966, EC4115, TW14588, TW14359 及び EC4042についても、バイオマーカータンパク質の計算質量パターンが「O157グループ」のものと同一であるため、同様に本発明の手法により識別可能と考えられる。このことは、リボソームタンパク質S15とL25における質量シフトが天然で産生された殆どのO157株に共通していることを示唆しており、このことから本発明に係る識別手法は天然単離株に広く適用できると考えられる。
10…質量分析部
11…イオン化部
12…TOF
13…引き出し電極
14…検出器
20…微生物判別部
21…CPU
22…メモリ
23…表示部
24…入力部
25…I/F
30…記憶部
31…OS
32…スペクトル作成プログラム
33…種決定プログラム
34…第1データベース
35…下位分類決定プログラム
36…第2データベース
37…スペクトル取得部
38…m/z読み取り部
39…下位分類判定部

Claims (6)

  1. a)微生物を含む試料を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
    b)前記質量電荷比に基づいて前記試料に大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれるか否かを判定するステップと、
    を有し、
    前記マーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15又はリボソームタンパク質L25の少なくともいずれか一つと、酸ストレスシャペロンHdeBと、DNA結合タンパク質H−NSとを用いることを特徴とする微生物の識別方法。
  2. a)被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
    b)前記質量電荷比に基づいて前記被検微生物が大腸菌O157であるか否かを判定するステップと、
    を有し、
    前記マーカータンパク質としてリボソームタンパク質S15又はリボソームタンパク質L25の少なくともいずれか一つを用いることを特徴とする微生物の識別方法。
  3. 前記マーカータンパク質として更に酸ストレスシャペロンHdeBを用いることを特徴とする請求項2に記載の微生物の識別方法。
  4. a)被検微生物を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取るステップと、
    b)前記質量電荷比に基づいて前記被検微生物が大腸菌O26又はO111であるか否かを判定するステップと、
    を有し、
    前記マーカータンパク質としてDNA結合タンパク質H−NSを用いることを特徴とする微生物の識別方法。
  5. a)微生物を含む試料を質量分析して得られたマススペクトル上における、マーカータンパク質由来のピークの質量電荷比を読み取る読取ステップと、
    b)前記質量電荷比に基づいて前記試料に、大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれるか否かを判定する判定ステップと、
    を有し、
    前記判定ステップが、前記マススペクトル上にリボソームタンパク質S15、リボソームタンパク質L25、又はDNA結合タンパク質H−NSがそれぞれ大腸菌O157、O26、又はO111に特有の変異を有する場合の質量電荷比のピークの少なくとも一つが存在するか、前記マススペクトル上に酸ストレスシャペロンHdeBの質量電荷比のピークが存在しない場合に、前記試料に大腸菌O157、O26、又はO111の少なくとも一つが含まれると判定することを特徴とする微生物の識別方法。
  6. コンピュータに請求項1〜5のいずれかに記載の各ステップを実行させるためのプログラム。
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